第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針・経営戦略等

 当社グループは、国内航空輸送網の拠点である羽田空港における国内線旅客ターミナルビル等を建設、管理運営する企業として、公共性と企業性の調和を経営の基本理念としております。

 この基本理念の下、今後とも、旅客ターミナルビルにおける絶対安全の確立、お客様本位の旅客ターミナルビル運営、安定的かつ効率的な旅客ターミナルビル運営に努めることにより確実に社会的責任を果たしてまいります。

 また、グループ全体の継続的な企業価値の向上を図るため、戦略的かつ適切な投資の実行及び投資管理によるさらなる旅客ターミナルビルの利便性、快適性及び機能性の向上や顧客ニーズの高度化・多様化に的確に対応するとともに、航空会社、空港利用者、取引先、株主等関係者への適切な還元を心がけることを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループにおいて、これまで東京国際空港ターミナル株式会社(以下、TIAT)が、連結財務諸表に持分法適用会社として反映されていたことから「ROA(経常利益)」を当社グループの総合力指標としていましたが、今後は連結子会社として反映されるため「ROA(EBITDA)」を総合力指標に変更し、新たに「営業利益率」を収益性指標とします。また、TIAT連結子会社化により、安定性指標である自己資本比率が大幅に低下いたしましたが、早期の安定を目指してまいります。

 

(3) 経営環境・対処すべき課題等

 当社グループは、全てのステークホルダーに満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し、持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして「To Be a World Best Airport」を掲げました。その長期ビジョンに基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し、羽田空港の“あるべき姿”の追求、強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化、収益基盤再構築・競争優位の確立を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取組んでおります。

 現在、国土交通省では2020年東京オリンピック・パラリンピックとその先を見据えた首都圏空港の機能強化に取組むほか、万全なセキュリティ・セイフティに向けた取組みとして、テロ対策の強化や安全な運航の確保、官民が連携したインフラ分野のサイバーセキュリティの強化を目指す取組みも進められております。また、世界最高水準の旅客サービス実現に向けて、最先端の技術の活用による航空イノベーションも推進されております。

 当社におきましても、こうした課題への対応として、国際線施設建設工事を推進していることに加え、内際旅客ターミナル一体運用への対応など、供用開始後の運用に関する準備も進めております。また、旅客ターミナルにおける絶対安全の確立という経営方針のもと、ハード面とソフト面において様々な安全対策を行っており、減災対策として旅客ターミナルの一部天井の落下防止工事を進めるとともに、空港が重要インフラ分野に指定されていることから、サイバーセキュリティの強化に資する取組みを進めるなど、今後もあらゆる面で安全対策に対する投資を積極的に行ってまいります。さらに、航空イノベーションへの対応としまして、羽田国際線ターミナルで旅客手続における最先端の技術やシステムの導入を進め、空港利用者の手続全体の円滑化と負担のさらなる軽減を目指す「FAST TRAVEL」の推進に取組んでおります。その他にもバリアフリーへのさらなる対応など、今後も空港利用者の多様なニーズを捉えて利便性、快適性、機能性のさらなる向上に努めてまいります。

 その他、空港運営事業に係る課題として、当社の属するMSJA・熊本コンソーシアムが、本年3月に熊本空港特定運営事業の優先交渉権を得て、本年4月に特別目的会社(SPC)を設立しました。現在、本年7月の空港ビル施設等の事業開始に向けて準備を進めております。さらに海外においても、パラオ国際空港では、現地合弁会社の「パラオ・インターナショナル・エアポート株式会社」を設立し、本年4月よりターミナルの運営を開始しております。現在は、2020年度中の完了を目途とした空港ターミナル施設等の改修、拡張工事に取組んでおります。この他、ハバロフスク国際空港では、昨年12月に当社の属する日本企業連合がロシア連邦ハバロフスク空港会社と事業参画のための株主間協定書に調印しており、今後もパートナー企業とともに事業開始に向けた取組みを加速してまいります。いずれの事業においても、羽田空港で培ったノウハウを国内外の空港に展開するとともに、当社にとっても新たなノウハウを獲得して、事業領域の拡大・収益多元化に努めてまいります。

 その他の課題としましては、昨今の訪日外国人の「コト消費」が拡大している中で、昨年12月に体験型商業集積施設を充実させた「THE HANEDA HOUSE」を開業しましたが、今後も羽田空港全体で魅力ある商業施設の創造に取組んでまいります。また、中国人旅客の消費マインドの変化に的確に対応し、その消費動向を捉えたさらなる取組みを実施してまいります。加えて、出国者数が堅調に推移している日本人やその他の国籍の旅客を含めた、幅広いニーズに対応するべく商品構成の見直しを進めるほか、リアル店舗とeコマースを組み合わせた包括的な営業展開で、今後も免税事業全般を中心に、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応して一層強化してまいります。また、旅客ターミナルでのさらなる顧客満足度の向上を目指し、SKYTRAX社の空港評価の連続受賞を含めた羽田空港の包括的なブランディングに努めてまいります。

