文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等は異なることがあります。
「第八次中期経営計画」の推進
当社は、中期経営計画の達成を最重要課題としております。
当社の主力事業である不動産賃貸事業、不動産販売事業では、用地の取得から建物の完成、収益計上までに、短くて2~3年、再開発事業など大規模な開発では5年以上を要するものが多々あります。年度計画だけでは、土地の最有効活用を図り収益を最大化するという、不動産業本来の最も重要な視点が損なわれるおそれがあるため、当社は3年ごとの中期経営計画を策定し、その着実な実行を経営の最大眼目としてまいりました。
2019年4月より、当期(2020年3月期)を初年度とする新しい中期経営計画「第八次計画」をスタートさせております。
計画の内容(2019年5月16日公表)は、以下の通りです。
※2020年3月期期首より、会計方針(住友不動産販売の収益認識基準)の変更をしております。
2019年3月期(第七次)は遡及適用後の数値を記載しております。
1.業績目標
中計最高業績連続更新、3ヵ年累計経常利益7,000億円の達成
大幅増益を達成した七次の成長ペースを維持し、六次から3計画、9期連続の最高業績更新を目指す
※新型コロナウイルス感染症の影響拡大により、2021年3月期の予想業績は減収減益を見込まざるを得ない
状況となりました。詳しくは「2[事業等のリスク]」をご参照下さい。
<3ヵ年の累計業績目標>
売 上 高 3兆1,000億円 (七次中計比 +2,142億円、+ 7%)
営業利益 7,400億円 ( 同 +1,268億円、+21%)
経常利益 7,000億円 ( 同 +1,422億円、+25%)
2.賃貸設備投資計画(分譲マンションなど販売用の仕入れを除く固定資産投資)
収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
① 再開発を中心とした具体化している延床80万坪超の開発計画
(七次末時点賃貸延床152万坪の5割超)
今後、6~7年で収益化に目途、総額2兆円の投資を見込む
② 八次では、開発計画の約3割、延床23万坪の賃貸ビルを順次竣工稼働させる
③ 2兆円のうち、今後3年間で6千億円の投資を見込む
必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフロー(CF)※で賄える見通し
(有利子負債の増加は見込まない)
※賃貸キャッシュフロー:不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費
3.部門別業績目標と事業戦略
東京のオフィスビル賃貸が成長の柱として牽引
<事業戦略>
① 不動産賃貸
好調な市場環境に支えられた七次を上回る利益成長を目指す
・空室率の低下と賃料上昇により拡大した既存ビルの収益力をさらに強化する
・七次竣工ビル(延21万坪)の通期稼働と、八次竣工ビル(延23万坪)の新規稼働による
収益を確実に取り込む
② 不動産販売
七次で実現した高水準の利益規模を維持する
・量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく
・競争激化の用地取得環境が続く中、「好球必打」で着実に確保する方針は継続する
③ 完成工事
リフォーム(新築そっくりさん)は、六次までの停滞から脱した七次の成長路線を継続する
良質な住宅ストック形成を目指す国策と合致する成長市場であり、需要拡大を見込む
注文住宅は、施工、品質管理体制を一段と整備し、事業基盤を強化する
七次で3千棟規模に業容が拡大、九次以降の成長を見据え足場を固める
④ 不動産流通
グループの連携を一層強化し、九次以降の成長基盤を構築する
七次で住友不動産販売の完全子会社化を実施、効率化をさらに進める
4.株主還元方針
配当は、これまで同様、利益成長に沿った「持続的増配」を目指す
キャッシュフローは賃貸ビル投資に優先配分する方針を継続する
当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(買収防衛策)
1 基本方針の内容とその実現に資する取組み
(1) 中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続
当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。
バブル崩壊の打撃を克服し過去最高業績の回復を目指した第一次中期経営計画(1997年4月~2001年3月)を皮切りに、これまでに7つの経営計画を遂行、計画毎に所期の目標を着実に達成してまいりました。
2019年3月に終了した「第七次中期経営計画(2016年4月~2019年3月)」は、好況に支えられた六次計画の環境が七次は続かないという見通しに立ちつつも、六次で達成した中計最高業績をさらに更新し、「増収増益路線」を堅持することを目標に掲げてスタートしました。幸い、世界的な好景気に牽引され、国内の景況は年々上向き、東京のオフィスビル賃貸をはじめとする当社の事業環境は総じて良好に推移しました。その結果、3ヵ年の累計業績は、売上高、営業利益、経常利益の全てにおいて当初の目標を大幅に超過達成するとともに、最終年度の2019年3月期には、売上高は1兆円、経常利益は2千億円の大台をそれぞれ初めて突破し、6期連続で最高業績の更新を達成しました。第七次計画は、当初の想定を上回る利益成長を遂げ、成功裏に終了することができました。
また、2017年6月に、不動産仲介子会社の住友不動産販売㈱を完全子会社化し、親子上場による利益相反のリスクを解消、グループ経営資源の最適配分による中長期的な企業価値向上を推進できる体制を構築するなど、コーポレート・ガバナンスの一層の強化にも取り組んでまいりました。
2019年5月に発表した新しい経営計画「第八次中期経営計画(2019年4月~2022年3月)」では、前七次計画で達成した成長ペースを維持して最高業績の連続更新を第一の目標に掲げるとともに、東京都心において、具体化している開発計画に対する2兆円の賃貸設備投資計画を着実に進め、長期的な収益基盤強化を継続し、引き続き企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。
(2) 成長を支えてきた東京都心のオフィスビル賃貸事業と企業価値
