第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

① 経営の基本方針

当社グループは、「今までの日本にない証券会社をつくろう」を合言葉とし、「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」を目指しています。その実現に向け、当社はクレド(企業理念)の下、経営の公正性及び透明性を高め、機動的かつ適切な意思決定を行うことにより、業績の向上と企業価値の最大化を図りつつ、コーポレート・ガバナンスの強化充実に努めていくことを経営上の重要課題としております。また、指名委員会等設置会社の形態を採用し、加えて執行役員制度を導入することにより、業務執行の迅速性、実効性を高めるとともに業務執行に対する監督の強化を図っております。

 

  〔いちよしのクレド(企業理念)〕

・経営理念 「お客様に信頼され、選ばれる企業であり続ける」

・経営目標 「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」

・行動指針 「感謝・誠実・勇気・迅速・継続 Long Term Good Relation」

 

② 業務運営体制

当社グループの業務運営体制は「トライアングル・ピラミッド経営」を推進しています。

「お客様サービス」、「商品・運用」、「リサーチ」、「バックアップ」の正三角形4面体がそれぞれを支えあうことにより各部門及び関係会社の機能を最大限に発揮させることを目的とした経営スタイルです。さらに各部門のコ・ワーク(共同業務推進)によるシナジー効果により、お客様により良い商品、より良い情報、より良いサービスをご提供し、その結果として、お客様の大切な金融資産の運用及び企業経営のお役に立つことになると考えております。

 

③ 20年振りの「改革の断行」

当社は、「いちよしのクレド」の経営理念を実現するために経営目標として「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」の構築を目指しております。また、「お客様からの信頼」と「いちよしの基礎体力」のバロメーターである「預り資産」を経営の最重要指標として位置付け、預り資産の拡大を図ることにより、持続的な成長の実現に努めております。

こうしたなか、当社は長年、お客様との信頼関係を何より一番としたサービスのご提供を続けて参りましたが、急速な環境変化に迅速に対応すべく、現在、お客様本位の業務運営をさらに推進するための20年振りの「改革の断行」を進めております。

この「改革の断行」は、最重要経営指標である「預り資産」の拡大をさらに進め、お客様本位の「ストック型ビジネスモデル」への転換をより一層推進することを目標にしており、当社が20年来掲げて参りました「仕組み債は取り扱わない」「個別外国株は勧誘しない」などの「お客様のためにならない商品は取り扱わない」という7つの原則「いちよし基準」にもとづく「売れる商品でも、売らない信念」に加えて、お客様のために為すべきこととして「お客様独自のオーダーを仕立てる信念」を新たに掲げ、お客様 1 人 1 人のニーズに即したオーダーメイドのポートフォリオ提案に取り組んでおります。

 

 

  〔「改革の断行」の基本戦略〕

 1.クレドの徹底

      いちよしの永続的な成長のベースになる経営理念

 2.預り資産の拡大

    預り資産は経営の最重要指標

    預り資産はお客様からの信頼といちよし基礎体力のバロメーター

      「顧客戦略」「チャネル戦略」「商品戦略」

 3.収支構造の改善の継続

    株式市場の変動に影響されない収支構造の促進

  「安定収益」「ドリコレ・投信によるコストカバー率の向上」

  「コストカバー率は、ストック型ビジネスモデルの進捗状況のメルクマール」

  「生産性向上、コスト削減、小さな本社作り」

 4.いちよしグループの総合力

      トライアングル・ピラミッド経営

      「中小型成長株特化」「富裕層ビジネス特化」

 5.コンプライアンスの実践

   コンプライアンスは競争力の源泉

  お客様本位のよりグレードアップしたコンプライアンス

      「法令遵守は絶対」「クレドの精神に合ったお客様目線の適合性重視」

 6.人材の増強と育成

   人材こそが成長の源泉

   「アドバイザーの質の向上」「若手アドバイザー、次期管理職の育成」

      「女性・シニア層の積極的活用・登用」「本社・本部のバックアップ力強化」

 7.「働きやすい・やりがいがある職場作り」

   社員のやる気アップ

   意欲を持って仕事をやる人にとってはずっといたい会社

   「縦・横のコミュニケーションの充実」「人事制度・評価制度の見直し」

      「職場環境の改善」「仕事のやり方見直し」

 

④ 新中期経営計画「3D(スリーディー)」

本年4月よりお客様本位の「ストック型ビジネスモデル」への転換を一層加速させるべく、新たに2026年3月末をターゲットとする新中期経営計画「3D」をスタートしております。

「3D」では、預り資産を3兆円へと拡大することに挑戦するとともに、ファンドラップと投資信託によるストック型資産を倍増させることを目標としており、「預り資産3兆円」の「3」と、「ストック型資産の倍増
(Double)」の「D」を合わせて略称といたしました。

