第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 当社は、わが国金融マーケットの中枢的機能・役割を担う東京、大阪、名古屋などの証券取引所ビルのオーナー企業として、1947年に創立されました。当社創業の地である日本橋兜町・茅場町は、「証券の街」として発展してきましたが、情報通信の発達等社会環境が変化するなか、株券売買立会場の閉鎖や証券会社の移転が進むなどにより、その姿を大きく変えてきております。また、地域等から再活性化への期待が高まっているとともに、社会環境やマーケットの変化に対応した街の再構築が求められております。

 このような状況の中、当社は日本橋兜町・茅場町の再開発を起点に「街づくりに貢献する会社」という次なるステージに歩みを進め、社会的なプレゼンスを高めるとともに、新たな成長の基盤と企業価値の増大という成果の獲得を目指しております。さらには、日本橋兜町・茅場町再開発により得られるノウハウを他の市街地の再活性化に展開いたします。

 今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、政策の効果等により緩やかな回復基調が継続していくことが見込まれますが、本年10月に予定されている消費税率引き上げ、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動等による国内外の影響には注意が必要であります。不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、好調な企業業績や働き方の多様化に伴うオフィス需要の拡大を背景に空室率の低下傾向は継続し、賃料水準の緩やかな上昇が期待されます。また、不動産投資市場については、不動産取引が活発な傾向が当面続き、不動産価格は高止まりの状況が継続し、底堅く推移すると見込まれます。
 このような事業環境のもと、当社は日本橋兜町・茅場町再開発を起点に「街づくりに貢献する会社」という次なるステージに歩みを進め、社会的なプレゼンスを高めるとともに、新たな成長の基盤と企業価値の増大という成果の獲得を目指しております。
 さらには、日本橋兜町・茅場町再開発により得られるノウハウを他の市街地の再活性化に展開いたします。これらの実現に向けて、2014年度から2023年度までを計画期間とする中長期経営計画over the "NEXT DECADE" に取り組んでおり、本計画期間のうち、2017年度から2019年度を中長期経営計画のフェーズⅡとして、3年間に係る経営計画を遂行しております。
 当社グループはフェーズⅡにおきまして、中長期経営計画の最終ステージに向けて、日本橋兜町・茅場町再開発プロジェクトの着実な推進、ビル賃貸事業のブラッシュアップなどにより、持続的な企業価値向上を目指してまいります。さらには、2023年度の連結営業利益目標100億円台の達成に向けた事業成長基盤を構築する3年間と位置付けており、以下の重点戦略に取り組んでまいります。

① 日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト

 第1期プロジェクトである(仮称)日本橋兜町7地区開発計画、(仮称)日本橋茅場町1-6地区開発計画を本格的に始動させ、着実に推進いたします。当連結会計年度におきましては、東京都が主導する「国際金融都市・東京」構想の一翼を担うべく、日本橋兜町・茅場町における新金融拠点「FinGATE」シリーズの展開等を通じて、Fintech企業、資産運用会社およびスタートアップ企業等の成長をサポートすることにより、資産運用を中心とした金融ベンチャー企業等の発展支援に努めております。

② ビル賃貸事業のブラッシュアップ

 賃貸事業資産の入替えおよび積上げ、収益性の向上策を推進し、再開発の足腰となる収益基盤をより強固なものといたします。当連結会計年度においては、賃貸事業資産の積上げによる収益拡大を目的として「ホテルエミシア札幌」(北海道札幌市)および「栄サンシティービル」(愛知県名古屋市)等を取得するとともに、保有資産の賃料増額改定に積極的に取り組むことにより、安定収益基盤の構築に向けて推進いたしました。

③ 不動産ソリューションビジネスの拡大・多角化

 平和不動産リート投資法人のスポンサーとして、資産規模の拡大と質の向上をサポートするなど、フィービジネスによる収益の安定的拡大を図ります。また、収益物件の開発、リースアップ、リニューアル工事などを行い、価値を最大化した上で売却するなどの不動産ソリューションビジネスを展開し、収益獲得機会の多角化を目指します。当連結会計年度においては、新宿フロントタワー(東京都新宿区)持分の一部、イトーピア日本橋SAビル(東京都中央区)および新宿フジビル2(東京都新宿区)を売却することにより収益を獲得いたしました。

