本文における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。
当社グループを取り巻く事業環境は、デジタライゼーションの進展、フィデューシャリー・デューティーへの対応、働き方改革への取り組み、国内外のマーケットの変調、お客様のニーズの多様化、システムの高度化などに係る高コスト化、また証券ビジネスへの異業種からの参入による競争激化等、目まぐるしく変化しています。当社グループは本年4月から中期経営計画「New Age's, Flag Bearer 5 ~新時代の旗手~」(以下、「本経営計画」。)の最終年度を迎え、中核証券会社である東海東京証券の収益力の強化・安定化と4つのグループ未来戦略(①オルクドールソサエティ、オルクドールエコシステム、②地銀サポートプログラム、③東海東京デジタルワールド、④グレート・プラットフォーム)を重点施策と位置付けて実現に向けて加速し、グループ一丸となって本経営計画で掲げたKGI達成を目指してまいります。
(注)本経営計画におけるKGI
自己資本利益率(ROE)10%、経常利益300億円、グループ預かり資産10兆円
対処すべき課題等とその施策の概要は次のとおりであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、現時点では確認できていないリスクや現在は重要でないと考えられるリスクも当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を与える可能性があります。また、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、株価、金利及び為替市況等の変動並びに景気後退などの国内外の経済情勢の影響を受けやすく、投資需要の減少等による手数料収入の減少やトレーディング損益の変動等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、お客様の多様なニーズに応えるために大量の有価証券を保有しておりますが、市場の混乱等による急激な市況変動や金利変動等により金融資産の価値が変動した場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、その業務の種類に応じて法令・諸規則の規制を受けております。国内の金融商品取引業者は、金融商品取引法及び関連する政省令等により登録規制、顧客勧誘規制、顧客取引規制及び自己売買規制その他の金融商品取引業者としての行為について規制されており、万が一、抵触した場合には業務停止等の行政処分を受ける可能性があります。
また、東海東京証券株式会社を含む第一種金融商品取引業者は、これらの法令により所定の自己資本規制比率を維持することが求められており、万が一、定められた自己資本規制比率を下回った場合には業務停止等を命じられる可能性により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、近年の大幅な規制の緩和等により、競争が激化する一方で、取扱商品の多様化が進んできております。このような状況のなかで、将来、より強力な競合先の出現等で従来と変わらぬ競争力を維持できない場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自己の計算において金融資産を保有しているほか、取引先との提携・友好関係の維持・構築を目的とした株式等の保有やお客様の多様なニーズに応えるために大量の有価証券を保有しておりますが、取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、保有する有価証券の発行体が信用状況を著しく悪化させた場合には、元本の毀損による損失や利払いの遅延等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、大量の有価証券を保有するために多額の資金を必要とすることから、適切な流動性を確保し、財務の安全性を維持することが必要となります。しかしながら、市場環境の激変、クレジット・クランチ、銀行の貸出余力の低下、格付会社による当社及び東海東京証券株式会社の信用格付の低下、当社グループの業績に対する不透明感等が生じた場合は、必要資金の確保に際し、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされること等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である金融商品取引業にはコンピュータシステムは必要不可欠の設備であるため、業務上使用するコンピュータシステムや回線において、プログラム障害、外部からの不正アクセス、災害や停電等が原因となる障害が発生した場合、その規模によっては当社グループの業務に支障が生じるだけでなく、社会的信用の低下による取引の減少等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様な業務を行うことに伴い、日々膨大な事務処理が発生しており、役職員が正確な事務処理を怠ること、及び事務管理上又は事務処理上のミス、事故又は不正等による損失の発生により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、法令違反があった場合