当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は緩やかな拡大局面が続きました。しかし、米国で新政権が発足して間もなく浮上した相互関税に係る警戒感が景気後退懸念につながったほか、世界主要各国・地域の分断が進むとの観測が重荷となりました。
このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初40,646.70円で始まりました。当初は、米利下げ期待の後退による米長期金利の上昇が嫌気された他、中東情勢の緊迫化もあり、東京株式市場でも幅広い銘柄に利益確定売りが広がり、日経平均株価は4月19日に36,733.06円まで下落する場面がありました。その後は、一時ボックスでのもみ合いとなりましたが、米利下げ期待等を背景に日経平均株価は7月11日には終値で42,224.02円を付け、史上最高値を更新しました。7月末の日銀の利上げや米景気の先行き不安等が発生したことで、パニック的な売りが広がり、日経平均株価は急落し、8月5日に安値31,156.12円まで下落する場面がありました。12月末にかけ、堅調な米景気や米ハイテク株高、日本の上場企業による自社株買い、円安・ドル高等を背景に、徐々に下値を切り上げる展開となりましたが、トランプ米大統領による関税の引き上げに対する警戒感の高まりから下落基調となり、3月末の日経平均株価は35,617.56円で取引を終了しました。
米国株式市場において、ダウ工業株30種平均は期初39,807.93米ドルで始まりました。米国経済が好調であることを示す経済指標の発表が相次ぎ、原油高も相まってインフレ鎮静化が遅れ米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遠のくとの見方が広がりました。その結果、米長期金利は上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、4月17日にダウ工業株30種平均は安値37,611.56米ドルを付けました。その後、好調な企業業績や労働市場の過熱感が薄れたことで、FRBが年後半に利下げを始めるとの観測を受けダウ工業株30種平均は戻りを試す動きになりました。9月17日~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりの利下げが決定され、米景気がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が強まりました。11月の米大統領選ではトランプ氏が返り咲きを決め、同氏が掲げる減税等の景気刺激策への期待から12月4日にダウ工業株30種平均は高値45,073.63米ドルを付けました。トランプ氏が米国大統領に就任後は、関税政策をめぐる不透明感等から米ハイテク株を中心に軟調に推移し、3月末は42,001.76米ドルで取引を終了しました。
当社が注力している中国・香港株式市場は、主要株価指数であるハンセン指数は期初16,811.74ポイントで始まり、政府が株式市場の健全化に向けた取り組みを発表したことに加え、1月~3月のGDPが予想を上回ったことから買いが入り、5月20日には19,706.12ポイントまで回復しました。その後は、景気減速懸念からじり安となり8月5日には16,441.44ポイントまで下落しました。しかし、9月24日に中国政府が景気の下押し主因である新築住宅の需要減少等に対し大規模刺激策を取ったこともあり、ハンセン指数は急反発し、9月24日から10月7日までの約2週間で23,241.74ポイントまで上昇し、2022年2月以来の高値をつけました。上昇ピッチが速かったことに加え、米国大統領がトランプ氏に決まり、同氏が中国製品に対し60%強の関税を課すと発言したことから、米中関係の悪化を懸念しハンセン指数は下落を続け、1月13日には18,874.14ポイントを付けました。その後は、新築住宅市場の改善や中国景気の安定、そしてトランプ米政権下での米中貿易問題が事前予想の範囲内にとどまったこともあり、再び上昇へ転じ、3月19日には24,874.39ポイントの年初来高値を付け、3月末は23,119.58ポイントで取引を終了しました。
当社グループは、2024年10月30日、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を踏まえ現状分析と評価を行い、株主・投資家並びにお客さまをはじめ、従業員を含むすべてのステークホルダーの皆さまの期待にお応えするため、更なる成長戦略等が必要と考え、改めて第六次中期経営計画の見直しを公表しております。PBR1倍以上の達成を目指した財務施策を打ち出すとともに、中長期的な企業価値向上を実現するために「経営理念」に立ち返り、お客さまはもちろんのこと、ステークホルダーの皆さまとの信頼関係をより深め、期待に応えてまいります。
「お客さまの信頼獲得」に加え、「付加価値サービスの提供」、「得意分野の選択・集中」に軸足を置いた戦略展開を図ると同時に、コスト構造改革の実践を並行して継続させることにより、中期経営計画終了年度(2028年3月期)におけるROE8%以上の達成を目指してまいります。
<重点施策>
○お客さまとの信頼獲得 戦略
・対面サービスの「質」と「量」の強化
・きめ細やかなアフターフォロー
・お客さま満足度の追求
○付加価値サービスの提供 戦略
・コンサルティングサービスの強化
・中国株のパイオニアとしての東洋ブランドの再構築
・お客さまセミナーの開催強化
○得意分野の選択・集中 戦略
・アジア関連投資信託
・資本市場へのアプローチ強化
・IFAプラットフォームビジネス
○コスト構造改革 Project EST
