文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、安定的に収益をあげるための収益基盤の拡大に努めるとともに、下記の(1)目標とする経営指標に記載しております経営ビジョン及び第五次中期経営計画の計数目標及び(2)中長期的な会社の経営戦略に記載しております定性目標の達成を目指し、経営ビジョンの実現に向けて取り組んでまいります。
当社は後述の中長期経営戦略「経営ビジョン」及び「第五次中期経営計画」において、以下の 計数目標を掲げております。
経営ビジョン及び第五次中期経営計画(計数目標)
※ストック収入による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計を
販売費・一般管理費で除した比率であり、費用を安定収益でどれだけカバー出来ているかを示す
ものです。
これらの計数目標は、市況悪化時でもお客さまへ十分なサービスを提供することや、上場企業として求められる収益の確保など、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるために達成しなければならない項目であります。
<経営ビジョン>
当社は2015年3月に中長期経営戦略「経営ビジョン」(対象期間2015年4月~2022年3月)を策定しました。これは、2021年に到来する創業100周年に向けて当社のあるべき姿を明確化し、次の100年の礎とするために、経営理念を具体化したものであり、中期経営計画の指針となるものです。
当社はこのビジョンをお客さま、株主さま、社員、地域社会の皆さまなど多くのステークホルダーに示し、中長期的に自らの企業価値を高めていくことを通して、社会の中でかけがえのない存在となることを目指してまいります。
経営ビジョンの根幹となる4つのあるべき姿は以下のとおりです。
上記の経営ビジョンを達成するために、以下の7つの基本戦略を策定しました。
<7つの基本戦略>
・資産運用アドバイザーの実践
・ビジネス倫理・法令遵守の徹底
・全社員のスキルアップ
・多様な働き方に応じた人事・評価制度
・収益基盤の拡充および業務効率化・コストの見直し
・地域貢献への取組み
・戦略的な店舗展開
<第五次中期経営計画>
当社は第四次中期経営計画の課題の達成及び「経営ビジョン」の実現に向けて、第五次中期経営計画(2019年4月~2022年3月)を策定しました。その具体策は上記7つの基本戦略に紐づいており、主要な施策の概要は以下のとおりです。
①お客さま本位の業務運営の徹底を趣旨とした「行動スタイルの変革」を引き続き推進する。
②ファンドラップもしくは安定性重視の投資信託をお客さまのポートフォリオの中心に据えるコア・サテライト戦略により、お客さまの資産形成に寄与する。
③営業員のマーケット対応力の強化によって、お客さまへのフォローの質や市況変動時のアドバイス力などを高め、お客さまの最善の利益を追求する。
④お客さまとの接触時間の増大のために営業サポート業務を新設し、更なる営業員の時間創出と業務の効率化を図る。
(3)経営環境
証券業界においては、オンライン証券会社を中心に手数料の無料化など取引コストの低下が進んでおります。また、流通業などの異業種やフィンテックベンチャーによる新規参入も相次いでおります。スマートフォンの普及により低コストで手軽に投資できる環境が整いつつある中、昨今の老後の資金不足不安に端を発した運用ニーズの高まりを背景に、若年層においても少額から投資可能な積立投資の認知度が高まり、投資家層の拡大に繋がっております。
そうした中、対面主体の当社においては、オンライン証券会社の顧客層とは異なる富裕層のお客さまを中心に、お客さま毎の最適なポートフォリオの提案や、市況に合わせた株式の銘柄提案、市況急変時におけるアドバイスを提供するなどして、顧客層の拡大、収益の拡大を図っております。また近年は、株式への依存度が高いビジネスモデルから安定収益基盤強化のビジネスモデルへの転換を推進しており、ファンドラップや安定性重視の投資信託をお客さまのポートフォリオの中心に据えるコア・サテライト戦略を提案したり、リスク毎に当社が厳選した投資信託を推奨ファンドとしてお客さまに提供しております。また今後、資産形成層のお客さま取り込みのために、積立投信についても注力してまいります。
第五次中期経営計画の2年目である2020年度の実績は以下の通りです。
※ストック収入による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計を販売費・一般管理費で除した比率であり、費用を安定収益でどれだけカバー出来ているかを示すものです。
① 販管費カバー率については、ファンドラップと投資信託の残高増加に伴い投資信託の代行手数料が16億30百万円(前期比 103.9%)、ファンドラップ報酬は13億24百万円(同 100.7%)となりストック収入は増加したものの、賞与等の費用が増加したことから23.7%となりました。
② 2021年3月末のファンドラップ預り資産は、前事業年度末から219億円増加し1,132億円となりました。
(経営ビジョン)
指針となる経営ビジョンが掲げる4つのビジョンにかかる成果と課題
(5)新型コロナウイルス感染症の経営方針・経営戦略等に与える影響について
