文中の将来に関する情報は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「より多くの人に証券投資を通じ、より豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、お客様から信頼され、選ばれる存在であり続けるために、企業規模ではなく、お客様に提供する価値の大きさで評価される企業を目指します。
また経営理念を実現すべく、当社の将来像を描く経営ビジョンとして2つのビジョンを掲げています。
『Hope Courier(希望の宅配人)』・・・「豊かな生活=将来への希望」を具体的な形にする。
我々は金融商品の提供を通じて社会に希望をもたらし、お客様に希望を届けるHope Courier(ホープクーリエ: 希望の宅配人) となる。
『超リテール証券』・・・証券会社の、その先へ
我々はお客様の人生に寄り添い、従来の証券業務だけでなく、お客様の課題を解決するお手伝いをする超リテール証券を目指す。
また、“富と喜びと希望を与えること” を当社の使命とし、経営姿勢として従来より推進している「ソリューションスタイル」にて、お客様のことを思う気持ちを根幹にし、お客様から喜んでいただき、お客様に感謝していただくことを目指します。
もう1つの経営姿勢として「お客様の人生に寄り添う」ことを掲げ、お客様とコミュニケーションを密にとり、お客様の人生に寄り添い、資産形成とその継承において安心をお届けすることでサポートしてまいります。
当社が「超リテール証券」になるため、そして安定した収益基盤の確立のためには預り資産の増加が必要です。そのため、預り資産を、2022年3月末までに1兆6,700億円にすることを目標として定めております。
個人金融資産が1,800兆円を超える中で、国民の安定的な資産形成の促進「貯蓄から資産形成へ」のために、投資対象と投資時期の分散による中長期投資や、少額からの積立投資、効果的な投資教育の提供、真に顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の徹底が証券会社に求められております。
当社はこのような社会的要請に対応し、当社の持続的な高収益体制の構築のために、上記基本方針に則り、以下の重点施策に取り組んでまいります。
・役職員間のコミュニケーション、対話、ディスカッションによる意識改革
・管理職のリーダーシップとマネジメント力の向上
・将来の戦力である若手営業員の育成 など
・顧客本位の業務運営に関する原則の実践
・共通価値の創造、コンプライアンス(法令遵守)やサステイナビリティ(持続可能性)の追求
・顧客の投資意向に沿った適切な投資勧誘 など
・営業基盤の拡大による効果を最大限発揮
・米国株国内店頭取引、アジア株などの商品供給面の交流
・役職員の価値観の共有 など
・地域金融機関や大学との連携の拡大
・クロスボーダー・ソリューションの拡大
・社会貢献による当社レピュテーションの更なる向上 など
・全社的に退社時間を早め、ワークライフバランスを図る
・全社員が従来の業務のあり方を抜本的に見直し、業務効率化の徹底を図る
・ダイバーシティに関する取組みの強化 など
・相続による預り資産流出阻止の徹底
・税理士法人等との連携強化
・生前贈与による次世代への資産継承など顧客高齢化に対する対策の徹底
・認知症サポーターなど、家族と地域に寄り添った高齢者サポートの実施 など
当社グループでは、当面の課題として以下の施策に取り組んでまいります。
① 顧客基盤の拡大
持続的な成長を遂げるために預り資産の増大が必要となります。当社は2025年3月末までにグループ預り資産を2兆円にすることを計画しており、投資家層の拡大が急がれますが、対象となる個人の金融資産に占める預貯金の割合は依然として高く、“貯蓄から資産形成へ”が浸透していないのが現状です。また、新たな開拓先でもある資産形成層に向けて、商品・サービスの導入も必要であると考えております。
他方、顧客の高齢化が進み、次世代への資産継承も重要な課題と認識しています。これらの課題に対して、営業推進体制の抜本的な改革を行い、新たな営業スタイルCXD(Customer Experience Design)の導入、相続包括支援サービスの導入、FinTechの活用と連携、また、その他新サービスの導入等を検討してまいります。
② 顧客満足度の向上
お客様に喜んでいただくこと、お客様から感謝していただくことは我々の「仕事の喜び」や「働きがい」となります。従来からのお客様にとどまらず、当社の提携先である企業や大学も対象とし、当社の推進する「ソリューションスタイル」を更に拡充させることで、より顧客満足度の向上を目指してまいります。
一方、営業員の知識、能力、スキルのレベルによって、お客様に提供するサービスレベルが一定でないことが課題であります。お客様に喜んでいただくこと、感謝・ご満足いただくことが顧客ロイヤリティを高め、結果として収益の向上、預り資産の増加に大きく寄与してくると意識して、現在提供しているサービスに満足することなく、持続的にサービスの向上に努めてまいります。
③ ストック収益の拡大
証券会社は経済情勢および市場環境の変動による影響を大きく受けていますが、営業収益に占める株式関連収益の割合が高い当社においては、株式市況の影響を大きく受けています。
このような状況を改善するには、市場の変動等に対して影響を受けにくく、持続的な高収益体制を構築できるよう安定収益(ストック収益)の獲得や新商品、新サービスの開発に努めるとともに、安定収益の拡大により固定費カバー率を高めてまいります。
