第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、独自の金融コングロマリット構想の下、特長ある各種金融サービス事業の拡充、成長性の高い事業分野の強化、徹底した業務の効率化等により、更なる発展を目指してまいります。

 

(2) 経営戦略等

当社グループでは、グループ各社間の業務展開により、お客様に喜ばれ満足していただけるサービス・商品を提供すること、及び各事業分野において、ナンバー・ワンあるいはオンリー・ワンとなるサービスを育成することを目指し、顧客の拡大とグループ企業価値の最大化に取り組んでおります。また、管理体制と経営体制の一層の強化を図り、グループとしての信用力強化及びブランドイメージの向上を目指してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの目標とする経営指標としては、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)が最適と考えており、連結ベースでROE10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としております。

当連結会計年度のROEは、銀行関連事業の増収増益などにより12.2%となりました。

 

(4) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、不安定な状況が続いております。

日本経済は、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の悪化、インフレ率の上昇等の懸念があり、先行きは不透明な状況にあります。国内における各事業は、人口減少や高齢化等に伴う構造的な諸問題や多くの競合他社との激しい競争にさらされており、今後の事業環境は厳しくなっていくものと認識しております。

モンゴルでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による国境閉鎖などの制限措置が緩和され、また、財政出動による景気対策やモンゴルの主要輸出先である中国経済の回復などもあり、モンゴル経済は徐々に回復傾向にあります。ハーン銀行は、モンゴル最大のリテール銀行として一定の競争優位性を確保しており、業績、預金残高や融資残高は順調に増加しておりますが、今後の中国経済の動向、新型コロナウイルス感染症の感染状況やインフレ率の上昇による景気悪化などの影響により、収益の減少や貸倒引当金の増加をもたらし翌連結会計年度以降のハーン銀行の業績に重要な影響を与える可能性があります。

キルギスやロシアにおいても、新型コロナウイルス感染症は収束しつつあり景気は回復傾向にありますが、キルギスではインフレ率の上昇、ロシアではウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けるなど、両国経済の先行きは引き続き不透明な状況にあります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

金融サービス事業においては、お客様の資産運用に対する多種多様なニーズを的確に捉え、特長ある金融サービスを提供するため、金融関連の法改正及び規制緩和や国内外の各種金融サービスの動向等を調査・検討して、新たな金融サービスの企画開発や既存サービスの改良等に努めてまいります。また、インターネット取引システムの安定性の強化、コンプライアンスの徹底等を着実に実行し、お客様に信頼され、安心してお取引していただける金融グループの構築を追求してまいります。

投資業務につきましては、企業再生事業として出資した企業の管理、支援に努めるとともに、経済成長が著しいアジアの新興国や独自性の高い新規事業等、今後の成長性が期待される地域及び事業への投資を積極的に検討してまいります。

また、自己投資業務の他、M&Aの仲介業務並びにコンサルティング業務を積極的に展開してまいります。

業務の効率化につきましては、各事業の業務プロセスの徹底的な見直しを通じたコスト削減の他、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することにより業務の改善を推し進めてまいります。

今後も当社グループ全体の収益性の向上を図り、更なる業容の拡大、企業価値の向上を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① グループの収益・利益構造について

 当社グループの収益及び利益は、銀行業ひいてはハーン銀行にその多くを依存している状況であります。現在、ハーン銀行はデジタルバンキングサービスの推進などにより、モンゴル国において競争優位を確保しておりますが、後述するような銀行業における固有リスクが顕在化し同行の収益及び利益が減少した場合、当社グループの連結業績に重要な影響を及ぼす結果となります。

 

② グループの拡大・再編について

 当社は、上述したハーン銀行への収益及び利益の依存度の低下、ひいては当社グループの更なる発展を目指し、新規参入やM&Aを含む当社グループの拡大及び再編を継続的に検討、実施しております。今後も当社グループの拡大及び再編を行ってまいりますが、これらを実施した影響により当社が予め想定しなかった結果が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 各事業固有のリスクについて

 当社グループは、独自の金融コングロマリット構想のもと、銀行業、債権管理回収業、外国為替保証金取引業、M&A仲介・コンサルティング事業等の多岐にわたる事業を展開しているため、各事業における固有のリスク要因が存在します。

 

a)銀行業

 当社子会社のハーン銀行(Khan Bank LLC)はモンゴル国において、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)はキルギス共和国において、また、当社の持分法適用関連会社であるソリッド銀行(JSC Solid Bank)はロシア連邦において銀行業を展開しております。

 

1)金利・為替相場等の変動による影響について

 ハーン銀行はモンゴル国内において、キルギスコメルツ銀行はキルギス国内において、ソリッド銀行はロシア国内において、主に現地通貨建てで業務を行っているため、以下に挙げる金利、社会・政治情勢の影響を受ける可能性があります。

