第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景として、個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、英国のEU(欧州連合)離脱問題に加え、米国新政権による経済政策の不確実性の高まりなど、依然として、先行き不透明な状況が続いております。

 国内株式市場は、原油価格の上昇や為替の円高ドル安の一服などを背景に上昇して始まり、日経平均株価(終値)は4月22日に17,500円台を付けましたが、4月後半には、日銀の追加緩和見送りなどから下落し、英国のEUからの離脱を問う国民投票で離脱派が勝利した6月24日には15,000円を割り込みました。しかし、7月の参議院選挙で与党が勝利し、アベノミクス推進への期待が高まると、日経平均株価(終値)は上昇し、英国がEU離脱を決める前の水準を回復しました。その後、16,000円台で膠着した状態が続いたものの、10月後半になると、米国の利上げ観測に伴う円安の進行を好感して17,000円半ばまで回復しました。11月9日は、米国大統領選挙において、事前予想に反しトランプ氏の勝利が濃厚となったことを受けて瞬間的に急落しましたが、その後は、新政権の経済政策への期待に伴う米国株高や円安ドル高の進行を好感して上昇基調となり、12月12日には、およそ1年ぶりに19,000円の大台を回復しました。1月以降は、米国のトランプ新大統領による保護主義的な政策への警戒感と、米国の景気拡大期待などが交錯したことにより、日経平均株価(終値)は、期中の高値圏で一進一退となりました。

 なお、期末の終値は前期末(16,758円67銭)を12.8%上回る18,909円26銭となりました。

 

0102010_001.png

 

(当社グループの業績)

 当連結会計年度における当社グループの営業収益は161億46百万円(対前期比14.0%減少)、純営業収益は157億50百万円(同13.9%減少)と、前期実績を下回りました。一方、販売費・一般管理費は141億71百万円(同4.9%減少)となり、経常利益は19億21百万円(同47.9%減少)、特別損益や法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は33億39百万円(同4.5%減少)となりました。

 なお、当社グループでは、当社の創業100周年にあたる平成27年5月から、子会社の岩井コスモ証券株式会社が創業100周年を迎える平成29年12月までを「グループ創業100周年記念事業」の期間に定めております。当連結会計年度におきましては、10月に開催しましたグループ創業100周年の記念式において、平成19年度より利益の中から積立てて参りました「社会貢献積立金」の全額(1億40百万円)を国立大学法人京都大学iPS細胞研究所など5つの団体に寄附したほか、岩井コスモ証券株式会社において、期間を通じてキャンペーン等を積極的に展開いたしました。

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

 

岩井コスモホールディングス株式会社

 岩井コスモホールディングス株式会社は、グループの経営資源の配分による効率的な事業運営に取り組み、営業収益は、連結子会社からの配当金及びグループ運営収入により34億80百万円(対前期比20.0%増加)となりました。一方、金融費用が23百万円(同41.0%減少)、販売費・一般管理費が1億36百万円(同30.2%増加)となり、投資有価証券の配当金を主とする営業外収支2億37百万円の利益(同29.6%増加)を加えた経常利益は35億57百万円(同21.0%増加)となりました。

 

岩井コスモ証券株式会社

 岩井コスモ証券株式会社は、グループ創業100周年記念事業の一環として、長きにわたりご支援頂きましたお客様に感謝を込めて、各営業チャンネル(対面取引・コールセンター取引・インターネット取引)において、投資信託や国内株式の取り扱いに対するキャンペーンを展開いたしました。その他、対面取引、コールセンター取引では、専用投信<第2弾>として、成長期待の大きい中小型株を対象とした「インベスコ ジャパン成長株・夢ファンド(愛称:未来のたまご)」の販売に注力するとともに、景気拡大への期待が高まる米国株式の取り扱いを強化しました。また、インターネット取引では、10月に信用取引限定の定額手数料コースを新設するなど、お客様がより投資しやすい環境の整備に取り組みました。さらには、大手税理士法人との間で、お客様の税務相談等に関する契約を締結するなど、お客様の資産形成をサポートする金融サービスの提供にも努めました。こうした諸施策に加え、米国の大統領選挙以降の株価上昇など、期後半にかけて収益環境も好転しましたが、期前半から中盤にかけての低調などから、営業収益は161億11百万円(対前期比14.0%減少)、純営業収益は157億38百万円(同14.0%減少)と、それぞれ前期実績を下回りました。一方、販売費・一般管理費は141億15百万円(同5.0%減少)となり、営業外収支1億3百万円の利益(同6.7%増加)を加えた経常利益は17億26百万円(同51.3%減少)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、49億75百万円となり前連結会計年度末と比べ2億70百万円の増加となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、顧客分別金信託の増加などによるキャッシュ・フローの減少があったものの、預り金や有価証券担保借入金の増加などによるキャッシュ・フローの増加により、63億39百万円の増加(前連結会計年度は30億53百万円の減少)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、定期預金の預入による支出などにより、6億55百万円の減少(前連結会計年度は10億80百万円の減少)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などによるキャッシュ・フローの減少により、55億46百万円の減少(前連結会計年度は40億8百万円の増加)となりました。