 

3Dの項目と数値目標は以下のとおりです。

 

          〔3Dの概要〕

項  目

数値目標(2026年3月末)

預り資産

3兆円

コストカバー率

70%

ROE

(自己資本当期純利益率)

10%程度

 

            ※コストカバー率=(信託報酬+ラップフィー)/販売費・一般管理費

 

 

(2) 対処すべき課題

この数年来、低金利の長期化や100年人生の進捗を背景として「貯蓄から投資へ」の流れが本格化していくなかで、我が国の金融・証券界は、お客様本位のビジネスを展開することが強く求められて参りました。

当社は20年来、仕組み債などリスク・リターンの仕組みなどが複雑でお客様による理解が難しい、お客様のためにならない商品は取り扱わないという7つの原則「いちよし基準」を「売れる商品でも、売らない信念」として掲げ、売買手数料中心の「フロー型ビジネスモデル」から、投資信託の信託報酬やラップフィーの安定収益を中心とした「ストック型ビジネスモデル」への転換を目指して参りました。2019年からは、急速な環境の変化に対応すべく、お客様本位の業務運営をより一層進めるための20年振りの「改革の断行」に取り組んでおります。この度の「改革の断行」は、最重要経営指標である「預り資産」の拡大をさらに進め、「ストック型ビジネスモデル」への転換をより一層推進することを目標にしており、新たに、「売れる商品でも、売らない信念」に加えて、お客様のために為すべきこととして「お客様独自のオーダーを仕立てる信念」をもう一つの柱として掲げております。

そして、この20年振りの「改革の断行」におきましては、社長交代や経営陣の大幅な若返りとスリム化を実施しました。また、地区アドバイザー本部制を廃止し、営業推進体制を従来の本社本部主導から支店主導の体制に切り替え、地域特性に沿った1人1人のお客様のニーズに細やかにお応えできるような体制を整えるなど、真にお客様本位といえる業務運営のための様々な改革を現在進めております。 

さらに、お客様本位の観点から、お客様の利便性向上のための店舗再編を行っており、既存店舗を分支店化した小型店舗(プラネットプラザ)を出店するなど、今後もお客様に対してより身近な存在となれるような店舗網の充実を目指して参ります。

また、当社はかねてより従業員の労働条件や職場環境、人事制度、人材育成を経営の重要課題として参りましたが、「人材の増強と育成」・「働きやすい・やりがいがある職場作り」を「改革の断行」 の基本戦略の一つとして位置付け、引き続き具体的な取組みを実施して参ります。

 

当社の経営目標である「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」への登頂を目指すための「改革の断行」は現在6合目位という状況です。引き続き、「ブランド・ブティックハウス」の山頂を目指して、本年4月より「改革の断行」の第2ステージとしてスタートさせました新中期経営計画「3D」を達成すべく、当社の強みであるいちよしのグループ力(いちよし証券のアドバイス力、いちよし経済研究所のリサーチ力、いちよしアセットマネジメントの運用力)とコンプライアンス力(お客様満足度)を活かし、預り資産の拡大を核とした成長の実現に努めて参ります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

<企業理念>

「今までの日本にない証券会社をつくろう」を合言葉に、企業理念の中心に「いちよしのクレド」(2006年制定)を置き、その実現に取り組んでいます。「クレド」とは「企業の信条や行動指針を記したもの」で、当社が社会に存在する意義についての全役職員共通の価値観となっています。

 

 


 

 

 


 

 

 

<サステナビリティ推進のための基本方針・運営体制(ガバナンス)

当社では、より一層上記の取組みを強化するとともに、サステナブルな社会の実現に貢献するための基本的な考え方として「サステナビリティ基本方針」を策定しております。

 


 

 


 

 

 

業務執行の監督機能を有する取締役会の傘下に、サステナビリティ推進への取組みを企画・実行・検証・改善を行う会議体として「サステナビリティ推進会議」を設置しています。議長は執行役社長が務め、取締役会への定期的な報告を行います。事務局である「サステナビリティ推進室」は、専門部署として当社のサステナビリティ推進の中核を担います。

 

 

<重要課題(マテリアリティ)>

当社のみならず社会全体に存在する課題の中から、当社として取り組むべき課題を重要課題(マテリアリティ)として特定しております。この課題解決のための取組みについては進捗を管理し、定期的に見直しを図って参ります。

 