④ 人材開発
お客様のニーズは資産運用に関するアドバイスにとどまらず、相続や事業承継といった問題に対する「ソリューションサービス」の提案にまで多様化、拡大しています。
これらのニーズに応える人材を早急に確保、および育成してくことが急務と考えております。一方、当社におきましては、従業員の高齢化進捗による中長期的な従業員不足や全世代的に女性社員が少ないことを課題として認識しています。
これらの課題の解消のために、新たな育成スタイルEXD(Employee Experience Design)を導入し、従業員の成長支援としてCDP(キャリア・デベロップメント・プラン)を導入いたします。従業員の自覚を促し、モチベーションを高めるため、「本人がどうなりたいか」という思いを共有してキャリアを形成できるよう、中長期的な視点で育成してまいります。
⑤ 生産性向上
従業員のワークライフバランスを実現し、より働きがいのある会社とするために、労働生産性の向上(労働時間の短縮)が課題となります。そのため、業務プロセス改革部および部門横断的な組織として業務プロセス改革委員会を新たに設置し、業務内容の見直し、ルールの再整備、業務プロセスの効率化を推進するとともに営業員がより多くのお客様と接触できるよう営業活動の効率性向上として、CRM、営業ツール、事務フローの見直しについて検討してまいります。既に一部業務において導入済みであるRPAについては、一層の効率化と生産性の向上のために同対象業務を拡大していきます。
また、女性の活躍推進、高齢者の就労促進等にも取り組んでまいります。
当社は、内部監査の独立性を高めるため、内部監査を所管する監査部をいずれの業務ラインにも属さない独立した部署として設置しております。
監査部は、「内部監査規程」に基づき、毎期初に策定する「内部監査計画書」に従って監査を実施し、監査結果報告会において監査対象部門と問題点の共有化を図ったうえで改善を指示し、改善状況の確認を行います。
また、当社の内部統制については、統制組織及び統制手段の両面から内部牽制が有効に機能する仕組みを構築しております。統制組織としては、日本証券業協会の「協会員の内部管理責任者等に関する規則」に基づき、内部管理を担当する取締役1名を「内部管理統括責任者」として定めるとともに、各営業単位毎に「営業責任者」及び「内部管理責任者」を設置しております。内部管理責任者は組織上、コンプライアンス本部の下部組織でありますコンプライアンス部に属しており、人事上の評価につきましては組織の上長並びに内部管理統括補助責任者が行うこととしており、営業部店におきましては営業部門からの独立性を保持するとともに営業部門と相互の内部牽制が働く仕組みとしております。コンプライアンス部の主たる業務としましては株式等の売買管理業務をはじめとして、営業に関する考査業務の統括及び顧客管理に関する事項並びに法令諸規則に係る社員の指導等でありますが、下部組織としましてお客様相談課を設置し、お客様からの問合せ並びに業務に関する事項について対応し内部管理体制の充実に努めております。これら制度を通じ、金融商品取引法その他法令諸規則等の遵守、投資勧誘等の営業活動、顧客管理等が適正に行われるよう社内の監査部門が中心となり、内部管理体制の整備に努めております。
金融商品取引法をはじめとした法令・諸規則遵守の強化を図るため、社内に「営業推進本部・コンプライアンス本部合同会議」を設置し、法令違反の未然防止策の立案、社内の問題点の洗い出しと改善策の検討・具体化を図っております。
内部統制上の会社のリスクを洗い出し、業務に活かすため「リスク管理委員会」を設け、月一回定期的に業務上のあらゆる問題を討議・検討しております。
監査部内に内部統制専門の担当者を設け、内部統制の運用を行っております。
2 【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
当社は、主要な事業活動である金融商品取引業務につき、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録(登録番号関東財務局長(金商)第6号)を受けております。金融商品取引業者は、金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し、法令又は法令に基づく規定に違反した時は、登録又は認可の取消し、一定期間の業務停止又は何らかの改善命令を受ける可能性があります。現時点において当社はこれらの取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来何らかの事由により登録等の取消しを命じられた場合には、当社の主要な事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
