第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、持株会社である当社と国内外の連結子会社により構成されるグループ経営を展開しており、証券ビジネス及びアセットマネジメントビジネスをコアとする資産運用サービスの提供を通じて持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社では、2023年4月に迎える創業100周年を越えて、お客さまから信頼され、成長を続けられる体制の確立に向けたグランド・デザインを構築しており、この実現に向け、2017年4月から2020年3月までの当初3年間を中期経営計画「BEYOND 2020」として、グループ力強化のための投資期間と位置付けてまいりました。計画最終年度となった当年度においては、共用コンタクトセンターである「岡三シェアードコミュニケーションズ」を岡三情報システムの社内カンパニーとして設立するなど、事業のプラットフォーム化を進めるとともに、東郷証券や田原証券から当社証券子会社への事業譲渡など、アライアンスをベースとしたグループ力の強化を図りました。

また、当社は2020年4月から2023年3月までを対象期間とする新中期経営計画を策定し、成長を続けられる体制の確立に向けた仕上げとして、中核子会社である岡三証券をはじめとする対面ビジネスの変革に取り組んでまいります。

 

 

岡三証券グループ 中期経営計画

 

 

1.経営哲学

 「お客さま大事」

 

2.存在意義

 「証券のプロフェッショナルとして、最適な資産運用サービスを提供し、お客さまの資産形成に貢献する」

 

3.社会的使命

  (1)お客さまに対して

    お客さまの利益に資するため、投資アドバイスのプロフェッショナル集団となります

  (2)社員に対して

    社員の働きがいに資するため、より一層「誇り」を持てる会社となります

  (3)株主に対して

    株主の期待に応えるため、企業価値を高めます

  (4)地域社会に対して

    地域社会の発展に資するため、付加価値を提供します

 

4.基本方針

  (1)お客さま本位のサービス提供

    お客さま目線のサービス提供により、岡三流のお客さま本位を徹底します

  (2)シェアードバリューの創出

    グループリソースのプラットフォーム化による新たな収益源の創出、コスト効率化を図ります

  (3)デジタライゼーションへの取り組み

    テクノロジーの活用によるサービス革新、新たな価値の提供に取り組みます

 

5.定量目標

  ROE:10% 口座数:100万口座 預り資産:10兆円(2023年3月末)

  2023年4月に創業100周年を迎えるにあたり、100周年以降も持続的な成長を実現するための礎を構築します。

 

 

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の拡大により、実体経済、金融市場は大打撃を受け、世界は大きな困難に直面しました。わが国においても緊急事態宣言が発令される等、経済活動は大幅な縮小を余儀なくされました。しかしながら、多くの企業がテレワークを緊急導入することによって、労働生産性が向上し、働き方改革が進展する等の変化も起こっています。人類の歴史を振り返れば、戦争や気候変動、感染症等による禍難を経て、世の中を構造的に変えるようなパラダイムシフトが起きています。変化への適応力が求められています。

近年、証券ビジネスを取り巻く環境は、長寿化の進展、デジタルシニアの増加、フィンテックの台頭、地方金融機関や異業種等からの新規参入等、かつてない大きな構造変化が生じています。特に昨秋に米国で生じた手数料ゼロの波は、わが国の金融業界にも想定を上回るスピードで押し寄せ、従来型のビジネスモデルは変革を迫られています。

一方、中長期的な時間軸では、証券ビジネスは高い成長ポテンシャルがあります。現在、わが国の個人金融資産は依然として預貯金が過半を占めています。しかし、「人生100年時代」が現実化する中、資産寿命を延ばす重要性が徐々に浸透され始めており、昨年の老後2,000万円不足問題をきっかけに資産形成に対する意識に大きな変化が生じてきました。今後、新たな投資家、新たな資金が証券投資に流入してくることが期待されます。これからの証券ビジネスは「手数料競争」から「付加価値競争」の時代になると考えます。新時代における新しい価値観、役割を発見していく必要があり、時代に応じて自らを変えていかなければ生き残ることはできません。

