本文における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。
当社グループを取り巻く事業環境は、デジタライゼーションの進展、フィデューシャリー・デューティーへの対応、働き方改革への取り組み、国内外のマーケットの変調、お客様のニーズの多様化、システムの高度化などに係る高コスト化、また証券ビジネスへの異業種からの参入による競争激化等、目まぐるしく変化しています。当社グループはこういった環境下で、従来の証券会社とは異なる、未来に続く新たなビジネスモデルの構築により、メガバンク系や大手証券に対抗できる証券業界の第3極のリーダーとなるべく、経営計画「New Age's Flag Bearer 5~新時代の旗手~」を掲げ、さらなる経営基盤の強化と成長のために、次の5つの施策に取り組んでおります。
<リテール部門>
リテール部門においては「リテール顧客セグメント別戦略の独自性の追求」をテーマに、顧客基盤の拡大と収益力の強化に取り組んでおります。富裕層のお客さま向けには、日本橋髙島屋三井ビルディング最上階に「オルクドール・サロンTOKYO」を開設したほか、人材のレベルアップなどにより機能・サービスの充実を図っております。また、事業承継や相続対策、税務対策など総合的なソリューションを、中小企業のオーナーや医師など、幅広いお客さまに提案・提供しております。成熟層のお客さまについては、相続や退職等のライフイベントに対するコンサルティングサービスを強化しております。資産形成層のお客さまに対しては、保険をエントリー商品として住宅ローン、証券の機能を併せ持つ「MONEQUE(マニーク)」を展開し、将来に向けた潜在的なお客さまの獲得に力を注いでおります。
また、証券担保ローンや保険等の新しいマーケット開拓にも力を注いでおり、収益の多様化と安定収益の積み上げに努めております。
<法人トライラテラル戦略とグローバルマーケットでの業務拡大>
マーケット部門、法人営業部門、投資銀行部門では「法人トライラテラル」による業務拡大に取り組んでおります。これは、マーケット部門や投資銀行部門が組成もしくは引受した商品を法人営業部門へ展開するなど、3部門がそれぞれの専門性を活かしながら有機的に連携することで、お客さまとの取引を拡大させ、より安定的に収益を創出できるよう、事業ポートフォリオを強化するものです。基幹事業のひとつであるマーケット部門は、東海東京証券株式会社のお客さまに加えて提携合弁証券、プラットフォーム提供先の強固な顧客基盤を有し、外国株式、外国債券、仕組債等の商品ラインナップの拡充に取り組んでおります。法人営業部門では、機関投資家からのブローカー評価の向上による発注シェアの拡大や地域金融機関や事業法人向けの新発債券の販売促進を図るとともに、私募投信、デリバティブ等を活用して様々な運用ニーズへの対応を強化しております。投資銀行部門では、業務の活性化を掲げるべく、地方公共団体ならびに事業法人が発行する債券の引受、中堅・中小企業を対象としたM&A・事業承継機能の強化や、IPO・PO業務に注力しております。
今後一層高い専門性を発揮し、多様なお客様のニーズに応える商品やソリューション等を提供してまいります。
<グレート・プラットフォーム>
経営計画においては、現在のプラットフォームビジネスの機能を拡充し、「グレート・プラットフォーム」へと進化させてまいります。
昨年度まで有力な地方銀行と設立した提携合弁証券会社は計6社でしたが、当期は、株式会社十六銀行と7社目となる提携合弁証券会社「十六TT証券株式会社」を6月に開業しました。いずれも各地域において圧倒的な事業基盤と顧客基盤を有する金融機関との合弁であり、銀証連携によりマーケットの更なる深耕に注力することで、将来にわたる持続的な成長を目指してまいります。
また、新たな取引チャネルとしてIFA事業を、再編のうえ強化に取り組んでおります。
加えて、お客さまへの充実したサービスのご提供を目指し有望なFinTech企業との提携やデジタル金融サービスの開発を進めており、暗号資産及びブロックチェーン関連ビジネスに強みを持つフォビジャパン株式会社との資本業務提携や、当社のシンガポール現地法人であるTokai Tokyo Global Investments Pte. Ltd.では、シンガポールでSTO取引所(セキュリティ・トークン取引所)を運営する ICHX TECH Pte.Ltd.に対し出資を行っております。さらに、スマートフォンによる取引機能を提供するスマホ専業証券である3.0証券準備株式会社や資産管理アプリ「おかねのコンパス」の株式会社マネーコンパス・ジャパンを設立しております。新たなデジタルサービス機能を提供できるよう、準備を加速しております。
<生産性革命と人材育成>
本経営計画を成功に導くには、グレート・プラットフォームの構築やマーケット部門の拡充といった戦略・施策を着実に遂行するだけでなく、事業活動のあらゆる側面で効率化と適正化を図る「生産性革命」の取組みが不可欠です。当社グループは、従来から東海東京証券株式会社における店舗の統廃合をはじめ、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用したBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の実行、ペーパーレスの推進、データベースマーケティングを取り入れた営業スタイルの確立など、生産性の向上に向けたさまざまな取組みを進めております。
