第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業等への影響については、引き続き今後の状況を注視してまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、持ち直しの動きがみられます。先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある状況となっております。

 このような経済情勢のなかで、航空業界は特に厳しい状況が続いておりますが、少しずつ持ち直しの動きが見られます。本年7月22日からは、国内旅行需要の喚起策「Go To トラベル」が開始されました。当初は東京発着の旅行が事業の対象から除外されておりましたが、9月中旬に東京発着の旅行が10月から追加されることが発表されて以降、国内旅行マインドは上向きになっております。羽田空港国内線の旅客数につきましては、第1四半期での前期比約90%減に対して、7月と8月は東京で新規感染者数が再び増加したことなどもあり、前年同月比で約70%減と足踏みしておりました。しかし9月に入ると、大型連休中に一部路線で満席便も発生するなど、緩やかながらも需要の回復傾向が続いております。一方で国際線では、ビジネス上必要な長期滞在者などの出入国制限緩和に向けて、比較的に感染状況が落ち着いている国及び地域との政府間協議が進められております。これに伴い、羽田空港国際線でも旅客便の往来は回復しつつありますが、依然として旅客数は前年同期を95%以上減少する状況が続いております。また、当社グループが事業を営む成田空港等の国際拠点空港でも、徐々に運航便数は増えているものの国際線旅客の大幅な減少は続いております。

 このような状況のもと、空港利用者の安全・安心を確保するために、当社グループでは「航空分野における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(定期航空協会及び全国空港ビル事業者協会共同作成)に基づいた対応を進めております。施設面では、ターミナル内の換気能力の向上に加え、館内各所には消毒液や飛沫感染防止シートを設置したほか、保安検査場には体温測定用サーモグラフィーを導入しました。また、マスクの自動販売機を設置し、店舗が開店していない時間帯にも空港利用者がマスクを購入できる環境を整備しております。さらに国際線では、国による入国時のPCR検査体制拡充の動きが進められている中で、当社グループも第3ターミナルの一部エリアを検査場や検査受診者の待機スペースとして提供しているほか、10月9日より東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックで、海外渡航者向けのPCR検査及び証明書の発行を行っており、今後も国や各関連機関と連携して取り組みを進めてまいります。

 営業面におきましては、国内線では緊急事態宣言期間中には多くの店舗で休業しておりましたが、現在では一部の店舗を除き営業を再開しております。また、10月から導入された「Go To トラベル」の地域共通クーポンを、羽田空港内の約100店舗で取り扱いを開始するなど、今後も感染拡大防止策を徹底した上で、収益機会の確保に努めてまいります。一方で、国際線では依然としてほとんどの店舗で休業を続けております。なお、4月より実施している入居テナントに対する家賃減免措置は、旅客動向を鑑みて減免内容を見直しながら、状況に応じた措置を継続しております。

 また、営業収益の大幅な減少による減益影響を最小限に留めるべく、徹底的なコスト削減策を実施しております。第1四半期には、ターミナルの一部を閉鎖し水道光熱費など運営管理費用を削減しましたが、第2四半期も引き続き、不要不急コストの削減や役員報酬の一部返上や従業員賞与の削減などによる固定的費用の削減、旅客利便性を損なわない範囲での施設維持管理コストの見直し、外部委託費用の削減などに努めております。なかでも、消防・電気設備等の点検やメンテナンスなど有資格者による作業が必要となる業務につきましては、当社グループ社員の資格取得を奨励し業務の内製化を推進してまいります。その他にも、全社で業務の見直しや効率的な人員配置を行うなど、今後もコスト構造改革を進めてまいります。

 財務面の取り組みとしましては、既存のコミットメントライン契約の90億円に加えて、本年6月までに長期借入による50億円の調達や短期借入枠として200億円の設定を完了しておりますが、今後も減収影響が長期化した場合に備えて、さらなる資金確保の取り組みを検討してまいります。

 これまでに当社グループは、すべてのステークホルダーに最高に満足していただける空港を目指すとともに、事業及び収益機会を創造し持続的成長を果たすべく、長期ビジョンとして掲げている「To Be a World Best Airport」に基づき、中期経営計画(2016年度から2020年度)を策定し、取り組んでまいりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で前提としていた事業環境は著しく変化し、さらに社会全体が「ニューノーマル(新常態)」へ移行する中で、当社グループとしましても旅客ターミナル事業の運営方法を、従来の枠組みにとらわれない発想で抜本的な見直しをかけていく必要性を認識しております。