株式・債券相場の下落又は低迷により、流通市場の市場参加者が減少し、売買高や売買代金が縮小する場合、あるいは発行市場において計画の延期や中止が行われた場合、当社の受入手数料が減少する可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が属する金融商品取引業界においては、株式の売買委託手数料の自由化、規制緩和に伴う他業態からの新規参入等をはじめとした環境変化が進行しております。とりわけ、近年においては、オンライン取引に特化した金融商品取引業者の台頭、銀行の金融商品取引仲介業の解禁等もあり、当業界を取り巻く環境は年々厳しさを増す傾向にあります。そのため、このような事業環境の中で、当社が競争力を低下させた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは株式市況に過度に依存しない収益体質を構築するため、金融商品取引業務以外の金融関連業務を行うことを目的として、投資事業組合や匿名組合等への投資並びに新規業務を行っております。これらの投資及び新規業務への開始に際してはその採算性等について十分な検討を行っておりますが、投資先の事業及び新規業務が計画的に遂行できなかった場合等においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
信用取引においては、顧客への信用供与が発生し、市況の変動によっては顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。株式相場の変動等により、担保となっている有価証券等の価値が低下した場合など、各顧客に追加で担保の差し入れを求める場合があります。顧客が追加担保の差し入れに応じない場合には、担保となっている代用有価証券を処分いたしますが、株式相場が急激に変動し、顧客への信用取引貸付金を十分に回収できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、取引所取引における先物取引及びオプション取引(売建て)につきましても類似のリスクがあります。
当社グループが保有する固定資産について、資産の収益性低下等により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。これに伴い「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
当社グループは事業の特性上、日常業務の遂行に必要となる大量の資金を機動的かつ安定的に調達する必要があります。このため、長短期借入金といった安定的な資金調達に加えて、金融機関との間にコミットメントラインを設定する等、資金調達手段の多様化を図っております。また、調達による借換リスクを低減させるため、資金調達源の分散を図っております。ただし、経済情勢やその他の要因により、当社グループの経営成績及び財政状態が悪化した場合には、金融市場、資本市場等からの資金調達が困難となる、若しくは資金調達コストが上昇する可能性があります。
当社は、金融商品取引法の他、各金融商品取引所、日本証券業協会等の自主規制機関による法令・諸規則等に従って業務を遂行しておりますが、将来的に当社業務に関係する法令・諸規則や実務慣行、解釈等の変更が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
金融商品取引業者は、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率を120%以上に維持することが求められております。万一、定められた自己資本規制比率を維持できない場合は業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを命じられる可能性があります。そのため、当該比率が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは法令遵守(コンプライアンス)体制の整備を経営の最重要課題として位置付け、内部統制の整備を図り、より充実した内部管理体制の確立と役職員の教育・研修等を通じた意識徹底に努めております。こうした内部統制の整備やコンプライアンス研修は、役職員の違法行為を未然に防止するための有効な方策ではありますが、違法行為の全てを排除することを保証するものではありません。また、役職員による意図的な違法行為は、総じて周到に隠蔽行為がなされ、長期間にわたって発覚しないケースもあり、将来において当社グループの業績に影響を及ぼすような損害賠償を求められる可能性もあります。このほか、非公開情報の不適切な使用・漏洩・情報受領者と共謀等の不正行為の可能性もあります。これらの不正行為は、会社の使用者責任及び法的責任等を問われることもあり、場合によっては監督官庁より種々の処分・命令を受ける可能性があり、また、当社グループの社会的な信用が低下する可能性もあります。かかる事態の発生により、当社グループが損失(若しくは得べかりし利益の逸失)を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
顧客に対する説明不足あるいは顧客との認識の不一致などによって、顧客に損失が生じた場合には、当社が訴訟の対象となる可能性があります。万一、訴訟等に発展し、当社の主張と異なる判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在係争中の訴訟案件につきましては当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性は低いと考えております。
