第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境の概況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスやその変異株の感染拡大と経済運営の正常化の舵取りとの間で未曽有の困難な状況に直面しました。一方で、世界各国政府や中央銀行による積極的な財政・金融政策が実行されていることや、ワクチン接種が進行していることもあり、期初の想定に比べ世界経済は早期に持ち直すことができました。依然として予断を許さぬ状況が続いておりますが、世界経済は徐々に再度の成長局面へと回帰していくことが示唆されています。

 このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初18,686.12円で始まりました。新型コロナウイルス感染症の影響により国内で緊急事態宣言が発出されたことから、一時的に景気の先行きに対する懸念が強まりました。その後は、各国の金融・経済対策への期待や新型コロナウイルス感染症のワクチン接種開始などを背景に日経平均株価は上昇し、2月16日に高値30,714.52円を付け、3月末の日経平均株価は29,178.80円で取引を終了しました。

 米国株式市場においては、主要株価指数であるダウ工業株30種平均は期初21,227.38米ドルで始まりました。デジタルトランスフォーメーション(DX)への期待感からハイテク株が戻りを主導する相場展開となりました。9月以降は米中対立の先鋭化と米国大統領選挙を控え26,000米ドル前半から29,000米ドル前半でもみ合う場面も見られましたが、11月に入ると一般投票でのバイデン大統領候補の勝利が濃厚となり、民主党主導での大型経済対策への期待感が高まったことに加え、ファイザー社やモデルナ社といった米国製薬企業が相次いでワクチンの良好な治験結果を発表したことから、経済活動の再開期待が高まり、これまで物色から外れていたバリュー株にも資金が流入し30,000米ドルの大台の定着を目指す展開となりました。2月に入り米国金利上昇が加速すると、これまで相場を牽引してきた高バリュエーションの成長株が調整する展開となりましたがバリュー株の物色は継続し、ナスダック総合指数の調整を横目にダウ工業株30種平均は堅調に推移し、3月29日に高値33,259.00米ドルを付け、3月末のダウ工業株30種平均は32,981.55米ドルで取引を終了しました

 当社が注力している中国・香港株式市場において、主要株価指数であるハンセン指数は期初23,365.90ポイントで始まりました。4月から6月後半にかけては米国株高や中国の経済活動正常化期待、米中対立への警戒などを材料に22,500ポイントから25,000ポイント近辺での動きとなりました。6月30日の「香港国家安全維持法」施行後は、中国から香港への投資資金の流入が加速し上昇に転じました。その後、米国政権による中国製アプリや通信事業者等を排除する動きを受け、9月25日に23,124.25ポイントまで下落する場面も見られましたが、中国景気の回復や新型コロナウイルスワクチンの進展期待の高まりから投資家心理が強気に傾き、2月18日に31,183.36ポイントの高値を付け、3月末のハンセン指数は28,378.35ポイントで取引を終了しました。

 なお、当社グループは、期初は新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業活動自粛の影響を受けて低迷したものの、2020年5月の緊急事態宣言解除後は、当社限定の中国株ファンドの販売が好調に推移し、また、マーケット環境が好転したことにより、前連結会計年度と比べ営業収益等は増加しました。将来において新型コロナウイルスの感染拡大は、経済活動の停滞、投資家マインドの後退による市場環境の悪化やお客さまへの訪問の制限等、業績に影響を与える可能性がありますが、当社グループは、感染症対策の充実やワクチンの開発等を通して、この影響は限定的であると考えております。ただし、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上の前提となる将来収支計画の見積りに関しては、将来の不確実性等一定の影響を考慮して算定しております。

 

(2)中期的経営ビジョン

対面リテール証券の経営環境は、人口減少・顧客の高齢化が進む一方で、個人の資産運用相談ニーズは益々高まっており、ビジネスチャンスも広がっております。

このような環境下、当社は、2020年4月より外部機関の意見も踏まえ、第六次中期経営計画(5カ年計画)「もっと ずっと...ともにTO YOU 」をスタートさせました。目指すべき将来像として、世代を超えて信頼され、資産運用・資産形成のアドバイザーとして選ばれる「スーパー・リージョナル(地域密着型)・リテール証券会社」を掲げ、お客さまロイヤルティを追求した営業スタイル改革により、これまで以上に「お客さま本位」の経営で顧客基盤を拡充し、持続的な成長モデルへの進化を目指します。

