当連結会計年度におけるわが国経済は、経済・金融政策等を背景に緩やかな回復基調で推移しているものの、中国をはじめとする新興国経済の減速や、英国のEU(欧州連合)離脱問題、中東情勢、米国新政権の政策運営など、国際情勢の不確実性は高まっており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は463億74百万円(前連結会計年度比88億96百万円減)、経常利益は68億43百万円(前連結会計年度比31億13百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は55億91百万円(前連結会計年度比11億9百万円減)となりました。
当社グループは、当社、連結子会社5社及び持分法適用関連会社4社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)
証券関連事業 エイチ・エス証券株式会社
債権管理回収関連事業 エイチ・エス債権回収株式会社
IT関連事業 iXIT株式会社
その他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム、
エイチ・エス・アシスト株式会社、エイチ・エスライフ少額短期保険株式会社
なお、当連結会計年度において、株式会社アスコットの株式を一部売却し、同社は子会社でなくなったため連結の範囲から除外したことに伴い、報告セグメントから「不動産関連事業」を削除しております。
また、当連結会計年度より、株式会社インデックス(現iXIT株式会社)の重要性が増したため連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントに「IT関連事業」を追加しております。
これにより、当連結会計年度より、報告セグメントは「銀行関連事業」「証券関連事業」「債権管理回収関連事業」「IT関連事業」「その他事業」の5つとなっております。
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
① 銀行関連事業
ハーン銀行(Khan Bank LLC)及びソリッド銀行(JSC Solid Bank)は、銀行関連事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
モンゴルの経済につきましては、インフラ整備事業や不動産開発等は続いているものの、中国経済の減速や平成29年前半まで続いた石炭価格の低迷等の影響を受け、実質GDP(1-12月)は前連結会計年度比で1.0%増加、インフレ率も前連結会計年度比で1.1%増加に留まるなど、景気は低迷しております。
財政収支は歳出の大幅な増加により赤字が拡大し、また、貿易収支は国内景気の減速に伴う輸入減少の影響により黒字基調で推移する中、11月からは輸出も増加傾向にあり黒字が拡大しております。
外貨準備高は、前連結会計年度比で2.0%減少して12億ドル台となり、依然として低水準で推移しております。外貨準備高の減少を受け、為替市場では現地通貨(MNT)は下落基調となり、米ドルに対して前連結会計年度比で24.8%下落(ドル高)、円に対して前連結会計年度比で27.9%下落(円高)しました。なお、中央銀行は、現地通貨の下落を受けて8月に政策金利を10.5%から15.0%に引き上げましたが、12月にはインフレ率の低下を受け、政策金利を14.0%まで引き下げました。
モンゴルの銀行業界につきましては、金融セクターの融資残高は前連結会計年度比で6.1%増加し、また、延滞債権や不良債権等の非正常債権は大幅に増加しました。
経済状況の悪化を受け、格付け機関におけるモンゴルのソブリン格付けは8月と11月に引き下げられました。一方では、6月にモンゴルにとって初めての経済連携協定(EPA)が日本との間で発効され、日本・モンゴル両国間の経済関係強化が期待されています。また、世界有数の銅・金の埋蔵量を有するオユ・トルゴイ鉱山の開発が本格的に再開され、中長期的には大きな経済効果が期待されております。
このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、モンゴル経済を注視しつつ、慎重な姿勢で経営に臨んでまいりました。現地通貨ベースでは、預金残高は前連結会計年度比32.3%増加、融資残高は前連結会計年度比7.7%増加、資金運用収益は前連結会計年度比9.5%増加となりました。また、新型ATMの増設やEバンキングのキャンペーンを実施することで支店の混雑緩和を図るなど、積極的なサービスの向上を行っております。
しかしながら、資金調達費用の増加や為替ヘッジを目的とするスワップ取引において評価損を計上した影響により、業績は前連結会計年度比で減益となりました。また、当社の連結決算(円建て)におけるハーン銀行の業績は、現地通貨安(円高)による影響を受けております。
結果として、当連結会計年度の営業収益は395億79百万円(前連結会計年度比30億25百万円減)、営業利益は53億52百万円(前連結会計年度比30億44百万円減)となりました。
(法人向け融資)
中国の経済減速に伴う石炭価格の低迷及び輸出の減少や、アパート価格指数の下落等に見られる不動産の供給過剰の影響を考慮し、鉱山セクター及び建設・不動産関連セクターについて慎重に対応してまいりました。