当社は2023年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、ビジネスモデルの変革に向けて一歩を踏み出しました。お客さまニーズの多様化やビジネスチャンス拡大に着実に対応するため、「お客さま本位のサービス提供」、「シェアードバリューの創出」、「デジタライゼーションへの取り組み」を基本方針に据えて変革を進め、企業価値を向上させます。

創業以来培ってきた「お客さま大事」の経営哲学のもと、証券のプロフェッショナルとして、お客さまの資産形成、資産運用、そして資産管理等の様々なニーズに対して最適なサービスを提供することを目指してまいります。2023年4月に迎える創業100周年を越えてもお客さまから更に信頼され、サステナブルな成長を続けられるよう努めてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、いかなる環境下においても安定的な収益性を確保することが重要との考え方から、連結ROE 10%の安定的な達成を長期的な経営目標として掲げております。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループでは、これらの各リスクを識別し、リスクを定量化した上で、事業計画達成のために進んで受け入れるべきリスクの種類と総量をリスクアペタイトとして表現し、定量化されたリスクがリスクアペタイトの範囲に収まるようリスク管理を実施しております。当該記載事項については、必ずしもリスク要因に該当しない場合もありますが、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性等を考慮し記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであることから、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 金融商品取引業の収益変動リスク

 当社グループの主要事業であります金融商品取引業は、日本国内のみならず世界各地の市況動向や経済動向により投資需要が変化し、顧客からの受入手数料、トレーディング損益等が大幅に変動しやすいという特性があり、これら国内外の金融商品市況の動向や金融商品取引所における取引の繁閑が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

 当社グループは対面営業を主力とする専業証券として、長年に亘り地域密着した営業活動により競争優位を築いてまいりましたが、近年の証券業界においては、同業他社に加えて銀行等の競合、異業種やフィンテック系スタートアップからの参入、及び業界再編などにより、今後も激しい競争環境が続くことが予想されます。このような状況下、当社グループの競争力の優位性が維持できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 市場リスク

 当社グループでは、自己の計算において株式・債券・為替等及びそれらの派生商品などの金融資産を保有しておりますが、急激な市況変動・金利変動等によりこれらの金融資産の価値が変動した場合、取引先が決済を含む債務不履行に陥り保有する有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合等、元本の毀損や利払いの遅延等による損失に対応するため、リスク相当額の限度額を定め、日々モニタリングしています。

 しかし、予想を超えた急激な市況変動・金利変動といった当社の想定を超える不測の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 流動性リスク

 当社グループの主要な事業であります金融商品取引業においては、事業の特性上、業務執行に必要となる大量の資金を機動的かつ安定的に調達する必要があります。財政状態の悪化、資産の流動性悪化、信用格付低下等の要因により短期金融市場・資本市場等からの資金調達が困難となる、あるいは資金調達コストが上昇するなど流動性リスクの顕在化に迅速に対応するため、早期警戒制度に沿った市場変動調査を実施することで、相場急変時の影響をモニタリングしております。

 しかし、予想を超えた量の資金流出や急激な信用格付低下といった当社の想定を超える不測の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) オペレーショナル・リスク

 事務処理のプロセスが正常に機能しないこと、役職員の行動が不適切であること、又は災害・犯罪等の外部的事象の発生により、当社グループに対する損害賠償請求や信用力の低下等のリスクを網羅的に把握するとともに、管理の適正性をモニタリングすることによって、リスクを適正に管理できるよう、「統合リスク管理規程」に基づく体制整備を行っています。

 しかし全ての事象に対応することは不可能であるため当社の想定を超える不測の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

(6) システムに関するリスク

 当社グループの業務執行に際しては、コンピュータ・システムの利用は不可欠なものとなっております。そのため、インターネット取引や当社グループが業務上使用しているコンピュータ・システムや回線が品質不良、外部からの不正アクセス、災害や停電等の諸要因によって引き起こされるリスクを網羅的に把握するとともに、管理の適正性をモニタリングすることによって、リスクを適正に管理できるよう、「統合リスク管理規程」に基づく体制整備を行っております。