 その中で今期は、羽田空港国際線において、ストレスフリーで快適な搭乗手続きを実現する「FAST TRAVEL」や顔認証技術を活用した「One ID」を推進し、利便性の向上に加えて、非対面・非接触サービス設備の拡充による感染防止策にも取り組んでまいります。国内線では、「新しい生活様式」に対応した自動運転車椅子、遠隔案内ロボット、消毒作業ロボットを活用した新サービスの提供を開始し、事業化を進めてまいります。また、冷房効率を高める放射冷却フィルム「Radi-Cool」の販売権を取得し、羽田空港での実証実験の効果をもとに他空港などへの販売も行ってまいります。営業面では、国内ECサイト「HANEDA Shopping」上での展開商品数を拡充して羽田空港限定商品を積極的に取り扱い、さらに認知度向上に向けたSNSでの告知やサイトの機能性強化などを実施しました。今後とも、羽田空港という交通の結節点を活かしたマーケティングとEC事業を強化して、実店舗とオンラインの融合を図るなど、一時的な旅客数の減少に影響されない収益源の確保を目指してまいります。

 その他にも当社が参画している羽田空港跡地第1ゾーン整備事業におきましては、本年7月に「HANEDA INNOVATION CITY」を開業し、2020年開業エリアを9月より本格稼働しております。この施設は、国土交通省スマートシティモデル事業の「先行モデルプロジェクト」に選定されており、先端的技術の早期実装に向け自律走行バスなどの実証実験を行っております。なお当社グループは、最先端テクノロジーを活用したデジタル体験型商業施設「羽田出島」などを展開しております。今後も、先端技術と日本文化の融合による新産業創造・発信拠点として、2022年のグランドオープンに向けてさらなる準備を進めてまいります。

 

 なお、羽田空港旅客ターミナルは昨年11月に、英国SKYTRAX社が実施する“Global Airport Rating”で、6年連続で世界最高水準である「5スターエアポート」を獲得し、さらに本年5月には2020年国際空港評価の空港総合評価である「World's Best Airports」で、2年連続で世界第2位を受賞しました。また、部門賞である「World's Cleanest Airports」(5年連続)と、「World's Best Domestic Airports」(8年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」(2年連続)でも、世界第1位となりました。

 引き続き、航空業界は非常に厳しい状況にありますが、国内線におきましては、10月に入り旅客便の新規予約が増加するなど着実に回復しております。国際線におきましては、PCR検査の陰性証明書と行動計画書の提出を条件として、入国後14日間の隔離を免除するビジネストラックの運用が始まるなど出入国制限緩和の動きが進んでおり、国際的な人の往来が段階的に再開しつつあります。

 これらの動向を踏まえて、当社グループでも羽田空港利用者の安全を確保し、需要を的確に捉えた旅客ターミナル運営を進めてまいります。また長期的には、航空需要は着実に伸びていくと見込んでおり、引き続き日本及び首都圏の空の玄関口である羽田空港の利便性、快適性、機能性をより一層向上させて、羽田空港の価値向上に向けて取り組んでまいります。

 以上の結果、当第2四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績につきましては、次のとおりとなりました。

 

①財政状態

(資産)

 流動資産は、営業収益の落ち込みに伴う現金及び預金や売掛金の減少などにより減少しました。固定資産は、建物及び構築物等の減価償却が進んだことなどにより減少しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 403億1百万円減少し、4,810億6千1百万円となりました。

 

(負債)

 昨年度に完了した羽田空港国際線施設の拡張工事代金の支払いがあった一方で、長期借入により約300億円を調達した影響により増加しました。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 2千2百万円増加し、

3,194億8千7百万円となりました。

 

(純資産)

 配当金の支払いや、四半期純損失の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が減少しました。その結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ 403億2千4百万円減少し、1,615億7千4百万円となりました。

 

 この結果、自己資本比率は、28.3%(前連結会計年度末は 31.2%)となりました。

 

 

②経営成績

 当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による国内線、国際線の旅客数の大幅な減少で、施設利用料収入や商品売上高、飲食売上高などの落ち込みが続いていたことにより、営業収益は 222億9千3百万円(前年同期比 83.5%減)、さまざまなコスト削減に取り組んでおりますが、減収の影響に加えて昨年度に供用開始した羽田国際化関連施設の減価償却費の増加などにより、営業損失は 322億6千6百万円(前年同期は営業利益 111億5千6百万円)、経常損失は 305億6百万円(前年同期は経常利益 107億2千8百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は 228億7千9百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益 59億4千5百万円)となりました。

 

                                                 (単位:百万円)

区 分

前第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
  至 2019年9月30日)

当第2四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
  至 2020年9月30日)

前年同期比
増減率
(%)

 営 業 収 益

135,270

22,293

△ 83.5

 

(施設管理運営業)

(42,645)

(16,448)

△ 61.4

 

(物品販売業)

(82,234)

(4,607)

△ 94.4

 

(飲食業)

(10,389)

(1,237)

△ 88.1

 営 業 損 益

11,156

△ 32,266

 経 常 損 益

10,728

△ 30,506

 親会社株主に帰属する
 四半期純損益

5,945

△ 22,879

 

 セグメント別の業績は次のとおりです。なお、営業利益(損失)はセグメント利益(損失)に該当します。

 

セグメント別の概況

(施設管理運営業)

                                      (単位:百万円)