 

(3)戦略骨子・施策概要

第六次中期経営計画では、お客さまごとにカスタマイズした営業スタイル改革を実現し、お客さまのロイヤルティ向上につなげ、持続的成長が可能なビジネスモデルの確立を目指してまいります。また、働き甲斐のある職場環境や人事評価などにより従業員満足度を上げ、質の高い顧客サービスの実現につなげてまいります。

<基本方針>

・「もっと」これまで以上にお客さまから信頼され、「もっと」頼りにされる存在に

・「ずっと」次世代までも末永く

・「ともに」お客さま、ご家族さま、地域の方々と「ともに」歩む存在に

 

<重点施策>

・ お客さまへの付加価値提供

付加価値戦略…お客さまニーズの把握、ニーズに合った付加価値提案など

・ お客さまとの接点の多様化

チャネル戦略…マルチチャネルの活用、地域特性を踏まえた営業店体制など

・ 組織・人材基盤の強化

業務戦略…営業店・本社の効率化、顧客対応時間の捻出、コスト効率化など

組織戦略…本社の支援機能強化・再構築配置

人材戦略…業績評価・人事評価、人材育成・人材配置など

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)金融商品取引業の収益変動リスクについて

 当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績は大きく変動する可能性があります。当社グループの営業収益は過去5年間で最大で60億円(約38%)の変動幅があります。当社グループは、お客さま本位の経営で、世代を超えて信頼され、資産運用・資産形成のアドバイザーとして選ばれる地域密着型のリテール証券会社を目指しております。お客さまの満足度の高いサービス提供を通じて顧客基盤の拡大を図り、一時的な金融市場の変動に影響されない安定的な収益の確保に努めてまいります。

 

(2)競合について

 当社グループの中核事業である金融商品取引業は、インターネット取引専業証券やリテール営業中心の同業他社に加えて異業種からの参入及び業界再編等により、今後も厳しい競合が予想され、当社グループの競争優位性が維持できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、個人の資産運用ニーズは益々高まっており、ビジネスチャンスも広がっていると考えております。当社グループは、このようなビジネスチャンスを捉え、お客さま満足度の高いサービス提供を通じてお客さまに選ばれる地域密着型のリテール証券会社を目指します。

 

(3)災害等に関するリスクについて

 自然災害の発生や新型コロナウイルス等の病原性感染症の拡大等により、当社グループの事業活動が制限された場合、当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは災害等の発生時に発注・資金の決済といった本社機能の停止を防ぐため、一部業務を別室に分離し遂行しております。また、病原性感染症の拡大等に際しては、感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や在宅勤務等を実施しております。

 

(4)法的規制等について

 当社グループの中核である当社は、事業に関連する法令・諸規則等の法的規制を受けております。当社グループ

が法令等に違反した場合、当社グループの事業の継続性、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは営業部門のコンプライアンス態勢、内部管理態勢及び監査部門の強化、並びに経営陣によるガバナンス態勢の強化等により法令等を遵守し、一層お客さま本位の業務運営に努めております。

また、当社グループの中核である当社は、「金融商品取引法」及び「金融商品取引業等に関する内閣府令」に基づき、自己資本規制比率による制限が設けられております。金融商品取引法では、自己資本規制比率を120%以上に維持することが求められており、それを下回った場合、金融庁はその証券会社に対して監督命令を発することができることとなっております。当社の自己資本規制比率は2021年3月末現在605.1%であり、直近5年間の月末時点では500%を下回ったことがなく、120%を下回る可能性は低いと考えております。

(5)重要な訴訟等に関するリスクについて

 当社グループのお客さまに対する営業活動において不法行為があった場合、また、職場等においてハラスメントなど不正行為があった場合に、訴訟等の法的手続きの対象となる場合があります。当連結会計年度末現在において、当社グループの事業に重要な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来において、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は営業部門のコンプライアンス態勢を徹底するとともに、お客さまのクレーム等に対してはお客さま相談室を設置し対応しております。また、当社グループにおいてはホットライン(東洋証券内部通報制度)を設け、公正で健全な職場環境の確立に努めております。

 

