第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業等への影響については、引き続き今後の状況を注視してまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、このところは持ち直しの動きがみられます。先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていく中で、各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されております。ただし、感染症が国内外の経済に与える影響や金融資本市場の変動などに十分注意する必要がある状況となっております。

 このような経済情勢のもと、航空業界におきましても新型コロナウイルス感染症の影響で航空需要が落ちこみ、厳しい状況が続いております。羽田空港国内線におきましては、緊急事態宣言期間中の4月と5月の旅客数は前年同月比で約90%以上減少しました。その後、緊急事態宣言が解除され、6月19日以降は都道府県をまたぐ移動の自粛が緩和されたことで、航空需要は徐々に回復しておりますが、6月につきましても旅客数は前年を大きく下回っております。また、国際線におきましては、感染症拡大により、日本では検疫強化、査証の無効化等の措置が引き続き取られていること、多くの国でも海外渡航制限等の措置が取られていることなどにより、世界的に旅行需要が停滞している状況にあります。これに伴い、羽田空港国際線の旅客数につきましても、4月以降は前年を95%以上下回っております。また、当社が事業を営む成田空港等の国際拠点空港でも、国際線旅客の大幅な減少が続いております。

 このような状況のもと、当社グループでは感染拡大防止に向けて、「航空分野における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に基づいた対応を進めております。施設面では、換気能力の向上に努め、館内各所に消毒液を設置し、保安検査場入り口には搭乗客の体温測定用にサーモグラフィーを設置したほか、空港内の案内所や店舗には飛沫感染防止シートを設置しました。更に日常的に手指接触部(エスカレーターハンドレール、タッチパネル等)の消毒を強化し、マスク未着用者に対してはマスクを配布しております。また、お客様とのソーシャルディスタンスを確保できる自動運転車椅子、遠隔案内ロボット、消毒作業ロボットを導入し、「新しい生活様式」でのサービスの提供を開始いたしました。営業面では、緊急事態宣言の発出を受けて、一部店舗を除いた当社直営店舗の休業に加え入居テナントにも休業を要請しました。なおこれに伴い、4月以降は入居テナントの家賃減免措置を実施しております。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響で営業収益が大幅に落ち込む中で、さまざまなコスト削減策を実施しております。羽田空港では旅客便の大幅な欠航に伴い、国内線では4月17日から6月30日まで第1ターミナル北側、及び第2ターミナル南側の出発カウンターや保安検査場等を閉鎖し、国際線では3月23日からの第3ターミナル北側保安検査場等に加え、4月11日より第2ターミナル国際線施設を閉鎖しております。これらに伴い、閉鎖区域では消灯やエスカレーター、エレベーターの停止等、運営管理費用の削減に努めました。その他にも、不要不急のコストの削減や、役員報酬の一部返上などによる固定的費用の削減に加えて、清掃費や警備費など外部委託費用の見直しや業務の内製化を行っており、今後もさらなる費用削減に取り組んでまいります。

 また財務面での取り組みとしまして、国際線の工事代金の支払のために長期借入金で約250億円を調達したほか、手元流動性を確保するため長期借入による50億円の資金調達を実行しました。更に既存のコミットメントライン契約の90億円に加え、200億円の短期借入枠を新たに設定し、事業継続に向けて必要な資金の確保を進めております。その他にも、国有財産使用料の支払猶予や雇用調整助成金の活用なども含めて、減収による資金不足のリスクを回避する対策をとっております。

 これまでに当社グループは、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして掲げている「To Be a World Best Airport」に基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し、「羽田空港の“あるべき姿”

の追求」、「強みを活かした事業領域の拡大・収益多元化」、「収益基盤再構築・競争優位の確立」を戦略の3本柱とし、その実践基盤として組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んでまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で、中期経営計画の前提としていた事業環境は著しく変化しました。さらに、社会全体が「新常態(ニューノーマル)」へ移行しており、当社グループとしましても空港ターミナル事業の運営方法を、従来の枠組みにとらわれない発想で抜本的な見直しをかけていく必要性を認識しております。

