第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

当社は、お客さまはもとより株主、社員、地域社会から信頼され、選ばれる金融サービス会社として発展するために、以下の経営理念を掲げております。

 

「水戸証券は、顧客・株主・社員にBESTをつくす企業でありたい」

 

(1)目標とする経営指標

当社は後述の「第六次中期経営計画」において、以下の 計数目標を掲げております。

 

第六次中期経営計画(計数目標) 

ROE 
  5%以上
  (計画期間の各年度)

ストック収入による
  販管費カバー率※ 
  33%以上
  (2024年度)

 

 

 

 ※ストック収入による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計を販売費・一般管理費で除した比率であり、費用を安定収益でどれだけカバーできているかを示すものです。

 

これらの計数目標は、市況悪化時でもお客さまへ十分なサービスを提供することや、上場企業として求められる収益の確保など、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるために達成しなければならない項目であります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社は、経営環境の変化を考慮してこれまでの経営ビジョンを見直すとともに、第六次中期経営計画を策定しました。

 

<経営ビジョン>

金融サービスを通じて価値を創造し、お客さまと地域社会の豊かな未来の実現に貢献する

 

1.お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する

人生100年時代と言われる中、安心して豊かな生活を過ごすためには『貯蓄から資産形成』の重要性が増しています。我々は一人一人のライフプランに応じた金融サービスの提供に努め、お客さまの豊かな未来の実現に貢献します。

2.地域社会の発展に貢献する

地域社会の経済成長には、少子高齢化や気候変動、子供の教育等の社会課題を改善し、持続可能な社会基盤を築く必要があると考えます。我々は地域社会の課題に向き合い、共に歩み、共に成長することで地域社会の発展に貢献します。

3.社員が誇りを持って働き自己実現できる

 我々は人材が最も重要であるとの考えのもと、全社員のスキルアップと多様な働き方を支援・奨励します。社員一人一人がやりがいを感じ、誇りを持って働ける環境を作ります。

4.ビジネス構造の変革に挑戦し続ける

お客さま・株主・社員・地域などのステークホルダーに報い、持続的に成長を続けるには、時代や環境の変化に応じて経営資源を柔軟かつ適切に配分していくことが必要です。我々は環境の変化に応じてビジネス構造の変革に挑戦し続けることで企業価値の向上を目指します。

 

 

<第六次中期経営計画>

  計画期間

2022年度~2024年度(2022年4月~2025年3月)

  目標とする経営指標

ROE

5%以上(計画期間の各年度)

販管費カバー率

33%以上(2024年度)

 

  主要施策

・お客さまのライフプラン実現に資する金融サービスを提供する体制の整備

・安定収益基盤構築の一層の推進

・地域社会との共生への取り組み

・社員の能力開発及びその支援

・企業価値向上及び持続的成長に向けた経営資源の最適配分

 

(3)経営環境

証券業界においては、オンライン証券会社を中心に手数料の無料化など取引コストの低下が進み、従来型の手数料ビジネスから預り資産残高に応じた報酬体系へ見直す動きも出てきております。また、少子高齢化の加速が見込まれており、資産承継や次世代のお客さま獲得の重要性が増しております。

そうした中、対面主体の当社は、オンライン証券会社の顧客層とは異なる富裕層のお客さまを中心に、お客さまの最善の利益の追求やお客さまにふさわしいサービスの提供を通じて「価値の創造」、「お客さまの豊かな未来の実現」に貢献してまいります。また、お客さまに対してファンドラップや投資信託等による分散投資と中長期保有を推奨することで、株式への依存度が高いビジネスモデルから安定収益型のビジネスモデルへの転換を引き続き推進してまいります。資産承継や事業承継等のサービスを通じて、お客さまや地域社会の課題解決にも取り組んでまいります。

 

(4)優先的に対処すべき課題

当社の第五次中期経営計画(2019年4月~2022年3月)は当事業年度で終了しました。

第五次中期経営計画の実績は以下のとおりです。

 

(第五次中期経営計画の計数目標及び実績)

項目

①ストック収入による

販管費カバー率※

②ファンドラップ

預り資産

計数目標

30%以上

(2021年度)

1,300億円

(2022年3月末)

