第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

2021年10月に持株会社体制に移行した当社グループは、経営理念「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」を今一度、グループ内各社に浸透させ、お客様、地域の皆様、従業員、株主等、全てのステークホルダーに提供する価値の最大化を目指します。

他方、人生100年時代における資産形成の必要性が認識され、従来の生活様式も変化する等、当社グループを取り巻く環境は、目まぐるしく変わってきております。このような変革する時代の中、お客様にとって分かりやすく、明るい未来がイメージできる「豊かな生活=将来への希望」を具現化するため、お客様に希望を届ける『Hope Courier(ホープクーリエ:希望の宅配人)』となることを我々のビジョンとし、また、資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをすることをミッションとしております。

 

(1) 目標とする経営指標

当社は、後述の中期経営計画『Define Next 100 ~もっとお客様のために~』において、2024年度までの達成目標として以下の計数目標を掲げております。

 

連結業績

証券事業

投資事業

運用事業

自己資本当期純利益率(ROE) 8%以上

固定費カバー率(注)1

50%以上

投資資産残高(注)2

450億円

セカンダリーファンド

運用残高 100億円

預り資産 2兆円以上

 

(注)1 証券事業における投資信託の信託報酬及びラップ商品の報酬等の合計を固定費で除した比率。

     2025年3月末までの月次達成目標

(注)2 投資有価証券及び投資不動産

 

人的資源

利益還元

新規採用        3年間で200名

中途採用        3年間で100名

女性採用比率      30%以上

3年目離職率      15%未満

会社への愛着度     80%以上

総還元性向 50%以上

うち配当   株主資本配当率(DOE)2%程度を

            上回る水準

 

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

個人金融資産が2,000兆円を突破し、国民の安定的な資産形成の促進「貯蓄から資産形成へ」のために、投資対象と投資時期の分散による中長期投資や、少額からの積立投資、効果的な投資教育の提供、真に顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の徹底が証券会社に求められております。

また、当社グループは総合金融サービスグループとして、成長性のある企業の資金調達や独自の金融商品・サービスの開発、個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

中期経営計画『Define Next 100 ~もっとお客様のために~』において当社が取り組むべき重点課題(マテリアリティ)とそれに対する重点施策を以下の通り定めております。経営課題となっている5つの基本方針に従い、これらの重点施策に取り組んでまいります。

なお、現時点では新型コロナウイルス感染拡大による当社の経営戦略への影響は僅少と認識しておりますが、今後新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する場合には当社の経営戦略に一定の影響を及ぼす可能性があります。

① 人生100年時代・高齢化社会

・資産形成支援(コア資産、積立投資資産の拡大)

・相続・資産承継支援(次世代へのアクセス強化)

・円滑な事業承継

 

② 地方創生・地域活性化

・地域金融機関との連携(販路拡大、M&A支援、後継者問題の解決)

・自治体・教育機関との連携(金融リテラシー教育やインターンシップ)

③ イノベーション

・事業構造の転換(ブローカレッジから資産形成ビジネス、IFAビジネスの拡大)

・新たな付加価値の創出(GBA型サービスの展開、アジア株取引の拡大)

・オルタナティブ運用商品の開発(マーケットニュートラル商品の開発、セカンダリーファンドの強化)

・社会課題を解決する企業に対する成長資金の提供(ベンチャー企業への投資)

④ DX

・各種取引や手続きのペーパーレス化、デジタル化(CX、UXの向上、取引及び社内手続きの効率化)

・デジタルコンテンツの拡充、デジタル技術の活用(営業手法改革、新たなビジネスモデルの創出)

⑤ 経営基盤[環境]

・気候変動への対応(社用車のエコカーへの切り替え、ペーパーレス)

・環境関連商品の取扱い(グリーンボンド、SDGs債、CATボンド商品等の取扱い)

・環境関連ビジネスに対する資金の提供

⑥ 経営基盤[社会]

・金融リテラシー教育の実施

・地域貢献活動の実施

⑦ 経営基盤[ガバナンス]

・コーポレート・ガバナンスの強化

・リスク管理の強化(グループのリスク管理や情報セキュリティの強化)

・コンプライアンス(顧客本位の業務運営の徹底)

⑧ 経営基盤[人的資本]

・自発的に行動し、変化に対応できる人材の育成(CDP、人事制度再構築、人事交流の活発化、多様なプロ

  フェッショナルの活躍)

・従業員エンゲージメントの向上(個人と組織が一体となった双方の成長) 

 

(3) 会社の対処すべき課題

2022年11月、内閣官房の新しい資本主義実現会議で決定した「資産所得倍増プラン」は、NISA制度の抜本的拡充や恒久化、iDeCo制度の改革、信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設、雇用者に対する資産形成の強化、金融経済教育の充実、世界に開かれた国際金融センターの実現、金融事業者による顧客本位の業務運営の確保等を一体として推進する方針です。本プランが推進されることによって、日本の個人金融資産約2,000兆円の半分以上を占める預貯金がリターンの大きい成長企業にシフトすることが予想されます。

このような環境下、当社グループは、総合金融サービスグループとして成長性のある企業の資金調達や独自の金融商品・サービスの開発等を通じて個人のお客様の資産形成を支え、「貯蓄から投資へのシフト」の一助となり、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。2022年度からは、2022年4月から2025年3月末を計画期間とした中期経営計画「Define Next 100 ~もっとお客様のために~」を新たに策定し、当面の課題として以下の施策に取り組んでまいります。

 

①徹底的なお客様目線

当社グループは、お客様の最善の利益を追求し、お客様への重要な情報のわかりやすい提供、お客様の各種手続きのデジタル化や簡素化の推進、地域特性に合ったお客様が来店しやすい店舗作り、お客様に合ったサービスの展開や商品開発等を進めてまいります。

