文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、創立以来、「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念として、信頼を原点としたFace to Face(お客さまとの対面での直接対話型)のビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としております。この基本方針を堅持しながら、当社グループしか提供できない商品やサービスの独自性を追求してまいります。これらの事業活動を通じて、お客さまを含め国民全体の資産形成に資することで社会全体に付加価値をもたらし、ひいては、国民経済全体の発展に貢献することを念頭に置きながら、持続可能な事業を展開することに努めてまいります。
当社グループは、自らが採択した「お客さま本位の業務運営に関する方針」に基づき、お客さまの立場に立って、親切・丁寧な対応を心がけるとともに、お客さまの利益を最優先に考え、それぞれのニーズにあった商品やサービスを提供してまいります。
また、株主資本の効率的な運用という観点から、当社グループを取り巻く環境の変化を的確に捉えながら、適切なリスク管理の下、新しい収益分野や投資対象への取組みを推進し、収益力の向上と収益源の多様化を図ってまいります。
(2)中長期の基本戦略
① 基本的な考え方
当社グループは、経営の基本理念に則り、独自のビジネスモデルを堅持し持続的な成長を目指してまいります。そのため、当社グループは、以下に掲げるサステナビリティ基本方針に基づき、すべてのステークホルダーをこれまで以上に意識しつつ、当社グループの企業価値の向上及び金融・資本市場を通した持続可能性への貢献を行ってまいります。
さらに、東京証券取引所プライム市場上場企業として、より高い水準のコーポレート・ガバナンス体制を構築してまいります。
■サステナビリティ基本方針
極東証券株式会社は、企業理念に基づき、金融商品取引業者としての事業を通して、サステナビリティ(持続可能性)の向上に取り組んでまいります。
② Face to Faceのビジネスモデルを通した企業価値の向上
当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなるという認識の下、オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持いたします。更には、その営業スタイルの質的な向上を図るとともに、他社では提供できない多様な商品を取りそろえ、マーケット変化を捉えた機動的な運用提案を行うことで、お客さまの満足度を高め、信頼を獲得してまいります。お客さまと当社との強固な信頼関係こそが、当社グループ独自の企業価値であります。こうした当社グループ独自のビジネスモデルを強化することで、厳しい競争環境下においても、当社グループの持続可能な事業展開が可能になると考えております。
③ 当社グループ独自の企業価値を生かした持続可能性への貢献
当社グループは、ESG要素を含む中長期的な社会全体の持続可能性の向上に貢献するため、金融・資本市場の一層の機能強化に資することや、事業以外の分野における社会貢献活動に積極的に参画してまいります。具体的には、当社グループ独自の商品やサービスの提供により、国民の資産形成を促進することで、社会全体に付加価値を生み出し、国民経済全体の発展に貢献してまいります。また、様々なステークホルダーに貢献するために、地球温暖化や気候変動等の環境問題、全ての役職員にとって働きやすい職場環境を確保する等の働き方改革、金融リテラシー向上に貢献するための金融教育及び地域社会の発展について積極的に取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 顧客基盤・預り資産の拡大
当社グループは、国内外の証券市場で売買される金融商品の販売をその事業基盤としていることから、その顧客基盤や預り資産についても、市場環境によって大きく左右されると考えております。2022年3月期においては、米国株式市場停滞の影響を受け、顧客口座数、預り資産ともに減少いたしました。顧客基盤や預り資産について、単にその水準をもって経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とすることは困難でありますが、それらを当社グループの収益基盤の大きな柱として認識しつつ、加えて、お客さまの属性や投資行動等を詳細に分析する仕組みを検討し、そこから得られる様々なデータを活用した客観的な指標の構築に向け、更に検討を続けてまいります。
② 顧客満足度の向上
当社グループの持続的な成長のためには、提供する商品やサービスに対するお客さまの評価や満足度の向上が不可欠であります。お客さまの満足度を測る指標は、お客さまの投資パフォーマンスの向上、提供されるコンサルティングサービスの評価など、様々であり、当社ではお客さまの満足度を評価する指標として、「既存のお客さまによる新規顧客のご紹介」に関するものをこれまでも採用してまいりました。
新規に口座開設をしていただいたお客さまのうち、口座開設の契機が既存のお客さまによるご紹介の比率は高水準(2022年3月期実績 49.7%)を保っております。また、当事業年度におきまして顧客ロイヤルティ調査を行いました。同調査において、当社は対面証券会社平均と比べてロイヤルティ指標が高いとの結果が出ており、これは当社のFace to Faceのビジネスモデルがお客さまから評価されているものと考えております。このトレンドを今後も維持できるように既存のお客さま評価や満足度を更に高めるとともに、当社グループ自身の認知度を向上させ、新規のお客さまの獲得に努めるとともに、お客さまの満足度の向上に努めてまいります。
③ 収益性
当社グループの収益性を評価する指標として考えられるものは、以下のとおりであります。
イ.資本コストと資本利益率
当事業年度(2022年3月期)における当社グループの資本コストは、株主資本コストが3.3%及び加重平均資本コストが2.7%であります。当社グループとして、当事業年度の当社の自己資本利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)が資本コストを上回ることを目標といたします。当事業年度の各指標の実績につきましては、自己資本利益率は4.6%、投下資本利益率は1.6%となり、投下資本利益率においては目標を下回りました。
ロ.各収益源の利益への貢献度合(安定性)
当社グループは、市場環境に大きく影響を受けない安定した収益構造を確保するために、収益構造の多様化を図ってまいります。その成果を判断する指標としては、手数料収入、トレーディング収益、金融収支等の安定的なキャッシュ・フローがバランスよく貢献していることを検証することとしております。なお、2022年3月期においては、投資信託の販売が順調であった一方で、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことから、受入手数料(前期比2億19百万円増加(12.3%増加))は増加し、トレーディング損益(前期比29億97百万円減少(49.7%減少))が減少しております。
(4)経営環境
当社の経営者は、当社の経営の基本方針に則った中長期の経営戦略を実行するうえで、以下に掲げる環境事象が当社経営に影響を及ぼすと考えております。