 その中で今期は、前期に続き、羽田空港国際線で最先端技術を活用し、ストレスフリーで快適な搭乗手続きを目指して「FAST TRAVEL」や「One ID」の推進に取り組んでおります。また、「新しい生活様式」に対応した前

述の3種類のロボットなどの新サービスを開発し、事業化を目指して取り組んでおります。営業面では、羽田空港という交通の結節点を活かしたマーケティングとEC事業を強化して、実店舗とオンラインの融合を図るために新たな組織を立ち上げ、一時的な旅客数の減少に影響されない収益源の確保を目指してまいります。その他にも

当社が参画している事業として、4月には熊本空港でこれまでの旅客ターミナルビルに加え空港全体の運営を開始し、7月には羽田空港跡地第1ゾーンに大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」を開業するなど、羽田空港内外で取り組みを進めております。

 なお、羽田空港旅客ターミナルは本年5月に、英国SKYTRAX社が実施する2020年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」で、2年連続で世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「World's Cleanest Airports」(5年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(8年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(2年連続)でも、世界第1位となりました。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症の収束時期や、その後の航空需要回復の見通しを見極めることが困難な状況にありますが、国内線におきましては、国内観光需要の喚起の取り組みが進められ、8月以降の旅客便の運航計画でも、多くの路線での運航再開が予定されております。国際線におきましては、PCR検査体制を拡充し国際的な人の往来の段階的な再開に向けて各国との協議が進められております。これらの動向を踏まえて、当社グループでも羽田空港利用者の安全を確保し、需要を的確に捉えた旅客ターミナル運営を進めてまいります。また長期的には、航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、引き続き日本及び首都圏の空の玄関口である羽田空港ターミナルビルの利便性、快適性、機能性をより一層向上させて、羽田空港の価値向上に向けて取り組んでまいります。

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績につきましては、次のとおりとなりました。

 

①財政状態

(資産)
 流動資産は、現金及び預金が増加したものの、営業収益の減少に伴う売掛金の減少などにより減少しました。固定資産は、建物及び構築物等の減価償却が進んだことなどにより減少しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 198億1百万円減少し、5,015億6千1百万円となりました。

 

(負債)
 長期借入により約300億円を調達した一方で、未払の工事代金の支払いがあったことや買掛金の減少などにより減少しました。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 50億3千6百万円減少し、3,144億

2千7百万円となりました。

 

(純資産)
 配当金の支払いや、四半期純損失の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が減少しました。その結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ 147億6千5百万円減少し、1,871億3千4百万円となりました。

 この結果、自己資本比率は、30.2%(前連結会計年度末は 31.2%)となりました。

 

②経営成績

 当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による国内線、国際線の旅客数の大幅な減少で、施設利用料収入や商品売上高、飲食売上高などが大きく落ち込んだことにより、営業収益は 87億6千7百万円(前年同期比 87.0%減)、さまざまなコスト削減に取り組みましたが、減収の影響に加えて昨年度に供用開始した羽田国際化関連施設の減価償却費の増加などにより、営業損失は 174億6千7百万円(前年同期は営業利益 58億8千6百万円)、経常損失は 188億4千万円(前年同期は経常利益 56億4千6百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は 97億1千万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益 30億8千2百万円)となりました。

 

                                             (単位:百万円)

区 分

前第1四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
  至 2019年6月30日)

当第1四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
  至 2020年6月30日)

前年同期比
増減率
(%)

営 業 収 益

67,652

8,767

△87.0

 

(施設管理運営業)

(20,698)

(7,128)

△65.6

 

(物品販売業)

 (41,907)

(1,296)

△96.9

 

(飲食業)

 (5,047)

(342)

△93.2

営 業 損 益

5,886

△17,467

経 常 損 益

5,646

△18,840

親会社株主に帰属する
四半期純損益

3,082

△ 9,710

 

 セグメント別の業績は次のとおりです。なお、営業利益(損失)はセグメント利益(損失)に該当します。

 

セグメント別の概況

(施設管理運営業)