従来の常識・慣習・やり方にとらわれることなく、経営資源配分や業務プロセス等を全て見直して、徹底的なお客様目線に切り替えてまいります。そして、全役職員が「お客様のために」という意識を持ち続ける企業風土にまで昇華させることを目指してまいります。

 

②ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへ

当社グループは、ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへのシフトを掲げ、証券事業において、投資信託や投資一任運用サービス(ラップ)等のストック商品の販売を強化してまいりました。

今後、積立投資資産の拡大、他社との差別化を図る新サービス・商品の提供、社員のスキルアップや専門家との連携による相続・資産承継支援やお客様とのコミュニケーション等を強化し、資産形成ビジネスの早期確立を目指してまいります。

 

 

③プラットフォームビジネスの拡大

昨今、注目されてきているIFA(金融商品仲介業者)に対して、当社グループは2004年から協働し、プラットフォームビジネスを進めてまいりました。開始当初は株式の取引が主流であったものの、当社グループ独自の取組みである地域金融機関との連携により存在感を増しながら、当社グループ内の金融商品仲介業者(ライフデザインパートナーズ株式会社)において金融商品仲介業に取り組み、さらに保険代理店や一般事業会社等の非証券系金融商品仲介業者とも契約を進め、当社グループのプラットフォームビジネスの裾野を広げております。

今後、契約IFAに対する管理体制の強化等コンプライアンス体制の整備を進めつつ、サポートや研修体制を構築し、当社グループと契約するIFAの増加に取り組みます。

これらの取組みによって、当社グループの認知度向上と信頼の“アイザワ”ブランドを醸成するとともに、当社グループ独自のプラットフォームビジネスの拡大・充実を図ってまいります。

 

④グループ連携の強化(総合金融サービスグループ化)

2021年10月より当社グループは、各子会社が営む事業を当社が束ねる持株会社体制に移行いたしました。当社グループの祖業である証券事業を中心として情報を共有し、営業連携等を図ることでお客様に対してより質の高いサービスを提供することを目指してまいります。また、グループ間における人事交流によって多様な人材の育成を目指すとともに、従業員のキャリア選択の多様化も図ってまいります。

今後、当社グループはIFAビジネスの強化、新規事業の検討、投資対象の多様化によってリスクも多様化してまいります。これらのリスクに対応するためにグループ一体となってリスク管理を強化してまいります。

 

⑤サステナブルな未来の実現を目指す

当社グループは、サステナビリティへの対応を重要な経営課題としてとらえております。サステナビリティ基本方針を定め、気候変動への対応や環境問題をはじめ、地方創生・地域活性化・金融リテラシー教育等地域社会への貢献を重点施策として、成長性のある企業の資金調達や個人の資産形成を支え社会に貢献することで、サステナブルな未来の実現を目指してまいります。

 

(4) 内部管理体制の整備・運用状況

① 内部牽制組織、組織上の業務部門及び管理部門の配置状況、社内規程の整備状況その他内部管理体制の強化のための牽制組織の状況

当社グループは、内部監査の独立性を高めるため、内部監査を所管する監査部をいずれの業務ラインにも属さない独立した部署として設置しております。

監査部は、「内部監査規程」に基づき、毎期初に策定する「内部監査計画書」に従って監査を実施し、監査結果報告会において監査対象部門と問題点の共有化を図ったうえで改善を指示し、改善状況の確認を行います。

また、当社グループの内部統制については、統制組織及び統制手段の両面から内部牽制が有効に機能する仕組みを構築しております。統制組織としては、日本証券業協会の「協会員の内部管理責任者等に関する規則」に基づき、内部管理を担当する取締役1名を「内部管理統括責任者」として定めております。内部管理責任者は組織上、コンプライアンス部に属しており、人事上の評価につきましては組織の上長並びに内部管理統括補助責任者が行うこととし、内部管理体制の充実に努めております。これらの制度を通じ、金融商品取引法その他法令諸規則等の遵守、投資勧誘等の営業活動、顧客管理等が適正に行われるよう社内の監査部門が中心となり、内部管理体制の整備に努めております。

② 内部管理体制の充実に向けた取り組みの最近1年間における実施状況
(イ) コンプライアンス評価委員会

金融商品取引法をはじめとした法令・諸規則遵守の強化を図るため、社内に「コンプライアンス評価委員会」を設置し、法令違反の未然防止策の立案、社内の問題点の洗い出しと改善策の検討・具体化を図っております。

(ロ) リスク管理委員会

内部統制上の会社のリスクを洗い出し、業務に活かすため「リスク管理委員会」を設け、月一回定期的に業務上のあらゆる問題を討議・検討しております。

(ハ) 内部統制構築プロジェクト

監査部内に内部統制専門の担当者を設け、内部統制の運用を行っております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ情報全般に関する開示

 当社グループは、気候変動に対する取組みとして、2022年中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」(2022年4月~2025年3月)の作成に当たり、サステナビリティ基本方針※ を定めました。

※サステナビリティ基本方針 (https://www.aizawa-group.jp/sustainability/)

 また、経営理念「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」及びミッション「資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをする」のもと、総合金融サービスグループとして、社員一人ひとりが地域社会の活性化に取り組み、貢献してまいります。

 

[経営理念]

より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する

 

[ビジョン]

「豊かな生活=将来への希望」を具体的な形とし、お客様に希望を届けるHope Courier(ホープクーリエ:希望の宅配人)となる

 

[ミッション]

資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをする

 

[サステナビリティ基本方針]

