第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、原油価格の下落や中国経済の減速に伴う海外経済の動向等により輸出、生産面への影響を受けたものの、企業業績が改善する中で、設備投資に持ち直しの動きが見られることや、雇用、所得環境の改善を背景に個人消費は堅調に推移するなど、緩やかな景気回復基調が継続いたしました。

 こうした中、不動産業界においては、商業地における全国平均の地価公示が8年ぶりにプラスに転換したほか、三大都市圏平均では商業地において、オフィス空室率の低下による収益性の向上や外国人観光客の増加等による店舗、ホテル需要の高まり等を背景とした高い不動産投資意欲により、地価の上昇は継続いたしました。不動産各分野の概況は次のとおりであります。

 ビル賃貸事業分野においては、オフィス需要の拡大を背景に全国的に空室率は低下傾向にあり、空室率の低下に伴う品薄感から地方都市を含む多くのエリアで賃料水準の上昇が見られました。

 不動産投資分野においては、積極的な物件取得姿勢は継続しており、物件取引価格は相対的に高水準で推移しておりました。また、不動産市況の改善や長期金利の低位安定等によってJ-REIT市場については堅調で、市場全体の時価総額は11兆円を超えました。

 住宅事業分野においては、用地取得価格の上昇と東京オリンピック・パラリンピックを見越した工事需要の高まり等により建築費が上昇していることから、首都圏の販売価格は上昇傾向となりましたが、契約率は安定的に推移いたしました。

 このような状況のもと、当連結会計年度における当社グループ全体の状況は、次のとおりとなりました。

 売上高は370億10百万円(前期比26億63百万円、7.8%増)、売上原価は246億50百万円(同29億29百万円、13.5%増)となり、販売費及び一般管理費は40億91百万円(同15百万円、0.4%増)となりました。

 この結果、営業利益は82億67百万円(同2億81百万円、3.3%減)、経常利益は67億8百万円(同1億39百万円、2.1%増)となりました。また、固定資産売却益を特別利益として計上する一方、ポートフォリオ入替えに伴う固定資産売却損等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は44億8百万円(同19億13百万円、76.7%増)となりました。

 また、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 各セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、各セグメントの売上高はセグメント間の内部売上高又は振替高を含めております。金額は消費税等抜きで表示しており、すべて百万円未満を切り捨てて記載しております。

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

賃貸事業

19,365

21,276

不動産ソリューション事業

12,668

13,318

その他の事業

2,313

2,415

34,347

37,010

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度における主要な顧客ごとの売上高及び売上高に対する当該割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社東京証券取引所

3,900

11.4

平和不動産リート投資法人

6,320

18.4

8,162

22.1

 (注)当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。

 

 

① 賃貸事業

 賃貸事業のうち、ビル賃貸事業においては、前期に取得した茅場町ブロードスクエア(東京都中央区)、浜町平和ビル(東京都中央区)、栄センタービル(名古屋市中区)及び前期に竣工した丸善名古屋本店ビル(名古屋市中区)の賃貸収益貢献等があったものの、東京証券取引所ビル(東京都中央区)の賃貸料減額による影響等により、その収益は172億20百万円(前期比8億13百万円、4.5%減)となりました。

 内訳としましては、証券取引所賃貸収益は30億10百万円(同11億98百万円、28.5%減)、一般オフィス賃貸収益は108億60百万円(同2億8百万円、2.0%増)、商業施設賃貸収益は33億49百万円(同1億76百万円、5.6%増)となり、これに名古屋丸の内平和ビル(名古屋市中区)のビル売上高及び土地賃貸収益等を加えた収益は、203億80百万円(同20億14百万円、11.0%増)となりました。

 なお、当連結会計年度末における当社の賃貸用ビルの空室率は、2.89%となりましたが、これは日本橋兜町再開発のための貸し止めを含んでおり、これを除くと1.75%であります。

 さらに住宅賃貸事業における収益を含めた本事業の収益は、212億76百万円(同19億10百万円、9.9%増)となりました。

 賃貸事業の内訳を示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

ビル賃貸事業収益

18,365

20,380

住宅賃貸事業収益

999

895

19,365

21,276

 

