1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する情報は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「より多くの人に証券投資を通じ、より豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、お客様から信頼され、選ばれる存在であり続けるために、企業規模ではなく、お客様に提供する価値の大きさで評価される企業を目指します。
また経営理念を実現すべく、当社の将来像を描く経営ビジョンとして2つのビジョンを掲げています。
『Hope Courier(希望の宅配人)』・・・「豊かな生活=将来への希望」を具体的な形にする。
我々は金融商品の提供を通じて社会に希望をもたらし、お客様に希望を届けるHope Courier(ホープクーリエ: 希望の宅配人) となる。
『超リテール証券』・・・証券会社の、その先へ
我々はお客様の人生に寄り添い、従来の証券業務だけでなく、お客様の課題を解決するお手伝いをする超リテール証券を目指す。
また、“富と喜びと希望を与えること” を当社の使命とし、経営姿勢として従来より推進している「ソリューションスタイル」にて、お客様のことを思う気持ちを根幹にし、お客様から喜んでいただき、お客様に感謝していただくことを目指します。
もう1つの経営姿勢として「お客様の人生に寄り添う」ことを掲げ、お客様とコミュニケーションを密にとり、お客様の人生に寄り添い、資産形成とその継承において安心をお届けすることでサポートしてまいります。
当社が「超リテール証券」になるため、そして安定した収益基盤の確立のためには預り資産の増加が必要です。そのため、預り資産を、2022年3月末までに1兆6,700億円にすることを目標として定めております。
個人金融資産が1,800兆円を超える中で、国民の安定的な資産形成の促進「貯蓄から資産形成へ」のために、投資対象と投資時期の分散による中長期投資や、少額からの積立投資、効果的な投資教育の提供、真に顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の徹底が証券会社に求められております。
当社はこのような社会的要請に対応し、当社の持続的な高収益体制の構築のために、上記基本方針に則り、以下の重点施策に取り組んでまいります。なお、現時点では新型コロナウイルス感染拡大による当社の経営戦略への影響は僅少と認識しておりますが、今後新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する場合には当社の経営戦略に一定の影響を及ぼす可能性があります。
・役職員間のコミュニケーション、対話、ディスカッションによる意識改革
・管理職のリーダーシップとマネジメント力の向上
・将来の戦力である若手営業員の育成 など
・顧客本位の業務運営に関する原則の実践
・共通価値の創造、コンプライアンス(法令遵守)やサステイナビリティ(持続可能性)の追求
・顧客の投資意向に沿った適切な投資勧誘 など
・営業基盤の拡大による効果を最大限発揮
・米国株国内店頭取引、アジア株などの商品供給面の交流
・役職員の価値観の共有 など
・地域金融機関や大学との連携の拡大
・クロスボーダー・ソリューションの拡大
・社会貢献による当社レピュテーションの更なる向上 など
・全社的に退社時間を早め、ワークライフバランスを図る
・全社員が従来の業務のあり方を抜本的に見直し、業務効率化の徹底を図る
・ダイバーシティに関する取組みの強化 など
・相続による預り資産流出阻止の徹底
・税理士法人等との連携強化
・生前贈与による次世代への資産継承など顧客高齢化に対する対策の徹底
・認知症サポーターなど、家族と地域に寄り添った高齢者サポートの実施 など
当社グループでは、当面の課題として以下の施策に取り組んでまいります。
① ストック商品増加による安定収益源の確保
「貯蓄から資産形成へ」の意識の高まりとともに、当社の資産形成ビジネスも従来にも増した取組みの強化が必要となっています。同ビジネスを力強く推進するためにも、ラップ商品をはじめとするストック商品の販売に注力し、それら商品残高から得られる収益源を確保してまいります。
② 差別化戦略
「アジア株といえばアイザワ証券」というご支持をいただいていることもあり、当社が取り扱う外国株式はアジア12市場(香港・上海・深圳・台湾・韓国・シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム・イスラエル)の他、米国株式や欧州株式も取り扱っています。
これら外国株式と合わせて、昨今ご好評をいただいている投資一任運用サービスのラップ商品(スーパーブルーラップ・ファンドラップ)を他社との差別化を図る主力商品と位置づけ、一人でも多くのお客様にご支持いただけるよう努めてまいります。
③ 新しい顧客層の拡大(新規口座開設増加)
既存の顧客(シニア層)が子供や孫世代等の次世代へ行う資産継承にとどまらず 、これから投資を始める未経験者層や投資初心者層等が多数を占める20~40代の若い世代に対するマーケティングを強化し、信頼感の醸成から当社ファン化を促進させ、新規口座開設につなげてまいります。
④ DX推進
新型コロナウイルスの影響によって、就労各世代を問わず、従来の価値観や仕事のスタイルを大幅に変化させる必要があります。またSDGsの取組みとしてもペーパーレスの推進が必要になります。