また、最大の経営資源である人材確保に向けて、年功序列を廃し、高い専門性と豊かな人間性に応じて処遇するジョブ型の新人事制度の導入や職場環境の整備を実施しております。さらに、当社はウェルビーイング宣言を制定しており、CHO(Chief Health Officer : 健康経営最高責任者)および健康経営推進協議会を設置し、健康経営を推進しております。これを含めた取組みの結果、当社は経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」に認定されました。今後も、社員の成長を重んじ、お客様の期待に沿えるような人材の確保に力を注いでまいります。
ポスト・コロナ社会も視野に入れ、リモートワーク等、社員の多様な働き方を今後も積極的にサポートしていきます。
<当社グループの後継者育成>
当社グループの後継者育成計画(サクセッションプラン)の一環として、昨年4月に東海東京証券の代表取締役を交代し、代表取締役会長に山根 秀昭、代表取締役社長に合田 一朗がそれぞれ就任しております。サクセッションプランについては、当社グループの業容の拡大に鑑み、グループ経営力の強化と次世代経営者の育成も経営上重要な課題の1つとの認識から、2017年より外部専門家のアドバイスも取り入れつつ、指名・報酬委員会及び社外取締役を含め議論を行い、サクセッションプランのプロセスを構築、整備しております。
当社グループは、中核企業である東海東京証券を中心に、急速に変化する金融業界において、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆さまにご支持いただける「総合金融グループ」を目指してまいります。
なお、経営計画では数値目標として自己資本利益率(ROE)10%、経常利益300億円、グループ預かり資産10兆円の指標を掲げております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、現時点では確認できていないリスクや現在は重要でないと考えられるリスクも当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を与える可能性があります。また、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、株価、金利及び為替市況等の変動並びに景気後退などの国内外の経済情勢の影響を受けやすく、投資需要の減少等による手数料収入の減少やトレーディング損益の変動等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、お客様の多様なニーズに応えるために大量の有価証券を保有しておりますが、市場の混乱等による急激な市況変動や金利変動等により金融資産の価値が変動した場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、その業務の種類に応じて法令・諸規則の規制を受けております。国内の金融商品取引業者は、金融商品取引法及び関連する政省令等により登録規制、顧客勧誘規制、顧客取引規制及び自己売買規制その他の金融商品取引業者としての行為について規制されており、万が一、抵触した場合には業務停止等の行政処分を受ける可能性があります。
また、東海東京証券株式会社を含む第一種金融商品取引業者は、これらの法令により所定の自己資本規制比率を維持することが求められており、万が一、定められた自己資本規制比率を下回った場合には業務停止等を命じられる可能性により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、近年の大幅な規制の緩和等により、競争が激化する一方で、取扱商品の多様化が進んできております。このような状況のなかで、より強力な競合先の出現等で従来と変わらぬ競争力を維持できない場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自己の計算において金融資産を保有しているほか、取引先との提携・友好関係の維持・構築を目的とした株式等の保有やお客様の多様なニーズに応えるために大量の有価証券を保有しておりますが、取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、保有する有価証券の発行体が信用状況を著しく悪化させた場合には、元本の毀損による損失や利払いの遅延等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、大量の有価証券を保有するために多額の資金を必要とすることから、適切な流動性を確保し、財務の安全性を維持することが必要となります。しかしながら、市場環境の激変、クレジット・クランチ、銀行の貸出余力の低下、格付会社による当社及び東海東京証券株式会社の信用格付の低下、当社グループの業績に対する不透明感等が生じた場合は、必要資金の確保に際し、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされること等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である金融商品取引業にはコンピュータシステムは必要不可欠の設備であるため、業務上使用するコンピュータシステムや回線において、プログラム障害、外部からの不正アクセス、災害や停電等が原因となる障害が発生した場合、その規模によっては当社グループの業務に支障が生じるだけでなく、社会的信用の低下による取引の減少等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