当事業年度の国内株式市場は、期首に16,000円台であった日経平均株価が、原油価格の上昇や日銀の追加緩和に対する期待感を背景に4月下旬には17,500円台まで上昇しましたが、その後は下落基調となり、6月24日に英国の国民投票でEU離脱が判明すると、株価は急落し15,000円を割り込みました。7月に入り、欧米株式市場の上昇等を受けて株価は値を戻しましたが、8月以降は新たな買い材料に乏しく、投資家は様子見姿勢を強めました。株価は16,000円台を推移する展開が続きましたが、米大統領選でトランプ氏が勝利した11月以降、新政権に対する期待感等を受けた欧米株高や米長期金利上昇による円安の進行等を背景に株価は続伸しました。しかし、1月以降は米国の政権運営に対する警戒感の高まりや先行きの不透明感を背景に株価は伸び悩み、期末の日経平均株価は18,900円台で取引を終えました。
このように一年を通じて方向感がない市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前期と比較して13%減少しました。また、当社の主たる顧客層である個人投資家についても、相場の先行きが不透明となるなか、様子見姿勢が強まったことで取引が手控えられ、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は、同20%減少しました。その結果、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は、前期の20%から19%に低下しております。
上記の事業環境のもと、当社は11月に投資信託の取扱いを開始するとともに、当社が独自に開発したロボアドバイザーによるポートフォリオ提案サービス「投信工房」の提供を開始しました。また、デイトレード限定の信用取引「一日信用取引」における売建取扱銘柄の継続的な拡充や、先物取引においてTOPIX先物や東証マザーズ指数先物等の取扱いを業界最安水準の手数料で開始したほか、FX専用高機能チャートツール「NetFxトレーダー・プラス」の提供を開始するなど、顧客向けサービスの拡充や取引環境の改善に努めました。当社の株式等委託売買代金は、個人投資家全体の売買が減少するなか、一日信用取引の売買が堅調に推移したことにより、前期比11%減に留まりました。
以上の結果、当事業年度の営業収益は277億27百万円(対前事業年度比19.5%減)、純営業収益は264億99百万円(同19.7%減)とともに減収となりました。また、営業利益は149億39百万円(同31.3%減)、経常利益は150億44百万円(同31.1%減)、当期純利益は106億97百万円(同27.5%減)とともに減益となりました。
(受入手数料)
受入手数料は172億53百万円(同20.6%減)となりました。そのうち、委託手数料は162億60百万円(同20.3%減)となりました。なお、株式等委託売買代金は前事業年度と比較して11%減少いたしました。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は3百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は92億39百万円(同17.9%減)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は115億60百万円(同2.7%増)となりました。なお、貸倒引当金繰入れを3億11百万円計上しております。
(営業外損益)
営業外損益は合計で1億5百万円の利益となりました。これは主として、受取配当金は91百万円によるものです。
(特別損益)
特別損益は合計で3億24百万円の利益となりました。これは主として、金融商品取引責任準備金戻入3億37百万円を計上したことによるものです。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、115億10百万円のプラス(前事業年度は、434億31百万円のプラス)となりました。これは、立替金及び預り金の増減や受入保証金の増加が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億14百万円のマイナス(前事業年度は、8億24百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、102億69百万円のマイナス(前事業年度は、481億47百万円のマイナス)となりました。これは、配当金の支払が主な要因です。
以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、290億93百万円(前事業年度末は、298億65百万円)となりました。
当社は、「顧客中心主義」を企業理念として掲げ、「個人投資家にとって最高の取引環境を提供すること」を経営理念としております。「顧客中心主義」を実践するために、変化を恐れず、過去や業界の常識に執着せず、常に可能性を追求し、独自の発想に基づくイノベーティブな商品・サービスを先駆けて提供することに努め、顧客の期待に応えていきます。
当社は、限られた経営資源を有効活用することで、利益の最大化・株主価値の極大化を図ることを経営目標として掲げております。目標とする経営指標としては、資本の効率性(経営資源の有効活用度)を示すROE(自己資本当期純利益率)が最適と考えており、ROE20%以上を維持することを中長期的な経営目標としております。
