第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 今後のわが国経済は、政府による各種政策の効果等もあって、持ち直していくことが期待されているものの、新型コロナウイルス感染拡大の動向が内外経済に与える影響を引き続き注視する必要があります。

 不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、ワークスタイルおよびライフスタイルの多様化等の様々な変化等が賃貸オフィスの需要へ与える影響に留意が必要です。また、不動産投資市場については、金融緩和等に支えられ、不動産投資家の積極的な投資姿勢が継続することが見込まれます。

 このような事業環境のもと、当社グループでは2020年度から2023年度までを計画期間とした中期経営計画「Challenge & Progress」において、以下の事業戦略に取り組んでおります。

 

◇平和不動産グループが目指す姿

 「街づくりに貢献する会社」として、環境・社会課題の解決や各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて満足度を高めることにより、サステナブルな社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を図ります。

 

「街づくりに貢献する会社としてサステナブルな社会の実現への貢献」

 日本橋兜町・茅場町の再活性化、札幌再開発事業、アセットマネジメント等に取り組み、環境・防災力に配慮した安心・安全な街づくりを推進し、サステナブルな社会の実現に貢献いたします。

 

「上場不動産会社としての株主価値の向上」

 当社グループが持つ企業価値の源泉を最大限に活用し、不動産の付加価値を創出・実現することにより、資本効率を高め、株主へ還元することにより株主価値を向上いたします。

 

◇中期経営計画「Challenge & Progress」(2020年度〜2023年度)の位置付け

 日本橋兜町・茅場町再活性化、札幌再開発の事業化、外部成長・内部成長を通じた付加価値創出のビジネスモデルに転換するとともに、サステナビリティ施策の推進による社会課題の解決に貢献することにより、「街づくりに貢献する会社」として挑戦・飛躍をしていく期間と位置付けます。

 

◇事業戦略(2020年度〜2023年度)

 (1)再開発事業

 ①日本橋兜町・茅場町の再活性化

 KABUTO ONEに加え、新たなプロジェクトを始動させることにより、街づくりをカタチにするとともに、街づくり対象エリア全体の賑わい創出や「国際金融都市・東京」構想への貢献等に取り組むことによりサステナブルかつ多様性のある街づくりを推進いたします。

 ②札幌再開発事業化の推進

 道銀ビルディング再開発を事業化するとともに、札幌駅南口北4西3地区(札幌駅前合同ビル所在街区)市街地再開発事業に参画することにより、札幌再開発事業を本格的に推進いたします。

 

 (2)ビルディング事業

 ①外部成長・内部成長等の推進

 新規賃貸資産の取得によりポートフォリオを積み上げるとともに、ポートフォリオ入替えの過程において物件売却益を獲得いたします。また、賃貸オフィス市場の動向に基づいた賃料増額改定を実行することによりポートフォリオの収益性向上を図ります。

 ②環境性能・防災力の向上を目的としたサステナブルなビル運営等の推進

 環境配慮、防災力向上等の社会課題解決に対応したビル運営・設備投資を実施することにより、長期的な目線においてCO2の削減等に取り組みます。

 

 (3)アセットマネジメント事業

 ①アセットマネジメント収益等の拡大

 平和不動産リート投資法人の成長サポート等により、アセットマネジメントフィー等の当社グループ収益の拡大を図ります。

 ②たな卸資産の売却等による収益獲得

 開発、リースアップ、リニューアル工事等を行い、価値を最大化した上での収益物件売却やHFレジデンスシリーズの開発等により、収益の獲得を目指します。

 (4)コーポレート

 ①資本コストおよび資本効率を意識した資本政策の推進

 資本コストおよび資本効率を意識した資本政策を推進するため、KPIとして2020年度から2023年度の期間において、ROE6%以上、連結総還元性向70%程度(2023年までに連結配当性向50%程度)の目標を設定いたします。

 ②コーポレート・ガバナンスの強化

 政策保有株式の縮減、役員報酬体系の継続検討等により、コーポレート・ガバナンスの更なる強化を図ります。また、役職員のコンプライアンス意識の向上をはじめとしたコンプライアンス強化を推進いたします。

