第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

不動産金融事業におけるビジネスモデルの確立

 これまで培った当社グループのノウハウにより、バリューアップが完了した投資物件を、当社が組成するリートへ組み込み、それにより得た資金を次のプロジェクトに充てていくという資産循環型ビジネスのサイクルを実現させることが、引き続き重要な戦略であります。これによりグループの受託資産の積み上げとリートの成長を図りつつ、相応規模の収益を計画的に実現することが可能になると考えております。

ホテルの事業力強化

 ホテルというオペレーショナルアセットは、オフィスビルやレジデンスなどに比べて、運用の巧拙が収益力を大きく左右します。当社グループは世界で展開するグローバルなラグジュアリーブランドのホテルオペレーターから運営ノウハウを得て、自前のホテル運営を展開できる強みがあります。また、大きな事業環境の変化へ対応していくため、ホテルのコスト構造を見直していくことを進め、より安定した収益の獲得を可能にすることを目指してまいります。

 

 これらの基本戦略を通じて、ホテル運営事業の安定収益をベースに、資産循環型ビジネスの中で得られる利益を計画的に加え、「経営基盤の安定化」を図ってまいります。それらを着実に具体化させていくことにより、東京証券取引所の市場区分見直し後の新市場区分においてプライム市場を目指してまいりたいと考えております。

 

優先的に対応すべき重点施策は以下のとおりです。

①事業戦略

(a)資産循環型ビジネスの構築による不動産金融事業の進化・拡充

 取得した資産をバリューアップし、当社が組成するリートへ組み込むサイクルを実現させることにより、資産循環型のビジネスモデルを確立させてまいります。その戦略の核となるリートについては、2021年5月25日付で資本業務提携を締結したサムティ株式会社と組成に向けた協議を進めており、現在両社併せて持つホテルリートへの拠出物件のパイプライン約3,000億円を基本に、リート上場の時期や規模について、今後の経済環境、市場環境等を勘案して決定してまいります。

 また、当社グループの事業モデルは、ホテル開発プロジェクトにおいて竣工前の開発過程にも複数の収益機会があり、それらをプロジェクトごとに調整して収益につなげてまいります。現時点で、既に開業中または開業待ちのホテルは6棟、開発中のプロジェクトが4件進行中です。

(b)新規運営受託獲得活動の本格展開と既存ホテル運営事業の収益力強化

 日本の観光都市にはまだまだラグジュアリーホテルが少なく、コロナ禍を乗り切ればその成長余地は大きいと考えています。ホテル自体をエクスクルーシブな環境として創造し、五感で満足していただけるサービスやデザインを散りばめた開発を行うことにより、競争力の強化につなげたいと考えております。一方、ホテル運営事業の売上が本格回復するまでにはまだ時間を要することが想定されるため、ラグジュアリーホテルに要求される高いホスピタリティを維持しつつコスト抑制を図るため、適切なコストコントロールとコスト構造の見直しに努めてまいります。

 2020年11月に「京都悠洛ホテル二条城別邸Mギャラリー」、2021年3月に「フォションホテル京都」が開業し、「アロフト大阪堂島」の開業もまもなくです。また、開発中の「京都東山 Banyan Tree」「京都東山 SIX SENSES」「北海道ニセコ SIX SENSES」「箱根強羅 SIX SENSES」についても、引き続きプロジェクト完成に向けて計画が進行しております。

 今後新たに具体化をさせていくホテル開発プロジェクトも、それぞれが特徴的で魅力のある立地において、最良のパートナーと最適なプランニングを行ってまいります。

(c)ホテル以外のアセットタイプの積極的な取得

 当社グループはこれまでもオフィスや商業施設を取り扱ってきた実績があり、当連結会計年度においても物流施設やオフィスに投資を行っております。不動産市場においては、コロナ後を見据えた動きが活発になってきており、コロナ終息後を見据えた不動産金融事業のパイプラインの拡充に向けて、積極的に物件取得を進めてまいります。

 

②財務戦略

(a)資金調達力の強化と流動資金の拡充

 成長に必要な投資資金は、自己資金の充当をベースとしながらも、場合によってはエクイティファイナンスも含めた多様な資金調達の検討を行ってまいります。また、コロナ禍における金融機関の慎重な融資姿勢が継続することを想定し、資金の早期回収、費用や投資の柔軟な見直しなどを進めることにより、流動資金の拡充を進めてまいります。