当社が提供するインターネット取引システム及び当社が業務上使用するコンピューターシステムが、回線の不具合、外部からの不正アクセス、災害や停電時の諸要因によって障害を起こした場合、障害規模によっては当社業務に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは「リスク管理委員会」を組織し、「情報セキュリティポリシー」、「情報セキュリティ管理規則」及び「情報セキュリティマニュアル」を制定し、情報漏洩防止体制等管理体制の強化を図っておりますが、万一、顧客情報を含む社内重要事実が社外に不正流出した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、さらに技術的、人的安全管理措置等、顧客情報の管理を図って参ります。
有価証券の受発注に関しましては、入力項目の確認等を励行しているほか、システム上の画面表示も注意喚起する等事故防止策が図られております。さらに、約定代金及び売買単位が多量になる場合には、システム的に一定の権限を付与された者以外は入力できないシステムとなっております。しかし、万一入力項目を誤って入力し、約定が成立した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは常に質の高い投資情報サービスを提供し、お客様の満足度の向上を実現できる人材の確保並びに育成が重要な経営課題と捉えております。この観点から、新規採用及び中途採用の両面から積極的に人材を採用し、かつ社内研修の充実度を高めていく方針であります。しかしながら、当社グループが必要とする人材が確保できなかった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務の効率化を図るため、業務の一部を他社へアウトソーシングしております。これらの業務委託先がシステムの故障、処理能力の限界又はその他の理由によりサービスの提供を中断又は停止し、適時に代替策を講じることができない場合には、当社グループの顧客へのサービスの提供が途絶し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの本社ビルや営業拠点は、東京近郊、東海及び関西に集中していますが、一般的に他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。
また、大規模な地震、津波、台風、噴火等の自然災害による直接的な影響のほか、これらに起因する社会的インフラへの影響、また、コンピューター・ウィルス、テロ攻撃といった事象などにより、同様の混乱状態に陥る可能性があります。
これらの災害等により、金融商品取引に関するインフラ等への物理的な損害、従業員への人的被害並びにお客様への被害等があった場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。
当連結会計年度における世界経済は、中国では年央より米中摩擦の激化などを背景に景況感が悪化し、欧州でも年後半より景気の減速が明らかになりました。米国では堅調な個人消費と設備投資に支えられておおむね堅調でしたが、年度末に向けて減速傾向も出てきました。国内経済は企業業績や雇用情勢の改善が継続していましたが、中国の経済減速を受けて年末以降は景況感が低下しました。
国内株式市場は、4月2日の日経平均株価終値21,388円58銭から上昇した後、ボックス圏で推移しましたが、9月には米国株高や円安傾向を背景に再び上昇し10月2日に24,270円62銭の終値をつけました。その後、米国株式市場が米中摩擦への警戒感から下落に転じると国内株式市場も下落に転じ、さらに年末にかけて米国の利上げ懸念から米国株式市場が急落すると国内株式市場も急落し、12月25日に19,155円74銭の終値をつけました。しかし米国で利上げ観測が後退し株式市場が上昇すると回復し、当連結会計年度末の終値は21,205円81銭となりました。
米国株式市場は、堅調な米国経済や企業業績を反映して9月まで上昇基調となりましたが、10月になると米中貿易摩擦による関税などが世界経済や企業業績に与える影響への懸念が高まり、下落に転じました。年末にかけては、米中摩擦の懸念が高まる中でFRB(連邦準備制度理事会)による利上げ姿勢が下げを加速し、株式市場は大荒れとなりました。年明け後はFRBが利上げに柔軟な姿勢を示し、株式市場は回復しました。
アジア各国の株式市場は、中国・香港では年末まで米中摩擦や中国の減速を背景に軟調になりましたが、年明け後は回復しました。ASEAN諸国の株式市場は、秋頃まで中国経済の鈍化や米国の利上げが各国に与える影響が懸念され下落しましたが、年明け後は回復基調となりました。
このような状況のもと、当社グループは、「超リテール証券」の実現に向け、他社とは異なる視点でのサービス提供を行い、差別化を図っております。当連結会計年度におきましては、2018年7月に創業100周年を迎え、完全子会社であった日本アジア証券を合併、経営体制を刷新し、新たな時代への一歩を踏み出しました。株主の皆様への利益還元策として、自己株式の取得(30万株)、および自己株式消却(200万株)を行いました。
主な取り組み施策は下記の通りです。
株式会社清水銀行とМ&A業務における協定の締結 (2018年8月)や笠岡信用組合との包括的業務提携契約の締結(2018年9月)により、従来からの取り組みである地域の金融機関連携を拡大し、新たなソリューションサービスの提供に努めます。
・経済産業省が創設した「おもてなし規格認証制度」において、金融機関としては全国で初めて、全ての営業拠点において「金認証」を取得しました。
・投資一任運用サービス「アイザワファンドラップ」に新たな運用コースとして「絶対収益追求型」を新たに追加し、お客様の資産形成の一助となるべく、サービスの向上に努めます。