は、監督官庁から業務停止等の行政処分を課される可能性もあり、社会的信用が低下するなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多くのお客様等の個人情報、取引先等の重要な営業情報及び当社グループ自身の重要情報を保有しており、不正な手段や過失等によりお客様等の個人情報及び当社グループの営業情報等が流出した場合は、当社グループの業務に支障が生じるだけでなく、損害賠償の請求や社会的信用の低下により取引が減少するなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる子会社である東海東京証券株式会社の営業店舗網及び営業基盤は、東海地区及び関東地区を主力としており、これら地区の市民生活やインフラに重大な影響を及ぼす災害等が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の各地の活動拠点には多くの役職員が業務に従事しており、地震・台風等の大規模な自然災害の発生、これらの事象に伴う停電その他の障害の発生、又は病原性感染症の感染拡大等の場合は、当社グループの事業の縮小を余儀なくされるなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内外で日々様々な取引が成立しており、法令、商慣習、契約及び約款等に基づく相互の認識の違い等が生じた場合、取引先との間に損害賠償請求訴訟等が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融商品取引業を中心に高度な専門性を必要とする業務を行っており、有能な人材の確保に努めております。しかしながら、優秀な人材確保への競争は激しく、必要な人材の確保が困難な場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、現地子会社の設置、海外の有力証券会社グループ等との提携等積極的に海外展開を図っております。展開にあたっては、弁護士等現地の専門家の助言を受けて進めておりますが、現地の法令、商慣習等に抵触した場合には、事業展開の中止、中断、縮小若しくは遅延又は社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客様、取引先からの信用に大きく依存しております。そのため、憶測や必ずしも正確な事実に基づいていない風説・風評の流布に晒された場合は、その内容が正確でないにもかかわらず、当社グループの社会的信用が低下する風評被害の発生により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスクカテゴリーごとに責任部署を定め、当社及び子会社全体のリスクを統合的に管理しておりますが、想定外の市場の変動、リスク管理用データの過誤・陳腐化、事業内容の変貌又は法令の改正等により、当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない可能性があり、それにより損失・損害等が生じる場合は、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ顧客基盤拡大を図る観点から買収や資本提携により業容の拡大を図ってまいりました。買収や資本提携を成功に導くには、事業の効率的な統合等が必要となります。買収・資本提携した事業が、当社の予想通りの収益を計上できない可能性もあります。当社グループが当初期待した成果が得られない場合、又は、想定しなかった重大な問題点が買収や資本提携後に発見された場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
国内外の各地の活動拠点には多くの役職員が業務に従事しており、新型コロナウイルス感染症の拡大や感染拡大防止措置等に伴い、当社グループの窓口業務の一時休止を余儀なくされるなど、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況は、以下のとおりであります。
資産の部では、流動資産のうちトレーディング商品(資産)が1,657億46百万円増加(前連結会計年度末比、以下(1)において同じ。)し5,880億98百万円となり、有価証券担保貸付金が659億60百万円増加し4,078億29百万円となりました。また、固定資産は、投資有価証券が31億7百万円増加し481億55百万円となったことなどから41億20百万円増加し738億93百万円となりました。
負債の部では、流動負債のうちトレーディング商品(負債)が378億76百万円増加し3,792億93百万円となり、有価証券担保借入金が1,571億13百万円増加し3,686億71百万円となり、短期借入金が1,091億5百万円増加し2,447億86百万円となる一方、約定見返勘定(負債)が348億61百万円減少し92億40百万円となりました。また、固定負債は、社債が16億33百万円減少し118億63百万円となる一方、長期借入金が22億90百万円増加し842億円となり、固定負債合計は13億94百万円増加し1,001億76百万円となりました。