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下において、当社は、営業店舗における接客業務を休止するとともに、在宅勤務を実施し、感染防止に努めながら、営業員は会社から貸与された携帯電話やタブレット端末を使用して営業活動を継続し、お客さまへのサービスの提供に努めました。また、本社社員についても隔日・在宅勤務や同一業務を行う人員を別々のフロアーに分散して配置するなどして、感染防止に努めながら、重要業務が滞らないよう業務を継続いたしました。
当社は証券業であり、製造業のようにサプライチェーンに属していないことから、取引先の操業停止による影響は受けないことや、金融システム機能維持のために、事業継続が求められる業種であることから、感染防止を目的とした外出自粛要請に伴う各種需要の減少による事業活動への悪影響を直接的には受けておりません。そのため、事業活動への悪影響は想定されるものの、現段階においては、営業収益が著しく減少する状況とはなっていないことから、現在取り組んでいる第五次中期経営計画の内容は変更しておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 収益変動リスク
当社の主要な収益源である受入手数料及びトレーディング損益は、株式市況や為替市況の変動に大きく影響を受けます。このため、企業業績や国内外の政治・経済情勢の悪化等により市場が低迷した場合、当社の業績は大幅に変動する可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は高いと考えております。対応策としては、お客さまへポートフォリオを考慮した商品提案を行うことで、保有商品の値下がりを軽減することや、ファンドラップ報酬や投資信託の信託報酬の増大による安定収益基盤の拡大を図っております。
(2) 事務リスク
当社では、社内規程やマニュアルに則り正確な事務処理を行うよう体制を整備しておりますが、役職員の故意、過失又は事故などにより正確な事務処理が執行されなかった場合、経済的損失の発生や社会的信用が失墜する可能性があります。特に誤発注に関しては、未然防止のため管理者及びシステムによるチェック体制を整備しておりますが、万一誤ったデータが取引所に送信された場合、損失を被る可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は、小規模のものを含めると高いと考えております。対応策としては、社内に「事務ミス検討会」を設置し、事務ミスの情報収集や、改善策の取りまとめを行っております。これらの内容については、コンプライアンス部、事務企画部、業務指導部が連携し、社内への周知徹底を図っております。
(3) 市場リスク
当社は、自己の計算において国内外の有価証券を保有しております。政治・経済情勢等の急変等により相場の急激な変動があった場合、売買取引が停止・制限される事態が発生した場合等に、損失を被る可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は高いと考えております。対応策として、市況の変動や財務の健全性を勘案して、リスク限度枠や損失限度額を設定し管理している他、トレーディング商品として保有する有価証券は、最小限に留めております。
(4) 資産価値の下落に係るリスク
当社は、事業運営のため土地建物等の有形固定資産、コンピュータソフトウェア等の無形固定資産、有価証券等の資産を保有しております。これらについて時価の下落、収益性の低下、陳腐化などが生じた場合、損失が発生する可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は比較的低いと考えております。
(5) 流動性リスク
当社の事業運営資金は、主に自己資金と金融機関からの借入によっておりますが、当社の財政状態について信用不安等が広がった場合、資金調達コストが著しく上昇し、あるいは資金調達が困難になり事業運営が制約される可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。当社は金融機関として、資金決済が滞ることのないよう非常時に備えた資金を保有するよう努めているほか、資金流動性のストレステストの実施、「資金流動性危機対応マニュアル」を整備しております。
(6) 取引先リスク
当社の保有する金銭債権や預金などの資産は、相手先が資金繰りの悪化などにより債務不履行に陥った場合、回収不能となり損失が発生する可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。お客さまからの買付け注文に係る金銭債権については、対応する有価証券が保護預りされており、また信用取引に係る金銭債権については、一定の担保を確保しております。また、預金については、当座預金、利息のつかない普通預金など決済用預金としており、預金保険機構によって保護されております。
(7) システムリスク
当社の業務上使用するコンピュータシステムに、品質不良、回線トラブル、外部からの不正アクセス、災害などにより障害が発生した場合、障害の規模・状況によっては取引の縮小や中断を余儀なくされる可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は、中程度と考えております。システム障害が発生した場合、緊急時の業務執行体制を整備しているほか、大規模災害等により基幹システムに障害が発生した場合、システム会社によってDRサイト(遠隔地のバックアップシステム)が用意されております。