当社におきましては、小さく、細かいことからDXに取り組むことを意識し、全社的なDXの推進によって生産性の向上に努めてまいります。
⑤ IFAの拡大
委託手数料をはじめとする証券サービスの各種手数料の無料化や「貯蓄から資産形成へ」のスローガンの浸透、iDeCoやつみたてNISAなど投資初心者に馴染みやすい金融商品の普及等、普段の生活における投資意識の高まりにより、顧客の証券会社を選別する目は日々、厳しくなっています。
当社では、以前より取引いただいている仲介業者に加えて、各種金融取引業者に新たに参画いただき、今までの証券会社では対象としていなかった顧客層へのアプローチを開始しました。
今後、当社が金融商品仲介業者のプラットフォーマーとして活躍の場を提供することで資産形成ビジネスの裾野が広がり、当社の優位性が強化され、新たな収益源が確立できるよう努めてまいります。
当社は、内部監査の独立性を高めるため、内部監査を所管する監査部をいずれの業務ラインにも属さない独立した部署として設置しております。
監査部は、「内部監査規程」に基づき、毎期初に策定する「内部監査計画書」に従って監査を実施し、監査結果報告会において監査対象部門と問題点の共有化を図ったうえで改善を指示し、改善状況の確認を行います。
また、当社の内部統制については、統制組織及び統制手段の両面から内部牽制が有効に機能する仕組みを構築しております。統制組織としては、日本証券業協会の「協会員の内部管理責任者等に関する規則」に基づき、内部管理を担当する取締役1名を「内部管理統括責任者」として定めるとともに、各営業単位毎に「営業責任者」及び「内部管理責任者」を設置しております。内部管理責任者は組織上、コンプライアンス本部の下部組織でありますコンプライアンス部に属しており、人事上の評価につきましては組織の上長並びに内部管理統括補助責任者が行うこととしており、営業部店におきましては営業部門からの独立性を保持するとともに営業部門と相互の内部牽制が働く仕組みとしております。コンプライアンス部の主たる業務としましては株式等の売買管理業務をはじめとして、営業に関する考査業務の統括及び顧客管理に関する事項並びに法令諸規則に係る社員の指導等でありますが、下部組織としましてお客様相談課を設置し、お客様からの問合せ並びに業務に関する事項について対応し内部管理体制の充実に努めております。これらの制度を通じ、金融商品取引法その他法令諸規則等の遵守、投資勧誘等の営業活動、顧客管理等が適正に行われるよう社内の監査部門が中心となり、内部管理体制の整備に努めております。
金融商品取引法をはじめとした法令・諸規則遵守の強化を図るため、社内に「営業推進本部・コンプライアンス本部合同会議」を設置し、法令違反の未然防止策の立案、社内の問題点の洗い出しと改善策の検討・具体化を図っております。
内部統制上の会社のリスクを洗い出し、業務に活かすため「リスク管理委員会」を設け、月一回定期的に業務上のあらゆる問題を討議・検討しております。
監査部内に内部統制専門の担当者を設け、内部統制の運用を行っております。
2 【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
当社は、主要な事業活動である金融商品取引業務につき、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録(登録番号関東財務局長(金商)第6号)を受けております。金融商品取引業者は、金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し、法令又は法令に基づく規定に違反した時は、登録又は認可の取消し、一定期間の業務停止又は何らかの改善命令を受ける可能性があります。現時点において当社はこれらの取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来何らかの事由により登録等の取消しを命じられた場合には、当社の主要な事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
株式・債券相場の下落又は低迷により、流通市場の市場参加者が減少し、売買高や売買代金が縮小する場合、あるいは発行市場において計画の延期や中止が行われた場合、当社の受入手数料が減少する可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が属する金融商品取引業界においては、株式の売買委託手数料の自由化、規制緩和に伴う他業態からの新規参入等をはじめとした環境変化が進行しております。とりわけ、近年においては、オンライン取引に特化した金融商品取引業者の台頭、銀行の金融商品取引仲介業の解禁等もあり、当業界を取り巻く環境は年々厳しさを増す傾向にあります。そのため、このような事業環境の中で、当社が競争力を低下させた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは株式市況に過度に依存しない収益体質を構築するため、金融商品取引業務以外の金融関連業務を行うことを目的として、投資事業組合や匿名組合等への投資並びに新規業務を行っております。これらの投資及び新規業務への開始に際してはその採算性等について十分な検討を行っておりますが、投資先の事業及び新規業務が計画的に遂行できなかった場合等においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