純資産の部では、利益剰余金が61億14百万円増加し1,073億90百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の総資産は3,032億55百万円増加し1兆4,165億69百万円に、負債合計は2,909億76百万円増加し1兆2,438億84百万円となり、純資産合計は122億79百万円増加し1,726億84百万円となりました。また、当連結会計年度末の自己資本比率は11.7%(前連結会計年度末は14.1%)となり、1株当たり純資産額は666円65銭(前連結会計年度末は630円24銭)となりました。
当連結会計年度の受入手数料の合計は6.9%増加(前連結会計年度増減率、以下(2)において同じ。)し311億73百万円を計上いたしました。
当社の主要子会社である東海東京証券株式会社の株式委託売買高は31.2%増加し34億54百万株、株式委託売買金額は37.1%増加し6兆1,206億円となる中、個人投資家の売買金額が26.3%増加し1兆8,197億円となり、当社グループの株式委託手数料は21.0%増加し135億31百万円の計上。委託手数料全体では13.9%増加し139億36百万円を計上いたしました。
株式は公募・売出しの引受高の増加により286.6%増加し7億49百万円を計上いたしました。また、債券は35.7%減少し3億27百万円の計上。引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では53.2%増加し10億76百万円を計上いたしました。
受益証券は、個人向けを中心とする投資信託の販売額はほぼ横ばいとなり0.7%減少し64億50百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では0.9%減少し64億61百万円を計上いたしました。
投資信託の代行手数料は8.7%減少し36億47百万円、保険手数料収入は1.1%増加し32億3百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では0.1%減少し97億円を計上いたしました。
当連結会計年度の株券等トレーディング損益は、主に国内株式及び外国株式の売買の増加並びに、外国投信の評価益等により59.7%増加し223億69百万円の利益の計上となり、債券・為替等トレーディング損益は、外貨建債券や仕組債の売買が増加する一方、国内株式売買のヘッジ手段であるエクイティスワップの損益が減少したため24.9%減少し116億39百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は15.2%増加し340億8百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の金融収益は38.8%増加し41億80百万円を計上いたしました。また、金融費用は20.5%増加し23億21百万円を計上し、差引の金融収支は71.3%増加し18億58百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、取引関係費は支払手数料の減少のほか、コロナ禍での移動自粛による出張費や、大型イベントの中止による広告宣伝費の減少により10.3%減少し102億10百万円となり、人件費は業績連動による賞与は増加したものの、在宅勤務などによる残業時間の減少などにより1.2%減少し275億1百万円。事務費は前連結会計年度の子会社における合併や提携合弁証券との事業譲渡に紐づくシステム運用費やデータ移行費用の剥落により10.1%減少し67億56百万円となるなど、コロナ禍での事業環境の変化と、継続した固定費の削減により、販売費及び一般管理費は4.6%減少し578億8百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の営業外収益は、受取配当金は2.3%減少し6億30百万円となった一方、持分法による投資が利益に転じ15億91百万円となり、投資事業組合運用益が16.4%増加し5億30百万円となりました。この結果、営業外収益の合計は87.0%増加し36億86百万円となりました。また、営業外費用は、投資事業組合運用損が31.0%増加し2億87百万円となったものの、持分法による投資が利益に転じたことなどにより、営業外費用の合計は16.9%減少し3億71百万円となりました。
当連結会計年度の主な特別利益は、負ののれん発生益1億93百万円、新株予約権戻入益1億1百万円を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は12.4%増加し693億62百万円、純営業収益は12.2%増加し670億41百万円となり、営業利益は92億32百万円(前連結会計年度営業損失8億23百万円)、経常利益は1,691.9%増加し125億48百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は229.1%増加し90億94百万円を計上いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは730億74百万円の支出となりました。これは税金等調整前当期純利益が128億27百万円の黒字となり、トレーディング商品(負債)が371億49百万円増加し、有価証券担保借入金が1,571億13百万円増加し、それぞれ収入となる一方で、トレーディング商品(資産)が1,657億15百万円増加し、有価証券担保貸付金が659億60百万円増加し、それぞれ支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは123億97百万円の支出となりました。これは短期貸付けによる支出150億94百万円、無形固定資産の取得による支出18億80百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,048億5百万円の収入となりました。これは短期借入金の純増減額が1,146億30百万円、短期社債の発行による収入600億円、短期社債の償還による支出600億円などによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物は187億49百万円増加し、当連結会計年度末の残高は819億50百万円となりました。