区 分

前第2四半期連結累計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年9月30日)

当第2四半期連結累計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

 施設管理運営業

42,645

16,448

△ 61.4

 

家賃収入

9,024

7,974

△ 11.6

 

施設利用料収入

22,269

3,021

△ 86.4

 

その他の収入

11,351

5,452

△ 52.0

 セグメント間の内部売上高

2,653

791

△ 70.1

 売上高 合計

45,298

17,240

△ 61.9

 セグメント損益

7,462

△ 20,486

 

 

 家賃収入につきましては、昨年10月の第2ターミナル北側の事務室増床による売上増がありましたが、本年4月より実施している入居テナントに対する家賃減免措置を継続していることもあり、前年を下回っております。

 施設利用料収入につきましては、旅客数が国内線では緩やかに回復している一方で、国際線で大幅な落ち込みが続き、旅客取扱施設利用料収入が大きく減少していることから、前年を大きく下回っております。

 その他の収入につきましては、旅客数の減少に伴う駐車料収入やラウンジ収入、ホテル収入、広告料収入の減少の影響で、前年を大きく下回っております。

 

 その結果、施設管理運営業の営業収益は 172億4千万円(前年同期比 61.9%減)となりました。また、減収の影響と昨年度に供用開始した羽田空港第2ターミナル国際線施設と第3ターミナル拡張部の減価償却費の増加などにより、営業損失は 204億8千6百万円(前年同期は営業利益 74億6千2百万円)となりました。

 

(物品販売業)

                                      (単位:百万円)

区 分

前第2四半期連結累計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年9月30日)

当第2四半期連結累計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

 物品販売業

82,234

4,607

△ 94.4

 

国内線売店売上

17,946

3,040

△ 83.1

 

国際線売店売上

47,489

723

△ 98.5

 

その他の売上

16,798

843

△ 95.0

 セグメント間の内部売上高

488

370

△ 24.3

 売上高 合計

82,723

4,977

△ 94.0

 セグメント損益

7,430

△ 5,764

 

 

 国内線売店売上につきましては、緊急事態宣言期間に休業していた直営店舗は、段階的に営業を再開し現在ではほぼ全ての店舗で営業していることで、商品売上も徐々に回復に向かっておりますが、旅客数減少の影響が大きく、全体売上は前年を大幅に下回っております。

 国際線売店売上につきましては、国際線旅客数の大幅な減少と、各空港における当社直営免税店で休業が続いていることで前年を大きく下回っております。なお、羽田空港第3ターミナルでは、総合免税店で営業を継続し、休業中のブランドブティックでも旅客の来店予約に合わせて開店する体制としているほか、成田空港の総合免税店や市中免税店「Japan Duty Free GINZA」につきましても営業再開しておりますが、商品売上は厳しい状況が続いております。

 その他の売上につきましては、地方空港での旅客数減少による卸売上の落ち込みが続き、前年を大きく下回っております。

 

 その結果、物品販売業の営業収益は 49億7千7百万円(前年同期比 94.0%減)となり、営業損失は 57億6千4百万円(前年同期は営業利益 74億3千万円)となりました。

 

(飲食業)

                                      (単位:百万円)

区 分

前第2四半期連結累計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年9月30日)

当第2四半期連結累計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比

増減率

(%)

 飲食業

10,389

1,237

△ 88.1

 

飲食店舗売上

6,448

938

△ 85.4

 

機内食売上

3,498

167

△ 95.2

 

その他の売上

442

131

△ 70.2

 セグメント間の内部売上高

1,293

548

△ 57.6

 売上高 合計

11,683

1,786

△ 84.7

 セグメント損益

531

△ 2,393

 

 

 飲食店舗売上につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による旅客数の減少で、羽田空港国内線、国際線の飲食店舗で臨時休業を行ったことなどにより、前年を大きく下回りました。

 機内食売上につきましては、顧客である多くの外国航空会社の成田及び羽田路線における旅客数の大幅な減少が続いていることで、前年を大きく下回っております。

 

 その結果、飲食業の営業収益は 17億8千6百万円(前年同期比 84.7%減)となり、営業損失は 23億9千3百万円(前年同期は営業利益 5億3千1百万円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ 38億4千5百万円減少し、679億5千万円となりました。

 当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。


 (営業活動によるキャッシュ・フロー)


 営業活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間に比べ 142億2千1百万円減少(前第2四半期連結累計期間は 131億8千8百万円の収入)し、10億3千2百万円の支出となりました。

 これは主に、税金等調整前四半期純損失が発生したこと等によるものであります。


 (投資活動によるキャッシュ・フロー)


 投資活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間に比べ 114億3千7百万円支出が増加(前期比81.8%増)し、254億1千6百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)


 財務活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間に比べ 309億3千6百万円収入が増加(前第2四半期連結累計期間は 83億2千6百万円の支出)し、226億9百万円の収入となりました。これは主に、長期借入れによる収入等によるものであります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。