第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクからの重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が長期化し、依然として厳しい状況が続いておりますが、一時的な感染者数の減少、新たな変異株の重症化率が従来型よりも低い可能性があることが指摘されていることなどから、徐々に経済活動は再開しております。世界経済においては、新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種や各種経済政策が進められており、一部の国や地域では景気の回復傾向が見られますが、新たな変異株の感染拡大が懸念されるなど、内外経済の先行きは引き続き不透明な状況にあります。

 このような環境の中、当社グループの当第3四半期連結累計期間の営業収益は452億円(前年同期比20億1百万円増)、経常利益は140億3百万円(前年同期比69億1百万円増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億14百万円(前年同期比9億37百万円増)となりました。

 

 当社グループは、当社、連結子会社5社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)

            ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

証券関連事業      エイチ・エス証券株式会社

債権管理回収関連事業  エイチ・エス債権回収株式会社

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム

 

 報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

 

① 銀行関連事業

 銀行関連事業の当第3四半期連結累計期間の営業収益は401億17百万円(前年同期比30億83百万円増)、営業利益は119億円83百万円(前年同期比57億29百万円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)

 モンゴル経済につきましては、依然として新型コロナウイルス感染症は拡大傾向にあり、モンゴル国内の景気は先行き不透明な状況ですが、中国経済の回復やモンゴル国内での10兆トゥグルグ(以下、MNTという。)規模の景気対策などの結果、新型コロナウイルス感染症の感染防止策に伴う外出禁止令や国境封鎖の強化などにより落ち込んだ前年と比べ鉱工業生産や資源輸出が大きく増加し、実質GDP(1-9月)は前年同期比で3.6%増加、インフレ率は食品価格等の上昇により前年同期比9.6%上昇となりました。外貨準備高は海外からの直接投資の増加や国際援助機関からの支援を背景に41億ドル台(前年同期比13.1%増加)まで増加し、貿易収支(1-9月)は対中国輸出が増加したことにより12億78百万ドルの黒字(前年同期比4.9%増加)となっております。為替市場では、現地通貨MNTが前年同期比で米ドルに対して0.2%上昇(ドル安)、円に対して5.8%上昇(円安)となりました。

 モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル政府が実施した低金利融資等の景気対策の結果、金融セクターの融資残高は前年同期比で16.5%増加しました。また、延滞債権残高は6.9%減少、不良債権残高は0.7%増加となりました。

 このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、大口企業向け融資や中小企業向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。依然として新型コロナウイルス感染症は拡大傾向にありますが、モンゴル経済は徐々に回復しており、その影響で資金運用収益は増加し、また、モンゴル政府が実施した施策により普通預金・当座預金に対する利息の支払いが免除されたことにより資金調達費用が大きく減少したことから、増収増益となりました。さらに、前年同期は、2020年1月に年金担保ローンに関する法律が施行された影響から大幅な減収減益となっていたため、当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は前年同期比で大幅に増加いたしました。

 結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前年同期比で24.0%増加、融資残高は30.3%増加、資金運用収益は3.5%増加、四半期純利益は83.1%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前年同期比で42.5%増加、個人向け融資は4.6%減少、農牧業向け融資は25.5%増加いたしました。

 

キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)

 キルギス経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染者は減少傾向にあり、そのため、特にサービス業において回復が見られるなど景気悪化は徐々に緩和しつつあります。実質GDP(1-9月)は前年同期比で0.1%増加し、また、インフレ率は食料品価格などの上昇により前年同期比で11.3%の上昇となりました。

 このような環境の中、キルギスコメルツ銀行につきましては、融資残高と預金残高を慎重に運用し、既存融資先のサポートに注力いたしました。融資残高と預金残高は順調に増加したものの、景気悪化により貸倒引当金が増加し、各種経費も増加しております。

 今後につきましては、キルギス経済の回復に伴い、中小企業向け融資と個人向け融資を強化し貸出残高のさらなる増加、新規顧客の開拓による預金残高の増加に注力してまいります。また、リテール事業の拡大に向けて、新決済システムの導入によるモバイルバンキングやクレジットカード事業の強化、個人向けの新商品開発を進めてまいります。

 

ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)

 ロシア経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による景気悪化から回復しつつあり、各種制限措置の解除により経済活動が再開し、また、原油価格上昇にも支えられ、実質GDP(1-9月)は前年同期比で4.3%増加となりました。また、インフレ率は食料品価格の上昇などにより前年同期比で6.8%上昇となり、ロシア中央銀行はインフレ抑制のため断続的に政策金利の引き上げを実施しました。

 このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、融資残高と預金残高の増加を抑え、安定した業種の中堅優良企業への貸出、銀行保証や為替取引などの非金利収入の維持に注力いたしました。また、継続的なコスト削減や不良債権の回収、担保物権の売却に取り組んでまいりました。

 今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響、現地通貨(ルーブル)の為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の影響もあり、ロシア経済は低成長が続くと予想されますが、優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力し、業務の合理化とともに財務状態の改善に取り組んでまいります。

 

② 証券関連事業

 当第3四半期連結累計期間における国内株式市場は、新型コロナワクチン普及による世界経済の正常化とインフレが意識されるなか、日経平均株価は4月の取引が29,441円91銭で開始しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の変異株の世界的な拡大に対する警戒感が高まっていくなか、米国ハイテク株の4月下旬から5月中旬にかけての下落などの影響から、日経平均株価は一時27,000円台まで下落しました。その後、米国のインフレ警戒感が一服したことから米10年債利回りが低下し、米国ハイテク株が最高値を更新するなど米国株式市場は好調に推移し、日経平均株価もワクチン接種の進展とともに6月中旬には一時29,000円台まで回復しました。

 7月に入ると、日本では東京オリンピック開催直前の7月12日に4度目の緊急事態宣言が発令され、8月下旬まで新型コロナウイルス感染者の増加に歯止めがかからず、日経平均株価は一時26,954円81銭まで下落しました。しかし、自民党総裁選をきっかけに株価は大幅に上昇しはじめ、新型コロナウイルス感染者数もピークを迎え減少に転じていたことから日経平均株価は30,795円78銭と年初来高値を一時更新しました。

 9月に入り、岸田新政権の金融所得課税見直し懸念と、中国不動産大手の社債利払い見送りという中国リスクが意識されるなか日経平均株価は下落傾向にありましたが、金融所得課税に対する懸念後退により日経平均株価は上昇に転じ、一時29,960円93銭まで回復しました。しかし、新型コロナウイルス「オミクロン株」に対する懸念や、11月の米国FOMC会合で資産購入の段階的縮小決定と2022年利上げ開始を示唆したことで、日経平均株価は27,588円61銭まで下落しましたが、新たな変異株の重症化率が従来型よりも低い可能性があることが指摘され株価は反発し、結果として、12月末の日経平均株価は28,791円71銭で取引を終えました。なお、当第3四半期連結累計期間における東証の売買代金は前年同期比で11.9%増加いたしました。

 このような環境の中、エイチ・エス証券株式会社につきましては、お客様のパフォーマンスに貢献する証券会社として、国内株式営業への取り組み、外貨建て債券の販売、米国株式を中心とした外国株式の販売に注力いたしました。引受業務におきましては、既上場の公募売出では日本郵政株式会社の1社、新規公開(IPO)では主幹事1社を含めた20社の計21社の幹事参入を果たしました。なお、12月末における預り資産は、3,255億43百万円(前年同期比227億64百万円増)となりました。

 結果として、当第3四半期連結累計期間における営業収益は27億30百万円(前年同期比16百万円減)、営業利益は4億21百万円(前年同期比83百万円増)となりました。

 

(受入手数料)

 当第3四半期連結累計期間の受入手数料は9億12百万円(前年同期比54百万円減)となりました。

 その内訳としましては、委託手数料が6億26百万円(前年同期比1億28百万円減)、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が35百万円(前年同期比14百万円減)、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料が1億6百万円(前年同期比53百万円増)、主に投資信託事務代行事務手数料と投資銀行業務に係る手数料で構成されるその他の受入手数料は1億44百万円(前年同期比34百万円増)となりました。

 

(トレーディング損益)

 当第3四半期連結累計期間のトレーディング損益につきましては、株券等は7億79百万円(前年同期比4百万円増)、債券・為替等は6億99百万円(前年同期比77百万円増)となり、合計で14億79百万円(前年同期比82百万円増)となりました。

 

(金融収支)

 当第3四半期連結累計期間における金融収益は3億38百万円(前年同期比43百万円減)、金融費用は33百万円(前年同期比60百万円減)となり、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は3億5百万円(前年同期比16百万円増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、22億76百万円(前年同期比39百万円減)となりました。