 社員のために

・社員の働きがいを醸成する企業文化の浸透とエンゲージメントの強化

・時代の変化に対応できる人材教育の充実と社員研修の強化

・ジェンダーに配慮した働きやすさの実現

・多様な働き方を考慮した人事、給与制度の構築

 お客様のために

・中長期分散投資による資産形成を重視した「ストック型ビジネスモデル」の進展

・お客様独自のオーダーにお応えできるリサーチ力、運用力、アドバイス力の強化

・お客様の利便性向上に資するサービス、デジタル化の強化

 株主のために

・実効性と透明性の高いガバナンス体制の維持・向上

・資本の有効活用と株主還元の実行

・職業倫理やコンプライアンスに反する行為に対する未然防止態勢の構築

・気候変動を含むリスク管理の強化

 社会のために

・CO2排出量削減への取組み強化

・地域貢献への取組み強化

・金融リテラシー向上への貢献

・SDGsに貢献する商品の開発、取扱い

 

 

 

(1) 気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響

当社顧客の中長期的な資産運用において適正な資産評価と資産配分を実現するためには、投資対象企業による気候変動関連のリスクや収益機会に関する一貫性のある適切な情報開示が必要であり、これがなければ、当社顧客の金融資産運用に支障をきたす要因になります。その結果、顧客の金融資産運用の安定性や中長期パフォーマンスが低くなれば、当社との取引機会が減り、当社の業績が悪化することにつながります。

反対に、投資対象企業による一貫性のある適切な情報開示がなされれば、これによる当社顧客の金融資産運用の安定性や中長期パフォーマンスの向上が見込まれ、当社業績の拡大につながります。

こうした観点から、中小型成長株のリサーチに長年、特化している当社グループの㈱いちよし経済研究所(IRI)においては、気候変動を含むESG達成に向けた対象企業の取組みをリサーチ銘柄選別の際の重要な基準の一つとし、そのリサーチ結果を当社顧客の資産運用に活かしています。

また、当社グループ会社のいちよしアセットマネジメント㈱(IAM)においても、IRIによるESG関連のリサーチ結果を投資信託運用に活かしています。

さらに、IAMはESG達成に向け積極的に取り組む企業を投資対象に組み入れた「いちよしSDGs中小型株ファンド」を運用しています。

従って、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響を検証する有力な指標の一つは、当社の預り資産とIAMの公募投信運用資産残高の推移と考えています。

 

 

 

(2) TCFD提言に基づく気候変動への対応について

当社は、サステナブルな社会の実現に貢献するための基本的な考え方として「サステナビリティ基本方針」を策定し、社会全体に存在する課題の中から、当社として取り組むべき課題を重要課題(マテリアリティ)として特定しておりますが、そのうち「社会のために」として「CO2排出量削減への取組み強化」を掲げ、気候変動に取り組む社会の一員として貢献していきたいと考えております。

そして、この取組みを社内外に伝える気候関連財務情報開示の重要性に鑑み、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、これに基づく情報開示の拡充にも取り組んで参ります。

 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスにつきましては、「<サステナビリティ推進のための基本方針・運営体制(ガバナンス)>」をご参照下さい。

 

② 戦略

複数の気候変動の将来予測シナリオ(※1)を参照し、当社のサステナビリティに関する考え方やビジネスモデルにおいて気候変動がどのような影響を与えるかを検証いたしました。

気候変動が当社の事業に与えるリスクと機会のうち、リスクについては、低炭素経済への「移行」に関するリスクと、気候変動による「物理的」変化に関するリスクを想定し、想定される事態や影響についての評価を検討いたしました。また、機会については、「商品/サービス」、「市場」の側面を捉え、想定される状況や影響について検討いたしました。

検証の結果、リスクについては当社の事業に重大な影響を与えるものではないと認識しておりますが、状況変化を監視し定期的な検証を続けて参ります。

リスク
a.移行リスク
・政策・法規制リスク

GHG排出規制の強化により、新たな税金の発生や既存エネルギー使用料金等の増加、または代替手段への移行に伴いコストが増加すること等が想定されます。短期から中期の期間(※2)での影響が想定され、環境に配慮したエネルギーの利用等による対応を検討して参ります。

市場リスク

投資家行動が低炭素経済に大きく急速に変化することにより、既存の商品・サービスが陳腐化し販売額が減少すること等が想定されます。短期から中期の期間での影響が想定され、リサーチやモニタリングを強化すること等による対応を検討して参ります。

評判リスク

低炭素経済の移行に対応ができず、評判の低下により預り資産や口座数が減少すること等が想定されます。長期での影響が想定され、サステナビリティ推進を強化すること等による対応を検討して参ります。

b.物理リスク
・急性リスク

台風・洪水等の増加や激甚化により、当社施設やデータセンターなど関連施設の使用停止や復旧などの対応でコストが増加すること等が想定されます。中期から長期の期間での影響が想定され、事業継続計画(BCP)における各種対策を強化すること等による対応を検討して参ります。