当事業年度のROEは、株式等委託売買代金の減少等を背景に、前期の16.2%から11.4%に低下しました。上記の目標値は達成しておりませんが、今後も中長期的な資本効率の向上に努めていきます。
当社は、引き続きコア業務であるオンラインベースのブローキング業務を重視し、「選択と集中」を進めることで収益の最大化を図っていきます。コア業務の強化に際しては、個人投資家の様々なニーズの中から絞込みを行い、最も合致した商品・サービスを開発・提供することで顧客満足度を高め、顧客基盤の強化を図る戦略が効果的であると認識しております。
当社は、このような施策を実施していくことで、個人投資家から選ばれる証券会社になることを目指します。
当社は、コア業務に加え、先物取引、外国為替証拠金取引(FX)、投資信託等のコア関連業務(コア業務との相乗効果が見込める業務)についても強化していきます。当事業年度においては、先物取引においてTOPIX先物や東証マザーズ指数先物等の取扱いを開始したほか、FX 専用高機能チャートツール「NetFxトレーダー・プラス」の提供を開始するなど、サービスの拡充および取引環境の改善に努めました。また、投資信託の取扱いを開始するとともに、ロボアドバイザーを活用した当社独自のポートフォリオ提案サービス「投信工房」の提供を開始しました。投資信託においても株式と同様に、対面証券からオンライン証券への顧客および資産の流入に取り組みます。
③ブランドの確立
当社はこれまで、手数料の自由化以前に証券業界で横並びであった株式保護預かり料を無料化したことや、一日定額制の手数料体系「ボックスレート」を採用したこと、返済期限が実質無期限の「無期限信用取引」を導入したこと、信用取引の規制緩和にあわせて手数料及び金利・貸株料が原則として無料となるデイトレード限定の「一日信用取引」を導入したこと等、業界の慣習を打ち破る施策を率先して実施したことにより、個人投資家から支持されてきたと認識しております。当期においては、約20年ぶりに投資信託の取扱いを開始するとともに、ロボアドバイザーを活用した当社独自のポートフォリオ提案サービス「投信工房」の提供を開始しました。「投信工房」は個人投資家の資産形成をサポートするための資産運用プラットフォームです。投資の初心者でも、国際分散投資による安定した資産運用を「いつでも」、「簡単」、「手軽に」、「低コストで」開始できるようサポートすることで、これまで証券業界がアプローチしきれていなかった顧客層の獲得を図ります。今後もこのような施策を顧客に提示し続けることで、「イノベーティブな証券会社」としてのブランドの確立・浸透に取り組みます。
①顧客基盤の拡大
当社を含むオンライン証券会社は、口座数ベースでは幅広い顧客基盤を有しているように見えますが、口座数全体に対する稼働口座数の比率は低く、取引頻度が高い一部の顧客に収益の大半を依存している状況にあります。そのため、顧客層の裾野拡大に継続して取り組むことが今後の課題となっております。当事業年度においては、ウェブサイトの全面リニューアルを実施し、それに合わせて、新規顧客の獲得や潜在顧客を取引へつなげるための導線を改善するなど、デジタルマーケティングを強化しております。
他方、個人株式保有額に占めるオンライン証券の割合は年々拡大しており、対面証券に預けられている個人投資家の金融資産は継続的にオンライン証券業界に流入しております。そこで当社としては、取引頻度が高い顧客向けのサービスを継続して強化していくとともに、取引頻度は低いものの預かり資産の多い顧客や将来に向けて資産形成を目指す顧客等のニーズをくみ上げ、商品・サービスとして具現化することにより、顧客基盤の拡大に努めます。当事業年度においては、投資信託の取扱いを開始するとともに、ロボアドバイザーを活用した当社独自のポートフォリオ提案サービス「投信工房」の提供を開始し、これまでとは異なる新たな顧客層の獲得にも努めております。
②取引システムの安定性の確保及び取引ツールの拡充
取引システムの安定性の確保は、オンライン証券会社の生命線です。顧客が安心して取引することができるよう、システム障害やサイバー攻撃、自然災害といった想定されるリスクへの対策を講じるとともに、取引量の増加に備えたキャパシティを確保し、取引システムの安定的な稼働に努めます。また、個人投資家にとって最高の取引環境を提供することが他社との差別化に資するため、顧客向け取引ツールについてもIT技術の進化・普及等を踏まえて拡充し、個人投資家の取引スタイルの変化に応じた取引環境の提供に努めます。当事業年度においても、引き続き取引環境の改善に取り組んでおり、スマートフォン、タブレットなどあらゆる端末で利用しやすい環境を整えております。
③コンプライアンス体制の強化及び顧客サポート体制の充実
当社では、金融機関としての信頼性の維持・向上に資するコンプライアンス体制について、より一層の強化に努めます。また、新商品や新サービス提供等の業容範囲の拡大に対応するため、店舗を有しないオペレーションの特殊性を踏まえ、コールセンターを通じた顧客サポート体制についてもさらなる充実を図ります。当事業年度においては、投資信託の取扱いに合わせてコールセンターに投信専用ダイヤルを設け、専門のオペレーターが対応できる体制を整えております。
④低コスト体制の維持