 ③サステナビリティ経営の実践

 サステナブルな社会および成長を実現するため、企業活動を通じて社会課題の解決、SDGsへの貢献に取り組むため、サステナビリティ委員会を設置し、経営陣および幹部社員がPDCAをモニタリングすることにより実効性を高めます。また、従業員の健康増進、社内コミュニケーションの強化を図り、組織の活力を高めることにより企業価値向上を目指します。

 

◇計数計画

 (1)KPI

 資本コストを意識し、ROE目標を設定したうえで、現在の不動産市況の投資リターン水準を踏まえた内部留保(株主還元)の水準を設定いたします。

利益目標

EPS

200円以上

(2023年度)

連結営業利益

120億円以上(※)

(2023年度)

資本効率

ROE

6%以上

(2020年度~2023年度)

株主還元

連結総還元性向

70%程度(2020年度~2023年度)

<2023年度までに配当性向50%程度>

 

(参考)財務健全性:ネットD/Eレシオ1.8倍以下

(※)連結営業利益内訳

    ・ビルディング事業:118億円

    ・アセットマネジメント事業:18億円

    ・全社消去・その他:△16億円

 

 (2)投資計画(2020年度〜2023年度)

事業

投資額

再開発事業

約320億円

(内訳)

日本橋兜町・茅場町:約220億円

札幌:約100億円

ビルディング事業

取得:約600億円

入替えによる回収:約200億円

既存たな卸資産の売却による回収:約340億円

 

 上記に記載した各KPI及び投資計画は、いずれも現時点における目標値又は計画値であって、その実現を保証するものではなく、実績値はこれらと大きく乖離する可能性があります。また、これらのKPI及び投資計画については経営環境の変化等に伴い、随時見直されることがあります。これらのKPI及び投資計画の達成を困難にする可能性がある主要なリスク要因については、後記「2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループでは、事業遂行上のリスクを「リスク管理委員会」にて把握・検討し、対象となるリスク及び管理の所在等を明確にしております。また、リスクを適切に管理・統制すると共に、リスクの顕在化を可能な限り防止し、顕在化した場合はその影響を最小限にとどめるため、リスクマネジメント体制を整備しております。

 

(1)ビルディング事業について

 当社グループは、ビルディング事業において証券取引所、オフィス、商業施設、住宅等の開発・賃貸・管理・運営等を行っておりますが、このうち企業向けオフィスビルの賃貸がビルディング事業セグメントの営業利益の過半を占めております。

 オフィス賃貸事業は、地価の動向等のほかに、経済情勢の悪化など様々な要因によって、新規入居や退去の状況、賃料改定動向等の賃貸市況が変化し、賃貸料の水準や稼働率が影響を受ける可能性があり、これらの結果、賃貸収益が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、景気変動による賃貸料減少の影響を相対的に受けにくいと判断している東京都心3区、地方主要都市を中心にビルディング事業を展開することなどにより、賃貸収益が大きく減少するリスクの低減を図っておりますが、当該地域における賃貸料や稼働率が当社が想定する以上に景気変動による影響を受けた場合などには、当社グループの賃貸収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発について

 当社グループでは日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発を行っておりますが、既存ビルの取壊し等の際には、テナントの立ち退きに関する費用や建物の除却損等により特別損失が発生することがあります。また、現在賃貸収益を得ている既存の賃貸事業資産を再開発する際には、開発期間中は当該資産からの賃貸収益が減少することがあります。さらに、不動産開発に際しては、計画的な事業計画の立案・推進等を行っておりますが、当社が計画時に想定していなかった事情により、地価や建築費等の上昇、開発にかかる許認可手続きの遅延、関係者との合意形成期間の長期化、建設工事等の不備やオフィス市況の悪化によるテナント誘致の遅延等が生じることにより、想定外の費用発生やプロジェクトの遅延もしくは中止による賃貸収益の減少等を余儀なくされる場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)アセットマネジメント事業について