様な業務を行うことに伴い、日々膨大な事務処理が発生しており、役職員が正確な事務処理を怠ること、及び事務管理上又は事務処理上のミス、事故又は不正等による損失の発生により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、法令違反があった場合は、監督官庁から業務停止等の行政処分を課される可能性もあり、社会的信用が低下するなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多くのお客様等の個人情報、取引先等の重要な営業情報及び当社グループ自身の重要情報を保有しており、不正な手段や過失等によりお客様等の個人情報及び当社グループの営業情報等が流出した場合は、当社グループの業務に支障が生じるだけでなく、損害賠償の請求や社会的信用の低下により取引が減少するなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる子会社である東海東京証券株式会社の営業店舗網及び営業基盤は、東海地区及び関東地区を主力としており、これら地区の市民生活やインフラに重大な影響を及ぼす災害等が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の各地の活動拠点には多くの役職員が業務に従事しており、地震・台風等の大規模な自然災害の発生、これらの事象に伴う停電その他の障害の発生、又は病原性感染症の感染拡大等の場合は、当社グループの窓口業務の一時休止を余儀なくされるなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内外で日々様々な取引が成立しており、法令、商慣習、契約及び約款等に基づく相互の認識の違い等が生じた場合、従業員が企業倫理及び法令諸規則等に従わない場合や労務管理上の問題が発生する場合等、取引先や従業員等との間に損害賠償請求訴訟等が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融商品取引業を中心に高度な専門性を必要とする業務を行っており、有能な人材の確保に努めております。しかしながら、優秀な人材確保への競争は激しく、必要な人材の確保が困難な場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、現地子会社の設置、海外の有力証券会社グループ等との提携等積極的に海外展開を図っております。展開にあたっては、弁護士等現地の専門家の助言を受けて進めておりますが、現地の法令、商慣習等に抵触した場合には、事業展開の中止、中断、縮小若しくは遅延又は社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客様、取引先からの信用に大きく依存しております。そのため、憶測や必ずしも正確な事実に基づいていない風説・風評の流布に晒された場合は、その内容が正確でないにもかかわらず、当社グループの社会的信用が低下する風評被害の発生により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスクカテゴリーごとに責任部署を定め、当社及び子会社全体のリスクを統合的に管理しておりますが、想定外の市場の変動、リスク管理用データの過誤・陳腐化、事業内容の変貌又は法令の改正等により、当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない可能性があり、それにより損失・損害等が生じる場合は、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ顧客基盤拡大を図る観点から買収や資本提携により業容の拡大を図ってまいりました。買収や資本提携を成功に導くには、事業の効率的な統合等が必要となります。買収・資本提携した事業が、当社の予想通りの収益を計上できない可能性もあります。当社グループが当初期待した成果が得られない場合、又は、想定しなかった重大な問題点が買収や資本提携後に発見された場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
国内外の各地の活動拠点には多くの役職員が業務に従事しており、新型コロナウイルス感染症の拡大や「第二波」到来等の場合は、当社グループの窓口業務の一時休止を余儀なくされるなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、当社グループが発行する社債に含まれるデリバティブ損益について、従来「金融収益」及び「金融費用」に計上しておりましたが、「トレーディング損益」として表示する方法に変更し、表示方法の変更の内容を反映させた組替え後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
資産の部では、流動資産のうちトレーディング商品(資産)が前年度末比2,351億73百万円減少し4,223億51百万円に、有価証券担保貸付金が前年度末比1,509億89百万円減少し3,418億68百万円となる一方、現金及び預金が前年度末比168億25百万円増加し647億45百万円に、信用取引資産が前年度末比498億60百万円増加し992億67百万円に、短期差入保証金が前年度末比321億79百万円増加し471億7百万円となりました。また、固定資産のうち投資有価証券が29億57百万円増加し450億47百万円となりました。