私たちアイザワ証券グループは、経営理念のもと、お客様を思う気持ちを第一に尊重し、社員一人ひとりが地域社会の活性化に取り組み、貢献してまいります。

また、総合金融サービスグループとして 、成長性のある企業の資金調達や独自の金融商品・サービスの開発、個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 

①ガバナンス

 当社グループは、気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識しています。

気候変動関連のリスクや機会を含むサステナビリティ経営戦略について、各事業を営むグループ子会社がそれぞれの事業にて対応し、経営会議で討議をおこない、取締役会にて、報告を受け、審議・監督する体制としています。

 

ガバナンス体制図


 

 

会議体及び体制

役割

取締役会

取締役会は、法令、定款及び社内規程に従い会社の業務執行についての重要事項を決定いたします。取締役会は取締役(監査等委員である取締役を除く。)7名と監査等委員3名で構成し、原則月1回開催しております。

また、サステナビリティ基本方針を定め、総合金融サービスグループとして、気候変動課題を含む環境課題に関する取組みや成長性のある企業の資金調達、独自の金融商品・サービスの開発、個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。

経営会議

経営会議は、常勤役員(常勤取締役(監査等委員を含む)並びに執行役員)及び各部長で構成され、これに事務局が加わり原則月1回開催しております。

当社グループにおける報告事項を審議の上、決定するとともに、環境課題に関する取組みや内部統制並びにリスク管理等に対する監視・監督を図っております。

リスク管理委員会

当社のリスク管理体制は、リスクの多様化・高度化とともに専門性が必要とされることから、「リスク管理規程」に基づき、管理すべきリスクの所在と種類を明確にした上で、それぞれのリスクごとに担当部署を定め管理する体制としております。情報セキュリティ及びBCPや環境課題を含めた当社グループに関わる各種リスクの管理について、部門横断的に検討、協議、調整を行い、対応方針の策定、経営への答申等を行う常設委員会としており、原則毎月1回の委員会を開催し、取締役会に報告しております。

 

 

②戦略

<気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会>

TCFD提言に基づき、全社を対象として気候変動リスク・機会による事業インパクト、対応策の検討に向けたシナリオ分析を行いました。

2℃未満及び4℃の気温上昇時の世界を想定し、2023年度より将来までの間に事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性、また気候変動リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価しました。

 

《移行リスク》

リスク/機会-要素

リスク

種類

リスク

機会の

種類

機会

評価

影響

ビジネス・戦略

・財務等への影響

2℃

シナリオ

4℃

シナリオ

開示規則

政策

・法規制

情報開示範囲の拡大に伴う開示漏れ

市場

情報提供機会の増加によるレピュテーション向上

当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。

↑ 大

↑ 大

開示規則

政策

・法規制

炭素税の導入や新たな法規制の制定

市場

各種規制等の対応によるレピュテーション向上

当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。

→ 小

→ 小

次世代技術

技術

低炭素技術の進展による関連金融商品やサービス等の普及

製品サービス

新たな金融商品サービスの提供

当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。

→ 小

→ 小

 

 

 

リスク/機会-要素

リスク

種類

リスク

機会の

種類

機会

評価

影響

ビジネス・戦略

・財務等への影響

2℃

シナリオ

4℃

シナリオ

電力/石油価格

市場

電力・石油価格高騰による消費者行動の変化

市場

投資行動の抑制

顧客の投資活動が消極的になり、各種手数料収入が減少するため当社業績への影響度は高いと考えられます。

↑ 大

↑ 大

電力/石油価格

評判

気候変動の取組み不足によるレピュテーションへの影響

市場

売買高の減少

株価下落

当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。

↑ 大

→ 小

ステークホルダーの嗜好変化

評判

 

ステークホルダーからの批判

市場

売買高の減少

株価下落

当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。

↑ 中

→ 小

 

 

《物理的リスク》

リスク/機会-要素

リスク

種類

リスク

機会の

種類

機会

評価

影響

ビジネス・戦略

・財務等への影響

2℃

シナリオ

4℃

シナリオ

自然災害の増加

(豪雨、地震等)

急性

店舗やインフラ設備の被害による事業活動の停止

製品サービス

グリーンファイナンス市場の拡大による投資機会の増加

顧客の投資活動が消極的になり、各種手数料収入が減少するため当社業績への影響度は高いと考えられます。

→ 小

↑ 大

感染症のまん延

慢性

外出自粛等による生活スタイルの変化

製品サービス

オンライン取引の増加

顧客の投資活動が消極的になり、各種手数料収入が減少するため当社業績への影響度は高いと考えられます。

↑ 中

↑ 大

 

 

 

<シナリオ分析>

《2℃程度の気温上昇シナリオ》

2100年時点において、産業革命時期比で2℃程度の気温上昇に抑制されるシナリオ。

気候変動対応が強められ、政策規制、市場、技術、評判等における移行リスクが高まる。

顧客の投資に対する志向が変化し、企業の気候変動対応が強く求められ、未対応の場合は、顧客流出やレピュテーションリスク上昇が発生する等、移行リスクは高まると推測。一方、気候変動による災害の激甚化や増加が一定程度抑制される等、物理的リスクは相対的に低いと推測。

 

《4℃程度の気温上昇シナリオ》

産業革命前の水準から気温上昇が4℃程度まで上昇するシナリオ。

自然災害の激甚化、海面上昇や異常気象の増加等の物理的リスクが高まる。

この影響により、BCP対応が整備されている企業の競争力は高まるものと想定。

 

 