 当社グループの証券基幹システムについて、今後大規模なシステム投資を予定しております。当該基幹システムのリプレース計画に支障をきたす事象や状況が生じた場合、証券事業の停止やサービス品質の低下等を招き、当社グループの信頼を大きく損なう可能性もあります。

 

(7) 情報セキュリティに関するリスク

 コンピュータ・システムの不正利用等による顧客及び役職員の個人情報、経営情報等の機密情報の漏洩等、引き起こすリスクを網羅的に把握するとともに、管理の適正性をモニタリングすることによって、リスクを適正に管理できるよう、「統合リスク管理規程」に基づく体制整備を行っております。

 顧客情報の流出や個人情報の漏洩等が生じた場合、損害賠償の請求や、監督官庁から行政処分を受ける可能性があるほか、当社グループの社会的信用が棄損され顧客の流出につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 災害等に関するリスク

 自然災害の発生や病原性感染症の拡大等に備えて、「業務継続計画(BCP)の策定」及び「危機対策本部の設置」によるリスク管理体制を構築しておりますが、当社の想定を超える不測の事態が発生する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)インターネット専業証券会社について

 当社は、2006年1月にインターネットチャンネル専業の証券会社である岡三オンライン証券株式会社を設立しました。同社は2006年12月に営業を開始し、さらに、東京金融取引所の「くりっく365(取引所FX)」や「くりっく株365(取引所CFD)」について従来のネット取引に加え、対面営業による同サービス提供を開始するなど、業容拡大に努めております。

 将来その事業が計画通りに進行しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法的規制について

 当社グループは、その業務の種類に応じて、法令・諸規則の規制を受けております。岡三証券株式会社を始め国内で金融商品取引業を営む証券子会社等は、金融商品取引法の規制を受けるほか、各金融商品取引所、日本証券業協会等の自主規制機関による諸規則等の規制を受けます。また、海外の子会社については、現地法上の規制を受けます。

 当社グループが受ける法令・諸規則の規制から引き起こされるリスクを網羅的に把握するとともに、管理の適正性をモニタリングすることによって、リスクを適正に管理できるよう、「統合リスク管理規程」に基づく体制整備を行っております。

 しかし、将来において、法的規制が強化されたり、現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があり、関連法令を遵守できなかった場合、規制、命令により業務改善や業務停止の処分を受けるなど、事業活動が制限され当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)重要な訴訟等について

 当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟・紛争・その他の法律的手続きの対象となる場合があります。これらの法的リスクについてはグループ各社が個別に管理しており、リスクを網羅的に把握するとともに、管理の適正性をモニタリングすることによって、リスクを適正に管理できるよう、「統合リスク管理規程」に基づく体制整備を行っております。

 当連結会計年度末現在において当社グループの事業に重要な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、年度後半を中心に減速の動きが見られました。米中貿易摩擦を発端とした世界経済の減速により、輸出は前年同月比でマイナスが続いたほか、秋の大型台風による被害も生産活動に影響を与えました。また10月以降も、消費税増税による個人消費の鈍化に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による観光業や外食産業などを中心とした企業景況感の悪化など、経済の減速感は一段と強まりました。他方、失業率は概ね2%台前半で推移しましたが、消費者物価指数の上昇率はほぼ横ばいでの推移となり、物価上昇の勢いはさらに鈍化しました。

 こうした環境のなか日経平均株価は、米中通商協議の動向や先進国の金融政策を意識しながら、秋口にかけて概ね20,000円~22,000円を中心としたレンジで推移しました。10月以降、消費税増税による個人消費の落ち込みが懸念されたものの、米中摩擦の緩和期待から連日史上最高値を更新し続ける米国株式市場の動きなどを好感し、日経平均株価も年末年始にかけて約1年2か月ぶりとなる24,000円台を回復しました。また外国為替市場でも、対ドルでは夏場にかけて円高含みの展開となったものの、夏場以降は米中協議の進展などを受けて緩やかな円安ドル高基調となりました。