 当社グループは、アセットマネジメント事業において収益用不動産の開発、売却、運用及びマネジメント、住宅の開発及び販売並びに不動産の仲介等を行っております。

 アセットマネジメント事業においては、景気動向や不動産市場における需要の悪化等による投資の採算性の低下、今後の金利及び地価の動向、競合の状況、開発用地の仕入れの状況、共同事業者の破綻、開発の遅延、税制の変更等により、想定どおりの収益を獲得できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、収益用不動産の取得から売却までの期間を短縮すること等により、売却までに景気変動等の影響を受ける可能性の低減を図っておりますが、当社グループが想定しない事情が生じた場合や、想定どおりの時期に売却できない場合等においては、想定した収益を獲得できない可能性があります。また、住宅分譲事業については、現在進行中のプロジェクトはありませんが、今後住宅分譲事業を行う場合には、大型物件の竣工及び引渡し等による業績変動、共同事業者の破綻、供給過剰による販売競争の激化等により、想定どおりの収益を獲得できない可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当社グループでは、従来「アセットマネジメント事業」に属していた、販売用不動産の開発・売却・運用等及び固定資産の取得・売却を行っている不動産投資事業部を2022年3月期より「ビルディング事業」に変更する旨の報告セグメントの変更を行っております。これに伴い、本項目に記載のリスクについては2022年3月期からビルディング事業のリスクとなります。

 

(4)賃貸事業資産及び収益用不動産への投資と有利子負債残高の推移について

 当社グループは、収益力の強化・安定を目指し、賃貸事業資産及び収益用不動産の取得や建替え、開発等を進めておりますが、その取得資金や建設資金等を主に有利子負債により調達していることから、金融情勢や金利の動向等によっては金融費用が増加し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループは、有利子負債残高及びネットD/Eレシオを適切な水準に維持し、有利子負債の調達の大半を長期による借入とし、借入の大半について金利を固定化して金利変動による影響を少なくするべく対処しておりますが、金融情勢や金利の動向等の環境が当社グループの想定と異なる状況となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、過去5連結会計年度における有利子負債残高及びネットD/Eレシオ等は、次のとおりであります。

 

 区   分

第97期

  2016年4月1日~

2017年3月31日

第98期

  2017年4月1日~
2018年3月31日

第99期

  2018年4月1日~
2019年3月31日

第100期

  2019年4月1日~
2020年3月31日

第101期

  2020年4月1日~
2021年3月31日

有利子負債残高(百万円)

157,051

155,786

184,672

186,977

215,727

ネット有利子負債残高(百万円)

137,813

142,492

171,733

158,208

186,025

ネットD/Eレシオ(倍)

1.4

1.4

1.6

1.5

1.6

 (注)有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金、長期未

    払金(一部)であります。ネットD/Eレシオは、ネット有利子負債(有利子負債から現金及び預金・有価証券を

    減じたもの)を純資産で除したものであります。

 

 

(5)資産価格の変動について

 当社グループが保有する賃貸事業資産については、一部の少額資産を除き外部の不動産鑑定会社による鑑定評価等の価格評価を毎期末に取得しており、資産価格の変動を注視しておりますが、今後の不動産市況の動向等により、当社グループが保有する不動産の価格が下落した場合等には、減損損失及び棚卸資産に対する評価損の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)繰延税金資産に係る財務上の影響について

 当社グループは、将来の課税所得の見積り等に基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。当社グループの経営計画に基づき将来の課税所得を見積っておりますが、景気変動、不動産市況、金融情勢の変化等により、計画どおりに推移せず、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を回収できないと判断した場合、あるいは税制関連の法令改正がなされ、法人税率の引き下げ等が行われた場合、繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(7)三菱地所株式会社との資本業務提携について

 当社は、2011年2月17日付で、三菱地所株式会社との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)契約を締結しました。現在、同契約に基づき、三菱地所株式会社との間で密接な事業上の協働関係を構築のうえ、日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組みを中心に事業シナジーを最大化させるべく本資本業務提携に取り組んでおりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、本資本業務提携について当初期待した効果が得られない可能性があるほか、将来、何らかの事由により本資本業務提携が終了する可能性もあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自然災害等について

 地震その他の自然災害、事故やテロその他の人災により保有資産が劣化または消滅することにより修繕、建替のために多額の支出を余儀なくされたり、賃貸収益が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、保有資産に対する防災機能の強化及びBCP対策の強化等の施策により、自然災害等による影響の低減を図っておりますが、当社グループの想定しない事情が生じた場合には、これらの施策による効果が得られない可能性があります。