国内外の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に端を発する供給制約と、その後の需要回復、労働市場のひっ迫などにより、インフレが世界中で加速しました。先進国では金融政策正常化に向けた動きが本格化し、米国では連邦準備制度理事会(FRB)による資産買入れの縮小に続き、利上げが開始されました。新興国では先進国に先駆けて政策金利の引き上げが相次ぎました。また、ロシアがウクライナに侵攻し、資源や穀物など一段の物価上昇をもたらしました。
今後については、国際通貨基金(IMF)が2022年4月に公表した世界経済見通しによると、「「戦争が経済回復を抑制する」とし、戦争がもたらす経済損失は、2022年に世界の経済成長が大幅に減速する一因となるほか、物価上昇が加速する」とあります。この影響により、世界経済の成長率予測は2022年が3.6%、2023年が3.6%、日本については2022年が2.4%、2023年は2.3%とされております。
また、2022年4月に開催された日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合における基本的見解は、「日本経済の先行きを展望すると、ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる」とありますが、一方で、「リスク要因としては、引き続き変異株を含む感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要である。また、今後のウクライナ情勢の展開や、そのもとでの資源価格や国際金融資本市場、海外経済の動向についても不確実性はきわめて高い」としていることから、当面はその動向を注視していく必要があります。
そのような中で、オンライン取引業者による手数料の無料化の動き、大手業者による預り資産の拡大戦略、顧客層の高齢化、更には新型コロナウイルス感染症の収束後の投資行動の変容の可能性など、当社の持続的発展の脅威となる要因は多数あり、当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなると考えられます。
わが国では、国民の安定的な資産形成を実現する資金の流れへの転換を図る、いわゆる「貯蓄から資産形成」の方針が打ち出されております。更には、わが国では少子高齢化の流れが急速に早まっていることを背景に、若年層の資産形成を促進するための方策として、NISA制度やつみたてNISAの導入等が実施されるとともに、資産形成の重要性や投資の意義などを理解するための金融リテラシーの向上に向けた諸施策が採用されております。一方、国民の高齢化は着実に進行しており、それに合わせて、高齢者の資産運用のためのフィナンシャル・ジェロントロジー(金融老年学)という研究も広がりを見せつつあります。すなわち、健康寿命の延びに合わせ、資産寿命の延伸を目指そうとする動きが高まりつつあります。したがって、高年齢層の金融リテラシーの向上のための施策、資産を保全するための運用に関する適切なアドバイス、これらの世代に適合した商品の提供といった新しいニーズが生まれつつあります。また、当社の顧客層を形成する富裕層の世帯数及び保有する金融資産額が継続して増加しているという調査結果もあります。
このような環境において、一定程度の資産規模を保持しているものの、人生100年時代を見据えた老後資金の確保のためにそれら資産の運用ニーズが生じている中高年齢層向けの商品やサービスを充実させることによって新たな顧客層の取り込みを行うという視点でのビジネスの拡大の可能性は一層拡大すると考えております。また、高年齢層に対しては、資産寿命を延伸させるための安定的な資産運用や資産相続アドバイスなど、総合的なコンサルティングサービスに対するニーズが高まっていると考えております。このような状況を踏まえますと、富裕層向けの金融サービスをその事業の柱としてきた当社グループとして、その独自性を更に追求することで、その存在意義が高まり、厳しい競争環境下においても、持続可能な事業展開やビジネス拡大の可能性があると考えております。
(5)対処すべき課題
① 独自のビジネスモデルの追求
当社グループの直接対話型のビジネスモデルを堅持し、事業を持続的に発展させるためには、お客さま満足度の向上を目指す必要があると考えております。そのため、お客さまへの分かり易く、親切、丁寧な対応に努め、特色ある旬の商品を引き続き提供してまいります。また、営業活動をサポートするツールの導入や満足度調査を積極的に行ってまいります。
当社グループの収益の中心は、上記の直接対話型のビジネスから得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。当社グループは、株主資本の効率的・積極的運用により、手数料収入以外の収益源を確保し、当社グループの収益力を強化するために、有望な商品や投資分野の開拓に努めてまいります。
② コンプライアンス及びリスク管理体制の強化
当社グループは「お客さま本位の業務運営に関する方針」を徹底し、役職員全員がより高い倫理観に基づいて業務を遂行してまいります。
また、管理すべきリスクが多様化する現状に鑑み、新たに認識されたリスクや今後発生すると予想されるリスクを的確に把握し、それに対する対応策などを早期に策定するために、2022年4月1日にリスク管理委員会を設置いたしました。同委員会を通じリスク管理の更なる強化を図ってまいります。
③ 人材の多様性及び人的資本への投資
当社グループは、今後の環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るためには、中核人材の登用等において、様々な経験・技能・属性を有する人材を確保することが重要と考えております。中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成と社内環境整備を行ってまいります。
また、当社の企業価値を他社と差別化している知的財産は、「お客さまからの信頼」というブランドと「特色ある旬の商品の提供」というノウハウであり、その基盤は営業部門や事務部門の専門人材であると考えております。そのため、当社においては人的資本への投資を積極的に行ってまいります。この人的資本への投資が、最終的にはお客さまの利益最大化につながると考えております。
<中核人材の多様性確保の状況(2022年3月末)>
女性管理職比率 17.7%(2021年9月末比率 17.6%)
外国人管理職比率 0.0%( 同 0.0%)
中途採用者管理職比率 50.4%( 同 48.6%)
<人的資本投資の状況(2021年度実績)>
総額 約1,040万円(2020年度比 約20%増加)
(内訳)
AFP養成講座 約 90万円
マネジメント・営業スキル研修 約150万円
その他研修費用 約800万円
④ 社会への貢献
当社グループは、本来の事業以外の分野においても、社会に貢献することが、当社の企業価値向上にもつながるものと考えております。そのため、国民全体の金融リテラシー向上のみならず、質の高い教育や研究を発展させる目的で、学術活動や教育分野への支援を積極的に行ってまいります。また多様な価値観のもと豊かな社会を築いていくために、メセナ活動の一環として文化、芸術活動への協賛を行ってまいります。
⑤ 持続可能な地球環境への対応
気候変動対策や脱炭素化に向けた世界的な動きに対応するため、中長期的観点から、お客さまのESG投資に係るニーズを的確に把握し、それらのニーズに適った金融商品の提供を検討してまいります。併せて、脱炭素社会に向けて推進される代替エネルギーの開発など有望分野への自己資金による投資について積極的に取り組んでまいります。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークを用いて、気候変動が当社グループの事業活動に与えるリスク及び機会を充分に分析し、そのうえで気候変動に係るビジネス戦略を策定し、当社グループ及び社会の持続的な発展につなげてまいります。