 

④ 事業戦略遂行の体制強化、安定的な株主還元の実施

・体制の強化と財務規律の維持

 経営効率に配慮しつつ、重点戦略遂行に適した組織体制を構築するとともに、財務体質の強化を図ります。さらに、コーポレート・ガバナンスの強化、投資家との対話、CSRの推進、人材育成、働き方改革など各ステークホルダーへの期待に応えていく取組みを強化する期間といたします。当連結会計年度においては、コーポレート・ガバナンスの更なる強化のため、当社取締役会の任意の諮問機関である指名委員会および報酬委員会につきまして、規則改訂によりそれぞれの委員長を社外取締役が務めることといたしました。

・資本政策、配当政策

 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、株主資本利益率(ROE)を高めることを目指します。また、D/Eレシオを財務規律の指標と位置付け、適切な水準を維持することを基本方針といたします。

 株主への還元につきましては配当を中心とし、安定的に株主還元を実施いたします。そのため、企業価値を増大させるために必要となる内部留保の重要性を考慮しつつ、中長期的な連結配当性向目標を30%程度といたします。当連結会計年度におきましては、120万株、25億97百万円の自己株式取得を実施し、1株当たり年間配当金については、前連結会計年度に比べ11円増配となる48円といたしました。

 

 当社グループは、これからも「街づくりに貢献する会社」として、社会的責任を積極的に果たすべく、長期的かつ持続的な企業価値の増大に努めてまいります。

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

 当社は、2018年6月26日開催の第98回定時株主総会において、「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。)を継続して採用することについてご承認いただいており、その概要は、次のとおりです。

 なお、本プランの詳細は、2018年5月16日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」として公表しており、その全文は次のURLからご覧いただくことができます。

(当社ウェブサイト)https://www.heiwa-net.co.jp/ir/governance/pdf/anti-takeover.pdf

 

① 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続して向上していく者でなければならないと考えます。
 また、当社は、当社株式の大量買付行為であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではなく、当社の支配権の移転を伴うような株式の大量買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には当社株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えております。
 しかし、株式の大量買付行為の中には、その対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を明白に侵害するもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為の内容等を検討し、または取締役会が代替案を提案するための時間や情報を十分に提供しないものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあるものもあります。
 したがいまして、当社は、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付行為に対しては、必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

② 基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要

 1.企業価値向上のための取り組み

 当社は、ビル賃貸事業の拡大という課題に対するアクションプランとして、「中長期経営計画over the “NEXT DECADE”」を2014年4月に策定し、これからの10年、「街づくりに貢献する会社」という次なるステージを目指すこととしました。
 2014年度から2016年度を計画期間とした中長期経営計画フェーズⅠにおいては、重点戦略として、「日本橋兜町再活性化プロジェクト」、「ビル賃貸事業のブラッシュアップ」、「リートAM事業等フィービジネスの拡大」および「体制の強化と財務規律の維持」を掲げてまいりました。

 

 このような取り組みの結果、中長期経営計画フェーズⅠにおける連結営業利益、連結経常利益、D/Eレシオの各計数目標をすべて達成いたしました。
 2017年度から2019年度を計画期間とした中長期経営計画フェーズⅡにおいては、日本橋兜町・茅場町再開発が本格的に始動する新たなステージとなります。中長期経営計画の最終ステージに向けて、再開発プロジェクトの着実な推進、ビル賃貸事業のブラッシュアップなどにより、持続的な企業価値向上を目指して、事業成長基盤を構築する3年間と位置付けており、以下の重点戦略に取り組んでまいります。
 (1)日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト
 (2)ビル賃貸事業のブラッシュアップ
 (3)不動産ソリューションビジネスの拡大・多角化
 (4)事業戦略遂行の体制強化、安定的な株主還元の実施