                                      (単位:百万円)

区 分

前第1四半期連結累計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年6月30日)

当第1四半期連結累計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年6月30日)

前年同期比

増減率

(%)

施設管理運営業

20,698

7,128

△65.6

 

家賃収入

4,452

3,888

12.7

 

施設利用料収入

10,861

1,015

90.7

 

その他の収入

5,385

2,224

58.7

セグメント間の内部売上高

1,187

360

69.6

売上高 合計

21,885

7,488

65.8

セグメント損益

4,063

△10,958

 

 家賃収入につきましては、昨年10月の第2ターミナル北側の事務室増床による売上増がありましたが、緊急事態宣言を踏まえた休業要請に伴う入居テナントへの家賃減免措置の実施などにより、前年を下回っております。

 施設利用料収入につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で、国内線と国際線の旅客数が大幅に落ち込んだことによる旅客取扱施設利用料収入の減少などで、前年を大きく下回りました。

 その他の収入につきましては、旅客数の減少に伴う駐車料収入やラウンジ収入、ホテル収入、広告料収入の減少もあり、前年を大きく下回っております。

 その結果、施設管理運営業の営業収益は 74億8千8百万円(前年同期比 65.8%減)となりました。また、減収の影響と昨年度に供用開始した羽田空港第2ターミナル国際線施設と第3ターミナル拡張部の減価償却費の増加などにより、営業損失は 109億5千8百万円(前年同期は営業利益 40億6千3百万円)となりました。

 

 

(物品販売業)

                                      (単位:百万円)

区 分

前第1四半期連結累計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年6月30日)

当第1四半期連結累計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年6月30日)

前年同期比

増減率

(%)

物品販売業

41,907

1,296

△96.9

 

国内線売店売上

8,509

742

△91.3

 

国際線売店売上

24,447

209

△99.1

 

その他の売上

8,949

344

△96.2

セグメント間の内部売上高

230

203

△11.6

売上高 合計

42,137

1,499

△96.4

セグメント損益

3,898

△3,246

 

 国内線売店売上につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少や、緊急事態宣言期間を中心とした直営店舗での臨時休業による売上減少で、前年を大きく下回っております。なお、臨時休業していた直営店舗は6月以降、旅客動向に合わせて営業を再開しております。

 国際線売店売上につきましては、国際線旅客数の大幅な減少に加えて、各空港の当社直営免税店や市中免税店「Japan Duty Free GINZA」で臨時休業したことなどにより、前年を大きく下回っております。なお、羽田空港第3ターミナルの総合免税店などの一部店舗では、営業時間を変更し営業を継続しておりますが、商品売上は厳しい状況が続いております。

 その他の売上につきましては、各地方空港でも感染症の影響による旅客数の減少で卸売上が落ち込み、前年を大きく下回っております。

 その結果、物品販売業の営業収益は 14億9千9百万円(前年同期比 96.4%減)となり、営業損失は 32億4千6百万円(前年同期は営業利益 38億9千8百万円)となりました。

 

(飲食業)

                                      (単位:百万円)

区 分

前第1四半期連結累計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年6月30日)

当第1四半期連結累計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年6月30日)

前年同期比

増減率

(%)

飲食業

5,047

342

93.2

 

飲食店舗売上

3,094

258

91.6

 

機内食売上

1,739

24

98.6

 

その他の売上

  212

59

71.8

セグメント間の内部売上高

627

247

△60.5

売上高 合計

5,674

590

89.6

セグメント損益

230

△1,329

 

 飲食店舗売上につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少で、羽田空港国内線、国際線の飲食店舗で臨時休業を行ったことなどにより、前年を大きく下回りました。

 機内食売上につきましては、顧客である多くの外国航空会社の成田及び羽田路線での運休、減便の影響により旅客数が大幅に落ち込んでいることで、前年を大きく下回っております。

 その結果、飲食業の営業収益は 5億9千万円(前年同期比 89.6%減)となり、営業損失は 13億2千9百万円(前年同期は営業利益 2億3千万円)となりました。

 

 

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。