<TCFDへの対応>
イ.ガバナンス
当社は、経営の基本理念に則り、当社独自のビジネスモデルを通して持続的な成長を目指してまいります。
そうした中、当社にとって重要と考えられるサステナビリティ課題について、取締役会等で継続的に議論を行い、そのうえで基本方針や推進体制等を整備するなど、ガバナンス体制の構築を行っており、サステナビリティ課題(TCFDへの対応を含む)への取組みの進捗状況を取締役会に定期的に報告することとなっております。
ロ.戦略
当社は、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照のうえ、2℃シナリオ及び4℃シナリオが実現した場合の2つの社会を想定いたしました。
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2℃シナリオ |
新たな政策・制度を導入し、2100年時の気温上昇が産業革命前に比べて2℃未満に抑制されるシナリオ |
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4℃シナリオ |
新たな政策・制度が導入されず、2100年時の気温上昇が産業革命前に比べて4℃以上となるシナリオ |
その想定のもと、気候変動が当社グループの事業活動に与えるリスク及び機会を以下のとおり抽出し、対応を開始しております。
<リスク>
<機会>
<対応>
ハ.リスク管理
全社的な事業リスクを分析・評価し的確なリスク管理を行うため、リスク管理委員会を設置しております。同委員会において、全社的な事業リスク管理の一つとして気候関連リスクの管理を行い、必要に応じて取締役会等に報告を行います。
ニ.指標・目標
2021年度の温室効果ガス排出量実績と2030年度削減目標
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合への対応を図るため、全社的なリスク管理体制を整備しております。また、全社的な事業等のリスク管理の強化を目的として、全社横断的な組織であるリスクマネジメント連絡会を設置し、定期的に重点リスクの把握及び管理方法に関する情報交換等を行うとともに、協議結果を経営会議・取締役会に報告することとしております。
なお、当社の事業リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議等を行うため、リスクマネジメント連絡会を改組し、2022年4月1日付で「リスク管理委員会」を設置いたしました。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)一般的なリスク
① 事業会社としてのリスク
イ.単一事業を営んでいることのリスク
当社グループは、単一領域(金融商品取引業)で事業を行っているため、その業績は金融資本市場の変貌や環境変化によって多大な影響を受けることとなります。金融資本市場の縮小等によって、当社グループの収益が縮小した場合、それを補完する他の事業を行っていないことから、経営成績や財政状態が急激に悪化する可能性があります。
ロ.テクノロジーを活用しないことのリスク
当社グループは、Face to Faceのビジネスモデルに基づいて対面営業を行っていることから、オンライン取引等を行うために必要とされるシステム等は構築しておりません。しかしながら、将来的には顧客又は投資者からフィンテック分野での技術を活用したサービスの提供を求められる可能性があります。その際、これまでテクノロジーを有効に活用してこなかったことにより、高度にシステム化されたお客さま向けサービスのためのインフラ構築の遅延により収益機会を逃す可能性があります。また、業務効率性向上の遅延、費用削減の限界等により、当社グループの市場競争力そのものが低下する可能性もあります。これらを原因として、将来にわたって当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ハ.業容拡大や収益多様化の遅延に伴うリスク
お客さまからの手数料収入に極端に頼らない収益構造を構築するためには、新しい収益分野への進出による業容拡大や収益源の確保が必要でありますが、業容拡大や収益源確保のための経験やリソースが伴わないことにより、また、それらの施策実施のタイミングに遅れが出ることにより、収益機会を逃してしまう可能性があり、結果として、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ニ.新規事業への参入に係るリスク
収益源の多様化を目的として金融商品取引業以外の新規事業に直接又はグループ会社を通じて参入することを決定した場合は、当該事業を管轄する法令等の遵守が必要となります。したがって、法令遵守について不適切な対応や違反行為を行うことで、それらの業務が制限されることとなり、収益拡大につながらない可能性があります。
ホ.訴訟等に係るリスク
当社グループは、お客さまからの信頼確保を経営の基本理念として、日頃よりコンプライアンスの徹底とお客さま本位の業務運営を実行しております。しかしながら、お客さまに多額の損失が発生した場合、お客さま等から訴訟の提起や仲裁の申立てが行われる可能性があります。仮に、これらの訴訟等の結果が当社グループにとって不利なものとなった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ヘ.法令遵守、内部統制に係るリスク
当社グループは、法令遵守やリスク管理の視点から内部統制システムの整備を図り、より充実した社内管理態勢の確立と役職員におけるコンプライアンス意識の徹底に努めております。しかしながら、業務執行のプロセスにおいてそれらに関与する役職員の故意又は過失により法令違反若しくはそれらに準ずる行為がなされる可能性があります。内部統制システムの整備やコンプライアンス研修の実施は役職員による違法行為を未然防止するための有効な方策ではありますが、違法行為の全てを排除できるものではありません。また、役職員による意図的な違法行為は、周到に隠蔽され、長期間にわたって発覚しない場合もあります。更には、業務執行に関わり未公開情報を取り扱うこととなった場合に、それらの未公開情報の不適切な利用や漏洩、又は情報受領者との共謀など、不正行為が行われる可能性もあります。これらの違法行為は、当社グループの経営成績や財政状態に直接又は間接に影響を与える可能性があると同時に、会社に対しての使用者責任や法的責任等を問われる可能性があります。
ト.オペレーションに係るリスク
当社グループは、規則やマニュアルの整備など、役職員によるオペレーションに係るリスク軽減に努めておりますが、リスクの原因を全て排除することは極めて困難であります。役職員による事務処理上のミス等に起因する事故や不正等によって損失が発生した場合、損害賠償や社会的信用力の低下によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
チ.災害等に起因するリスク
当社グループは、地震等の大規模な自然災害の発生やそれに伴うインフラ障害、又は新型コロナウイルス感染症などの病原性感染症の拡大(パンデミック)等を想定し、あらかじめ様々な対策を講じております。しかしながら、これら災害等に起因するリスクを全て回避することは困難であり、想定を超える規模でリスクが発現し、事業規模の縮小を余儀なくされる場合や事業継続計画の不備により事業の維持が不可能となった場合には、それらの事象に起因する直接的な損害に加えて、将来の収益の減少を引き起こすこととなり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
