(1)業績
当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境に改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、中国をはじめとする新興国の景気減速や原油価格の下落など、海外を端緒とするリスク懸念の高まりから、先行き不透明な状況が続きました。
国内株式市場は、良好な企業業績や円安の進行を背景に、期初より上昇基調となり、6月24日の日経平均株価(終値)は20,868円03銭とITバブル期に付けた高値(平成12年4月12日:20,833円21銭)を上回りました。8月上旬までは、概ね20,000円を上回る水準で堅調に推移しましたが、8月中旬になると、中国経済の減速を端緒とした世界的な株安を背景に急落し、9月29日に17,000円を割り込みました。10月からは、世界的な金融緩和継続の流れを好感して上昇に転じ、日経平均株価(終値)は12月1日に20,000円を回復しました。しかし、その後は、原油価格の下落に加え、中国経済の減速懸念や急速な円高の進行、欧州大手銀行の信用不安など複数のリスク要因が共振したことから大幅な調整を余儀なくされ、2月12日には終値で15,000円を割り込みました。2月中旬以降は、円高や原油価格の下落が一服したことから過度の不安心理が後退し、戻り歩調となりましたが、3月31日の日経平均株価(終値)は16,758円67銭と、前年度末(19,206円99銭)を12.7%下回る水準で取引を終了しました。
(当社グループの業績)
当社は、平成27年5月に創業100周年を迎えました。また、子会社の岩井コスモ証券株式会社は、平成29年12月に創業100周年を迎えます。当社グループでは、その間を「グループ創業100周年記念事業」の期間(平成27年5月~平成29年12月)に定めるとともに、発祥の地である関西に対する敬愛の念と全てのステークホルダーへの『感謝』の気持ちを「ホンマに、おおきに!創業100周年」という言葉に込めて、キャンペーンや宣伝活動をはじめとする記念事業(イベント)を展開しております。
こうした中、当連結会計年度における当社グループの営業収益は18,774百万円(対前期比7.8%減少)、純営業収益は18,303百万円(同7.8%減少)となりました。また、経常利益は3,686百万円(同22.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,497百万円(同21.2%減少)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
岩井コスモホールディングス株式会社
岩井コスモホールディングス株式会社は、グループの経営資源の配分による効率的な事業運営に取り組み、営業収益は、連結子会社からの配当金及びグループ運営収入により2,900百万円(対前期比27.2%増加)となりました。一方、金融費用が39百万円(同17.7%減少)、販売費・一般管理費が104百万円(同4.4%増加)となり、投資有価証券の配当金を主とする営業外収支182百万円の利益(同47.8%増加)を加えた経常利益は2,939百万円(同30.3%増加)となりました。
岩井コスモ証券株式会社
岩井コスモ証券株式会社は、グループ創業100周年の記念事業の一環として、お客様への「感謝」の気持ちを込めて、7月より「ホンマに、おおきに!創業100周年記念キャンペーン」と称する、投資信託の販売(対面取引・コールセンター取引)や口座開設、株式等の取引(インターネット取引)を促進するためのキャンペーンを実施しました。また、9月には、お客様への新たな投資商品の提供と、当社グループの発祥の地である関西の経済活性化の一助となることを目的に、関西に本社を構える上場企業の株式を主要対象とする岩井コスモ証券専用の投資信託「関西応援ファンド(愛称:関西の未来)」の取り扱いを開始しました。加えて、12月には、インターネット取引の利便性向上を目指し、同取引の専用ホームページを開設するとともに、独自コンテンツを含んだ情報サービスの提供を開始するなど、収益増加に向けた施策に順次取り組んで参りました。しかし、中国をはじめとする新興国の景気減速懸念の高まりや株価の下落を背景に、取引主体である個人の投資マインドは低下し、営業収益は18,737百万円(対前期比7.9%減少)、金融費用431百万円(同8.8%減少)を控除した純営業収益は18,305百万円(同7.8%減少)となりました。一方、販売費・一般管理費は14,859百万円(同2.8%減少)となり、営業外収支97百万円の利益(同35.1%減少)を加えた経常利益は3,543百万円(同25.1%減少)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、4,704百万円となり前連結会計年度末と比べ328百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、顧客分別金信託の減少などによるキャッシュ・フローの増加があったものの、信用取引負債や預り金の減少などによるキャッシュ・フローの減少により、3,053百万円の減少(前連結会計年度は2,754百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出や無形固定資産の取得による支出などにより、1,080百万円の減少(前連結会計年度は735百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払などによるキャッシュ・フローの減少があったものの、短期借入金の増加や社債の発行による収入などによるキャッシュ・フローの増加により、4,008百万円の増加(前連結会計年度は2,743百万円の減少)となりました。
当社グループを取り巻く環境は、中国をはじめとする新興国の景気減速や原油価格の下落など、海外発のリスク懸念の高まりから混迷を極めました。また、日銀がマイナス金利導入という未踏の領域に突入したことも先行きへの不安を増幅させております。このような投資環境において、投資アドバイザーである証券営業員の果たす役割は、一層重要性を増しております。
当社は、平成27年5月に創業100周年を迎え、長きに亘りご支援頂きました株主様、お客様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様に感謝するとともに、100年の歴史の重みと伝統を胸に「次の100年」での更なる飛躍を目指して参ります。とりわけ、今後、当社グループが持続的な成長を果たすためには、市場動向による影響を受けにくい収益基盤を構築することが重要であると認識しております。その取り組みとして、株式委託手数料をはじめとするフロー収入に依存した収益構成からの脱却を目指し、ストック収入の源泉となる投資信託及び信用取引の残高増加に引き続き注力して参ります。
また、NISA(少額投資非課税制度)口座の獲得など、金融機関による顧客獲得競争が熾烈を極める中、当社グループが他社との競争優位性を保持するためには、お客様とより深い信頼関係を構築することが不可欠であると認識しております。これには「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」の徹底、すなわち、営業員がお客様の利益最大化に向けた金融商品・サービスの提供に倫理観を持って行動することが重要であると考えます。また、営業員が投資アドバイザーとして、付加価値の高い投資情報サービスを提供すべく、毎朝、東京・大阪・ニューヨーク・ロンドンとの中継によるミーティングを、Web回線を通じて全国の営業員にリアルタイムで伝え、当該情報を営業員からお客様に迅速にお届けする体制を構築しております。さらに、投資調査部門による成長期待の高い中小型銘柄の情報提供やNISAの活用など、お客様の中長期的な資産運用の一助になるよう尽力して参ります。こうした取り組みは、営業員とお客様の信頼関係をより深化させ、当社グループが持続的な成長を果たすための競争力の強化に資するものと認識しております。