(6)システムに関するリスクについて

 コンピュータ・システムの利用は、インターネット取引をはじめ、当社グループの業務遂行上必要不可欠なものとなっております。インターネット取引や当社グループが業務上使用するコンピュータ・システムが品質不良、外部からの不正アクセス等によって障害を起こした場合、障害の規模によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2018年11月の基幹システムの移行に際して、基幹システムの安全性や信頼性を検討し、現在、外部業者より共同利用型サービス(ASP型サービス)の提供を受けております。

また、IT業務(システム開発・運用等)における内部統制の有効性を証明する「米国保証基準AT-C 320報告書」を入手しております。

 

(7)情報セキュリティに係るリスクについて

 将来的に不測の事態により顧客情報を含む社内重要情報が社外に不正流出した場合、信用を失墜し当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報セキュリティに関する必要な組織体制及び社内規程等を整備しており、安全な情報管理に努めております。また、サイバー攻撃など外部からの不正アクセスに備えて同業他社との情報交換や金融ISACに加入しサイバーセキュリティに関する情報を共有するなど情報資産の保護に努めております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

なお、当社グループは、期初は新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業活動自粛の影響を受けて低迷したものの、2020年5月の緊急事態宣言解除後は、当社限定の中国株ファンドの販売が好調に推移し、また、マーケット環境が好転したことにより、前連結会計年度と比べ営業収益等は増加しました。将来において新型コロナウイルスの感染拡大は、経済活動の停滞、投資家マインドの後退による市場環境の悪化やお客さまへの訪問の制限等、業績に影響を与える可能性がありますが、当社グループは、感染症対策の充実やワクチンの開発等を通して、この影響は限定的であると考えております。ただし、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上の前提となる将来収支計画の見積りに関しては、将来の不確実性等一定の影響を考慮して算定しております。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループの業績は、期初は新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業活動自粛の影響を受けて低迷したものの、2020年5月の緊急事態宣言解除後は、当社限定の中国株ファンドの販売が好調に推移し、また、マーケット環境が好転したことにより、投信募集手数料および委託手数料が増加したため営業収益は119億66百万円(前連結会計年度比123.3%)、経常利益は11億30百万円(前連結会計年度は11億48百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億37百万円(前連結会計年度は6億19百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)になりました。

なお、主な内訳は以下のとおりであります。

イ 受入手数料

受入手数料の合計は88億21百万円(前連結会計年度比130.0%)になりました。科目別の概況は以下のとおりであります。

(委託手数料)

 当連結会計年度の東証一・二部の1日平均売買代金は2兆8,528億円(前連結会計年度比107.9%)になりました。当社の国内株式委託売買代金は7,623億円(前連結会計年度比122.8%)、外国株式委託売買代金は1,064億円(前連結会計年度比189.6%)になりました。その結果、当社グループの委託手数料は36億65百万円(前連結会計年度比147.7%)になりました。

(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)

 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は債券の引受高の減少等により18百万円(前連結会計年度比39.5%)になりました。

(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)

 主に証券投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は株式投資信託の募集金額が1,193億円(前連結会計年度比121.3%)に増加したため33億74百万円(前連結会計年度比127.7%)になりました。

(その他の受入手数料)

 証券投資信託の代行手数料が中心のその他の受入手数料は株式投資信託の預り資産の平均残高が2,366億円(前連結会計年度比118.2%)に増加したため、17億62百万円(前連結会計年度比109.3%)になりました。

ロ トレーディング損益

トレーディング損益は米国株の店頭取引売買代金の増加等により株券等が17億6百万円(前連結会計年度比112.5%)、外国債券取引の減少等により債券等が4億8百万円(前連結会計年度比68.2%)、中国株取引に係る為替手数料の増加等によりその他が7億42百万円(前連結会計年度比180.1%)で合計28億57百万円(前連結会計年度比113.0%)になりました。

ハ 金融収支

金融収益は受取利息の減少等により2億86百万円(前連結会計年度比73.9%)になりました。また、金融費用は信用取引費用の増加等により1億29百万円(前連結会計年度比138.8%)になりました。この結果、差引金融収支は1億57百万円(前連結会計年度比53.3%)になりました。