リ.風評リスク
当社グループの事業はお客さまや投資者の信頼の上に成り立っております。仮に、お客さまや投資者の信頼を損ねるような不祥事が発生したり、お客さまに提供するサービスの内容が低下することにより、お客さまの評価が悪化した場合、お客さまが離散し、顧客基盤が脆弱となり、収益力の低下を引き起こします。また、その真偽にかかわりなく、当社グループにとって不利な報道や風評が流された場合にも、事業の縮小を招くことになります。これらの風評リスクの発現は、結果として当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ヌ.気候変動リスク
当社グループの事業は、気候変動に関するリスクにより様々な影響を受ける可能性があります。例えば、気候変動への対応において脱炭素化によりエネルギー価格の上昇や供給量の不足が生じ、事業継続に支障をきたすことで事業コストの増加につながる可能性があります。また、気候変動の深刻化によって、保有する金融商品の価格やお客さま向け商品の販売に悪影響が生じ収益が悪化する可能性があります。グリーン投資を志向する顧客ニーズの変化への対応の遅れにより、当社の市場競争力(商品・サービス)の低下が発生する可能性もあります。気温上昇による屋外での活動制限等の物理的な制約を受ける可能性もあります。当社グループでは、中長期の経営成績や財政状態に影響が生じ得ることを踏まえ、気候変動を経営の重要な課題の一つとして認識し、その対策を検討してまいります。
② 財務活動に係るリスク
イ.資金流動性に係るリスク
当社グループは、銀行借入の他、コールマネーによる市場での資金調達を行っております。金融引締めや金融市場の混乱又は当社の信用格付けの低下により、必要な資金調達が困難となる、又は不利な条件での資金調達を強いられる場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。このような流動性に係るリスクを回避すべく、コミットメントライン契約に基づくシンジケートローン、換金性の高い資産の保有、手許流動性の確保、流動性コンティンジェンシープランの整備、等の諸施策を講じております。
ロ.外貨調達に係るリスク
当社グループは、外貨建ての有価証券をお客さまに販売、又は自己勘定で取引しておりますが、取引の決済通貨として利用する外貨については、複数の外国為替取扱銀行との取引ラインを維持することで流動性の確保に努めております。しかしながら、外国為替市場の混乱等により外貨調達が困難になり、結果として決済が履行できなくなった場合には、決済の相手方に対する信用の毀損又は決済遅延等による金銭的な損失が発生することとなり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ハ.デリバティブ取引に係るリスク
当社グループは、保有する外貨や外貨建て有価証券の為替リスクを回避するために行うデリバティブ取引を活用しております。しかし、これらの取引が、その本来の役割(リスク管理)を果たさない可能性があります。また、信用格付け等の悪化によりデリバティブ取引を行う能力が低下する場合も想定されます。これらは、デリバティブ取引により多額の損失を被る場合を含め、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
ニ.会計基準や税制の改正に係るリスク
当社グループの事業内容が変わらない場合であっても、会計制度や会計基準が改正されることによって、当社グループの経営成績や財政状態を標記する方法が変更される可能性があります。また、繰延税金資産の計上につきましては、現行の法定実効税率を使用しておりますが、税制の改正によって税率が変更された場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 投資活動に係るリスク
イ.投資有価証券等の固定資産に係る減損リスク
当社グループは、関係会社への投資に加えて、純投資目的の有価証券を保有するとともに、不動産等の固定資産も保有しております。経済環境の悪化によって不動産価格の下落や不動産の陳腐化によって保有資産の減損を強いられる可能性があります。また、有価証券については、それらの市場価格等が下落することによって多額の評価損(減損)が発生することも考えられます。それらは、結果的に当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)金融商品取引業に係る固有のリスク
① 金融商品取引業の登録取消し、業務停止処分に係るリスク
当社は、金融商品取引業を営むために金融商品取引法第29条に基づく金融商品取引業の登録を受け、金融商品取引法及び同法施行令等の関係法令を遵守することが求められております。また、当社は東京証券取引所、大阪取引所及び名古屋証券取引所の取引参加者であるとともに、自主規制団体である日本証券業協会及び第二種金融商品取引業協会の会員であり、これら諸団体が定める諸規則を遵守することも求められております。将来何らかの事由(会社又はその役職員の法令違反行為)により、金融商品取引業の登録の取消しや業務停止処分を受けた場合、又は金融商品取引所や自主規制機関から処分を受けた場合は、事業活動を行うことが困難となり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
② 自己資本規制比率に係るリスク
第一種金融商品取引業者は法令に基づいて、固定化されていない自己資本金額のリスク相当額に対する比率を自己資本規制比率として算出しております。この自己資本規制比率が法令で定める一定比率(120%又は100%)を下回ることによって、業務方法の変更命令、業務の停止命令、更には登録の取消しが行われることとなります。また、この自己資本規制比率の届出を怠った場合又は虚偽の内容の届出を行った場合は行政処分等を受けることがあります。これらの処分等が行われた場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 顧客資産の分別保管に関するリスク
金融商品取引業者は、お客さまから預託された資産を円滑かつ安全に返還できるように、預託された有価証券及び金銭については自己の財産とは区別して保管することが義務付けられております。また、お客さまから預託された外貨による金銭は、その円貨相当額を分別保管しており、仮に当社が経営破綻した場合は、当該預託された外貨ではなく分別保管されている円貨相当額を返還することになります。ただし、お客さまが信用取引を行った際に、当社が預かる信用取引買付け株券又は信用取引売付け代金については分別保管の対象とはなっておりませんが、これらの株券又は金銭は、社内で厳格に分別管理されております。しかし、これらの分別保管が適正に行われていなかった場合には、お客さまへ返還の遅延等が発生する可能性があり、それによって何らかの賠償責任が発生することも想定され、これらは当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 投資者保護基金に関するリスク
当社が加入する日本投資者保護基金は、会員が破綻した際に、投資者が当該破綻業者に預託した証券及び金銭について一人当たり10百万円を上限として保護することとしております。しかしながら、会員となっている金融商品取引業者の破綻に際して、投資者保護のために支払う総額が基金の積立総額を上回る場合は、当社を含む会員に対して、臨時拠出を求める可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 自己勘定によるトレーディングに伴うリスク