(金利リスクについて)

 モンゴル、キルギス又はロシア(以下、「当該国」という。)の金利が大きく変動する場合、ハーン銀行、キルギスコメルツ銀行又はソリッド銀行(以下、「同銀行」という。)の顧客に対する貸出金利の低下、顧客からの預金に対する利払いの増加等により、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

(為替リスクについて)

 同銀行は当該国において主に現地通貨建てで業務を行っております。そのため、為替相場の動向次第では、同銀行の業績の如何にかかわらず当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 また、ハーン銀行においては、同行が保有する外貨建て資産負債に対して、為替変動リスクを軽減するためデリバティブによる為替ヘッジを行っておりますが、為替相場の変動の度合いによって、同行ひいては当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

(カントリーリスクについて)

 モンゴル国は大規模な鉱山開発等による経済成長が予想されています。中央アジアの新興国であるキルギス共和国は鉱業を主要産業としており、中央アジアの中継点としての地政学的な重要性もあることから、今後の経済成長が見込まれております。また、ソリッド銀行が本店を置くロシア連邦の極東地域は、豊富な天然資源を有しており、開発による更なる発展が期待されます。しかしながら、今後、当該国における政治・社会情勢の混乱、各種法改正や税務及び規制等環境の変化等により当該国の経済情勢が悪化した場合には、貸倒れの増加や貸倒引当金の積み増し等により、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

(信用リスクについて)

 同銀行は当該国において主に貸出業務を行っており、貸出先の状況、担保の価値、経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しております。ただし、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなる可能性、また、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより追加的な与信費用が発生する可能性があります。

2)法規制について

 同銀行は、当該国に設立されている銀行であるため、当該国政府の金融、経済政策や関係する法令規則等の変更により、同銀行あるいは当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 また、同銀行は当該国の中央銀行による規制・監督下に置かれているため、今後当該規制が変更された場合、規制に対応するためのコスト増から当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

3)競合について

 同銀行は、当該国内において他の金融機関やノンバンク等との競争環境に晒されています。今後、当該国において金融機関同士の統合や再編、業務提携が行われる可能性や、フィンテック等の新技術の台頭により競争が激化する可能性があり、同銀行が競争優位を確立できない場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

b)債権管理回収業

 当社子会社のエイチ・エス債権回収株式会社は、債権管理回収業を展開しております。

 

1)法規制について

 債権管理回収業は、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づき、法務大臣の許可を受けた株式会社が営むことができます。同法により、弁護士の取締役への起用、資本金の額、取扱業務の範囲、行為規制及び行政当局による監査等の様々な制約を受けております。今後、法令規制等の変更があった場合や、何らかの理由により行政上の処分を受けた場合は、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

2)不良債権処理の動向について

 同社では、金融機関、ノンバンク、投資ファンド等からの債権の買取、債権回収の受託、譲受債権の回収等の債権管理回収業を展開しております。金融機関等による不良債権処理が鈍化した場合、債権の買取、債権回収の受託、債権の譲受及びその債権の回収が減少し、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

c)外国為替保証金取引業

 当社の持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムは、外国為替保証金取引業を展開しております。

 

1)法規制について

 外国為替保証金取引は金融商品取引法をはじめとする関係法令等の規制を受けており、レバレッジ規制強化等の法令の改正により収入の減少又は費用の増加が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

2)外国為替市場の変動による影響について

 外国為替市場の変動状況の影響により取引量が停滞・減少し、手数料収入の減少等が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

3)競合について

 同社は、口座数及び預り資産において高水準を維持しておりますが、外国為替保証金取引業界は、サービス、手数料及びスプレッド等の競争が激化しております。競争激化の影響により収入の減少又は費用の増加が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

d)M&A仲介・コンサルティング事業

 当社は、M&A仲介・コンサルティング事業を展開しております。

 

1)法規制について

 M&A仲介・コンサルティング事業は、規制を受ける法律が特段ない状況となっております。しかし、案件の増加に伴い、法制度の整備により何らかの規制が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