また、融資の質を高めるため、新規顧客の開拓を控え、既存の優良顧客への融資に注力するとともに、不良債権の回収にも取り組みました。
結果として、法人向け融資の融資残高は前連結会計年度比で8.9%減少いたしました。
(個人向け融資)
中央銀行が促進する低利の住宅ローンは、一旦停止されたものの平成29年1月下旬に再開されております。なお、ハーン銀行は保有する住宅ローンの一部をモンゴル住宅公社(MIK)に売却いたしました。
また、年金支給額の増加及び融資期間の延長により年金担保融資は好調に推移し、さらに、日本との経済連携協定(EPA)発効に伴い自動車ローンが増加いたしました。
結果として、個人向け融資の融資残高は前連結会計年度比で23.6%増加いたしました。
(農牧業向け融資)
政府により優良な農牧民向け低利融資が開始されたものの、政権交代とともに同政策は廃止されました。また、景気の低迷に伴い、農産物の販売及び農牧民の所得も停滞しました。
結果として、農牧業向け融資の融資残高は前連結会計年度比で13.4%減少いたしました。
また、当社の持分法適用関連会社であり、ロシアに本店を置くソリッド銀行(JSC Solid Bank)の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
ロシアの経済につきましては、厳しい環境が続いたものの、原油等の資源価格が下落基調から上昇に転じたこともあり、実質GDP(1-12月)は前連結会計年度比で0.2%減少に留まり、鉱工業による景気回復の兆しが見え始めました。
このような環境の中、ロシアに本店を置くソリッド銀行につきましては、引き続き貸出審査及びリスク管理を大幅に厳格化して貸出残高の増加を抑えるとともに、組織の再構築やコスト削減等に取り組んでまいりました。また、保証業務や貴金属取引等の非金利収益の増加を図ってまいりました。しかしながら、貸出先の財務状態の悪化により貸倒引当金の積み増しを実施したこともあり、業績は前連結会計年度比では改善したものの低迷しております。
今後につきましても、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移及び国際情勢の緊迫化等の影響もあり、当面はロシア経済の不透明感並びに低成長が続くと予想されますが、業務の合理化とともに新商品導入などの新しい収入源の模索を続けてまいります。
② 証券関連事業
エイチ・エス証券株式会社は、証券関連事業に分類しております。
当連結会計年度における国内株式市場は、期初、4月初旬の日銀短観の発表により投資家心理が悪化する中、米国における利上げ観測の後退から円高ドル安に推移したことにより下落しました。その後、円高や原油価格が一服したことが好感され自律的に回復する場面はあったものの、日銀が追加緩和を見送ったことへの失望感等により再び下落に転じました。さらに、6月下旬には、当初の予想を覆し英国国民投票によるEU(欧州連合)離脱が決定したことを受け、欧州情勢への先行き懸念が高まったことから株価は急落し、日経平均株価は一時15,000円台を割り込む波乱の展開となりました。
7月に入ると欧州リスクが後退し、参議院議員選挙での与党勝利をきっかけに反発するものの、米国大統領選挙の情勢を見守る形で売買高が低調に推移する中、方向感を欠く展開が続きました。
10月後半にかけては、国内企業業績の底入れ期待などから緩やかな上昇傾向が続きましたが、11月の米国大統領選挙でトランプ候補が勝利したことにより、一時株価は大きく下落しました。しかし、翌日にはトランプ候補の政策期待への関心が高まったことで値を戻し、その後も米国株高や円安ドル高に転じたことを材料に株価は続伸しました。
その後、トランプ大統領の発言や為替市場の動向に左右され、高値圏でのこう着状態が続きました。期末にかけては、トランプ大統領が最優先課題として挙げていた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案を撤回したことによる米国経済対策に対する不透明感の高まりや、円高ドル安の進行等により株価はやや軟調に推移し、3月末の日経平均株価は18,909円26銭で取引を終えました。なお、当連結会計年度における東証の売買代金は前連結会計年度比で11.1%減少しました。
このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、国内株式営業への取組み、新興国通貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。また、NISA浸透に向けて、口座獲得を目的とした各種キャンペーンも取り組んでまいりました。インターネット取引におきましては、スマートフォン株式取引アプリ「スマ株」の普及を図るとともに、お客様の利便性向上のため、取引システム及びパソコン向け情報ツール「HS Trader Premium」の刷新に取り組んでまいりました。引受業務におきましては、新規公開(IPO)7社、既公開企業(PO)1社、計8社の幹事参入を果たしました。なお、当連結会計年度末における預り資産は3,491億22百万円(前連結会計年度比264億53百万円増)となりました。
結果として、当連結会計年度の営業収益は32億74百万円(前連結会計年度比7億51百万円減)、営業利益は90百万円(前連結会計年度比4億85百万円減)となりました。
