(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日本銀行の金融政策の効果等により、雇用、所得環境の改善がみられ、景気は緩やかな回復基調が継続したものの、アジア新興国経済の減速や英国のEU離脱問題、米国新大統領の政策動向等を背景とした海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響等により、先行きが懸念される不透明な状況で推移いたしました。
こうした中、不動産業界においては、賃貸オフィス市場では、景気回復を背景とした企業の増床、拡張移転等によるオフィス需要が継続し、全国的な空室率の低下傾向に伴う品薄感から、地方主要都市を含む多くのエリアで賃料水準の上昇が見られました。また、不動産投資市場では、良好な資金調達環境等を背景に積極的な物件取得姿勢は継続しており、物件取引価格は相対的に高水準で推移いたしました。J-REIT市場については、日本銀行による量的・質的金融緩和の継続等による長期金利の低位安定、相対的に高い分配金利回りや不動産市況の回復等により、堅調に推移いたしました。
このような状況のもと、当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は417億47百万円(前期比47億37百万円、12.8%増)、営業利益は96億73百万円(同14億5百万円、17.0%増)、経常利益は84億31百万円(同17億22百万円、25.7%増)となりました。また、減損損失等による特別損失23億3百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は45億14百万円(同1億6百万円、2.4%増)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
賃貸事業 |
21,276 |
18,456 |
|
不動産ソリューション事業 |
13,318 |
21,485 |
|
その他の事業 |
2,415 |
1,806 |
|
計 |
37,010 |
41,747 |
前連結会計年度及び当連結会計年度における主要な顧客ごとの売上高及び売上高に対する当該割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
平和不動産リート投資法人 |
8,162 |
22.1 |
5,552 |
13.3 |
|
ケネディクス・デベロップメント 株式会社 |
- |
- |
8,400 |
20.1 |
(注)当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。
① 賃貸事業
賃貸事業のうち、ビル賃貸収益は前期取得物件の賃貸収益貢献等により、175億90百万円(前期比3億69百万円、2.1%増)となりました。この内訳は、証券取引所賃貸収益30億10百万円(同0百万円、0.0%増)、一般オフィス賃貸収益112億79百万円(同4億18百万円、3.9%増)、商業施設賃貸収益32億99百万円(同49百万円、1.5%減)となり、これに土地賃貸収益等を加えた収益は、前期のビル売上高の反動減等により、179億69百万円(同24億10百万円、11.8%減)となりました。これに住宅賃貸収益を含めた本事業の売上高は184億56百万円(同28億19百万円、13.3%減)、営業利益は67億48百万円(同4億9百万円、5.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度末における当社の賃貸用ビルの空室率は、3.54%となりましたが、これは日本橋兜町・茅場町再開発のための貸し止めを含んでおり、これを除くと1.30%であります。
賃貸事業の内訳を示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
ビル賃貸収益 |
20,380 |
17,969 |
|
住宅賃貸収益 |
895 |
486 |
|
計 |
21,276 |
18,456 |
|
区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|||
|
面積 (㎡) |
金額 (百万円) |
面積 (㎡) |
金額 (百万円) |
||
|
ビル賃貸 収益 |
土地賃貸収益 |
賃貸面積 3,547.47 |
119 |
賃貸面積 3,380.75 |
109 |
|
ビル賃貸収益 |
賃貸面積 373,601.10 |
17,220 |
賃貸面積 378,734.12 |
17,590 |
|
|
内、転貸面積 451.97 |
内、転貸面積 451.97 |
||||
|
ビル売上高 |
- |
2,700 |
- |
- |
|
|
その他 |
- |
340 |
- |
270 |
|
|
住宅賃貸 収益 |
住宅賃貸収益 |
賃貸面積 7,890.19 内、転貸面積 3,014.46 |
895 |
賃貸面積 7,890.19 内、転貸面積 3,014.46 |
486 |
|
計 |
- |
- |
21,276 |
- |
18,456 |
② 不動産ソリューション事業
不動産ソリューション事業のうち、不動産開発収益はたな卸資産売却の増加等により、173億48百万円(前期比78億60百万円、82.8%増)、マネジメントフィーは12億61百万円(同5百万円、0.4%増)、住宅開発収益は「エアーズガーデン新浦安」(千葉県浦安市)37戸の売上計上等により、18億55百万円(同3億25百万円、21.2%増)となりました。これに不動産仲介収益を加えました本事業の売上高は214億85百万円(同81億66百万円、61.3%増)、営業利益は40億82百万円(同19億95百万円、95.6%増)となりました。