トップダウン・ボトムアップ型のカイゼンによる適切なコスト削減により、今後増加する費用を抑え成長分野に資金を投じ、「経営資本の有効活用」を図ってまいります。
第六次中期経営計画~お客さまの信頼がすべて~の項目と数値目標および実績は以下のとおりです。
[中期経営計画]
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ全般に関する考え方
私たち東洋証券は、「信頼」、「付加価値」、「得意分野」を経営理念とし、社員一人ひとりが地域社会の活性化に取組み、貢献してまいります。また、金融商品取引業者としての社会的責任を常に意識し、質の高いサービスの提供等により、個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。
〈マテリアリティ〉
当社グループは、社会に存在する課題の中から、取り組むべき課題として重要課題(マテリアリティ)を特定しました。この課題解決に取り組むと同時に、進捗を管理し、定期的な見直しを図っていきます。
〈重要なサステナビリティ項目〉
当社グループの重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりです。
① 気候変動対応
(1) ガバナンス
当社グループは、サステナビリティの推進を重要な経営課題と捉えており、企業価値を向上させるため、取締役会を通してサステナビリティの推進を含めたコーポレートガバナンス体制を敷いております。取締役会はサステナビリティ全般に関するリスクおよび機会の監督に対する責任と権限を有しております。関連各部署からサステナビリティの推進にかかる取り組みの進捗状況やリスクの報告を受け、当社グループのサステナビリティの推進の実行計画やリスクへの対応方針等を審議、監督を行っております。
サステナビリティ推進体制

当社グループは、サステナビリティへの取組を進める一環として、2025年2月27日に環境基本方針を以下の通り設定しております。
<環境基本方針>
1.本業を通じ、環境問題解決に資する商品やサービスの開発と提供に努めます。
2.当社グループの事業活動で発生する温室効果ガス排出量の継続的な削減に努めます。
3.役職員に対する環境教育とともに、お客さまなどステークホルダーへの環境に関する啓発活動に取組みます。
4.環境に関する情報について、社会や資本市場からの期待に応えられるよう適時・適切な開示に努めます。
5.環境問題解決を目指す上で、着実な推進のための体制を整えます。具体的には、気候変動への取組みに関し、定期的な評価・見直しを通じた継続的な改善を取締役会に報告し、取締役会の監督の下、気候変動のリスクの管理に努めます。
6.環境関連の法令・諸規則を遵守し、私たち自身が定めた環境基本方針の実行に努めます。
リスク及び機会の認識
気候変動リスクには、気候変動要因に起因した自然災害等が資産に対して直接的に与える損害やサプライチェーンの寸断から生じる間接的な影響等の物理的リスクと、脱炭素社会への移行に向けた政策や規制等の変化が企業財務や評判に影響を与える移行リスクが挙げられます。
気候変動によるリスクについて、移行リスクと物理リスクに分類し、各々のリスクによる当社グループの事業活動への影響を以下の通り認識し、リスク回避および低減に向けた対応を検討しております。
表1 想定される当社グループへの影響
※補足
時間軸について
短期:現在~3年 中期:4~10年 長期:11年~30年を想定
事業インパクト
大:事業および財務への影響が大きくなることが想定される
中:事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される
小:事業および財務への影響が軽微であることが想定される
一方、当社グループにとっての事業機会として、表2を想定しています。
表2 当社グループにとっての事業機会
<シナリオ分析>
当社グループにおける影響の大きな事象として、移行リスクでは、気候変動リスクを含む環境への配慮を怠った姿勢や、情報開示範囲の拡大に伴う対応が不十分であるとみなされた場合の評判悪化による資金調達コストの増加や人材確保の困難化および人材の流出等を想定しております。物理的リスクでは、自然災害の激甚化による事業インフラ停止に対応するためのコスト増加や、感染症のまん延等によるビジネス機会等の減少を想定しております。
なお、物理的リスクの対応として、自然災害の発生等に備えて、「事業継続計画:BCP」によるリスク管理体制を整備しております。
また、当社グループでは、これらの機会への対応を通じて新たなサービスの提供機会の拡大をはかります。サステナビリティへの取組みが中長期的な成長機会につながると認識しております。
(3) リスク管理
当社では、持続可能な社会の実現への貢献と、当社の中長期的な企業価値向上を目的に、取締役会メンバーで構成される「サステナビリティワーキンググループ(WG)」(座長:代表取締役社長)を設置しています。同WGにおいて、気候変動や人的資本、多様性によるリスク・機会の特定および影響の評価を行うとともに、それらを踏まえた対応方針や事業計画を含めた企業戦略の企画立案・推進を行ってまいります。また、審議検討された事項については、リスク管理室より四半期毎に取締役会に付議報告され、必要に応じて取締役会がその対応について意思決定をし、進捗状況の監督を実施することとしております。なお、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)またはそれと同等の枠組みに基づく開示については、更なる充実を図ってまいります。
(4) 指標及び目標
GHG排出量