(受入手数料)
当連結会計年度の受入手数料は14億49百万円(前連結会計年度比5億62百万円減)となりましたが、その内訳は以下のとおりであります。
委託手数料
委託手数料につきましては、国内株式市場における売買代金が減少したことから11億38百万円(前連結会計年度比3億25百万円減)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料につきましては、9百万円(前連結会計年度比33百万円減)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料につきましては、株式投資信託の募集金額が減少したことにより98百万円(前連結会計年度比95百万円減)となりました。
その他の受入手数料
主に投資信託事務代行手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は2億3百万円(前連結会計年度比1億7百万円減)となりました。
(トレーディング損益)
当連結会計年度のトレーディング損益につきましては、株券等は5億24百万円(前連結会計年度比1億4百万円増)、債券・為替等は7億39百万円(前連結会計年度比1億10百万円減)となり、合計で12億63百万円(前連結会計年度比5百万円減)となりました。
(金融収支)
当連結会計年度の金融収益は5億60百万円(前連結会計年度比1億82百万円減)、金融費用は1億26百万円(前連結会計年度比25百万円減)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は4億33百万円(前連結会計年度比1億57百万円減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前期に実施したコスト削減の効果が期間を通じて寄与したため30億57百万円(前連結会計年度比2億40百万円減)となりました。
③ 債権管理回収関連事業
エイチ・エス債権回収株式会社は、債権管理回収関連事業に分類しております。
サービサー業界につきましては、金融機関において実施されるバルクセールは、前連結会計年度と同程度に実施されているものの、売却対象債権数及び債権額の減少傾向に伴い、依然として買取価格が高騰しております。
このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、取引金融機関数の増加を目標に掲げ、より多くのバルクセールに参加して買取債権の残高を積み上げてまいりました。これにより、落札価格の高騰化による利益率の低下はあるものの、順調に無担保債権からの回収が進捗し、当連結会計年度の買取債権回収高は16億4百万円(前連結会計年度比3億85百万円増)となりました。
また、収益構造の多様化を図るべく、企業再生分野への取組み強化を目的とし、中小企業庁より経営革新等支援機関の認定を受けました。従来からの債権の管理回収と併せ、財務リストラを中心とした更なる中小企業の事業再生にサービサーとして貢献してまいります。
結果として、当連結会計年度の営業収益は20億64百万円(前連結会計年度比2億86百万円増)、営業利益は1億58百万円(前連結会計年度比24百万円増)となりました。
④ IT関連事業
iXIT株式会社は、IT関連事業に分類しております。
スマートフォン業界につきましては、携帯電話端末の総出荷台数が減少しているものの、スマートフォンの販売台数は増加しフィーチャーフォン出荷台数が大幅に減少するなど、高性能端末へのシフトが顕著に見られます。提供可能なサービス領域が拡大し、市場はますます多様化・競争の激化が進んでおります。
このような環境の中、iXIT株式会社につきましては、当社グループの一員となって以降、平成28年4月より経営体制を一新いたしました。既存のコンテンツ課金収入が減少傾向にある中、抜本的な組織改編を実施し、新規顧客の開拓に向けた営業の強化及び人員削減を含む固定費の削減に努めてまいりました。
新規受託案件は、ハウステンボスへの体感型アトラクションの提供をはじめ堅調に増加し、その取組みの効果が徐々に顕在化しており、業績は回復基調にあります。
結果として、当連結会計年度の営業収益は15億17百万円、営業損失は1億9百万円となりました。
⑤ その他事業
当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
その他事業の当連結会計年度の営業収益は3億86百万円(前連結会計年度比95百万円減)、営業利益は1億3百万円(前連結会計年度比98百万円減)となりました。
⑥ 持分法による投資損益
株式会社外為どっとコム、ソリッド銀行等の当社の持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
株式会社外為どっとコムにつきましては、新規口座開設の増加に加え、6月の英国のEU離脱決定や、11月の米国大統領選挙等による外国為替市場のボラティリティ(価格の変動率)の拡大の影響もあり、当連結会計年度の業績は前連結会計年度比で増収増益となりました。
なお、当社は12月30日付でエイチ・エス損害保険株式会社の株式の一部を売却いたしました。これに伴い、同社は当社の持分法適用関連会社から除外され、同社の第3四半期連結累計期間までの業績が持分法による投資損益に反映されます。
