文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、中核となる金融商品ビジネスを展開する上において、投資家の利便性を最優先とする「顧客第一主義」の基本方針のもと、個々の取引志向やリスク許容度に応じた最適な商品、サービスの提供を通じ、お客様との強固な信頼関係の構築に努めて参ります。また、経営陣・管理職・一般社員が三位一体となった「全員参加型経営」を実践し、目標とする「関西発の巨大証券の誕生」の実現に向け、グループ一丸となって取り組んで参ります。
(2)経営戦略等
平成28年4月を起点とする第3次中期経営計画(平成29年3月期~平成31年3月期)では「次の100年」に向けた飛躍への第一歩として、市場動向に左右されない強固な収益基盤の構築及びお客様との信頼関係構築による競争力の強化を図るべく各重点施策及び数値目標を策定しております。
当該計画の骨子及びその進捗は以下のとおりであります。
1.安定収益による固定費カバー率50%以上(最終年度)
投資信託残高及び信用取引残高の増加と低コスト体質の堅持
→平成30年3月期:34.5%
2.主要証券16社平均を上回るROE(自己資本利益率)と上位ランクの維持
効率経営の推進
→平成30年3月期の当社ROE:10.4%、主要証券16社平均7.0%、当社を含む17社中で3番目に高い数値
3.お客様との信頼関係強化
フィデューシャリー・デュ-ティー(受託者責任)の徹底と質の高い投資情報の提供
4.M&Aやアライアンスの模索
M&Aの経験を活かし、新たなM&Aにチャレンジ(模索)
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を目指す上において、自己資本に対する利益率を高めることが重要であるとの認識のもと、ROE(自己資本利益率)を経営上の重要指標と捉え、主要な証券会社16社(ネット専業証券会社を除く)の平均値を上回るROE(自己資本利益率)と、比較対象(当社含む17社)の中での上位ランクの維持を目指して参ります。
(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題
「人生100年時代」の到来を控え、個人の老後資金確保に向けた資産運用ニーズは、今後益々高まることと推測されます。当社グループは、証券営業員が投資アドバイザーとして、お客様の資産運用をサポートすべく、高い専門性を有するとともに、お客様それぞれのニーズに応じた金融サービスを提供することが重要であると認識しております。特に、昨今におけるわが国の金融市場は、米国の政策動向など、海外情勢の影響を強く受ける傾向にあり、こうした海外発の諸問題に対する情報収集力・分析力を備えることが、注力すべき課題の一つであると考えております。当社グループは、インターネット回線を用いて、ニューヨーク、ロンドン、北京など現地の金融・経済専門家を交えた毎朝のミーティングをはじめ、海外研修や社内勉強会を通じて、海外情勢に精通した営業員の育成に努めております。また、海外金融商品の拡充を目的に、本年3月より成長著しい中国・深圳のA株市場の株式取り扱いを開始しました。
加えて、当社グループは、さらなる企業価値の向上に向け、マーケット環境に左右されない強固な収益基盤を構築することが重要であると考え、その実現のため、安定収益の源泉となる投資信託や信用取引の残高増加に努めています。特に、投資信託は、お客様の中長期の資産形成を図る上でも中核的な役割を果たすものと認識し、一層注力して参ります。
一方、政府が推進する「働き方改革」への取り組みは、社会環境の変化がもたらす時代の要請であり、企業の社会的責任の一つであると認識しております。当社グループでは、昨年12月よりタブレット端末を活用した営業を開始し、営業員の出退勤の自由度を高めるなど、業務の効率化に基づいた働き方の見直しを進めております。また、今後は、タブレット端末における情報拡充を通じて、顧客サービスの強化に取り組むほか、内勤部門におけるRPA(ロボットによる業務自動化)導入なども検討して参ります。
こうしたお客様に対する資産運用サービスの強化や役職員の業務の効率化、生産性向上への取り組みは、当社グループの今後のさらなる飛躍・発展に資するものと認識しております。さらに、経営方針である「顧客第一主義」に基づいて、全役職員が、お客様本位の金融サービスの提供に努めるとともに、コンプライアンスにも万全を期し、お客様が安心してお取引いただける体制の構築に最大の努力を傾注して参る所存です。
最後に、当社の子会社である岩井コスモ証券株式会社は、近畿財務局による検査の結果、「公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為及び当該情報の不適切な取扱い」が認められたとして、昨年12月19日に業務改善命令を受けました。今般の処分を厳粛かつ真摯に受け止めるとともに、改善報告書に記載した改善策を着実に実行し、一層の内部管理態勢の強化・拡充に努めて参ります。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして以下の項目が挙げられます。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在で認識しているものに限られており、全てが網羅されているわけではありません。
①証券市場の変動リスクについて
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、経済状況の影響を受けやすく、株式市場における株価、出来高、売買代金等の動向によっては、当社グループの収益が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②法的規制によるリスクについて
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、金融商品取引法等の法令のほか、金融商品取引所や日本証券業協会等の自主規制機関の定める諸規制による規制を受けております。