当社グループは、自己勘定で株券及び債券等の取引を行っておりますが、市場流動性が減少する、又は多額の損失が発生する可能性があります。また、これらのポジションの市場リスクを低減させるために、ヘッジ取引やポジション管理を行っておりますが、想定以上に市場価格が変動した場合には、これらの機能がうまく発揮されない可能性があります。このような場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥ 市場の縮小に伴うリスク
経済情勢の悪化等により、株式市場や債券市場が低迷・縮小した結果、投資者の投資意欲が減退し、売買注文が減少することによって、委託手数料をはじめとする各種手数料収入が減少する可能性があります。また、新規上場企業の減少や株券発行市場の縮小によって引受手数料等が減少する可能性もあります。これらは、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 競合によるリスク
規制緩和の影響で金融商品取引業への参入が容易になるとともに、情報技術を利用した新たな商品やサービスを提供する業者の進出が可能となってきております。競争が激化する環境下で、当社グループがその競争力を維持できない場合には、競合他社へビジネスが流出してしまい、収益力を維持できなくなる可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 信用取引における信用供与に係るリスク
信用取引を行うお客さまへ当社自らが信用供与を行い、それによって得られる収益は、当社グループの収益源の一つであります。しかし、信用取引による損失がお客さまに発生した場合、又は、代用有価証券の担保価値が下落することでお客さまの預託する担保価値が減少した場合において、担保の追加差し入れができなかった結果、当社が何らかの損失を被る可能性があります。その場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑨ カウンターパーティに関するリスク
当社グループは、保有する外貨建てポジションの為替変動リスクをヘッジする目的で店頭デリバティブ取引を行っておりますが、取引の相手方(カウンターパーティ)の業務が継続できなくなることによって、当該取引の清算決済の履行が行われないカウンターパーティ・リスクがあります。仮に決済履行が行われなかった場合、何らかの損失が発生する可能性もあり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩ 反社会的勢力及びマネー・ロンダリングに係るリスク
当社グループは、反社会的勢力との取引関係を排除するための必要な方策をとるとともに、マネー・ロンダリングやテロ資金供与に関しても当社が不正に利用されないための対策をとっております。しかし、万全の体制をとっていたとしても、これらを全て排除することができない可能性があります。そのため、当局からの是正命令等を受ける、又は社会的な信用力が低下する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑪ 法令や会計基準の施行・改正に係るリスク
当社グループによる業務遂行の根幹となる金融商品取引法等の関係法令について、新たな法令の施行や改正が行われた場合、当社グループの事業に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、金融商品取引業者に係る会計基準の新規適用や改正により、事業内容に変更がなくても、当社グループの経営成績や財政状態に関する開示内容が大幅に変更される可能性があります。
(3)その他リスク
① 年金債務の増加リスク
当社グループの従業員に係る退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件等に基づいて算定されております。実際の運用結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
② システム障害に係るリスク
当社グループが業務執行のために利用するコンピュータのハードウエア若しくはソフトウエア、又はネットワークが、人為的ミス、品質不良、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルス、災害や停電等の諸要因によって障害を起こす場合があります。当社グループ及び業務委託先はこれらシステム障害リスクに備えて、システムの監視、二重化、バックアップ構築などの措置を講じておりますが、それらが不十分又は想定を超える大規模な障害であった場合には、損失や損害賠償責任が発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 情報資産に係るリスク
当社グループは、保有する全ての情報資産を重要な資産として位置付け、「情報セキュリティ方針」に基づいて、情報管理態勢を整備するとともに、それぞれの情報資産を保全するためのセキュリティ対策を施しております。しかし、何らかの理由で重要な顧客データや個人情報が漏洩又は破壊される可能性があることは否めません。このような場合は、お客さまをはじめ全てのステークホルダーの信頼を失墜するのみならず、賠償責任を負う場合もあります。これによって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④ サイバー攻撃を受けるリスク
当社グループは、サイバーセキュリティに関する対応方針を定め、高度なサイバー攻撃の標的とされる蓋然性の高い業務領域を特定するとともに、サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策やサイバー攻撃緊急時対応計画を策定するなど、体制整備に努めております。しかし、これらの対策にもかかわらず、想定しなかった攻撃を受けることによって、重要な情報資産の漏洩や破壊が起きる可能性があります。これによって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 人材育成や人材確保に係るリスク
当社グループは、幅広いコンサルティングサービスを提供し、お客さまの満足度を向上させることを目標に業務運営を行っております。したがって、それらを達成できる人材の確保又は育成は重要な経営課題の一つであります。そのために、有能な人材を通年で積極的に採用するとともに、社員教育制度の充実を図っております。しかし、人材確保や人材育成が進まなかった場合には、将来の事業展開に支障をきたし、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下「当期」という。)における当社グループの経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当期における国内外の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に端を発する供給制約と、その後の需要回復、労働市場のひっ迫などにより、インフレが世界中で加速しました。先進国では金融政策正常化に向けた動きが本格化し、米国では連邦準備制度理事会(FRB)による資産買入れの縮小に続き、利上げが開始されました。新興国では先進国に先駆けて政策金利の引き上げが相次ぎました。また、ロシアがウクライナに侵攻し、資源や穀物など一段の物価上昇をもたらしました。