結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は9億63百万円(前連結会計年度比6億円増)となりました。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、独自の金融コングロマリット構想の下、特長ある各種金融サービス事業の拡充、成長性の高い事業分野の強化、徹底した業務の効率化等により、更なる発展を目指してまいります。
(2)経営環境及び経営戦略等
当社グループでは、グループ各社間の業務展開により、お客様に喜ばれ満足していただけるサービス・商品を提供すること、及び各事業分野において、ナンバー・ワンあるいはオンリー・ワンとなるサービスを育成することを目指し、顧客の拡大とグループ企業価値の最大化に取り組んでおります。また、管理体制と経営体制の一層の強化を図り、グループとしての信用力強化及びブランドイメージの向上を目指してまいります。
a)銀行関連事業
ハーン銀行(Khan Bank LLC)においては、モンゴル産鉱物資源の主要輸出先である中国経済の減速や石炭価格の低迷等の影響を受けており、今後も厳しい経済環境が予想されております。当面はハーン銀行の一番の強みであるリテール・中小企業取引に特に注力し、融資業務に加え、カード事業やエレクトロニックバンキング等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。モンゴル経済は、中国経済のみならず、資源価格動向等にも影響を受ける可能性があり、貸出先の信用状況には充分注意を払い、リスク管理の高度化に引き続き努めてまいります。
ソリッド銀行(Solid Bank CJSC)においては、ルーブルの下落や国際情勢の不安定化等の影響から厳しい環境が続いておりますが、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指し、各種サービスの更なる向上に努めてまいります。
b)証券関連事業
エイチ・エス証券株式会社においては、国内株式市場の低迷の影響を受け、売買代金の減少による委託手数料が減少しております。社会情勢や景気の動向に影響を受け、不安定な業界ではあるものの、外部環境に左右されない安定的な収益の確保、認知度の向上及び同業他社との差別化を目指しております。預り資産及び収益の拡大に向けた積極的な取り組みやインターネット取引システムの改良、コンプライアンス及び内部統制の更なる徹底を図ってまいります。
c)債権管理回収関連事業
エイチ・エス債権回収株式会社においては、取扱件数、債権額、回収額が減少傾向にあり、サービサー間での競争が激化している中、金融機関等の債権者から債権を譲受する「買取型サービサー」としての利益率の向上に努めております。さらに、取引先金融機関の拡大やコンサルティング業務等の業務の多角化による経営基盤の安定を図るとともに、事業再生分野でのグループシナジーの早期実現を目指してまいります。
d)IT関連事業
iXIT株式会社においては、IT関連業界は市場規模が拡大し、新規参入が容易なことから、競合他社が増加し続けている環境にあります。業界の将来性は高く、今後もさらなる需要が見込まれているため、新規顧客の開拓に向けた営業の強化に努め、多様な分野において、新たなコンテンツやサービス等の開発に取り組んでまいります。
e)その他事業
株式会社外為どっとコムにおいては、外国為替相場について、海外情勢の影響を受けやすい状況にありますが、業界内でのシェア獲得のため、口座数、預り資産の拡大に取り組んでおります。多様なプロモーションを行い、競争が激化する外国為替保証金取引業界に対応できる収益構造の構築を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
目標とする経営指標としては、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)が最適と考えており、連結ベースでROE10%以上、経常利益100億円を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
金融サービス事業においては、お客様の資産運用に対する多種多様なニーズを的確に捉え、特長ある金融サービスを提供するため、金融関連の法改正及び規制緩和や国内外の各種金融サービスの動向等を調査・検討して、新たな金融サービスの企画開発や既存サービスの改良等に努めてまいります。また、インターネット取引システムの安定性の強化、コンプライアンスの徹底等を着実に実行し、お客様に信頼され、安心してお取引していただける金融グループの構築を追求してまいります。
投資業務につきましては、企業再生事業として出資した企業の管理、支援に努めるとともに、経済成長が著しいアジアの新興国や独自性の高い新規事業等、今後の成長性が期待される地域及び事業への投資を積極的に検討してまいります。
また、自己投資業務の他、M&Aの仲介業務並びにコンサルティング業務を積極的に展開してまいります。
業務の効率化につきましては、各事業の業務プロセスの徹底的な見直しを通じたコスト削減の他、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することにより業務の改善を推し進めてまいります。
今後も当社グループ全体の収益性の向上を図り、更なる業容の拡大、企業価値の向上を目指してまいります。
① 各事業固有のリスクについて
当社グループは、独自の金融コングロマリット構想のもと、銀行業、証券業、債権管理回収業、IT関連事業、外国為替保証金取引業の多岐にわたる事業を展開しているため、各事業における固有のリスク要因が存在します。
a)銀行業
当社子会社のハーン銀行(Khan Bank LLC)はモンゴル国において、また、当社の持分法適用関連会社であるソリッド銀行(JSC Solid Bank)はロシア連邦において銀行業を展開しております。
1)金利・為替相場等の変動による影響について
ハーン銀行はモンゴル国内において、ソリッド銀行はロシア国内において、主に現地通貨建てで業務を行っているため、以下に挙げる金利、社会・政治情勢の影響を受ける可能性があります。
(金利リスクについて)
モンゴル又はロシア(以下、「当該国」という。)の金利が大きく変動する場合、ハーン銀行又はソリッド銀行(以下、「両行」という。)の顧客に対する貸出金利の低下、顧客からの預金に対する利払いの増加等により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(為替リスクについて)
両行は当該国において現地通貨建てで業務を行っております。そのため、為替相場の動向次第では、両行の業績の如何にかかわらず当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(カントリーリスクについて)
モンゴル国は大規模な鉱山開発等による経済成長が予想されています。また、ソリッド銀行が本店を置くロシア連邦の極東地域は、豊富な天然資源を有しており、開発による更なる発展が期待されます。しかしながら、今後、当該国における政治・社会情勢の混乱、税務及び規制等環境の変化等により当該国の経済情勢が悪化した場合には、両行における貸倒れの増加や貸倒引当金の積み増し等により、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
2)法規制について
両行は、当該国に設立されている銀行であるため、当該国政府の金融、経済政策や関係する法令規則等の変更により、両行あるいは当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
また、両行は当該国の中央銀行による規制・監督下に置かれているため、今後当該規制が変更された場合、規制に対応するためにコスト増から当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
b)証券業
当社子会社のエイチ・エス証券株式会社は、証券業を展開しております。
1)証券市場の変動による影響について
株式市場において相場の低迷、取引の停滞・減少があった場合には、当社証券子会社の顧客数又は一人当たり取引高は停滞・減少する事態が想定され、株式売買手数料の減少等により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
2)法規制について
同社においては、トップマネジメントの監督の下、内部管理統括責任者、コンプライアンス統括部等が連携し、法令遵守のための内部管理組織の整備、コンプライアンスマニュアルの周知徹底を図っております。しかしながら、今後何らかの理由により行政上の指導、勧告を受けた場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
金融商品取引法及び関係法令は、証券会社に対して自己資本規制比率を一定以上維持することを義務付けております。同社における平成29年3月31日現在の自己資本規制比率は558.5%であり、余裕をもって経営に当たっておりますが、今後何らかの理由により当該比率が120%を下回った場合には、監督官庁の指導、命令等を通して当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
また、証券会社は、金融商品取引法及び関係法令、金融商品販売法等の消費者保護に関する法令、市場秩序に関する法令等、幅広い規制を受けており、これらの規制が変更された場合、規制に対応するためのコスト増から当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
3)競合について
近年、インターネット証券会社を中心に手数料・サービス競争は過熱しており、今後の他社動向によっては、商品提供や新サービスの提供を含み、より厳しい競争も想定されます。その場合、新たな商品を開発する費用、新システムを導入する費用、販売促進費、情報通信設備への投資等のコスト増により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
4)個別業務について
(信用取引について)
信用取引については、株式市場の変動に起因して、顧客が損失を被った場合又は代用有価証券の評価額が下落した場合、受け入れている担保が十分でなくなる可能性があります。リスク管理は徹底しておりますが、顧客からの信用貸付金の回収が想定以上に滞る場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(トレーディングについて)