(b)財務レバレッジをフル活用した不動産投資の実施

 今後自己資本が積み上がっていくことにより、金融機関からの資金調達力が向上するものと期待しております。投資効率や採算を高めるため、可能な限りデットでの資金調達によりレバレッジをかけてまいりたいと考えております。

 

③資本戦略

(a)戦略的資本提携先の開拓を通じた適正な株主構成の再構築

 当社グループの事業戦略を早期に具体化し、事業競争力を一層向上させていくため、サムティ株式会社との資本業務提携を行い、その提携によって成しえる戦略や施策の具体化を鋭意進めると同時に、株主構成の再構築を実現させてまいります。

(b)株式の流動性向上を目指す施策の検討・実施

 当社は2019年4月1日付で株式分割を実施しております。

 当社の株主構成は特定株主の保有比率が高く、安定をしている一方、株式の流動性は必ずしも高いとは言えない状況であると認識しており、特定株主の保有株については、今後、新たな戦略的資本提携先や業務提携先の開拓により、新たな株主構成を考えるとともに、市場の状況等も見つつ、株式の流動性を高めていく対策を講じてまいりたいと考えております。

 

④配当戦略

(a)利益水準に応じた安定的な配当の実施

(b)トータル・シェアホルダーズリターン(TSR*)等の指標の検討

  * 株主総利回り(一定期間における株価上昇率+配当率)

 当社グループは、株主の皆様へ安定的な配当を行ってまいりたいと考えておりますが、未だ発展途上にあり、利益は更なる成長のための再投資に利用させて頂くことも必要なため、「TSR」を経営指標に位置づけ、例えば“自社株買い”でEPSを増加させ、株価上昇につなげることも含めて検討しております。

 当連結会計年度には株主優待制度を拡充しており、引き続きトータルで株主の皆様に還元させて頂くことを検討してまいります。

 

⑤人事戦略

(a)「働き甲斐があり、働きやすい職場」と「成果に報いる人事制度」の構築

(b)カテゴリーの異なるホテルの経営・運営に対応した人材確保と人事制度の構築

 当社グループの事業を支えるのは人材です。当社グループの展開するホテルはバジェットからラグジュアリータイプまで様々であり、当然、運営ノウハウも異なるため、多様な人材確保が必要となってまいります。そのためには社員のモチベーション向上が極めて重要と認識しており、それを支える制度の構築、施策の展開を行ってまいりたいと考えております。

 

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテル運営事業を中心に大きな影響を受けました。2022年3月期以降におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響は継続し、引続き当社グループの事業活動に影響を与えることが想定されるため、対策を強化してまいります。

 

 今後、さらなる経営基盤の強化、人材育成並びに成長戦略の推進に尽力し、お客様や時代のニーズに合ったサービ

スの提供に努め、お客様との長期的な信頼関係を築いていくため事業に邁進してまいります。

 

目標とする経営指標

 事業の成長、収益性を重視した経営を行うべく、「売上高」、「経常利益、「EBITDA」を重要な経営指標として位置づけております。

 「中期経営計画2024」における具体的な「売上高」、「経常利益、「EBITDA」の数値につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。

 

 

 

2【事業等のリスク】

 本項では、当社グループ(当社及び連結子会社)の事業展開上のリスク要因となりうる事項を記載しております。なお、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項でも、投資者の投資判断において当社が重要であると考える事項については、積極的に開示しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。本項における記載は当社グループの事業又は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご注意ください。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 事業内容に関するリスクについて

(a)不動産金融事業の収益構造について

 当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社では不動産及び不動産関連金融商品への投資に関するアセットマネジメント業務(投資助言・代理)を行っており、当該事業で得られる主な収益は、受託資産(不動産)に係る管理報酬からなるアセットマネジメント収益と仲介手数料や成功報酬等からなるリアルエステートアドバイザリー収益であります。しかしながら、安定した収益源であるアセットマネジメント契約が解約または終了する場合には、当社グループの業績等に影響を与えることが考えられます。また、リシェス・マネジメント株式会社の収益の中では、一時的な収益であるリアルエステートアドバイザリー収益の占める割合が高いことから、不動産市場の環境悪化等によりリアルエステートアドバイザリー収益が著しく減少した場合、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(b)ホテル運営事業の収益構造について