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

面積

(㎡)

金額

(百万円)

面積

(㎡)

金額

(百万円)

ビル賃貸

事業収益

土地賃貸収益

賃貸面積       3,574.34

131

賃貸面積       3,547.47

119

ビル賃貸収益

賃貸面積    385,179.33

18,033

賃貸面積    373,601.10

17,220

内、転貸面積     452.54

内、転貸面積     451.97

ビル売上高

2,700

その他

201

340

住宅賃貸

事業収益

住宅賃貸収益

賃貸面積   18,365.82

内、転貸面積  3,014.46

999

賃貸面積    7,890.19

内、転貸面積  3,014.46

895

19,365

21,276

 

② 不動産ソリューション事業

 不動産ソリューション事業のうち、不動産開発収益は、たな卸資産の売却等により94億88百万円(前期比15億90百万円、20.1%増)、住宅開発収益は、「エアーズガーデン新浦安」(千葉県浦安市)33戸の売上を計上したものの、前期に完売した「フラージュ押上」(東京都墨田区)の販売の反動減等により15億29百万円(同13億35百万円、46.6%減)、マネジメントフィーは、12億56百万円(同18百万円、1.5%増)となりました。これに不動産仲介収益を加えました本事業の売上高は、133億18百万円(同6億50百万円、5.1%増)となりました。

 不動産ソリューション事業の内訳を示すと、次のとおりであります。

 

(単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

不動産開発収益

7,897

9,488

住宅開発収益

2,865

1,529

マネジメントフィー

1,237

1,256

不動産仲介収益

667

1,044

12,668

13,318

 

さらに住宅開発収益における住宅販売数量等の内容を示すと、次のとおりであります。

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

住宅販売数量等

フラージュ押上(東京都墨田区)    67戸

建物面積       3,850.06㎡

土地面積      1,018.20㎡

エアーズガーデン新浦安(千葉県浦安市) 33戸

建物面積       5,842.77㎡

土地面積      3,843.61㎡

 (注)他社との共同事業物件における住宅販売戸数、建物面積及び土地面積は、当社持分を記載しております。

 

③ その他の事業

 請負工事建物管理事業の収益は18億38百万円(前期比1億29百万円、7.6%増)、介護付有料老人ホーム事業の収益は3億99百万円(同17百万円、4.3%減)となり、その他収益を加えました本事業の売上高は24億15百万円(同1億2百万円、4.4%増)となりました。

 その他の事業の内訳を示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

請負工事建物管理

事業収益

建物管理受託料

912

956

請負工事売上高

795

881

介護付有料老人ホーム事業収益

介護施設収益

417

399

その他収益

その他

187

178

2,313

2,415

 

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ41億34百万円増加し、153億77百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益64億31百万円及びたな卸資産の減少16億58百万円等により、99億54百万円の資金の増加となりました。(前年同期は125億57百万円の増加)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入125億39百万円等があった一方、有形固定資産の取得による支出149億22百万円等により、26億0百万円の資金の減少となりました。(前年同期は151億60百万円の減少)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入204億円及び社債の発行による収入92億円等があった一方、長期借入金の返済による支出311億1百万円及び社債の償還による支出21億56百万円等により、32億18百万円の資金の減少となりました。(前年同期は89億23百万円の減少)

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

項目

平成24年3月期

平成25年3月期

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率

 24.3%

 26.7%

 29.0%

 31.0%

 32.3%

時価ベースの自己資本比率

 14.5%

 23.4%

 22.2%

 22.6%

 19.0%

債務償還年数

16.5年

14.1年

12.3年

12.9年

16.1年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

 3.9倍

 4.6倍

 5.6倍

 5.9倍

 5.8倍

 (注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
      自己資本比率:自己資本/総資産
      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
      債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
      インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
   2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている短期借入金、1年内償還予定の社債・転換社債型新株予約権

     付社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金であります。また、利払いは、連結損益計算書に計

     上されている支払利息を使用しております。
   3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用して

     おります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 生産、受注及び販売の状況については、「1 業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