 

機会
a.商品・サービス

低炭素経済を指向するお客様ニーズに合致した商品・サービスの提供により、預り資産・口座数が増加し、販売額が増加すること等が想定されます。短期から中期の期間での影響が想定され、引き続きグループの強みを活かしたリサーチ力、運用力、アドバイス力の強化、商品・サービスの開発力の強化を図って参ります。

 

b.市場

気候変動や低炭素に対して積極的に取り組んだ企業や当該企業を組み入れた投資信託への資金流入や株価・基準価額等の上昇による預り資産の増加等が想定されます。中期から長期の期間での影響が想定され、上記同様、引き続きグループ力の強化を図って参ります。

 

※1 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国際エネルギー機関(IEA)、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)、気象庁が公表しているシナリオ・予想等を参照しています。

※2 短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年超)を想定しています。

 

③ リスク管理

気候変動関連リスクは単独で当社に影響を与えるのではなく、金融商品取引業者としての業務上のリスクに広範かつ複雑に関連することが想定されることから、当社の主要なリスクの一つとして全社的なリスク管理の協議機関である「リスク管理会議」にて管理を行います。リスク管理会議での協議の内容は「内部統制委員会」に報告され、同委員会での審議・検討を経て取締役会に報告されます。

具体的には財務的に影響があるリスクとして、低炭素経済への「移行」に関するリスクと気候変動による「物理的」変化に関するリスクを想定し、主にリーガルリスクやレピュテーショナルリスク、災害リスクの軽減を図ります。

 

④ 指標及び目標

サプライチェーン排出量に関する国際的基準であるGHGプロトコル等との整合を図るため環境省と経済産業省が策定した「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に基づき、当社のGHG排出量(Scope1、2)を算出しました。この指標により気候変動のリスクと機会を評価し、当社の取組みの進捗状況などを測って参ります。

なお、削減目標の策定につきましては、当指標の算出を継続し、排出量の推移や削減方法等を検討したうえで行う方針です。

 

GHG排出量(単位:t-CO2)

 

Scope1

Scope2

合計

 2022年度

505.15

933.72

1,438.87

 

 

 

(3) 人的資本について
① 戦略
a.人材育成に対する考え方

(ⅰ) 人材育成方針

 当社は、創業以来のこれまでの取組みやその集大成である「いちよしのクレド」を2006年に制定し、証券業を通じて様々なステークホルダーとのエンゲージメントを重視するとともに、持続的な企業価値の向上に取り組んで参りました。

 「いちよしのクレド」には各ステークホルダーとのエンゲージメントにおける当社の存在意義が掲げてありますが、人材こそが成長の源泉であり、最大の先行投資の対象であると認識しております。

 そして、重要課題(マテリアリティ)の具体的な取組みとして「時代の変化に対応できる人材教育の充実と社員研修の強化」を掲げ、取組みを継続しております。

 

(ⅱ) 研修制度

 当社が目指すお客様本位の「ストック型ビジネスモデル」では、お客様一人一人に信頼され、投資意向に沿ったアドバイスを行う必要があるため、アドバイザーの質の向上を目的とした社内研修等の充実に努めています。また、その前提となるコンプライアンスに関する会議や研修についても力を入れ、毎月行っています。

 対面によるアドバイスを強みとしていることから、研修も対面での集合研修を基本としており、新入社員は入社後、配属までに約一ヶ月間、中途採用者は経験の有無に応じて1日から5日の研修を行った後に配属しています。配属後も定期的にフォローアップ研修も行っています。階層別に役割に対する理解を深めるため、定期的に研修を行い、社員の能力や資質の開発、向上に力を注いでいます。

 また、社員のスキルアップ支援として「自己成長プログラム」を設け、証券アナリストやCFPなどの資格取得の通信教育等を補助し、資格取得者には報奨金を授与し、自己研鑽を奨励しております。加えて、資格取得以外のスキルアップにつながる通信教育講座に対しても受講料の補助制度を設けております。

 


 

(ⅲ) 他社へのトレーニー派遣

 当社は、人材育成を目的として同業種・異業種を問わず、積極的に社員をトレーニーとして他社に派遣し、それによって得た知見・経験を社内の業務の効率化や改善に活かしております。

 

b.社内環境整備に対する考え方

(ⅰ) 社内環境整備方針

 社内環境整備につきましては、2017年より「働きやすい・やりがいがある職場作り」を目指し、50を超える項目について半年に一度、その進捗を精査して参りました。重要課題(マテリアリティ)の具体的な取組みとして「社員の働きがいを醸成する企業文化の浸透とエンゲージメントの強化」、「ジェンダーに配慮した働きやすさの実現」、「多様な働き方を考慮した人事、給与制度の構築」を掲げておりますが、「働きやすい・やりがいがある職場作り」の項目につきましても取組みを継続して参ります。