 しかし、年度末にかけては、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大による混乱が各方面に広がり、金融市場にもリスク回避の動きとして波及しました。為替市場では値幅が急拡大し、不安定な推移となりました。対ドルでは、3月上旬に一時1ドル=101円近辺まで円が急騰した一方、世界的にリスク回避を目的としたドルの手元流動性を確保する動きが強まると一転、3月下旬には1ドル=111円台まで円安ドル高が進行しました。

 株式市場においても景気や企業業績の悪化懸念が広がり、特に2月後半以降は売り圧力が急速に強まりました。米国では3月にニューヨークダウ平均株価が過去最大の下落幅を記録したほか、日経平均株価も一時、約3年4か月ぶりとなる16,000円台をつけるなど、株式市場は世界的に急落の動きとなりました。ただし、日本を始めとする各国政府と中央銀行が大規模な経済対策と金融緩和策を矢継ぎ早に打ち出し、一定の安心感につながったことから株式市場は値を戻し、日経平均株価は18,917円1銭で年度末の取引を終えました。

 このような事業環境のもと、中核子会社の岡三証券株式会社においては、市況に即した投資情報と多様な商品ラインアップを活用した地域密着型の営業活動を引き続き展開しました。一方、インターネット取引を主体とする岡三オンライン証券株式会社においては、新規口座開設の拡大に注力するとともに、マーケティング技術を用いたサービスの提供や10月に開始した取引所FX・CFDの対面サポートコースの訴求などにより、営業収益の拡大に努めました。また、岡三アセットマネジメント株式会社においては、経済環境分析やリサーチ強化で運用パフォーマンス向上を図るとともに、販売会社を通じてお客さまへ分かりやすくタイムリーな情報提供を行い、運用資産の拡大に努めました。商品としては、「ワールド・リート・セレクション(アジア)」や「ワールド・ソブリンインカム(愛称:十二単衣)」などの公募投信において純資産残高が増加しました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ147億52百万円増加し4,404億53百万円、負債合計は前連結会計年度末に比べ254億88百万円増加し2,760億5百万円、純資産合計は前連結会計年度末に比べ107億36百万円減少し1,644億47百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における当社グループの営業収益は650億38百万円(前年度比95.8%)、純営業収益は640億52百万円(同95.9%)となりました。販売費・一般管理費は619億79百万円(同95.4%)となり、経常利益は54億88百万円(同189.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は36億26百万円(同425.1%)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 証券ビジネスの営業収益は575億95百万円(前年度比96.2%)、セグメント利益は7億66百万円(同102.7%)となりました。

 アセットマネジメントビジネスの営業収益は102億85百万円(前年度比92.8%)、セグメント利益は8億18百万円(同86.4%)となりました。

 サポートビジネスの営業収益は126億10百万円(前年度比102.0%)、セグメント利益は11億79百万円(同120.9%)となりました。

 上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末に比べ4億16百万円減少し、637億67百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、84億53百万円となりました。これは主に、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減335億9百万円による資金の獲得と、顧客分別金信託の増減196億50百万円、トレーディング商品の増減137億31百万円による資金の使用の差し引きによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、28億87百万円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入24億44百万円による資金の獲得と、投資有価証券の取得による支出34億25百万円、無形固定資産の取得による支出17億97百万円による資金の使用の差し引きによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、59億55百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入60億円の資金の獲得と、子会社の自己株式の取得による支出46億95百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出43億円、長期借入金の返済による支出40億49百万円による資金の使用の差し引きによるものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ147億52百万円増加し4,404億53百万円となりました。これは主に、トレーディング商品が296億58百万円、預託金が188億81百万円増加した一方で、有価証券担保貸付金が304億19百万円減少したことによるものであります。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ254億88百万円増加し2,760億5百万円となりました。これは主に、約定見返勘定が49億7百万円、有価証券等受入未了勘定が41億77百万円、短期借入金が38億32百万円、有価証券担保借入金が30億90百万円増加した一方で、その他固定負債が14億38百万円減少したことによるものであります。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ107億36百万円減少し1,644億47百万円となりました。これは主に、資本剰余金が71億56百万円増加した一方で、非支配株主持分が156億26百万円、その他有価証券評価差額金が28億42百万円減少したことによるものです。