項目

2℃シナリオ

4℃シナリオ

移行リスク

市場

顧客ニーズの変化

サステナブルな社会の実現のため、気候変動への対応から環境関連商品への需要が高まると思われる

環境関連商品への興味関心度が増す

環境関連商品の取扱い

グリーンボンドやサステナビリティ商品の拡充

環境関連商品への興味関心度が増す

電力コストの上昇

24.9円/kWh

13円/kWh

物理リスク

慢性

年平均気温の上昇

約1.4℃上昇

約4.5℃上昇

猛暑日の年間数

約2.8日増加

約19.1日増加

日降水量200mm以上の年間日数

約1.5倍に増加

約2.3倍に増加

急性

1時間降水量50mm以上の頻度

約1.6倍に増加

約2.3倍に増加

台風の激甚化

台風の強度が高まる

猛烈な台風の存在頻度が増える

 

 

<シナリオに基づく財務影響>

 

シナリオ

炭素価格(ドル)

※1、2

為替

炭素価格

(円/t-CO2)

炭素税の年間負担額

(百万円/年)※3

2030年

2℃

130

130

16,900

2.9

4℃

100

13,000

2.2

2050年

2℃

250

30,000

5.1

4℃

160

19,200

3.2

 

※1 IEA「World Energy Outlook 2021」B.2 CO2 prices Net Zero Emissions by 2050「Advanced economies」の

   数値を参考

※2 IEA「Net Zero by 2050」A Roadmap for the Global Energy Sector Table 2.2 CO2 prices for

     electricity, industry and energy production in the NZE「Advanced economies」の数値を参考

※3 2030年3月度:CO2排出量は 約169t-CO2、$1=130円で試算

 

 

<シナリオ分析を踏まえた気候変動に対する対応策の検討>

項目

対応策

環境基準への対応

社用車やバイク(リース含)等を電気自動車へ転換や、事務所で使用する電力の再生可能エネルギー等への切替を行う。

環境関連開示の義務拡大

環境関連開示に適切に対応し、その他の非財務情報の開示も充実を図ることで、当社のESG評価を向上させる。

顧客ニーズの変化

グリーンボンドやサステナビリティ商品等の環境関連商品の取扱いを行う。

新たな成長分野への投資

ベンチャー企業や環境関連ビジネスやプロジェクトへの投資を行う。

平均気温や海面の上昇等、それらによって

もたらされる自然災害等、異常気象の激甚化

顧客とのコミュニケーションを最優先に図るため、WEBや電話等の各種ツールを活用し、当社が強みとする対面での様々な活動が円滑に継続できるような体制を構築する。

 

 

③リスク管理

 当社グループは「リスク管理基本方針」を定め、経営理念のもと業務を適切に運営するため、リスク管理を経営における重要課題の一つと位置づけております。

 全社的なリスクについては、リスクの把握・評価、必要に応じた定性・定量それぞれの面から適切な対応を行うため、「リスク管理委員会」を設置し、総合的なリスク管理を実施しています。

 気候変動に伴うリスクについても、当社が取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として認識し、将来の不確実性を高める要素と捉え、既存のリスク管理プロセスへの反映を検討しております。

 

④指標及び目標

 2022年度の温室効果ガス排出量は、Scope1(自社が直接排出する排出量)は、280t-CO2、Scope2(他社から供給された電気等の使用に伴う排出量)は、0.6t-CO2でした。

 当社グループは、気候変動が社会の喫緊の課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化を実践してカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。

 持続可能な社会の実現に向けて、Scope1、2について、2030年度末までにグループ全体のCO2排出量の40%削減(2021年度比)、2050年度末までに排出量の実質ゼロ達成を目標としています。

 

《GHG排出量(単位:t-CO2)》

 

2021年度

2022年度

目標

Scope1

(社用車等使用によるCO2排出量)

251.6

280.8

<2030年度>2021年度比40%削減

Scope2

(店舗等の電力消費に伴うCO2排出量)

0.806

0.620

<2050年度>排出量ゼロ

 

 

<環境長期目標の実現に向けて>

温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーへの切替やガソリン使用車から電気自動車への転換、カーボンオフセットの活用等を実施・検討してまいります。

また、再エネや省エネ等の着実な低炭素化(トランジション)や脱炭素化に向けた革新的技術(イノベーション)への投資等、グリーン成長戦略のもと、省エネ関連産業を成長分野にするべくESG投資も行ってまいります。

 

 

(2) 人的資本に関する開示

①ファイナンシャル・ウエルネスに関する取組み

 当社グループでは、従業員のファイナンシャル・ウェルネスを支援するため、確定拠出年金(DC)継続教育プログラムでのeラーニングやライブ配信セミナー等を提供し、DCへの理解や資産形成への知識を深める取組みを行っています。

 主な取組みとしては、従業員持株会を設け、当社株式購入時の奨励金支給や子会社のアイザワ証券株式会社を通じ、同社で取り扱う国内外の株式や投資信託商品、ラップ商品等の金融商品の購入を可能とするとともに、購入条件に応じた資産形成手当を支給しています。また、従業員向けインセンティブプランとして「従業員向け株式交付制度」を2019年から導入しており、従業員の資産形成に対する支援を積極的に取り組んでいます。

 

②戦略

 当社グループは、従業員を会社の財産と捉え、年齢、性別、国籍、人種、役職、働き方等の属性に偏ることなく多様性を認め、能力や実績を重視し、人物本位の採用及び登用を行っていきます。

 また、社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員が働きやすい環境をつくることによって、すべての社員がその能力を十分に発揮できるようにするとともに、女性が活躍できる雇用環境の整備を行ってまいります。

 

③目標及び指標

・社員一人ひとりが自らのキャリアを継続し成長できる環境の整備を行います。

 -エリア限定社員制度の導入
 -CDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)制度の適切な運用
 -1on1ミーティングによる育成と支援