包括的業務提携先である株式会社西京銀行と銀証共同店舗を開設(2019年3月、ゆめモール下関支店)しました。大規模商業施設内での共同運営により、幅広い年齢層への接触が可能となり、新たな顧客基盤の拡大に努めております。
合併により増加した部店をより効率的に運営するため統廃合を実施しました。運営経費の圧縮を図り、営業員等の人的資源の再配置によりお客さまとの密なコミュニケーションを図り、質の高いサービス提供に努めております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ201億91百万円減少し、859億13百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ165億76百万円減少し、322億87百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ36億15百万円減少し、536億26百万円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、営業収益127億1百万円(前年度比29.6%減)、営業損失19億87百万円、経常損失10億59百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2億46百万円(同89.1%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ4億91百万円減少し、114億69百万円となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動の結果獲得した資金は12億55百万円となりました。これは主に顧客分別金信託の減少、信用取引資産の減少、信用取引負債の減少によるものです。
投資活動の結果獲得した資金は4億23百万円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出、投資有価証券の売却による収入、差入保証金の回収による収入によるものです。
財務活動の結果支出した資金は21億10百万円となりました。これは主に短期借入金の減少、配当金の支払いによるものです。
トレーディング商品:当連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
トレーディングのリスク管理:
トレーディング業務は、市況の変化に影響を受けやすく、取引商品の多様化並びにマーケットリスクが複雑化しておりますので、リスク管理は極めて重要と認識しております。当社のリスク管理の基本は、財務状況に合せたリスクを適切にコントロールすることであります。このため当社では「自己計算による売買取引の実施権限に関する規程」を定め、ポジション枠、ロスカットルール、与信枠等の設定をしております。また、リスク管理は、商品部門、営業部門から独立したコンプライアンス部が掌握し、トレーディングポジションの状況は経営者に毎日報告されており、損益と合せて報告書が月例取締役会に提出され分析・検討が行われております。
また、自己売買に関するポジション管理を目的とした、リスク管理委員会において、多様な取引手法やポジション枠の増加につきリスクをより正確に把握、監視する体制としております。
当社グループの事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一セグメントであります。このため、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該事業の収益の状況等については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に含めて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損会計、税効果会計、貸倒引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は859億13百万円と、前連結会計年度末に比べ201億91百万円の減少となりました。主な要因は、現金・預金5億59百万円の減少、預託金23億84百万円の減少、信用取引資産135億70百万円の減少、投資有価証券15億21百万円の減少によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は322億87百万円と、前連結会計年度末に比べ165億76百万円の減少となりました。主な要因は、信用取引負債107億92百万円の減少、預り金18億80百万円の減少、受入保証金11億62百万円の減少、短期借入金9億50百万円の減少によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は536億26百万円と前連結会計年度末に比べ36億15百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金9億26百万円の減少、その他有価証券評価差額金26億9百万円の減少によるものです。
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は127億1百万円(前年度比29.6%減)となりました。営業収益のおもな内訳は次のとおりです。
1)受入手数料
当連結会計年度の受入手数料は、75億23百万円(前年度比29.3%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)委託手数料