また、金融商品取引業者は、自己資本規制比率の適正維持(120%以上)が要求されており、求められる自己資本水準が継続できなかった場合は、業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを当局から命ぜられる可能性があります。
③流動性リスクについて
当社グループの財務内容の悪化等により、資金調達が困難となるほか、高い金利での調達を余儀なくされる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④信用リスクについて
当社グループの取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、当社グループが保有する有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合には、元本の毀損や利払いの遅延等により損失を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤システムリスクについて
火災、地震、停電等又はプログラム障害等により当社グループ会社が使用するシステムに障害が発生し、当社グループの情報システムが一時的に停止又は中断した場合、顧客サービスに支障をきたす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥オペレーショナルリスクについて
当社グループの役職員による事故・不正等、又は、正確な事務処理を怠ることによって損失が発生した場合、当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループの情報システムについては、厳重なセキュリティを施しておりますが、第三者からの悪意によるコンピュータウイルスの感染や、不正アクセス等、当社グループ内の故意又は過失等により、お客様の個人情報や当社グループの情報が漏洩し、損害賠償責任が発生し、当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧災害等のリスクについて
当社グループは自然災害やシステム障害等、様々なリスクの発現を想定し、株主や投資家等の各ステークホルダーの皆様への影響を最小限に留めるべく、事業を継続かつ円滑に運営するための事業継続計画書(BCP)を整備しております。しかし、上記リスクが発現した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨訴訟リスクについて
当社グループは、お客様本位の営業姿勢をとり、コンプライアンスを重視し、お客様との紛争の未然防止に努めておりますが、何らかの理由によりトラブルが発生した場合は、訴訟等に発展し、損害賠償責任等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。第2次安倍政権発足から始まった今回の景気回復は「いざなぎ景気」を超えて、戦後2番目の長さとなりました。
国内株式市場は、米国によるシリア攻撃や北朝鮮によるミサイル発射等の地政学的リスクの高まりを背景に下落して始まりましたが、4月後半には、米国株式市場の好調や国内の良好な経済指標を好感して上昇に転じました。日経平均株価(終値)は、6月2日に、およそ1年半ぶりに2万円台を回復すると、以降8月上旬まで2万円近辺で底堅く推移しました。8月中旬からは、米国と北朝鮮の軍事的緊張への警戒感から軟調に推移しましたが、9月中旬には、米国の利上げ観測による円安ドル高傾向を受けて上昇しました。また、10月の衆議院選挙における与党優勢との見方を好感して、日経平均株価(終値)は、過去最長となる16連騰を記録し、11月7日には22,937円60銭と、およそ26年ぶりにバブル崩壊後の戻り高値を更新しました。その後、利益確定の売りに押されたものの、1月からは、世界的な景気拡大期待の高まりを背景に再び上昇し、1月23日には、終値ベースで期中高値となる24,124円15銭を付けました。しかし、2月に入ると、米国金利の上昇に端を発した世界的な株価急落から、日経平均株価も大幅な調整を余儀なくされ、2月中旬には21,000円台前半まで下落しました。その後も、米国の保護主義に対する警戒感から、一時21,000円を割り込むなど荒い値動きとなり、3月末の日経平均株価(終値)は21,454円30銭(対前期末比13.5%上昇)で取引を終了しました。
(当社グループの業績)
このような状況のもと、当社グループの営業収益は前期比30.6%増加の210億89百万円、純営業収益は同31.2%増加の206億70百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は同9.2%増加の154億67百万円となり、経常利益は同184.4%増加の54億65百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同41.5%増加の47億26百万円と、それぞれ前期実績を上回りました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
岩井コスモホールディングス株式会社
岩井コスモホールディングス株式会社は、グループの経営資源の配分による効率的な事業運営の推進に努めました。主に子会社からの配当収入及びグループ運営収入で構成される営業収益について、前期は、当社の借入金返済のため、子会社からの配当収入を増額しましたが、当期は、当該収入を当社の株主に対する配当相当に止めたため、前期比51.7%減少の16億80百万円となりました。一方、金融費用は、借入金返済による支払利息の減少から同40.7%減少の13百万円、販売費・一般管理費も外形標準課税を主とする租税公課の減少などから同13.8%減少の1億17百万円となりました。また、営業外収支が投資有価証券の配当金の減少を主として同18.4%減少の1億93百万円の利益となり、以上の結果、経常利益は17億42百万円と前期に比べて51.0%減少しました。