実績

30.0%

1,244億円

 

※ストック収入による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計を販売費・一般管理費で除した比率であり、費用を安定収益でどれだけカバーできているかを示すものです。

 

① 販管費カバー率については、ファンドラップと投資信託の残高増加に伴い投資信託の代行手数料が20億22百万円(前期比124.1%)、ファンドラップ報酬は16億9百万円(同121.5%)となり、30.0%となりました。

② 2022年3月末のファンドラップ預り資産は、前事業年度末から112億円増加し1,244億円となり、第五次中期経営計画の目標は未達となりました。当社は株式、投資信託及びファンドラップ等によるポートフォリオでの提案を推進しておりますが、市況環境が変化する中で、相対的に投資信託の提案機会が増えたことが主な要因です。

 

<経営ビジョン>

指針となる経営ビジョンが掲げる4つのビジョンにかかる成果と課題

1. お客さまからの信頼度№1の会社

(成果)

●  分散投資と中長期保有を推奨することにより、当事業年度末時点のファンドラップ及び投資信託の預り資産残高は、経営ビジョンを掲げた2015年以降で最大となりました。

●  当事業年度を通して、営業店のお客さまからの入金等の額が出金等の額を上回る状態が継続しました。

(課題)

●  「お客さま本位の業務運営」を高度化させ、お客さまのライフプランに応じた最適な金融サービスの提供と、そのための人材育成・体制整備を行います。

●  お客さまの年齢層の若返りや新規口座の獲得に努めます。

 

 

2. 社員が誇りを持って働き自己実現できる会社

(成果)

●  能力や実績を重視した人物本位の登用を実施しており、女性管理職比率が当面の目標であった15%以上を達成したことでダイバーシティが進みました。

●   引き続き「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されたことに加え、当事業年度より管理職のメンタルヘルス・マネジメント検定資格取得を推進し、働きやすい環境の整備に取り組みました。

(課題)

●   働き方の選択肢を拡大するなど、多様な人材が働きやすい環境の整備に努めます。

●   当社の持続的成長に向けた高スキル人材の育成のために、人材育成計画による計画的な能力開発や、社員自らが行う資格取得の支援を行います。

 

 

3. 金融サービスと情報発信で地域社会の発展に貢献する会社

(成果)

●   地域社会の課題である事業承継に対応するため、M&A仲介会社と提携し、お客さまにソリューションの提供を行いました。

●   社会貢献活動の一環である未来サポート制度で、子供たちの生活を支援する団体への寄付を実施しました。また、スポーツ・文化・地域の発展を支援するため、各種スポンサー・協賛を実施しました。

(課題)

●   SDGsへの取組みを継続するとともに、地域社会と当社の共通価値の創造の観点から地域貢献活動を行います。

 

 

 

4. ビジネス構造の変革に挑戦し続ける会社

(成果)

●   お客さまの利便性向上と当社の業務効率化のため、タブレット端末を用いた口座開設サービスを開始するなどデジタル化を進めました。

●   経常的なコストの削減を目的として、本社の移転を決定しました。

(課題)

●   コーポレート・ガバナンスの強化やサステナビリティを考慮した経営を行うなど、当社の企業価値向上に向けた取り組みを継続します。

●   対面でのサービスに加え、カスタマーセンターやインターネットを活用したサービスの提供によるお客さま満足度の向上に努めます。

 

 

(5)新型コロナウイルス感染症の経営方針・経営戦略等に与える影響について

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下において、当社は、営業店舗における接客業務を休止するとともに、在宅勤務を実施し、感染防止に努めながら、営業員は会社から貸与された携帯電話やタブレット端末を使用して営業活動を継続し、お客さまへのサービスの提供に努めました。また、本社社員についても隔日・在宅勤務や同一業務を行う人員を別々のフロアーに分散して配置するなどして、感染防止に努めながら、重要業務が滞らないよう業務を継続いたしました。

当社は証券業であり、製造業のようにサプライチェーンに属していないことから、取引先の操業停止による影響は受けないことや、金融システム機能維持のために、事業継続が求められる業種であることから、感染防止を目的とした外出自粛要請に伴う各種需要の減少による事業活動への悪影響を直接的には受けておりません。そのため、事業活動への悪影響は想定されるものの、現段階においては、営業収益が著しく減少する状況とはなっていないことから、経営計画の策定において、当該感染症の影響を考慮しておりません。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 収益変動リスク