 

(9)不動産関連法制について

 当社グループの各事業には、借地借家法、建築基準法、都市計画法等、各種法規制が適用されております。将来、これらの法規制が改正された場合や、新たな法規制が設けられた場合には、新たな義務や費用負担の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、法規制改正情報等の早期入手、弁護士による見解入手、許認可行政機関との円滑なコミュニケーション等を行っておりますが、このような施策にもかかわらず、当社グループの想定と異なる法規制の改正や新規制定が行われる可能性があります。

 

(10)従業員による不正リスクについて

 当社グループは、内部統制システムの整備・維持を図り各種法令等の遵守に努めております。役職員の意識改革、管理体制の強化・充実等、内部通報制度の充実、不正行為に対する厳格な対応等の再発防止策を徹底しておりますが、これらの施策にも関わらず、従業員による不正行為があった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(11)サステナビリティに関するリスクについて

 当社グループは、当社グループの経営計画なども踏まえつつ社会課題を洗い出し、当社としての重要度及びステークホルダーにとっての重要度という2軸で検討し、当社が目指す社会価値及びマテリアリティ(重要課題)を特定しており、サステナビリティ経営を重要課題の一つとして認識しています。当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、「(8)自然災害等について」に記載のリスクに加え、環境負荷の小さい不動産開発・運営を求める規制の強化による開発機会の減少や運営費用の増加、環境負荷の小さなオフィスビルへの顧客企業のニーズの変化及びこれらに対応できないことによるレピュテーションの低下などがあります。当社グループは、サステナビリティ経営の実践に向けた、サステナビリティ施策の円滑な推進を目的に、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、「サステナビリティ委員会」を中心に、気候変動などの環境に対する取り組みを含め、サステナビリティ施策に関するPDCAをモニタリングし、重要な内容については取締役会への報告等を行うことにより、サステナビリティ経営の実効性を高めておりますが、これらのリスクへの対応が遅れる場合は、当社グループへの業績及び財務状況に想定を超える影響を与える可能性があります。

 

(12)情報セキュリティに関するリスクについて

 当社グループでは、各事業において個人情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っており、サイバー攻撃、当社グループの役職員によって外部への情報漏えいが発生した場合、当社グループの社会的信用の低下、損害賠償の発生等により、当社グループへの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループは、情報セキュリティ管理体制の確立、基本方針に基づいた社内規定の整備、情報セキュリティの確保に必要な教育等の継続的な実施等による不正アクセス、破壊、情報漏えい、改ざん、紛失、盗難などの脅威から情報資産を確保し、安全性を確保するために、適切な対策の実施に努めておりますが、サイバー攻撃は日々高度化しており、これらの対策によっても全ての情報漏えいを防ぐことができる保証はなく、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループへの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループは業務運営にあたって情報通信システムを用いており、当該システムがサイバー攻撃を受けた場合や当該システムにシステム障害が発生した場合などには一定期間業務運営が停止することなどにより当社グループへの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(13)新型コロナウイルス感染拡大について

 今後のわが国経済は、政府による各種政策の効果等もあって、持ち直していくことが期待されているものの、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により先行きは不透明な状況にあり、新型コロナウイルス感染拡大の動向が内外経済に与える影響については注視する必要があります。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響により、ビルディング事業においては、ワークスタイル及びライフスタイルの多様化等の様々な変化やホテル稼働率の低下、入居テナントの業績悪化等による賃貸料の減額・退去リスク等が生じていると判断しております。また、新型コロナウイルス感染拡大が収束しないか収束までに想定よりも時間がかかる場合は、日本橋兜町・茅場町再開発等の不動産開発においては、工事現場における感染者発生等による工期遅延リスクアセットマネジメント事業においては、不動産投資意欲の低下及びリスクプレミアムの上昇により収益用不動産の売却価格が下落するリスク、財務状況においては、金融機関の貸出姿勢の変化による資金調達環境が悪化するリスク等が生じる可能性があると判断しております。当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大に関するこれらのリスクが顕在化した場合に想定される当社グループの業績及び財務状況に与える影響の程度を勘案し、現時点では当社の既存のリスクマネジメント体制によりリスクマネジメントを行っております。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループへの業績及び財務状況に想定を超える影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、依然として厳しい状況で推移いたしました。足許においては、政府による各種政策の効果等もあって、持ち直していくことが期待されているものの、それらの効果は不透明な部分もあり、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある状況です。