 当社子会社である株式会社ホテルWマネジメントではホテル運営の受託を行っており、当該事業から得られるホテル運営事業収益が景気動向・経済情勢の変動、感染症の蔓延、自然災害・事故等により変動することを通じて、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(c)金融及び不動産市場の情勢、景気動向の影響について

 当社グループでは、不動産への投資又は外部投資家との共同投資や不動産投資に関連する助言の提供及び不動産の管理等を行っておりますが、景気動向、金融情勢(金利動向を含む)や不動産に係る地価や需給動向等の影響を受けやすい傾向にあります。国内外の金融・政治等に起因する経済情勢の変化に伴い、景気の悪化や大幅な金利上昇、不動産への投資意欲の低下、不動産取引の減少、不動産価格の下落、空室率の上昇や賃料の下落といったような様々な形で金融及び不動産市況が低迷する場合には、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(d)外部委託について

 当社グループは、情報管理等に使用するサーバ、システムの運用・保守、不動産や会計税務に係る調査や鑑定等について、外部委託しております。このため、当社グループの事業運営においては、これらの外部委託先との連携と適切な取引関係の継続が不可欠であります。何らかの事由により、外部委託先において業務運営に重大なトラブルが発生し長期化したとき、又は外部委託先との取引関係の継続が困難となったとき、当社グループがその代替策をすみやかに実施できない事態となった場合は、当社グループの事業運営及び業績等に影響を与える可能性があります。

 

(e)競合関係について

 不動産金融事業では、金融機関系の投資助言会社、不動産投資顧問会社、不動産投資ファンド、その他不動産や有価証券への投資に関する助言を行う会社等と競合関係にあり、ホテル運営事業では他のホテル運営会社と競合関係にあると認識しております。また、市場への参入者の増加や法的規制が強化された場合は、当社グループの事業運営及び業績等に影響を与える可能性があります。

 

(f)不動産市場の流動性について

 当社グループでは、単独及び外部投資家との共同で不動産への投資を行っておりますが、経済環境や不動産市場が不安定な場合は、不動産の流動性が低下する可能性があり、投資対象の不動産を当社グループの希望する条件で売却できなくなる可能性があります。このような場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(g)投資不動産に係るマスターリース契約について

 当社グループが共同投資を行っているホテルを用途とする不動産について、当社及び当社子会社は当該ホテルの法的所有者である信託銀行等とマスターリース契約を締結し、一定期間、固定賃料を支払うことを約す一方で、ホテル運営会社との間で賃貸借契約を締結しております。今後、経済環境の変化、新型コロナウイルス感染症の影響及びホテル運営会社の営業の巧拙等によりホテルの稼働が想定を超えて悪化した場合には、賃貸借契約による賃料がマスターリース契約の賃料を下回り収支が逆鞘になることで、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(h)ホテル運営会社及びテナントとの賃貸借契約について

 当社グループが共同投資を行っているホテルに係るホテル運営会社(当社グループ外の運営会社に委託した場合)及びテナントとの賃貸借契約の期間満了時に契約が更改される保証はないこと、またホテル運営会社(当社グループ外の運営会社に委託した場合)及びテナントが一定期間前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合もあるため、賃貸借契約の解約が増加した場合、後継テナントが見つかるまでの間、賃貸収入が減少する等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。一方、当社グループが外部の不動産所有者と締結した賃貸借契約又は運営委託契約が解約された場合も、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(i)特定の投資不動産に対する依存度について

 当社グループの業績は、特定の投資不動産に対する依存度が高いと考えられます。当連結会計年度では、大型の取引が翌連結会計年度にずれ込むことにより、業績予想値に対して大幅な未達となりました。今後も特定の投資不動産の取引の有無により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(j)投資不動産の価値の毀損リスク及び瑕疵等に関するリスクについて