トレーディング部門においては、運用ルールに従い、ポジションの評価損益を日次で内部管理統括責任者に報告するとともに、取引内容に関してリスク管理部署からの牽制も受けております。しかしながら、株式市場において想定外の価格変動があった場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(主幹事業務について)
主幹事業務において、同社が主幹事証券会社を務める企業が新規上場する過程あるいは上場後に社会的評価が低下するような事態を招いた場合には、その主幹事証券会社である同社の評価にも影響を与える可能性があります。その場合、主幹事業務の推進に支障をきたすことに加えて、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
(外国株式及び外債について)
外国株式及び外債の取扱いにおいては、当該国における法令等の改廃や政治、経済情勢の急激な変動等による不測の事態が生じた場合、取引の停止等の支障をきたし、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
c)債権管理回収業
当社子会社のエイチ・エス債権回収株式会社は、債権管理回収業を展開しております。
1)法規制について
債権管理回収業は、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づき、法務大臣の許可を受けた株式会社が営むことができます。同法により、弁護士の取締役への起用、資本金の額、取扱業務の範囲、行為規制及び行政当局による監査等の様々な制約を受けております。今後、法令規制等の変更があった場合や、何らかの理由により行政上の処分を受けた場合は、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
2)不良債権処理の動向について
同社では、金融機関、ノンバンク、投資ファンド等からの債権回収の受託、譲受債権の回収等の債権管理回収業を展開しております。金融機関等による不良債権処理が鈍化した場合、債権回収の受託、債権の譲受及びその債権の回収が減少し、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
d)IT関連事業
当社子会社のiXIT株式会社は、モバイルアプリケーションの開発及びデジタルコンテンツの配信等のIT関連事業を展開しております。
1)法規制について
電気通信事業法をはじめとする関連法令・規制の改廃や、新たに何らかの自主規制が求められた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
2)競合・サービスの陳腐化について
同社が事業を展開しているIT関連事業では、競合他社の事業拡大や新規参入が相次いでおり、今後も激しい競争下に置かれるものと予想されます。また、IT関連事業は、商業活動に関連する技術及び業界基準の急速な変化に左右される状況にあり、顧客のニーズがその都度、変化又は多様化することが予想されます。これらの状況に対し、同社が適切かつ効率的に対応できない場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
3)料金回収について
携帯端末向け配信サービスの収益構造は、各国における利用料金回収代行業者が利用者からコンテンツ情報料を回収することを前提としております。今後、回収代行業者が回収代行サービスを停止又は現在の契約約款を変更した場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
4)知的財産権について
同社では、コンテンツサービス名称及び特許化可能な技術について、積極的に商標権の取得又は特許権化を図っておりますが、商標権の獲得又は特許権化に際し、多大な時間やコストが発生する可能性があります。また、同社では、第三者の知的財産権を侵害せぬよう常に留意し、調査を行っておりますが、同社が第三者の知的財産権を意図せずに侵害し、損害賠償請求又は差止請求等がなされた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
5)版権元について
同社の事業には、版権元より著作権、著作隣接権等の使用許可を得ているものがありますが、版権元自身が同様の事業展開を行った場合等により優良版権を獲得できなくなった場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
e)外国為替保証金取引業
当社の持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムは、外国為替保証金取引業を展開しております。
1)法規制について
外国為替保証金取引は金融商品取引法をはじめとする関係法令等の規制を受けており、レバレッジ規制強化等の法令の改正により収入の減少又は費用の増加が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
2)外国為替市場の変動による影響について