 このように事業環境に応じた当社の課題を的確に捉えつつ、中期経営計画を推進することに加えて、当社の基本理念である公共性と企業性の調和に基づいた持続的成長を目指した取組みを進めてまいります。その他、旅客ターミナルにおける省エネ対策のさらなる強化といった環境保全に向けた取組み、労働環境の整備といった働き方改革の実現に向けた取組み、株主との対話機会の拡大といったガバナンスの強化に向けた取組みに努めてまいります。

 今後も当社は、空港法に基づく羽田空港における国内線ターミナルを建設・管理運営する空港機能施設事業者としての責務を果たすべく、国際線ターミナルを建設・管理運営するTIATと連携して、日本経済や航空業界の動向等を見極め、基本理念と中期経営計画に基づき、グループ一丸となって旅客ターミナルの利便性、快適性及び機能性の向上を目指し、顧客第一主義と絶対安全の確立に努め、絶え間ない羽田空港の価値創造と航空輸送の発展に貢献することにより、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(4) 株式会社の支配に関する基本方針

 当社の会社支配に関する基本方針及び会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み、並びに会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの各概要は以下のとおりです。

 

 ① 会社の支配に関する基本方針

   当社は、当社株式の大規模買付行為が行われる場合に、これを受け入れるか否かの最終的な判断はその時点における株主の皆様に委ねられるべきものであると考えます。

   当社は羽田空港において、航空系事業として、国内線旅客ターミナルビルの建設、管理運営を行い、平成30年4月には東京国際空港ターミナル株式会社を連結子会社化し、国内線・国際線ターミナルを一体的に運用することで、より一層の効率的なターミナル運営会社として事業を行っております。一方、非航空系事業として、羽田空港、成田国際空港、関西国際空港並びに中部国際空港において物品販売業等を営み、その収益を基盤として航空需要の急速な拡大に即応した旅客ターミナルビルの拡充整備に努めており、また、これまで培ったノウハウを活かした空港外での事業展開を図ってまいりました。そのため、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、旅客ターミナル事業の有する高度の安全性と公共性についての適切な認識に加え、当社の企業価値の源泉をなす重要な経営資源(独創性の高い技術・ノウハウ、特定の市場分野における知識・情報、長期にわたり醸成された取引先との深い信頼関係、専門分野に通暁した質の高い人材等)への理解が不可欠であると考えます。

   また、中長期的な増加が見込まれる訪日外国人による国内消費を取り込む施策を実施し、これらを支える、新たな価値を創造する環境の整備や株主・投資家に対する対話機会の拡大と各施策の確実性を高めるために組織・ガバナンスの再編・強化を図りながら、中期経営計画を邁進していきます。

   当社は、大規模買付者が突然現れた場合に、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に与える影響について株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模買付者及び当社取締役会の双方から、大規模買付行為が当社に与える影響や、大規模買付者の経営方針等の情報が適切かつ十分に提供されることが不可欠と考えます。さらに、当該大規模買付行為に関する当社取締役会による検討結果等の提示は、株主の皆様の判断に資するものであると考えます。

   当社としましては、大規模買付行為が行われる場合には、大規模買付者において、株主の皆様の判断のために、当社が設定して事前に開示する一定のルールに従って、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供していただく必要があると考えております。また、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損することとなる悪質な当社株式の大規模買付行為を防止するため、大規模買付者に対して相応の質問や大規模買付者の提案内容等の改善を要求し、あるいは株主の皆様にメリットのある相当な代替案が提示される機会を確保し、さらには当該大規模買付ルールを遵守しない大規模買付行為に対しては企業価値ひいては株主共同の利益の維持・向上の観点から相当な措置がとられる必要があると考えております。

 

 ② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み

   当社は、会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組みとして、下記③で記載するもののほか、以下の取組みを行い、企業価値ひいては株主共同の利益の維持・向上に努めております。

 

 (ⅰ)中期経営計画に基づく取組み

   当社は、旅客ターミナルビルにおける絶対安全の確立のため、さらなる安全対策強化に全力を傾注するとともに、羽田空港国内線・国際線ターミナルの一体的運営による一層の効率化を図り、運営諸費用の増加等への対策に努めております。併せてお客様本位の旅客ターミナルビルの運営を目指し、当社グループCS理念「訪れる人に安らぎを、去り行く人にしあわせを」の下、顧客第一主義を徹底するほか、積極的な人材育成を図り、全社を挙げて一層のサービス向上、さらなる収益の向上に努めることとし、中期経営計画に基づく諸施策に積極的に取組んでおります。

 

 (ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化充実に向けた取組み

   当社はコーポレート・ガバナンスが経営上重要な問題であるとの基本的認識に立ち、経営の透明性の確保を図るため、創業以来、社外取締役及び社外監査役を選任しております。原則毎月1回開催される取締役会は、常勤取締役11名、独立役員2名を含む非常勤の社外取締役4名で構成され、経営の基本方針、法令で定められた事項やその他経営に関する重要事項を決定するとともに業務執行状況の監督機能を果たしております。監査役会は、常勤監査役2名、独立役員である非常勤の社外監査役3名で構成され、監査役は、取締役会やその他重要な会議に出席し、取締役の業務執行の適法性、妥当性及び経営の透明性、健全性を監視できる体制となっております。