負債の部では、流動負債のうちトレーディング商品(負債)が前年度末比2,050億83百万円減少し3,414億16百万円に、有価証券担保借入金が前年度末比1,337億41百万円減少し2,115億57百万円となる一方、約定見返勘定(負債)が281億28百万円増加し441億2百万円に、短期借入金が117億13百万円増加し1,356億80百万円となりました。また、固定負債のうち社債が前年度末比40億77百万円減少し134億96百万円となる一方、長期借入金が前年度末比137億79百万円増加し819億9百万円となりました。
純資産の部では、利益剰余金が前年度末比7億36百万円増加し1,012億76百万円となる一方、資本剰余金が自己株式の消却を行ったことなどにより前年度末比43億74百万円減少し245億87百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は前年度末比2,777億62百万円減少し1兆1,133億13百万円に、負債合計は前年度末比2,738億67百万円減少し9,529億8百万円となり、純資産合計は前年度末比38億95百万円減少し1,604億4百万円となりました。また、当連結会計年度末の自己資本比率は14.1%(前年度末は11.6%)となり、1株当たり純資産額は630円24銭(前年度末は625円05銭)となりました。
当連結会計年度の受入手数料の合計は0.8%増加(前年同期増減率、以下(2)において同じ。)し291億72百万円を計上いたしました。
当社の主要子会社である東海東京証券株式会社の株式委託売買高は17.6%減少し26億32百万株、株式委託売買金額は17.4%増加し4兆4,631億円となる中、個人投資家の売買金額が19.7%増加し1兆4,410億円となり、当社グループの株式委託手数料は9.5%増加し111億81百万円の計上。委託手数料全体では14.1%増加し122億39百万円を計上いたしました。
株式は公募・売出しの引受高の減少により78.8%減少し1億93百万円を計上いたしました。また、債券は52.5%増加し5億8百万円の計上となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では43.7%減少し7億2百万円を計上いたしました。
受益証券は、個人向けを中心とする投資信託の販売額が減少したことから5.5%減少し64億96百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では6.2%減少し65億19百万円を計上いたしました。
投資信託の代行手数料は12.3%減少し39億97百万円、保険手数料収入は1.9%減少し31億68百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では3.1%減少し97億10百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の株券等トレーディング損益は、主に外国株式の売買等の減少により9.0%減少し140億10百万円の利益の計上となり、外貨建債券や仕組債の売買を中心とした債券・為替等トレーディング損益は、7.6%減少し154億99百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は8.3%減少し295億10百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の金融収益は17.2%減少し30億11百万円を計上いたしました。また、金融費用は13.2%減少し19億26百万円を計上し、差引の金融収支は23.6%減少し10億84百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、取引関係費は支払手数料の減少などから4.7%減少し113億86百万円となり、人件費は新人事制度移行による費用増加があったものの、業績連動賞与の減少などにより5.8%減少し278億27百万円、事務費は子会社の統合によるコスト削減効果が寄与し6.0%減少し75億16百万円となる一方、減価償却費は日本橋新オフィスの設備及び社内イントラ更改などの償却費計上により39.0%増加し32億26百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費は3.7%減少し605億91百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の営業外収益は、受取配当金は9.6%減少し6億45百万円となった一方、投資事業組合運用益が33.8%増加し4億56百万円となりました。この結果、営業外収益の合計は15.1%増加し19億71百万円を計上いたしました。また、営業外費用は、持分法による投資損失が52.1%増加し94百万円、投資事業組合運用損が28.1%増加し2億19百万円となり、営業外費用の合計は15.2%増加し4億46百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の主な特別利益は、持分変動利益20億54百万円を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は4.8%減少し616億94百万円、純営業収益は4.5%減少し597億67百万円となり、営業損失は8億23百万円(前年同期営業損失3億91百万円)、経常利益は24.9%減少し7億円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は155.9%増加し27億63百万円を計上いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは109億45百万円の収入(前連結会計年度は727億50百万円の支出)となりました。