当事業年度のわが国経済は、方向感の定まらない展開となりました。実質国内総生産(GDP)は4-6月期と10-12月期がマイナス成長となる一方、7-9月期はプラス成長となり、概ね横這い圏での推移となりました。雇用状況は、月間新規求人数が当事業年度において1963年以降の上位3位までを記録した他、月間有効求人数は2月において1963年1月以降の最高を記録しました。有効求人倍率も1月に、24年1カ月ぶりの高水準となり良好な結果となりました。しかし、可処分所得や消費支出は低迷し、景気ウォッチャー調査も右肩下がりとなりました。このように雇用環境の改善が収入や消費の回復に繋がらない状況を受けて、日本銀行は12月には量的・質的緩和の補完措置を、1月にはマイナス金利政策を導入し、連続して追加緩和策を実施することとなりました。政府も年明け後に2015年度補正予算を成立させ、更に過去最大の規模となった2016年度予算の執行を前倒す意向を示すなど、国内景気の回復を図る格好となりました。海外においては、米国が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で2006年6月以来、約9年半ぶりの利上げを実施しゼロ金利政策を終了させ、経済の先行きに対する当局の自信を示しました。しかし、欧州では欧州中央銀行(ECB)が12月に続いて3月にも追加緩和策を決め、中国では度重なる利下げに加えて人民元基準レートの切り下げに踏み切るなど、景気下振れ圧力への対応に追われる状況となりました。
当事業年度の国内株式市場は、円安や訪日外国人旅行者の急増に伴うインバウンド消費の拡大などを背景として企業業績が回復したことや、株主重視の経営方針が浸透したことから、こうした日本企業の変化が好感され、夏場までは堅調な推移となりました。しかし8月中旬に中国人民銀行による人民元の切り下げで同国経済に対する厳しい見方が急速に広まった他、原油価格の下落による産油国政府系ファンドの投資回収懸念などから、秋以降は世界的に調整局面に入りました。その後、米国景気の回復期待などから持ち直す場面もありましたが、米国利上げ後の思わぬ円高進行が逆風となり、結局、当事業年度末の日経平均株価は2015年3月末と比べ12.7%安い16,758円67銭で取引を終えました。
このような状況のもと、当事業年度の業績は、営業収益が132億23百万円(前期比 87.0%)と減少し、営業収益より金融費用58百万円(同 93.4%)を控除した純営業収益は、131億64百万円(同 87.0%)と減少しました。また、販売費・一般管理費は121億40百万円(同 100.0%)となり、その結果、営業利益は10億24百万円(同 34.3%)、経常利益は14億44百万円(同 43.5%)となりました。特別利益が16億41百万円(前事業年度実績 19百万円)、税金費用が10億82百万円(前期比 127.8%)となったことなどから、当期純利益は19億83百万円(同 79.8%)となりました。
主な手数料の内訳は以下のとおりであります。
① 委託手数料
「委託手数料」は、44億94百万円(同 96.4%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が8,395億円(同 95.4%)と減少したことにより、株式の委託手数料が43億99百万円(同 95.4%)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は94百万円(同 183.3%)となりました。
② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、94百万円(同 165.7%)となりました。
③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、30億94百万円(同 75.7%)となりました。これは、米国の中小型株、医療やバイオテクノロジーに関連する企業、ROEの向上や株主還元に積極的に取り組む日本企業へ投資するファンドなどを主な投資対象とする投資信託の販売が好調であった一方、世界的に株式市場が乱高下するなど投資環境が悪化したことにより、全体的に投資信託の販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ手数料の増加等により24億76百万円(同 105.4%)となりました。
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ12億70百万円減少し、195億72百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は10億45百万円の減少となりました。これは「税引前当期純利益」で30億65百万円、「顧客分別金信託の増減額」で27億円増加する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で45億51百万円、「投資有価証券売却及び評価損益」で16億41百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」77億37百万円の増加と比較すると87億83百万円の減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は14億39百万円の増加となりました。これは「投資有価証券の売却による収入」で16億48百万円増加する一方、「有形固定資産の取得による支出」で1億37百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」5億68百万円の減少と比較すると20億7百万円の増加となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は16億45百万円の減少となりました。これは「配当金の支払額」で12億21百万円、「自己株式の取得による支出」で4億10百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」22億41百万円の減少と比較すると5億95百万円の増加となっております。
当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「1 業績等の概要」に含めて記載しております。