不動産ソリューション事業の内訳を示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
不動産開発収益 |
9,488 |
17,348 |
|
マネジメントフィー |
1,256 |
1,261 |
|
不動産仲介収益 |
1,044 |
1,020 |
|
住宅開発収益 |
1,529 |
1,855 |
|
計 |
13,318 |
21,485 |
さらに住宅開発収益における住宅販売数量等の内容を示すと、次のとおりであります。
|
区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
住宅販売数量等 |
エアーズガーデン新浦安(千葉県浦安市) 33戸 建物面積 5,842.77㎡ 土地面積 3,843.61㎡ |
エアーズガーデン新浦安(千葉県浦安市) 37戸 建物面積 6,703.27㎡ 土地面積 4,409.55㎡ |
(注)他社との共同事業物件における住宅販売戸数、建物面積及び土地面積は、当社持分を記載しております。
③ その他の事業
請負工事建物管理事業の収益は14億56百万円(前期比3億81百万円、20.7%減)、介護付有料老人ホーム事業及びその他収益を加えました本事業の売上高は18億6百万円(同6億9百万円、25.2%減)、営業利益は1億47百万円(同2百万円、1.8%増)となりました。なお、当連結会計年度において、平和ヘルスケア株式会社の全株式を売却し、介護付有料老人ホーム事業から撤退しております。
その他の事業の内訳を示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
|
請負工事建物管理 事業収益 |
建物管理受託料 |
956 |
983 |
|
請負工事売上高 |
881 |
473 |
|
|
介護付有料老人ホーム事業収益 |
介護施設収益 |
399 |
200 |
|
その他収益 |
その他 |
178 |
149 |
|
計 |
- |
2,415 |
1,806 |
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ37億40百万円増加し、191億17百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益62億86百万円及びたな卸資産の減少102億58百万円等により、209億80百万円の資金の増加となりました。(前年同期は99億54百万円の増加)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入29億69百万円等があった一方、有形固定資産の取得による支出160億4百万円等により、130億17百万円の資金の減少となりました。(前年同期は26億0百万円の減少)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入498億円等があった一方、長期借入金の返済による支出417億27百万円及び社債の償還による支出107億53百万円等により、42億22百万円の資金の減少となりました。(前年同期は32億18百万円の減少)
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
項目 |
平成25年3月期 |
平成26年3月期 |
平成27年3月期 |
平成28年3月期 |
平成29年3月期 |
|
自己資本比率 |
26.7% |
29.0% |
31.0% |
32.3% |
33.3% |
|
時価ベースの自己資本比率 |
23.4% |
22.2% |
22.6% |
19.0% |
21.4% |
|
債務償還年数 |
14.1年 |
12.3年 |
12.9年 |
16.1年 |
7.5年 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
4.6倍 |
5.6倍 |
5.9倍 |
5.8倍 |
14.5倍 |
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期
借入金、社債、長期借入金であります。また、利払いは、連結損益計算書に計上されている支払利息を使用し
ております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用して
おります。
生産、受注及び販売の状況については、「1 業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当社は、わが国金融マーケットの中枢的機能・役割を担う東京、大阪、名古屋などの証券取引所ビルのオーナー企業として、昭和22年(1947年)に創立されました。当社創業の地である日本橋兜町・茅場町は、「証券の街」として発展してきましたが、情報通信の発達等社会環境が変化するなか、株券売買立会場の閉鎖や証券会社の移転が進むなどにより、その姿を大きく変えてきております。また、地域等から再活性化への期待が高まっているとともに、社会環境やマーケットの変化に対応した街の再構築が求められております。
このような状況の中、当社は日本橋兜町・茅場町の再開発を起点に「街づくりに貢献する会社」という次なるステージに歩みを進め、社会的なプレゼンスを高めるとともに、新たな成長の基盤と企業価値の増大という成果の獲得を目指しております。さらには、日本橋兜町・茅場町再開発により得られるノウハウを他の市街地の再活性化に展開いたします。