当社の主要な収益源である受入手数料及びトレーディング損益は、株式市況や為替市況の変動に大きく影響を受けます。このため、企業業績や国内外の政治・経済情勢の悪化等により市場が低迷した場合、当社の業績は大幅に変動する可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は高いと考えております。対応策としては、お客さまへポートフォリオを考慮した商品提案を行うことで、保有商品の値下がりを軽減することや、ファンドラップ報酬や投資信託の信託報酬の増大による安定収益基盤の拡大を図っております。

 

(2) 事務リスク

当社では、社内規程やマニュアルに則り正確な事務処理を行うよう体制を整備しておりますが、役職員の故意、過失又は事故などにより正確な事務処理が執行されなかった場合、経済的損失の発生や社会的信用が失墜する可能性があります。特に誤発注に関しては、未然防止のため管理者及びシステムによるチェック体制を整備しておりますが、万一誤ったデータが取引所に送信された場合、損失を被る可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は、小規模のものを含めると高いと考えております。対応策としては、社内に「事務ミス検討会」を設置し、事務ミスの情報収集や、改善策の取りまとめを行っております。これらの内容については、コンプライアンス部、事務管理部、業務指導部が連携し、社内への周知徹底を図っております。

 

(3) 市場リスク

当社は、自己の計算において国内外の有価証券を保有しております。政治・経済情勢等の急変等により相場の急激な変動があった場合、売買取引が停止・制限される事態が発生した場合等に、損失を被る可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は高いと考えております。対応策として、市況の変動や財務の健全性を勘案して、リスク限度枠や損失限度額を設定し管理している他、トレーディング商品として保有する有価証券は、最小限に留めております。

 

(4) 資産価値の下落に係るリスク

当社は、事業運営のため土地建物等の有形固定資産、コンピュータソフトウェア等の無形固定資産、有価証券等の資産を保有しております。これらについて時価の下落、収益性の低下、陳腐化などが生じた場合、損失が発生する可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は比較的低いと考えております。

 

(5) 流動性リスク

当社の事業運営資金は、主に自己資金と金融機関からの借入によっておりますが、当社の財政状態について信用不安等が広がった場合、資金調達コストが著しく上昇し、あるいは資金調達が困難になり事業運営が制約される可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。当社は金融機関として、資金決済が滞ることのないよう非常時に備えた資金を保有するよう努めているほか、資金流動性のストレステストの実施、「資金流動性危機対応マニュアル」を整備しております。

 

(6) 取引先リスク

当社の保有する金銭債権や預金などの資産は、相手先が資金繰りの悪化などにより債務不履行に陥った場合、回収不能となり損失が発生する可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。お客さまからの買付け注文に係る金銭債権については、対応する有価証券が保護預りされており、また信用取引に係る金銭債権については、一定の担保を確保しております。また、預金については、当座預金、利息のつかない普通預金など決済用預金としており、預金保険機構によって保護されております。

 

(7) システムリスク

当社の業務上使用するコンピュータシステムに、品質不良、回線トラブル、外部からの不正アクセス、災害などにより障害が発生した場合、障害の規模・状況によっては取引の縮小や中断を余儀なくされる可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は、中程度と考えております。システム障害が発生した場合、緊急時の業務執行体制を整備しているほか、大規模災害等により基幹システムに障害が発生した場合、システム会社によってDRサイト(遠隔地のバックアップシステム)が用意されております。

 

(8) 情報セキュリティに係るリスク

当社は、お客さま情報の管理について万全を期しておりますが、不正な手段や過失等により、万一情報が外部に漏洩した場合、賠償金の発生や社会的信用が失墜する可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は、小規模のものを含めると中程度と考えております。お客さま情報に関しては、各部支店で毎月末を個人情報点検日とし、個人情報管理台帳にて管理を行っております。また、コンプライアンス部宛に点検結果を報告する体制としております。情報セキュリティ並びにサイバーセキュリティに係るインシデントが発生した場合に関しては、組織内CSIRTを整備しているほか、SOCサービスにて24時間365日体制で監視を実施しております。