証券業の業績は、株式市況の動向に大きく左右され、当社の主たる収益源である株式等委託手数料収入や金利収入の振れ幅は比較的大きいといえます。また、業界における各種取引手数料は、諸外国と比較して最低水準にまで低下しております。この数年においては、顧客の争奪に係る手数料引き下げ競争は落ちついておりますが、再び価格競争が開始される可能性は否定できません。そのような中で継続的に利益を生み出していくためには、低コスト体制の維持が不可欠となっています。効率的な事業オペレーションは当社の競争優位性にも資するものと考えており、引き続きコスト管理について厳格に取り組むことで、低コスト体制を維持していきます。
⑤株主への利益還元
当社は、株主への利益還元を重要な経営課題として位置付けております。業績に応じた株主利益還元策の実施を基本方針とし、新たな成長に資する戦略的な投資による企業価値拡大の追求と併せて、株主のご期待に応えていきます。配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社の経営成績及び財政状態等に影響を与え、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスク要因は以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成29年3月31日)現在において当社が判断したものです。
当社の主たる業務である個人投資家向けの株式委託売買業務の業績は、株式市場の動向に大きく左右されます。現在の当社の主要な収益源は、株式委託手数料及び信用取引顧客への資金の貸付け等から得られる金利収入であります。今後、株式市場において、個人投資家の取引が停滞あるいは減少する場合、当社顧客の取引金額及び信用取引顧客への貸付金額が停滞あるいは減少する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当社はオンライン株式市場の拡大を前提として事業戦略を立てておりますが、インターネット経由の株式取引が、必ずしも見込みどおりに継続して拡大するという保証はありません。株式市場の将来動向を予測することは困難であることから、当社の過年度の経営成績だけでは今後の当社の業績の判断材料として不十分な面があります。
当社は、個人投資家向けの株式委託売買業務を主業務として事業運営を行っておりますが、同業務を行う競合他社には、当社に比べ、より大きな資金力・技術力・営業力・その他経営資源を有する者、より顧客に有利な取引条件を提示する者、より広範なサービスを提供する者、より高い知名度、幅広い顧客層を持つ者、より多くの広告を行う者、サービスないし商品の向上を行うことが可能な他社と資本関係または提携関係等にある者等が存在し、厳しい競争に晒されています。中でも、顧客獲得のため、より低価格の委託手数料を提示するオンライン証券会社が多数存在しております。
また、今後、幅広い金融サービスを提供しようとする銀行や証券会社の出現、外資系企業や異業種からの新たな参入、競合他社同士の合併・業務提携等により、競合他社との競争が、これまで以上に厳しくなることも想定されます。このように証券会社間の競争が今後、さらに激化した場合には、当社の既存顧客が他社へ口座を移すことや新たに顧客を獲得するために必要な一人当たりの限界費用が増加する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
多様な分野でサービスを提供する金融機関とは異なり、現在、当社の収益は主に株式委託売買業務から得られております。当社は、株式委託売買業務をコア業務として強化することに加え、コア業務の強化につながる業務やコア業務との相乗効果が見込める業務にも注力しておりますが、原則として、安易な多角化は行わず、経営資源を一定の分野に集中する戦略をとっております。そのため、当社は、注力する事業に収益の大半を依存する構造になっております。今後、他社との競争状況、市況の変動または規制の強化等によっては、当社の株式委託売買業務における取扱金額が減少または手数料率が低下し、当社の主たる収益源である株式委託手数料収入が減少する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当社が現在の戦略を変更し、多角化を図っていくことを決定した場合にも、新分野における市場動向や競合他社等に関する知識・ノウハウの不足等により、必ずしも見込みどおりに事業の拡大が進む保証はありません。
信用取引は株式委託手数料のみならず金融収益も期待できることから、当社は信用取引に対する取組みを積極的に進めております。当社の株式委託売買代金においても、信用取引への依存度が高くなっており、今後、市場金利の上昇等により顧客への貸付金利が高くなる場合、法令あるいは金融商品取引所により委託保証金率の引き上げが求められる等の規制が強化される場合、法令等により新規売りに対する規制が強化される場合、当社が適正な金利で十分な資金を調達できず顧客に対して十分に信用の供与を行うことができなくなる場合、当社が自主的に信用の供与を行う銘柄数を絞り込む場合、あるいはより広範な顧客層をもつ証券会社が当社に比してより良い対処を行う場合、顧客が当社での信用取引の利用を手控え、当社の信用取引による株式委託手数料収入及び金利収入が停滞あるいは減少する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