今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、政策の効果等により緩やかに回復していくことが期待されますが、国際経済・政治の動向は不透明感が強いことや金融資本市場の変動等による影響には注意が必要であります。また、不動産業界においては、賃貸オフィス市場では、企業業績の向上に伴うオフィス需要の拡大を背景に空室率の低下傾向は継続し、賃料水準の緩やかな上昇が期待されます。
このような事業環境の中、当社は、平成26年度から平成35年度までを計画期間とする「中長期経営計画over the “NEXT DECADE”」に取り組んでおり、本計画期間のうち、平成29年度~平成31年度を中長期経営計画のフェーズⅡとして、3年間に係る経営計画を平成29年4月に策定いたしました。
本フェーズⅡにおいては、本年7月に創立70周年を迎えるとともに、日本橋兜町・茅場町再開発が本格的に始動する新たなステージとなります。中長期経営計画の最終ステージに向けて、日本橋兜町・茅場町再開発プロジェクトの着実な推進、ビル賃貸事業のブラッシュアップなどにより、持続的な企業価値向上を目指して、平成35年度の連結営業利益100億円台の達成に向け、事業成長基盤を構築する3年間と位置付けており、以下の重点戦略に取り組んでまいります。
① 日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト
第1期プロジェクトである(仮称)日本橋兜町7地区開発計画、(仮称)日本橋茅場町1-6地区開発計画を本格的に始動させ、着実に推進いたします。
② ビル賃貸事業のブラッシュアップ
賃貸事業資産の入替えおよび積上げ、収益性の向上策を推進し、再開発の足腰となる収益基盤をより強固なものといたします。
③ 不動産ソリューションビジネスの拡大・多角化
平和不動産リート投資法人のスポンサーとして、資産規模の拡大と質の向上をサポートするなど、フィービジネスによる収益の安定的拡大を図ります。また、収益物件の開発、リースアップ、リニューアル工事などを行い、価値を最大化した上で売却するなどの不動産ソリューションビジネスを展開し、収益獲得機会の多角化を目指します。
④ 事業戦略遂行の体制強化、安定的な株主還元の実施
・体制の強化と財務規律の維持
経営効率に配慮しつつ、重点戦略遂行に適した組織体制を構築するとともに、財務体質の強化を図ります。さらに、コーポレートガバナンスの強化、投資家との対話、CSRの推進、人材育成、働き方改革など各ステークホルダーへの期待に応えていく取組みを強化する期間といたします。
・資本政策、配当政策
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、株主資本利益率(ROE)を高めることを目指します。また、D/E レシオを財務規律の指標と位置付け、適切な水準を維持することを基本方針といたします。
株主への還元については配当を中心とし、安定的に株主還元を実施いたします。そのため、企業価値を増大させるために必要となる内部留保の重要性を考慮しつつ、中長期的な連結配当性向目標を30%程度といたします。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
当社は、平成27年6月25日開催の第95回定時株主総会において、「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。)を継続して採用することについてご承認いただいており、その概要は、次のとおりです。
なお、本プランの詳細は、平成27年5月18日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」として公表しており、その全文は次のURLからご覧いただくことができます。
(当社ウェブサイト)http://www.heiwa-net.co.jp/csr/governance/pdf/04.pdf
① 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続して向上していく者でなければならないと考えます。
また、当社は、当社株式の大量の買付行為であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではなく、当社の支配権の移転を伴うような株式の大量の買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えております。
しかし、株式の大量の買付行為の中には、その対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を明白に侵害するもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為の内容等を検討し、または取締役会が代替案を提案するための時間や情報を十分に提供しないものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあるものもあります。
当社は、昭和22年から証券・金融の街でビル賃貸事業を展開してまいりました。この結果、当社は、地元企業を始め自治体など地域社会との信頼関係を構築、地域社会発展への協力を期待され、これに応えてまいりました。また、その過程では、ビル賃貸を通じてテナントと、ビル運営を通じてビル管理会社などの取引先企業との信頼関係を構築し、さらにビル賃貸事業のノウハウを蓄積してまいりました。当社がこの姿勢を変えることなく継続することで今後の成長が導かれるのであります。