 不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモートワークの普及等によって、空室率の上昇等が見られました。不動産投資市場については、良好な資金調達環境と新型コロナウイルスの影響が比較的軽微なわが国の不動産に対する投資家の高い投資意欲を背景に、積極的な物件取得は継続しており、堅調に推移いたしました。一方、新型コロナウイルスの感染拡大が不動産市況に与える影響については、引き続き注視する必要があります。

 このような事業環境のもと、当社グループでは2020年4月30日に公表した中期経営計画「Challenge & Progress」の事業戦略に沿い、再開発事業の推進、外部成長をはじめとしたビルディング事業、アセットマネジメント事業等に取り組むことにより、企業価値の向上に努めてまいりました。また、在宅勤務の実施、ウェブ会議システム等の活用、社内手続きの電子化等により、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めてまいりました。

 この結果、当社グループの連結業績につきましては、売上高は350億48百万円(前期比115億90百万円、24.9%減)、営業利益は112億28百万円(同3億24百万円、3.0%増)、経常利益は102億44百万円(同2億38百万円、2.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は71億18百万円(同72百万円、1.0%増)となり、過去最高益を更新いたしました。

 なお、当連結会計年度より、従来「賃貸事業」及び「不動産ソリューション事業」としていた報告セグメントの名称を「ビルディング事業」及び「アセットマネジメント事業」に変更しております。当該変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 事業別の概況は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

比較

売上高

営業利益

売上高

営業利益

売上高

営業利益

ビルディング事業

22,508

9,080

21,713

8,573

△794

△507

アセットマネジメント事業

22,136

3,128

11,969

3,937

△10,166

809

その他の事業

1,995

180

1,365

84

△630

△95

調整額

△1,485

△1,367

118

46,639

10,903

35,048

11,228

△11,590

324

 前連結会計年度及び当連結会計年度における主要な顧客ごとの売上高及び売上高に対する当該割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

合同会社Asil札幌

12,000

25.7

日本オープンエンド不動産投資法人

8,160

23.3

 (注)当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。

 

  (1)ビルディング事業

 ビルディング事業のうち、ビル賃貸収益は、新型コロナウイルスの影響に伴う減収があった一方、前期に取得したソララプラザ(宮城県仙台市)、今期に取得した兜町第7平和ビル(東京都中央区)、新橋スクエアビル(東京都港区)及び平和不動産日本橋ビル(東京都中央区)の賃貸収益貢献等により、211億10百万円(前期比5億50百万円、2.7%増)となりました。この内訳は、証券取引所賃貸収益33億17百万円、一般オフィス賃貸収益146億17百万円、商業施設賃貸収益31億75百万円であります。これに賃貸資産売上高等を含めた本事業の売上高は217億13百万円(同7億94百万円、3.5%減)、営業利益は上記に加え、営業資産管理費及び固定資産税等の増加等により、85億73百万円(同5億7百万円、5.6%減)となりました。

 なお、当連結会計年度末における当社の賃貸用ビルの空室率は、1.96%となりましたが、これは日本橋兜町・
茅場町再開発のための貸し止めを含んでおり、これを除くと1.50%であります。

 

<売上高の内訳>                                      (単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

面積(㎡)

金額

面積(㎡)

金額

土地賃貸収益

賃貸面積       3,380.75

111

賃貸面積       3,380.75

107

ビル賃貸収益

賃貸面積    402,575.70

20,560

賃貸面積     413,058.42

21,110

内、転貸面積     163.96

内、転貸面積      23.74

賃貸資産売上高

1,080

その他

756

495

22,508

21,713

 