当社は2013年より温室効果ガスの削減に取り組み、ビル建物照明のLED化、店舗の省エネを進めてまいりました。今後はエコエネルギーの買取を進め更なるCO2削減に取り組んでまいります。また社用車については大型車両の小型化を進めエコ車両、軽車両への買換えを進めてまいります。
② 人的資本
<人的資本>
(1) 人材育成方針
当社グループは、第六次中期経営計画において、人材を企業価値向上の重要な資本と位置づけ、お客さまに喜ばれる高い付加価値を提供できる従業員を育成することを人材戦略として掲げ、推進しております。
また、教育の基本理念として「綱領および経営方針を理解し、会社発展に貢献し仕事に生きがいをもった創造的社員の育成。」、「活力ある信頼される社員の育成。」、「社会情勢や金融改革の進展にともなって時代に即応する適応性と能力を備えた社員の教育。」を掲げており、年次、職位、役割に応じた研修を行っております。
<当年度の研修実績について>
2024年度研修実績
(2) エンゲージメントの向上
当社グループは、人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、持続的に成長できる環境の整備に取り組んでいます。当社グループでは、従業員との双方向の対話を通じて組織のエンゲージメントの向上と企業価値の持続的向上を図るため、以下の施策に取り組んでおります。
イ 健康経営
当社グループは、2022年8月に健康経営宣言を策定し、社員の健康状態の把握と健康保持、または健康を増進する施策を積極的に実施し、一人ひとりの健康管理のサポートを会社全体で取り組むことで、社員全員が心身ともに健やかでいきいきと業務を遂行し、個々の能力を発揮し成長していける職場環境を整備しております。
健康経営推進体制は以下の通りであります。

ロ ワーク・ライフ・バランス支援
一人ひとりがやりがいや充実感を持って働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できるように、支援行動計画を策定・実施しております。
「次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画」
(ⅰ) 計画期間 2023年4月1日~2026年3月31日までの3年間
(ⅱ) 内容
目標1:子供が生まれる際の、父親の産後休暇および育児休職取得を推進する。
<対策>2023年4月~
・定期的な社内周知および啓蒙活動を実施する。
・妊娠・出産時や子育て支援時等における所属長面談を要請し、取得前後の円滑な休暇/休職取得や現場復帰を支援する。
目標2:女性社員の育休取得率100%を維持する。
<対策>2023年4月~
・定期的な社内周知および啓蒙活動を実施する。
・妊娠・出産時や子育て支援時等における所属長面談を要請し、取得前後の円滑な休暇/休職取得や現場復帰を支援する。
目標3:金融知識の普及活動を推進する。
<対策>2023年4月~
・中高生および大学生向けの金融教育セミナーを実施する。
ハ 従業員満足度調査の実施
年2回、全従業員を対象としたアンケート形式の従業員満足度調査を実施し、従業員の声を経営に反映する仕組みを構築しております。調査結果は項目ごとに、職級別、職種別等の分析を行い、改善策を策定・実施しエンゲージメント向上につなげます。
ニ 人事制度改正プロジェクト
従業員満足度調査の結果や外部環境の変化等を踏まえ、人事制度の改正、人材育成制度の見直し、報酬制度の見直しなどを進めることで、多様性のある人材がやりがいを持って活躍できる職場環境の実現を目指しています。

ホ 社内表彰制度
半期ごとに、対象期間における著しい活躍が認められた社員に対し、本社にて表彰を行っています。業績に対する個人の貢献だけでなく、お客さま本位の経営・3つの原則を実行している社員、他の社員の手本となり、周りに良い影響を与えている社員等、あらゆるステージの社員にスポットライトがあたることで、称賛の風土を醸成し一体感を生んでいます。
ヘ 社内風土改革
「お客さま本位の業務運営」がさらに社内に定着するよう、お客さまの利益を第一とする企業風土改革に取り組んでおります。
ト 従業員向けエンゲージメントサイトの運用
当社グループは、サステナビリティ経営の推進にあたり、従業員一人ひとりの理解と共感を得ることが重要であると認識し、社内エンゲージメントの向上に資するコミュニケーション基盤の整備に取り組んでいます。その一環として、従業員向けにサステナビリティ情報を発信する専用サイトを立ち上げ、経営トップによるメッセージの発信や、各部門・職種を超えた従業員同士の交流を促進するコンテンツを継続的に掲載しています。こうした取り組みにより、当社グループのサステナビリティ方針への理解浸透を図るとともに、社員一人ひとりが主体的に取り組みに参画できる風土の醸成を目指しています。
チ ビジネスカジュアルの通年導入
2025年4月1日より全役職員を対象とし、ビジネスカジュアルを導入いたしました。これまで2005年のクールビズの導入、2012年の制服制度廃止など、従業員の自律的な働き方を広げる服装の導入を進めてまいりました。多様性(ダイバーシティ)の推進、組織の生産性向上、自律意識の醸成、イノベーションの創出およびコミュニケーションの活性化を図るため、ビジネスカジュアルを通年導入といたしました。
(3) 多様な人材の活躍
当社は、多様性を尊重する企業文化の醸成を重要な経営課題の一つと捉えており、多様な人材の採用・登用を通じて組織の活性化と持続的な成長の実現を目指しています。年齢、性別、国籍、キャリア背景、働き方などの違いを強みとして活かすことにより、金融業務における専門性や対応力の向上を図るとともに、複雑化・多様化する顧客ニーズへの柔軟な対応を可能にしています。また、女性や中途採用人材、障がい者、外国籍人材の積極的な雇用、活躍支援に取り組んでおり、多様性、公平性、包括性を推進するための施策や制度の整備を進めてまいります。今後も、公平で開かれた採用とキャリア支援を通じて、多様性を尊重する組織づくりを継続してまいります。
女性が活躍できる環境を整えるために、以下の公表数値を含めて現状分析をし、女性と男性の勤続年数の差を縮め、女性管理職育成に向けた能力開発等の土壌作りをするための支援行動計画を策定しております。
「女性活躍推進法に基づく行動計画」
(ⅰ) 計画期間 2024年4月1日~2029年3月31日までの5年間
(ⅱ) 計画内容
①新規採用者に占める女性労働者の割合を50%以上にする。
②女性管理職数の割合を15%以上にする。
③有給休暇取得率を計画終了時に55%以上とする。
・実績
(ⅲ) 取組内容と実施時期
取組1:女性社員の積極採用
2024年4月~
・新卒採用における女性応募者増加のためのイベント等の実施。
・未経験中途採用や第二新卒まで採用拡大し、ポテンシャルが高い女性人材の獲得に努める。
取組2:女性管理職を増やすための社内風土の醸成
2024年4月~
・女性管理職養成プログラムの継続および強化する。
・産育休前研修の実施を徹底する。
取組3:年次有給休暇取得状況のモニタリング
2024年5月~
・各従業員の有給休暇取得状況を月次でモニタリングする。
・年1回以上の連続取得(2営業日以上)の徹底。
厚生労働大臣より女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業の認定(「えるぼし」第2段階目)を受けております。
(4) 人権の尊重
当社グループは、金融サービス業に携わる企業として、人権の尊重を重要な経営課題の一つと捉えております。この考えのもと、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的枠組みに基づき、以下の通り、2025年2月27日に「人権方針」を策定しております。
<人権方針>
イ 国際規範の尊重
当社グループは、「国際人権章典」、「ビジネスと人権に関する指導原則」、「労働における基本的原則及び権利に関する ILO 宣言」等の人権に関する国際規範を支持し、尊重します。
ロ 適用範囲
本方針は、当社およびグループ会社のすべての役職員に適用されます。
また、お客さまや取引先企業等のあらゆるステークホルダーに対しても人権の尊重を期待します。
ハ 人権尊重へのコミットメント
当社グループは、企業活動のすべてにおいて、国際的に認められた人権を尊重し、人権尊重の責任を果たします。
役職員の人権尊重
・当社グループは、すべての役職員の基本的人権を尊重し、一人ひとりが心身共に健康でいきいきと働き続けていくことができる職場環境づくりに、積極的に取り組んでいきます。
・人種、国籍、信条、政治、年齢、性別、性的指向、性自認、身体的特徴、障がい、社会的身分等を理由としたあらゆる差別を行いません。
・セクシャルハラスメントやパワーハラスメント等、いかなる理由をもってしても、一切のハラスメント行為を容認しません。
・強制労働や児童労働等、一切の不当な労働を容認しません。
・人権侵害について社員が通報・相談できる窓口を設置し、対話を大切にします。
お客さまの人権尊重
当社グループは、すべてのお客さまの人権を尊重します。また、人権尊重の考え方をお客さまと共有し、お客さまにも人権尊重に取組んでいただくことを期待します。
取引先企業等の人権尊重
当社グループは、当社の人権尊重の考え方を取引先企業等と共有し、同様に人権尊重に取組んでいただくことを期待します。
ニ 人権デュー・ディリジェンス
当社グループは、自らの事業活動が人権に対して潜在的に負の影響を与え得るリスクを認識し、適切な人権デュー・ディリジェンスを行うことによって、その防止および軽減に努めます。
ホ 救済措置等
役職員やお客さまをはじめとするステークホルダーの方々からの人権に関する相談・苦情に対応する体制を整備します。当社の事業活動が人権への負の影響を引き起こし、または関与・助長したことを確認した場合は、正当な手続きを通じて是正・救済に取り組みます。
ヘ 教育・啓発
当社グループは、本方針をすべての役職員へ周知するとともに、人権に関する正しい知識の教育・啓発活動に努めます。
ト ガバナンス
当社グループは、代表取締役社長を座長とするサステナビリティWGにおいて、人権に関する対応方針や事業計画を含めた企画立案・推進を行ってまいります。また、重要案件については、取締役会がその対応について意思決定を行います。本方針についても取締役会にて決議されております。
チ ステークホルダー・エンゲージメントと情報開示
当社グループは、本方針に基づく取り組みについて、ステークホルダーとの対話を重視し、人権尊重のための取り組みの向上と改善に努めます。また、人権に関する取り組みや進捗について、適切かつ積極的な情報開示に努めます。
また、社員一人ひとりが心身ともに安心して業務に従事できる就業環境を確保し、お客さまやお取引先などとの良好な関係を構築するために、以下の通り、2024年12月23日に「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定・公表しております。
<カスタマーハラスメントに対する基本方針>
〇 はじめに
当社は、「信頼」「付加価値」「得意分野」の経営理念を掲げ、「お客さまの信頼がすべて」とする考え方のもと、お客さまの状況や経済環境に応じた最善・最適で質の高い金融サービスを提供することで中長期的なお客さまの資産価値の向上に貢献することを基本方針としており、その実現には社員のエンゲージメントを高め、人的資本の価値を最大限に引き出すことが不可欠であると考えております。