外国為替市場の変動状況の影響により取引量が停滞・減少し、手数料収入の減少等が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
3)競合について
同社は、口座数及び預り資産において国内最大級の水準を有しておりますが、外国為替保証金取引業界は、サービス、手数料及びスプレッド等の競争が激化しております。競争激化の影響により収入の減少又は費用の増加が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
f)その他の事業
上記事業の他、少額短期保険業等、当社の連結子会社及び持分法適用関連会社が展開する事業において、法令規制等の変更、競争の激化等の事業環境の変化により収入の減少又は費用の増加等が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
また、当社は自己投資業務(プリンシパル投資業務)の一環として企業の育成、再生及び発展に取り組んでおります。当社は、対象会社の再生、企業価値向上へと取り組んでおりますが、対象会社の再生が計画通り進まない場合、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
② グループの拡大・再編について
当社は、当社グループの更なる発展を目指し、新規参入やM&Aを含む当社グループの拡大及び再編を継続的に検討、実施しております。今後も当社グループの拡大及び再編を行ってまいりますが、これらを実施した影響により当社が予め想定しなかった結果が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ オペレーショナルリスクについて
a)システムについて
当社グループでは、各事業分野において業務を運営するために基幹システムをはじめとした様々なコンピュータシステムを利用しています。また、当社グループでは、証券取引及び外国為替保証金取引において、コンピュータシステムにより顧客からのインターネットによる取引の受注や取引の執行・決済に関するデータ処理を行っており、銀行業等においても、インターネットを通じて顧客にサービスを提供しております。さらに、IT関連事業において、携帯端末向けデジタルコンテンツの配信サービスを展開しております。各種システムにつきましては、定期的なメンテナンスやバックアップシステムの確保等、システムの安定的な稼働を維持するため万全を期しておりますが、今後予期せぬシステム障害が起こった場合、さらにシステム障害に伴う訴訟又は行政処分等を受けた場合には、当該事業に重大な支障が生じ、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
b)事務について
当社グループのすべての業務には事務リスクが存在し、役職員等が事務に関する社内規程・手続等により定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故、不正等を起こす可能性があります。これらの事象により業務に支障をきたした場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
④ 個人情報保護について
当社グループの各事業分野における顧客情報の管理については、各社厳重な管理を行っておりますが、想定していなかった経路より外部に情報が流出した際には、金融グループとしての信用に悪影響を及ぼし、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 自然災害等について
地震、火災、大雨等の自然災害や、戦争、暴動、テロ等により人的被害又は物的被害が生じた場合、また、これらの自然災害等に起因する事象により、当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 有能な人材の確保について
当社グループは、独自の総合金融コングロマリット構想の下、幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っておりますので、各分野において有能で熟練した人材が必要とされます。このため、必要な人材の積極的な採用や継続的な研修を行うこと等により、経費が増加する可能性があります。また、有能な人材の採用及び定着を図ることができなかった場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 訴訟について
当社グループは、各事業分野において事業運営に関する訴訟リスクが存在し、また、訴訟の発生を予測することは困難です。訴訟が発生した場合、訴訟対応に関する費用の増大、不利な判決による賠償金の支払い及び社会的信用の低下等により当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 主要株主について
現在、当社代表取締役会長である澤田秀雄個人が大株主となっており、澤田個人及び関連企業において実質的に29%を保有しておりますので、当社株主総会の承認を要する事項(取締役・監査役の選任・解任、配当実施等)全てに大きな影響力を持っております。