現在進めております日本橋兜町再開発は、まさにこうした取り組みを指向する事業であります。東京に国際金融センターを設けるとの行政の構想に沿い、我が国の金融マーケットの中枢的機能を果たす東京証券取引所の所在する日本橋兜町を再開発し、再活性化に向けた街づくりをすること、これを揺るぎなく実行することで利益を伸ばし、開発力と提案力を備えた次世代の平和不動産を創り上げます。さらにその実現は、社会にも貢献いたします。
株式の大量買付を行う者が、こうした当社の企業価値の源泉を中長期的に継続して向上させられないのであれば、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されます。
したがいまして、当社は、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量の買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付行為に対しては、必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組み
(1) 当社の企業価値の向上ひいては株主共同の利益確保への取り組み
a.経営理念および企業価値の源泉
当社は、東京、大阪、名古屋などの証券取引所ビルのオーナー企業として設立され、その所在する都市を中心にビル賃貸事業を営んでまいりました。その後、住宅開発事業などにも進出、「安心で心地良いオフィスと住まいの空間を提供し、人と街に貢献する。」という経営理念の下、業容の拡大も図ってまいりました。
しかし、当社の中核事業がビル賃貸事業であることに変わりはなく、新たなビルの取得または開発、その後の運営マネジメントにより事業の成長を図っております。開発には時間を要し、開発後のビルの運営、管理はさらに長期にわたる事業ですが、これらの着実な積み重ねが現在の当社の資産を築き上げてきたのであり、今後もこうした取り組みを継続していくことでさらに当社は成長してまいります。
幸いにも当社には、創立以来、長年にわたり、それぞれの地域で証券取引所ビルオーナーとして事業展開してきたことにより、テナント、取引先、地域社会との信頼関係が厚く、賃貸ビルは高稼働を維持し、また、再開発などのための情報や協力も得ることができました。さらに大阪や名古屋での開発実績が仙台や札幌への進出を可能とし、REIT事業に進出して利益を着実に生み出せておりますのも、こうした信頼とビル賃貸事業の経験やノウハウがあるからこそであります。そしてこれらが当社の企業価値の源泉であります。
b.中長期経営計画~企業価値ひいては株主共同の利益に資する取り組み~
当社は、ビル賃貸事業の拡大という課題に対するアクションプランとして、「中長期経営計画 over the
“NEXT DECADE”」を平成26年4月に策定、これからの10年、街づくりに貢献する会社という次のステージを目指すこととしました。
この中では、これまでの大阪証券取引所ビルや名古屋証券取引所ビルの建替事業等を通じて、街の再活性化に一定の役割を果たしてきた経験を活かし、東京証券取引所ビルのある日本橋兜町再開発を行うとしています。
日本橋兜町は、日本を代表する「証券の街」として発展してきましたが、情報通信の発達等社会環境の変化に伴い、株券売買立会場の閉鎖や証券会社の移転が進み、来街者が減少してきました。
しかし、この地区は、交通の便に優れ、東京駅や羽田・成田両国際空港へのアクセスも良好で、街としてのポテンシャルは非常に高く、再開発により収益力の高いオフィス賃貸事業の展開が可能であると考えております。
この再開発は長期にわたる事業ですが、これにチャレンジし、収益を伸ばすことにより当社の企業価値を高められます。
また、当社は、日本橋兜町再開発を起点として、街づくりに貢献する会社に成長し、中長期的な成長の基盤の確立を目指します。そしてその達成のため、次の4点に注力いたします。
(ⅰ)日本橋兜町再活性化プロジェクト
単なる建て替えではなく、街としての魅力、賑わいを高めなければ付加価値は生まれないものと考えております。創業以来日本橋兜町に軸足を置いてきた当社は、「日本橋兜町街づくりビジョン」を策定し、兜町らしい街づくりの提案と活動を地域の方たちとともに行います。その上で5年後を目途に第1期プロジェクトの竣工を目指します。
(ⅱ)ビル賃貸事業のブラッシュアップ
賃貸事業資産の収益力を高めるため、収益性の低いビルを売却する一方、収益性の高いビルを取得または新築し、保有賃貸事業用資産の入替えを行います。また、新たな賃貸事業資産の厳選取得を推進し、再開発推進の足腰となるビル賃貸事業の収益基盤をより強固なものとします。
(ⅲ)リートのアセットマネジメント事業等、フィービジネスの拡大
平和不動産リート投資法人のスポンサーとして、平和不動産アセットマネジメントの受託資産の拡大と質の向上をサポートするなど、フィービジネスによる収益の拡大を図ります。
(ⅳ)体制の強化と財務規律の維持
中長期経営計画を着実に推進するため、機動的に組織体制を整えてまいります。具体的には、日本橋兜町再活性化プロジェクトにおいては専任部署を新設いたしました。また、中長期にわたる再開発事業を進めるには財務体質が健全であることが必要であり、D/Eレシオを重視して、財務規律を維持してまいります。
(2) コーポレート・ガバナンス体制の整備のための取り組み
当社は、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要な課題と位置づけ、株主を始めとするステークホルダーの皆様の信頼に応えるとともに、公正で効率的な企業経営を行うため、グループ全体としてコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。
具体的には、当社は、経営と業務執行に関する機能と責任を分離し、意思決定の迅速化と経営の効率化を図ることを目的に執行役員制度を導入しております。