ニ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、賞与引当金繰入の増加等により人件費が55億83百万円(前連結会計年度比103.2%)、コンサルティング費用の減少等により事務費が19億35百万円(前連結会計年度比92.1%)、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う訪問営業等の自粛による旅費・交通費や交際費の減少等により取引関係費が13億円(前連結会計年度比90.8%)となったため、合計で111億92百万円(前連結会計年度比98.5%)になりました。

ホ 営業外損益

営業外収益は数理計算上の差異償却、投資有価証券配当金の減少等により5億24百万円(前連結会計年度比79.4%)、営業外費用は子会社の為替差損の減少等により37百万円(前連結会計年度比61.7%)で差引損益は4億86百万円(前連結会計年度比81.2%)になりました。

ヘ 特別損益

特別利益は金融商品取引責任準備金戻入等により1億41百万円(前連結会計年度比19.5%)、特別損失は投資有価証券評価損により66百万円(前連結会計年度比75.1%)で差引損益は75百万円(前連結会計年度比11.8%)になりました。

ト 資産の状況

資産合計は871億67百万円と前連結会計年度末に比べ155億円の増加になりました。主な要因は、現金・預金が97億54百万円、信用取引貸付金が27億25百万円増加したことによるものであります

チ 負債の状況

負債合計は485億77百万円と前連結会計年度末に比べ120億69百万円の増加になりました。主な要因は、短期借入金が78億円、顧客からの預り金が30億68百万円増加したことによるものであります。

リ 純資産の状況

純資産合計は385億89百万円と前連結会計年度末に比べ34億31百万円の増加になりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が17億87百万円、退職給付に係る調整累計額が7億89百万円、利益剰余金が7億71百万円増加したことによるものであります。

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は319億32百万円と前連結会計年度に比べ103億66百万円の増加になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、信用取引資産の増減額△28億21百万円(前連結会計年度比47億21百万円の減少)、有価証券担保借入金の増減額△15億35百万円(前連結会計年度比35億90百万円の減少)、信用取引負債の増減額10億46百万円(前連結会計年度比24億83百万円の増加)、税金等調整前当期純利益12億5百万円(前連結会計年度比17億19百万円の増加)、顧客分別金信託の増減額△16億50百万円(前連結会計年度比14億10百万円の増加)等により20億65百万円(前連結会計年度比22億5百万円の減少)になりました

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入19億76百万円(前連結会計年度比19億13百万円の減少)等により5億16百万円(前連結会計年度比19億円の減少)になりました

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額78億円(前連結会計年度比77億円の増加)、自己株式の純増減額68百万円(前連結会計年度比7億5百万円の増加)等により76億95百万円(前連結会計年度比86億53百万円の増加)になりました

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの主たる事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一の事業セグメントに属しており、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該業務の収益の実績等については、「①財政状態及び経営成績の状況」欄に含めて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。当社グループは、特に重要な判断と見積りを伴う以下の会計方針が、連結財務諸表の作成に影響を及ぼす可能性があります。

イ 貸倒引当金

当社グループは、顧客との取引により発生する債権等の回収不能見込額について、貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合は、追加引当が必要となる可能性があります。

なお、当連結会計年度末現在、貸倒引当金を1億44百万円計上しております。

ロ 有価証券の減損

当社グループは、持続的な成長及び企業価値向上の観点から、取引先との中長期的・安定的な取引関係の構築・維持もしくは強化または事業の円滑な推進に資する場合に、他社が発行する株式を政策保有株式として保有しております。政策保有株式については時価の下落が一時的でないと判断した場合、有価証券評価損を計上しております。非上場株式については、時価を把握することが極めて困難であるため、発行会社の財政状態や将来性等、当社所定のルールに従い算定した額を時価とみなし、判定をしております。

なお、当連結会計年度は、保有株式の時価の下落等により66百万円の減損を計上しております。

ハ 固定資産の減損

当社グループのグルーピングは、当社においては管理会計上で区分した部及び支店をキャッシュ・フローを生み出す最小単位として捉え、その単位を基礎に、連結子会社においては会社全体を1つの単位として、グルーピングを行っております。また、本店、厚生施設等については独立したキャッシュ・フローを生み出さないことから共用資産としてグルーピングを行っております。