 当社グループでは、リシェス・マネジメント株式会社がアセットマネジメントを受託している一部の不動産または信託受益権について共同投資を行っているため、当該不動産に地震、戦争、テロ、火災等の災害が発生した場合には、当該不動産の価値が毀損する可能性があり、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、リシェス・マネジメント株式会社では、当該不動産の取得前に十分なデューディリジェンスを実施しておりますが、当該不動産の取得後に構造計算書偽装や瑕疵等の存在が判明し、顧客である投資家においてこれを治癒するための想定外の費用負担が発生した場合、リシェス・マネジメント株式会社においても費用負担が生じる可能性があるため、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(k)借入金の財務制限条項について

 当社グループが取引金融機関と締結しております一部の借入契約には、財務制限条項が付されており、当社グループは事業活動をするうえでこれらを遵守する必要があります。

 なお、今後万一財務制限条項に抵触することとなった場合には、借入先金融機関からの請求により、当該借入についての期限の利益を喪失する可能性があり、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(l)M&A、資本提携等について

 当社グループは、アセットマネジメント受託残高の拡大や投資対象不動産の多様化に結び付き、また当社グループ間のシナジー効果が認められる場合には、M&Aや資本提携等も事業拡大の有力な手段と位置付けております。M&Aや資本提携を実行する場合には、事前に十分な調査を実施し、各種リスクの低減に努める所存ですが、これらを実施した後に、偶発債務等が発見される等、相手先及び当社グループが期待通りの成果を上げられない可能性があり、この場合には当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(m)連結の範囲決定に関する事項について

 当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社がアセットマネジメント契約を締結している特別目的会社の一部は、匿名組合契約を用いたストラクチャーによっており、この匿名組合の営業者の社員持分は一般社団法人が保有する形で倒産隔離を図っております。リシェス・マネジメント株式会社が属する不動産ファンド業界においては、連結の範囲決定に関して、当該ストラクチャーにおけるアセットマネジメント契約等に対する支配力及び影響力の判定について、未だ会計方法が定まっていない状態であると認識しております。当社では、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準委員会企業会計基準第22号)、並びに「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会実務対応報告第20号)にしたがい、現状、特別目的会社ごとに、アセットマネジメント契約や匿名組合契約、その他関連契約等を考慮し、個別に支配力及び影響力の有無を判定した上で、子会社及び関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。今後、新たな会計基準の施行や、実務指針等の公表により、特別目的会社に関する連結範囲の決定方針について、当社が採用している方針と大きく異なるルールが確立された場合には、当社の連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(n)情報管理について

 当社グループの事業運営上、厳正な情報管理が重要であります。当社グループは、個人情報及び取引先との間で守秘義務を負う取引先の情報について、厳格な情報管理を継続的に行う体制の構築・維持に努めております。また、当社グループ各社の営業活動を通して上場会社のインサイダー情報に該当する情報を知り得る機会があることから、インサイダー情報の不適切な伝達や不公正な利用が行われないよう、法令・社規の遵守について役職員への周知・徹底に努めております。また、当社子会社においてもテナントなどの個人情報の取り扱いがあり、その重大性を十分に認識しており適切な方法により保管しております。

 しかしながら、管理体制の構築・維持にもかかわらず、これらの情報の流出、不適切な伝達、又は不公正な利用が発生した場合、当社グループに法的責任が及ぶこと、当社グループの信用の低下及びブランド力の劣化等、当社グループの事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(o)法的規制について

 現在、当社グループの事業を推進する上で、当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社は、宅地建物取引業法、金融商品取引法(第二種金融商品取引業、投資助言業・代理業)、貸金業法等のライセンスを、株式会社ホテルWマネジメントでは旅館業法等のライセンスを有するため、これらの関係法令による法的規制を受けることとなります。現時点の各種規制に従って、また、規制上のリスクを伴って業務を遂行しておりますが、将来において各種規制が変更された場合には、当社グループの事業推進に悪影響を及ぼす可能性があります。

 その他、今後、現行法令の解釈の変更や改正並びに新法令の制定等、現時点で法的規制の対象となっていない当社グループの事業が新たに法的規制の対象となる可能性、もしくは今後の当社グループの事業展開において新たな事業分野への進出に伴い法的規制の対象となる可能性があります。そうした場合に、当該規制に対応するための新たな費用等が発生することにより、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 