こうした考え方のもと、社員一人ひとりが創造性を発揮できる安全で働きやすい職場環境を確保するために、「東洋証券のカスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定いたしました。
〇 カスタマーハラスメントについての考え方と該当する行為
当社では、カスタマーハラスメントをお客さまや取引先などを含む第三者からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、社員などの就業環境が害されるものと定義いたします。
「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例
(以下の記載は例示であり、これに限られるものではありません。)
・身体的な攻撃(暴行、傷害)
・精神的な攻撃(脅迫、暴言、中傷、侮辱、名誉毀損)
・威圧的な言動(従業員、及び他のお客さまに対する迷惑行為)
・継続的な執拗な行動(業務に支障を及ぼす長時間の対応要求、不退去、居座り)
・従業員個人への攻撃、合理性のない要求(不相当なサービス、及び金品等の要求)
・従業員個人への業務範囲を超える関係の強要(性的な言動)
・その他の行為(SNSやインターネット上での誹謗中傷等)
〇 カスタマーハラスメントへの対応
これらの行為が行われたと判断した場合、事実関係を確認したうえで対応をお断りさせていただくことがあります。更に、行為内容が悪質と判断した場合には、警察・弁護士等と連携のうえ、適切に対処させていただきます。
なお、現在、当社グループおよび関係するステークホルダーに関連する人権リスクを把握・管理するため、人権デュー・ディリジェンスの仕組みの構築に向けた取り組みを進めております。今後は、人的リスクの特定・評価を通じて、リスクの予防・軽減措置を講じる体制の整備を図り、持続可能な金融サービスの提供を支える基盤強化に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績は大きく変動する可能性があります。当社グループは、お客さま本位の経営で、世代を超えて信頼され、資産運用・資産形成のアドバイザーとして選ばれる地域密着型のリテール証券会社を目指しております。お客さまの満足度の高いサービス提供を通じて顧客基盤の拡大を図り、一時的な金融市場の変動に影響されない安定的な収益の確保に努めてまいります。
当社グループの中核事業である金融商品取引業は、インターネット取引専業証券やリテール営業中心の同業他社に加えて異業種からの参入及び業界再編等により、今後も厳しい競合が予想され、当社グループの競争優位性が維持できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、個人の資産運用ニーズは益々高まっており、ビジネスチャンスも広がっていると考えております。当社グループは、このようなビジネスチャンスを捉え、お客さま満足度の高いサービス提供を通じてお客さまに選ばれる地域密着型のリテール証券会社を目指します。
地震・津波および水害等の大規模災害、気候変動等に起因する自然災害等の発生や、病原性感染症の拡大等により、当社グループの事業活動が制限された場合、当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
また、病原性感染症の拡大等に際しては、感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や在宅勤務等を実施しております。
当社グループの中核である当社は、事業に関連する法令・諸規則等の法的規制を受けております。当社グループが法令等に違反した場合、当社グループの事業の継続性、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは営業部門のコンプライアンス態勢、内部管理態勢及び監査部門の強化、並びに経営陣によるガバナンス態勢の強化等により法令等を遵守し、一層お客さま本位の業務運営に努めております。
また、当社グループの中核である当社は、「金融商品取引法」及び「金融商品取引業等に関する内閣府令」に基づき、自己資本規制比率による制限が設けられております。金融商品取引法では、自己資本規制比率を120%以上に維持することが求められており、それを下回った場合、金融庁はその証券会社に対して監督命令を発することができることとなっております。当社の自己資本規制比率は2025年3月末現在394.7%であり、120%を下回る可能性は低いと考えております。
当社グループのお客さまに対する営業活動において不法行為があった場合、また、職場等においてハラスメントなど不正行為があった場合に、訴訟等の法的手続きの対象となる場合があります。当連結会計年度末現在において、当社グループの事業に重要な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来において、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は営業部門のコンプライアンス態勢を徹底するとともに、お客さまのクレーム等に対してはお客さま相談室を設置し対応しております。
また、当社グループにおいてはホットライン(東洋証券内部通報制度)を設け、公正で健全な職場環境の確立に努めております。
コンピュータ・システムの利用は、インターネット取引をはじめ、当社グループの業務遂行上必要不可欠なものとなっております。インターネット取引や当社グループが業務上使用するコンピュータ・システムが品質不良、外部からの不正アクセス等によって障害を起こした場合、障害の規模によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2018年11月の基幹システムの移行に際して、基幹システムの安全性や信頼性を検討し、現在、外部業者より共同利用型サービス(ASP型サービス)の提供を受けております。