委託手数料は国内株式売買代金の減少により、51億88百万円(同33.1%減)となりました。
ⅱ)引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、国内株式の引受額の減少により24百万円(同52.5%減)となりました。
ⅲ)募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売の減少により10億16百万円(同31.5%減)となりました。
ⅳ)その他の受入手数料
その他の受入手数料は、株式関連の手数料の減少により、12億94百万円(同4.6%減)となりました。
2)トレーディング損益
当連結会計年度のトレーディング損益は、45億29百万円(同32.3%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)株券
外国株国内店頭取引売買代金の減少により、34億42百万円(30.5%減)となりました。
ⅱ)債券
外国債券の取扱いの減少により、6億38百万円(同32.7%減)となりました。
ⅲ)その他
外国為替取引から生じる損益の減少等により、4億47百万円(同43.2%減)となりました。
3)金融収益
金融収益は信用取引収益の減少等により6億24百万円(同5.1%減)となりました。
なお、金融費用は信用取引費用の減少等により1億21百万円(同33.9%減)となりました。これにより、金融収支は5億2百万円(同6.2%増)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、人件費の減少等により、145億67百万円(同9.0%減)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は受取配当金5億77百万円、収益分配金1億81百万円等により9億29百万円となりました。営業外費用は和解金等により1百万円となりました。これにより営業外損益は9億27百万円の利益となりました。
(特別損益)
特別利益は投資有価証券売却益24億55百万円、金融商品取引責任準備金戻入14百万円等により24億74百万円となりました。特別損失は合併関連費用5億44百万円、減損損失64百万円等により6億14百万円となりました。これにより特別損益は18億60百万円の利益となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
現在、当社グループの収益は主に、株式・投資信託等の約定に伴う受入手数料及び米国株式国内店頭取引、外国債券の販売、主にアジア株式取引の際に発生する外国為替取引等のトレーディング損益に依存しております。そのため、株式・債券相場が下落又は低迷すると、流通市場の市場参加者が減少し、売買高が縮小することから当社グループの受入手数料およびトレーディング損益が減少する可能性があります。また、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動によりトレーディング損益に影響を及ぼす可能性があります。
証券会社は経済情勢及び市況環境の変動による影響を受けやすく、その中でも当社は営業収益に占める株式関連収益の割合が高いことから、株式市況の影響を大きく受けております。この状況に対応するため、預り資産の増加及び安定収益(ストック収益)の増加を当社の課題としており、持続的な高収益体制の構築のため、投資一任運用サービス「ブルーラップ」、「アイザワ ファンドラップ」、投資信託の販売及び残高の純増を強化しております。
特に、当連結会計年度においては「アイザワ ファンドラップ」を戦略的な中核商品とし、契約金額の積み上げを行ってまいりました。その結果、当連結会計年度末の契約金額残高は前年同期比92.3%増の201億9百万円となりました。2018年7月1日に日本アジア証券株式会社と合併したことで、同社のお客様にも「アイザワ ファンドラップ」のご案内が可能となりました。引き続き契約金額の積み上げを行ってまいります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付であります。信用取引買付代金は株式市況の変動の影響を受けますが、当社は主に日本証券金融株式会社の貸借取引により調達しております。また、不測の事態に備え、安定的かつ機動的な財務運営を行うため、三井住友信託銀行株式会社と総額7億50百万円のコミットメントラインを設定しております。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年3月に策定した中期経営計画に基づき「より多くの人に証券投資を通じより豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、お客様から信頼され、選ばれる存在であり続けるために、企業規模ではなく、お客様に提供する価値の大きさで評価される企業を目指します。
具体的には、2019年3月末のグループ預り資産1兆2,666億円を2022年3月末に1兆6,700億円とする目標を掲げております。
引き続き、アジア株営業の強化と地域金融機関との販売連携による差別化を推進するとともに、投資の経験が無く、当社の強みであるソリューションスタイルを望んでいるお客様へ迅速に対応していくことで、早期の達成を目指してまいります。
(1)M&A業務における協定
(2)包括的業務提携契約
該当事項はありません。