(p)自然災害や感染症の流行について

 不動産金融事業においては、自然災害や感染症の流行に伴う景気低迷により、不動産に対する投資マインドの低下、金融機関の融資の引き締め、当社グループが保有又はマスターリースする物件で多額の賃料減額等が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 ホテル運営事業においては、自然災害や感染症の流行に伴う景気低迷又は移動制限及び移動の自粛等により宿泊客の著しい減少が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループにおいては、感染の予防対策を徹底しておりますが、万が一当社グループの従業員が感染した場合、健康被害や施設の一時的な閉鎖等により営業活動に支障が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(q)訴訟等について

 当連結会計年度末において、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性のある訴訟事件等はありません。しかし、当社グループが事業活動を行う上で、取引先または顧客等から何らかの要因により訴訟等を提起された場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(r)会計上の見積りについて

 連結財務諸表及び財務諸表の作成において、会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、見積り金額の変更等により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、重要な会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営体制に関するリスクについて

(a)業務運営体制の適正性の確保について

 当社グループは、当社と当社子会社であるリシェス・マネジメント株式会社、株式会社ホテルWマネジメント等の連結子会社及び関連会社とともに事業活動を行っております。

 グループ内で不動産金融事業及びホテル運営事業を営む上で、徹底した管理体制を維持する必要があると認識しております。しかしながら、今後予測し得ない事態や何らかの理由により、当社グループの業務運営体制及び内部統制が有効に機能しない状況となった場合、当社グループの信用の低下を招き、事業運営、業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(b)不動産金融事業及び全社セグメントが小規模組織であること及び人材の確保について

 当連結会計年度末時点における従業員数は、不動産金融事業12名(臨時従業員を除く)及び全社セグメント12名(臨時従業員を除く)であり、この人員に常勤役員を加えた小規模な組織体制で各業務を遂行しております。小規模組織であるため、役職員一人一人が担う業務の質及び貢献度は相応に高く、一時的な不在・欠員が生じても、業務手順の共有や代行体制等により業務遂行に支障がないよう努めております。しかし、何らかの理由により大量の欠員が同時に生じた場合や新型コロナウイルス感染症の罹患等により役職員に就業が困難な事態が生じた場合には、業務遂行に著しい支障を来たす可能性があります。

 当社グループの事業運営上、営業、管理、さらには不動産の投資助言・代理及び媒介、ホテル運営等の各部門に必要なスキルを有する優秀な人材の確保が必要不可欠であります。とりわけ不動産投資に関しては金融取引、不動産取引、税務会計等における高度な知識と経験に基づく競争力のあるサービスを提供していくことが重要であります。また、管理においても、上場会社として、企業会計基準や企業内容等開示にかかる法令等の改正、当社連結財務諸表における連結範囲の拡大や持分法を適用する関連会社の増加、財務諸表監査や四半期レビューを経た上での決算早期化の流れの中で、引き続き適切かつ十分な財務報告や情報開示を行う体制を構築する必要性を認識しております。

 現在は必要な人材を配置できているものと認識しておりますが、何らかの理由により、急激な人材の流出が生じた場合、必要な人材の採用・補充が困難となった場合には、当社グループの提供する情報その他のサービスの質の維持、経営管理、財務報告や情報開示の機能に重大な支障が生じる可能性があり、当社グループの事業運営及び業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が制限され、企業収益や雇用環境は大幅に悪化いたしました。1度目の緊急事態宣言解除後は経済活動が段階的に再開され、政府の経済対策も背景に改善の兆しが見受けられたものの、その後再び感染症が拡大し、緊急事態宣言が再発出されるなど非常に厳しい経済状況が継続しております。

 不動産金融事業が属する不動産業界におきましては、金融機関の慎重な融資姿勢が継続しておりますが、コロナ終息後を見据えて積極的な投資への動きも出てきています。当社グループにおいては、東京都江東区新木場に所在する物流倉庫、北海道虻田郡倶知安町(ニセコ)に所在するホテル開発用地及び東京都中央区入船のオフィスビルの不動産信託受益権の取得と売却を行いました。一方、第4四半期連結会計期間に予定しておりました大型の取引が当連結会計年度末日までに完了しなかったため、不動産金融事業の売上高及び営業利益は前連結会計年度と比較して大きく下回る結果となりました。なお、当該大型取引については、2021年4月27日に公表した「京都東山SIX SENSESホテル開発プロジェクトにおける不動産信託受益権譲渡に関するお知らせ」にて進捗を開示しております。