 

 ③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配される

   ことを防止するための取組み

   当社は、①で述べた会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するため、「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本対応方針」という。)により、大規模買付行為が行われる場合に関して大規模買付ルールを定め、かつ、大規模買付者が当該ルールを遵守しなかった場合における対抗措置の発動に係る手続について定めております。

 

 (ⅰ)独立委員会の設置

   大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を害するものか否かの検討・審議を行い、大規模買付行為に関する当社取締役会の判断及び対応の公正を担保する機関として、独立委員会を設置します。独立委員会の委員は3名以上とし、公正で中立な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役及び社外有識者のいずれかに該当する者の中から選任します。

   当社取締役会は、大規模買付行為が開始された場合に当該大規模買付行為との関係では対抗措置を発動しない旨の不発動決議の是非について独立委員会に諮問することとし、当社取締役会はその勧告を最大限尊重するものとします。

 

 (ⅱ)大規模買付ルール

   大規模買付ルールとして、大規模買付者は、定められた手続に従い情報提出等を行うものとし、かつ、情報提出手続等を経て、当社取締役会が不発動決議を行うまで、大規模買付行為を行わないこととします。

 

  (ア)大規模買付意向表明書の当社への事前提出

    大規模買付者は、大規模買付ルールに従って大規模買付行為を行う旨の大規模買付意向表明書(当社所定の書式)を事前に当社に対して提出していただきます。

 

  (イ)大規模買付行為に関する情報の提出

    大規模買付者から大規模買付意向表明書をご提出いただいた場合、当社は当該大規模買付者に対し、改めてご提出いただく情報の項目を記載した情報リストを10営業日(初日不算入)以内に交付いたします。

    大規模買付者は、情報リストに基づき、株主の皆様のご判断及び独立委員会の検討のために必要かつ十分な大規模買付行為に関する情報を当社にご提出いただきます。

 

  (ウ)独立委員会による検討開始に係る通知

    当社は、当該大規模買付行為に関する情報の提出が完了したと認められる場合等、独立委員会による検討を開始するのが適当と合理的に判断される場合には、その旨を大規模買付者に通知し開示するとともに、独立委員会による検討の開始を依頼いたします。

 

  (エ)独立委員会による検討及び不発動勧告決議

    独立委員会は、独立委員会検討期間として定められた期間内に、大規模買付行為の内容の検討、当社取締役会等の提供する代替案の検討等を行います。

    大規模買付者は、独立委員会が検討資料その他の情報提供、協議・交渉等を求めた場合には、速やかにこれに応じなければならないものとします。独立委員会は、当該大規模買付行為に関する情報の検討等の結果、全員一致の決議により、当該大規模買付行為が当社企業価値を毀損し会社の利益ひいては株主共同の利益を害するおそれがないものと認める場合には、当社取締役会に対して、不発動勧告決議を行うこととします。

 

  (オ)株主総会における株主意思確認

    独立委員会は、独立委員会検討期間内に不発動勧告決議を行うに至らなかった場合には、当該大規模買付行為に対する対抗措置に係る株主意思確認総会を開催する旨を勧告することとし、かかる勧告を受けて当社取締役会は、株主意思確認総会の招集を速やかに決定するものとします。

    株主意思確認総会の決議は、出席株主の議決権の過半数によって決するものとします。

 

  (カ)取締役会の不発動決議

    当社取締役会は、独立委員会が当該大規模買付行為について不発動決議を行うべき旨勧告した場合、取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情が存しない限り、不発動決議を速やかに行うものとします。

    また、当社取締役会は、上記(ⅱ)(オ)に定める株主意思確認総会において対抗措置を発動すべきでない旨の株主意思が示された場合、不発動決議を速やかに行うものとします。

 

  (キ)大規模買付ルールに従わない大規模買付行為に対する対抗措置の発動

    当社取締役会が不発動決議を行うまで、大規模買付者は、大規模買付行為を行ってはならないものとします。当社取締役会は、大規模買付ルールに従わない大規模買付行為が行われ対抗措置の発動が相当である場合、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的として、本対応方針に基づく対抗措置を行うものとします。本対応方針の対抗措置としては、新株予約権の無償割当てその他の法令及び当社の定款上許容される手段を想定しております。

 

 (ⅲ)株主・投資家に与える影響

   本対応方針は、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断されるために必要な情報を提供し、さらには、当社株主の皆様が大規模買付行為に係るより良い提案や、当社取締役会等による代替案の提示を受ける機会を保証するための相応の検討時間・交渉力等が確保されることを目的としています。これにより、当社株主の皆様は、十分な情報のもとで、大規模買付行為への応諾その他の選択肢について適切な判断をされることが可能となり、そのことが当社株主全体の利益の保護につながるものと考えます。従いまして、本対応方針の設定は、当社株主及び投資家の皆様が適切な投資判断をなされる上での前提となるものであり、当社株主及び投資家の皆様の利益に資するものであると考えております。

 

 ④ 取締役会の判断及びその理由

   当社の中期経営計画、コーポレート・ガバナンスの強化充実等の各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものです。