・育児休業等の取得率を下記水準以上にします。
 -男性社員:育児休業の取得者(1人以上)及び配偶者出産休暇の取得者の合計数の割合を50%以上
 -女性社員:同取得率を90%以上

・女性の採用比率30%以上を目指します。
・女性の管理職比率15%以上を目指します。

 

計画期間:2022年4月1日~ 2025年3月31日

 

なお、管理職に占める女性労働者の割合(女性の管理職比率)については、上記第1[企業の概況]5[従業員の状況]の(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 に記載した内容をご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 事業関連について

① 主要な事業の前提に係るリスク

当社グループでは、主要な事業活動である金融商品取引業務につき、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録(登録番号関東財務局長(金商)第3283号)を受けております。金融商品取引業者は、金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し、法令又は法令に基づく規定に違反した時は、登録又は認可の取消し、一定期間の業務停止又は何らかの改善命令を受ける可能性があります。現時点において当社グループはこれらの取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来何らかの事由により登録等の取消しを命じられた場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

② 市場の縮小に伴うリスク

株式・債券相場の下落又は低迷により、流通市場の市場参加者が減少し、売買高や売買代金が縮小する場合、あるいは発行市場において計画の延期や中止が行われた場合、当社グループの受入手数料が減少する可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

③ 相場の急激な変動に伴うリスク

当社グループでは、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

④ 競合によるリスク

当社グループが属する金融商品取引業界においては、株式の売買委託手数料の自由化、規制緩和に伴う他業態からの新規参入等をはじめとした環境変化が進行しております。とりわけ、近年においては、オンライン取引に特化した金融商品取引業者の台頭、銀行の金融商品取引仲介業の解禁等もあり、当業界を取り巻く環境は年々厳しさを増す傾向にあります。そのため、このような事業環境の中で、競争力を低下させた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 業務範囲の拡大に伴うリスク

当社グループは株式市況に過度に依存しない収益体質を構築するため、金融商品取引業務以外の金融関連業務を行うことを目的として、投資事業組合や匿名組合等への投資並びに新規業務を行っております。これらの投資及び新規業務への開始に際してはその採算性等について十分な検討を行っておりますが、投資先の事業及び新規業務が計画的に遂行できなかった場合等においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 財務関連について

① 信用取引に伴うリスク

信用取引においては、顧客への信用供与が発生し、市況の変動によっては顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。株式相場の変動等により、担保となっている有価証券等の価値が低下した場合等、各顧客に追加で担保の差し入れを求める場合があります。顧客が追加担保の差し入れに応じない場合には、担保となっている代用有価証券を処分いたしますが、株式相場が急激に変動し、顧客への信用取引貸付金を十分に回収できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、取引所取引における先物取引及びオプション取引(売建て)につきましても類似のリスクがあります。

 

② 固定資産の減損に関するリスク

当社グループが保有する固定資産について、資産の収益性低下等により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。これに伴い「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

③ 年金債務に関するリスク

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

(3) 資金調達について

当社グループは事業の特性上、日常業務の遂行に必要となる大量の資金を機動的かつ安定的に調達する必要があります。このため、長期・短期借入金といった安定的な資金調達に加えて、金融機関との間にコミットメントラインを設定する等、資金調達手段の多様化を図っております。また、調達による借換リスクを低減させるため、資金調達源の分散を図っております。ただし、経済情勢やその他の要因により、当社グループの経営成績及び財政状態が悪化した場合には、金融市場、資本市場等からの資金調達が困難となる、もしくは資金調達コストが上昇する可能性があります。

 

(4) 法的規制等について

当社グループは、金融商品取引法の他、各金融商品取引所、日本証券業協会等の自主規制機関による法令・諸規則等に従って業務を遂行しておりますが、将来的に当社業務に関係する法令・諸規則や実務慣行、解釈等の変更が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 自己資本規制比率について

金融商品取引業者は、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率を120%以上に維持することが求められております。万一、定められた自己資本規制比率を維持できない場合は業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを命じられる可能性があります。そのため、当該比率が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法令遵守に関するリスクについて

当社グループは法令遵守(コンプライアンス)体制の整備を経営の最重要課題として位置付け、内部統制の整備を図り、より充実した内部管理体制の確立と役職員の教育・研修等を通じた意識徹底に努めております。こうした内部統制の整備やコンプライアンス研修は、役職員の違法行為を未然に防止するための有効な方策ではありますが、違法行為の全てを排除することを保証するものではありません。また、役職員による意図的な違法行為は、総じて周到に隠蔽行為がなされ、長期間にわたって発覚しないケースもあり、将来において当社グループの業績に影響を及ぼすような損害賠償を求められる可能性もあります。このほか、非公開情報の不適切な使用・漏洩・情報受領者と共謀等の不正行為の可能性もあります。これらの不正行為は、会社の使用者責任及び法的責任等を問われることもあり、場合によっては監督官庁より種々の処分・命令を受ける可能性があり、また、当社グループの社会的な信用が低下する可能性もあります。かかる事態の発生により、当社グループが損失(若しくは得べかりし利益の逸失)を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 訴訟等について

顧客に対する説明不足あるいは顧客との認識の不一致などによって、顧客に損失が生じた場合には、当社グループが訴訟の対象となる可能性があります。万一、訴訟等に発展し、当社の主張と異なる判断がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在係争中の訴訟案件につきましては当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性は低いと考えております。

 

 