また、取締役は7名でうち3名が社外取締役、監査役は4名でうち3名が社外監査役であり、その社外取締役および社外監査役の全員を証券取引所の定める独立役員として届け出ております。
さらに当社は監査役会設置会社ではありますが、社外取締役が過半数を占める報酬委員会を独自に設け、役員報酬等の決定プロセスの客観性、適正性を高めております。
なお、今後も引き続き、コーポレート・ガバナンス体制の整備に鋭意取り組んでまいります。
当社は、以上のように、企業価値の源泉から生まれる強みを生かしながら諸施策を実行し、中長期経営計画を実現し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保と向上を図ってまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要
(1) 本プランの目的
本プランは、上記の基本方針に沿って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させることを目的としております。
当社取締役会は、①当社株主の皆様が買収の是非を適切に判断するための時間・情報を確保すること、②当社株主の皆様のために大量買付者と交渉を行う機会を確保すること、③当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する大量買付けを抑止すること、以上を可能とする枠組みが必要不可欠であると判断しました。そこで、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一環として、平成27年6月25日開催の第95回定時株主総会においてご承認いただいた上で、本プランを継続して採用することを決定いたしました。
本プランの継続にあたりましては、関係諸法令、裁判例、金融商品取引所の定める買収防衛策の導入に係る規則等ならびに経済産業省および法務省が公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」(以下「買収防衛策に関する指針」といいます。)および企業価値研究会が公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」(以下「買収防衛策の在り方」といいます。)の内容に配慮しております。
(2) 本プランの概要
本プランは、一定規模以上の当社株式の買付けを行おうとする大量買付者に対し、上記の目的を実現するために定めた買付プロセスに従うことを求めております。
当社は、①大量買付者が買付プロセスを遵守しないと判断した場合、または②大量買付者が行う買付けが当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損すると判断した場合には、対抗措置を発動することがあります。
なお、当社取締役会は、この判断に際して、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役または社外有識者から構成される委員会(以下「独立委員会」といいます。)の勧告を最大限尊重いたします。
また、当社取締役会は、独立委員会の勧告により対抗措置の発動の可否につき株主意思確認総会を招集することがあります。
上記の本プランにおける対抗措置は、新株予約権の無償割当としております。
④ 上記の各取り組みに対する当社取締役会の判断およびその判断に係る理由
(1) 基本方針の実現に資する取り組みについて
上記の各取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。
従って、これらの各取り組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。
(2) 本プランの合理性
a.本プランが基本方針に沿うものであること
本プランは、当社株式に対する大量買付けが行われる場合に、大量買付者に対して事前に当該買付行為に関する情報提供を求め、これにより買付けに応じるべきか否かを当社の株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、当社の株主の皆様のために大量買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。
b.当該取り組みが株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の取締役の地位の維持を目的とするもの
ではないこと
当社は次の理由から、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組みは、当社株主の共同の利益を損なうものでなく、また、当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(ⅰ)「買収防衛策に関する指針」および「買収防衛策の在り方」に沿っていること
本プランは、「買収防衛策に関する指針」に定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を完全に充足しており、かつ、「買収防衛策の在り方」の内容に配慮しております。
(ⅱ)株主意思を重視するものであること(株主総会決議とサンセット条項)
本プランは、株主総会において、当社の株主の皆様のご承認をいただくことを条件として継続されます。加えて対抗措置の発動につき株主意思確認総会を開催し株主の皆様のご意思を確認する場合もあります。
また、本プランは有効期間を3年間とするいわゆるサンセット条項が設けられており、かつその有効期間の満了前であっても、当社株主総会で本プランを廃止する議案が承認された場合、または当社取締役会で本プランを廃止する決議が行われた場合には、本プランは廃止されることになります。