株式市場では、日経平均株価は首相交代による政策期待や新型コロナウイルス感染症新規感染者のピークアウトを受けて9月14日に30,795円の高値を付けました。その後は世界景気の回復鈍化懸念や中国不動産大手の経営危機問題などから上値を切り下げる展開となりました。2022年1月以降は、米国が早期に大幅利上げや量的引締めへ転じるとの懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う不透明感から、日経平均株価は3月9日には24,681円の安値を付けましたが、期末にかけては値を戻し、当期末は前期末比4.7%安の27,821円で終えました。一方、米国株はインフレ加速や金利上昇を懸念しつつもじり高となり、NYダウ平均株価は1月5日に36,952ドルの高値を付けました。以降はFRBの引き締め強化観測の高まりやウクライナ危機を受けて2月24日には32,272ドルの安値を付けましたが、当期末は値を戻し、前期末比5.1%高の34,678ドルとなりました。
外国為替市場では、米国金利の上昇を背景にドルは強含みとなりました。ドル円は、じり安歩調ながらも落ち着いた動きでしたが、金利差拡大などを手掛かりに急激な円安となりました。当期末はドル円が1ドル=122.39円と6年3か月ぶりの円安水準、ユーロ円につきましても1ユーロ=136.70円と4年2か月ぶりの円安水準で終えております。
債券市場では、日本の10年国債利回りは一時0.00%まで低下しましたが、その後は国内外の物価動向や金融政策正常化の動きを反映して上昇圧力が強まり、3月には0.25%を付けました。当期末は日本銀行の買いオペもあり0.21%で終えております。
なお新興国では、地下資源の有無、政策金利、インフレ率、地政学的リスクなど国ごとの状況は異なり、中でもロシアの株価や通貨は乱高下を余儀なくされました。しかし、全体としてみると新興国の通貨はもみ合い、株価は弱含みで推移しました。
こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。その結果、当期の業績につきましては、営業収益64億92百万円(前期比72.5%)、純営業収益64億41百万円(同72.5%)、営業利益13億円(同33.2%)、経常利益18億80百万円(同42.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益21億17百万円(同68.3%)となりました。
② 財政状態の状況
当期の資産合計は、預託金や現金・預金の減少等により、717億96百万円と前期末に比べ60億65百万円減少いたしました。
当期の負債合計は、預り金や短期借入金の減少等により、256億90百万円と前期末に比べ59億7百万円減少いたしました。
当期の純資産合計は、利益剰余金が増加した一方でその他有価証券評価差額金の減少等により、461億6百万円と前期末に比べ1億57百万円減少いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
④ トレーディング業務の状況
トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
商品有価証券等(売買目的有価証券)
|
種類 |
2021年3月31日現在 |
2022年3月31日現在 |
||
|
資産(百万円) |
負債(百万円) |
資産(百万円) |
負債(百万円) |
|
|
株式・ワラント |
44 |
- |
574 |
- |
|
債券 |
14,149 |
- |
12,037 |
- |
|
受益証券等 |
856 |
- |
901 |
- |
|
その他 |
- |
- |
- |
- |
デリバティブ取引の契約額等及び時価
|
種類 |
2021年3月31日現在 |
2022年3月31日現在 |
||||||
|
契約額 (百万円) |
契約額の うち1年超 (百万円) |
時価 (百万円) |
評価損益 (百万円) |
契約額 (百万円) |
契約額の うち1年超 (百万円) |
時価 (百万円) |
評価損益 (百万円) |
|
|
為替予約取引 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
売建 |
5,479 |
- |
△216 |
△216 |
4,775 |
- |
△261 |
△261 |
|
買建 |
559 |
- |
10 |
10 |
1,134 |
- |
18 |
18 |
市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用することとしております。リスク管理体制としては、各部門が、日々のポジション・リスク額及び損益の状況をチェックのうえ、経営陣に報告しております。更に、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、取締役、執行役員及び監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率及びその詳細を取締役会に報告しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社グループは、創立以来、「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念として、信頼を原点としたFace to Faceのビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としております。この経営の基本方針のもと、当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなるという認識の下、オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、当社グループは、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持しております。また、内外の証券市場で売買される金融商品の販売をその事業基盤としており、その顧客基盤や預り資産については、収益基盤の大きな柱であると認識しております。この基本戦略のもと、当社グループは、全体的な預り資産の増加を図り、顧客基盤の拡大を目指してまいりました。更に当社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。当社グループは、自己資金を有効活用することで、市場環境に大きく影響を受けない安定した収益構造の多様化を図ってまいりました。当期における経営成績は、投資信託の販売が順調であったことから受入手数料が増加しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことや自己保有債券の時価が下落したことなどから債券トレーディング損益が減少いたしました。これらの結果、前期(2021年3月期)に比べ減収減益となりました。それらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響及び収束時期等につきましては、不確実な要素が多く、現時点において予想することは困難でありますが、今後の金融政策や新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績の下振れなどの影響を受けるものと考えられ、当面はその動向を注視していく必要があり、そのため、金融商品取引業者の事業環境については引き続き先行き不透明であると考えております。
営業収益