(8) その他

① システムに関するリスク

当社グループが提供するインターネット取引システム及び当社が業務上使用するコンピューターシステムが、回線の不具合、外部からの不正アクセス、災害や停電時の諸要因によって障害を起こした場合、障害規模によっては当社業務に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは「リスク管理委員会」を組織し、「情報セキュリティ管理規程」及び「情報セキュリティマニュアル」等を制定し、情報漏洩防止体制等管理体制の強化を図っておりますが、万一、顧客情報を含む社内重要事実が社外に不正流出した場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、さらに技術的、人的安全管理措置等、顧客情報の管理を図ってまいります。

③ 業務処理におけるリスク

有価証券の受発注に関しましては、入力項目の確認等を励行しているほか、システム上の画面表示も注意喚起する等事故防止策が図られております。さらに、約定代金及び売買単位が多量になる場合には、システム的に一定の権限を付与された者以外は入力できないシステムとなっております。しかし、万一入力項目を誤って入力し、約定が成立した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 人材の確保及び育成について

当社グループは常に質の高い投資情報サービスを提供し、お客様の満足度の向上を実現できる人材の確保並びに育成が重要な経営課題と捉えております。この観点から、新規採用及び中途採用の両面から積極的に人材を採用し、かつ社内研修の充実度を高めていく方針であります。しかしながら、当社グループが必要とする人材が確保できなかった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 業務の外部委託について

当社グループは、業務の効率化を図るため、業務の一部を他社へアウトソーシングしております。これらの業務委託先がシステムの故障、処理能力の限界又はその他の理由によりサービスの提供を中断又は停止し、適時に代替策を講じることができない場合には、当社グループの顧客へのサービスの提供が途絶し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 自然災害等について

当社グループの証券事業を営むアイザワ証券株式会社の営業拠点は、東京近郊、東海及び関西に集中していますが、一般的に他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。
 また、大規模な地震、津波、台風、噴火等の自然災害による直接的な影響のほか、これらに起因する社会的インフラへの影響、また、コンピューター・ウィルス、テロ攻撃といった事象などにより、同様の混乱状態に陥る可能性があります。
 これらの災害等により、金融商品取引に関するインフラ等への物理的な損害、従業員への人的被害並びにお客様への被害等があった場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 気候変動等に係るリスクについて

気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響につきましては、今年度より新たに策定した中期経営計画において、当社が取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として認識しております。一方、当社グループにおける各事業活動や収益等に与える影響は小さく、また事業活動による環境への負荷も小さいと想定しております。今後、必要なデータの収集・分析を行い、TCFD等の国際的に確立された枠組みに基づいて適切に開示することを検討してまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)において、世界市場では、新型コロナウイルス、ロシア問題、世界的金融引締め等、不安要素が多い状況は大きく変わっていませんが、多くの国では最悪期から改善し、経済、株式ともに不安定ながらも少し落ち着いてきました。しかしながら、2023年3月に米国の複数の銀行が破たんしたことで、世界的に先行き不透明感が強まっています。

国内株式市場は、長期化するウクライナ情勢により、エネルギー資源価格は上昇し、原材料価格が高騰しています。インフレや燃料費高騰等が国民経済の重しになっており、6月20日には日経平均株価が本年度の最安値となる25,520円23銭をつけました。その後、企業業績も回復基調となり、新型コロナウイルスの感染が依然として続いているものの、10月には水際対策が大幅に緩和、経済活動も再開され、経済社会活動との両立が進みました。しかし、2023年に入っても、依然として先行きの不透明な状況から上値が重い展開が続き、3月末の日経平均株価は28,041円48銭で終えています。

アジア株式市場は、中国のゼロコロナ政策と米国の大幅利上げに伴うドル高・アジア通貨安を背景に総じて概ね軟調に展開しました。国別の状況を見ると、中国は11月までゼロコロナ政策を堅持したため上海総合指数と香港ハンセン指数が大きく下落しましたが、その後ゼロコロナ政策を撤廃したことで株価は持ち直し基調となっています。

ASEAN諸国は、通貨安とインフレを抑制するために複数回利上げを実施したため、インドネシアとタイ、フィリピンの主要株価指数は小幅安、不動産の不正融資問題が悪材料視されたベトナムのVN指数は28.7%安と株価が低迷しました。

 

このような状況の中、当社グループは、「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念の下、2022年度から新たに開始した中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」に基づき、徹底的なお客様目線での業務運営をはじめ、プラットフォームビジネスの拡大やグループ連携の強化、サステナブルな未来の実現を目指す等、5つの基本方針を重点施策に据えた取組みを進めております。

当社グループは、証券事業を主軸とし、投資事業、運用事業、金融商品仲介事業、ベトナム証券事業を展開しております。各事業における取組みといたしまして、証券事業のアイザワ証券株式会社では、資産形成ビジネスの確立に向け、国内株式だけでなく、米国をはじめ香港やベトナム等、アジア12市場を取り扱う外国株式、先進国債券、投資信託商品、ファンドラップ等、多種多様な金融商品を取り揃えつつ、政府が掲げる資産所得倍増プランにも呼応し、つみたてNISAや一般NISA等を積極的に活用できる体制を整備し、全国の各地域に根差した店舗ネットワークにおける対面でのコミュニケーションを通じて、投資経験者や資産形成層、投資初心者まで幅広い層のお客様に満足いただけるよう努めております。

他方、アイザワ証券のプラットフォームビジネス(IFAビジネス)においては、契約金融商品仲介業者数80社、預り資産1,752億円、契約口座数24,999口座(2023年3月末時点)まで拡大し、証券事業を支えるビジネスに発展するよう、契約金融商品仲介業者数の増加のみならず人材育成にも注力しスピード感をもって取り組んでおります。