2)競合について

 M&A仲介・コンサルティング事業は、許認可等の必要がなく、参入障壁が低いことから、今後も競合他社の増加が見込まれます。競合他社の増加に伴う競争激化等により手数料等の減少が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

e)その他の事業

 上記事業の他、当社の連結子会社及び持分法適用関連会社が展開する事業において、法令規制等の変更、競争の激化等の事業環境の変化により収入の減少又は費用の増加等が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社は自己投資業務(プリンシパル投資業務)の一環として企業の育成、再生及び発展に取り組んでおります。当社は、対象会社の再生、企業価値向上へと取り組んでおりますが、対象会社の再生が計画通り進まない場合、当社グループの連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ オペレーショナルリスクについて

a)システムについて

 当社グループでは、各事業分野において業務を運営するために基幹システムをはじめとした様々なコンピュータシステムを利用しています。また、当社グループでは、証券取引及び外国為替保証金取引において、コンピュータシステムにより顧客からのインターネットによる取引の受注や取引の執行・決済に関するデータ処理を行っており、銀行業等においても、インターネットを通じて顧客にサービスを提供しております。各種システムにつきましては、定期的なメンテナンスやバックアップシステムの確保等、システムの安定的な稼働を維持するため万全を期しておりますが、今後予期せぬシステム障害が起こった場合、さらにシステム障害に伴う訴訟又は行政処分等を受けた場合には、当該事業に重大な支障が生じ、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

b)事務について

 当社グループのすべての業務には事務リスクが存在し、役職員等が事務に関する社内規程・手続等により定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故、不正等を起こす可能性があります。これらの事象により業務に支障をきたした場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 個人情報保護について

 当社グループの各事業分野における顧客情報の管理については、情報管理担当者及び責任者を配置し、各社厳重な管理を行っておりますが、想定していなかった経路より外部に情報が流出した際には、金融グループとしての信用に悪影響を及ぼし、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 自然災害等について

 地震、火災、大雨等の自然災害や、戦争、暴動、テロ等により人的被害又は物的被害が生じた場合、また、これらの自然災害等に起因する事象により、当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 有能な人材の確保について

 当社グループは、独自の総合金融コングロマリット構想の下、幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っておりますので、各国・各分野において有能で熟練した人材が必要とされます。このため、必要な人材の積極的な採用や継続的な研修を行うこと等により、経費が増加する可能性があります。また、有能な人材の採用及び定着を図ることができなかった場合には、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 訴訟について

 当社グループは、各事業分野において事業運営に関する訴訟リスクが存在し、また、訴訟の発生を予測することは困難です。訴訟が発生した場合、訴訟対応に関する費用の増大、不利な判決による賠償金の支払い及び社会的信用の低下等により当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 主要株主について

 現在、当社のその他の関係会社であるウプシロン投資事業有限責任組合が筆頭株主となっており、議決権総数の約40.6%を保有しております。また、当社の前代表取締役会長である澤田秀雄氏個人が大株主となっており、議決権総数の約16.1%を保有しておりますので、それぞれが当社株主総会の承認を要する事項(取締役・監査役の選任・解任、配当実施等)全てに影響力を持っております。

 

⑩ 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、世界各国の景気悪化をもたらしましたが、ワクチン接種の進展や各国の財政政策などの結果、一定の回復の兆しを見せております。しかし、今後、感染拡大が再燃し、各国の景気悪化や消費の減少、企業業績の悪化などをもたらした場合、当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ ロシア・ウクライナ情勢の影響について

 ロシア・ウクライナ情勢については、現時点では当社グループの連結業績に与える影響は軽微でありますが、ロシア極東地域を事業拠点とするソリッド銀行やロシア経済の影響を受けるキルギスコメルツ銀行においては、今後、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴う経済制裁による金利上昇やロシア経済悪化等の影響を受ける可能性があり、その場合には当社グループの連結業績に影響を与える可能性があります。

 

 なお、上記の記載のうち、将来に関する事項は、別段の記載がない限り本書提出日現在において当社が判断したものに限られており、全てのリスク要因を網羅するものではありません。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が長期化する中、ワクチン接種の進展などにより経済社会活動が徐々に正常化しつつありますが、新たな変異株であるオミクロン株の感染拡大や資源・エネルギー価格の高騰によるインフレ懸念など景気の先行きは不透明感が増しております。世界経済においても、ワクチン接種や各種経済政策などによる景気の回復傾向は見られますが、世界的なインフレ率の上昇やロシア・ウクライナ問題、中国の主要都市におけるロックダウンなど世界経済の先行きは不透明な状況にあります。

 このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は615億66百万円(前期比38億11百万円増)、経常利益は178億13百万円(前期比80億90百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は65億45百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失30億15百万円)となりました。

 

 当社グループは、当社、連結子会社4社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、

            ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

証券関連事業      エイチ・エス証券株式会社 ※

債権管理回収関連事業  エイチ・エス債権回収株式会社

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム

 

 ※当連結会計年度末において、当社は、当社の連結子会社であるエイチ・エス証券株式会社の全株式を譲渡いたしました。本株式譲渡により、エイチ・エス証券株式会社は連結の範囲から除外されることとなりました。なお、報告セグメントごとの業績における「証券関連事業」は、当連結会計年度の業績となります。

 

 報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

 

a)銀行関連事業

 銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は551億62百万円(前期比60億45百万円増)、営業利益は150億49百万円(前期比70億31百万円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)