 

 

2【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、中核となる金融商品ビジネスを展開するうえにおいて、投資家の利便性を最優先とする「顧客第一主義」の基本方針のもと、個々の取引志向やリスク許容度に応じた最適な商品、サービスの提供を通じ、お客様との強固な信頼関係の構築に努めて参ります。また、経営陣・管理職・一般社員が三位一体となった「全員参加型経営」を実践し、目標とする「関西発の巨大証券の誕生」の実現に向け、グループ一丸となって取り組んで参ります。

 

(2)経営戦略等

 平成28年4月を起点とする第3次中期経営計画(平成29年3月期~平成31年3月期)では「次の100年」に向けた飛躍への第一歩として、市場動向の影響を受けにくい収益基盤の構築及びお客様との信頼関係構築による競争力の強化を図るべく各重点施策及び数値目標を策定しております。

 

 当該計画の骨子及びその進捗は以下のとおりであります。

 

1.安定収益による固定費カバー率50%以上(最終年度)

   投資信託残高及び信用取引残高の増加と低コスト体質の堅持

   →平成29年3月期:27.0%

2.主要証券17社平均を上回るROE(自己資本利益率)と上位ランクの維持

   効率経営の推進

   →平成29年3月期の当社ROE:7.8%、主要証券17社平均5.8%、当社を含む18社中5番目に高い数値

3.お客様との信頼関係強化

   フィデューシャリー・デュ-ティー(受託者責任)の徹底と質の高い投資情報の提供

4.M&Aやアライアンスの模索

   M&Aの経験を活かし、新たなM&Aにチャレンジ(模索)

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、企業価値の向上を目指すうえにおいて、自己資本に対する利益率を高めることが重要であるとの認識のもと、ROE(自己資本利益率)を経営上の重要指標と捉え、主要な証券会社17社(ネット専業証券会社を除く)の平均値を上回るROE(自己資本利益率)と、比較対象(当社含む18社)の中での上位ランクの維持を目指して参ります。

 

(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題

 高齢化社会の進展に伴う顧客数の減少やNISA口座の争奪戦を通じて、証券会社、銀行における顧客の獲得競争は、今後一層激しさを増すものと予想されます。このような状況のもと、斯界における業界再編成は、さらに活発化するものと思われます。新たな競争環境の中、当社グループが、今後さらなる企業成長を実現していくためには、当社グループの経営方針である「顧客第一主義」に基づいて、全役職員が、お客様本位の金融サービスの提供に努め、お客様と強固な信頼関係を構築していくことが重要であると認識しております。

 また、当社グループの営業員が、お客様の資産形成をサポートするうえで、収益機会の提供及びリスク分散の観点から、米国株式等の海外金融商品をお客様の運用資産の一つに組み入れて頂くことも重要であると考えております。こうした姿勢は、当社グループの収益の安定化にも資するものと認識しております。

 加えて、高齢化社会の進展に伴う顧客数の減少への対応が今後の重要な課題の一つに挙げられます。当社グループでは、その一環として、大手税理士法人との間で、お客様の相続・贈与をはじめとする税務相談等に関する契約を締結(平成28年12月)いたしました。同サービスの提供は、お客様において、相続及び生前贈与等の次世代への資産移転が生じた際にも、世代を越えてお取引を継続して頂き、NISA口座及びジュニアNISA口座と同様に、当社グループの顧客資産の維持、拡大の一助になるものと認識しております。