その意味で、本プランの継続および廃止は、当社株主の皆様の意思に基づくこととなっております。
(ⅲ)合理的かつ客観的な発動事由の設定
本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。そして、かかる発動事由は、我が国における裁判例の分析や上記「買収防衛策に関する指針」等を参考に、適切かつ合理的な買収防衛策のあり方を分析した上で設定されたものであります。
(ⅳ)独立委員会の設置
当社は、対抗措置の発動等に関する当社取締役会の恣意的な判断または過剰な対抗措置の発動を防止するため、独立委員会を別途設置しております。
独立委員会は、かかる独立委員会設置の目的に鑑み、当社取締役会から独立した者で構成され、また、当社の費用により、独立した第三者である専門家(投資銀行、証券会社、フィナンシャル・アドバイザー、弁護士、公認会計士等)の助言を得ることができるものとしております。
独立委員会は、「独立委員会規則」に定められた手続に従い、発動事由の該当性等につき評価・検討し、当社取締役会に対する勧告を行います。当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動もしくは不発動、あるいは発動の変更または中止を最終的に決定します。
(ⅴ)デッドハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社株主総会で選任された取締役で構成された取締役会により廃止することができるものとされており、大量買付者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能であります。
従って、本プランはデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)賃貸事業について
当社グループは、賃貸事業において証券取引所、オフィス、商業施設、住宅等の開発・賃貸・管理・運営を行っております。
当該賃貸事業は、地価の動向等のほかに、賃貸オフィス市場における賃料市況の変化、商業施設における他の商業施設との競合激化等により賃貸料に影響を受ける可能性があります。また、地震その他の自然災害、事故やテロその他の人災により所有資産が劣化または滅失し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)東京証券取引所ビルの賃貸料について
当社は、株式会社東京証券取引所との間で、東京証券取引所ビルの平成29年4月から2年間の賃貸料について、下記のとおりとすることで合意しております。
平成29年4月1日から平成31年3月31日まで
年間賃貸料 2,700百万円(従前の賃貸料と同額)
なお、過去5連結会計年度における同社からの賃貸料収入及び連結売上高に対する割合は、下表のとおりであります。
|
区 分 |
第93期
平成24年4月1日~ |
第94期 平成25年4月1日~ 平成26年3月31日 |
第95期
平成26年4月1日~ |
第96期
平成27年4月1日~ |
第97期
平成28年4月1日~ |
|
賃貸料(百万円) |
4,412 |
3,900 |
3,900 |
2,700 |
2,700 |
|
連結売上高に 対する割合(%) |
13.4 |
9.0 |
11.4 |
7.3 |
6.5 |
(3)日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発について
当社グループが日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発を行う場合、既存ビルの取壊し等の際には、設備の除却損等が発生することがあります。また、地価や建築費等の上昇、開発にかかる許認可手続きの遅延、建設工事等の不備やオフィス市況の悪化によるテナント誘致の遅延等により、想定外の費用発生やプロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)賃貸用不動産への投資と有利子負債残高の推移について
当社グループは、賃貸事業の収益力の強化・安定を目指し、オフィスビルの取得や建替え等を進めておりますが、その取得資金や建設資金等を主に有利子負債により調達しております。
当社グループは、取得した賃貸用不動産からのキャッシュ・フロー等により有利子負債残高及びD/Eレシオを適切な水準に維持する方針であります。有利子負債の調達の大半を長期による借入とし、借入の大半について金利を固定化して金利変動による影響を少なくするべく対処しておりますが、当社グループの業績は、金利動向等により影響を受ける可能性があります。
なお、過去5連結会計年度における有利子負債残高及びD/Eレシオ等は、次のとおりであります。
|
区 分 |
第93期
平成24年4月1日~ |
第94期 平成25年4月1日~ 平成26年3月31日 |
第95期
平成26年4月1日~ |
第96期
平成27年4月1日~ |
第97期
平成28年4月1日~ |
|
有利子負債残高(百万円) |
186,902 |
170,335 |
162,490 |
160,232 |
157,051 |
|
ネット有利子負債残高(百万円) |
152,789 |
147,322 |
151,138 |
144,745 |
137,813 |
|
D/Eレシオ (倍) |
2.2 |
2.0 |
1.8 |
1.7 |
1.6 |
|
ネットD/Eレシオ(倍) |
1.8 |
1.7 |
1.6 |
1.5 |
1.4 |