 モンゴル経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染防止策に伴う外出禁止令や国境封鎖の強化などにより落ち込んだ前年と比べ鉱工業生産や資源輸出が大きく増加し、また、モンゴル国内での10兆トゥグルグ(以下、MNTという。)規模の景気対策の結果、景気は回復傾向にありますが、輸入品価格の上昇を原因としたインフレ率の大幅な上昇などにより、実質GDPはコロナ以前の水準までには回復しておりません。2021年度の実質GDP(1-12月)は前期比で1.4%増加、インフレ率は食料品価格等の上昇により前期比13.4%の上昇となりました。今後も、インフレ率の上昇懸念や中国経済のロックダウンによる景気悪化など、モンゴル経済の先行きは不透明な状況が続いております。外貨準備高は海外からの直接投資の増加や国際援助機関からの支援を背景に43億ドル台(前期比3.7%減少)となり、貿易収支は対中国輸出の増加により24億ドルの黒字(前期比5.3%増加)となりました。ただし、年度末には中国主要都市のロックダウンを受け、対中国輸出は大幅に減少しております。為替市場では、現地通貨MNTが前期比で米ドルに対して0.02%上昇(ドル安)、円に対して10.5%上昇(円安)となりました。

 モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル政府が実施した低金利融資等の景気対策、延滞している融資の返済期限延長などの施策の結果、金融セクターの融資残高は前期比で28.2%増加し、延滞債権残高は26.1%減少、不良債権残高は3.6%増加となりました。

 このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、大口企業向け融資や中小企業向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。新型コロナウイルス感染症やインフレ率上昇などの影響はありますが、モンゴル経済は徐々に回復しており、その影響で資金運用収益は増加し、また、モンゴル政府が実施した施策により普通預金・当座預金に対する利息の支払いが免除されたことにより資金調達費用が大きく減少したことから、増収増益となりました。さらに、前期は、2020年1月に年金担保ローンに関する法律が施行された影響から大幅な減益となっていたため、当連結会計年度の当期純利益は前期比で大幅に増加いたしました。

 結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期比で13.0%増加、融資残高は34.9%増加、資金運用収益は5.9%増加、当期純利益は77.1%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期比で35.9%増加、個人向け融資は8.4%増加、農牧業向け融資は43.7%増加いたしました。

 

キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)

 キルギス経済につきましては、新型コロナウイルス感染症が収束傾向にあり、そのため、特にサービス業や鉱工業を中心に景気は回復傾向にあり、2021年度の実質GDP(1-12月)は前期比で3.6%増加となりました。また、キルギスにおいても、食料品価格などの上昇によりインフレ率が前期比11.9%と大幅な上昇となっております。

 このような環境の中、キルギスコメルツ銀行は、既存融資先のサポートを徹底するとともに、新規顧客開拓に注力いたしました。新型コロナウイルス感染症の収束を背景に経済社会活動が回復し、融資残高と預金残高が増加したものの、インフレ率の高止まりなどから預金コストが上昇しました。また、カード業務とモバイルバンキングの新決済システムを導入しリテール事業の強化を実施しました。

 今後につきましては、ロシア・ウクライナ問題やインフレ率の高騰を背景に、キルギス経済の先行き不透明感が高まっておりますが、キルギスコメルツ銀行は安定した預金基盤の構築と顧客のニーズに応える融資商品の提供に注力いたします。そして、中小企業融資やリテール事業に特化し、非金利収入の割合の拡大を図ります。また、国際開発金融機関と提携し、キルギス経済の発展に貢献する融資拡大を計画いたします。

 

ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)

 ロシア経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大は続いているものの、経済社会活動の回復や原油価格上昇に支えられ、2021年度の実質GDP(1-12月)は前期比で4.7%の増加となりました。また、インフレ率は食料品価格などの上昇により前期比8.3%となり、ロシア中央銀行はインフレ抑制のため数回にわたり政策金利の引き上げを実施しました。

 このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、融資残高と預金残高の増加を慎重に行い、安定した業種の中堅優良企業への貸出、銀行保証や外為取引などの非金利収入の維持に注力いたしました。また、継続的なコスト削減や不良債権の回収、担保物権の売却に取り組んでまいりました。

 今後につきましては、ロシア・ウクライナ問題に起因するロシアに対する幅広い経済制裁を背景に、ロシア経済の先行きについては非常に厳しい状況が続くと予想されます。このため、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の様々な要因により、ソリッド銀行の業績に影響を与える可能性がありますが、今後もソリッド銀行は優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力し、業務の合理化とともに財務状況の改善に取り組んでまいります。