   また、本対応方針は上記の基本方針に沿うものであり、またその合理性を高めるため以下のような特段の工夫が施されておりますので、本対応方針は、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。

 

  (i)本対応方針は、平成29年6月29日開催の第73回定時株主総会においてその基本的内容につき、株主の皆様の事前承認を受けております。当該株主総会の承認は、当該定時株主総会から3年を有効期間とします。当社取締役会は、3年が経過した時点で、改めて本対応方針に関する株主意思の確認を行い、株主の皆様にご判断いただくことを予定しております。当社取締役会は、当該株主総会承認の有効期間中、関連する法制度の動向その他当社を取り巻く様々な状況を勘案して、当該株主総会承認の趣旨の範囲内で、本対応方針の細目その他必要な事項の決定や修正等を行うこととします。

 

  ()本対応方針は、株主意思確認総会において対抗措置を発動すべきでない旨の株主意思が示された場合、当社取締役会は不発動決議を速やかに行うものとしております。また、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役及び社外有識者のいずれかに該当する者の中から選任される委員により構成される独立委員会が、株主意思確認総会の招集に先立つ独立委員会検討期間内において、当該大規模買付行為が当社企業価値を毀損し会社の利益ひいては株主共同の利益を害するおそれがないものと認め不発動勧告決議を行った場合には、当社取締役会は、取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情がない限り、速やかに同勧告決議に従い不発動決議を行うこととされています。このように、取締役の地位の維持等を目的とした恣意的な発動を防止するための仕組みを本対応方針は確保しております。

 

  (ⅲ)当社は、取締役の解任決議要件の普通決議からの加重も行っておりません。本対応方針は、大規模買付者が自己の指名する取締役を当社株主総会の普通決議により選任し、係る取締役で構成される取締役会により、廃止させることが可能です。従いまして、本対応方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、期差任期制を採用していないため、本対応方針はスローハンド型(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

  (ⅳ)本対応方針は、経済産業省及び法務省が定めた平成17年5月27日付「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」が求める適法性の要件(新株予約権等の発行の差止めを受けることがないために充たすべき要件)、合理性の要件(株主や投資家など関係者の理解を得るための要件)をすべて充たしております。また、経済産業省企業価値研究会の平成20年6月30日付報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の提言内容にも合致しております。

 

 ⑤ その他

   本対応方針の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載の「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続について」の本文をご覧ください。

  ( 参考URL https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/company/ir/

 

 

2【事業等のリスク】

 投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの営業基盤について

 当社グループは、羽田空港国内線旅客ターミナルビルおよび国際線旅客ターミナルビル等を建設、管理運営する企業として事務室等の賃貸、物品販売、飲食、旅行サービスの提供を中核的な事業として展開しております。また、成田空港、関西空港、中部空港等の拠点空港においても物品販売、飲食サービス等の提供に係る事業展開を行うほか、空港外に保有する社有地を有効活用した不動産賃貸等を行っており、長年培ってきた経験を生かして空港内外における新たな事業展開についても取り組んでおります。

 

(2) 当社グループの事業等のリスクについて

 事業等のリスクとしては次に挙げる事項を想定しておりますが、これらのリスクとして想定した事項が発生、拡大した場合においても、当社グループの経営に対する影響を最小限に留めるよう、地域別(羽田空港、成田空港等)、業種別(施設管理運営業、物品販売業、飲食業)に売上構成の多様化によりリスクの分散を図るとともに、各事業分野における運営諸費用の増加への対策強化等により当社グループの企業体質の強化と総合力の向上に努めております。

 

① 当社グループの事業の根幹は、空港旅客ターミナルビルにおける事務室等の賃貸や航空旅客に対する物品の販売、飲食や旅行サービスの提供であり、主要賃貸先の航空会社や主要顧客である航空旅客への依存度が高く、国際情勢の変化、自然災害発生及び新型インフルエンザの流行等の影響による国際線及び国内線航空旅客数の変動や航空会社の業績等は、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社グループの事業基盤の中心である羽田空港の国内線及び国際線における空港ビル事業については、当該事業主体が空港法に基づく、空港機能施設事業者としての指定を受けることとされており、空港ビル事業に係る法令や制度の変更及び空港の設置管理者である国や行政当局の空港運営方針が、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 航空分野の成長及び日本経済の活性化を目的として、国土交通省は、航空自由化の推進・LCCなどの新規企業の参入促進・空港経営改革による三位一体の取組みを進めており、中でも空港経営改革については、民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律が施行され、一層の進展が図られております。今後、国や行政当局が定める方針によっては、将来の当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 当社グループは、羽田空港において旅客ターミナルビル3棟及び立体駐車場2棟を建設所有し、事務室等を賃貸するほか、物品販売、飲食や旅行サービスの提供等を行っております。これら旅客ターミナルビルについて安全かつ快適にご利用いただけるよう防災、防犯、事故防止に全力を傾注しておりますが、地震、火災、テロ行為等により空港又は旅客ターミナルビルに人的・物的損害が発生するような事態が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 当社グループは、空港内店舗における飲食店舗の運営、物販店舗における食材・加工品を含む食料品の販売、機内食の製造・販売等を行っております。食品の安全性については日頃より細心の注意を払い、事業運営を行っておりますが、飲食店舗や物販店舗等において食中毒、異物混入等の品質保証問題が発生した場合には、企業イメージの失墜、行政処分等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 当社グループは、事業資金を効率的かつ安定的に調達するため、取引金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項等が付されており、税制変更や事業環境の変化等によって、当社の信用格付けが一定程度以上格下げされるなど、当該条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、資金繰りや経営成績、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)経営成績等の業績の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、年度末の3月に入り、輸出や生産の一部に弱さもみられますが、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある状況となっております。特に中国経済におきましては、景気が緩やかに減速しており、先行きにつきましても、当面はその傾向が続くことが見込まれますが、各種政策効果が次第に発現することが期待されております。ただし、通商問題の動向と影響などによっては、景気が下振れするリスクがある状況となっております。