これは税金等調整前当期純利益が30億49百万円の黒字となり、トレーディング商品(資産)が2,351億87百万円減少し、有価証券担保貸付金が1,509億89百万円減少し、それぞれ収入となる一方で、トレーディング商品(負債)が2,050億83百万円減少し、信用取引資産が501億6百万円増加し、有価証券担保借入金が1,335億29百万円減少し、それぞれ支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは66億86百万円の支出(前連結会計年度は96億15百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出12億7百万円、無形固定資産の取得による支出13億81百万円、投資有価証券の取得による支出143億91百万円、投資有価証券の売却による収入123億93百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは182億27百万円の収入(前連結会計年度は396億95百万円の収入)となりました。これは短期借入金の純増減額が50億16百万円、長期借入れによる収入266億円、自己株式の取得による支出34億40百万円、配当金の支払による支出20億16百万円などによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物は224億74百万円増加し、当連結会計年度末の残高は632億1百万円となりました。
トレーディング商品の残高は次のとおりです。
トレーディング業務のリスク管理の状況については「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」の注記事項(金融商品関係)に記載しております。
なお、「第2 事業の状況」に記載の消費税等の課税取引については、消費税等を含んでおりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)のわが国経済は、年度前半は米中貿易摩擦等を背景とした海外景気の減速の影響を受けつつも、緩やかな拡大基調を維持しました。しかし、10月に実施された消費増税の影響等により10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率7.1%減と大幅に減速、さらに年明け以降は、中国から世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症への対策として外出自粛等の動きが広まり、経済活動が影響を受け景気の減速感が強まりました。こうした中、日本銀行は3月の金融政策決定会合で3年半ぶりとなる追加緩和を実施、政府も大規模な補正予算の編成を検討する等、政府・日本銀行が揃って景気下支えに乗り出しました。
海外経済は、米国が底堅い個人消費を中心に安定成長を維持したものの、米中貿易摩擦等の影響による製造業の低迷を背景に、中国や欧州経済の減速基調が継続しました。その後年明け以降は、新型コロナウイルスの感染症拡大を受けた経済活動抑制の広がりから世界的に景気が減速し、各国の政府・中央銀行による大型景気支援策の発動が打ち出されつつあります。
株式市場では、日経平均株価が4月に21,500円台で始まった後、米中貿易交渉に対する悲観と楽観が繰り返される中、10月中旬まで概ね20,000~22,000円のレンジで推移しました。その後年末にかけては米中貿易交渉の進展期待や「第1段階の部分合意」実現等が好感され、日経平均株価は12月に24,000円台まで上昇しました。しかし、2月下旬には新型コロナウイルス感染症の中国以外の国での感染拡大を受けて世界景気の後退懸念が台頭、日経平均株価は3月19日に年初来安値16,358.19円を付け、3月は大きく下げる展開となりました。その後は各国政府・中央銀行が相次いで対応策を打ち出したことでやや持ち直す展開となり、3月末の日経平均株価は18,900円台で取引を終えました。なお、本年度の東証1部の1日当たりの平均売買代金は2兆6,097億円となり、前年度の2兆8,551億円を下回りました。
債券市場では、長期金利の指標である10年物国債利回りが4月にマイナス0.085%で始まった後、米利下げ観測や米中対立激化によるリスク回避志向の高まり等から、9月初旬にはマイナス0.295%と期中の最低金利をつけました。その後は、欧米債券への資金流入の一服や米中貿易交渉の進展期待等を背景に12月には一時プラス圏まで反発しました。年明け以降は、新型コロナウイルスの感染症拡大への警戒感からマイナス0.2%まで低下する場面がありましたが、世界的なドル資金需要の高まりから安全資産である米国債にも換金売りが拡大し利回りが急伸、日本国債の利回りもつれ高となり、3月末はプラス0.005%で取引を終えました。
為替市場では、ドル円が4月に1ドル110円台で始まると、期中高値の112円台まで上昇しました。その後は米中貿易摩擦の激化や世界経済の減速、米利下げ観測の高まり等から8月下旬に一時104円台まで下落したものの、米中貿易交渉の進展期待や英国の合意なきEU離脱回避の見方が強まったことで、12月には1ドル109円台まで回復しました。年明け以降は、新型コロナウイルス感染症拡大でドル資産を確保する動きから一時112円台まで急騰しましたが、3月に入ると各国中央銀行の踏み込んだドル資金供給で期中最安値となる101円台まで急落、さらにドル売り一巡で急反発する展開となり、3月末は107円台で取引を終えました。