 

③ 債権管理回収関連事業

 サービサー業界につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により全国的な景気後退の懸念が継続しているものの、各金融機関において制度融資や緊急融資等の対応により不良債権化する状況には至っておらず、結果として、不良債権市場に供給される債権は減少しており、依然として業界の競争は激しく、債権の買取価格の高騰が続いております。

 このような環境の中、エイチ・エス債権回収株式会社につきましては、不良債権の買取価格の高騰が続いているため買取債権残高については前年同期比で減少しているものの、収益性を加味した入札の継続により良質な不良債権確保に努めております。当第3四半期連結累計期間については、買取債権の減少に伴い営業収益は減少傾向にあるものの、収益性を高めた回収に努めたことで粗利率は向上しており、債権回収は堅調に進捗しております。

 結果として、当第3四半期連結累計期間の営業収益は23億84百万円(前年同期比8億78百万円減)、営業利益は1億84百万円(前年同期比1億33百万円減)となりました。

 

④ その他事業

 当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 当社(単体)の営業収益は、主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成され、当第3四半期連結累計期間においては、子会社からの配当金の増加により大幅な増収増益となりました。なお、この子会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績に影響を与えません。

 その他事業の当第3四半期連結累計期間の営業収益は48億77百万円(前年同期比46億70百万円増)、営業利益は45億62百万円(前年同期は営業損失30百万円)となりました。

 

⑤ 持分法による投資損益

 持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコム及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 株式会社外為どっとコムにつきましては、新興国通貨ペアにおいてスワップ収益が改善したこと、また、広告宣伝費を抑制したことにより、当第3四半期連結累計期間の業績は前年同期比で増収増益となりました。

 結果として、当第3四半期連結累計期間の持分法による投資利益は7億72百万円(前年同期比3億41百万円増)となりました。

 

 また、財政状態は次のとおりであります。

 

① 資産

 当第3四半期連結会計期間末の資産合計につきましては、5,794億26百万円となり、前期末比798億35百万円増加しました。

 これは主に、「有価証券」が168億12百万円、「貸出金」が700億90百万円、「投資有価証券」が126億95百万円増加し、一方で「現金及び預金」が145億10百万円減少したことによるものであります。

 主な増減要因は、「有価証券」「投資有価証券」「現金及び預金」はハーン銀行における資金運用に伴う増減、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加によるものであります。

 

② 負債

 負債合計につきましては、5,017億86百万円となり、前期末比735億39百万円増加しました。

 これは主に、「預金」が736億46百万円増加したことによるものであります。

 主な増減要因は、「預金」はハーン銀行が顧客から預かる預金の増加によるものであります。

 

③ 純資産

 純資産合計につきましては、776億39百万円となり、前期末比62億96百万円増加しました。

 これは主に、「利益剰余金」が34億38百万円、「非支配株主持分」が14億63百万円、「為替換算調整勘定」が16億26百万円増加したことによるものであります。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

株式譲渡契約

 当社は2021年12月13日開催の取締役会決議に基づき、伊藤忠商事株式会社との間で、同日付けで株式譲渡契約を締結しました。

 詳細は、「第4  経理の状況  1  四半期連結財務諸表  注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

シンジケートローン契約

 当社の連結子会社であるハーン銀行(Khan Bank LLC)は、2021年9月20日付で、シンジケートローン契約を

締結しました。その主な内容は、以下のとおりであります。

 

1.シンジケートローン契約の概要

(1) 組成金額

13,430百万円(120,000千米ドル)

(2) 契約日

2021年9月20日

(3) 実行可能期間

6か月

(4) 利率

固定金利

(5) 資金使途

銀行業における運転資金の調達のため

(6) アレンジャー

NEDERLANDSE FINANCIERINGS-MAATSCHAPPIJ VOOR ONTWIKKELINGSLANDEN N.V.

(7) エージェント

NEDERLANDSE FINANCIERINGS-MAATSCHAPPIJ VOOR ONTWIKKELINGSLANDEN N.V.

(8) 担保提供資産

なし

(9) 財務制限条項

①自己資本比率13%以上

②財務流動性100%以上

③安定調達比率100%以上(バーゼルⅢに盛り込まれた銀行の流動性基準)

 また、その他の条項の主なものとして、貸出金及び与信、損益、外貨建借入金、金利リスク等に関して一定の制限が設けられております。