トレーディング商品の残高は次のとおりです。
トレーディング業務のリスク管理の状況については「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」の注記事項(金融商品関係)に記載しております。
なお、「第2 事業の状況」に記載の消費税等の課税取引については、消費税等を含んでおりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動自粛の影響を受け、4-6月期の実質GDP成長率が過去最大の落ち込みとなりました。しかし、その後は世界的な経済活動再開の動きや、政府による経済支援策の効果、新型コロナワクチンの接種開始などを背景に、景気は改善の動きを強めています。そうした中、3月調査の日銀短観では21年度の設備投資に前向きな計画が示されました。今後は先送りされていた設備投資が再開し、日本経済を押し上げるものと思われます。
海外の経済も、コロナ禍による経済活動抑制の影響から、2020年前半(1-6月期)には大半の国が景気後退(2四半期連続でのマイナス成長)に陥る展開となりました。しかし、その後は経済活動の段階的な再開や主要国政府・中央銀行による強力な景気支援策などを背景に、概ね順調な回復を続けています。
株式市場は、日経平均株価が4月に18,600円台で始まった後、主要国での景気支援策や経済活動再開の動きなどを背景に上昇基調を継続、6月初旬には23,000円台を回復しました。その後は4-6月期の企業業績悪化等を受けて上値の重い展開となりましたが、11月の米大統領選通過によって政治的不透明感が後退するとリスクオンの流れが加速、年明け2月には日経平均が30,000円台を回復しました。しかし、それ以降は企業業績改善期待が下値を支える一方、海外比でのワクチン接種の遅れ等が嫌気されたことで、日経平均は28,000円から30,000円水準でのレンジ取引を継続、最終的に3月末の日経平均株価は29,100円台で取引を終えました。なお、当連結会計年度の東証1部の1日当たり平均売買代金は2兆8,090億円となり、前年度の2兆6,097億円を上回りました。
債券市場では、長期金利の指標である10年物国債利回りが4月にマイナス0.005%で始まった後、新型コロナウイルス感染症拡大への警戒感から、4月28日には期中最低のマイナス0.055%まで低下しました。その後はプラス圏に浮上し、年末にかけては概ねゼロ~プラス0.05%のレンジ内で推移しましたが、米長期金利の急伸を受けて2月には期中最高のプラス0.175%をつけました。3月に入ると米長期金利の上昇が一服したため、3月末はプラス0.12%に低下して取引を終えました。
為替市場では、ドル円が4月に1ドル107円台で始まると、FRB(米連邦準備制度理事会)の強力な資金供給策によるドル余剰感からドル売りが強まり、年明け1月には期中安値の102円台まで下落しました。しかし、バイデン政権の大型経済対策による米国経済の早期回復期待やインフレ見通しの上昇から米長期金利が急伸するとドル円は急反発し、3月末は期中高値の110円台で取引を終えました。
当社グループは、10月1日に「グループ誕生20周年」を迎え(2000年10月、東京証券株式会社と東海丸万証券株式会社との合併により東海東京証券株式会社(以下、「東海東京証券」。)が誕生いたしました。)、コーポレートスローガン「未来をつなぐ、心をむすぶ」を新たに制定しました。当社が進める地方銀行との新しい提携や、あらゆるノウハウの柔軟な連携で未来の金融業界をリードしつつ、お客様との信頼の絆を大切にすることにより、引き続きお客様一人ひとりの心に寄り添ってまいります。
当社グループでは、事業環境の変化のスピードに適時適切に対応するための機構改革を実行しております。5月にグループにおけるデジタライゼーション戦略の加速・強化を目的として「デジタル戦略グループ」を、また現提携銀行を含めた地方銀行(第二地方銀行を含む)の多様なニーズをサポートし、当社グループのグレート・プラットフォーム機能をより広範に提供していくため「グレートプラットフォーム事業推進部」を新設しました。2021年4月には同部を改編し、提携地銀以外の地方金融機関に対する地銀サポートプログラムの推進を目的にした「金融法人ソリューション推進部」を設置、また、富裕層のメンバーシップクラブであるオルクドールを起点とした独自のソサエティの形成と運営、金融・非金融を含めた多彩なサービスを提供するエコシステム化を推進する「ニュービジネス推進部」を設置しました。東海東京証券では、グローバル・マーケットカンパニーにおける法人営業強化、マーケット部門とプラットフォーム部門における機能の整理・明確化及び地域金融機関ビジネスの拡大と深耕と、ウェルスマネジメントカンパニーにおけるソリューション営業支援の強化を目的に機構改革を行いました。