金融商品取引業者には、金融商品取引法、金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める金融庁告示(以下「金融庁告示」といいます。)に基づき、一定の自己資本規制比率の維持が求められています。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本額の、保有する証券の価格変動その他の理由により発生し得るリスク相当額に対する比率をいいます(金融商品取引法第46条の6)。
金融商品取引業者は自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければなりませんが(同法同条第2項)、当社の自己資本規制比率は、平成29年3月末現在、十分な水準を維持しております。
金融庁告示により信用取引資産の2%が取引先リスク相当額とされており、信用取引残高の増大は、当社の取引先リスクを増大させることから、自己資本規制比率を引き下げる要因となります。今後、当社の信用取引残高が増加し続けた場合、自己資本規制比率を維持するためには、自己資本等の調達が必要となります。その際、当社が十分な自己資本等の調達が行えなかった場合、当社は顧客への信用供与を制限せざるを得なくなります。その場合には、当社の株式委託手数料収入・金利収入において機会損失が発生する可能性があります。また、規制内容が改正され、取引先リスク等の算定方法が変更された場合、自己資本規制比率を引き下げる要因となり得ます。
当社が収益の柱としている信用取引においては、顧客への信用供与が発生するため、市況の変動によっては顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。すなわち、顧客が信用取引等で損失を被った場合、または担保となっている代用有価証券の価値が下落した場合、顧客が預託する担保価値が十分なものでなくなり、顧客への信用取引貸付金を十分に回収できない可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
なお、店頭外国為替保証金取引「NetFx」、株価指数先物取引、日経平均株価指数オプション取引(売建)においても、類似のリスクがあります。
当社は、信用取引貸付金の原資として、制度信用取引については、自己調達資金に加え証券金融会社からの借入を利用しておりますが、市況の変動により、証券金融会社に差入れた有価証券等の担保価値が低下した場合、追加の担保の差入れを求められることがあり、そのための借入等は当社が独自に行う必要があります。また、一般信用取引については、通常制度信用取引に比して証券金融会社からの資金の借入に制約があるため、現在は主に金融機関からの借入や社債の発行等により賄っておりますが、金融市場の動向、当社の経営状況あるいは当社の格付けの低下等によっては、適切な資金調達が行えない可能性があります。今後、調達費用の水準によっては当社の金融収支が悪化する可能性、あるいは必要資金の手当てができない場合、一般信用取引の利用を制限する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があるとともに、手数料収入・金利収入において機会損失が発生する可能性があります。
また、金融機関からの借入金の返済、社債の償還等に際して、金融市場の動向、当社の経営状況あるいは当社の格付けの低下等によっては、借り換えあるいは新規の借入や社債の発行等による資金調達が適切な条件で行えない可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
顧客の取引に関する情報を、瞬時かつ大量に処理するオンライン株式委託売買業務にあっては、システムの安定稼動は重要な要素であり、システムに何らかの障害が発生し、機能不全に陥った場合には、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらのシステム障害は、ハードウエア、ソフトウエアの不具合及び人為的ミスによるものの他、アクセス数の突発的な増加、通信回線の障害、コンピュータウィルス、コンピュータ犯罪、災害等によっても生じ得るものであります。当社が利用しているシステムは、アクセス数の増加を見込んだ上で設計されている他、システムの二重化等想定される様々なリスクへの対策を講じておりますが、想定を大幅に上回る注文が集中した場合や、その他の要因によりシステムに被害または停止等の影響が生じる場合には、顧客からの注文を適切に処理することができなくなる可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
また、システム障害が発生した場合、あるいはシステム障害時に当社が適切に対応できなかった場合には、当社が、監督官庁による処分を受ける可能性または損害賠償請求を含む何らかの責任を問われる可能性がある他、当社のシステム及びサポート体制に対する信頼が低下し、顧客離れが生じる可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
なお、誤操作・誤処理等の人為的な要因による予期せざるシステム処理あるいは事務処理が発生あるいはそれらを適切に制御できない場合、システムの機能不全あるいはその処理に伴う損失が発生し、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、新規公開株式等の引受業務を行っておりますが、有価証券の引受けを行う際、当社に引受責任が生じるため、引受リスクが発生します。当社は、公募・売出残株が生じないよう慎重に引受金額等の決定を行っておりますが、当社が引き受けた有価証券を販売することができない場合、公募・売出残株の株価動向によっては、当社は損失を被る可能性があります。また、引受業務を行った企業に何らかの不祥事が発生した場合、当社に対する信頼が低下し、顧客離れが生じる可能性がある他、顧客より損害賠償請求等の責任を問われる可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