 

(9) 法令・諸規則等に係るリスク

当社は、金融商品取引業者として多くの法令・諸規則のもとに業務を遂行しておりますが、規制が強化又は緩和された場合、若しくは新たな規制が導入された場合、既存業務に対する制約や競争の激化により、収益が低下する可能性があります。また、「金融商品取引法」に基づき、自己資本規制比率を算出しておりますが、数値が定められた水準を下回った場合、業務停止等を命じられる可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は、低いと考えております。また自己資本規制比率については、現状高い水準を維持しております。

 

(10) 法務リスク

当社は、金融商品取引法、その他法令・諸規則等を遵守し業務を遂行しておりますが、役職員の故意又は過失により法令違反が発生した場合、行政処分等を受け社会的信用が失墜し、取引の減少を招く可能性があります。また、お客さまや取引先等との間で紛争が生じた場合、提訴される可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は比較的低いと考えております。法令の遵守に関しては、「コンプライアンス部」や「監査部」を設置し、監視や予防に努めているほか、コンプライアンスに係る研修を毎月実施しております。

現在、当社の業績に大きな影響を与える訴訟はありません。

 

(11) 災害等に関するリスク

当社は、気候変動等に起因する自然災害や地震・津波等の大規模災害の発生により当社営業基盤の地域に電力供給が制限されるなどの重大な影響が及んだ場合、事業運営が制約される可能性があります。

なお、当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。万一大規模災害等が発生した場合、緊急時の業務継続体制を整備しているほか、事業継続計画(BCP)に基づく定期的な訓練を実施しております。

 

(12) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

当社は、緊急事態宣言下において新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ローテーション勤務・在宅勤務等を実施し、可能な限り少人数で業務を遂行してまいりました。また、宣言対象地域の店舗において店頭業務を休止・縮小する一方、ローテーション勤務者や在宅勤務者によるお客さまサービスは継続いたしましたが、一部の店舗において感染者が発生し、営業態勢に制約を受けました。

多数の営業店舗及び本社において大規模な感染が発生し、営業態勢及び本社業務に多大な制約が発生した場合、経営成績に影響が出る可能性があります。

当リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。ワクチン接種の普及により感染拡大の抑止が図られるほか、営業店舗においては携帯電話やタブレット端末を使用して在宅での営業活動に対応し、また本社においては重要業務が停滞しないよう感染対策に細心の注意を払っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度のわが国経済は、12月まで緩やかな回復傾向を辿りました。10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前期比1.1%増・年率換算4.6%増と1年ぶりの伸びを示し、年換算額はコロナ禍の打撃が鮮明化する直前、2020年1~3月期以来の540兆円台を回復しました。しかしながら、2022年に入ると新型コロナ・オミクロン株の感染急増もあり景気ウォッチャー調査の現状判断DIが急降下したほか消費動向指数も低下傾向となりました。雇用関連のデータは堅調でしたが、海外の経済・政治情勢の変化に起因する資源価格の上昇や円の下落が進み、国内経済への先行き警戒感が強まる格好となりました。

海外に目を向けると、米国の10~12月期実質GDPは年率換算で前期比伸び率6.9%増と好調で、コロナ禍で急降下した2020年4~6月期をボトムに6四半期連続成長と回復傾向でした。小売売上高(前月比)は12月に一旦マイナス成長となりましたが、2022年に入ると右肩上がりに回帰しました。雇用環境の改善も継続しており、時給増によるインフレ警戒に繋がる状況となりました。またユーロ圏の実質GDPは10~12月期まで3四半期連続で成長を確保しましたが、2022年になると、小売売上高は米国と同様に堅調ながら、成長率は鈍化傾向となりました。日米欧の中では米国経済の好調ぶりが目立つものの、ロシアによるウクライナ侵攻が世界経済に与える影響が懸念されます。