 

(ⅱ) 多様性への対応

 当社では、多様化する社会に対応して持続的な企業価値の発展を図るためには、女性の活躍が不可欠と考えております。女性がいきいきと活躍し、管理職を目指すための雇用環境の整備に取り組んでおり、継続勤続年数等の男女差縮小に向けた環境整備と管理職に占める女性割合を高めるための施策等を実施しています。

 家庭と仕事を両立させるための制度を充実させ利用を促していることに加え、実際に休業や退職をした社員に対して復職アシスト制度やリターン・トゥー・ワーク制度などにより復職しやすい環境を整えています。

 女性活躍推進への取組みは今後も充実させて参りますが、これまでの取組みが評価され、厚生労働大臣が認定する「えるぼし認定(最高位)」を取得しました。

 

(ⅲ) 職場環境への対応

 「働きやすい・やりがいがある職場作り」の取組みには、実際に社員がどのように感じ業務に取り組んでいるのかを把握するエンゲージメントが重要となります。当社では部支店長と社員との1on1ミーティングを定期的に実施するとともに、エンゲージメントツールを利用し、定期的に社員へのアンケートを行っています。このツールでは各人のチームへの参加意識や満足度等が数値化されますので、職場環境の改善に利用しております。さらに、上記アンケートに加えて、自己申告による人事アンケートと人事部による面談をベースに、執行役社長を議長とした人材開発会議が毎年開催され、各人の能力に合わせた配置やキャリアアップについて協議されます。

 また、社員の健康管理を促進するために東京証券業健康保険組合が取り組んでいる「健康企業宣言」へ参加し、企業と全従業員が一体となり健康づくりに取り組んでいます。定められた7分野18項目への達成基準をクリアし、健康優良企業として「銀の認定」を取得いたしました。特に健康診断受診、メンタルヘルスケア、適切な労働時間管理の徹底に努めています。

 

② 指標と目標

多様性に対する取組みの進捗状況

 

目標

2023年3月末

 女性管理職比率

20%

(2026年3月末)

16.1%

 男性の育児休業取得率

70%

57.1%

 男女の平均継続勤続年数

男女間差異3年

(2026年3月末)

男性16年11ヶ月

女性12年9ヶ月

 

 

なお、上記のほかに当社が注視している指標は以下のとおりです。

a.管理職に占める中途採用者の割合の推移

2015年

3月末

2016年

3月末

2017年

3月末

2018年

3月末

2019年

3月末

2020年

3月末

2021年

3月末

2022年

3月末

2023年

3月末

49.0%

49.2%

51.2%

51.2%

53.7%

52.0%

47.5%

45.8%

47.0%

 

 

b.その他

 

2023年3月末

男女間の賃金差異

70.8%

新卒採用における女性採用比率

47.5%

(2023年4月入社 採用数40名、うち女性19名)

有給休暇の取得率

58.9%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として考えております。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することは困難であるため記載しておりませんが、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 金融商品取引業の収益変動リスク

国内及び海外株式・債券相場が下落または低迷した場合、流通市場での売買高が減少し、結果として当社の売買委託手数料が減少する可能性があります。また、これに付随して、発行市場においても同様の影響を受ける可能性があります。

 

(2) 市場リスク

当社では、投資有価証券の保有の他、自己勘定でトレーディング業務を行っており、株価、金利及び外国為替相場等の変動により、保有する有価証券等の価格が変動し、損失が発生する可能性があります。

 

(3) 信用(取引先)リスク

取引先の債務不履行等(信用状態の変化を含む)により、損失を被る可能性があります。

 

(4) 流動性リスク

金融情勢または当社グループの財務内容の悪化等により、資金調達面で制約を受け、資金の流動性に障害が生じる可能性、及び通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失が発生する可能性があります。

 

(5) 事務リスク

当社グループでは、各種マニュアルの整備やコンプライアンス体制の整備強化に努めておりますが、事務処理プロセスで発生する事務ミス、事故、または不正等により損失が発生する可能性があります。

 

(6) システムに関するリスク

コンピュータシステムのダウン、誤作動、または災害や停電による障害等により損失が発生する可能性、及びコンピュータが不正に使用されることにより損失が発生する可能性があります。

 

(7) リーガルリスク

法令違反等があった場合、損失が発生する可能性、訴訟の提起を受ける可能性、及び監督当局から行政処分等を受ける可能性があります。

 