こうした市場環境の中、当社グループは経営計画「New Age's, Flag Bearer 5 ~新時代の旗手~」(以下、「本経営計画」。)の3年目を迎えました。本経営計画では、グレート・プラットフォームの構築と生産性革命によって「さらなる経営基盤の強化と成長」を実現するとともに、次のステージに上がるための「戦略テーマの追求」に邁進しております。
本年度は、本経営計画の柱のひとつであり、当社グループの特色である地方銀行との国内アライアンス戦略において、7社目となる合弁証券会社「十六TT証券株式会社」(以下、「十六TT証券」。)が、6月3日に開業いたしました。当該合弁証券会社に対し、会社分割の方法により、当社完全子会社である東海東京証券株式会社(以下、「東海東京証券」。)における岐阜県内の4店舗を承継したため、特別利益が20億円程度生じております。十六TT証券は、地域に根ざした証券会社として株式会社十六銀行と当社が連携し、お客さまのニーズに合わせた多様で良質な金融商品・サービスを提供することで、お客さまおよび地域経済の成長・発展に寄与してまいります。
また、お客さまのニーズの多様化や高度化、あるいはFinTechやAI等デジタル金融サービスの浸透などのビジネス環境の急激な変化に対応すべく、次世代層に向けた証券サービスとして、スマートフォンによる取引機能を提供するスマホ専業証券を設立することを決定し、11月に3.0証券準備株式会社(以下、「3.0証券」。)を設立いたしました。
また、資産形成層向け金融サービスの企画や開発を担う株式会社マネーコンパス・ジャパンにおいては、資産管理アプリ「おかねのコンパス」を開発し、2020年1月、東海東京証券向けに「おかねのコンパス for TT」をリリースいたしました。「おかねのコンパス」は、3.0証券とも連携し、スマートフォンによる取引機能を提供することで、幅広いお客さまニーズへの対応を目指し、今後さらに地方銀行や事業法人ごとのブランドにカスタマイズし、提供する予定です。また、同時にリリースした、保険をスマートフォンで一元管理できるアプリ「そなえるコンパス」とも連携することで、登録した保険情報を「おかねのコンパス」で確認することができます。
12月には、グローバルで暗号資産取引所を運営するHuobi(フォビ)グループの日本法人であるフォビジャパン株式会社との資本業務提携に係る契約を締結いたしました。この資本業務提携を通じて、暗号資産の交換、暗号資産を活用したIEO(※1)をはじめとした新しい資金調達、地域通貨への取組み、暗号資産の保管・管理等の領域における新規事業の展開を推進してまいります。また、将来的には当該ビジネスを、提携先をはじめとした地方銀行にも展開することも検討してまいります。
また、当社のシンガポール現地法人であるTokai Tokyo Global Investments Pte. Ltd.は、シンガポールでSTO(※2)取引所(セキュリティ・トークン取引所)を運営するICHX TECH Pte.Ltd.(以下、「ICHX社」。)への出資に係る契約を、ICHX社と締結しました。ST取引は、証券取引の決済期間の短縮化、24時間365日マーケットにアクセス可能なこと(流動性の向上)やコストの大幅な削減等、発行体・投資家にとって大きなメリットが期待でき、当社グループは本件出資により、ICHX社の日本における重要なパートナーとして、本邦の発行体・投資家をアジアで初めて政府認可を受けるSTO取引所へ取り次ぐ等、共に先進的なサービスの提供を検討してまいります。
※1 IEO: (Initial Exchange Offering)企業や事業プロジェクトが暗号資産による資金調達を行う際に、暗号資産取引所が主体となり、デューデリジェンスや投資家の本人確認から販売までを行うこと。
※2 STO:セキュリティ・トークン(ST)とは、ブロックチェーン技術等により主に株式、債券、不動産等を裏付けとしてデジタル化した証券。「STO」は、セキュリティ・トークン・オファリングの略で、STを発行し投資家に販売することで資金を調達すること。
事業面では、9月には当社の完全子会社である東海東京証券と髙木証券株式会社(以下、「髙木証券」。)は、東海東京証券を存続会社として合併いたしました。合併により、東海東京証券は、髙木証券が築いてきた関西を中心とした営業基盤を受け継ぎ、店舗や業務の統合等によって更なるサービスの向上を目指すほか、同社のIFA事業を再編のうえ新たに展開する等、当社グループの企業価値の向上を追求してまいります。IFA事業については、一般社団法人「ファイナンシャル・アドバイザー協会(仮称)」の設立準備会において、設立に賛同する同業他社と共同で、設立・発足を含めた継続的支援を行うこととなりました。
お客様向けのサービス機能拡大においては、富裕層向けサービスブランド「Orque d'or(オルクドール)」のメンバー向けサロン「オルクドール・サロンTOKYO」を4月にオープンいたしました。東京における富裕層ビジネス展開の基点として活用しております。
また、短期の資金需要に対応する提案ができる、「証券担保ローン」のサービスを開始いたしました。さらに、株式会社格付投資情報センター(以下、「R&I」。)より、「R&I 顧客本位の投信販売会社評価」において「A+」評価を取得する等、今後も様々なサービスの提供や「お客様本位の業務運営」に関わる取組みを通じて、お客様の豊かなライフマネジメントの実現に貢献してまいります。