信用取引においては、顧客への信用供与が発生し、市況の変動によっては顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。株式相場の変動等により、担保となっている有価証券等の価値が低下した場合など、各顧客に追加で担保の差し入れを求める場合があります。顧客が追加担保の差し入れに応じない場合には、担保となっている代用有価証券を処分いたしますが、株式相場が急激に変動し、顧客への信用取引貸付金を十分に回収できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、取引所取引における先物取引及びオプション取引(売建て)につきましても類似のリスクがあります。
当社グループが保有する固定資産について、資産の収益性低下等により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。これに伴い「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
当社グループは事業の特性上、日常業務の遂行に必要となる大量の資金を機動的かつ安定的に調達する必要があります。このため、長短期借入金といった安定的な資金調達に加えて、金融機関との間にコミットメントラインを設定する等、資金調達手段の多様化を図っております。また、調達による借換リスクを低減させるため、資金調達源の分散を図っております。ただし、経済情勢やその他の要因により、当社グループの経営成績及び財政状態が悪化した場合には、金融市場、資本市場等からの資金調達が困難となる、若しくは資金調達コストが上昇する可能性があります。
当社は、金融商品取引法の他、各金融商品取引所、日本証券業協会等の自主規制機関による法令・諸規則等に従って業務を遂行しておりますが、将来的に当社業務に関係する法令・諸規則や実務慣行、解釈等の変更が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
金融商品取引業者は、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率を120%以上に維持することが求められております。万一、定められた自己資本規制比率を維持できない場合は業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを命じられる可能性があります。そのため、当該比率が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは法令遵守(コンプライアンス)体制の整備を経営の最重要課題として位置付け、内部統制の整備を図り、より充実した内部管理体制の確立と役職員の教育・研修等を通じた意識徹底に努めております。こうした内部統制の整備やコンプライアンス研修は、役職員の違法行為を未然に防止するための有効な方策ではありますが、違法行為の全てを排除することを保証するものではありません。また、役職員による意図的な違法行為は、総じて周到に隠蔽行為がなされ、長期間にわたって発覚しないケースもあり、将来において当社グループの業績に影響を及ぼすような損害賠償を求められる可能性もあります。このほか、非公開情報の不適切な使用・漏洩・情報受領者と共謀等の不正行為の可能性もあります。これらの不正行為は、会社の使用者責任及び法的責任等を問われることもあり、場合によっては監督官庁より種々の処分・命令を受ける可能性があり、また、当社グループの社会的な信用が低下する可能性もあります。かかる事態の発生により、当社グループが損失(若しくは得べかりし利益の逸失)を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
顧客に対する説明不足あるいは顧客との認識の不一致などによって、顧客に損失が生じた場合には、当社が訴訟の対象となる可能性があります。万一、訴訟等に発展し、当社の主張と異なる判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在係争中の訴訟案件につきましては当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性は低いと考えております。
当社が提供するインターネット取引システム及び当社が業務上使用するコンピューターシステムが、回線の不具合、外部からの不正アクセス、災害や停電時の諸要因によって障害を起こした場合、障害規模によっては当社業務に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは「リスク管理委員会」を組織し、「情報セキュリティポリシー」、「情報セキュリティ管理規則」及び「情報セキュリティマニュアル」を制定し、情報漏洩防止体制等管理体制の強化を図っておりますが、万一、顧客情報を含む社内重要事実が社外に不正流出した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、さらに技術的、人的安全管理措置等、顧客情報の管理を図って参ります。