 

当社の事業環境としましては、政府が2020年の訪日外国人旅客数を4,000万人とする目標の中、航空路線の新規就航や増便などによる航空座席供給量の増加に加え、継続的に展開されている訪日旅行プロモーションの効果もあった一方で、昨年夏から秋にかけての自然災害により、9月以降は被災地域への旅行控えなどの影響が見受けられましたが、訪日外国人旅客数は2018年累計(1月~12月)で3,000万人を超え、過去最多となりました

 

その中で、当連結会計年度の航空旅客数につきましては、各航空会社による羽田空港国際線の深夜時間帯でのさらなる増便や座席仕様の改修による提供座席数の増加、需要に応じた各種割引運賃設定の効果で、羽田空港国内線、国際線ともに前年を上回りました。また、成田空港の国際線も、関西空港被災時の臨時便運航による航空旅客数の増加があった9月以降におきましても、堅調な航空需要に支えられ前年を上回っております

 

このような状況のもと、当社グループは、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指す長期的な経営ビジョン「To Be a World Best Airport」の実現に向けて、2020年度を視野に入れた5年間の成長戦略として中期経営計画を策定し、昨年4月の東京国際空港ターミナル株式会社(以下、「TIAT」という。)の第三者割当増資の引き受けに伴う連結子会社化と、2020年以降の羽田空港の国際線需要のさらなる高まりに対する空港機能強化に、当社の成長戦略を重ね合わせて、中期経営計画の見直しを行いました。そして、当連結会計年度の経営上の主な課題として、TIATの連結子会社化による効果、目的の具現化と影響の適正化、環境変化への対応、空港型市中免税店のさらなる業績改善を掲げて、「戦略の3本柱」である「羽田空港の“あるべき姿”の追求」、「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」、「収益基盤再構築・競争優位の確立」に基づいて、さまざまな施策に取り組んでおります

 

「羽田空港の“あるべき姿”の追求」におきましては、羽田空港の国際線再拡張に向けた旅客ターミナル整備を進めており、その一環として昨年5月に国内線旅客用の第2ターミナル北側ボーディングステーション、12月には第2ターミナルサテライトを供用開始しました。それ以外の拡張部分につきましても2020年3月の供用開始に向けて、計画通り工事を進めております。また昨年、想定を超える自然災害が発生し、空港ターミナル機能の安全性にも重大な影響を及ぼしたことを受けて、当社ではこれまでの取り組みから、さらに一歩踏み込んだ対策として、ターミナル地下への浸水防止のために止水板を設置しました。今後もさらなる安全対策への投資を積極的に行い、経営方針である旅客ターミナルにおける絶対安全の確立を目指してまいります。その他にも、昨年10月からは館内環境の向上などのために第1ターミナルでリニューアル工事を実施していることに加え、本年3月にはP4駐車場の増築により収容台数を増加するなど、さらなる旅客利便性の向上に取り組んでおります。また、これらに加えて今後の事業環境が大きく変革している中で、羽田空港の立地という資源を最大限活用し、当社の事業をより安定的に成長へと結びつけるために、これまで培った経験とノウハウをより広範囲に活用するとともに、外部の知見を生かしてさらなる事業領域を拡大することを目的に、昨年7月2日に「株式会社羽田未来総合研究所」を設立しました。現在、アートや文化などをオリンピック後の日本経済を支えていくジャンルとして位置づけ、羽田空港というロケーションの優位性を活かし、全国の自治体等と羽田空港とを繋ぎ、地域再生や地域創生を展開する一方、優れた日本製品やアート、日本文化を海外へ発信するなど、新たな価値創造の推進に取り組んでおります。また、時代の求める人財教育やシンクタンクとしての機能を十分に発揮しつつ、新たなライフスタイルの提案など、日本の未来予想図を具体的に提案してまいります。その他にも、羽田空港の機能性や利便性の向上に向けてロボット事業を展開する「Haneda Robotics Lab」では、これまでの実証実験を経て各種サービスロボットの製品改良や試験導入を行っており、また情報発信のために国内外の展示会に出展するなどの取り組みを進めてまいりました。これらの取り組みが、昨年11月にシンガポールで開催された「Future Travel Experience Asia EXPO 2018」におきまして、空港の地上業務で旅客体験向上へ良いインパクトをもたらした活動として評価され、「Best Passenger Experience Initiative 賞」を受賞しました。当社では今後も、羽田空港における先端技術活用の取り組みを推進してまいります