 

b)証券関連事業

 当連結会計年度における国内株式市場は、新型コロナウイルスのワクチン普及による世界経済の正常化とインフレが意識されるなか、日経平均株価は29,441円91銭で取引を開始しました。しかし、新型コロナウイルス変異株の世界的な感染拡大に対する警戒感が高まっていくなか、日本では、東京オリンピック開催直前の7月12日に4度目の緊急事態宣言が発令され、8月下旬まで新型コロナウイルス感染者の増加に歯止めがかからず、一時26,954円81銭まで下落しました。その後、自民党総裁選をきっかけに株価は大幅に上昇しはじめ、新型コロナウイルス感染者数もピークを迎え減少に転じていたことから9月には30,795円78銭と年初来高値を一時更新しましたが、中国不動産大手の恒大集団による社債利払い見送りという中国リスクや新型コロナウイルス「オミクロン株」に対する懸念、11月の米国FOMC会合で資産購入の段階的縮小決定と2022年利上げ開始を示唆したことなどから日経平均株価は伸び悩みました。

 2022年に入り日経平均株価は29,098円41銭で取引を開始しましたが、原油高などインフレ抑制に向けて米連邦準備理事会は早期金融引き締めに動き、米経済の景気減速につながるという警戒感の高まりから、ハイテク株を中心に日米の株価は下落し、26,044円52銭まで一時下落しました。その後、戻す場面もありましたが、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まりや原油高などの商品価格の上昇から一時24,681円74銭まで下落しました。大きく売られた銘柄への見直し買いなども入り28,338円81銭まで反発する場面もありましたが、ウクライナ情勢やインフレへの警戒感が継続しているなか、3月末の日経平均株価は27,821円43銭で取引を終えました。なお、当連結会計年度における東証の売買代金は前年同期比で8.7%増加いたしました。

 このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式営業への取り組み、外貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。引受業務におきましては、一般市場への主幹事上場3社を含めた計19社の幹事参入を果たしました。

結果として、当連結会計年度の営業収益は34億79百万円(前期比2億67百万円減)、営業利益は4億72百万円(前期比89百万円減)となりました。

(受入手数料)

当連結会計年度の受入手数料は、12億46百万円(前期比76百万円減)となりました。

その内訳としましては、委託手数料が8億27百万円(前期比2億10百万円減)、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が90百万円(前期比37百万円増)、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が1億28百万円(前期比43百万円増)、主に投資信託事務代行事務手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は1億99百万円(前期比52百万円増)となりました。

 

(トレーディング損益)

当連結会計年度のトレーディング損益につきましては、株券等は9億31百万円(前期比1億65百万円減)となりました。また、債券・為替等は8億62百万円(前期比64百万円増)となり、合計で17億93百万円(前期比1億1百万円減)となりました。

 

(金融収支)

当連結会計年度の金融収益は4億34百万円(前期比95百万円減)、金融費用は49百万円(前期比68百万円減)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は3億84百万円(前期比26百万円減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、29億56百万円(前期比1億9百万円減)となりました。

 

c)債権管理回収関連事業

サービサー業界につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により全国的な景気後退の懸念が継続しているものの、各金融機関において制度融資や緊急融資等の対応により不良債権化する状況には至っておらず、結果として、不良債権市場に供給される債権は減少しており、依然として業界の競争は激しく債権の買取価格の高騰が続いております。

このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、既存の取引先金融機関からの不良債権買取を中心に、収益性を加味した入札の継続により良質な不良債権確保に努めております。また、銀行を中心とした金融機関以外にも不良債権市場のシェア拡大を目指し安定的な債権の取得を継続しております。前期比で営業収益は減少したものの、収益性の高い債権からの回収が堅調に進捗したこと、それに伴う訴訟費用の圧縮、貸倒引当金の算出プロセスの変更により、営業利益は増加しました。特に、貸倒引当金の算出プロセスの変更により営業利益は492百万円増加しております。詳細は、連結財務諸表に関する注記事項(会計上の見積りの変更)をご参照ください。

 結果として、当連結会計年度の営業収益は29億53百万円(前期比18億14百万円減)、営業利益は5億10百万円(前期比2億40百万円増)となりました。

 

d)その他事業

当社及び上記のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

当社(単体)の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成され、当連結会計年度においては、子会社からの配当金の増加により大幅な増収増益となりました。なお、この子会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績には影響を与えません。

その他事業の当連結会計年度の営業収益は99億1百万円(前期比96億57百万円増)、営業利益は94億36百万円(前期は営業損失69百万円)となりました。

 

e)持分法による投資損益

持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコム及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

株式会社外為どっとコムにつきましては、新興国通貨ペアにおいてスワップ収益が改善したこと、また、年度末にかけてボラティリティ拡大により取引数量が増加したことにより、当連結会計年度の業績は増収増益となりました。

 結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は11億72百万円(前期比4億84百万円増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産合計につきましては、5,774億49百万円となり、前期比778億58百万円増加しました。