有価証券の受発注に関しましては、入力項目の確認等を励行しているほか、システム上の画面表示も注意喚起する等事故防止策が図られております。さらに、約定代金及び売買単位が多量になる場合には、システム的に一定の権限を付与された者以外は入力できないシステムとなっております。しかし、万一入力項目を誤って入力し、約定が成立した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは常に質の高い投資情報サービスを提供し、お客様の満足度の向上を実現できる人材の確保並びに育成が重要な経営課題と捉えております。この観点から、新規採用及び中途採用の両面から積極的に人材を採用し、かつ社内研修の充実度を高めていく方針であります。しかしながら、当社グループが必要とする人材が確保できなかった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務の効率化を図るため、業務の一部を他社へアウトソーシングしております。これらの業務委託先がシステムの故障、処理能力の限界又はその他の理由によりサービスの提供を中断又は停止し、適時に代替策を講じることができない場合には、当社グループの顧客へのサービスの提供が途絶し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの本社ビルや営業拠点は、東京近郊、東海及び関西に集中していますが、一般的に他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。
また、大規模な地震、津波、台風、噴火等の自然災害による直接的な影響のほか、これらに起因する社会的インフラへの影響、また、コンピューター・ウィルス、テロ攻撃といった事象などにより、同様の混乱状態に陥る可能性があります。
これらの災害等により、金融商品取引に関するインフラ等への物理的な損害、従業員への人的被害並びにお客様への被害等があった場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルスの感染は、高齢者向けワクチン接種が始まるものの変異株の出現もあり、収束までまだ時間がかかる様相です。国内では緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等が再三発令され、当社におきましては、お客様をはじめ当社従業員とその家族の安全確保の観点から、来店事前予約や出社社員抑制等を行い、感染防止策を徹底したうえで感染拡大防止に努めております。
今後、同ウイルス感染の収束する時期や効果的な対応策等についての見通しはたっておらず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 東京オリンピック・パラリンピック開催延期について
開催が延期されていた東京オリンピック・パラリンピックが2021年7月に開催することにより、同オリンピック・パラリンピックの開催に伴う観光客の増加、建築費の高騰や人材不足等、環境の変化だけでなく、当社ホームページへのDDoS攻撃等のサイバー攻撃による営業活動への影響等も懸念されます。
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)において、世界株式市場では、一時、米国の長期金利上昇に対する警戒感から不安定になる局面もあったものの、ワクチン接種への期待感などから、おおむね底堅い展開となりました。
国内株式市場では、米国の長期金利上昇に対する懸念から一時売られる局面もあったものの、おおむね堅調な値動きで下値を切り上げる値動きとなりました。2020年秋以降、世界的に半導体の不足感が強まっていることで、一部の業種は減産を余儀なくされるなど影響が出ているものの、中長期的な需要は旺盛で、影響は限定的にとどまっています。
米国株式市場では、2021年1月から2021年3月にかけて長期金利の動向によって乱高下しながらも徐々に下値を切り上げる展開となりました。インフラ投資計画などバイデン政権の政策が具体的に示されたことも株価下支え材料となっています。また、個別企業の企業業績にも底打ち感があるほか、ワクチン接種が浸透し始めていることなども株価下支えにつながっています。3月17、18日に開催されたFOMCでは、金融政策変更なしとの方針が示されました。当面金融緩和姿勢が続く見通しの中で、株式市場にとって追い風の状況が続くと予想されます。
アジア株式市場では、経済正常化が鮮明な中国とベトナムの好調さが目立ちました。特に好調だったのがベトナムで、主要指数であるVN指数の2021年1月から2021年3月の騰落率は7.9%でした。経済の正常化、新型コロナウイルスへの対応、対内投資の増加などが追い風となっており、ベトナムは好景気の株高になっているといえます。直近は、商いの急増が株式市場のシステム容量にも影響を与えていますが、影響は限定的になると思われます。また、中国では全人代が開催され、当面の政策方針などが定められました。
緊急事態宣言の発出が繰り返されるなか、感染収束時期が見通せず、依然として先行き不透明な状況が続いておりますが、このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルスの感染収束を目指すものの、緊急事態宣言下で、店頭窓口業務の中止や顧客訪問の制限等の営業活動を強いられる地域も発生し、当社の強みである対面でのコミュニケーションは継続的な自粛を余儀なくされております。一方で電話やその他ツール等を積極的に活用し、対面にこだわらないコミュニケーションを進めたことで、お客様に対して従来の営業活動により厚みを増した接客対応が実現でき、更なる顧客満足度の向上に努めることができております。また、当社グループでは、在宅勤務をはじめ時差出勤や休暇取得の推奨のほか、オンライン会議や室内換気の徹底など、感染拡大防止に努めております。