 

「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」では、昨年4月に羽田空港国際線の到着エリア内に到着時免税店を出店し、加えて7月より改修工事を進めていた出発エリア内の総合免税店が、本年3月28日にグランドオープンしました。訪日外国人旅客に人気が高い日本ブランドをはじめ、多数の新規ブランドを展開するなど、化粧品コーナーを中心にさらなる品揃えの強化と利便性の向上した店舗として、売上も好調に推移しております。一方で昨年10月以降、中国で免税品の持ち込みに対する規制強化や人民元安等の変動の影響により、当社免税店舗における中国人旅客の売上増加率の鈍化が続いておりました。さらに本年1月以降は、中国での景気の緩やかな減速や法整備などの環境変化が消費マインドに影響し、成田空港の当社免税店や空港型市中免税店「Japan Duty Free GINZA」では、商品売上が前年を下回る状況となりました。しかし中国人旅客は、今後も訪日需要の伸びが期待されていることから、売上増進に向けた各種施策を展開するとともにeコマース事業との連携により、包括的な取り組みを進めてまいります。また、日本人旅客につきましても、昨年には出国者数が過去最高となり、今後も堅調に推移すると見込まれているため、日本人の嗜好も十分に取り込んだ商品戦略を展開してまいります。その他に、熊本空港特定運営事業等におきましては、当社の属するMSJA・熊本コンソーシアムが、本年3月に優先交渉権を獲得しました。今後、特別目的会社(SPC)により、本年7月の空港ビル施設等の事業開始に向けて準備を進めてまいります。また、パラオ国際空港の運営事業につきましても、現地合弁会社の「パラオ・インターナショナル・エアポート株式会社」が4月14日よりターミナルの運営を開始し、2020年度中の完了を目途とした空港ターミナル施設等の改修、拡張工事に取り組んでおります。ハバロフスク国際空港での旅客ターミナル整備・運営事業におきましても、昨年12月に当社も参加する日本企業連合がロシア連邦ハバロフスク空港会社と事業参画のための株主間協定書に調印しており、今後もパートナー企業とともに事業開始に向け、取り組みを加速してまいります

 

さらに「収益基盤再構築・競争優位の確立」では、昨年12月19日に新たな商業施設として、羽田空港第1ターミナル5階に全14店舗が入居する「THE HANEDA HOUSE」をグランドオープンし、「コト体験」施設を集約して、羽田空港での新しい時間の過ごし方を提案するエリアを展開しております。また、昨年4月と6月に中部空港で出店した「Air Bic Camera」は、さらに本年3月18日に那覇空港に出店し、訪日外国人旅客を主要ターゲットとした商品戦略により好調に推移しております。空港外でも東京お台場のアクアシティお台場店に続いて、昨年11月2日にダイバーシティ東京プラザ店も出店しており、訪日外国人による国内消費の機会を捉えて収益の確保に努めております。

その他の取り組みとして、財務安定性及び資本効率の向上を両立する戦略的な手法であるハイブリッドローン(劣後特約付ローン)による資金調達300億円を昨年8月31日に実行しております。格付機関より一定の資本性が認められることから、株式の希薄化なしに実質的な財務体質の強化を図っております。また、当社ではコーポレートガバナンスへの取り組みとして、CEOをはじめとした会社役員が参加するガバナンス法制セミナーの開催や、取締役会規程など諸規程の見直し、第三者機関による外部客観評価を交えた取締役会の実効性に関する分析・評価を行うなど、今後もガバナンス体制の強化に向けて努めてまいります

 

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、TIATの連結子会社化による収益構造の変化や特別損益の発生もあり、営業収益は 2,736億1千8百万円(前年比 21. 1%増)、営業利益は 224億8千1百万円(前年比 67. 4%増)、経常利益は 203億7千9百万円(前年比 22. 1%増)、親会社株主に帰属する当期利益は 330億4百万円(前年比 180. 3%増)となりました。

 

なお、昨年9月に羽田空港旅客ターミナルは英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”において、5年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに本年3月には2019年国際空港評価の空港総合評価である「The World's Best Airports」でも世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「The World's Cleanest Airports」(4年連続)と、「The World's Best Domestic Airports」(7年連続)に加え、今回より新設された高齢者、障害のある方や怪我をされた方に配慮された施設の評価部門である「World's Best PRM / Accessible Facilities」でも、世界第1位となりました。当社では東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えている中で、首都圏の空の玄関口としてオール羽田で連携し、国内線と国際線ターミナルともに、利便性や快適性、機能性に優れた施設とサービスを提供し、羽田空港の“あるべき姿”を追求し、世界中のお客さまから信頼され続ける空港を目指してまいります

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、営業利益はセグメント利益に該当します。

 

(施設管理運営業)

 

 TIATの連結子会社化に伴い、羽田空港国際線ターミナルにおける家賃収入、国際線旅客取扱施設利用料収入、駐車場収入、広告・ラウンジ収入等が追加される一方で、これまでの国際線業務受託料収入は相殺されております。