3【対処すべき課題】

(1)対処すべき課題と中長期的な経営戦略

 今後のわが国経済の見通しにつきましては、年初以降の国際的な金融市場の不安定な動きなどにより、昨年までの円安・株高基調は弱含みとなり、動向に注視することを要しますが、経済政策の効果等により、企業業績や雇用情勢は改善し、また輸出の持ち直しに支えられ、緩やかな景気回復基調が続くものと思われます。また、不動産業界におきましては、ビル賃貸事業分野において、雇用増加によるオフィス需要の拡大を背景に空室率の低下傾向は継続し、賃料水準の緩やかな上昇が期待されます。

 このような事業環境の中、当社は日本橋兜町再開発を起点として街づくりに貢献する会社に成長し、中長期的な成長の基盤の確立を目指すべく、平成26年度から平成35年度までを計画期間とする「中長期経営計画 over the “NEXT DECADE”」を策定し、以下の重点戦略に取り組んでおります。

① 日本橋兜町再活性化プロジェクト

 当社の中核事業であるビル賃貸事業の資産拡大と収益力向上を目的として、日本橋兜町再活性化プロジェクトに取り組んでおります。平成27年6月に開催された東京圏国家戦略特別区域会議において、当社が推進している日本橋兜町・茅場町一丁目地区の2つのプロジェクト(兜町プロジェクト・茅場町プロジェクト)が東京圏国家戦略特別区域における都市再生プロジェクトに追加申請されました。東京国際金融センター構想に資する資産運用業者等の起業支援、投資家と企業の対話・交流支援機能の導入を実現するために、再開発を着実に実施し、街の活性化を図ることに努めてまいります。

② ビル賃貸事業のブラッシュアップ

 賃貸事業資産の入替えによりポートフォリオの質と収益性の向上を追求するとともに、新規物件取得による資産拡大を推進することで、再開発の足腰となる収益基盤をより強固なものとしてまいります。

③ リートAM事業等フィービジネスの拡大

 平和不動産リート投資法人のスポンサーとして、たな卸資産や開発物件の売却など平和不動産アセットマネジメント株式会社の受託資産の拡大と質の向上のサポートを通じて、グループ全体でのフィー収入獲得を目指してまいります。

④ 体制の強化と財務規律の維持

 重点戦略の遂行に適した組織体制を構築するとともに、再開発を推進するに足りる財務体質とするため、財務規律の維持向上を図り、安定した資金調達基盤を構築してまいります。

 また、重点戦略に加え、コーポレート・ガバナンス及びリスク管理の充実、並びにコンプライアンスの一層の強化に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

 当社は、平成27年6月25日開催の第95回定時株主総会において、「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。)を継続して採用することについてご承認いただいており、その概要は、次のとおりです。

 なお、本プランの詳細は、平成27年5月18日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」として公表しており、その全文は次のURLからご覧いただくことができます。

(当社ウェブサイト)http://www.heiwa-net.co.jp/csr/governance/pdf/04.pdf

 

① 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続して向上していく者でなければならないと考えます。

 また、当社は、当社株式の大量の買付行為であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではなく、当社の支配権の移転を伴うような株式の大量の買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えております。

 しかし、株式の大量の買付行為の中には、その対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を明白に侵害するもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為の内容等を検討し、または取締役会が代替案を提案するための時間や情報を十分に提供しないものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあるものもあります。

 当社は、昭和22年から証券・金融の街でビル賃貸事業を展開してまいりました。この結果、当社は、地元企業を始め自治体など地域社会との信頼関係を構築、地域社会発展への協力を期待され、これに応えてまいりました。また、その過程では、ビル賃貸を通じてテナントと、ビル運営を通じてビル管理会社などの取引先企業との信頼関係を構築し、さらにビル賃貸事業のノウハウを蓄積してまいりました。当社がこの姿勢を変えることなく継続することで今後の成長が導かれるのであります。

 現在進めております日本橋兜町再開発は、まさにこうした取り組みを指向する事業であります。東京に国際金融センターを設けるとの行政の構想に沿い、我が国の金融マーケットの中枢的機能を果たす東京証券取引所の所在する日本橋兜町を再開発し、再活性化に向けた街づくりをすること、これを揺るぎなく実行することで利益を伸ばし、開発力と提案力を備えた次世代の平和不動産を創り上げます。さらにその実現は、社会にも貢献いたします。