従来からの取組みである各種機関との連携につきましては、2023年2月に地方自治体との連携としては2例目となる静岡県裾野市と包括連携協定を締結し、地域活性化に向けた取組みを進めています。

その他2022年6月にはシニア世代をメインターゲット顧客としている株式会社鎌倉新書と顧客紹介契約を締結し、同社の終活関連サービスをアイザワ証券顧客に紹介が可能となりました。

国内店舗ネットワークでは、2022年8月~2022年9月に店舗運営の効率化を図るため隣接する既存店舗を集約し、人流の多い地域へ大規模店舗として新規店舗を開設しました(あべのハルカス支店、横浜支店、町田支店)。2022年10月には包括的業務提携先でもある株式会社西京銀行と5店舗目の銀証共同店舗となる宇部支店を開設いたしました。

また、当社グループ内のDX化推進策も兼ね、2022年9月に口座開設時にオンラインによる電子的な本人確認システムを採用した新規口座開設システムを導入しました。これにより、お客様の負担軽減だけでなく、書類を中心としていた社内手続きが大幅に簡略化されています。

人的資本経営の一環である、ワーク・ライフ・バランスの実現、子育て支援に向けた施策として、2022年12月に「子育てサポート企業」として厚生労働大臣より「くるみん」認定を取得しました。全ての社員が能力を発揮させながら、仕事と家庭生活のバランスが取れるよう働きやすい環境の整備に取り組んでおります。

 

運用事業のあいざわアセットマネジメント株式会社(AAM)では、2022年4月に自社としては3本目となるセカンダリー投資ファンドAriake Secondary Fund Ⅲ LPを設定いたしました。その後、2022年10月、2023年2月に、それぞれセカンド、サード・クロージングを迎えました。

 

なお、昨年2月より実施してきました自己株式取得(取得総数:100万株)は2023年1月25日に終了し、本年2月からは新たな自己株式取得(取得総数:40万株、予定期間:2023年2月~2023年6月)を開始しております。

これからも当社グループは、グループ各社がそれぞれの強みを発揮し、連携した活動により総合金融サービスグループへ邁進してまいります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

上記の施策を行いましたが、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

今期の取組みを猛省し、来年度以降を見据えた様々な課題に速やかに取り組みつつ、具体的な対策を講じてまいります。

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は988億35百万円と、前連結会計年度末に比べ58億87百万円の減少となりました。

当連結会計年度末の負債合計は448億4百万円と、前連結会計年度末に比べ18億89百万円の減少となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は540億30百万円と、前連結会計年度末に比べ39億98百万円の減少となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、営業収益は127億51百万円(前年度比20.6%減)、営業損失は27億82百万円、経常損失は19億11百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は23億75百万円となりました。

 

c.セグメント毎の経営成績

証券事業の営業収益は115億22百万円(前連結会計年度比22.2%減)、セグメント損失は27億33百万円となりました。

運用事業の営業収益は2億98百万円(同53.1%減)、セグメント損失は1億30百万円となりました。

投資事業の営業収益は9億79百万円(同43.9%増)、セグメント利益は2億6百万円(同50.4%増)となりました。

上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業損失と調整を行っております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ49億32百万円減少し、137億34百万円となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は94億87百万円となりました。これは主に賃貸不動産の取得、預り金の減少、有価証券担保借入金の減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は4億74百万円となりました。これは主に投資有価証券の取得、投資有価証券の売却によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は38億24百万円となりました。これは主に長期借入金の借入れ、長期借入金の返済によるものです。

 

 

③ トレーディング業務の概要

トレーディング商品:当連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。

 

前連結会計年度
(2022年3月31日)

当連結会計年度
(2023年3月31日)

資産の部のトレーディング商品(百万円)

361

207

 

商品有価証券等(百万円)

361

207

 

 

株式・ワラント(百万円)

203

46

債券(百万円)

157

161

受益証券等(百万円)

0

0

負債の部のトレーディング商品(百万円)

117

90

 

商品有価証券等(百万円)

117

90

 

 

株式・ワラント(百万円)

117

21

 

受益証券等(百万円)

68

為替予約取引(百万円)

0

 

トレーディングのリスク管理:

トレーディング業務は、市況の変化に影響を受けやすく、取引商品の多様化並びにマーケットリスクが複雑化しておりますので、リスク管理は極めて重要と認識しております。当社グループのリスク管理の基本は、財務状況に合せたリスクを適切にコントロールすることであります。このため当社の連結子会社であるアイザワ証券株式会社では「自己計算による売買取引の実施権限に関する規程」を定め、ポジション枠、ロスカットルール、与信枠等の設定をしております。また、リスク管理は、商品部門、営業部門から独立したコンプライアンス部が掌握し、トレーディングポジションの状況は経営者に毎日報告されており、損益と合わせて報告書が月例取締役会に提出され分析・検討が行われております。

また、自己売買に関するポジション管理を目的とした、リスク管理委員会において、多様な取引手法やポジション枠の増加につきリスクをより正確に把握、監視する体制としております。

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、金融商品取引業を営む会社を中核とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」に該当する事項はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
(イ)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は988億35百万円と、前連結会計年度末に比べ58億87百万円の減少となりました。

主な要因は、現金49億84百万円の減少、預託金25億10百万円の減少、賃貸不動産19億86百万円の増加によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は448億4百万円と、前連結会計年度末に比べ18億89百万円の減少となりました。

主な要因は、預り金37億53百万円の減少、短期借入金26億50百万円の増加によるものです。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は540億30百万円と、前連結会計年度末に比べ39億98百万円の減少となりました。

主な要因は、利益剰余金34億74百万円の減少、その他有価証券評価差額金8億11百万円の減少によるものです。

 