(注)有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金でありま
す。D/Eレシオは、有利子負債を純資産で除したもの、ネットD/Eレシオは、ネット有利子負債(有利子負債
から現金及び預金・有価証券を減じたもの)を純資産で除したものであります。
(5)不動産ソリューション事業について
当社グループは、不動産ソリューション事業において収益用不動産の開発、運用及びマネジメント、住宅の開発及び販売並びに不動産の仲介等を行っております。
当該不動産ソリューション事業は、景気動向や不動産市場における需要の悪化等による投資の採算性の低下、住宅開発における大型物件の竣工及び引渡し等による業績変動、マンション分譲等における共同事業者の破綻、供給過剰による販売競争の激化、今後の金利及び地価の動向、競合の状況、開発用地の仕入れの状況、税制の変更等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)資産価格の変動について
今後における不動産市況の動向等により、当社グループが保有する不動産の価格が下落した場合等には、減損損失及び棚卸資産に対する評価損の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)繰延税金資産に係る財務上の影響について
当社グループは、現時点における会計基準に従い、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断された場合、あるいは税制関連の法令改正がなされ、法人税率の引き下げ等が行われた場合、繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(8)三菱地所株式会社との資本業務提携について
当社は、平成23年2月17日付で、三菱地所株式会社との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)契約を締結しました。現在、同契約に基づき、三菱地所株式会社との間で密接な事業上の協働関係を構築のうえ、日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組みを中心に事業シナジーを最大化させるべく本資本業務提携に取り組んでおりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、本資本業務提携について当初期待した効果が得られない可能性があるほか、将来、何らかの事由により本資本業務提携が終了する可能性もあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)不動産関連法制について
当社グループの各事業には、建築基準法、都市計画法等、各種法規制が適用されております。将来、これらの法規制が改正された場合や、新たな法規制が設けられた場合には、新たな義務や費用負担の発生等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社は、当社の筆頭株主である三菱地所株式会社と下記の資本業務提携契約を締結しております。
|
相手先 |
契約締結日 |
内容 |
|
三菱地所株式会社 |
平成23年2月17日 |
日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組み等の推進について、包括的な協働関係を構築し、当該事業及びその関連事業に係るノウハウの相互提供並びに顧客基盤の相互提供を行うもの。 |
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
当連結会計年度末 |
前連結会計年度末比 |
|
資産 |
293,025 |
△995 |
|
負債 |
195,501 |
△3,692 |
|
純資産 |
97,524 |
2,696 |
① 資産
当連結会計年度末における資産合計は2,930億25百万円となり、前連結会計年度末比9億95百万円の減少となりました。これは現金及び預金82億34百万円の増加及び有価証券44億83百万円の減少並びに土地40億3百万円の減少等によるものです。
② 負債
当連結会計年度末における負債合計は1,955億1百万円となり、前連結会計年度末比36億92百万円の減少となりました。これは有利子負債31億80百万円の減少等によるものです。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産合計は975億24百万円となり、前連結会計年度末比26億96百万円の増加となりました。これは利益剰余金34億23百万円の増加等によるものです。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績については、次のとおりであります。
① 売上高
不動産ソリューション事業における物件売却が増加したこと等により、前期比47億37百万円の増収となりました。
② 営業利益
賃貸事業における前期に取得したビルの利益貢献及び不動産ソリューション事業における物件売却の増加等により、前期比14億5百万円の増益となりました。
③ 経常利益
金融費用の削減効果等により、前期比17億22百万円の増益となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
減損損失等を計上したものの、前期比1億6百万円の増益となりました。
詳細は、「第2 事業の状況 1.業績等の概要」に記載のとおりであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1.業績等の概要」に記載のとおりであります。