これは主に、「貸出金」が932億12百万円、「投資有価証券」が84億32百万円増加し、一方で「預託金」が197億35百万円、「信用取引資産」が89億10百万円減少したことによるものであります。

主な増減要因は、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加、「投資有価証券」はハーン銀行における資金運用に伴う増加、「預託金」「信用取引資産」はエイチ・エス証券の連結除外に伴う減少によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計につきましては、5,030億22百万円となり、前期比747億74百万円増加しました。

これは主に、「預金」が769億67百万円、「売現先勘定」が70億83百万円、「長期借入金」が147億86百万円増加し、一方で「預り金」が120億38百万円、「受入保証金」が63億6百万円減少したことによるものであります。

主な増減要因は、「預金」はハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、「売現先勘定」はハーン銀行における売現先取引により発生した金銭債務の増加、「長期借入金」はハーン銀行における長期借入金の増加、「預り金」「受入保証金」はエイチ・エス証券の連結除外に伴う減少によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計につきましては、744億27百万円となり、前期比30億83百万円増加しました。

これは主に、「利益剰余金」が60億69百万円、「為替換算調整勘定」が29億35百万円、「非支配株主持分」が51億25百万円、「自己株式」が96億20百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,910億71百万円(前期比56億58百万円増)となりました。なお、当連結会計年度においては、営業活動、投資活動、財務活動のいずれのキャッシュ・フローも資金減少となりましたが、現金及び現金同等物に係る換算差額の影響により当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は前期比で増加しております。なお、現金及び現金同等物に係る換算差額は、主に、在外子会社の現金及び現金同等物の換算手続の結果生じた円貨による差額であります。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、47億85百万円の資金減少(前期は776億37百万円の資金増加)となりました。

これは主に、「税金等調整前当期純利益」181億71百万円、「売現先勘定の純増減(△)」64億32百万円、「預金の純増減(△)」363億5百万円の資金が増加した一方、「貸出金の純増(△)減」677億90百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な増減要因は、ハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、ハーン銀行における売現先取引により発生した金銭債務の増加、ハーン銀行から顧客への貸出金の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、76億56百万円の資金減少(前期比10億47百万円増)となりました。

これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」73億35百万円の資金が増加した一方、「投資有価証券の取得による支出」143億10百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な増減要因は、ハーン銀行における投資有価証券の売却及び償還または取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、17億19百万円の資金減少(前期比130億30百万円増)となりました。

これは主に、「長期借入による収入」376億36百万円の資金が増加した一方、「長期借入金の返済による支出」279億43百万円、「自己株式の取得による支出」96億20百万円、「非支配株主への配当金の支払額」30億88百万円の資金が減少したことによるものであります。

 主な増減要因は、ハーン銀行における長期借入金の借入または返済、当社における自己株式の取得、ハーン銀行における非支配株主持分への配当金の支払いによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 該当事項はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は615億66百万円(前期比38億11百万円増)、経常利益は178億13百万円(前期比80億90百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は65億45百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失30億15百万円)となりました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、ハーン銀行の業績は当社グループの経営成績の主たる割合を占めており、その業績の変動が当社グループに重要な影響を及ぼすことになります。また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から大きな影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、国内の景気動向、金利や為替等の市況環境に影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては主に銀行関連事業の大幅な増収増益により12.2%となりました。

 

 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a)銀行関連事業

 銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は551億62百万円(前期比60億45百万円増)、営業利益は150億49百万円(前期比70億31百万円増)となりました。

 

 ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの資金運用収益や当期純利益は前期比で大幅な増収増益となり、融資残高や預金残高も前期比で増加しました。

 ハーン銀行の業績は、モンゴル国において、10兆トゥグルグ規模の景気対策が実施されたことなどが影響し大幅な増収増益となっております。ハーン銀行の業績に影響を与えた景気対策の主な内容としては、低金利融資や普通預金と当座預金の金利免除などがあります。低金利融資により法人向けを中心に融資残高、ひいては資金運用収益が増加し、また、預金金利の免除により資金調達費用が大幅に減少しました。

 モンゴル国内においては、新型コロナウイルス感染症は縮小傾向にありますが、世界的なインフレ率の上昇や中国主要都市でのロックダウンなど、モンゴル経済の先行きは依然として不透明な状況であり、また、ハーン銀行は国の景気対策に協力する形で、低金利の融資や融資の返済猶予等を実施しております。このため、来期以降、この信用リスクが顕在化し、貸倒引当金繰入額が増加する可能性もあります。さらには、普通預金と当座預金に対する金利免除の施策が終了すると、資金調達費用が増加し、ハーン銀行の業績に影響を与えます。