当社では、2019年1月に本社を移転し、諸機能を盛り込んだシステム基盤としてイントラネットシステムを更改することで、柔軟な勤務環境、社員間コミュニケーションの強化、会議運営の効率化、利便性の向上等を実現し「働き方改革」を推進しております。
また、4月には健康経営の推進にあたり、社員が健康で活き活きと長く働ける環境を整えるための施策として「ウェルビーイング宣言」を制定いたしました。
新型コロナウィルス感染症について
当社グループでは、新型コロナウィルス感染症対策としましては、グループ合同災害対策本部を設置し、国及び地方公共団体等の要請に従い、必要な諸策を講じております。
具体的には、2月からのセミナー開催の見送りやお客様への訪問の自粛を実施し、新型コロナウイルス感染症防止を優先した業務運営を心掛けております。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大された以降は、お客様の健康と安全を第一に考え、店頭窓口業務を一時休止いたしました。休止期間中もお客様の利便性と適時の情報提供等を考慮し、電話でのお取引及びご相談は通常通りの営業を行いました。また、オンライントレードも通常通り稼働いたしました。緊急事態宣言の解除を受け店頭窓口業務を再開いたしましたが、飛沫防止スクリーンを設置するなど感染防止に努めております。
なお、当連結会計年度においては、前述のとおり経営計画を進捗させたものの、厳しい決算となったことから、自己資本利益率(ROE)1.7%、経常利益7億円、グループ預かり資産5.7兆円となりました。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とします。
主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っています。
有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しています。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理体制を定めています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引等については、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として計上しております。時価は、取引所等の市場価格のある有価証券及びデリバティブ取引等については市場価格により算定しております。市場価格のない有価証券及びデリバティブ取引等については主に金利、配当利回り、原証券価格、スワップレート、ボラティリティー、契約期間等を基に算出した現在価値の見積価格により算定しており、異なる前提条件等によった場合には当該時価が変動する可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性の高い市場価格のある株式と、価格の決定が困難である市場価格のない株式が含まれております。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、「金融商品に関する会計基準」に基づき減損処理を行っております。市場価格のある株式については、株式の時価が一定期間継続して取得原価を30%以上下回り続けたとき等、下落が一時的ではないと判断します。市場価格のない株式については、1株当たり純資産額が取得原価の50%以下となった場合等、実質価額が著しく下落し回復可能性がないと判断した場合に減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場等が変動した場合及びのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、店頭窓口業務を一時休止するなど当社グループの業務への影響がありましたが、当事業年度末時点での将来キャッシュ・フローの見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
従業員(執行役員を除く。)に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待収益率等が含まれております。当社グループの退職年金制度においては、割引率は期末における安全性の高い長期の債券の利回りにより、退職率は直近3年間の実績に基づいております。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定はイールドカーブ等価アプローチによる方法により算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得の発生及び税務計画を検討いたします。当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、業績変動の幅が大きく、長期にわたる課税所得の発生を予測することが困難でありますが、策定した経営計画の期間以内の一定期間を、将来の課税所得の見積り期間としておりますので、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りによって、評価性引当金が増減し、繰延税金資産の調整額が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。