当事業年度の国内株式市場は4~8月までもみ合いから緩やかな下落となり、日経平均株価は8月20日に同年の安値(26,954円81銭)を記録しました。しかし9月に入ると菅首相の退陣表明などを契機に急反転し、安値から約1ヵ月後の9月14日に約31年ぶりの高値(30,795円78銭)まで上昇しました。その後、国内コロナ感染者の急速な減少による経済活動平常化期待、総選挙での与党勝利、概ね順調な4~9月期決算、中国不動産企業の経営難や米長期金利の上昇、新型コロナの変異株(オミクロン株)発見など好悪双方の材料でもみ合う展開となりました。2022年に入ると米金融政策の正常化加速懸念や国内での新型コロナ・オミクロン株の感染拡大、更にはロシアによるウクライナ侵攻により調整色が鮮明化し、日経平均株価は3月9日に約1年4ヵ月ぶりの安値(24,681円74銭)となりました。その後、同月中旬に米FOMC(利上げ実施)を通過し先行き不透明感が一旦和らいだこと、円安の進行による輸出関連企業への業績改善期待から月末にかけて急速に戻し、最終的に当事業年度末の日経平均株価は2021年3月末と比べ4.7%安い27,821円43銭で終了しました。

 このような状況の中、第五次中期経営計画の柱であるコア・サテライト戦略を推進したことで、当社の戦略商品であるファンドラップの残高は着実に増加し、期末の預り資産は1,244億円(前期末比 109.9%)となり、投資信託については、公社債投資信託及びファンドラップを除く期末の預り資産は2,841億円(同 105.4%)となりました。しかし、日米株式市場は2021年4月以降、上値が重い状態が続き、更に2022年に入ってから調整する動きとなったことを背景に国内株式と米国株式を併せた株券委託売買金額が9,299億円(前期比 78.1%)となったこと等から、当事業年度の業績は、営業収益が136億83百万円(同 89.0%)と減少し、営業収益より金融費用52百万円(同 73.1%)を控除した純営業収益は、136億30百万円(同 89.1%)と減少しました。また、販売費・一般管理費は121億7百万円(同 97.0%)となり、その結果、営業利益は15億23百万円(同 54.1%)、経常利益は19億61百万円(同 61.2%)となりました。特別損失が5百万円(前事業年度実績 3億59百万円)、税金費用が5億66百万円(前期比 57.8%)となったことから、当期純利益は13億89百万円(同 74.4%)と減少しました。

 

 主な概況は以下のとおりであります。

 

イ 受入手数料

当事業年度の「受入手数料」の合計は、121億17百万円(前期比 87.2%)となりました。

 

a 委託手数料

「委託手数料」は、54億63百万円(同 69.6%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が9,299億円(同 78.1%)と減少したことにより、株式の委託手数料が54億13百万円(同 69.8%)となったことによるものです。なお、受益証券の委託手数料は49百万円(同 54.5%)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、「委託手数料」は4百万円減少しております。

 

b 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、1億1百万円(同 244.1%)となりました。

 

c 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料

主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、28億80百万円(同 96.0%)となりました。これは、米国の持続的な成長企業、世界のAI関連企業の株式に投資する投資信託の販売に注力しましたが、投資環境が悪化し販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、投資信託の代行手数料やファンドラップ報酬の増加等により36億72百万円(同 122.3%)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は12百万円、「その他の受入手数料」は54百万円減少しております。

 

ロ トレーディング損益

当事業年度の「トレーディング損益」は、株券等が9億81百万円(前期比 101.0%)、債券・為替等が3億50百万円(同 131.1%)となり、合計で13億32百万円(同 107.5%)となりました。

 

ハ 金融収支

当事業年度の「金融収益」は、信用取引収益の増加等により2億7百万円(前期比 104.6%)、「金融費用」は信用取引費用の減少等により52百万円(同 73.1%)で差引収支は1億55百万円(同 122.4%)の利益となりました。

 

ニ 販売費・一般管理費

当事業年度の「販売費・一般管理費」は、「不動産関係費」が増加する一方、「取引関係費」などが減少したことから、121億7百万円(前期比 97.0%)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、「販売費・一般管理費」は71百万円減少しております。

 

ホ 特別損益

当事業年度の「特別損失」は、「減損損失」5百万円(前事業年度実績 5百万円)となりました。

 