 株式の大量買付を行う者が、こうした当社の企業価値の源泉を中長期的に継続して向上させられないのであれば、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されます。

 したがいまして、当社は、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量の買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付行為に対しては、必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

② 基本方針の実現に資する特別な取り組み

(1) 当社の企業価値の向上ひいては株主共同の利益確保への取り組み

 a.経営理念および企業価値の源泉

 当社は、東京、大阪、名古屋などの証券取引所ビルのオーナー企業として設立され、その所在する都市を中心にビル賃貸事業を営んでまいりました。その後、住宅開発事業などにも進出、「安心で心地良いオフィスと住まいの空間を提供し、人と街に貢献する。」という経営理念の下、業容の拡大も図ってまいりました。

 しかし、当社の中核事業がビル賃貸事業であることに変わりはなく、新たなビルの取得または開発、その後の運営マネジメントにより事業の成長を図っております。開発には時間を要し、開発後のビルの運営、管理はさらに長期にわたる事業ですが、これらの着実な積み重ねが現在の当社の資産を築き上げてきたのであり、今後もこうした取り組みを継続していくことでさらに当社は成長してまいります。

 幸いにも当社には、創立以来、長年にわたり、それぞれの地域で証券取引所ビルオーナーとして事業展開してきたことにより、テナント、取引先、地域社会との信頼関係が厚く、賃貸ビルは高稼働を維持し、また、再開発などのための情報や協力も得ることができました。さらに大阪や名古屋での開発実績が仙台や札幌への進出を可能とし、REIT事業に進出して利益を着実に生み出せておりますのも、こうした信頼とビル賃貸事業の経験やノウハウがあるからこそであります。そしてこれらが当社の企業価値の源泉であります。

 b.中長期経営計画~企業価値ひいては株主共同の利益に資する取り組み~

 当社は、ビル賃貸事業の拡大という課題に対するアクションプランとして、「中長期経営計画 over the“NEXT DECADE”」を平成26年4月に策定、これからの10年、街づくりに貢献する会社という次のステージを目指すこととしました。

 この中では、これまでの大阪証券取引所ビルや名古屋証券取引所ビルの建替事業等を通じて、街の再活性化に一定の役割を果たしてきた経験を活かし、東京証券取引所ビルのある日本橋兜町再開発を行うとしています。

 日本橋兜町は、日本を代表する「証券の街」として発展してきましたが、情報通信の発達等社会環境の変化に伴い、株券売買立会場の閉鎖や証券会社の移転が進み、来街者が減少してきました。

 しかし、この地区は、交通の便に優れ、東京駅や羽田・成田両国際空港へのアクセスも良好で、街としてのポテンシャルは非常に高く、再開発により収益力の高いオフィス賃貸事業の展開が可能であると考えております。

 この再開発は長期にわたる事業ですが、これにチャレンジし、収益を伸ばすことにより当社の企業価値を高められます。

 また、当社は、日本橋兜町再開発を起点として、街づくりに貢献する会社に成長し、中長期的な成長の基盤の確立を目指します。そしてその達成のため、次の4点に注力いたします。

(ⅰ)日本橋兜町再活性化プロジェクト

 単なる建て替えではなく、街としての魅力、賑わいを高めなければ付加価値は生まれないものと考えております。創業以来日本橋兜町に軸足を置いてきた当社は、「日本橋兜町街づくりビジョン」を策定し、兜町らしい街づくりの提案と活動を地域の方たちとともに行います。その上で5年後を目途に第1期プロジェクトの竣工を目指します。

(ⅱ)ビル賃貸事業のブラッシュアップ

 賃貸事業資産の収益力を高めるため、収益性の低いビルを売却する一方、収益性の高いビルを取得または新築し、保有賃貸事業用資産の入替えを行います。また、新たな賃貸事業資産の厳選取得を推進し、再開発推進の足腰となるビル賃貸事業の収益基盤をより強固なものとします。