平成28年4月を起点とする新たな中期経営計画(平成29年3月期~平成31年3月期)では、これらの課題を踏まえ各重点施策及び数値目標を策定いたしました。当社グループの「次の100年」の飛躍への第一歩となるよう、役職員一丸となって取り組んで参る所存です。
<第3次中期経営計画骨子(平成29年3月期~平成31年3月期)>
1.安定収益による固定費カバー率50%以上(最終年度)
2.証券18社平均を上回るROE(自己資本利益率)と上位ランクの維持
3.お客様との信頼関係の強化
4.M&Aやアライアンスの模索
さらに、当社グループでは、企業活動を展開するうえでCSR(企業の社会的責任)の取り組みが重要課題の一つであると認識しております。その活動の柱として、平成19年より、毎決算期毎に利益の1%程度を留保して参りました「社会貢献積立金」を、平成28年10月開催予定のグループ創業100周年の記念式にて、環境や福祉、伝統承継等の観点から該当の施設・団体等に寄附する予定です。なお、寄附先につきましては、外部有識者を中心に構成する委員会にて慎重に検討を重ね選定いたします。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして以下の項目が挙げられます。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在で認識しているものに限られており、全てが網羅されているわけではありません。
①証券市場の変動リスクについて
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、経済状況の影響を受けやすく、株式市場における株価、出来高、売買代金等の動向によっては、当社グループの収益が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②法的規制によるリスクについて
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、金融商品取引法等の法令のほか、金融商品取引所や日本証券業協会等の自主規制機関の定める諸規制による規制を受けております。
また、金融商品取引業者は、自己資本規制比率の適正維持(120%以上)が要求されており、求められる自己資本水準が継続できなかった場合は、業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを当局から命ぜられる可能性があります。
③流動性リスクについて
当社グループの財務内容の悪化等により、資金調達が困難となるほか、高い金利での調達を余儀なくされる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④信用リスクについて
当社グループの取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、当社グループが保有する有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合には、元本の毀損や利払いの遅延等により損失を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤システムリスクについて
火災、地震、停電等又はプログラム障害等により当社グループ会社が使用するシステムに障害が発生し、当社グループの情報システムが一時的に停止又は中断した場合、顧客サービスに支障をきたす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥オペレーショナルリスクについて
当社グループの役職員による事故・不正等、又は、正確な事務処理を怠ることによって損失が発生した場合、当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループの情報システムについては、厳重なセキュリティを施しておりますが、第三者からの悪意によるコンピュータウイルスの感染や、不正アクセス等、当社グループ内の故意又は過失等により、お客様の個人情報や当社グループの情報が漏洩し、損害賠償責任が発生し、当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧災害等のリスクについて
当社グループは自然災害やシステム障害等、様々なリスクの発現を想定し、株主や投資家等の各ステークホルダーの皆様への影響を最小限に留めるべく、事業を継続かつ円滑に運営するための事業継続計画書(BCP)を整備しております。しかし、上記リスクが発現した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨訴訟リスクについて
当社グループは、顧客本位の営業姿勢をとり、コンプライアンスを重視し、お客様との紛争の未然防止に努めておりますが、何らかの理由によりトラブルが発生した場合は、訴訟等に発展し、損害賠償責任等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
岩井コスモ証券株式会社 |
富士通株式会社 |
平成25年11月28日 |
証券基幹システムに係るトータルアウトソーシング契約 |
平成26年6月1日から 平成33年5月31日まで |
|
岩井コスモ証券株式会社 |
株式会社大和総研ビジネス・イノベーション |
平成26年11月13日 |
共同総合証券サービスの利用等に関する契約 |
平成26年11月1日から 平成32年2月29日まで |
該当事項はありません。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は168,264百万円(対前連結会計年度末比39,157百万円減少)となりました。
流動資産は154,502百万円(同39,456百万円減少)となりましたが、主な要因は、顧客分別金信託や信用取引貸付金の減少によるものであります。固定資産は13,762百万円(同299百万円増加)となりましたが、主な要因は、器具備品やソフトウエアの増加によるものであります。
一方、負債合計は125,823百万円(同40,786百万円減少)となりました。
流動負債は119,212百万円(同42,262百万円減少)となりましたが、主な要因は、信用取引借入金や顧客からの預り金の減少によるものであります。固定負債は5,969百万円(同1,453百万円増加)となりましたが、主な要因は、社債の発行によるものであります。
純資産合計は42,441百万円(同1,629百万円増加)となり、自己資本比率は25.2%(前連結会計年度末は19.7%)となっております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。
(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。