② 財政状態の状況

イ 流動資産

当事業年度の「流動資産」は、前事業年度に比べ64億76百万円減少し、487億66百万円となりました。これは、「募集等払込金」が2億46百万円増加する一方、「預託金」が34億96百万円、「現金・預金」が24億2百万円、「信用取引資産」が12億76百万円減少したことなどによるものです。

 

ロ 固定資産

当事業年度の「固定資産」は、前事業年度に比べ9億24百万円減少し、157億45百万円となりました。これは、「投資有価証券」が8億68百万円減少したことなどによるものです。

 

 

ハ 流動負債

当事業年度の「流動負債」は、前事業年度に比べ63億34百万円減少し、203億90百万円となりました。これは、「預り金」が44億72百万円、「未払法人税等」が7億83百万円、「未払金」が6億79百万円、「信用取引負債」が5億1百万円減少したことなどによるものです。

 

ニ 固定負債及び特別法上の準備金

当事業年度の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ4億28百万円減少し、50億49百万円となりました。これは、「資産除去債務」が57百万円増加する一方、「繰延税金負債」が2億74百万円、「従業員株式給付引当金」が1億66百万円減少したことなどによるものです。

 

ホ 純資産

 当事業年度の「純資産」は、前事業年度に比べ6億37百万円減少し、390億71百万円となりました。これは、「当期純利益」で13億89百万円増加する一方、「剰余金の配当」で11億72百万円、「その他有価証券評価差額金」で7億20百万円、「自己株式の取得」で1億38百万円減少したことなどによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ24億2百万円減少し、227億23百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は7億21百万円の減少となりました。これは「顧客分別金信託の増減額」で35億円、「税引前当期純利益」で19億55百万円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で7億74百万円、「減価償却費」で4億41百万円増加する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で45億79百万円、「法人税等の支払額」で13億30百万円、「受取利息及び受取配当金」で4億95百万円、「募集等払込金の増減額」で2億46百万円、「トレーディング商品の増減額」で2億3百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」22億78百万円の増加と比較すると30億円の減少となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は5億87百万円の減少となりました。これは、「有形固定資産の取得による支出」で1億87百万円、「敷金の差入による支出」で1億55百万円、「投資有価証券の取得による支出」で1億31百万円、「無形固定資産の取得による支出」で79百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」52百万円の減少と比較すると5億34百万円の減少となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は13億18百万円の減少となりました。これは、「配当金の支払額」で11億73百万円、「自己株式の取得による支出」で1億38百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」6億52百万円の減少と比較すると6億66百万円の減少となっております。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

  当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要①~③」に含めて記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績の分析

当事業年度は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)目標とする経営指標及び(4)優先的に対処すべき課題」に記載のとおり、数値目標の達成及び施策に取り組んでまいりました。

 

数値目標に対する当事業年度の実績は以下のとおりです。

イ 販管費カバー率については、ファンドラップと投資信託の残高増加に伴い投資信託の代行手数料が20億22百万円(前期比124.1%)、ファンドラップ報酬は16億9百万円(同121.5%)となり、30.0%となりました

ロ 2022年3月末のファンドラップ預り資産は、前事業年度末から112億円増加し1,244億円となり、第五次中期経営計画の目標は未達となりました。当社は株式、投資信託及びファンドラップ等によるポートフォリオでの提案を推進しておりますが、市況環境が変化する中で、相対的に投資信託の提案機会が増えたことが主な要因です。

 

投資信託については、第五次中期経営計画の柱であるコア・サテライト戦略を推進したことで、お客さまの中長期保有が進んだことから、公社債投資信託及びファンドラップを除く期末の預り残高は2,841億円(同 105.4%)となりました。近年当社が注力している米国株式については、委託取引と店頭取引を併せた株券売買金額は2,305億円(同80.2%)、預り資産残高は615億円(同 134.8%)となりました。

 

当社は、第六次中期経営計画の施策の下、お客さまのライフプランに応じた最適な金融サービスの提供とそのための人材育成・体制整備及び投資信託・ファンドラップを軸としたストック収入の拡大による安定収益基盤の構築に取り組んでまいります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因の分析

当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式・外国債券等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価格が上下しますが、基準価格が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは8種類のファンドとMRFを組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。

費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。 

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度末の現金・預金残高は227億23百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。

現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。

当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当事業年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。