また、IT業務(システム開発・運用等)における内部統制の有効性を証明する「米国保証基準AT-C 320報告書」を入手しております。
将来的に不測の事態により顧客情報を含む社内重要情報が社外に不正流出した場合、信用を失墜し当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報セキュリティに関する必要な組織体制及び社内規程等を整備しており、安全な情報管理に努めております。
また、サイバー攻撃など外部からの不正アクセスに備えて同業他社との情報交換や金融ISACに加入しサイバーセキュリティに関する情報を共有するなど情報資産の保護に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社グループの業績は、米国景気の先行きに対する期待や不安、日銀の利上げ、トランプ政権への期待や政策の不透明感などから日米の株式相場が大きく乱高下する環境の中で投資信託の代行手数料、米国株取扱手数料や金融収支が増加しましたが、日本株委託手数料や投資信託の募集手数料が大幅に減少しました。ただし、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上の前提となる将来収支計画の見積りに関しては、将来の不確実性等一定の影響を考慮して算定しております。
当連結会計年度における世界経済は緩やかな拡大局面が続きました。しかし、米国で新政権が発足して間もなく浮上した相互関税に係る警戒感が景気後退懸念につながったほか、世界主要各国・地域の分断が進むとの観測が重荷となりました。
このような状況のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、投資信託の代行手数料、米国株取扱手数料や金融収支が増加しましたが、日本株委託手数料や投資信託の募集手数料が大幅に減少しました。その結果、営業収益は112億89百万円(前連結会計年度比6.1%減)、経常利益は10億36百万円(前連結会計年度比27.8%減)と減収減益となりましたが、投資有価証券売却益(特別利益)の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は26億53百万円(前連結会計年度比103.2%増)と大幅な増益になりました。
なお、主な内訳は以下のとおりであります。
受入手数料の合計は85億75百万円(前連結会計年度比9.7%減)になりました。科目別の概況は以下のとおりであります。
(委託手数料)
当連結会計年度の東証の1日平均売買代金は5兆3,357億円(前連結会計年度比14.1%増)になりました。当社の国内株式委託売買代金は8,682億円(前連結会計年度比5.2%減)、外国株式委託売買代金は562億円(前連結会計年度比2.7%増)になりました。その結果、当社グループの委託手数料は36億12百万円(前連結会計年度比9.4%減)になりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は株式の引受高の大幅な増加等により23百万円(前連結会計年度比65.2%増)になりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
主に証券投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は株式投資信託の募集金額が870億円(前連結会計年度比26.6%減)に減少したため、21億95百万円(前連結会計年度比31.7%減)になりました。
(その他の受入手数料)
証券投資信託の代行手数料が中心のその他の受入手数料は株式投資信託の預り資産の平均残高が3,395億円(前連結会計年度比18.8%増)に増加したため、27億43百万円(前連結会計年度比20.4%増)になりました。
トレーディング損益は米国株店頭取引売買代金の増加により株券等が16億76百万円(前連結会計年度比5.9%増)、外国債券の売買損益の減少等により債券等が40百万円(前連結会計年度比34.6%減)、中国株取引に係る為替手数料の減少等によりその他が2億49百万円(前連結会計年度比9.7%減)で合計19億67百万円(前連結会計年度比2.3%増)になりました。
金融収益は信用取引収益及び受取利息の増加等により6億46百万円(前連結会計年度比21.2%増)になりました。また、金融費用は支払利息の増加等により1億79百万円(前連結会計年度比53.9%増)になりました。この結果、差引金融収支は4億67百万円(前連結会計年度比12.0%増)になりました。
販売費・一般管理費は、事務費がシステム関連の事務委託費の増加等により21億15百万円(前連結会計年度比10.5%増)と増加しましたが、退職給付費用及び業績の落ち込みによる賞与の減少により人件費が49億53百万円(前連結会計年度比10.0%減)と減少したため、合計で103億1百万円(前連結会計年度比3.1%減)になりました。
営業外収益は投資有価証券配当金や投資事業組合運用益の増加等により3億76百万円(前連結会計年度比17.2%増)、営業外費用は為替差損の減少等により34百万円(前連結会計年度比9.7%減)で差引損益は3億42百万円(前連結会計年度比20.8%増)になりました。
特別利益は投資有価証券売却益等により22億51百万円(前連結会計年度比21億33百万円増)、特別損失はアドバイザリー費用等により3億38百万円(前連結会計年度比554.1%増)で差引損益は19億12百万円(前連結会計年度比18億46百万円増)になりました。