(トレーディング業務の概要)

当連結会計年度の年度末日時点のトレーディング商品の残高は以下のとおりであります。

 

2019年3月31日現在

(百万円)

2020年3月31日現在

(百万円)

資産の部のトレーディング商品

93,614

123,273

 

商品有価証券等

93,598

123,057

 

 

株式・ワラント

1,587

694

 

 

債券

88,011

99,381

 

 

CP及びCD

4,000

22,981

 

 

その他

 

デリバティブ取引

16

215

 

 

オプション取引

15

165

 

 

先物取引

0

49

負債の部のトレーディング商品

64,668

67,341

 

商品有価証券等

64.661

67,184

 

 

株式・ワラント

922

848

 

 

債券

59,730

43,354

 

 

CP及びCD

4,000

22,981

 

 

その他

8

 

デリバティブ取引

6

157

 

 

オプション取引

4

154

 

 

先物取引

2

2

 

2)経営成績

当連結会計年度における当社グループの営業収益は650億38百万円(前年度比95.8%)、純営業収益は640億52百万円(同95.9%)となりました。販売費・一般管理費は619億79百万円(同95.4%)となり、経常利益は54億88百万円(同189.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は36億26百万円(同425.1%)となりました。

 

受入手数料

受入手数料の合計は397億32百万円(前年度比92.4%)となりました。主な内訳は次のとおりです。

 

 

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

(百万円)

入手数料

42,995

39,732

 

委託手数料

14,314

14,933

 

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

677

384

 

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

11,776

9,738

 

その他の受入手数料

16,227

14,676

 

委託手数料

当連結会計年度における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は17億10百万株(前年度比92.5%)、売買代金は2兆7,835億円(同91.2%)となりました。こうしたなか、株式委託手数料は143億36百万円(同103.1%)となりました。また、債券委託手数料は0百万円(同7.3%)、その他の委託手数料は5億96百万円(同146.0%)となり、委託手数料の合計は149億33百万円(同104.3%)となりました。

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

当連結会計年度における株式の引受けは、主幹事案件が3件あったものの前年度に大型の新規公開案件があった反動から引受金額が減少しました。一方、債券の引受けは、主幹事獲得や個人投資家向け債券の引受けなどにより、主に事業債の引受金額が増加しました。

これらの結果、株式の手数料は1億51百万円(前年度比26.7%)、債券の手数料は2億33百万円(同213.6%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は3億84百万円(同56.8%)となりました。

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。

当連結会計年度における公募投資信託の販売額は、米中貿易問題に起因した投資家心理の悪化や世界的な新型コロナウイルス感染症流行に伴う経済の収縮懸念から、前年度比で減少しました。米国の高利回り資産に投資するファンドや、リスクの抑制・分散が期待できるソブリン債ファンドやバランス型ファンドの販売額は増加した一方、国内外の株式型ファンドを中心に販売額が減少しました。

これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は97億38百万円(前年度比82.7%)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により146億76百万円(同90.4%)となりました。

 

 

トレーディング損益

 

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

(百万円)

レーディング損益

22,305

22,696

 

株券等トレーディング損益

12,880

10,507

 

債券等トレーディング損益

9,478

12,006

 

その他のトレーディング損益

△53

182

 

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。

当連結会計年度においては、米中摩擦や新型コロナウイルス感染症の世界的流行など世界経済の先行き不安が意識される状況が続いたことから、外国株式の国内店頭取引にかかる個人の売買は前年度比で減少しました。一方で、外国債券はESG債の取扱いなども寄与し、販売額が前年度比で増加しました。

これらの結果、株券等トレーディング損益は105億7百万円(前年度比81.6%)、債券等トレーディング損益は120億6百万円(同126.7%)となり、その他のトレーディング損益1億82百万円(前年度は53百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は226億96百万円(前年度比101.8%)となりました。