 2.コーポレート・ガバナンス体制の整備のための取り組み

 当社は、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要な課題と位置づけ、株主をはじめとするステークホルダーの皆様の信頼に応えるとともに、公正で効率的な企業経営を行うため、
当社グループ全体としてコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するため

  の取り組みの概要

 1.本プランの目的

 本プランは、上記①に記載した基本方針に沿って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させることを目的としております。

 当社取締役会は、(1)当社株主の皆様が買収の是非を適切に判断するための時間・情報を確保すること、(2)当社株主の皆様のために大量買付者と交渉を行う機会を確保すること、(3)当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する大量買付行為を抑止すること、以上を可能とする枠組みが必要不可欠であると判断しました。そこで、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一環として、本プランの継続を決定いたしました。

 2.本プランの概要

 本プランは、一定規模以上の当社株式の買付けを行おうとする大量買付者に対し、買付プロセスに従うことを求めております。
 当社は、(1)大量買付者が買付プロセスを遵守しないと判断した場合、または(2)いわゆる東京高裁四類型および強圧的二段階買収に該当する場合には、対抗措置を発動することがあります。
 なお、当社取締役会は、この判断に際して、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役または社外有識者から構成される委員会(以下「独立委員会」といいます。)の勧告を最大限尊重いたします。
 また、当社取締役会は、独立委員会の勧告により対抗措置の発動の可否につき株主の皆様のご意思を確認することがあります。
 上記の本プランにおける対抗措置は、新株予約権の無償割当としております。

④ 上記の各取り組みに対する当社取締役会の判断およびその判断に係る理由

 1.基本方針の実現に資する取り組みについて

 上記②および③に記載した各取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。
 従って、これらの各取り組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。

 2.本プランの合理性

(1) 本プランが基本方針に沿うものであること

 本プランは、当社株式に対する大量買付けが行われる場合に、大量買付者に対して事前に当該買付行為に関する情報提供を求め、これにより買付けに応じるべきか否かを当社株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、当社株主の皆様のために大量買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。

 

(2) 当該取り組みが株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の取締役の地位の維持を目的とするも

  のではないこと

 当社は次の理由から、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組みは、当社株主の共同の利益を損なうものでなく、また、当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

a. 本プランは「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」に定める三

  原則を完全に充足しており、かつ、「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容に沿

  っていること
b. 本プランは、株主総会において、当社株主の皆様のご承認をいただいており、また、その有効期間は3

  年間とし、有効期間の満了前であっても当社株主総会で本プランを廃止する議案が承認された場合等に

  は本プランが廃止されること
c. 本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定

  されていること

d. 当社取締役会から独立した者で構成する独立委員会を設置し、発動事由の該当性等につき評価・検討

  し、当社取締役会に勧告するものとされていること

e.本プランは、当社株主総会で選任された取締役で構成された取締役会により廃止することができるもの

  とされていること

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)賃貸事業について

 当社グループは、賃貸事業において証券取引所、オフィス、商業施設、住宅等の開発・賃貸・管理・運営を行っております。

 当該賃貸事業は、地価の動向等のほかに、賃貸オフィス市場における賃料市況の変化、商業施設における他の商業施設との競合激化等により賃貸料に影響を受ける可能性があります。また、地震その他の自然災害、事故やテロその他の人災により所有資産が劣化または滅失し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発について

 当社グループが日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発を行う場合、既存ビルの取壊し等の際には、設備の除却損等が発生することがあります。また、地価や建築費等の上昇、開発にかかる許認可手続きの遅延、建設工事等の不備やオフィス市況の悪化によるテナント誘致の遅延等により、想定外の費用発生やプロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)賃貸用不動産への投資と有利子負債残高の推移について

 当社グループは、賃貸事業の収益力の強化・安定を目指し、オフィスビルの取得や建替え等を進めておりますが、その取得資金や建設資金等を主に有利子負債により調達しております。