資産合計は693億87百万円と前連結会計年度末に比べ113億63百万円の減少になりました。主な要因は、投資有価証券が40億93百万円、現金・預金が26億99百万円、預託金が21億79百万円、信用取引資産が15億82百万円減少したことによるものであります。
負債合計は392億64百万円と前連結会計年度末に比べ20億81百万円の減少になりました。主な要因は、短期借入金が29億円増加したものの、信用取引負債が13億71百万円、繰延税金負債が13億47百万円、預り金が10億82百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は301億22百万円と前連結会計年度末に比べ92億82百万円の減少になりました。主な要因は、利益剰余金が55億77百万円、その他有価証券評価差額金が28億38百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は221億81百万円と前連結会計年度に比べ23億85百万円の減少になりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、顧客分別金信託の増減額21億54百万円(前連結会計年度比56億41百万円の増加)、信用取引資産の増減額15億82百万円(前連結会計年度比43億36百万円の増加)、税金等調整前当期純利益29億49百万円(前連結会計年度比14億46百万円の増加)、立替金及び預り金の増減額△10億65百万円(前連結会計年度比68億44百万円の減少)、信用取引負債の増減額△13億71百万円(前連結会計年度比25億91百万円の減少)、投資有価証券売却損益△22億47百万円(前連結会計年度比21億74百万円の減少)等により8億53百万円(前連結会計年度比26億37百万円の減少)になりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入22億82百万円(前連結会計年度比15億35百万円の増加)、定期預金の払戻による収入7億9百万円(前連結会計年度比10億31百万円の減少)等により22億95百万円(前連結会計年度比7億89百万円の増加)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に計上した長期借入金の返済による支出△30億円がなくなったこと、短期借入金の純増減額29億円(前連結会計年度比23億50百万円の増加)、自己株式の取得による支出△80億円(前連結会計年度比79億99百万円の減少)等により△54億60百万円(前連結会計年度比33億54百万円の減少)になりました。
当社グループの主たる事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一の事業セグメントに属しており、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該業務の収益の実績等については、「①財政状態及び経営成績の状況」欄に含めて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。当社グループは、特に重要な判断と見積りを伴う以下の会計方針が、連結財務諸表の作成に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客との取引により発生する債権等の回収不能見込額について、貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合は、追加引当が必要となる可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在、貸倒引当金を1億33百万円計上しております。
当社グループは、持続的な成長及び企業価値向上の観点から、取引先との中長期的・安定的な取引関係の構築・維持もしくは強化または事業の円滑な推進に資する場合に、他社が発行する株式を保有しております。保有する株式については時価の下落が一時的でないと判断した場合、有価証券評価損を計上しております。市場価格のない株式等については、発行会社の財政状態や将来性等、当社所定のルールに従い算定した額を時価とみなし、判定をしております。
なお、当連結会計年度は、該当事項はありませんでした。
当社グループのグルーピングは、当社においては管理会計上で区分した部及び支店並びに賃貸用不動産をキャッシュ・フローを生み出す最小単位として捉え、その単位を基礎に、連結子会社においては会社全体を1つの単位として、グルーピングを行っております。
また、本店、厚生施設等については独立したキャッシュ・フローを生み出さないことから共用資産としてグルーピングを行っております。
当社グループは、固定資産の収益性が低下し、その固定資産に対して投資した金額が回収できないと認識した場合に、所定のルールに従い、回収可能な金額まで固定資産の帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の減損損失の認識に際して用いた割引前将来キャッシュ・フローや、測定に際して用いた回収可能価額は第六次中期経営計画を基礎とした将来収支計画の見積りに基づいており、将来収支計画の見積りはトランプ大統領による関税政策をめぐる不透明感等の一定の影響を考慮して算定しております。
なお、2025年3月末の減損対象資産は当社グループでは28億35百万円(当社の共用資産は3億11百万円)であります。当連結会計年度について営業活動から生じる損益がプラスに転じたため、共用資産を含む大きなグループについては兆候には該当しません。