 ハーン銀行は、現在、モンゴル国の政策に基づきモンゴル証券取引所への新規株式公開(IPO)を計画しております。現時点での計画は、2022年4月21日付でお知らせいたしましたとおり、新株発行によるIPOを予定しており、この結果、当社が保有するハーン銀行株式の持分比率が過半数を下回り、持分法適用関連会社となる予定です。

 ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めております。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。今後、ハーン銀行は個人向け・法人向け融資に注力しつつ、カード事業やデジタルバンキングサービス等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。

 

 キルギスコメルツ銀行においては、融資残高の増加により金利収入は増加しましたが、キルギス国の金融引き締め政策の影響から預金コストが増加した結果、純金利収入は減少しました。一方で、デジタルバンキングやカード事業の推進により手数料収入が増加しております。以上の結果、現地通貨基準、国際会計基準の双方において金額的には僅少ではありますが黒字を達成しております。

 キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。新決済システムの導入によるデジタルバンキングの推進、キルギス国内唯一のクレジットカードのプロセシングセンターを設立するなど、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。

 

 ソリッド銀行においては、法人向けを中心とした融資残高の増加、不採算店舗の閉鎖などによるコスト削減を進めた結果、増収増益、黒字となっております。ロシアは現在、ウクライナ問題に起因する幅広い経済制裁を受けており、今後のロシア経済の悪化がソリッド銀行の業績にも影響を与える可能性があります。そのような環境のなかで、ソリッド銀行は貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築や継続的なコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。

 

b)証券関連事業

 証券関連事業の当連結会計年度における営業収益は34億79百万円(前期比2億67百万円減)、営業利益は4億72百万円(前期比89百万円減)となりました。

 エイチ・エス証券株式会社においては、主に期末にかけて、世界的なインフレ率の上昇やロシア・ウクライナ問題などによる市況悪化の影響を受け、減収減益となりました。

 なお、同社は、2022年3月31日付で、当社が保有する全株式を譲渡したことにより連結の範囲から除外されております。

 

c)債権管理回収関連事業

 債権管理回収関連事業の当連結会計年度における営業収益は29億53百万円(前期比18億14百万円減)、営業利益は5億10百万円(前期比2億40百万円増)となりました。

 エイチ・エス債権回収株式会社においては、各金融機関における不良債権保有率の減少に伴いサービサー間での競争が激化している中、取引先金融機関等の拡充を図り継続的な債権の仕入れを目指すことで、安定的な収益の確保に努めております。当連結会計年度では、新型コロナウイルス感染症の影響により各金融機関が制度融資や緊急融資などを積極的に行った結果、不良債権の発生が抑えられたことから、同社が保有する不良債権残高が減少傾向にあり、減収となりました。このような市場環境は、コロナ禍における各金融機関の返済猶予措置等が終わることにより、再度、活発化される見込みとなっております。一方で、営業利益は、貸倒引当金の算出プロセスの変更により大幅に増加しております。これは、債権の自己査定に関するデータの蓄積が相当程度進んだために行われた会計上の見積りの変更に該当します。

 同社は、着実な取引金融機関の増加を目指した営業活動から取引数を増加していますが、そのような過去の営業活動は、不良債権市場が活発になった際に不良債権を取捨選択し、利益率の高い不良債権を獲得するための素地となるため、引き続き、取引金融機関のシェアを広げつつ、景気の転換期を迎えた際には収益性のある不良債権の獲得を目指してまいります。

 

d)その他事業

 その他事業の当連結会計年度における営業収益は99億1百万円(前期比96億57百万円増)、営業利益は94億36百万円(前期は営業損失69百万円)となりました。

 当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成されており、当連結会計年度においては、子会社からの配当金の増加により大幅な増収となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、主にアジア圏における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開しております。さらに、投資事業の一環として、企業の再生についても国内外問わず行っております。また、M&A仲介・コンサルティング事業は、対応が困難とされる短期的な案件や小規模な案件に対しても積極的に取り組み、徐々に実績を重ねてきております。今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。

 

e)持分法による投資損益

 当連結会計年度における持分法による投資利益は11億72百万円(前期比4億84百万円増)となりました。

 株式会社外為どっとコムにおいては、FX業界の市場規模は緩やかながらも拡大傾向を維持しており、異業種企業の参入も落ち着いている一方で、既存企業間での顧客獲得競争は依然として厳しい状況にあります。

 当連結会計年度では、主にトルコリラ円など新興国通貨ペアにおけるスワップ収益が改善したこと、期末にかけてボラティリティが拡大したことにより取引数量が増加したことにより、増収増益となりました。また、新商品「らくらくFX積立」やスマートフォン用取引アプリ「外貨ネクストネオ『GFX』」をリリースいたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a)キャッシュ・フロー