(8) 情報関連リスク

インサイダー取引、内部情報の漏洩、及び不適切な情報開示により、損失が発生する可能性、及び社会的信用が低下する可能性があります。

 

(9) 競争によるリスク

金融・証券業界は本格的な競争時代を迎えており、今後ますます競争は激化していくことが予想され、当社及び各連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10) 法制度等の変更によるリスク

昨今の金融・証券業界を取り巻く各種法制度等の改正により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 災害等によるリスク

地震・火災などの災害等により、当社グループの業務体制に支障が生じる可能性、及び役職員が被害を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 気候変動リスク

低炭素経済への移行に伴う、気候変動に関する政策や法規制等の変化、投資家行動の変化による既存の商品・サービスの陳腐化、あるいは低炭素経済への移行に対応できないことによる評判の低下により被る損失(移行リスク)及び気候変動を起因とした、保有する資産に対して生じる損害や事業活動の停滞等により損失を被るリスク(物理リスク)が発生する可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度(以下、当期)の日本経済は、各種政策効果もあり緩やかな持ち直しがみられました。物価上昇の広がりが、家計や企業活動に影響を及ぼしているものの、個人消費は底堅く、経済活動の再開からサービス業などの景況感は改善が続きました。一方、世界経済には40年ぶりのインフレ圧力の高まりに対応した世界的な金融引き締めの影響がみられました。

日本の株式市場は、記録的な高インフレを受けて世界の主要な中央銀行が進める金融引き締め政策の影響で、調整色が強まりました。8月中旬にかけては米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの過度な警戒感がひとまず和らぎ、日経平均株価は8月17日に2万9,222円の高値をつけましたが、反発は一時的であり、その後は急激な米利上げによる米景気の後退への警戒から米国株が急落し、日本株にも売りが波及しました。12月は米欧の中央銀行による利上げ継続や、日銀による想定外の金融政策の修正(長期金利の変動幅を、従来の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大)を受けて円高・ドル安が進み、日経平均株価は下落しました。年明け以降は日銀による早急な金融政策修正への思惑後退などを背景に、日経平均株価は3月9日に、2万8,734円まで上昇しました。しかし、米中堅銀行の経営破綻をきっかけとした米欧の金融システムへの警戒から売りがかさむ場面がありましたが、米欧金融当局などの迅速な対応により金融不安が和らぎ、日経平均株価は2万8,041円で当期末を迎えました。

外国為替市場では、日米の金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが進み、10月21日には1ドル=151円93銭をつけましたが、その後は米国のインフレにピークアウトの兆しがみえたことで、米長期金利が急低下し、円安一服となりました。当期末は1ドル=133円台前半で終えました。

日本の新興株式市場で、東証マザーズ指数は6月20日に615をつけ、終値としては2020年4月以来、約2年2カ月ぶりの安値となりました。12月1日には806まで上昇しましたが、その後はもみ合いとなり749で当期末を迎えました。

東証グロース市場では、相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)銘柄が売られ、東証グロース市場指数は6月20日に安値781まで下げました。しかしその後は、成長性を評価したグロース銘柄への見直し買いもあり、963で当期末を迎えました。

当期における東証プライム市場の一日平均売買代金は3兆2,777億円、スタンダード市場の一日平均売買代金は910億円、グロース市場の一日平均売買代金は1,454億円となりました。

当社は、このような環境下、2019年から取り組んでいるお客様本位の「ストック型ビジネスモデル」への転換を目指して「改革の断行」を実行して参りました。

株式につきましては、低金利環境の下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を生かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、お客様の中長期における資産形成としての株式投資をお勧めして参りました。

いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」につきましては、お客様の保守的な資産の中長期運用商品としてのニーズが引き続き拡がっており、当期末の残高は2,073億円(前期末比9.6%増)となりました。

投資信託(ラップを除く)につきましては、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」や「いちよし日本好配当株&Jリートファンド(愛称:明日葉(あしたば))」「いちよし・グローバル株式ファンド(愛称:いちばん星)」「いちよし中小型成長株ファンド(愛称:あすなろ)」等、お客様のニーズに即した提案に努めて参りました。当期末の残高は、7,114億円(前期末比8.5%減)となりました。

グループのいちよしアセットマネジメントにおきましては、運用資産残高が引き続き増加し、当期末の運用資産残高は4,407億円(前期末比4.1%増)となりました。

 

以上の結果、当社グループの純営業収益は166億25百万円(前期比15.0%減)となりました。また、販売費・一般管理費は154億59百万円(同4.8%減)となり、差し引き営業利益は11億66百万円(同64.9%減)となりました。