 連結子会社化以外の影響では、家賃収入につきましては、第2ターミナルの拡張部分における工事の影響で、一部店舗の閉鎖に伴う家賃収入の減少がありましたが、航空会社等事務室への貸室増や、第1ターミナル5階の「THE HANEDA HOUSE」の開業などにより、前年を上回りました。

施設利用料収入につきましては、自然災害などの影響による国内線の欠航もありましたが、堅調なビジネス需要や訪日旅客の国内移動需要などによる国内線航空旅客数の増加により、国内線旅客取扱施設利用料収入が増加して、前年を上回りました

 その他の収入につきましては、国内線でのラウンジ収入の増加等により、前年を上回りました。

 その結果、施設管理運営業の営業収益は 875億8千4百万円(前年比 44. 9%増)、営業利益は 143億3千9百万円(前年比 113. 5%増)となりました。

 

(物 品 販 売 業)

 

TIATの連結子会社化に伴い、羽田空港国際線ターミナルにおける免税売店売上が追加される一方で、これまでの卸売上が相殺されております。

連結子会社化以外の影響では、国内線売店売上につきましては、国内線航空旅客数の増加、及び購買単価を引き上げる施策を実施した結果、前年を上回りました。

国際線売店売上につきましては、昨年10月以降、中国で免税品の持ち込みに対する規制強化や人民元安等の変動の影響により、中国人旅客の購入点数の減少や高額品の買い控えで商品売上の伸びの鈍化が続いておりましたが、羽田空港国際線では、航空旅客数の増加に加え、到着時免税店の開業や総合免税店の改装など品揃えの強化や店舗オペレーションの効率化に取り組んだことと、中部空港での新規店舗の開業効果などで、前年を上回りました。

その他の売上につきましては、地方空港への卸売上が好調に推移しており、前年を上回りました。

その結果、物品販売業の営業収益は 1,729億9千6百万円(前年比 16. 4%増)、営業利益は 157億6千万円(前年比 39. 2%増)となりました。

 

(飲  食  業)

 

TIATの連結子会社化に伴い、羽田空港国際線ターミナルにおける飲食店舗売上が追加される一方で、これまでの国際線業務受託料収入が相殺されております。

連結子会社化以外の影響では、飲食店舗売上につきましては、国内線ターミナルで飲食店舗のリニューアルや国際化工事の進展に伴う一部飲食店舗の閉鎖等により前年を下回りました。

機内食売上につきましては、顧客である外国航空会社の前期からの増便や新規取引開始等により、前年を上回りました。

その結果、飲食業の営業収益は 226億1千3百万円(前年比 1. 5%増)、営業利益は 8億8千万円(前年比 1. 8%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ449億4千3百万円増加し、872億7千3百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 120億3千1百万円増加(前期比 54.1%増)し、342億8千8百万円となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したこと等によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ 199億8千5百万円減少(前期比 70. 2%減)し 84億8千9百万円となりました。

これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 

財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ 97億1千4百万円増加し、191億5千2百万円(前期比 102.9%増)となりました。

これは主に、長期借入れによる収入等によるものであります。

 

生産、受注及び販売の状況

 当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。

 このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。

 なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

前連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

施設管理運営業(百万円)

82,050

58,443

40.4

 

家賃収入(百万円)

17,454

13,278

31.4

 

施設利用料収入(百万円)

43,505

18,754

132.0

 

その他の収入(百万円)

21,090

26,410

△20.1

物品販売業(百万円)

171,472

147,787

16.0

 

国内線売店売上(百万円)

36,212

35,153

3.0

 

国際線売店売上(百万円)

98,515

35,497

177.5

 

その他の売上(百万円)

36,745

77,136

△52.4

飲食業(百万円)

20,095

19,722

1.9

 

飲食店舗売上(百万円)

12,514

9,846

27.1

 

機内食売上(百万円)

6,764

6,588

2.7

 

その他の売上(百万円)

816

3,286

△75.2

 

合計(百万円)

273,618

225,953

21.1

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.当連結会計年度において、営業収益実績に著しい変動がありました。これは、施設管理運営業、物品販売

  業、飲食業セグメントにおいて東京国際空港ターミナル株式会社を連結子会社化したこと等によるもので

  あります。

4.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。

 

区      分

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

前連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

 

比率(%)

 

比率(%)

所有総面積 (㎡)

874,602

 

616,142

 

貸付可能面積(㎡)

274,206

100.0

232,648

100.0

貸付面積  (㎡)

268,740

98.0

221,258

95.1

 

航空会社    (㎡)

149,545

54.5

122,754

52.8

 

一般テナント  (㎡)

63,381

23.1

56,291

24.2

 

当社グループ使用(㎡)

55,814

20.4

42,212

18.1

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、繰延税金資産については回収可能性を十分に検討した回収可能額を計上し、退職給付債務や退職給付費用を測定するための数理計算上の基礎率や計算方法は当社グループの状況から適切なものであると考えております。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(2)財政状態の分析

① 資産面では、TIATの連結子会社化等により投資有価証券が 151億1千8百万円減少したものの、現金及び預金が 449億7千1百万円及び有形固定資産が 1,744億5百万円、借地権が 370億5千万円増加いたしました。