(ⅲ)リートのアセットマネジメント事業等、フィービジネスの拡大

 平和不動産リート投資法人のスポンサーとして、平和不動産アセットマネジメントの受託資産の拡大と質の向上をサポートするなど、フィービジネスによる収益の拡大を図ります。

(ⅳ)体制の強化と財務規律の維持

 中長期経営計画を着実に推進するため、機動的に組織体制を整えてまいります。具体的には、日本橋兜町再活性化プロジェクトにおいては専任部署を新設いたしました。また、中長期にわたる再開発事業を進めるには財務体質が健全であることが必要であり、D/Eレシオを重視して、財務規律を維持してまいります。

(2) コーポレート・ガバナンス体制の整備のための取り組み

 当社は、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要な課題と位置づけ、株主を始めとするステークホルダーの皆様の信頼に応えるとともに、公正で効率的な企業経営を行うため、グループ全体としてコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。

 具体的には、当社は、経営と業務執行に関する機能と責任を分離し、意思決定の迅速化と経営の効率化を図ることを目的に執行役員制度を導入しております。

 また、取締役は7名でうち3名が社外取締役、監査役は4名でうち3名が社外監査役であり、その社外取締役および社外監査役の全員を証券取引所の定める独立役員として届け出ております。

 さらに当社は監査役会設置会社ではありますが、社外取締役が過半数を占める報酬委員会を独自に設け、役員報酬等の決定プロセスの客観性、適正性を高めております。

 なお、今後も引き続き、コーポレート・ガバナンス体制の整備に鋭意取り組んでまいります。

 

 当社は、以上のように、企業価値の源泉から生まれる強みを生かしながら諸施策を実行し、中長期経営計画を実現し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保と向上を図ってまいります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

(1) 本プランの目的

 本プランは、上記の基本方針に沿って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させることを目的としております。

 当社取締役会は、①当社株主の皆様が買収の是非を適切に判断するための時間・情報を確保すること、②当社株主の皆様のために大量買付者と交渉を行う機会を確保すること、③当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する大量買付けを抑止すること、以上を可能とする枠組みが必要不可欠であると判断しました。そこで、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一環として、平成27年6月25日開催の第95回定時株主総会においてご承認いただいた上で、本プランを継続して採用することを決定いたしました。

 本プランの継続にあたりましては、関係諸法令、裁判例、金融商品取引所の定める買収防衛策の導入に係る規則等ならびに経済産業省および法務省が公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(以下「買収防衛策に関する指針」といいます。)および企業価値研究会が公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」(以下「買収防衛策の在り方」といいます。)の内容に配慮しております。

(2) 本プランの概要

 本プランは、一定規模以上の当社株式の買付けを行おうとする大量買付者に対し、上記の目的を実現するために定めた買付プロセスに従うことを求めております。

 当社は、①大量買付者が買付プロセスを遵守しないと判断した場合、または②大量買付者が行う買付けが当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損すると判断した場合には、対抗措置を発動することがあります。

 なお、当社取締役会は、この判断に際して、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役または社外有識者から構成される委員会(以下「独立委員会」といいます。)の勧告を最大限尊重いたします。

 また、当社取締役会は、独立委員会の勧告により対抗措置の発動の可否につき株主意思確認総会を招集することがあります。

 上記の本プランにおける対抗措置は、新株予約権の無償割当としております。

 

 

④ 上記の各取り組みに対する当社取締役会の判断およびその判断に係る理由

(1) 基本方針の実現に資する取り組みについて

 上記の各取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。

 従って、これらの各取り組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。

(2) 本プランの合理性

 a.本プランが基本方針に沿うものであること

 本プランは、当社株式に対する大量買付けが行われる場合に、大量買付者に対して事前に当該買付行為に関する情報提供を求め、これにより買付けに応じるべきか否かを当社の株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、当社の株主の皆様のために大量買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。

 b.当該取り組みが株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の取締役の地位の維持を目的とするもの

ではないこと

 当社は次の理由から、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組みは、当社株主の共同の利益を損なうものでなく、また、当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