岩井コスモ証券株式会社
岩井コスモ証券株式会社は、お客様の資産運用をサポートする上で、収益機会の提供やリスク分散の観点から、海外金融商品を運用資産の一つに組み入れていただくことが重要と捉え、対面取引、コールセンター取引を中心に、好調が続く米国株式に関する投資情報の提供を強化しました。さらに、本年3月からは、中国のシリコンバレーと呼ばれ、成長著しい深圳のA株市場の株式取り扱いを開始するなど、その取り組みをさらに拡げました。一方、中長期の資産運用の提案として、ニッセイAI関連株式ファンドや深セン・イノベーション株式ファンド、当社グループの専用投信であるインベスコ ジャパン成長株・夢ファンド(愛称:未来のたまご)など、成長期待が大きいテーマを投資対象とした投資信託の販売に注力しました。加えて、営業員にタブレット端末を配備し、動画等を活用した視覚的でよりわかり易い商品説明など、一層の顧客サービスの向上に取り組むとともに、営業員の業務の効率化に努めました。インターネット取引では、平成29年8月より、信用取引の日計り決済(新規建て当日に反対売買による決済)に係る売買手数料及び金利・貸株料を無料とする新サービス「デイトレフリー」を開始し、取引を積極的に行うアクティブトレーダーの獲得に注力いたしました。日米の株価上昇など良好なマーケット環境の中、特に米国株式のマーケットメーク方式によるトレーディング利益が大幅に増加したことを主因として、営業収益は前期比30.7%増加の210億53百万円、純営業収益は同31.2%増加の206億47百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は同9.1%増加の153億93百万円と、概ね変動費の増加に止まり、投資有価証券の配当金などによる営業外収支68百万円の利益(対前期比34.0%減少)を加えた経常利益は、前期比208.3%増加の53億22百万円となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、56億90百万円となり前連結会計年度末と比べ7億15百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、株価上昇による良好なマーケット環境を背景として、信用取引資産の増加などによるキャッシュ・フローの減少があったものの、有価証券担保借入金の増加などによるキャッシュ・フローの増加により、14億41百万円の増加(前連結会計年度は63億39百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、米国株式の取り扱い強化に努めたことで外貨預金の流動性が高まり、外貨による定期預金の払戻による収入が定期預金の預入による支出を上回ったことなどにより、9億46百万円の増加(前連結会計年度は6億55百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額によるキャッシュ・フローの減少などにより、17億46百万円の減少(前連結会計年度は55億46百万円の減少)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は2,056億92百万円(対前連結会計年度末比220億34百万円増加)となりました。
流動資産は、株価上昇など良好なマーケット環境を背景に取引が活発化したため、信用取引貸付金や及び顧客分別金信託が増加し、1,932億53百万円(同209億40百万円増加)となりました。固定資産は投資有価証券の時価が上昇したことによる増加などにより124億38百万円(同10億94百万円増加)となりました。
一方、負債合計は1,580億0百万円(同175億15百万円増加)となりました。
流動負債は、信用取引資産の増加と連動して有価証券担保借入金及び信用取引借入金などが増加し、1,507億47百万円(同155億67百万円増加)となりました。固定負債は、社会貢献を目的としたCSR私募債(寄付型社債)を発行したことなどにより67億76百万円(同19億38百万円増加)となりました。
純資産合計は476億91百万円(同45億18百万円増加)となり、自己資本比率は23.2%(前連結会計年度末は23.5%)となっております。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、特に、証券事業において、お客様の資産形成をサポートする上で、米国株式を運用資産の一つに組み入れていただくことが重要であると認識し、当該株式の取り扱い強化に努めたことが、増収増益の主要因であると認識しております。なお、経営上の重要指標と位置付けるROE(自己資本利益率)は前期比2.6ポイント上昇の10.4%となり、比較する主要な証券会社16社(ネット専業証券会社を除く)の平均値(7.0%)を上回るとともに、当社を含む17社中で3番目に高い数値となりました。今後も米国株式の取り扱いに注力するほか、経営課題の一つに掲げる安定収益拡大への取り組みとして、投資信託及び信用取引残高の増加に努め、さらに強固な収益基盤を構築することにより、ROEの上位ランク維持とさらなる企業価値の向上を目指して参る所存です。
③当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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岩井コスモ 証券株式会社 |
富士通株式会社 |
平成25年11月28日 |
証券基幹システムに係るトータルアウトソーシング契約 |
平成26年6月1日から 平成33年5月31日まで |
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岩井コスモ 証券株式会社 |
株式会社大和総研ビジネス・イノベーション |
平成26年11月13日 |
共同総合証券サービスの利用等に関する契約 |
平成26年11月1日から 平成32年2月29日まで |
該当事項はありません。