(8) 情報セキュリティに係るリスク
当社は、お客さま情報の管理について万全を期しておりますが、不正な手段や過失等により、万一情報が外部に漏洩した場合、賠償金の発生や社会的信用が失墜する可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は、小規模のものを含めると中程度と考えております。お客さま情報に関しては、各部支店で毎月末を個人情報点検日とし、個人情報管理台帳にて管理を行っております。また、コンプライアンス部宛に点検結果を報告する体制としております。情報セキュリティならびにサイバーセキュリティに係るインシデントが発生した場合に関しては、組織内CSIRTを整備しているほか、SOCサービスにて24時間365日体制で監視を実施しております。
(9) 法令・諸規則等に係るリスク
当社は、金融商品取引業者として多くの法令・諸規則のもとに業務を遂行しておりますが、規制が強化又は緩和された場合、若しくは新たな規制が導入された場合、既存業務に対する制約や競争の激化により、収益が低下する可能性があります。また、「金融商品取引法」に基づき、自己資本規制比率を算出しておりますが、数値が定められた水準を下回った場合、業務停止等を命じられる可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は、低いと考えております。また自己資本規制比率については、現状高い水準を維持しております。
(10) 法務リスク
当社は、金融商品取引法、その他法令・諸規則等を遵守し業務を遂行しておりますが、役職員の故意又は過失により法令違反が発生した場合、行政処分等を受け社会的信用が失墜し、取引の減少を招く可能性があります。また、お客さまや取引先等との間で紛争が生じた場合、提訴される可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は比較的低いと考えております。法令の遵守に関しては、「コンプライアンス部」や「監査部」を設置し、監視や予防に努めているほか、コンプライアンスに係る研修を毎月実施しております。
現在、当社の業績に大きな影響を与える訴訟はありません。
(11) 災害等に関するリスク
当社は、気候変動等に起因する自然災害や地震・津波等の大規模災害の発生により当社営業基盤の地域に重大な影響が及んだ場合、事業運営が制約される可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。万一大規模災害等が発生した場合、緊急時の業務継続体制を整備しているほか、プランに基づく定期的な訓練を実施しております。
(12) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
当社は、緊急事態宣言下において新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ローテーション勤務・在宅勤務等を実施し、可能な限り少人数で業務を遂行してまいりました。また、宣言対象地域の店舗において店頭業務を休止・縮小する一方、ローテーション勤務者や在宅勤務者によるお客さまサービスは継続いたしましたが、一部の店舗において感染者が発生し、営業態勢に制約を受けました。
今後、多数の営業店舗及び本社において大規模な感染が発生し、営業態勢及び本社業務に多大な制約が発生した場合、経営成績に影響が出る可能性があります。
なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。今後はワクチン接種の普及により感染拡大の抑止が図られるほか、営業店舗においては携帯電話やタブレット端末を使用して在宅での営業活動が実施できること、また本社においては隔日勤務や、同一業務を行う人員の別フロアーへの配置を行うことで重要業務が停滞しないよう対策を実施しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により停滞しましたが、7月以降は回復する動きとなりました。2019年10月の消費増税の影響により停滞した状況下でコロナ禍を迎えた結果、実質国内総生産(実質GDP)は、2020年4-6月期に年率換算で29.3%下落と、戦後最大の落ち込みとなりました。しかし、7-9月期には年率換算で22.8%上昇と急回復を果たし、10―12月期も回復が継続しました。2021年1月に首都圏などで緊急事態宣言が再発令されたものの、2月の内閣府景気ウォッチャー調査では先行き判断が2018年9月以来の高水準となるなど、国内景気の回復傾向が強まりました。
当事業年度の国内株式市場は、前事業年度末のコロナ禍による急落から回復する展開となりました。2020年4~5月はコロナ禍急落から反発する動きとなり、11月は米大統領選挙の通過及び新型コロナウイルス感染症向けワクチンの開発進展と接種開始による経済活動の平常化期待、2021年1~2月は米新政権による追加経済対策や米ワクチン接種の拡大による景気回復期待などが背景となり、株価は上昇トレンドとなりました。1月に首都圏などで緊急事態宣言が再発令されましたが、「世界の景気敏感株」と評される日本株は世界経済の回復期待を受けて、2月15日に日経平均株価が1990年8月2日以来となる30,000円の大台を回復しました。最終的に、当事業年度末の日経平均株価は2020年3月末と比べ54.2%高い29,178円80銭で取引を終えました。