加えて、「持続可能な開発目標(SDGs)」に対する当社グループ全体での取組みを推進する体制として「SDGs推進部」を設置(5月)しました。当社グループは、国際連合が提唱するSDGsの趣旨に賛同し、その達成に向けた取組みを推進するため、9月に「SDGs宣言」を制定し、経営理念である「金融機能の担い手として、お客様の資産形成や資本の充実に貢献する」事業活動を通じて常にイノベーティブであるとともに、地域・人・地球環境を大切にし、持続可能な社会の実現を目指すことを公表しました。同時に当社グループのSDGsに関わる優先すべき重要課題として、1.健康、2.教育と働き方、3.金融イノベーション、4.地域経済、5.環境保全を掲げ、東海東京証券が、10月に東京都が発行する「東京グリーンボンド」の引受けにおいて共同主幹事を務めたことに加え、海外金融機関が発行したグリーンボンドの販売を担い、1月には、「日本学生支援債券(JASSO ソーシャルボンド)」の引受けにおいて共同主幹事を務めました。当社グループは、グリーンボンド、ソーシャルボンドの販売活動を通じて「環境保全」に積極的に取り組みながら、SDGsの達成に貢献してまいります。また、「健康」促進の観点からは、従来、当社は積極的にアスリート社員を採用することを通して、社会におけるスポーツ支援と当社グループの社員の健康増進に継続して取り組んでおります。今年度も新たに2名を内定しました。こうした健康経営の実践が評価され、当社は、経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に2年連続で認定されております。
その他、グループにおけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策を強化するために「マネー・ローンダリング統括部」を新設し、リスク管理レベルの向上に努めております。
事業面では、2020年1月に設立、4月に発足した一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会へ東海東京証券が委託正会員として入会しました。顧客本位の業務運営を徹底することで、お客様の信頼を高め、個人の安定的な資産形成にさらに貢献できるよう、同協会に対し継続的に支援を行ってまいります。
また、株式会社格付投資情報センターによる「R&I 顧客本位の投信販売会社評価」において、前回格付の「A+」から上位レベルの「S」に認定いただきました。
当社グループが推進するデジタル戦略の一環として、お客様への充実したサービスのご提供を目指しデジタル証券取引サービスの開発を進めており、6月に日本国内でデジタル証券取引所の運営を目指すHash DasH株式会社を子会社に有するHash DasH Holdings株式会社へ資本出資しました。7月より日本の不動産を証券化し、シンガポールのセキュリティ・トークン(以下、「ST」。)取引所であるiSTOXへの上場に向けた実証実験を行っております。当社は一般社団法人日本セキュリティトークン協会(任意団体)に、東海東京証券は一般社団法人日本STO協会(自主規制団体)に正会員として加盟し、日本国内でのST販売の準備を進めております。
また、当社グループによる先端的なデジタル戦略への取組みやテレワークのためのインフラ整備促進などが、経済産業省より、デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取組む企業として評価され、8月に「DX銘柄2020」の「DX注目企業2020」に選定されました。
更に、当社は、地域通貨をはじめとしたブロックチェーンを活用したデジタル通貨のプラットフォームを開発・運営するDigital Platformer株式会社と3月に業務提携いたしました。当社グループは本経営計画の中で、他の金融グループと一線を画す独創的な経営戦略として有力地方銀行や大手事業会社、そして多くのIFA業者とのアライアンスをベースとしたグレート・プラットフォーム戦略を展開しておりますが、Digital Platformer株式会社との提携により、将来においては「デジタル通貨(地域通貨)」の発行と流通、決済をプラットフォーム機能に加えることが可能となり、最先端のFinTechソリューションを各種融合させた「東海東京デジタルワールド」をより多くのお客様にご活用いただき、地方活性化・地方創生に貢献する新しい金融ビジネスモデルの実現を目指してまいります。
当社グループの新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、お客様並びに役社員の健康・安全を第一に考え、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を優先した業務運営を心掛けております。営業店舗の業務は継続しておりますが、密な業務環境を避けるために、社員の時差出勤の推進及びテレワーク勤務等を実施しております。