 

金融収支

金融収益は17億2百万円(前年度比100.4%)、金融費用は9億86百万円(同92.0%)となり、差引の金融収支は7億16百万円(同114.7%)となりました。

その他の営業収益

金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、9億7百万円(前年度比103.3%)となりました。

販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、人件費や取引関係費の減少等により、619億79百万円(前年度比95.4%)となりました。

営業外損益及び特別損益

営業外収益は持分法による投資利益の計上等により35億64百万円、営業外費用は1億48百万円となりました。また、特別利益は投資有価証券売却益の計上等により16億62百万円、特別損失は減損損失の計上等により8億96百万円となりました。

 

3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループのコア事業であります証券ビジネスの営業収益は、株式、債券、金利、為替等の市況環境変動の影響を受けるため、当社グループの経営成績は連結会計年度毎に大きく変動する傾向にあります。

 このため、当社といたしましては、グループ企業それぞれの事業の強みを全体で共有・活用し、多様化する資産運用ニーズに迅速かつ的確に対応できる体制の確立を目指すことにより、安定した成長を実現できる経営体質の構築に努めております。

 

4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、株主資本の効率的な活用が全てのステークホルダーの利益につながるものと考え、ROE(株主資本利益率)を、重要な指標と位置づけております。当連結会計年度におけるROEは、営業収益は減少した一方、販売費・一般管理費の減少や営業外収益、特別利益の計上等により親会社株主に帰属する当期純利益が前年度比で増加したことから、2.4%(前年度比1.8ポイント上昇)となりました。

 当社グループでは、会社成長とともに、長期安定的な目標としてROE 10%を目指し、取り組みを続けてまいります。

 

5)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

証券ビジネス

証券ビジネスにおいては、株券等トレーディング損益や投資信託関連収益の減少等が影響し、当年度における証券ビジネスの営業収益は575億95百万円(前年度比96.2%)、セグメント利益は7億66百万円(同102.7%)となりました。

アセットマネジメントビジネス

アセットマネジメントビジネスにおいては、運用資産の拡大に努めましたが、公募株式投資信託の運用資産平均残高の減少により、当年度におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は102億85百万円(前年度比92.8%)、セグメント利益は8億18百万円(同86.4%)となりました。

サポートビジネス

当年度におけるサポートビジネスの営業収益は126億10百万円(前年度比102.0%)、セグメント利益は11億79百万円(同120.9%)となりました。

 

上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 

なお、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載の消費税等の課税取引額については、消費税等を含んでおりません。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資本の流動性につきましては、次の通りです。

 当社グループのコア事業であります証券ビジネスの資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付及びトレーディングのロングポジションであり、逆に資金調達の主なものは金融機関借入、コールマネー、信用取引売却代金の顧客からの借入及びトレーディングのショートポジションであります。これらは、市況環境の変動の影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えることとなります。なお、岡三証券株式会社では、安定的かつ機動的な財務運営のため、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとしたコミットメントラインを総額210億円として更新いたしました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日における資産・負債及び連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積り及び仮定設定を行う必要があり、過去の実績やそれぞれの状況に応じて合理的と考えられる仮定設定に基づいて、継続して判断・評価及び見積りを行っております。

 なお、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。特に以下の重要な会計方針については、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りに大きな影響を及ぼすことがあります。

a.投資有価証券(その他有価証券)の減損

 当社グループは、その他有価証券で時価のある株式については、連結決算日の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、原則として減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性があると認められるものを除き、減損処理を行っております。 従って、将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、当連結会計年度末現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。また、一部の子会社は、発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。

b.退職給付債務

 退職給付債務及び退職給付費用の計算に用いる、割引率、退職率、死亡率、昇給率、長期期待運用収益率などは合理的に見積ることとされているため、見積数値と実績には差異が生じることとなります。この数理計算上の差異については、当社グループでは5年の定額法により処理することとしているため、翌期以降の業績に影響を与えることとなります。

c.固定資産の減損

 当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。

d.繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。