顧客の個人情報及び個人番号の不正取得や改変等の被害を防止することは、当社が事業を行う上で重要であります。当社は個人情報等が不正に使用されないよう十分なセキュリティ対策や、社内の管理及び業務委託先に対する監督を行っておりますが、今後、個人情報等の漏洩等があった場合、損害賠償の請求や、監督官庁による処分を受ける可能性がある他、当社の信用が著しく低下する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
また、他の証券会社や電子商取引を行う企業のセキュリティや情報管理に対する信頼の低下が、インターネット、さらには、当社のシステムの信頼性の低下につながる可能性もあります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、様々な業務に関して、多くの外部事業者と契約を結んだ上で業務を委託しております。特に、当社の株式取引システムの運用・開発、ならびに、法定帳簿の作成及びデータ処理等バックオフィス関連業務を委託しているSCSK株式会社は、当社の重要な業務委託先であります。全顧客向けに提供している自動更新型のトレーディングツールの運用、開発についても複数の外部事業者に委託しております。札幌センターにおける顧客問合せ対応業務については、トランスコスモス株式会社と委託契約を締結し、労働者派遣と併せてその運営の大部分を委託しております。また、当社が顧客へ提供する企業情報・市況情報・株価情報は、株式会社QUICKをはじめとする情報提供業者からサービスの提供を受けております。
これらの外部事業者が、何らかの理由で当社へのサービスの提供を中断または停止する事態が生じ、当社が速やかに代替策を講じることができない場合、当社の業務に支障をきたす可能性があります。特に、SCSK株式会社との契約関係が維持できなくなった場合、または、同社のソフトウエア開発能力の低下等により、当社のシステムに問題が生じまたはそれが陳腐化し、顧客の信用を維持することができなくなった場合、当社あるいは第三者が新たに代替システムを構築する必要性が生じます。その際、速やかに適切な代替手段を講じることができない場合、当社は顧客へのサービスの提供を停止する可能性があり、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。また、外部事業者との契約の改定等により、外部事業者に支払う費用の増額を求められる可能性があり、その場合には同様に、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、会社の規模が比較的小さいため、事業運営を、少人数の経営陣あるいは当社代表取締役社長である松井道夫に依存する比率が高くなっております。したがって、これら経営陣が経営者としての任務を継続的に遂行することが、当社の発展を支える重要な要因でもあります。特に、松井道夫は、当社の経営におけるリーダーというのみならず、その高い知名度が当社の社会的認知度の向上にも繋がっており、当社の発展に不可欠な人材です。松井道夫あるいは少人数の経営陣の一部において業務の遂行ができなくなった場合、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、顧客が保証金を預託し外貨の売買を行う店頭外国為替保証金取引(NetFx)を行っております。顧客と当社は相対取引ですが、顧客との取引で発生したポジションは当社の取引相手であるセントラル短資FX株式会社とカバー取引を行っていますので、当社にはポジションを保有するリスクは発生しません。しかしながら、セントラル短資FX株式会社に預託する保証金は当社の自己資金で充当しているため、当社はセントラル短資FX株式会社の信用リスクを負っております(顧客の保証金は、自己の資金とは完全に区分して、信託銀行に預託しています)。今後の経済情勢等の変化により、セントラル短資FX株式会社の信用リスクが顕在化した場合には当社の財政状態に悪影響を与える可能性があります。
なお、平成30年3月期にNetFxのカバーモデル変更を行う予定です。これにより、セントラル短資FX株式会社を含む複数社を相手方としてカバー取引を行うこととなり、カバー先の信用リスクはカバーモデル変更前より分散される見込みです。
一方で、カバーモデル変更により、顧客との取引で発生したポジションの一部についてカバー取引を行わないことで、ポジションを保有するリスクが発生することとなります。当社は、外国為替関連取引に係るディーリングについて社内ルールを定め、カバー取引・マリー取引を適切に行うことで為替変動リスクの制御に努めますが、これらの対応によっても同リスクを完全に回避することはできず、予期せぬ為替変動により、当社の財政状態に悪影響を与える可能性があります。