なお、当期末の預り資産は、1兆9,081億円(前期末比2.2%減)となりました。

また、当社が収支構造の安定化と「ストック型ビジネスモデル」への進捗状況を示す重要な経営指標の一つと位置付けておりますコストカバー率(投資信託の信託報酬やラップフィー等のいわゆる安定収益の販売費・一般管理費に対する比率)は、53.5%(前期比0.7ポイント増)となりました。

 

①  受入手数料

受入手数料の合計は162億19百万円(前期比14.6%減)となりました。

 

2022年3月期(百万円)

2023年3月期(百万円)

受入手数料

18,986

16,219

委託手数料

5,486

4,615

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

591

131

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

3,832

2,680

その他の受入手数料

9,076

8,791

 

 

委託手数料:

株券の委託手数料は44億68百万円(前期比16.0%減)となりました。

このうち、中小型株式(東証スタンダード、東証グロース、名古屋メイン、名古屋ネクスト)の委託手数料は7億15百万円(同17.9%減)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は16.0%となりました。

 

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料:

発行市場では、主幹事2社を含む新規公開企業9社(前期は主幹事3社を含む新規公開企業39社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。また、既公開企業に係る公募・売出しは1社となりました。(前期は6社)

この結果、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は1億31百万円(前期比77.7%減)となりました。

当期末における累計引受社数は1,199社(うち主幹事66社)となりました。

 

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:

投資信託に係る手数料が26億42百万円(前期比30.2%減)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は26億80百万円(同30.1%減)となりました。

 

その他の受入手数料:

その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が39億72百万円(前期比3.9%減)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬が19億68百万円(同7.5%増)となり、これに当社のファンドラップに係るフィー等23億34百万円(同10.2%減)等を加え、合計87億91百万円(同3.1%減)となりました。

 

②  トレーディング損益

 

2022年3月期(百万円)

2023年3月期(百万円)

トレーディング損益

161

71

株券等トレーディング損益

140

52

債券等・その他の
トレーディング損益

21

19

(債券等トレーディング損益)

7

5

(その他のトレーディング損益)

13

13

 

 

株券等のトレーディング損益は、52百万円(前期比62.8%減)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、19百万円(同10.5%減)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は71百万円(同55.9%減)の利益となりました。

 

③  金融収支

金融収益は、信用取引貸付金の期中平均残高の減少により1億68百万円(前期比21.9%減)、金融費用は、41百万円(同8.6%増)となり、差し引き金融収支は1億27百万円(同28.4%減)となりました。

 

以上の結果、当期の純営業収益は166億25百万円(前期比15.0%減)となりました。

 

④ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、人件費の減少等により、154億59百万円(前期比4.8%減)となりました。

 

⑤  営業外損益

営業外収益が、受取保険金及び配当金22百万円等で66百万円となり、差し引き49百万円(前期比59.1%減)の利益となりました。

 

以上の結果、当期の経常利益は12億16百万円(前期比64.7%減)となりました。

 

⑥ 特別損益

特別利益は投資有価証券売却益等で2百万円、特別損失は和解金等で2百万円となり、差し引き0百万円(前期比99.7%減)の利益となりました。

 

これらにより、税金等調整前当期純利益は12億16百万円(前期比66.0%減)となりました。これに法人税、住民税及び事業税3億95百万円及び法人税等調整額63百万円を減算した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億58百万円(同70.0%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

①  資産

前期末に比べて52億64百万円(11.0%)減少し、426億70百万円となりました。これは、預託金が24億39百万円及び募集等払込金が12億42百万円減少したこと等によるものです。

②  負債

前期末に比べて30億26百万円(16.9%)減少し、148億44百万円となりました。これは、預り金が18億80百万円及び受入保証金が11億38百万円減少したこと等によるものです。

③  純資産

前期末に比べて22億38百万円(7.4%)減少し、278億26百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益7億58百万円を計上したものの、配当金の支払い12億68百万円及び自己株式の取得16億26百万円があったこと等によるものです。

 

この結果、自己資本比率は65.2%(前期末は62.7%)となりました。また、当社の自己資本規制比率は505.8%(前期は505.8%)となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益12億16百万円を計上、顧客分別金信託の減少による24億40百万円の増加、預り金及び受入保証金の減少による30億19百万円の減少等により、16億8百万円(前期比4億83百万円の減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出等により、△3億20百万円(同1億50百万円の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出16億26百万円、配当金の支払額12億65百万円等により、△28億18百万円(同14億43百万円の減少)となりました。

以上により、当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末残高に比べ、15億28百万円減少し、153億63百万円となりました。

 

(4) トレーディング業務の概要

トレーディング商品:

最近2連結会計年度末におけるトレーディング商品残高は以下のとおりであります。

 

2022年3月31日(百万円)

2023年3月31日(百万円)