対面営業証券ビジネスを取り巻く環境は、市況変動の影響や手数料無料化の動きなどもあり、今後ますます厳しさを増していくことが想定される一方、本経営計画の最終年度を迎え、KGI達成に向けた喫緊の課題として、リテール営業の生産性をより向上させていく必要があります。こうした中、東海東京証券では、新たな働き方に対応した「効率的な店舗運営」と「機動的な顧客対応」を実現する店舗体制を追求しており、その一環として関西地区の拠点である大阪支店及び梅田支店の再編を行いました。新しい効率化へのチャレンジとして、梅田支店のサテライト店舗化によるオフィスの軽量化(賃料や運営コストの削減)、FMC化(固定電話と携帯電話の融合)を実施しております。
2021年3月、当社は、エース証券株式会社へのTOB(株式公開買付け)を終了し、同社及び同社の子会社である丸八証券株式会社が当社の連結子会社(4月16日付)となりました。本TOBは、本経営計画で掲げる6つの戦略テーマの中の「同業他社M&A」及び「大都市圏」というテーマに則したものであります(エース証券株式会社は5月31日に当社の完全子会社となりました)。
また、同月、当社及び東海東京証券は代表取締役の異動を内定し発表しました。代表取締役の異動は後継者育成計画(サクセッションプラン)の一環として行うものであり、外部専門家や社外取締役の意見、指名・報酬委員会での議論に基づいております。本異動は6月の第109期定時株主総会及びその後の取締役会の決議により正式に決定しております。
なお、前述のとおり経営計画を進捗させた結果、当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は5.6%、経常利益は125億円、グループ預かり資産は7.1兆円となり、それぞれ前連結会計年度比で増加いたしました。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とするため、十分かつ安定的な流動性を確保しております。
主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っております。
有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しております。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引等については、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として計上しております。時価は、取引所等の市場価格のある有価証券及びデリバティブ取引等については市場価格により算定しております。市場価格のない有価証券及びデリバティブ取引等については主に金利、配当利回り、原証券価格、スワップレート、ボラティリティー、契約期間等を基に算出した現在価値の見積価格により算定しており、異なる前提条件等によった場合には当該時価が変動する可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先の株式を所有しております。これらの株式には価格変動性の高い市場価格のある株式と、価格の決定が困難である市場価格のない株式が含まれております。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、「金融商品に関する会計基準」に基づき減損処理を行っております。市場価格のある株式については、株式の時価が一定期間継続して取得原価を30%以上下回り続けたとき等、下落が一時的ではないと判断します。市場価格のない株式については、1株当たり純資産額が取得原価の50%以下となった場合等、実質価額が著しく下落し回復可能性がないと判断した場合に減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場等が変動した場合及びのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、店頭窓口業務を一時休止するなど当社グループの業務への影響がありましたが、当事業年度末時点での将来キャッシュ・フローの見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
従業員(執行役員を除く。)に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待収益率等が含まれております。当社グループの退職年金制度においては、割引率は期末における安全性の高い長期の債券の利回りにより、退職率は直近3年間の実績に基づいております。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定はイールドカーブ等価アプローチによる方法により算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得の発生及び税務計画を検討いたします。当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、業績変動の幅が大きく、長期にわたる課税所得の発生を予測することが困難でありますが、策定した経営計画の期間以内の一定期間を、将来の課税所得の見積り期間としておりますので、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りによって、評価性引当金が増減し、繰延税金資産の調整額が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。