当社グループは、固定資産の収益性が低下し、その固定資産に対して投資した金額が回収できないと認識した場合に、所定のルールに従い、回収可能な金額まで固定資産の帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の減損損失の認識に際して用いた割引前将来キャッシュ・フローや、測定に際して用いた回収可能価額は第六次中期経営計画を基礎とした将来収支計画の見積りに基づいており、将来収支計画の見積りは新型コロナウイルス感染症拡大等の一定の影響を考慮して算定しております。

なお、2021年3月末の減損対象資産は当社グループは25億33百万円(当社の共用資産は17億30百万円)であります。当連結会計年度については前連結会計年度まで営業損益は2期連続マイナスでありましたが、主要な資産の著しい価値の下落や用途変更等がないことからグループ全体では共用資産の減損の兆候には該当しません。また、部支店においては営業損益が2期連続マイナスや土地の市場価格が50%以上下落したため、減損の兆候に該当する部支店がありましたが、割引前将来キャッシュ・フローが固定資産の帳簿価額を上回ることや当連結会計年度末の帳簿価額が僅少であるため減損損失の認識はしておりません。

ニ 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得及び実現性の高い税務計画を検討し、回収可能性が高いと認められる金額について計上しております。ただし、回収可能性の判断に変更が生じた場合には、計上した繰延税金資産の全部または一部について取崩しを行い法人税等調整額を計上することとなります。繰延税金資産の算定に際して用いた将来の課税所得の算定の基礎となる収支計画の見積りにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大等の一定の影響を考慮して算定しております。

なお、当連結会計年度末現在、繰延税金資産を38百万円計上しております。

ホ 年金給付費用

当社は、確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度を設けております。

確定給付企業年金制度における従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、予想昇給率、退職率、直近の統計数値に基づいて算出する死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率により算出しており、長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の長期期待運用収益率に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、その影響は退職給付に係る調整累計額として純資産を加減算することとなります。

当連結会計年度は退職給付費用を1億50百万円計上し、当連結会計年度末現在の年金運用資産の額が退職給付債務額を上回っているため、その差額を退職給付に係る資産として、25億9百万円計上しております。

 

 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループは、お客さま本位の業務運営を追求し、お客さま満足度の向上により顧客基盤を拡充することで、企業価値向上を図るビジネスモデルの確立を目指しております。このビジネスモデルの確立に向けて、当社グループは、国内株式や投資信託に加えて、中国株・米国株等の外国株をお客さまの中長期的な資産形成の選択肢の一つとしてポートフォリオへ組み入れることを提案しております。

当連結会計年度の当社グループの国内株、中国株の取引高は増加し、当社グループの委託手数料は36億65百万円と前連結会計年度に比べ11億84百万円増加し、米国株の店頭取引売買代金の増加等によりトレーディング損益は28億57百万円と前連結会計年度に比べ3億29百万円増加しました。

また、当社グループは、預り資産の残高拡大を中心に、顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。当該方針のもと、当連結会計年度は当社の専用ファンドである中国株投資信託の販売に注力し、投資信託の販売手数料は33億72百万円と前連結会計年度に比べ7億45百万円増加、信託報酬(代行手数料)は16億21百万円と前連結会計年度に比べ2億10百万円増加しました。

販売費・一般管理費はコンサルティング費用の減少等により事務費が減少したため、合計で111億92百万円となり、前連結会計年度に比べ1億59百万円減少しました。

この結果、当社グループの営業利益は6億43百万円(前連結会計年度の営業損失は17億47百万円)となりました。

ロ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けるため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。このため、当社グループは上記のとおり、預り資産の残高拡大を中心に、顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。

ハ 資金の財源及び流動性についての分析

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、立替金及び預り金の増加等により20億65百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが、定期預金の払戻による収入等により5億16百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが、短期借入金の純増等により76億95百万円の収入となりました。

この結果、当社グループの現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ103億66百万円増加し319億32百万円となり、十分に資金の財源及び流動性が確保されております。

また、不測の事態に備えるため、当社は取引銀行10行それぞれと当座貸越契約、取引銀行6行それぞれと貸出コミットメント契約を締結しており、連結子会社は取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。このほか、緊急時対応についてもコンティンジェンシープランを策定し、全社的な緊急時対応体制を構築しております。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。