  (2)アセットマネジメント事業

 アセットマネジメント事業のうち、マネジメントフィーは13億43百万円(前期比1億47百万円、12.3%増)、開発不動産売上高はたな卸資産の売却が減少したことから81億60百万円(同98億90百万円、54.8%減)となりました。これに開発不動産賃貸収益等及び仲介手数料を含めた本事業の売上高は、119億69百万円(同101億66百万円、45.9%減)、営業利益はたな卸資産売却益の増加等により39億37百万円(同8億9百万円、25.9%増)となりました。

 

<売上高の内訳>                                      (単位:百万円)

区  分

前連結会計年度

当連結会計年度

比較

マネジメントフィー

1,196

1,343

147

開発不動産売上高

18,050

8,160

△9,890

開発不動産賃貸収益等

2,058

1,778

△280

仲介手数料

831

688

△143

22,136

11,969

△10,166

 

  (3)その他の事業

 その他の事業の売上高は13億65百万円(前期比6億30百万円、31.6%減)、営業利益は84百万円(同95百万円、52.9%減)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ24億19百万円増加し、295億85百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益102億16百万円及び減価償却費50億77百万円等があった一方、法人税等の支払額40億6百万円、利息の支払額13億20百万円、未払消費税等の減少13億20百万円及び営業出資の増加11億99百万円等により、82億92百万円の資金の増加となりました。(前期は286億80百万円の増加)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出268億94百万円、無形固定資産の取得による支出42億31百万円等により、302億円の資金の減少となりました。(前期は114億27百万円の減少)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加30億円、長期借入れによる収入271億50百万円及び社債の発行による収入70億円があった一方、長期借入金の返済による支出63億7百万円、社債の償還による支出20億92百万円、自己株式の取得による支出20億15百万円及び配当金の支払額23億66百万円等により、243億27百万円の資金の増加となりました。(前期は18億29百万円の減少)

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

項目

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

自己資本比率

 33.3%

 34.9%

 32.5%

 31.6%

 31.1%

時価ベースの自己資本比率

 21.4%

 27.2%

 24.6%

 31.2%

 33.7%

債務償還年数

7.5年

11.6年

- 年

6.5年

26.0年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

 14.5倍

 10.4倍

- 倍

 22.8倍

 6.2倍

ネットD/Eレシオ

1.4倍

1.4倍

1.6倍

1.5倍

1.6倍

 (注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

              自己資本比率:自己資本/総資産
           時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
           債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
           インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
           ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現金及び預金・有価証券)/純資産
2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長

   期借入金、社債、長期借入金、長期未払金(一部)であります。また、利払いは、連結損益計算書に計上さ

   れている支払利息を使用しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し

  ております。

4.2019年3月期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナ

  スであるため記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループでは2020年4月30日に公表した中期経営計画「Challenge & Progress」の事業戦略に沿い、再開発事業の推進、外部成長をはじめとしたビルディング事業、アセットマネジメント事業等に取り組むことにより、企業価値の向上に努めてまいりました。当連結会計年度においては、兜町第7平和ビル(東京都中央区)、新橋スクエアビル(東京都港区)及び平和不動産日本橋ビル(東京都中央区)の取得等による外部成長及び賃料増額改定による内部成長等を実行いたしました。当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、ビルディング事業における物件売却益の減少、新型コロナウイルスの影響等があった一方、アセットマネジメント事業におけるたな卸資産売却益が増加したことから、営業利益は112億28百万円(前期比3億24百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は71億18百万円(前期比72百万円増)となり、過去最高益を更新いたしました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、特に主たる要因としては、国内経済の動向や賃貸オフィス市況及び不動産投資市場等の不動産市況の動向等が挙げられます。

 また、当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較

資産

339,545

381,353

41,807

負債

232,243

262,713

30,469

純資産

107,302

118,639

11,337

有利子負債

186,977

215,727

28,749

(注)有利子負債は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金、長期未払

   金(一部)であります。

 

(資産)
 当連結会計年度末における資産合計は3,813億53百万円となり、前連結会計年度末比418億7百万円の増加となりました。これは有価証券129億86百万円の減少等があった一方、兜町第7平和ビル(東京都中央区)、新橋スクエアビル(東京都港区)及び平和不動産日本橋ビル(東京都中央区)の取得、KABUTO ONE(東京都中央区)の建築費の支払い等に伴う有形固定資産163億89百万円及び無形固定資産40億90百万円の増加に加え、現金及び預金139億19百万円、投資有価証券125億13百万円及び販売用不動産56億2百万円の増加等によるものです。