また、資産グループについては1支店において営業損益が2期連続マイナスとなり、減損の兆候に該当し、28百万円の減損損失を計上しました。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得及び実現性の高い税務計画を検討し、回収可能性が高いと認められる金額について計上しております。ただし、回収可能性の判断に変更が生じた場合には、計上した繰延税金資産の全部または一部について取崩しを行い法人税等調整額を計上することとなります。繰延税金資産の算定に際して用いた将来の課税所得の算定の基礎となる収支計画の見積りにおいてはトランプ大統領による関税政策をめぐる不透明感等の一定の影響を考慮して算定しております。
なお、当連結会計年度末現在、繰延税金資産を2億76百万円計上しております(うち、2億57百万円については連結貸借対照表上、繰延税金負債と相殺表示)。
当社は、確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度を設けております。
確定給付企業年金制度における従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、予想昇給率、退職率、直近の統計数値に基づいて算出する死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率により算出しており、長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の長期期待運用収益率に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、その影響は退職給付に係る調整累計額として純資産を加減算することとなります。
当連結会計年度は退職給付費用を△3億96百万円計上し、当連結会計年度末現在の年金運用資産の額が退職給付債務額を上回っているため、その差額を退職給付に係る資産として、41億72百万円計上しております。
当社グループは、お客さま本位の業務運営を追求し、お客さま満足度の向上により顧客基盤を拡充することで、企業価値向上を図るビジネスモデルの確立を目指しております。このビジネスモデルの確立に向けて、当社グループは、国内株式や投資信託に加えて、中国株・米国株等の外国株をお客さまの中長期的な資産形成の選択肢の一つとしてポートフォリオへ組み入れることを提案しております。
当連結会計年度の当社グループの国内株、中国株の取引高は減少し、当社グループの委託手数料は36億12百万円と前連結会計年度に比べ3億75百万円減少しましたが、米国株の店頭取引売買代金の増加等によりトレーディング損益は19億67百万円と前連結会計年度に比べ45百万円増加しました。
また、当社グループは、預り資産の残高拡大を中心に、顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。当該方針のもと、当連結会計年度は投資信託の販売に注力しましたが、投資信託の販売手数料は21億95百万円と前連結会計年度に比べ10億22百万円減少、一方、信託報酬(代行手数料)は24億75百万円と前連結会計年度に比べ4億72百万円増加しました。
販売費・一般管理費はシステム関連費用を中心に事務費が増加したものの、退職給付費用や賞与の減少により、人件費が減少したため、合計で103億1百万円となり、前連結会計年度に比べ3億38百万円減少しました。
この結果、当社グループの営業利益は6億94百万円となり、前連結会計年度に比べ4億59百万円の減少となりました。
当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けるため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。このため、当社グループは上記のとおり、預り資産の残高拡大を中心に、顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は221億81百万円と前連結会計年度に比べ23億85百万円の減少になりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により8億53百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等により22億95百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得等により54億60百万円の支出となりました。
この結果、当社グループの現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ23億85百万円減少し221億81百万円となりましたが、十分に資金の財源及び流動性が確保されております。
また、不測の事態に備えるため、当社は取引銀行9行それぞれと当座貸越契約を締結しており、連結子会社は取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。このほか、緊急時対応についてもコンティンジェンシープランを策定し、全社的な緊急時対応体制を構築しております。
金銭消費貸借契約(シンジケートローン契約)
(注)2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約(シンジケートローン契約)については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により省略しております。
該当事項はありません。