 当社グループは、取得した賃貸用不動産からのキャッシュ・フロー等により有利子負債残高及びD/Eレシオを適切な水準に維持する方針であります。有利子負債の調達の大半を長期による借入とし、借入の大半について金利を固定化して金利変動による影響を少なくするべく対処しておりますが、当社グループの業績は、金利動向等により影響を受ける可能性があります。

 なお、過去5連結会計年度における有利子負債残高及びD/Eレシオ等は、次のとおりであります。

 

 区   分

第95期

  2014年4月1日~
2015年3月31日

第96期

  2015年4月1日~

2016年3月31日

第97期

  2016年4月1日~
2017年3月31日

第98期

  2017年4月1日~
2018年3月31日

第99期

  2018年4月1日~
2019年3月31日

有利子負債残高(百万円)

162,490

160,232

157,051

155,786

184,672

ネット有利子負債残高(百万円)

151,138

144,745

137,813

142,492

171,733

D/Eレシオ

(倍)

1.8

1.7

1.6

1.5

1.7

ネットD/Eレシオ(倍)

1.6

1.5

1.4

1.4

1.6

 (注)有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金でありま

    す。D/Eレシオは、有利子負債を純資産で除したもの、ネットD/Eレシオは、ネット有利子負債(有利子負債

    から現金及び預金・有価証券を減じたもの)を純資産で除したものであります。

 

(4)不動産ソリューション事業について

 当社グループは、不動産ソリューション事業において収益用不動産の開発、売却、運用及びマネジメント、住宅の開発及び販売並びに不動産の仲介等を行っております。

 当該不動産ソリューション事業は、景気動向や不動産市場における需要の悪化等による投資の採算性の低下、住宅開発における大型物件の竣工及び引渡し等による業績変動、マンション分譲等における共同事業者の破綻、供給過剰による販売競争の激化、今後の金利及び地価の動向、競合の状況、開発用地の仕入れの状況、税制の変更等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)資産価格の変動について

 今後における不動産市況の動向等により、当社グループが保有する不動産の価格が下落した場合等には、減損損失及び棚卸資産に対する評価損の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)繰延税金資産に係る財務上の影響について

 当社グループは、現時点における会計基準に従い、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断された場合、あるいは税制関連の法令改正がなされ、法人税率の引き下げ等が行われた場合、繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(7)三菱地所株式会社との資本業務提携について

 当社は、2011年2月17日付で、三菱地所株式会社との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)契約を締結しました。現在、同契約に基づき、三菱地所株式会社との間で密接な事業上の協働関係を構築のうえ、日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組みを中心に事業シナジーを最大化させるべく本資本業務提携に取り組んでおりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、本資本業務提携について当初期待した効果が得られない可能性があるほか、将来、何らかの事由により本資本業務提携が終了する可能性もあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)不動産関連法制について

 当社グループの各事業には、建築基準法、都市計画法等、各種法規制が適用されております。将来、これらの法規制が改正された場合や、新たな法規制が設けられた場合には、新たな義務や費用負担の発生等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善等により景気は緩やかな回復基調が継続したものの、海外経済の動向と政策に関する不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響等により、先行きが懸念される不透明な状況で推移いたしました。

 不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、景気回復を背景とした企業の移転、拡張等に伴うオフィス需要により空室率が低水準で推移し、賃料水準の上昇傾向が継続いたしました。不動産投資市場については、良好な資金調達環境を背景に積極的な物件取得は継続しており、J-REIT市場は堅調に推移いたしました。

 このような事業環境のもと、当社グループは、2017年度から2019年度までの中長期経営計画 over the “NEXT DECADE”フェーズⅡにおいて、日本橋兜町・茅場町再開発プロジェクトの着実な推進などにより、持続的な企業価値向上を目指して事業成長基盤を構築する期間と位置付け、事業に取り組んでまいりました。

 この結果、当社グループの連結業績につきましては、売上高は394億80百万円(前期比67億82百万円、20.7%増)、営業利益は93億35百万円(同97百万円、1.0%減)、経常利益は84億30百万円(同34百万円、0.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高益となる61億74百万円(同8億86百万円、16.8%増)となりました。

 事業別の概況は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

比較

売上高

営業利益

売上高

営業利益

売上高

営業利益

賃貸事業

19,398

7,566

20,311

7,158

913

△408

不動産ソリューション事業

11,710

3,022

17,493

3,398

5,782

376

その他の事業

1,588

140

1,674

202

86

61

調整額

△1,297

△1,424

△126

32,698

9,432

39,480

9,335

6,782

△97

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度における主要な顧客ごとの売上高及び売上高に対する当該割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

平和不動産リート投資法人

4,861

14.9

4,658

11.8

A社

6,142

15.6

B社

5,000

12.7

 (注)1.当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。

    2.A社およびB社との契約上守秘義務を負っているため、社名の公表は控えております。

 

  (1)賃貸事業

 賃貸事業のうち、ビル賃貸収益は、前期に取得した大阪御堂筋ビル(大阪府大阪市)の賃貸収益貢献及び保有資産の賃料増額改定等により、187億66百万円(前期比4億1百万円、2.2%増)となりました。この内訳は、証券取引所賃貸収益30億16百万円、一般オフィス賃貸収益128億60百万円、商業施設賃貸収益28億89百万円であります。これに賃貸資産売上高等を含めた本事業の売上高は203億11百万円(同9億13百万円、4.7%増)、営業利益は物件売却による期間利益の減少等により、71億58百万円(同4億8百万円、5.4%減)となりました。

 なお、当連結会計年度末における当社の賃貸用ビルの空室率は、2.45%となりましたが、これは日本橋兜町・茅場町再開発のための貸し止めを含んでおり、これを除くと1.91%であります。

<売上高の内訳>                                      (単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

面積(㎡)

金額

面積(㎡)

金額

土地賃貸収益

賃貸面積       3,380.75

106

賃貸面積       3,380.75

107

ビル賃貸収益

賃貸面積    405,741.94

18,364

賃貸面積    391,248.12

18,766

内、転貸面積     452.54

内、転貸面積     452.54

賃貸資産売上高

549

その他

927

888

19,398

20,311

 

  (2)不動産ソリューション事業

 不動産ソリューション事業のうち、マネジメントフィーは13億10百万円(前期比1億78百万円、15.7%増)、開発不動産売上高は新宿フロントタワー(東京都新宿区)持分の一部、イトーピア日本橋SAビル(東京都中央区)及び新宿フジビル2(東京都新宿区)の売却により、132億82百万円(同50億78百万円、61.9%増)となりました。これに開発不動産賃貸収益等及び仲介手数料を加えました本事業の売上高は、174億93百万円(同57億82百万円、49.4%増)、営業利益は33億98百万円(同3億76百万円、12.4%増)となりました。

 なお、従来たな卸資産に係る売上高及び賃貸収益等を「不動産開発収益」に含めておりましたが、明確にするため、当連結会計年度より、売上高を「開発不動産売上高」、賃貸収益等を「開発不動産賃貸収益等」としてそれぞれ表示しております。また、住宅開発に係る売上高及び賃貸収益等を「住宅開発収益」に含めておりましたが、比率が低下したことから、当連結会計年度より、売上高を「開発不動産売上高」、賃貸収益等を「開発不動産賃貸収益等」にそれぞれ含めて表示しております。

 

<売上高の内訳>                                      (単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

比較

マネジメントフィー

1,132

1,310

178

開発不動産売上高

8,204

13,282

5,078

開発不動産賃貸収益等

1,420

1,962

541

仲介手数料

953

938

△15

11,710

17,493

5,782

 

 

  (3)その他の事業

 その他の事業の売上高は16億74百万円(前期比86百万円、5.4%増)、営業利益は2億2百万円(同61百万円、44.0%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10億74百万円減少し、117億10百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益97億円及び減価償却費47億66百万円等があった一方、たな卸資産の増加238億80百万円等により、127億80百万円の資金の減少となりました。(前期は134億82百万円の増加)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入134億5百万円等があった一方、有形固定資産の取得による支出178億36百万円及び無形固定資産の取得による支出42億95百万円等により、129億46百万円の資金の減少となりました。(前期は172億65百万円の減少)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加90億円、社債の発行による収入65億円及び長期借入れによる収入329億50百万円があった一方、長期借入金の返済による支出181億48百万円及び自己株式の取得による支出26億14百万円等により、246億52百万円の資金の増加となりました。(前期は24億99百万円の減少)

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

項目

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率

 31.0%

 32.3%

 33.3%

 34.9%

 32.5%

時価ベースの自己資本比率

 22.6%

 19.0%

 21.4%

 27.2%

 24.6%

債務償還年数

12.9年

16.1年

7.5年

11.6年

- 年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

 5.9倍

 5.8倍

 14.5倍

 10.4倍

- 倍

ネットD/Eレシオ

1.6倍

1.5倍

1.4倍

1.4倍

1.6倍

 (注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

              自己資本比率:自己資本/総資産
           時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
           債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
           インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
           ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現金及び預金・有価証券)/純資産

2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長

   期借入金、社債、長期借入金であります。また、利払いは、連結損益計算書に計上されている支払利息を使

   用しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し

  ております。

4.2019年3月期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュフローがマイナス

  であるため記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較

資産

300,243

335,572

35,328

負債

195,342

226,496

31,153

純資産

104,900

109,075

4,174

有利子負債

155,786

184,672

28,885

 

 

(資産)
 当連結会計年度末における資産合計は3,355億72百万円となり、前連結会計年度末比353億28百万円の増加となりました。これはASIL札幌(北海道札幌市)及び銀座同和ビル(東京都中央区)の取得等による販売用不動産235億21百万円の増加、ホテルエミシア札幌(北海道札幌市)及び栄サンシティービル(愛知県名古屋市)の取得等の資産入れ替えに伴う有形固定資産56億31百万円の増加、投資有価証券30億2百万円及び有価証券27億18百万円の増加等によるものです。

 

(負債)
 当連結会計年度末における負債合計は2,264億96百万円となり、前連結会計年度末比311億53百万円の増加となりました。これは有利子負債288億85百万円及び繰延税金負債26億84百万円の増加等によるものです。

 

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産合計は1,090億75百万円となり、前連結会計年度末比41億74百万円の増加となりました。これは自己株式の取得による26億4百万円の減少があった一方、利益剰余金46億2百万円の増加及びその他有価証券評価差額金21億76百万円の増加があったことによるものです。

 

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績については、次のとおりであります。

ⅰ) 売上高

 不動産ソリューション事業におけるたな卸資産売却の増加等により、前連結会計年度比67億82百万円の増収となりました。

ⅱ) 営業利益

 賃貸事業における物件売却による期間利益の減少等により、前連結会計年度比97百万円の減益となりました。

ⅲ) 経常利益

 営業外収益の増加等により、前連結会計年度比34百万円の増益となりました。

ⅳ) 親会社株主に帰属する当期純利益

 賃貸事業における固定資産売却益計上等により、前連結会計年度比8億86百万円の増益となりました。

 詳細は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、たな卸資産の仕入及び賃貸事業資産の運営費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用及び支払利息等の営業外費用であります。投資を目的とした資金需要は、再開発プロジェクト資金及び賃貸事業資産の取得資金等であります。

 当社グループは、運転資金につきましては原則自己資金(賃貸事業における収入等)を充当しておりますが、たな卸資産の仕入れ及び設備投資の際には、資金計画を勘案して、適宜、金融機関からの借入や社債の発行を行っております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,846億72百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は117億10百万円となっております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、当社の筆頭株主である三菱地所株式会社と下記の資本業務提携契約を締結しております。

 相手先

契約締結日

内容

三菱地所株式会社

 2011年2月17日

日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組み等の推進について、包括的な協働関係を構築し、当該事業及びその関連事業に係るノウハウの相互提供並びに顧客基盤の相互提供を行うもの。

 

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。