  これらの結果、総資産は 4,846億5千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ 2,452億6千5百万円増加いたしました。

 

② 負債面では、TIATの連結子会社化等により長期借入金が 1,331億3千5百万円増加及び繰延税金負債が 142億4百万円増加いたしました

  これらの結果、負債合計は 2,832億6千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ 1,800億3千1百万円増加いたしました

(3)経営成績の分析

 TIATの連結子会社化による収益構造の変化や特別損益の発生もあり、営業収益は 2,736億1千8百万円(前年比 21. 1%増)、営業利益は 224億8千1百万円(前年比 67. 4%増)、経常利益は 203億7千9百万円(前年比 22. 1%増)、親会社株主に帰属する当期利益は 330億4百万円(前年比 180. 3%増)となりました。

 なお、セグメント別の売上につきましては、「3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の業績の概要」に記載しております。

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析については、「3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナルビル等への大型設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。

 運転資金は、自己資金を基本としており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。

 また、シングルAプラス以上の格付け(日本の格付け機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化および資金調達コストの低減を図っており、設備投資に対応する借入の一部については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。

 さらに、不足の事態に対応したコミット期間付タームローンおよびコミットライン契約を合計90億円の極度額で設定しており、当面の資金繰りに支障が生ずることがないと考えております。

 一方、当連結会計年度に連結子会社となりましたTIATにつきましては、PFI事業であることから事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資についてはプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金による調達等を実施しております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は 872億7千3百万円、借入金等を含む有利子負債残高は 2,158億5千1百万円となりました。

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社グループは、中期経営計画において以下の目標指標を定めており、2020年度の目標指標達成を重要課題として取り組んでおります。総合力指標であるROA(EBITDA)につきましては、世界的に評価の高い空港をベンチマークとし12.0%を目標としております。収益性指標につきましては、従来持分法適用会社であったTIATの連結子会社化を踏まえまして、営業利益率を8.0%以上を目標としております。安定性指標である自己資本比率につきましては、同じくプロジェクトファイナンスで事業運営を行うTIATを連結子会社化したことにより自己資本比率が低下したため、早期の安定をめざすという目標としております。

 2019年度につきましては、第2ターミナルの国際線化工事等による一過性の費用等が発生するため減益となることを想定しており指標の悪化が予想されますが、第2ターミナルの国際線化施設の通期供用開始により2020年度の目標指標の達成を目指してまいります。

 各種指標の推移は以下のとおりです。

 

   中期経営計画の進捗                               (億円)

区分

2018年度実績

2019年度予想

2020年度計画

売上高

2,736

2,775

3,000

営業利益

224

160

250

経常利益

203

142

220

親会社株主に帰属する当期純利益

330

80

130

 

 各種指標

各指標

2018年度実績

2020年度目標

総合力指標:ROA(EBITDA)

13.0%

12.0%

収益性指標営業利益率

 8.2%

    8.0%以上

安定性指標:自己資本比率

33.7%

早期の安定性を目指す

 

(7)経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し

次期におけるわが国経済は、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある状況となっております。

航空業界におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックとその先を見据えた首都圏空港の機能強化に向けた取り組みや、「観光先進国」の実現に向けて訪日外国人旅行者の目標2020年4,000万人、2030年6,000万人に向けた地方空港等のゲートウェイ機能強化が進められています。また、テロ対策の強化や安全な運航の確保に向けたセキュリティ・セイフティの万全な確保の取り組みも進められています。

当社としましては、このような状況に確実に対応するため、羽田国際化施設の供用開始後の運用に関する準備の推進、訪日中国人の消費動向の変化への着実な対応、2020年度のガイドラインの確実な達成を見据えた利益計画の遂行を経営課題と掲げて、取り組んでまいります。現在、見込まれるセグメント別の収益は以下のとおりです。

施設管理運営業につきましては、昨年12月に開業した「THE HANEDA HOUSE」の通年営業や、2019年度中の第2ターミナルでの事務室増床による航空会社事務室への貸室増による家賃収入の増加、羽田空港国内線と国際線の航空旅客数増加による施設利用料収入の増加により、収益は前年を上回ると予想されます。一方で、営業利益につきましては、国際化施設等の完成による一過性費用の発生により、前年を下回ると予想されます。

物品販売業につきましては、本年1月以降は一部免税店舗におきまして商品売上が前年を下回る状況の中、引き続き訪日外国人の旅客数の増加は見込まれるものの、購買単価の伸びが鈍化していることや、羽田空港第2ターミナルの拡張部分における工事の影響による国内線売店での売上の減少、羽田国際線でのブランドブティック店舗と成田空港の総合免税店でリニューアル工事を計画していることから、商品売上は厳しい環境にあります。ただし、本年3月末にグランドオープンした羽田国際線の総合免税店の改装による効果のほか、IT活用によるeコマースの取り組みの推進や地方空港への卸売を強化することで、収益は前年とほぼ同水準と予想されます

飲食業につきましては、第2ターミナルの一部国際化工事の進展に伴う飲食店舗の閉鎖等の影響がありますが、収益は前年とほぼ同水準と予想されます。

4【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 特記事項はありません。