 ホテル運営事業が属するホテル業界におきましては、1度目の緊急事態宣言解除後に実施された「GO TO トラベル」により宿泊客数は大きく回復いたしましたが、緊急事態宣言の再発出により、再び厳しい事業環境になっております。当社グループにおいては、2020年11月28日にオープンした「京都悠洛ホテル二条城別邸Mギャラリー」(京都市中京区市之町180-1)及び前期に開業した「京都悠洛ホテルMギャラリー」(京都市東山区三条通大橋東入大橋町84)が秋の観光シーズンで好調な業績を確保しましたが、年が明けて2度目の緊急事態宣言の発出により運営ホテルの全館を臨時休業にするなど、通期では非常に厳しい年度となりました。このような状況下ではありましたが、2021年3月16日に開業いたしました「フォションホテル京都」(京都市下京区河原町通松原下ル難波町406)におきましては、「FAUCHON Meets Kyoto. Feel Paris.」を食で表現したメニューをお楽しみいただけるレストランとティーサロン、また、パリ直輸入のマカロンや紅茶を数多く取り揃えたショップで予想を上回るご好評をいただくなど2022年3月期の業績への貢献が見込まれております。また、大阪・キタの社交場として親しまれた堂島ホテルの地で関西初進出となる「アロフト大阪堂島」(大阪市北区堂島浜2丁目1-31)も、まもなくの開業に向けた準備を進めております。

 

 これらの結果、当連結会計年度においては、売上高5,309,731千円(前期比59.8%減)、営業損失690,704千円(前期は2,708,359千円の営業利益)、経常損失827,845千円(前期は3,732,641千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失1,059,822千円(前期は2,426,930千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 セグメントの業績におきましては、不動産金融事業の売上高は4,583,567千円(前期比50.0%減)、営業利益は195,077千円(前期比94.1%減)となり、ホテル運営事業の売上高は985,307千円(前期比79.5%減)、営業損失585,530千円(前期は268,078千円の営業損失)となりました。

 なお、セグメント間取引については相殺消去しておりません。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より2,183,183千円減少し、2,104,891千円となりました。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動による資金の減少は、3,724,424千円(前年同期は8,916,529千円の資金の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,384,743千円を計上したこと及び開発中であったホテルが竣工したこと等により販売用不動産が4,959,327千円増加し、仕掛販売用不動産が2,364,049千円減少したことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、315,542千円(前年同期は1,980,898千円の資金の減少)となりました。これは主に投資有価証券の償還と取得が純額で270,000千円の支出になったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動による資金の増加は、1,856,782千円(前年同期は12,806,137千円の資金の増加)となりました。これは主に金融機関からの借入に伴い長期借入れによる収入が2,253,000千円増加したことによります。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

不動産金融事業

4,578,423

△45.6

ホテル運営事業

731,307

△84.8

合計

5,309,731

△59.8

(注)1.セグメント間取引を相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。不動産金融事業において当連結会計年度中に取引完了を企図しておりました大型の取引が、当連結会計年度末日までに完了しなかったこと及び、ホテル運営事業においても新型コロナウイルス感染症によるホテルの臨時休業等により大きく減少致しました。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

合同会社WHA3

7,303,700

55.2

合同会社強羅

2,814,924

21.3

大和証券ロジスティクス・プライベート投資法人

2,302,646

43.4

合同会社ヒラフ

1,600,000

30.1

ミノルホールディングス株式会社

551,634

10.4

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は当社グループ(当社及び連結子会社)の財務諸表に基づいて分析した内容です。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日における資産・負債及び連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積り及び仮定設定を行う必要があり、過去の実績やそれぞれの状況に応じて合理的と考えられる仮定設定に基づいて、継続して判断・評価及び見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 なお、重要な会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

①経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

②財政状態の分析

(資産)