資産の部のトレーディング商品

23

13

商品有価証券等

23

13

株券等

8

0

債券

14

13

受益証券等

デリバティブ取引

0

オプション取引

為替予約取引

0

負債の部のトレーディング商品

0

商品有価証券等

株券等

債券

受益証券等

デリバティブ取引

0

オプション取引

為替予約取引

0

 

 

トレーディングに係るリスク管理体制:

 当社グループにおけるトレーディングに係るリスク管理体制は、株価、金利、外国為替相場等の変動を適切に認識し、「リスク管理規程」及び「市場リスク管理細則」に準じて市場リスクの管理を行っております。

 具体的には、主として顧客との取引から発生するトレーディング業務に係わる有価証券について、取引を行う部門毎及び商品毎に許容可能なリスク量(ポジション枠)をロスカット基準等と合わせて定めております。また、市場リスク相当額は標準的方式により算出され、状況を把握して確認を行っております。なお、内部統制委員会の下部組織であるリスク管理会議においては、運用環境や当社の財務状況等を勘案してポジション枠等の見直しや今後の対応等の協議を行っております。

 市場リスクの管理は、日々、リスク管理室がモニタリングを行い、経営陣その他の関係者に対して報告を行っております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

①  固定資産の減損損失

翌連結会計年度の将来キャッシュ・フローの算定にあたり、市場動向や経済情勢の変化により翌連結会計年度の営業収益が悪化した場合、その影響により翌連結会計年度の営業損益が減少する可能性があります。

②  繰延税金資産

当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、証券市場の変動の影響を大きく受ける市況産業であるため、業績変動の幅が大きく、長期にわたり安定的な課税所得の発生を予測することが困難であります。

この具体的な計算方法は、当社グループの課税所得を見積り、短期に回収が可能なものを判断し繰延税金資産を算出しております。

③  賞与引当金

当社グループの賞与引当金は、従業員に対する賞与の支払いに備えるため、所定の計算方法により算出した支払見込額を計上しております。この具体的な計算方法は、賞与の前支給対象期間の業績対比等の係数を基礎として算出しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①  経営成績等について

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、純営業収益は前期比15.0%減の166億25百万円、経常利益は同64.7%減の12億16百万円となりました。

当社グループは「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」の構築を目指して従来築いてきた土台をさらに拡大するために、2026年3月末をターゲットとする新中期経営計画「3D」を策定し、数値目標は預り資産3兆円、コストカバー率70%、ROE10%程度と設定いたしました。

また、数値目標のうち特に、預り資産を「お客様からの信頼」と「いちよしの基礎体力」のバロメーターと位置付け、預り資産の拡大を最も重要な経営目標であり成長の源泉として持続的な成長の実現に努めています。

営業収益のうち主な科目別の経営成績の分析は、以下のとおりであります。

 

(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)

投資信託(ラップを除く)につきましては、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」や「いちよし日本好配当株&Jリートファンド(愛称:明日葉(あしたば))」「いちよし・グローバル株式ファンド(愛称:いちばん星)」「いちよし中小型成長株ファンド(愛称:あすなろ)」等、お客様のニーズに即した提案に努めて参りました。

その結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は前期比30.1%減の26億80百万円となりました。

 

(その他の受入手数料)

その他の受入手数料は、全体では前期比3.1%減の87億91百万円となりました。主な内訳は、「受益証券残高に係る信託報酬」が同3.9%減の39億72百万円、「運用に係る信託報酬」が同7.5%増の19億68百万円、「ファンドラップに係るフィー等」が同10.2%減の23億34百万円です。

「ファンドラップに係るフィー等」のうち、「投信のベース資産」として位置付けているいちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」につきましては、お客様の保守的な資産の中長期運用商品としてのニーズが引き続き拡がっており、当期末の残高は2,073億円(前期末比9.6%増)となりました。

 

②  経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主たる事業である金融商品取引業は、国内外の証券市場の変動に大きな影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績に重要な影響を与えます。

 

 

③  資本の財源及び資金の流動性について

資金需要

当社の資金需要の主な要因は、信用取引貸付金の自己融資の増減による資金、及び投信買付(追加設定)により、投資信託委託会社への払込日とお客様買付代金入金日との相違による一時的に立替金となる資金、並びに、お客様分別金により入金確認日とお客様分別金に信託する日の相違による一時的に立替金になる資金、人件費をはじめとする販売費・一般管理費、当社株式配当金及び法人税等の納付による資金があります。

資金の流動性

資金の流動性については、上記資金需要による流動性と、有価証券売買に伴うお客様買付代金の業者に払込する資金、お客様売却代金をお客様に払込する資金の流動性を確保する必要があります。

なお、当社グループの資本の財源については、(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。