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、デジタルバンキングサービスなどの情報システムの構築、ATM増設及び支店開設、改築等によるものであります。

 また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、長期借入金(1年内含む)608億42百万円、短期借入金23億6百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は1,910億71百万円となっております。主な借入先として、ハーン銀行においてモンゴル中央銀行から262億80百万円、オランダ開発金融公庫から146億44百万円、Blue Orchardから27億14百万円、Symbiotics SAから26億73百万円、エイチ・エス債権回収株式会社において株式会社きらぼし銀行から20億69百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(シンジケートローン契約)

 当社の連結子会社であるハーン銀行(Khan Bank LLC)は、2021年9月20日付で、シンジケートローン契約を締結しました。その主な内容は、以下のとおりであります。

1.シンジケートローン契約の概要

 

 

(1) 組成金額

13,269百万円(120,000千米ドル)

(2) 契約日

2021年9月20日

(3) 実行可能期間

6か月

(4) 利率

固定金利

(5) 資金使途

銀行業における運転資金の調達のため

(6) アレンジャー

NEDERLANDSE FINANCIERINGS-MAATSCHAPPIJ VOOR ONTWIKKELINGSLANDEN N.V.

(7) エージェント

NEDERLANDSE FINANCIERINGS-MAATSCHAPPIJ VOOR ONTWIKKELINGSLANDEN N.V.

(8) 担保提供資産

なし

(9) 財務制限条項

①自己資本比率13%以上

②財務流動性100%以上

③安定調達比率100%以上(バーゼルⅢに盛り込まれた銀行の流動性基準)

 また、その他の条項の主なものとして、貸出金及び与信、損益、外貨建借入金、金利リスク等に関して一定の制限が設けられております。

 

(持分法適用関連会社株式の譲渡)

 当社は、2021年12月13日開催の取締役会において、当社の持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムの株式の全てを伊藤忠商事株式会社に譲渡することを決議いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

(連結子会社株式の譲渡)

 当社は、2022年2月9日開催の取締役会において、当社の連結子会社(特定子会社)であるエイチ・エス証券株式会社(以下「同社」という。)の全株式をJトラスト株式会社(以下「譲渡先」という。)に譲渡すること(以下「本株式譲渡」という。)を決議いたしました。本株式譲渡により、同社は当社の連結子会社(特定子会社)から除外されることとなります。

1.本株式譲渡の理由

 同社は、2006年に分割準備株式会社を設立し、2007年に当社の証券業等を承継して以来、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式の営業への取り組み、外貨建て債券・米国株式を中心として外国株式の販売に注力するとともに、「ベンチャー企業のためのベンチャー証券会社」を経営理念に掲げ、新興市場(マザーズ・JASDAQなど)での主幹事業務に加え、東京証券取引所が運営するプロ投資家向け株式市場「TOKYO PRO Market 」に係るJ-Adviser資格を取得し、TOKYO PRO Marketでの主幹事業務も手掛ける等、当社グループの一員として着実に業績を上げてまいりました。一方で、同社の主要事業である証券業界においては、依然として厳しい競争環境が続いております。

 このような状況の中、当社といたしましては、現状として当社グループの経営資源が限定されていることを考慮し、当社の収益力および企業価値を一層高めるために、より高い資本効率を実現し、シナジー効果を最大限に発揮する体制の構築を目指し、経営資源の集中投下や、機動的なM&Aを推進することを検討してまいりました。その過程において、今般、当社の保有する同社株式を譲渡先に売却して欲しい旨の打診を受けました。これを受け、当社において様々な角度から検討を進めた結果、当社は、同社の機能や顧客層での強みを活かしつつ、譲渡先グループにおける地域金融機関と連携した保証事業や海外金融事業とのシナジーを生み出していくことによって、新たなサービスの提供や商品ラインナップの多様化等を図っていくことが期待できるとする譲渡先の意向に賛同し、本株式譲渡を行うことが当社及び同社の今後の企業価値の更なる向上に資するものであると判断するに至り、本株式譲渡契約を締結いたしました。

2.異動する連結子会社の概要

(1) 名称     エイチ・エス証券株式会社

(2) 主な事業内容 金融商品取引法に基づく金融商品取引業

3.株式譲渡先の概要

(1) 名称     Jトラスト株式会社

(2) 主な事業内容 ホールディング業務

4.譲渡株式数、譲渡価額及び譲渡前後の所有株式の状況

(1) 譲渡前の所有株式数 239,020株(持株比率100%)

(2) 譲渡株式数     239,020株(持株比率100%)

(3) 譲渡後の所有株式数   - 株(持株比率 -%)

(4) 譲渡価額     5,550百万円

5.株式譲渡実行日

2022年3月31日

6.業績に与える影響

本株式譲渡による連結決算における影響額は軽微であります。

 

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。