(ⅰ)「買収防衛策に関する指針」および「買収防衛策の在り方」に沿っていること

 本プランは、「買収防衛策に関する指針」に定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を完全に充足しており、かつ、「買収防衛策の在り方」の内容に配慮しております。

(ⅱ)株主意思を重視するものであること(株主総会決議とサンセット条項)

 本プランは、株主総会において、当社の株主の皆様のご承認をいただくことを条件として継続されます。加えて対抗措置の発動につき株主意思確認総会を開催し株主の皆様のご意思を確認する場合もあります。

 また、本プランは有効期間を3年間とするいわゆるサンセット条項が設けられており、かつその有効期間の満了前であっても、当社株主総会で本プランを廃止する議案が承認された場合、または当社取締役会で本プランを廃止する決議が行われた場合には、本プランは廃止されることになります。

 その意味で、本プランの継続および廃止は、当社株主の皆様の意思に基づくこととなっております。

(ⅲ)合理的かつ客観的な発動事由の設定

 本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。そして、かかる発動事由は、我が国における裁判例の分析や上記「買収防衛策に関する指針」等を参考に、適切かつ合理的な買収防衛策のあり方を分析した上で設定されたものであります。

(ⅳ)独立委員会の設置

 当社は、対抗措置の発動等に関する当社取締役会の恣意的な判断または過剰な対抗措置の発動を防止するため、独立委員会を別途設置しております。

 独立委員会は、かかる独立委員会設置の目的に鑑み、当社取締役会から独立した者で構成され、また、当社の費用により、独立した第三者である専門家(投資銀行、証券会社、フィナンシャル・アドバイザー、弁護士、公認会計士等)の助言を得ることができるものとしております。

 独立委員会は、「独立委員会規則」に定められた手続に従い、発動事由の該当性等につき評価・検討し、当社取締役会に対する勧告を行います。当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動もしくは不発動、あるいは発動の変更または中止を最終的に決定します。

(ⅴ)デッドハンド型買収防衛策ではないこと

 本プランは、当社株主総会で選任された取締役で構成された取締役会により廃止することができるものとされており、大量買付者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能であります。

 従って、本プランはデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)賃貸事業について

 当社グループは、賃貸事業において証券取引所、オフィス、商業施設、住宅等の開発・賃貸・管理・運営を行っております。

 当該賃貸事業は、地価の動向等のほかに、賃貸オフィス市場における賃料市況の変化、商業施設における他の商業施設との競合激化等により賃貸料に影響を受ける可能性があります。また、地震その他の自然災害、事故やテロその他の人災により所有資産が劣化または滅失し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)東京証券取引所ビルの賃貸料について

 当社は、株式会社東京証券取引所との間で、東京証券取引所ビルの平成25年4月以後の賃貸料について、下記のとおりとすることで合意しております。

①平成25年4月1日から平成27年3月31日まで

  年間賃貸料 3,900百万円(平成25年3月期比 △512百万円 △11.6%)

 

②平成27年4月1日から平成29年3月31日まで

  年間賃貸料 2,700百万円(平成25年3月期比 △1,712百万円 △38.8%)

 

 なお、過去5連結会計年度における同社からの賃貸料収入及び連結売上高に対する割合は、下表のとおりであります。

 区   分

第92期

  平成23年4月1日~
平成24年3月31日

第93期

  平成24年4月1日~

平成25年3月31日

第94期

  平成25年4月1日~
平成26年3月31日

第95期

  平成26年4月1日~
平成27年3月31日

第96期

  平成27年4月1日~
平成28年3月31日

賃貸料

(百万円)

4,412

4,412

3,900

3,900

2,700

連結売上高に

対する割合(%)

12.5

13.4

9.0

11.4

7.3

 

(3)賃貸用不動産への投資と有利子負債残高の推移について

 当社グループは、賃貸事業の収益力の強化・安定を目指し、オフィスビルの取得や建替え、商業施設の開発等を進めてまいりましたが、その建設資金や取得資金を主に有利子負債により調達しております。

 当社グループは、取得した賃貸用不動産からのキャッシュ・フロー及び資金の調達手段を一層多様化すること等により有利子負債残高の削減とD/Eレシオの改善を行う方針でありますが、当社グループの業績は、金利動向等により影響を受ける可能性があります。