当社は、第三次中期経営計画で課題となった安定的に収益をあげるための収益基盤の拡大に努めるとともに、下記の(1)目標とする経営指標及び(2)中長期的な会社の経営戦略に記載しております第四次中期経営計画の計数目標及び定性目標の達成を目指し、経営ビジョンの実現に向けて取り組んでまいります。
当社は後述の中長期経営戦略「経営ビジョン」及び、第四次中期経営計画において、以下の経営指標及び計数目標を掲げております。
経営ビジョン(経営指標) (対象期間:2015年4月~2022年3月)
平均ROE 8% (2016~2018年度) | ストック収入による | ファンドラップ |
平均ROE 10% (2019~2021年度) |
第四次中期経営計画(計数目標) (計画期間:2016年4月~2019年3月)
平均ROE 8% (2016~2018年度)
| ストック収入による | ファンドラップ |
※ストック収入による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ手数料の合計を販
売費・一般管理費で除した比率。費用に対する安定収益の割合。
<経営ビジョン>
当社は2015年3月に中長期経営戦略「経営ビジョン」(対象期間2015年4月~2022年3月)を策定しました。これは、2021年に到来する創業100周年に向けて当社のあるべき姿を明確化し、次の100年の礎とするために、経営理念を具体化したものであり、2016年度を初年度とする第四次中期経営計画及び2019年度から始まる第五次中期経営計画の指針となるものです。
当社はこのビジョンをお客さま、株主さま、社員、地域社会の皆さまなど多くのステークホルダーに示し、中長期的に自らの企業価値を高めていくことを通して、社会の中でかけがえのない存在となることを目指してまいります。
経営ビジョンの根幹となる4つのあるべき姿は以下のとおりです。
経営ビジョン
1.お客さまからの信頼度No.1の会社 2.社員が誇りを持って働き自己実現できる会社 3.金融サービスと情報発信で地域社会の発展に貢献する会社 4.ビジネス構造の変革に挑戦し続ける会社 |
上記の経営ビジョンを達成するために、以下の7つの基本戦略を策定しました。
<7つの基本戦略>
・資産運用アドバイザーの実践
・ビジネス倫理・法令遵守の徹底
・全社員のスキルアップ
・多様な働き方に応じた人事・評価制度
・収益基盤の拡充
・地域貢献への取組み
・戦略的な店舗展開
<第四次中期経営計画>
当社は第三次中期経営計画の課題の達成及び「経営ビジョン」の実現に向けて、第四次中期経営計画(2016年4月~2019年3月)を策定しました。その具体策は上記「経営ビジョン」の7つの基本戦略に紐づいており、主要な施策の概要は以下のとおりです。
① ファンドラップや当社推奨ファンドの充実、株式取引のニーズに応えるための情報提供力の強化、資産運用に関するアドバイススキルの向上などに取組み、お客さまの中長期的な資産形成に資する勧誘・販売体制の強化を図る。
② 富裕層向けの包括的サポートの充実、ITの活用によるお客さまの利便性向上や業務の効率化、出店エリアの地域特性に合わせた店舗戦略、経営方針を現場へ浸透させる為の幹部社員のマネジメント力強化等に取り組み、お客さまサービスの向上を図る。
③ 多様な働き方を可能とする人事制度の改定や評価体系の見直しなど、社員の意欲や能力が十分発揮できる環境整備を推進し、社員満足度の向上を図る。
④ CSR原則に基づき地域貢献に継続的に取り組み、当社の社会的価値を高める。
⑤ 上記①~④を通して当社のブランド力向上を図る。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項は以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 収益変動リスク
当社の主要な収益源である受入手数料及びトレーディング損益は、株式市況や為替市況の変動に大きく影響を受けます。このため、企業業績や国内外の政治・経済情勢の悪化等により市場が低迷した場合、当社の業績は大幅に変動する可能性があります。
(2) 事務リスク
当社では、社内規程やマニュアルに則り正確な事務処理を行うよう体制を整備しておりますが、役職員の故意、過失又は事故などにより正確な事務処理が執行されなかった場合、経済的損失の発生や社会的信用が失墜する可能性があります。特に誤発注に関しては、未然防止のため管理者及びシステムによるチェック体制を整備しておりますが、万一誤ったデータが取引所に送信された場合、損失を被る可能性があります。
(3) 市場リスク
当社は、自己の計算において国内外の有価証券を保有しております。リスク管理においては、市況の変動や財務の健全性を勘案してリスク限度枠や損失限度額を設定し、管理しておりますが、政治・経済情勢等の急変等により相場の急激な変動があった場合、損失を被る可能性があります。
(4) 資産価値の下落に係るリスク
当社は、事業運営のため土地建物等の有形固定資産、コンピュータソフトウェア等の無形固定資産、有価証券等の資産を保有しております。これらについて時価の下落、収益性の低下、陳腐化などが生じた場合、損失が発生する可能性があります。
(5) 流動性リスク
当社の事業運営資金は、主に自己資金と金融機関からの借入によっておりますが、当社の財政状態について信用不安等が広がった場合、資金調達コストが著しく上昇し、あるいは資金調達が困難になり事業運営が制約される可能性があります。
(6) 取引先リスク
当社の保有する金銭債権や預金などの資産は、相手先が資金繰りの悪化などにより債務不履行に陥った場合、回収不能となり損失が発生する可能性があります。
(7) システムリスク
当社の業務上使用するコンピュータシステムに、品質不良、回線トラブル、外部からの不正アクセス、災害などにより障害が発生した場合、緊急時の業務執行体制を整備しておりますが、障害の規模・状況によっては取引の縮小や中断を余儀なくされる可能性があります。
(8) 情報セキュリティーに係るリスク
当社は、お客さま情報の管理について万全を期しておりますが、不正な手段や過失等により、万一情報が外部に漏洩した場合、賠償金の発生や社会的信用が失墜する可能性があります。
(9) 法令・諸規則等に係るリスク
当社は、金融商品取引業者として多くの法令・諸規則のもとに業務を遂行しておりますが、規制が強化又は緩和された場合、既存業務に対する制約や競争の激化により、収益が低下する可能性があります。また、「金融商品取引法」に基づき、自己資本規制比率を算出しておりますが、数値が定められた水準を下回った場合、業務停止等を命じられる可能性があります。