 総資産については、前連結会計年度末に比べ、861,882千円増加となりました。これは主に、京都悠洛ホテル二条城別邸Mギャラリーが竣工したこと等により、販売用不動産が4,959,327千円増加し仕掛販売用不動産が振替により2,364,049千円減少したこと及び現金及び預金が2,176,933千円減少したことによります。

(負債)

 負債については、前連結会計年度末に比べ、1,912,869千円増加となりました。これは主に上記販売用不動産の建設等のために借入金が1,891,479千円増加したことによります。

(純資産)

 純資産については、前連結会計年度末に比べ、1,050,987千円減少となりました。これは主に、当期純損失を1,030,819千円計上したことによります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては2(事業等のリスク)に記載しております。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しにつきましては1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)に記載しております。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産金融事業におけるプロジェクト向け投融資資金・運転資金、ホテル運営事業における開業・運営に必要な設備資金・運転資金等であります。

 不動産金融事業におけるプロジェクト向け投融資資金・運転資金の調達は、自己資金や他の投資家との共同投資に加え、金融機関等からの借入による資金調達を行っております。

 ホテル運営事業における開業・運営に必要な設備資金・運転資金は、自己資金をベースに必要に応じて金融機関等からの借入による資金調達を行っております。

 

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2022年3月期から2024年3月までの「中期経営計画2024」を公表いたしました。

「中期経営計画2024」では、以下の経営指標を掲げております。

 

経営指標

 

2022年3月期

計画

2023年3月期

計画

2024年3月期

計画

売上高(百万円)

12,500

15,000

20,000

経常利益(百万円)

5,500

6,500

7,500

EBITDA(百万円)(注)

6,500

7,500

8,500

(注)経常利益(利払前)+減価償却費

 

4【経営上の重要な契約等】

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

匿名組合五条

匿名組合出資契約

営業者に対して金銭出資を行い、営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約。

2017年3月22日より本契約に規定する損益の分配等が完了するまで

株式会社キーストーン・パートナース

資本・業務提携契約

(注)1

当社の発行済株式の33%の取得とともに取締役選任を通じた資本提携、及び(1)投資案件情報の紹介、共有、優先交渉、(2)共同投資、(3)当社が組成する投資案件へのファイナンス、(4)投資家の紹介等を通じた業務提携にかかわる契約。

期限の定め無し

株式会社キーストーン・パートナース

プロジェクト基本合意

当社が展開するプロジェクトに対
して、株式会社キーストーン・パ
ートナースが業務執行組合員であ
る日本リバイバルスポンサーファ
ンド参号投資事業有限責任組合を
通じて総額100億円を投資上限と
し、資金需要に応じて当社の共同
投資家として優先的に投資を検討
し実行する契約

期限の定め無し

匿名組合りょうぜん

匿名組合出資契約

営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約

2018年10月26日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで

匿名組合みょうほう

匿名組合出資契約

営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約

2018年11月19日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで

匿名組合二条

匿名組合出資契約

営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約

2019年6月27日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで

匿名組合悠洛

匿名組合出資契約

営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約

2019年9月20日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで

匿名組合強羅

匿名組合出資契約

営業者に対して金銭出資を行い営業者の事業から生じる利益及び損失を分配する契約

2019年11月13日から本契約に規定する損益の分配等が完了するまで

パナソニック ホームズ株式会社

基本合意書

上場リート組成に向けて共同で投資法人を組成し、適切なタイミングで東証への上場を図り、当該投資法人の成長をサポートする事を目的として中長期にわたり良好な関係を構築するとともに継続性のある協業を目指す。

2020年2月17日より本契約に定める有効期間満了まで(注)2

(注)1.2021年5月21日付「資本・業務提携契約の締結、株式の売出し「その他の関係会社」及び主要株主である筆頭株

主の異動に関するお知らせ」にて、資本提携については解消し、業務提携については継続する予定である旨を

開示しております。

2.2021年5月11日付「『中期経営計画2022』見直しに関するお知らせ」にて、当該基本合意について協議の結果、

円満に解消することとなった旨を開示しております。

3.2021年5月21日付「資本・業務提携契約の締結、株式の売出し「その他の関係会社」及び主要株主である筆頭株

主の異動に関するお知らせ」にて、サムティ株式会社との間で、資本業務提携契約を締結した旨を開示しております。

 

5【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。