このような状況の中、当事業年度の業績は、営業収益が153億66百万円(前期比 128.6%)と増加し、営業収益より金融費用71百万円(同 103.2%)を控除した純営業収益は、152億94百万円(同 128.8%)と増加しました。また、販売費・一般管理費は124億77百万円(同 105.1%)となり、その結果、営業利益は28億17百万円(同 39,816.2%)、経常利益は32億7百万円(同 726.0%)となりました。特別損失が3億59百万円(前事業年度実績 1億80百万円)、税金費用が9億79百万円(前期比 594.0%)となったことから、当期純利益は18億68百万円(同 236.0%)と増加しました。
主な概要は以下のとおりであります。
イ 受入手数料
当事業年度の「受入手数料」の合計は、138億91百万円(前期比 146.4%)となりました。
a 委託手数料
「委託手数料」は、78億45百万円(同 181.2%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が1兆1,904億円(同 159.0%)と増加したことにより、株式の委託手数料が77億54百万円(同 182.1%)となったことによるものです。なお、受益証券の委託手数料は91百万円(同 124.9%)となりました。
b 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、41百万円(同 72.7%)となりました。
c 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、30億1百万円(同 137.2%)となりました。これは、世界のAI関連企業の株式、米国の持続的な成長企業、世界の質の高い成長企業に投資をする投資信託の販売が好調だったことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ手数料や投資信託の代行手数料の増加等により30億2百万円(同 103.0%)となりました。
ロ トレーディング損益
当事業年度の「トレーディング損益」は、株券等が自己取引の売買高の減少により9億72百万円(前期比 67.2%)、債券・為替等は2億67百万円(同 34.1%)となり、合計で12億39百万円(同 55.6%)となりました。
ハ 金融収支
当事業年度の「金融収益」は、信用取引収益の減少等により1億98百万円(前期比 105.9%)、「金融費用」は信用取引費用の増加等により71百万円(同 103.2%)で差引収支は1億26百万円(同 107.5%)の利益となりました。
ニ 販売費・一般管理費
当事業年度の「販売費・一般管理費」は、「事務費」が減少する一方、「営業収益」などが増加したことに伴い賞与などの「人件費」が増加したことから、124億77百万円(前期比 105.1%)となりました。
ホ 特別損益
当事業年度の「特別損失」は、「投資有価証券評価損」2億44百万円(前事業年度実績 1億38百万円)、「投資有価証券売却損」73百万円(同 1百万円)、「和解金」32百万円(同 -百万円)、「減損損失」5百万円(同 39百万円)、「金融商品取引責任準備金繰入れ」3百万円(同 0百万円)となり、合計で3億59百万円(同 1億80百万円)となりました。
イ 流動資産
当事業年度の「流動資産」は、前事業年度に比べ88億98百万円増加し、552億43百万円となりました。これは、「募集等払込金」が13億90百万円減少する一方、「信用取引資産」が46億89百万円、「預託金」が39億2百万円、「現金・預金」が16億90百万円増加したことなどによるものです。
ロ 固定資産
当事業年度の「固定資産」は、前事業年度に比べ20億73百万円増加し、166億69百万円となりました。これは、「投資有価証券」が21億99百万円増加したことなどによるものです。
ハ 流動負債
当事業年度の「流動負債」は、前事業年度に比べ69億10百万円増加し、267億25百万円となりました。これは、「預り金」が47億91百万円、「未払法人税等」が7億3百万円、「有価証券担保借入金」が5億44百万円、「信用取引負債」が4億39百万円増加したことなどによるものです。
ニ 固定負債及び特別法上の準備金
当事業年度の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ8億87百万円増加し、54億77百万円となりました。これは、「繰延税金負債」が7億44百万円、「従業員株式給付引当金」が1億28百万円増加したことなどによるものです。
ホ 純資産
当事業年度の「純資産」は、前事業年度に比べ31億74百万円増加し、397億9百万円となりました。これは、「剰余金の配当」で6億51百万円減少する一方、「その他有価証券評価差額金」で19億54百万円、「当期純利益」で18億68百万円増加したことなどによるものです。
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ16億90百万円増加し、251億25百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は22億78百万円の増加となりました。これは「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で42億49百万円、「顧客分別金信託の増減額」で38億99百万円減少する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で48億42百万円、「税引前当期純利益」で28億47百万円、「募集等払込金の増減額」で13億90百万円、「有価証券担保借入金の増減額」で5億44百万円、「利息及び配当金の受取額」で4億33百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」11億7百万円の増加と比較すると11億71百万円の増加となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は52百万円の減少となりました。これは、「投資有価証券の売却による収入」で2億12百万円増加する一方、「有形固定資産の取得による支出」で1億50百万円、「無形固定資産の取得による支出」で69百万円、「投資有価証券の取得による支出」で50百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」1億26百万円の増加と比較すると1億79百万円の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は6億52百万円の減少となりました。これは、「配当金の支払額」で6億49百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」16億57百万円の減少と比較すると10億5百万円の増加となっております。
当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要①~③」に含めて記載しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績の分析
当事業年度は第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)「目標とする経営指標」及び(2)「中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、数値目標の達成及び施策に取り組んでまいりました。
数値目標に対する当事業年度の実績は以下のとおりです。
イ 販管費カバー率については、ファンドラップと投資信託の残高増加に伴い投資信託の代行手数料が16億30百万円(前期比 103.9%)、ファンドラップ報酬は13億24百万円(同 100.7%)となりストック収入は増加したものの、賞与等の費用が増加したことから23.7%となりました。
ロ 2021年3月末のファンドラップ預り資産は、前事業年度末から219億円増加し1,132億円となりました。
投資信託については、第五次中期経営戦略の柱であるコア・サテライト戦略を推進したことと、世界的な好市況を背景に基準価額が上昇したことから、公社債投資信託及びファンドラップを除く期末の預り残高は2,696億円(前事業年度末比153.6%)となりました。また、近年当社が注力している米国株式については、委託と店頭の2種類の取引方法がありますが、委託取引を選択するお客さまが増加したことから、前事業年度と比較して委託手数料が増加する一方、トレーディング収益は減少しました。
2021年度も引き続き「お客さま本位の業務運営を実現するための方針」に則り、お客さまの最善 の利益を追求するため、お客さまニーズに沿ったポートフォリオ等の提案、分かり易い手数料や投資情報の提供、営業員のマーケット対応力強化などに取り組んでまいります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因の分析
当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式・外国債券等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価格が上下しますが、基準価格が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは9種類の投資信託を組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。
費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度末の現金・預金残高は251億25百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。
現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。
当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当事業年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。
該当事項はありません。