当期の株式市場においては、日経平均株価は首相交代による政策期待や新型コロナウイルス感染症新規感染者のピークアウトを受けて9月14日に30,795円の高値を付けました。その後は世界景気の回復鈍化懸念や中国不動産大手の経営危機問題などから上値を切り下げる展開となりました。2022年1月以降は、米国が早期に大幅利上げや量的引締めへ転じるとの懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う不透明感から、日経平均株価は3月9日には24,681円の安値を付けましたが、期末にかけては値を戻し、当期末は前期末比4.7%安の27,821円で終えました。これらに伴い、株式市場における売買取引は低調に推移いたしました。また、投資信託の顧客販売については、年間を通して順調に推移いたしました。その結果、当期の「受入手数料」は、19億95百万円(前期比112.3%、2億19百万円増加)となりました。その内訳は以下のとおりであります。
「株券委託手数料」は、株式市場における売買高が減少したことにより、10億70百万円(同98.1%、20百万円減少)となり、「受益証券(上場投資信託)委託手数料」を加えた「委託手数料」は、11億6百万円(同97.4%、30百万円減少)となりました。
主にアンダーライティング(引受)業務に係る手数料で構成される「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、当社が参入したIPO件数は安定的であったことから、32百万円(同175.5%、13百万円増加)となりました。
投資信託受益証券の募集・売出しの取扱手数料などによって構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の販売の増加により、5億94百万円(同147.2%、1億90百万円増加)となりました。
主に受益証券(投資信託)の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、2億62百万円(同120.4%、44百万円増加)となりました。
当期のトレーディング損益につきましては、債券等トレーディング損益が減少したことから、「トレーディング損益」は、30億30百万円の利益(同50.3%、29億97百万円減少)となりました。内訳は以下のとおりであります。
「株券等トレーディング損益」は、外国株の売買を中心に1億32百万円の利益(同141.9%、39百万円増加)となりました。
「債券等トレーディング損益」は、「多様な商品によるマーケット変化を捉えた機動的な運用提案」を行うことで、お客さまからの信頼を獲得するとともに、お客さまの投資パフォーマンスの向上を目指しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだこと、また、自己保有債券の時価が下落したことなどから、32億82百万円の利益(同53.6%、28億43百万円減少)となりました。
外貨建債券の為替ヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引を中心とした「その他のトレーディング損益」は3億84百万円の損失(前期は1億91百万円の損失)となりました。
当期の金融収益につきましては、主にトレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金で構成されますが、債券等の保有高が増加したことから、当期の「金融収益」は14億47百万円(前期比128.5%、3億20百万円増加)となりました。
当期の「その他の営業収入」は、19百万円(同104.8%、0百万円増加)となりました。
以上の結果、当期の営業収益は、64億92百万円(同72.5%、24億56百万円減少)となりました。
純営業収益
当期の「金融費用」は信用取引支払利息及び支払利息が減少したことにより、51百万円(前期比78.7%、13百万円減少)となりました。営業収益からこの金融費用を差し引いた当期の「純営業収益」は64億41百万円(同72.5%、24億42百万円減少)となりました。
営業損益
当期の「販売費・一般管理費」は、租税公課が減少したものの、人件費、不動産関係費等の増加により、51億40百万円(前期比103.4%、1億69百万円増加)となりました。
当期の純営業収益から販売費・一般管理費を控除した「営業損益」は、営業利益13億円(同33.2%、26億12百万円減少)となりました。
経常損益
当期の「営業外損益」は、投資有価証券の買付を行った結果、受取配当金が増加したことなどにより、「営業外収益」が7億44百万円(前期比107.2%、50百万円増加)となった一方で、外貨建投資有価証券の為替リスクをヘッジする目的で実行する為替デリバティブ取引に係る為替差損が発生したことなどにより、「営業外費用」を1億64百万円(同77.7%、47百万円減少)計上いたしました。この結果、「営業外損益」は、5億80百万円の利益(同120.2%、97百万円増加)となりました。
当期の営業利益に当該利益を加味した「経常損益」は、経常利益18億80百万円(同42.8%、25億15百万円減少)となりました。
税金等調整前当期純損益
当期の「特別利益」は、投資有価証券売却益等合計で14億29百万円(前期は1億18百万円)を、一方、「特別損失」は、投資有価証券評価損等合計で1億92百万円(前期は14百万円)を計上いたしました。この結果、「特別損益」は、12億36百万円の利益(前期は1億3百万円の利益)となりました。
当期の経常利益に当該利益を加味した「税金等調整前当期純損益」は、税金等調整前当期純利益31億17百万円(前期比69.3%、13億82百万円減少)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益
当期の「法人税等合計」は、法人税、住民税及び事業税の減少により、9億99百万円(前期比71.5%、3億98百万円減少)となりました。
この結果、当期の「親会社株主に帰属する当期純損益」は、親会社株主に帰属する当期純利益21億17百万円(同68.3%、9億84百万円減少)となりました。
(財政状態の分析)
当期末の財政状態は、前期末(2021年3月期)に比べ資産、負債及び純資産が減少いたしました。これらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
資産
当期末における「流動資産」は、522億36百万円となり、前期末に比べ52億45百万円減少いたしました。これは主に顧客預り金の分別保管を主な目的とする預託金が27億38百万円減少(当期末131億76百万円)、現金・預金が20億97百万円減少(当期末204億45百万円)したことによるものであります。
当期末における「固定資産」は、195億60百万円となり、前期末に比べ8億19百万円減少いたしました。これは主に長期純投資のために保有する投資有価証券が6億11百万円減少(当期末165億88百万円)、退職給付に係る資産が1億52百万円減少(当期末4億19百万円)したことによるものであります。
この結果、当期末の「資産合計」は、717億96百万円となり、前期末に比べ60億65百万円減少いたしました。
負債
当期末における「流動負債」は、236億44百万円となり、前期末に比べ72億66百万円減少いたしました。これは主にお客さまからの現金の預りを中心とした預り金が34億3百万円減少(当期末126億36百万円)、コールマネー等の短期借入金が25億円減少(当期末88億50百万円)するとともに、法人税、住民税及び事業税の減少により未払法人税等が7億67百万円減少(当期末3億83百万円)したことによるものであります。