 なお、当連結会計年度末における賃貸等不動産及び賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産に関する連結貸借対照表計上額は2,644億88百万円(期中増額204億39百万円)、時価は3,768億97百万円(期中増額133億52百万円)となっております。

 

(負債)
 当連結会計年度末における負債合計は2,627億13百万円となり、前連結会計年度末比304億69百万円の増加となりました。これは未払法人税等21億71百万円及び未払消費税等13億20百万円の減少等があった一方、有利子負債287億49百万円及び繰延税金負債51億14百万円の増加等によるものです。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は2,157億27百万円、ネットD/Eレシオ1.6倍となりました。中長期経営計画「Challenge & Progress」の計数目標としてネットD/Eレシオ1.8倍以下を掲げておりますが、当該水準の範囲内となっております。

 

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産合計は1,186億39百万円となり、前連結会計年度末比113億37百万円の増加となりました。これは自己株式の取得等による20億8百万円の減少があった一方、その他有価証券評価差額金86億2百万円及び利益剰余金47億43百万円の増加等によるものです。

 なお、当連結会計年度において自己株式625,900株の取得を実施し、資本効率の向上に努めるとともに、安定的な株主還元の実現に向けた具体的な対応を実行いたしました。

 

 また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(財政状態の分析)

 当連結会計年度末におけるセグメントごとの資産の状況は、ビルディング事業の資産は兜町第7平和ビル(東京都中央区)、新橋スクエアビル(東京都港区)及び平和不動産日本橋ビル(東京都中央区)の取得、KABUTO ONE(東京都中央区)の建築費の支払い等により、前期比で259億10百万円増加し、2,809億19百万円となりました。また、アセットマネジメント事業においては保有する平和不動産リート投資法人投資口の時価評価の増加及びたな卸資産の増加等により、前期比で105億49百万円増加し、530億80百万円となりました。

 

<セグメントごとの資産の状況>                               (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較

ビルディング事業

255,008

280,919

25,910

アセットマネジメント事業

42,531

53,080

10,549

その他の事業

1,599

1,552

△46

調整額

40,407

45,801

5,394

連結財務諸表計上額

339,545

381,353

41,807

 

(経営成績の分析)

 セグメントごとの経営成績の状況については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源については、主に事業活動から生じるキャッシュイン、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達となっており、これら調達した資金を運転資金、再開発事業やビルディング事業等の成長投資、株主還元及び安定的な経営のための内部留保にバランス良く配分いたします。なお、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、事業資産の運営費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用及び支払利息等の営業外費用であります。

 また、ネットD/Eレシオを財務規律の指標と位置付け、資本政策、財務規律の適切な水準を維持することを基本方針としており、当連結会計年度末における借入金及び社債等の有利子負債残高は2,157億27百万円、有利子負債から現金及び預金・有価証券を減じたネット有利子負債残高は1,860億25百万円、ネットD/Eレシオは1.6倍となっております。

 なお、当社は、再開発事業やビルディング事業をはじめとする長期的な事業を安定的に展開し、株主価値を向上させるために必要な内部留保の確保を前提とした上で、株主還元を実施しております。資本コスト及び資本効率を意識しつつ、事業投資リターン水準を踏まえ、2020年度から2023年度においては連結総還元性向70%程度を目標に利益還元することを基本方針としております。当該方針に基づき、当連結会計年度の配当金の総額は28億77百万円を見込んでおり、また、当社は、当連結会計年度中総額19億99百万円の自己株式取得を行いました。その結果、当連結会計年度の連結総還元性向は68.5%を見込んでおります。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 また、特に、固定資産の減損及び販売用不動産の評価については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、当社の株主である三菱地所株式会社と下記の資本業務提携契約を締結しております。

 相手先

契約締結日

内容

三菱地所株式会社

 2011年2月17日

日本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組み等の推進について、包括的な協働関係を構築し、当該事業及びその関連事業に係るノウハウの相互提供並びに顧客基盤の相互提供を行うもの。

 

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。