金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、その他の法令・規則等の改定等により、当社が行っている業務に対し、新たな規制が導入された場合には、関係業務の収益性が低下する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、その他の法令・規則等に服しており、コンプライアンス体制の強化に努めておりますが、今後、法令・規則等に対する違反等があった場合、監督官庁による処分を受ける可能性がある他、当社の信用が著しく低下する可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当社は、法令・規則等を遵守するよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底を図っておりますが、その対策が有効に機能せず、役職員による内部者取引等の金融商品取引法その他の法令・規則等に対する違反等があった場合、当社の信用の低下につながる可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、自然災害、火災、感染症の流行等によって通常の事業運営が困難となった場合に備え、事業継続計画を策定し、関連マニュアルの整備、定期的な訓練等を実施しておりますが、地震等の自然災害、火災、長期間の停電、感染症の流行、国際紛争、テロ攻撃等が発生した場合、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。特に、当社は本社オフィス等の主要な事業所を首都圏に置いていることから、首都圏において自然災害等が発生した場合には、サービスの提供を停止する等の影響が生じる可能性があります。その場合には、当社の業績に悪影響を与える可能性があります。
当事業年度末現在において、重要な訴訟等は発生しておりません。
該当事項はありません。
なお、前事業年度の有価証券報告書に記載したSCSK株式会社を相手先とする「情報処理サービス基本契約」(平成29年5月までの契約期間を平成30年5月まで延長しております。)は、当社における現在の重要性を踏まえ、記載を行っておりません。
該当事項はありません。
当事業年度は、株式等委託売買代金が前事業年度と比較して11%減少したことにより、営業収益は277億27百万円(対前事業年度比19.5%減)、純営業収益は264億99百万円(同19.7%減)となりました。また、営業利益は149億39百万円(同31.3%減)、経常利益は150億44百万円(同31.1%減)、当期純利益は106億97百万円(同27.5%減)となりました。なお、当社はROE(自己資本当期純利益率)20%以上を維持することを中長期的な経営目標としておりますが、当事業年度のROEは、株式等委託売買代金の減少等を背景に、前期の16.2%から11.4%に低下しました。上記の目標値は達成しておりませんが、今後も中長期的な資本効率の向上に努めていきます。
当事業年度の経営成績について、その背景となる当社を取り巻く環境、あるいは当社の取り組みにつきましては「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。また、当社の経営成績について、収益、費用の各項目別に分析した内容については、同じく「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準は、株式市場の相場環境に大きく左右されます。当事業年度につきましては、「(1) 当事業年度の経営成績の分析」に述べる通り、株式等委託売買代金が前事業年度と比較して11%減少したことにより、営業収益、純営業収益ともに対前事業年度比で減収となり、営業利益、経常利益、当期純利益も対前事業年度比で減益となりました。将来の見通しにつきましては、証券業の特性により、これを予想することは困難であります。この点につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (1) 経営成績の変動について」をご参照ください。
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末比16.2%増の7,707億16百万円となりました。これは主として、預り金等の増加に伴い、預託金が同24.3%増の4,672億12百万円となったことによるものです。
負債合計は、前事業年度末比18.4%増の6,758億96百万円となりました。これは主として、預り金が同35.8%増の2,720億48百万円となったことによるものです。
純資産合計は、前事業年度末比2.3%増の948億20百万円となりました。当事業年度においては、当期純利益106億97百万円が計上される一方、平成28年3月期期末配当金及び平成29年3月期中間配当金計84億72百万円の計上を行っております。
当社のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
当社は、信用取引貸付金の増減等に対応した経常的な調達について、銀行等金融機関からの借入金を中心に対応しております。過去に信用取引貸付金が大きく増加する局面においては、普通社債や新株予約権付社債の発行を行った実績があり、現在も社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録を行っておりますが、平成29年3月末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。