国内ネットワーク店舗では、1月に従来の証券会社の雰囲気を一掃し、接客用カウンターを廃し、お客様とスタッフのスペースに境界がないオープンカフェ風の新しいスタイルの証券会社として、自由が丘支店をリニューアルオープンしました。
金融機関連携では、1月に西京銀行と当社山口県内全店舗の共同店舗化に関して合意し、2月には当社下松支店を同行周南支店内に移転し、銀証共同店舗として開設しました。
産学連携では、1月に山梨県立大学と両者が持つノウハウ、ネットワークを活かした域外連携(クロスボーダー連携)を行うことで、双方の関係先に対して、これまで以上のサービス提供を行い、関係先の成長、地域活性化へ貢献することを目的とした業務協力覚書を締結しました。教育機関連携としては6校目となります。3月には 地方創生に資する金融機関等の「特徴的な取組」として、当社が運営する「教育機関連携による『起業/ビジネスを通じた高金融リテラシー人材育成と地域活性化施策』の推進」が、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部の「地方創生に資する金融機関等の特徴的な取組事例」に選定され、内閣府特命担当大臣(地方創生担当)より表彰されました。
地方自治体との取組みとしまして、2020年3月に地域活性化に関する包括連携協定を締結した静岡県御殿場市が実施する「富士山眺望地保全活用プロジェクト」に対して、企業版ふるさと納税を通じ支援いたしました。
また、当社の事業領域である金融業界は、新型コロナウイルス感染症の流行により従来の訪問を主体とした営業スタイルの変革が求められ、またネット証券会社を中心とした手数料値下げの動き、更にIFA事業者や他業種からの証券事業参入が相次ぐ等、激しい競争環境に置かれています。
このような環境下では、従来に増して、適切で迅速な意思決定と機動的な事業戦略を実行できる組織体制が求められます。2021年2月12日付け適時開示「会社分割による持株会社体制移行および子会社の設立に関するお知らせ」のとおり、本年10月1日(予定)を効力発生日とする会社分割の方式により、当社、子会社、および関係会社(以下、当社グループ)は、グループ内の事業を証券事業、金融商品仲介事業、運用事業、投資事業の4つに区分し、それぞれを中核とした事業会社を傘下に持つ持株会社体制へ移行する方針を決定しました。
従来の「証券事業」および新たに開始した「金融商品仲介業」はそれぞれ準備会社を設立し、事業開始の準備を進めております。また「運用事業」は、資本業務提携先であるファイブスター投信投資顧問株式会社との協働活動による、お客様への複合的な商品の提案にとどまらず、本年2月に当社子会社の合併により誕生したあいざわアセットマネジメント株式会社がグループ内での運用体制を確立し、様々な投資家ニーズに対する幅広い対応等、当社グループ独自の資産形成ビジネスを推進しています。アイザワ・インベストメンツ株式会社がメインプレーヤ―となる「投資事業」は、従来のベンチャー投資に留まらず、プライベートエクイティ投資や不動産投資等、事業体制を拡充させ、様々な収益方法を駆使しストック収益の確保に努めてまいります。
これらにより当社グループは、持株会社の指揮のもと、グループ全体の機動的な事業活動や迅速な意思決定、また経営資源の適切な配分による財務体質の強化を図るだけでなく、新たな事業の創出等、個々の力を集結させた金融総合グループへステージアップしてまいります。
なお、昨年3月より実施してきました自己株式取得(取得総数:250万株)は2月に無事終了し、3月からは新たな自己株式取得を開始しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は1,071億27百万円と、前連結会計年度末に比べ219億92百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は487億81百万円と、前連結会計年度末に比べ137億88百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は583億46百万円と前連結会計年度末に比べ82億4百万円の増加となりました。
当連結会計年度の経営成績は、営業収益は164億33百万円(前年度比15.8%増)、営業利益は9億29百万円(同267.8%増)、経常利益は15億42百万円(同1.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は45億38百万円(同382.6%増)となりました。
当連結会計年度における当社の資金調達の総額は53億14百万円です。資金調達の内訳は金融機関等からの短期借入金37億95百万円、証券金融会社からの信用取引借入金5億85百万円、金融機関からの長期借入金9億34百万円です。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ10億69百万円増加し、162億31百万円となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動の結果支出した資金は16億18百万円となりました。これは主に顧客分別金信託の増加、賃貸不動産の増加、預り金の増加によるものです。
投資活動の結果獲得した資金は41億11百万円となりました。これは主に有形固定資産の売却、投資有価証券の取得、投資有価証券の売却によるものです。