(ロ)経営成績

(営業収益)

当連結会計年度の営業収益は127億51百万円(前年度比20.6%減)となりました。営業収益のおもな内訳は次のとおりです。

1)受入手数料

当連結会計年度の受入手数料は、89億71百万円(同11.8%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。

ⅰ)委託手数料

委託手数料は株式委託取引の減少により、46億8百万円(同17.3%減)となりました。

ⅱ)引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、国内株式の引受額の増加により40百万円(同59.2%増)となりました。

ⅲ)募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売の増加により18億95百万円(同11.1%増)となりました。

ⅳ)その他の受入手数料

その他の受入手数料は、ファンドラップの投資顧問報酬の減少等により、24億26百万円(同15.6%減)となりました。

2)トレーディング損益

当連結会計年度のトレーディング損益は、23億18百万円(同51.2%減)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。

ⅰ)株券

外国株国内店頭取引売買代金の減少により、16億46百万円(同59.2%減)となりました。

ⅱ)債券

外国債券の取扱いの増加により、1億20百万円(同18.7%増)となりました。

ⅲ)その他

外国為替取引から生じる損益の減少等により、5億50百万円(同10.9%減)となりました。

3)金融収益

金融収益は受取利息の増加等により4億63百万円(同9.9%増)となりました。

金融費用は支払利息の減少等により80百万円(同7.1%減)となりました。これにより、金融収支は3億83百万円(同14.2%増)となりました。

4)その他の営業収益

その他の営業収益は営業投資有価証券売上高及び不動産賃貸収入の増加等により9億99百万円(同42.4%増)となりました。

なお、その他の営業費用は営業投資有価証券売上原価及び不動産売上原価の増加等により4億63百万円(同34.2%増)となりました。

 

 

(販売費・一般管理費)

販売費・一般管理費は、人件費、不動産関係費及び事務費の減少等により、149億91百万円(同7.2%減)となりました。

(営業外損益)

営業外収益は受取配当金4億49百万円、収益分配金4億16百万円等により9億60百万円となりました。営業外費用は支払利息23百万円、為替差損38百万円等により89百万円となりました。これにより営業外損益は8億71百万円の利益となりました。

(特別損益)

特別利益は投資有価証券売却益8億63百万円等により9億99百万円となりました。特別損失は投資有価証券評価損2億79百万円、減損損失6億83百万円等により9億96百万円となりました。これにより特別損益は3百万円の利益となりました。

 

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

現在、当社グループの収益は主に、株式・投資信託等の約定に伴う受入手数料及び米国株式国内店頭取引、外国債券の販売、主にアジア株式取引の際に発生する外国為替取引等のトレーディング損益に依存しております。そのため、株式・債券相場が下落又は低迷すると、流通市場の市場参加者が減少し、売買高が縮小することから当社グループの受入手数料及びトレーディング損益が減少する可能性があります。また、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動によりトレーディング損益に影響を及ぼす可能性があります。

証券会社は経済情勢及び市況環境の変動による影響を受けやすく、その中でも当社グループは営業収益に占める株式関連収益の割合が高いことから、株式市況の影響を大きく受けております。この状況に対応するため、預り資産の増加及び安定収益(ストック収益)の増加を当社の課題としており、持続的な高収益体制の構築のため、投資一任運用サービス「アイザワSMAスーパーブルーラップ」、「アイザワ ファンドラップ」、投資信託の販売及び残高の純増を強化しております。

 

c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年4月に策定した中期経営計画に基づき「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをすることをミッションとしています。

具体的には、2025年3月末までに、ROE(自己資本利益率)目標を8%以上、証券事業において、固定費カバー率を50%以上、預り資産を2兆円以上とする目標を掲げております。

今後、資産形成ビジネスの確立に向け、アジア株営業の強化や地域金融機関との販売連携、IFAビジネスによるプラットフォームビジネスの構築等、他社との差別化を明確にして取り組むとともに、持株会社体制による当社グループ各社が連携し、それぞれの強みを生かすことで、早期の達成を目指してまいります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

証券事業は株式委託取引及び外国株式国内店頭取引の減少等により受入手数料及びトレーディング損益が減少し、営業収益は115億22百万円(前連結会計年度年度比22.2%減)、セグメント損失は27億33百万円となりました。

運用事業は運用報酬の減少に伴い、営業収益は2億98百万円(同53.1%減)、セグメント損失は1億30百万円となりました。

投資事業は賃貸不動産取得に伴う不動産賃貸収入の増加により、営業収益は9億79百万円(同43.9%増)、セグメント利益は2億6百万円(同50.4%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付であります。信用取引買付代金は株式市況の変動の影響を受けますが、当社グループは主に日本証券金融株式会社の貸借取引により調達しております。また、不測の事態に備え、安定的かつ機動的な財務運営を行うため、三井住友信託銀行株式会社と総額7億50百万円のコミットメントラインを設定しております。

なお、当連結会計年度における当社グループの借入金の総額は127億60百万円です。借入の内訳は金融機関等からの短期借入金64億45百万円、証券金融会社からの信用取引借入金7億26百万円、金融機関からの長期借入金55億88百万円です。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損会計、税効果会計、貸倒引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。当社グループの採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

資本業務提携

契約
会社名

相手先の
名称

相手先の
所在地

契約
年月日

契約期間

提携内容

提出会社

ファイブスター投信投資顧問株式会社

東京都

中央区

2020年
6月12日

2022年6月12日から

2023年6月11日まで

(1年毎の自動更新)

(1) 個人のお客様に対する商品・サービスの提供

(2) 法人・金融機関のお客様に対する商品・サービスの提供

(3) 当社の自己運用の高度化 等

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。