なお、上記の記載のうち、将来に関する事項は、別段の記載がない限り本書提出日現在において当社が判断したものに限られており、全てのリスク要因を網羅するものではありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(1) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は3,652億54百万円(前連結会計年度比71億92百万円減)となりました。
流動資産は、有価証券が678億49百万円(前連結会計年度比332億70百万円増)、貸出金が1,521億53百万円(前連結会計年度比284億58百万円減)となり、流動資産合計は3,305億93百万円(前連結会計年度比106億73百万円増)となりました。
固定資産は、投資有価証券が129億80百万円(前連結会計年度比171億79百万円減)となり、固定資産合計は346億61百万円(前連結会計年度比178億65百万円減)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は3,030億75百万円(前連結会計年度比74億94百万円減)となりました。
流動負債は、預金が1,808億66百万円(前連結会計年度比41億18百万円増)、1年内返済予定の長期借入金が369億55百万円(前連結会計年度比32億円増)となり、流動負債合計は2,575億51百万円(前連結会計年度比55億2百万円増)となりました。
固定負債は、長期借入金が443億77百万円(前連結会計年度比122億32百万円減)となり、固定負債合計は454億38百万円(前連結会計年度比130億3百万円減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度の純資産合計は621億78百万円(前連結会計年度比3億1百万円増)となりました。
利益剰余金が347億78百万円(前連結会計年度比51億25百万円増)、非支配株主持分が141億44百万円(前連結会計年度比13億55百万円減)となりました。
(2) 経営成績の分析
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は463億74百万円(前連結会計年度比88億96百万円減)となりました。営業収益が減少した主な要因は、銀行関連事業及び証券関連事業における減収、また、当連結会計年度より不動産関連事業が削除されたことに伴う売上高の減少によるものであり、資金運用収益は353億円(前連結会計年度比29億61百万円減)、受入手数料は14億49百万円(前連結会計年度比5億56百万円減)、売上高は36億円(前連結会計年度比51億54百万円減)となりました。
(営業利益)
純営業収益は215億86百万円(前連結会計年度比62億63百万円減)、販売費及び一般管理費は158億22百万円(前連結会計年度比20億59百万円減)となり、当連結会計年度の営業利益は57億64百万円(前連結会計年度比42億3百万円減)となりました。
(経常利益)
持分法による投資利益は9億63百万円(前連結会計年度比6億円増)となり、当連結会計年度の経常利益は68億43百万円(前連結会計年度比31億13百万円減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
関係会社株式売却益は15億60百万円(前連結会計年度比15億60百万円増)、非支配株主に帰属する当期純利益は24億94百万円(前連結会計年度比11億67百万円減)となり、結果として、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は55億91百万円(前連結会計年度比11億9百万円減)となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて131億43百万円増加し、600億57百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、229億79百万円の資金増加(前連結会計年度比397億15百万円の増加)となりました。主に、「預金の純増減」475億25百万円及び「為替差損益」134億51百万円の資金増加要因があった一方、「債券の純増減」225億7百万円及び「貸出金の純増減」120億15百万円の資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4億83百万円の資金減少(前連結会計年度比145億57百万円の増加)となりました。主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」61億22百万円、「定期預金の増減額」12億58百万円及び「関係会社株式の売却による収入」10億33百万円の資金増加要因があった一方、「有形固定資産の取得による支出」52億25百万円及び「投資有価証券の取得による支出」36億48百万円の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、11億70百万円の資金増加(前連結会計年度比30億56百万円の減少)となりました。主に、「長期借入れによる収入」336億17百万円の資金増加要因があった一方、「長期借入金の返済による支出」324億93百万円の資金の減少要因があったことによるものであります。