 一方、企業をターゲットとしたサイバーテロの脅威は日々高まりを見せております。当社グループでは、これまでに、顧客情報に対する保護の観点から、インターネット環境とは独立した社内ネットワーク環境の構築やファイアウォールでの外部通信の遮断等の安全対策を講じて参りましたが、さらに、当社グループの役員の中からCISO(最高情報セキュリティ責任者)を任命するなど、サイバーセキュリティ対策の強化に一層取り組んで参ります。また、企業の社会的責任として、コンプライアンスにも万全を期し、お客様が安心してお取引頂ける体制の構築に、役職員一丸となって取り組んで参ります。

 

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして以下の項目が挙げられます。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在で認識しているものに限られており、全てが網羅されているわけではありません。

①証券市場の変動リスクについて

当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、経済状況の影響を受けやすく、株式市場における株価、出来高、売買代金等の動向によっては、当社グループの収益が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②法的規制によるリスクについて

当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、金融商品取引法等の法令のほか、金融商品取引所や日本証券業協会等の自主規制機関の定める諸規制による規制を受けております。

また、金融商品取引業者は、自己資本規制比率の適正維持(120%以上)が要求されており、求められる自己資本水準が継続できなかった場合は、業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを当局から命ぜられる可能性があります。

 

③流動性リスクについて

当社グループの財務内容の悪化等により、資金調達が困難となるほか、高い金利での調達を余儀なくされる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④信用リスクについて

当社グループの取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、当社グループが保有する有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合には、元本の毀損や利払いの遅延等により損失を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤システムリスクについて

火災、地震、停電等又はプログラム障害等により当社グループ会社が使用するシステムに障害が発生し、当社グループの情報システムが一時的に停止又は中断した場合、顧客サービスに支障をきたす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥オペレーショナルリスクについて

当社グループの役職員による事故・不正等、又は、正確な事務処理を怠ることによって損失が発生した場合、当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループの情報システムについては、厳重なセキュリティを施しておりますが、第三者からの悪意によるコンピュータウイルスの感染や、不正アクセス等、当社グループ内の故意又は過失等により、お客様の個人情報や当社グループの情報が漏洩し、損害賠償責任が発生し、当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧災害等のリスクについて

当社グループは自然災害やシステム障害等、様々なリスクの発現を想定し、株主や投資家等の各ステークホルダーの皆様への影響を最小限に留めるべく、事業を継続かつ円滑に運営するための事業継続計画書(BCP)を整備しております。しかし、上記リスクが発現した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨訴訟リスクについて

当社グループは、顧客本位の営業姿勢をとり、コンプライアンスを重視し、お客様との紛争の未然防止に努めておりますが、何らかの理由によりトラブルが発生した場合は、訴訟等に発展し、損害賠償責任等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

岩井コスモ

証券株式会社

富士通株式会社

平成25年11月28日

証券基幹システムに係るトータルアウトソーシング契約

平成26年6月1日から

平成33年5月31日まで

岩井コスモ

証券株式会社

株式会社大和総研ビジネス・イノベーション

平成26年11月13日

共同総合証券サービスの利用等に関する契約

平成26年11月1日から

平成32年2月29日まで

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

 

6【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は1,836億57百万円(対前連結会計年度末比153億92百万円増加)となりました。

 流動資産は信用取引貸付金の減少などがあったものの、顧客分別金信託の増加などにより1,723億13百万円(同178億11百万円増加)となりました。固定資産は投資有価証券の売却による減少などにより113億44百万円(同24億18百万円減少)となりました。

 一方、負債合計は1,404億84百万円(同146億61百万円増加)となりました。

 流動負債は顧客からの預り金及び受入保証金の増加などにより1,351億80百万円(同159億67百万円増加)となりました。固定負債は繰延税金負債の減少などにより48億38百万円(同11億30百万円減少)となりました。

 純資産合計は431億72百万円(同7億31百万円増加)となり、自己資本比率は23.5%(前連結会計年度末は25.2%)となっております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります

 

(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります