第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 当社グループは2014年に中長期経営計画over the “NEXT DECADE”を策定し、日本橋兜町・茅場町の再活性化に取り組むことにより、街づくりに貢献する会社へ成長することに挑戦してまいりました。その結果、日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトの第1弾プロジェクトとなるKABUTO ONEの事業化に成功するとともに外部成長・内部成長等における高い成果を実現いたしました。さらには、計数目標として掲げた2023年度の連結営業利益100億円台を2019年度に4年間前倒しで達成するとともに過去最高益を更新いたしました。

 一方、自然災害リスク対応の必要性、コーポレート・ガバナンスの進展、ESG・SDGsに対する意識の高まり等、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化しております。

 また、わが国経済の先行きについては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、厳しい状況が継続すると見込まれ、国内外経済をさらに下振れさせるリスクや金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。例えば、ビルディング事業が属する賃貸オフィス市場については、ワークスタイル及びライフスタイルの多様化等の様々な変化や新型コロナウイルス感染拡大による企業業績の下振れ等が賃貸オフィスの需要へ与える影響について注意する必要があります。また、アセットマネジメント事業が属する不動産投資市場については、新型コロナウイルス感染拡大の影響による不動産価格や不動産投資意欲等の動向を注視する必要があります。

 このような外部環境の変化への対応に加え、順調に推移した前中長期経営計画over the “NEXT DECADE”の事業戦略を継承しつつ、さらに進展させるため、2020年度から2023年度までを計画期間とした新中期経営計画「Challenge & Progress」を策定いたしました。

 なお、当社は、2021年3月期よりセグメントの名称を変更しており、従来の「賃貸事業」及び「不動産ソリューション事業」は、それぞれ「ビルディング事業」及び「アセットマネジメント事業」となります。

 

◇平和不動産グループが目指す姿

 「街づくりに貢献する会社」として、環境・社会課題の解決や各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて満足度を高めることにより、サステナブルな社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を図ります。

 

「街づくりに貢献する会社としてサステナブルな社会の実現への貢献」

 日本橋兜町・茅場町の再活性化、札幌再開発事業、アセットマネジメント等に取り組み、環境・防災力に配慮した安心・安全な街づくりを推進し、サステナブルな社会の実現に貢献いたします。

 

「上場不動産会社としての株主価値の向上」

 当社グループが持つ企業価値の源泉を最大限に活用し、不動産の付加価値を創出・実現することにより、資本効率を高め、株主へ還元することにより株主価値を向上いたします。

 

◇新中期経営計画「Challenge & Progress」(2020年度〜2023年度)の位置付け

 日本橋兜町・茅場町再活性化、札幌再開発の事業化、外部成長・内部成長を通じた付加価値創出のビジネスモデルに転換するとともに、サステナビリティ施策の推進による社会課題の解決に貢献することにより、「街づくりに貢献する会社」として挑戦・飛躍をしていく期間と位置付けます。

 

◇事業戦略(2020年度〜2023年度)

 (1)再開発事業

 ①日本橋兜町・茅場町の再活性化

 KABUTO ONEに加え、新たなプロジェクトを始動させることにより、街づくりをカタチにするとともに、街づくり対象エリア全体の賑わい創出や「国際金融都市・東京」構想への貢献等に取り組むことによりサステナブルかつ多様性のある街づくりを推進いたします。

 ②札幌再開発事業化の推進

 道銀ビルディング再開発を事業化するとともに、札幌駅南口北4西3地区(札幌駅前合同ビル所在街区)市街地再開発事業に参画することにより、札幌再開発事業を本格的に推進いたします。

 

 (2)ビルディング事業

 ①外部成長・内部成長等の推進

 新規賃貸資産の取得によりポートフォリオを積み上げるとともに、ポートフォリオ入替えの過程において物件売却益を獲得いたします。また、賃貸オフィス市場の動向に基づいた賃料増額改定を実行することによりポートフォリオの収益性向上を図ります。

 ②環境性能・防災力の向上を目的としたサステナブルなビル運営等の推進

 環境配慮、防災力向上等の社会課題解決に対応したビル運営・設備投資を実施することにより、長期的な目線においてCO2の削減等に取り組みます。

 

 (3)アセットマネジメント事業

 ①アセットマネジメント収益等の拡大

 平和不動産リート投資法人の成長サポート等により、アセットマネジメントフィー等の当社グループ収益の拡大を図ります。

 ②たな卸資産の売却等による収益獲得

 開発、リースアップ、リニューアル工事等を行い、価値を最大化した上での収益物件売却やHFレジデンスシリーズの開発等により、収益の獲得を目指します。

 

 (4)コーポレート

 ①資本コスト及び資本効率を意識した資本政策の推進

 資本コスト及び資本効率を意識した資本政策を推進するため、KPIとして2020年度から2023年度の期間において、ROE6%以上、連結総還元性向70%程度(2023年までに連結配当性向50%程度)の目標を設定いたします。

 ※新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、2020年度はROE5%以上を目標とします。また、上記に記載した各KPIは、いずれも現時点における目標値又は計画値であって、その実現を保証するものではなく、実績値はこれらと大きく乖離する可能性があります。なお、これらのKPIについては経営環境の変化等に伴い、随時見直されることがあります。これらのKPIの達成を困難にする可能性がある主要なリスク要因については、後記「2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 ②コーポレート・ガバナンスの強化

 買収防衛策期限に向けた対応、政策保有株式の縮減、役員報酬体系の継続検討等により、コーポレート・ガバナンスの更なる強化を図ります。また、役職員のコンプライアンス意識の向上をはじめとしたコンプライアンス強化を推進いたします。

 ③サステナビリティ経営の実践

 サステナブルな社会及び成長を実現するため、企業活動を通じて社会課題の解決、SDGsへの貢献に取り組むため、(仮称)サステナビリティ委員会を設置し、経営陣及び幹部社員がPDCAをモニタリングすることにより実効性を高めます。また、従業員の健康増進、社内コミュニケーションの強化を図り、組織の活力を高めることにより企業価値向上を目指します。

 

◇計数計画

 (1)KPI

 資本コストを意識し、ROE目標を設定したうえで、現在の不動産市況の投資リターン水準を踏まえた内部留保(株主還元)の水準を設定いたします。

利益目標

EPS

200円以上

(2023年度)

連結営業利益

120億円以上(※1)

(2023年度)

資本効率

ROE

6%以上(※2)

(2020年度~2023年度)

株主還元

連結総還元性向

70%程度(2020年度~2023年度)

<2023年度までに配当性向50%程度>

 

(参考)財務健全性:ネットD/Eレシオ1.8倍以下

(※1)連結営業利益内訳

    ・ビルディング事業:118億円

    ・アセットマネジメント事業:18億円

    ・全社消去・その他:△16億円

(※2)新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、2020年度はROE5%以上を目標とします。

 

 (2)投資計画(2020年度〜2023年度)

事業

投資額

再開発事業

約320億円

(内訳)

日本橋兜町・茅場町:約220億円

札幌:約100億円

ビルディング事業

取得:約600億円

入替えによる回収:約200億円

既存たな卸資産の売却による回収:約340億円

 

 上記に記載した各KPI及び投資計画は、いずれも現時点における目標値又は計画値であって、その実現を保証するものではなく、実績値はこれらと大きく乖離する可能性があります。また、これらのKPI及び投資計画については経営環境の変化等に伴い、随時見直されることがあります。これらのKPI及び投資計画の達成を困難にする可能性がある主要なリスク要因については、後記「2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

 なお、当連結会計年度においては、当社の元従業員の不正行為が発覚いたしました。株主の皆様をはじめ取引先及び関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。

 当社におきましては、役職員の意識改革、管理体制の強化・充実等、内部通報制度の充実等の再発防止策を着実に実行しており、さらなるコンプライアンスの強化を徹底してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループでは、事業遂行上のリスクを「リスク管理委員会」にて把握・検討し、対象となるリスク及び管理の所在等を明確にしております。また、リスクを適切に管理・統制すると共に、リスクの顕在化を可能な限り防止し、顕在化した場合はその影響を最小限にとどめるため、リスクマネジメント体制を整備しております。

 

(1)賃貸事業について

 当社グループは、賃貸事業において証券取引所、オフィス、商業施設、住宅等の開発・賃貸・管理・運営等を行っておりますが、このうち企業向けオフィスビルの賃貸が賃貸事業セグメントの営業利益の過半を占めております(なお、当社グループでは、2021年3月期よりセグメントの名称を変更しており、賃貸事業セグメントはビルディング事業セグメントとなります。)。

 オフィス賃貸事業は、地価の動向等のほかに、経済情勢の悪化など様々な要因によって、新規入居や退去の状況、賃料改定動向等の賃貸市況が変化し、賃貸料の水準や稼働率が影響を受ける可能性があり、これらの結果、賃貸収益が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、景気変動による賃貸料減少の影響を相対的に受けにくいと判断している東京都心3区、地方主要都市を中心に賃貸事業を展開することなどにより、賃貸収益が大きく減少するリスクの低減を図っておりますが、当該地域における賃貸料や稼働率が当社が想定する以上に景気変動による影響を受けた場合などには、当社グループの賃貸収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発について

 当社グループでは日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発を行っておりますが、既存ビルの取壊し等の際には、テナントの立ち退きに関する費用や建物の除却損等により特別損失が発生することがあります。また、現在賃貸収益を得ている既存の賃貸事業資産を再開発する際には、開発期間中は当該資産からの賃貸収益が減少することがあります。さらに、不動産開発に際しては、計画的な事業計画の立案・推進等を行っておりますが、当社が計画時に想定していなかった事情により、地価や建築費等の上昇、開発にかかる許認可手続きの遅延、関係者との合意形成期間の長期化、建設工事等の不備やオフィス市況の悪化によるテナント誘致の遅延等が生じることにより、想定外の費用発生やプロジェクトの遅延もしくは中止による賃貸収益の減少等を余儀なくされる場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)不動産ソリューション事業について

 当社グループは、不動産ソリューション事業において収益用不動産の開発、売却、運用及びマネジメント、住宅の開発及び販売並びに不動産の仲介等を行っております(なお、当社グループでは、2021年3月期よりセグメントの名称を変更しており、不動産ソリューション事業セグメントはアセットマネジメント事業セグメントとなります。)。

 不動産ソリューション事業においては、景気動向や不動産市場における需要の悪化等による投資の採算性の低下、今後の金利及び地価の動向、競合の状況、開発用地の仕入れの状況、共同事業者の破綻、開発の遅延、税制の変更等により、想定どおりの収益を獲得できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、収益用不動産の取得から売却までの期間を短縮すること等により、売却までに景気変動等の影響を受ける可能性の低減を図っておりますが、当社が想定しない事情が生じた場合や、想定どおりの時期に売却できない場合等においては、想定した収益を獲得できない可能性があります。また、住宅分譲事業については、現在進行中のプロジェクトはありませんが、今後住宅分譲事業を行う場合には、大型物件の竣工及び引渡し等による業績変動、共同事業者の破綻、供給過剰による販売競争の激化等により、想定どおりの収益を獲得できない可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)賃貸事業資産及び収益用不動産への投資と有利子負債残高の推移について

 当社グループは、収益力の強化・安定を目指し、賃貸事業資産及び収益用不動産の取得や建替え、開発等を進めておりますが、その取得資金や建設資金等を主に有利子負債により調達していることから、金融情勢や金利の動向等によっては金融費用が増加し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループは、有利子負債残高及びネットD/Eレシオを適切な水準に維持し、有利子負債の調達の大半を長期による借入とし、借入の大半について金利を固定化して金利変動による影響を少なくするべく対処しておりますが、金融情勢や金利の動向等の環境が当社グループの想定と異なる状況となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、過去5連結会計年度における有利子負債残高及びネットD/Eレシオ等は、次のとおりであります。

 

 区   分

第96期

  2015年4月1日~
2016年3月31日

第97期

  2016年4月1日~

2017年3月31日

第98期

  2017年4月1日~
2018年3月31日

第99期

  2018年4月1日~
2019年3月31日

第100期

  2019年4月1日~
2020年3月31日

有利子負債残高(百万円)

160,232

157,051

155,786

184,672

186,977

ネット有利子負債残高(百万円)

144,745

137,813

142,492

171,733

158,208

ネットD/Eレシオ(倍)

1.5

1.4

1.4

1.6

1.5

 (注)有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金、長期未

    払金(一部)であります。ネットD/Eレシオは、ネット有利子負債(有利子負債から現金及び預金・有価証券を

    減じたもの)を純資産で除したものであります。

 

 

(5)資産価格の変動について

 当社グループが保有する賃貸事業資産については、概ね外部の不動産鑑定会社による鑑定評価等の価格評価を毎期末に取得しており、資産価格の変動を注視しておりますが、今後の不動産市況の動向等により、当社グループが保有する不動産の価格が下落した場合等には、減損損失及び棚卸資産に対する評価損の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)繰延税金資産に係る財務上の影響について

 当社グループは、将来の課税所得の見積り等に基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。当社グループの経営計画に基づき将来の課税所得を見積っておりますが、景気変動、不動産市況、金融情勢の変化等により、計画どおりに推移せず、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を回収できないと判断した場合、あるいは税制関連の法令改正がなされ、法人税率の引き下げ等が行われた場合、繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(7)三菱地所株式会社との資本業務提携について

 当社は、2011年2月17日付で、三菱地所株式会社との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)契約を締結しました。現在、同契約に基づき、三菱地所株式会社との間で密接な事業上の協働関係を構築のうえ、日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組みを中心に事業シナジーを最大化させるべく本資本業務提携に取り組んでおりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、本資本業務提携について当初期待した効果が得られない可能性があるほか、将来、何らかの事由により本資本業務提携が終了する可能性もあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自然災害等について

 地震その他の自然災害、事故やテロその他の人災により所有資産が劣化または消滅することにより修繕、建替のために多額の支出を余儀なくされたり、賃貸収益が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、保有資産に対する防災機能の強化及びBCP対策の強化等の施策により、自然災害等による影響の低減を図っておりますが、当社の想定しない事情が生じた場合には、これらの施策による効果が得られない可能性があります。

 

(9)不動産関連法制について

 当社グループの各事業には、借地借家法、建築基準法、都市計画法等、各種法規制が適用されております。将来、これらの法規制が改正された場合や、新たな法規制が設けられた場合には、新たな義務や費用負担の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、法規制改正情報等の早期入手、弁護士による見解入手、許認可行政機関との円滑なコミュニケーション等を行っておりますが、このような施策にも関わらず、当社の想定と異なる法規制の改正や新規制定が行われる可能性があります。

 

(10)当社の元従業員による不正行為について

 当社グループは、内部統制システムの整備・維持を図り各種法令等の遵守に努めております。2019年に発生した当社の元従業員による不正行為を踏まえ、役職員の意識改革、管理体制の強化・充実等、内部通報制度の充実、不正行為に対する厳格な対応等の再発防止策を徹底しておりますが、これらの施策にも関わらず、従業員による不正行為があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(11)新型コロナウイルス感染拡大について

 わが国経済の先行きについては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい状況が継続すると見込まれ、国内外経済をさらに下振れさせるリスクや金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、賃貸事業(ビルディング事業)においては、ワークスタイル及びライフスタイルの多様化等の様々な変化や入居テナントの業績悪化等による賃貸料の減額・退去リスク、日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発においては、工事現場における感染者発生等による工期遅延リスク及び新規テナントの入居時期延期等による賃料発生日変更リスク、不動産ソリューション事業(アセットマネジメント事業)においては、不動産投資意欲の低下及びリスクプレミアムの上昇により収益用不動産の売却価格が下落するリスク、財務状況においては、金融機関の貸出姿勢の変化による資金調達環境が悪化するリスク等が生じていると判断しております。当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大に関するこれらのリスクが顕在化した場合に想定される当社グループの業績及び財務状況に与える影響の程度を勘案し、現時点では当社の既存のリスクマネジメント体制によりリスクマネジメントを行っております。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループへの業績及び財務状況に想定を超える影響を与える可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等が継続したものの、2019年10月に実施された消費税の増税、米中通商問題等による海外経済の不確実性の高まりに加え、世界的に広がる新型コロナウイルスの感染拡大の影響による国内外の経済の下振れリスクや金融資本市場の変動の影響等により、先行きが懸念される不透明な状況で推移いたしました。

 不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、景気回復を背景とした企業の移転、拡張等に伴うオフィス需要により空室率が低水準で推移し、賃料水準の上昇傾向が継続いたしました。不動産投資市場については、良好な資金調達環境を背景に積極的な物件取得は継続しており、J-REIT市場は堅調に推移いたしました。一方、足許においては、新型コロナウイルスの感染拡大が不動産市況に与える影響に対する懸念が強まっております。

 このような事業環境のもと、当社グループは、2017年度から2019年度までの中長期経営計画 over the “NEXT DECADE”フェーズⅡにおいて、日本橋兜町・茅場町再開発プロジェクトの着実な推進等により、持続的な企業価値向上を目指して事業成長基盤を構築する期間と位置付け、事業に取り組んでまいりました。

 この結果、当社グループの連結業績につきましては、売上高は466億39百万円(前期比71億59百万円、18.1%増)、営業利益は109億3百万円(同15億68百万円、16.8%増)、経常利益は100億6百万円(同15億75百万円、18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は70億46百万円(同8億72百万円、14.1%増)となり、中長期経営計画計over the “NEXTDECADE”において計数目標として掲げた2023年度の連結営業利益100億円台を4年間前倒しで達成するとともに過去最高益を更新いたしました。

 事業別の概況は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

比較

売上高

営業利益

売上高

営業利益

売上高

営業利益

賃貸事業

20,311

7,158

22,508

9,080

2,196

1,922

不動産ソリューション事業

17,493

3,398

22,136

3,128

4,642

△270

その他の事業

1,674

202

1,995

180

320

△21

調整額

△1,424

△1,485

△61

39,480

9,335

46,639

10,903

7,159

1,568

 前連結会計年度及び当連結会計年度における主要な顧客ごとの売上高及び売上高に対する当該割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

合同会社Asil札幌

12,000

25.7

平和不動産リート投資法人

4,658

11.8

A社

6,142

15.6

B社

5,000

12.7

 (注)1.当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。

    2.A社およびB社との契約上守秘義務を負っているため、社名の公表は控えております。

 

  (1)賃貸事業

 賃貸事業のうち、ビル賃貸収益は、前期に取得したホテルエミシア札幌(北海道札幌市)及び栄サンシティービル(愛知県名古屋市)並びに第2四半期に取得したソララプラザ(宮城県仙台市)の賃貸収益貢献及び東京証券取引所ビル(東京都中央区)をはじめとした保有資産の賃料増額改定等により、205億60百万円(前期比17億93百万円、9.6%増)となりました。この内訳は、証券取引所賃貸収益33億17百万円、一般オフィス賃貸収益139億31百万円、商業施設賃貸収益33億11百万円であります。これに賃貸資産売上高等を含めた本事業の売上高は225億8百万円(同21億96百万円、10.8%増)、営業利益は上記に加え、前期に計上した兜町第5平和ビル(東京都中央区)の改築に伴う修繕費の減少等により、90億80百万円(同19億22百万円、26.9%増)となりました。

 なお、当連結会計年度末における当社の賃貸用ビルの空室率は、1.72%となりましたが、これは日本橋兜町・茅場町再開発のための貸し止めを含んでおり、これを除くと1.22%であります。

 

<売上高の内訳>                                      (単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

面積(㎡)

金額

面積(㎡)

金額

土地賃貸収益

賃貸面積       3,380.75

107

賃貸面積       3,380.75

111

ビル賃貸収益

賃貸面積    391,248.12

18,766

賃貸面積    402,575.70

20,560

内、転貸面積     452.54

内、転貸面積     163.96

賃貸資産売上高

549

1,080

その他

888

756

20,311

22,508

 

  (2)不動産ソリューション事業

 不動産ソリューション事業のうち、マネジメントフィーは11億96百万円(前期比1億14百万円、8.7%減)、開発不動産売上高はたな卸資産の売却が増加したことから180億50百万円(同47億67百万円、35.9%増)となりました。これに開発不動産賃貸収益等及び仲介手数料を加えました本事業の売上高は、221億36百万円(同46億42百万円、26.5%増)、営業利益はたな卸資産売却益の減少等により31億28百万円(同2億70百万円、8.0%減)となりました。

 

<売上高の内訳>                                      (単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

比較

マネジメントフィー

1,310

1,196

△114

開発不動産売上高

13,282

18,050

4,767

開発不動産賃貸収益等

1,962

2,058

96

仲介手数料

938

831

△106

17,493

22,136

4,642

 

  (3)その他の事業

 その他の事業の売上高は19億95百万円(前期比3億20百万円、19.1%増)、営業利益は1億80百万円(同21百万円、10.8%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ154億55百万円増加し、271億66百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益99億72百万円、減価償却費48億14百万円等及びたな卸資産の減少128億81百万円等により、286億80百万円の資金の増加となりました。(前期は127億80百万円の減少)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出117億51百万円等により、114億27百万円の資金の減少となりました。(前期は129億46百万円の減少)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入226億円及び長期未払金の増加による収入40億円があった一方、短期借入金の減少50億円、長期借入金の返済による支出144億70百万円、社債の償還による支出48億24百万円、自己株式の取得による支出21億5百万円及び配当金の支払額20億27百万円等により、18億29百万円の資金の減少となりました。(前期は246億52百万円の増加)

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

項目

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率

 32.3%

 33.3%

 34.9%

 32.5%

 31.6%

時価ベースの自己資本比率

 19.0%

 21.4%

 27.2%

 24.6%

 31.2%

債務償還年数

16.1年

7.5年

11.6年

- 年

6.5年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

 5.8倍

 14.5倍

 10.4倍

- 倍

 22.8倍

ネットD/Eレシオ

1.5倍

1.4倍

1.4倍

1.6倍

1.5倍

 (注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

              自己資本比率:自己資本/総資産
           時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
           債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
           インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
           ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現金及び預金・有価証券)/純資産
2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長

   期借入金、社債、長期借入金、長期未払金(一部)であります。また、利払いは、連結損益計算書に計上さ

   れている支払利息を使用しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し

  ております。

4.2019年3月期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュフローがマイナス

  であるため記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、2017年度から2019年度までの中長期経営計画 over the “NEXT DECADE”フェーズⅡにおいて、日本橋兜町・茅場町再開発プロジェクトの着実な推進等により、持続的な企業価値向上を目指して事業成長基盤を構築する期間と位置付け、事業に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトの第1弾プロジェクトとなるKABUTO ONE(東京都中央区)の事業化に成功し、ソララプラザ(宮城県仙台市)の取得による外部成長及び賃料増額改定による内部成長等を実行いたしました。こうした取り組みにより、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、前連結会計年度及び当連結会計年度に取得した賃貸事業資産の収益貢献及び好調に推移した賃貸オフィス市場を背景とした東京証券取引所ビルなどの保有資産の賃料増額改定等により、営業利益は109億3百万円(前期比15億68百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は70億46百万円(前期比同8億72百万円増)となり、公表しております期初の業績予想である営業利益100億円、親会社株主に帰属する当期純利益64億円を達成いたしました。さらには、中長期経営計画over the “NEXT DECADE”において計数目標として掲げた2023年度の連結営業利益100億円台を当連結会計年度に4年間前倒しで達成するとともに過去最高益を更新いたしました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、特に主たる要因としては、国内経済の動向や賃貸オフィス市況及び不動産投資市場等の不動産市況の動向等が挙げられます。

 また、当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較

資産

335,572

339,545

3,973

負債

226,496

232,243

5,747

純資産

109,075

107,302

△1,773

有利子負債

184,672

186,977

2,304

(注)有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金、長期未払

   金(一部)であります。

 

(資産)
 当連結会計年度末における資産合計は3,395億45百万円となり、前連結会計年度末比39億73百万円の増加となりました。これは販売用不動産130億75百万円及び投資有価証券68億円の減少等があった一方、ソララプラザ(宮城県仙台市)の取得及びKABUTO ONE(東京都中央区)の建築費の支払い等に伴う有形固定資産82億23百万円の増加、現金及び預金59億55百万円及び有価証券98億74百万円の増加等によるものです。

 なお、当連結会計年度末における賃貸等不動産及び賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産に関する連結貸借対照表計上額は2,440億49百万円(期中増額78億17百万円)、時価は3,635億45百万円(期中増額239億92百万円)となっております。

 

(負債)
 当連結会計年度末における負債合計は2,322億43百万円となり、前連結会計年度末比57億47百万円の増加となりました。これは有利子負債23億4百万円、未払法人税等19億27百万円及び未払消費税等13億23百万円の増加等によるものです。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1,869億77百万円、ネットD/Eレシオ1.5倍となりました。中長期経営計画フェーズⅡの計数目標としてネットD/Eレシオ1.5倍以下を掲げておりましたが、当該水準の範囲内となっております。

 

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産合計は1,073億2百万円となり、前連結会計年度末比17億73百万円の減少となりました。これは利益剰余金13億30百万円の増加等があった一方、その他有価証券評価差額金36億47百万円の減少があったことによるものです。

 なお、当連結会計年度において自己株式800,000株の取得、自己株式1,200,000株の消却を実施し、資本効率の向上に努めるとともに、安定的な株主還元の実現に向けた具体的な対応を実行いたしました。

 

 また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(財政状態の分析)

 当連結会計年度末におけるセグメントごとの資産の状況は、賃貸事業の資産はソララプラザ(宮城県仙台市)の取得及びKABUTO ONE(東京都中央区)の建築費支払い等により、前期比で67億2百万円増加し、2,550億8百万円となりました。また、不動産ソリューション事業においてはたな卸資産の売却等により、前期比で178億44百万円減少し、425億31百万円となりました。

 

<セグメントごとの資産の状況>                               (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較

賃貸事業

248,306

255,008

6,702

不動産ソリューション事業

60,375

42,531

△17,844

その他の事業

174

1,599

1,424

調整額

26,716

40,407

13,691

連結財務諸表計上額

335,572

339,545

3,973

 

(経営成績の分析)

 セグメントごとの経営成績の状況については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源については、主に事業活動から生じるキャッシュイン、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達となっており、これら調達した資金を運転資金、再開発事業やビルディング事業等の成長投資、株主還元及び安定的な経営のための内部留保にバランス良く配分いたします。なお、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業資産の運営費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用及び支払利息等の営業外費用であります。

 また、ネットD/Eレシオを財務規律の指標と位置付け、資本政策、財務規律の適切な水準を維持することを基本方針としており、当連結会計年度末における借入金及び社債等の有利子負債残高は1,869億77百万円、有利子負債から現金及び預金・有価証券を減じたネット有利子負債残高は1,582億8百万円、ネットD/Eレシオは1.5倍となっております。

 なお、当社グループの配当の方針につきましては、再開発事業やビル賃貸事業をはじめとする長期的な事業を安定的に展開し、企業価値を増大させるために必要となる内部留保の重要性を考慮しつつ、中長期的な連結配当性向の水準を30%程度とすることを目標に利益配分を実施することを基本方針としております。当該方針に基づき、当連結会計年度の配当金の総額は21億25百万円、連結配当性向30.3%を見込んでおります。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、当社の筆頭株主である三菱地所株式会社と下記の資本業務提携契約を締結しております。

 相手先

契約締結日

内容

三菱地所株式会社

 2011年2月17日

日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組み等の推進について、包括的な協働関係を構築し、当該事業及びその関連事業に係るノウハウの相互提供並びに顧客基盤の相互提供を行うもの。

 

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。