 なお、過去5連結会計年度における有利子負債残高及びD/Eレシオは、下表のとおりであります。

 区   分

第92期

  平成23年4月1日~
平成24年3月31日

第93期

  平成24年4月1日~

平成25年3月31日

第94期

  平成25年4月1日~
平成26年3月31日

第95期

  平成26年4月1日~
平成27年3月31日

第96期

  平成27年4月1日~
平成28年3月31日

有利子負債残高

(百万円)

197,083

186,902

170,335

162,490

160,232

D/Eレシオ

(倍)

2.6

2.2

2.0

1.8

1.7

 (注) 有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債・転換社債型新株予約権付社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金であります。

 

 

(4)不動産ソリューション事業について

 当社グループは、不動産ソリューション事業において収益用不動産の開発、運用及びマネジメント、住宅の開発及び販売並びに不動産の仲介等を行っております。

 当該不動産ソリューション事業は、景気動向や不動産市場における需要の悪化等による投資の採算性の低下、住宅開発における大型物件の竣工及び引渡し等による業績変動、マンション分譲等における共同事業者の破綻、供給過剰による販売競争の激化、今後の金利及び地価の動向、競合の状況、開発用地の仕入れの状況、税制の変更等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)資産価格の変動について

 今後における不動産市況の動向等により、当社グループが保有する不動産の価格が下落した場合等には、減損損失及び棚卸資産に対する評価損の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)繰延税金資産に係る財務上の影響について

 当社グループは、現時点における会計基準に従い、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断された場合、あるいは税制関連の法令改正がなされ、法人税率の引き下げ等が行われた場合、繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(7)三菱地所株式会社との資本業務提携について

 当社は、平成23年2月17日付で、三菱地所株式会社との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)契約を締結しました。現在、同契約に基づき、三菱地所株式会社との間で密接な事業上の協働関係を構築のうえ、日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組みを中心に事業シナジーを最大化させるべく本資本業務提携に取り組んでおりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、本資本業務提携について当初期待した効果が得られない可能性があるほか、将来、何らかの事由により本資本業務提携が終了する可能性もあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)不動産関連法制について

 当社グループの各事業には、建築基準法、都市計画法等、各種法規制が適用されております。将来、これらの法規制が改正された場合や、新たな法規制が設けられた場合には、新たな義務や費用負担の発生等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、当社の筆頭株主である三菱地所株式会社と下記の資本業務提携契約を締結しております。

 相手先

契約締結日

内容

三菱地所株式会社

 平成23年2月17日

日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組み等の推進について、包括的な協働関係を構築し、当該事業及びその関連事業に係るノウハウの相互提供並びに顧客基盤の相互提供を行うもの。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。

① 総資産の減少の主な要因は、固定資産の売却等に伴う建物附属設備35億64百万円の減少等によるものです。

② 総負債の減少の主な要因は、有利子負債22億57百万円の減少等によるものです。

③ 純資産の増加の主な要因は、利益剰余金33億80百万円の増加等によるものです。

 

(単位:百万円)

 

 

当連結会計年度末

前連結会計年度末比

総資産

294,021

△3,714

総負債

199,194

△6,244

純資産

94,827

2,529

 

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績については、次のとおりであります。

① 売上高

 賃貸事業におけるビルの売却収入を計上したこと、不動産ソリューション事業における物件売却が増加したこと等により前期比26億63百万円の増収となりました。

② 営業利益

 賃貸事業における前期に取得したビル、新築ビルの利益貢献及びビル売却益の計上並びに不動産ソリューション事業における仲介手数料の増加等があったものの、東京証券取引所ビルの賃貸料減額の影響等により、前期比2億81百万円の減益となりました。

③ 経常利益

 金融コストの低減等により、前期比1億39百万円の増益となりました。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

 前期に日本橋兜町再開発関連の除却損等を計上していたことから、特別損失が大幅に減少し、前期比19億13百万円の大幅な増益となりました。

 詳細は、「第2 事業の状況 1業績等の概要」に記載のとおりであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1.業績等の概要」に記載のとおりであります。