財務活動の結果支出した資金は17億83百万円となりました。これは主に自己株式の取得によるものです。
トレーディング商品:当連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
トレーディングのリスク管理:
トレーディング業務は、市況の変化に影響を受けやすく、取引商品の多様化並びにマーケットリスクが複雑化しておりますので、リスク管理は極めて重要と認識しております。当社のリスク管理の基本は、財務状況に合せたリスクを適切にコントロールすることであります。このため当社では「自己計算による売買取引の実施権限に関する規程」を定め、ポジション枠、ロスカットルール、与信枠等の設定をしております。また、リスク管理は、商品部門、営業部門から独立したコンプライアンス部が掌握し、トレーディングポジションの状況は経営者に毎日報告されており、損益と合せて報告書が月例取締役会に提出され分析・検討が行われております。
また、自己売買に関するポジション管理を目的とした、リスク管理委員会において、多様な取引手法やポジション枠の増加につきリスクをより正確に把握、監視する体制としております。
当社グループの事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一セグメントであります。このため、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該事業の収益の状況等については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に含めて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損会計、税効果会計、貸倒引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。当社グループの採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は1,071億27百万円と、前連結会計年度末に比べ219億92百万円の増加となりました。
主な要因は、預託金56億50百万円の増加、信用取引資産24億62百万円の増加、賃貸不動産38億65百万円の増加、投資有価証券90億78百万円の増加によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は487億81百万円と、前連結会計年度末に比べ137億88百万円の増加となりました。
主な要因は、有価証券担保借入金17億12百万円の増加、預り金65億86百万円の増加、繰延税金負債31億62百万円の増加によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は583億46百万円と前連結会計年度末に比べ82億4百万円の増加となりました。
主な要因は、利益剰余金36億14百万円の増加、自己株式の増加に伴う純資産17億67百万円の減少、その他有価証券評価差額金55億96百万円の増加によるものです。
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は164億33百万円(前年度比15.8%増)となりました。営業収益のおもな内訳は次のとおりです。
1)受入手数料
当連結会計年度の受入手数料は、104億1百万円(同41.7%増)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)委託手数料
委託手数料は外国株式委託取引の増加により、78億68百万円(同45.5%増)となりました。
ⅱ)引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、国内株式の引受額の減少により4百万円(同67.7%減)となりました。
ⅲ)募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売の増加により8億25百万円(同22.9%増)となりました。
ⅳ)その他の受入手数料
その他の受入手数料は、ファンドラップ取扱いの好調に伴う投資顧問報酬の増加により、17億1百万円(同36.3%増)となりました。
2)トレーディング損益
当連結会計年度のトレーディング損益は、55億50百万円(同12.2%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)株券
外国株国内店頭取引売買代金の増加により、46億44百万円(同10.6%増)となりました。
ⅱ)債券
外国債券の取扱いの減少により、2億60百万円(同83.3%減)となりました。
ⅲ)その他
外国為替取引から生じる損益の増加等により、6億45百万円(同14.6%増)となりました。
3)金融収益
金融収益は信用取引収益の減少等により4億7百万円(同19.9%減)となりました。
なお、金融費用は信用取引費用の減少等により90百万円(同23.4%減)となりました。これにより、金融収支は3億16百万円(同18.8%減)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、人件費の増加等により、153億86百万円(同11.4%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は受取配当金4億98百万円、収益分配金1億94百万円等により8億62百万円となりました。営業外費用は投資事業組合運用損2億12百万円等により2億49百万円となりました。これにより営業外損益は6億12百万円の利益となりました。