(10) 法務リスク
当社は、金融商品取引法、その他法令・諸規則等を遵守し業務を遂行しておりますが、役職員の故意又は過失により法令違反が発生した場合、行政処分等を受け社会的信用が失墜し、取引の減少を招く可能性があります。また、お客さまや取引先等との間で紛争が生じた場合、提訴される可能性があります。なお、現在、当社の業績に大きな影響を与える訴訟はありません。
(11) 災害等に関するリスク
当社は、緊急時の業務継続体制を整備しておりますが、大規模災害等の発生により当社営業基盤の地域に重大な影響が及んだ場合、事業運営が制約される可能性があります。
当事業年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。
該当事項はありません。
(1) 当事業年度の経営成績の分析
当社の当事業年度の経営成績は、受入手数料については、101億58百万円(前期比 91.1%)と減少しました。内訳については、まず委託手数料が44億94百万円(同 96.4%)と減少しております。これは、国内消費が弱かったことや、中国経済に対する厳しい見方、原油価格の下落などを背景に、世界的に株式市場が調整したことにより、株券委託売買金額が減少したことなどが要因であります。また引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は94百万円(同 165.7%)と増加しております。募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は30億94百万円(同 75.7%)と減少しております。これは、米国の中小型株、医療やバイオテクノロジーに関連する企業、ROEの向上や株主還元に積極的に取り組む日本企業へ投資するファンドなどを主な投資対象とする投資信託の販売が好調であった一方、世界的に株式市場が乱高下するなど投資環境が悪化したことにより、全体的に投資信託の販売額が減少したことによるものです。その他の受入手数料は24億76百万円(同 105.4%)と増加しております。これはファンドラップ手数料の増加等によるものであります。
トレーディング損益については、28億4百万円(同 74.7%)と減少しました。これは、米国株式の売買高が減少したことにより株券等トレーディング損益が減少したことや、外債の売買高が減少したことにより債券等トレーディング損益が減少したことによるものであります。
金融収支については、1億67百万円(同 97.4%)の利益となりました。これは、金融収益が信用取引収益の減少等により2億26百万円(同 96.4%)、金融費用が信用取引費用の減少等により58百万円(同 93.4%)となったことによるものであります。
販売費・一般管理費については、121億40百万円(同 100.0%)となりました。これは、新入社員の増加に伴う人件費やコンピュータ事務委託費などが増加した一方、営業利益が大幅に減少したことに伴って賞与引当金繰入などが減少したことなどによるものであります。
特別利益については投資有価証券売却益16億41百万円(前事業年度実績 -百万円)となりました。特別損失については減損損失20百万円(同 6百万円)、金融商品取引責任準備金繰入れ0百万円(同 3百万円)となりました。
これらの結果、当期純利益は19億83百万円(前期比 79.8%)となりました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の純営業収益は受入手数料、トレーディング損益、金融収支、その他の営業収益からなっております。当事業年度のこれらの占める割合は受入手数料77.2%、トレーディング損益21.3%、金融収支1.3%、その他の営業収益0.2%となっております。このことから当社の収益は受入手数料に依存しているといえます。
また受入手数料は、委託手数料、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料からなっており、これらの純営業収益に占める割合は委託手数料34.2%、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料0.7%、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料23.5%、その他の受入手数料18.8%となっております。
委託手数料は株式市場の変動、特に売買代金に多大な影響を受けます。また、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料についても、投資信託の販売額が様々な市場変動の影響を受けております。
一方、費用の大部分を占める販売費・一般管理費については、当社の場合、収入の増減との連動性は低く、正比例的に増減するものではありません。以上のことから当社においては、受入手数料の増減が経営成績に重要な影響を与えております。
従って、様々な市場の変動に当社の経営成績は重要な影響を受けております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは、「税引前当期純利益」で30億65百万円、「顧客分別金信託の増減額」で27億円増加する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で45億51百万円、「投資有価証券売却及び評価損益」で16億41百万円減少したことなどにより、10億45百万円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、「投資有価証券の売却による収入」で16億48百万円増加する一方、「有形固定資産の取得による支出」で1億37百万円減少したことなどにより、14億39百万円の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、「配当金の支払額」で12億21百万円、「自己株式の取得による支出」で4億10百万円減少したことなどにより、16億45百万円の減少となりました。
この結果、現金及び現金同等物の減少額は12億70百万円となり、現金及び現金同等物の期末残高は195億72百万円となりました。