当期末における「固定負債」は、20億32百万円となり、前期末に比べ13億58百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が15億円増加(当期末15億円)したことによるものであります。
この結果、当期末の「負債合計」は、256億90百万円となり、前期末に比べ59億7百万円減少いたしました。
純資産
当期末における「純資産」は、親会社株主に帰属する当期純利益の発生により、利益剰余金が5億22百万円増加(当期末373億18百万円)した一方で、投資有価証券の時価が下落したことにより、その他有価証券評価差額金が6億80百万円減少(当期末△3億84百万円)いたしました。この結果、「純資産合計」は、461億6百万円となり、前期末に比べ1億57百万円減少いたしました。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、12億23百万円の使用(前期は88億40百万円の獲得)となりました。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益(31億17百万円の獲得)及び預託金の減少(27億38百万円の獲得)が生じた一方で、顧客預り金を中心とした預り金の減少(34億3百万円の使用)及び法人税等の支払い(16億73百万円の使用)があったことによるものであります。
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、11億74百万円の獲得(前期は52億70百万円の使用)となりました。主な要因としましては、純投資目的で保有している投資有価証券について売却が取得を上回ったことによる増加(8億41百万円の獲得)及び償還による増加(4億56百万円の獲得)であります。
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、25億96百万円の使用(前期は1億16百万円の使用)となりました。主な要因としましては、長期資金の借入と返済を行ったことにより残高が増加(5億円の獲得)した一方で、配当金の支払(15億96百万円の使用)及びコールマネー等の短期借入金の返済(15億円の使用)を行ったことによるものであります。
これらの結果、当期における現金及び現金同等物は、前期末に比べ22億26百万円減少し、当期末には190億98百万円となりました。
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指すものであります。
金融商品取引業者は、その業務の性格上、自己勘定に基づいて有価証券等の保有や売買取引を行う場合があります。それら保有有価証券の価格変動リスクなどの各種リスクを十分にカバーできる「固定化されていない自己資本の額」を維持し、財務の健全性を表す「自己資本規制比率」を一定の水準以上に維持することが法令等により義務付けられております。当社は、「自己資本規制比率」を高水準に維持することを経営の基本方針といたしますが、上記のとおり、自己資本を効率的に活用して、収益性を高めるために一定のリスク(主に市場リスク)をとる必要もあると考えております。このため、これらリスク額及び自己資本規制比率につきましては、適切なリスク管理体制の下で監視しております。
当社は、財務体質や収益性を測る指標として「信用格付け」を取得しております。当社グループとして、近い将来に新株式や債券の発行による資金調達を行うことは想定しておりませんが、運転資金の安定的な調達を可能とするため、「信用格付け」の水準を安定的に維持することに努めることといたします。
(手許流動性)
当社は、半期ごとに実施する流動性コンティンジェンシープランの検証過程において、緊急事態発生時に、借入金等の返済やお客さまへの預り金の返還などを円滑に行うために当初必要と考えられる手許現預金の水準を決定しております。また、その後必要となる現金需要を賄うために、短期間で現金化が可能となる市場性のある有価証券の保有に努めております。
また、当社グループはお客さま向け販売や自己勘定での取引を目的として、外貨建て有価証券を取り扱っております。これら外貨建て有価証券取引の清算決済においては、期限までに当該外貨を遅滞なく支払う必要があります。しかしながら、外国為替市場の動向によっては決済のための外貨調達が困難になることも想定されます。このような外貨調達リスクを避けるため、市場の状況や取引高を勘案しながら、必要と思われる外貨の種別及び金額をその都度検証し、十分な金額を手許に維持するよう心がけております。
(成長分野への投資活動)
上記目的で必要とされる手許流動性の水準を超える現預金については成長分野や有望市場への投資活動に振り向けることが可能な資金と位置付け、積極的に投資活動を行ってまいります。これによって、新たな収益源の開拓や収益性が向上し、企業価値向上につながると考えております。
(株主還元-利益配分に関する基本方針及び当期の配当)
当社は、株主価値向上の一環として、株主の皆さまに対し積極的な利益還元を図ることを経営の重要な政策の一つとしており、配当につきましては、連結配当性向50%以上及び連結純資産配当率(DOE)2%以上の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準及び中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し決定する旨を基本方針としております。
当期の配当につきましては、上記の連結配当性向を採用し、1株当たり40円(中間20円、期末20円)の普通配当を支払うことといたしました。なお、配当原資は利益剰余金であります。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(資金需要と資金調達)
当社グループの資金需要につきまして、営業活動に係る資金利用といたしましては、お客さま向け販売商品等のトレーディング商品の買付け、信用取引に係るお客さま向けの融資、証券取引サービスを提供するためのインフラ維持に係る費用、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金利用といたしましては、投資有価証券の買付け、お客さま向けサービスの向上と取引の安全性を確保するために必要なシステム投資、金融商品取引業者として法令遵守のために必要な制度整備やシステム投資などがあります。
一方、当社グループの運転資金につきましては、自己資金の利用又は借入による資金調達によって賄っております。自己勘定によるトレーディング商品や投資有価証券の買付けにつきましては、原則として自己資金を利用することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。短期借入金については、銀行借入に加えて、コールマネーの調達も行っております。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計11行との間で、総額50億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は20億円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。しかしながら、実際の結果は、見積り作成時点での不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動します。したがって、当社グループの連結経営成績についても、証券市場に係るこれらの要因が多大な影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。