(特別損益)
特別利益は固定資産売却益42億46百万円、投資有価証券売却益13億36百万円等により56億54百万円となりました。特別損失は投資有価証券売却損8億6百万円等により8億53百万円となりました。これにより特別損益は48億0百万円の利益となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
現在、当社グループの収益は主に、株式・投資信託等の約定に伴う受入手数料及び米国株式国内店頭取引、外国債券の販売、主にアジア株式取引の際に発生する外国為替取引等のトレーディング損益に依存しております。そのため、株式・債券相場が下落又は低迷すると、流通市場の市場参加者が減少し、売買高が縮小することから当社グループの受入手数料およびトレーディング損益が減少する可能性があります。また、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動によりトレーディング損益に影響を及ぼす可能性があります。
証券会社は経済情勢及び市況環境の変動による影響を受けやすく、その中でも当社は営業収益に占める株式関連収益の割合が高いことから、株式市況の影響を大きく受けております。この状況に対応するため、預り資産の増加及び安定収益(ストック収益)の増加を当社の課題としており、持続的な高収益体制の構築のため、投資一任運用サービス「ブルーラップ」、「アイザワ ファンドラップ」、投資信託の販売及び残高の純増を強化しております。
特に、当連結会計年度においては「アイザワ ファンドラップ」を戦略的な中核商品とし、契約金額の積み上げを行ってまいりました。その結果、当連結会計年度末の契約金額残高は前年同期比29.8%増の261億5百万円となりました。2018年7月1日に日本アジア証券株式会社と合併したことで、同社のお客様にも「アイザワ ファンドラップ」のご案内が可能となりました。引き続き契約金額の積み上げを行ってまいります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付であります。信用取引買付代金は株式市況の変動の影響を受けますが、当社は主に日本証券金融株式会社の貸借取引により調達しております。また、不測の事態に備え、安定的かつ機動的な財務運営を行うため、三井住友信託銀行株式会社と総額7億50百万円のコミットメントラインを設定しております。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年3月に策定した中期経営計画に基づき「より多くの人に証券投資を通じより豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、お客様から信頼され、選ばれる存在であり続けるために、企業規模ではなく、お客様に提供する価値の大きさで評価される企業を目指します。
具体的には、2019年3月末のグループ預り資産1兆2,666億円を2022年3月末に1兆6,700億円とする目標を掲げております。
引き続き、アジア株営業の強化と地域金融機関との販売連携による差別化を推進するとともに、投資の経験が無く、当社の強みであるソリューションスタイルを望んでいるお客様へ迅速に対応していくことで、早期の達成を目指してまいります。
(1) 固定資産の譲渡契約
当社は、2020年10月30日開催の取締役会において、固定資産の譲渡を行うことを決議し、2020年11月6日付で売買契約を締結いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」をご覧下さい。
(2) 株式譲渡契約
当社は、2020年5月20日開催の取締役会の決議に基づき、あすかアセットマネジメント株式会社の株式を取得し、当社の連結子会社とするため、同日付で同社の株主との間で株式譲渡契約を締結いたしました。
また、当社は、2020年11月13日開催の取締役会の決議に基づき、あけぼの投資顧問株式会社の株式を取得し、当社の連結子会社とするため、2020年12月1日付で同社の株主との間で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご覧下さい。
(3)吸収合併契約
当社は、2020年11月13日開催の取締役会において、当社の子会社であるあすかアセットマネジメント株式会社があけぼの投資顧問株式会社を吸収合併することを決議し、2020年12月24日に2021年2月1日を効力発生日とする合併契約を締結いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご覧下さい。
(4)吸収分割契約
当社は、2021年4月28日開催の取締役会において、2021年10月1日を効力発生日として当社の営む金融商品取引業を100%子会社である分割準備会社に、また、投資事業を当社の100%子会社である「アイザワ・インベストメンツ株式会社」にそれぞれ吸収分割の方法により承継させることを決議し、吸収分割契約をそれぞれ締結いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご覧下さい。
(5) 資本業務提携
(6)M&A業務における協定
(7)包括的業務提携契約
該当事項はありません。