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気や昨今のアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超、「東京ナンバーワン」を標榜するビルオーナーに成長、2020年3月期の賃貸キャッシュフロー(不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費)は2千億円に達しております。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてきたものと自負しております。2020年3月期の決算短信にて開示した「賃貸等不動産」の含み益は年々蓄積され、2020年3月末時点で約3兆1千億円に達しております。
(3) 買収防衛策の必要性
第八次計画では、延床面積80万坪超(2019年3月末時点賃貸延床152万坪の5割超)の東京都心における新規ビル開発計画を着実に推進することを第二の目標に掲げております。当社は、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上、株主利益の増大を目指します。
この大規模な開発計画は、これまで弛まず積み上げてきた多額の先行投資がいよいよ収益化するものです。当社がこれまで長期間に亘り、不動産市況や景気の波にさらされることなく、賃貸ビル開発による事業基盤拡充を継続できたのは、安定収益源である賃貸キャッシュフローが常時下支えとなっていたためであり、この先行投資を有利子負債の際限ない増加に頼らず自信を持って実行するには、2千億円規模に拡大した賃貸キャッシュフローの維持拡大が必要です。また、大型の再開発が中心であるため、全件収益化に目途が立つまでには今後6年~7年を要すると見込まれます。
一方、将来の企業価値増大に資する開発計画が成就する前に、保有不動産を売却して含み益をはき出し、一過性の利益を求める短期志向の経営方針を採ることは、結果として、安定収益源の賃貸キャッシュフローを減少させ、開発計画を財務リスクにさらし、当社の企業価値基盤を損なう恐れがないとは申せません。
中長期的な展望に基づき着実な企業価値の向上を目指す当社の経営方針は、このような短期志向とは相容れませんので、買収を意図する投資家が現れた場合は、十分な情報と時間を確保して議論を尽くし、株主の皆様に信を問う必要があると考えており、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本方針」といいます。)による手続きを予め具備しておくことが、株主共同の利益に合致すると判断しております。本方針は、2007年5月17日付当社取締役会決議に基づき導入され、同年6月28日開催の第74期定時株主総会、2010年6月29日開催の第77期定時株主総会、2013年6月27日開催の第80期定時株主総会、2016年6月29日開催の第83期定時株主総会および2019年6月27日開催の第86期定時株主総会において、それぞれの株主の皆様のご承認を得て、継続または更新され、その有効期間は、2022年6月開催予定の第89期定時株主総会終結時までとなっております。
2 当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容と取締役会の判断
当社は、当社株式の大規模な買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますが、当社株主の皆様が企業価値ひいては株主共同の利益への影響を適切に判断するためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報・意見・代替案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えております。
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為に関するルールを設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めております。大規模買付ルールは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として相当と認める対抗措置を講ずることとしております。
なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、当該大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するか否か、対抗措置をとるべきか否か等について取締役会が判断するにあたっては、社外の学識経験者、弁護士、公認会計士等から選任された特別委員会に対し諮問を行い、その勧告を最大限尊重するものとしております。
以上のとおり、本対応方針は、当社株式の大規模な買付行為に対し株主の皆様が判断するのに必要な情報と時間を確保するためのルールを設定し、大規模買付者がこのルールを遵守しない場合や大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかな場合などに対抗措置を講ずることを定めたものでありますので、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(注) 本方針の詳しい内容については、当社ホームページ
(http://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/2019.05.16_release_2.pdf)をご参照ください。
当社グループが行っている不動産賃貸事業、不動産販売事業、完成工事事業及び不動産流通事業は、景気動向や企業業績、個人所得等の動向、地価動向、金融情勢、税制等の影響を受けやすい傾向にあり、これらが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その中で、経営者が、当連結会計年度末現在において、連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
現在、新型コロナウイルス感染症の流行により、営業活動の自粛や消費行動の停滞が全世界的に生じています。
2021年3月期につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響について、第2四半期から徐々に経済活動が再開されるものの、年度末までに前年並みには戻らないことを前提として、業績予想を公表しております。
具体的には、緊急事態宣言を受けて人の動きや集いが大幅に制限された、ホテル事業、イベントホール事業などの施設営業分野において大幅な売上減を見込むとともに、集客イベントや対面営業が厳しく制限された住宅リフォーム事業や注文住宅事業、不動産仲介事業においてその間の受注や契約が減少すると見込み、減益影響を上記の5事業他で300億円以上織り込みました。一方、当社グループ営業利益の3分の2を占めるオフィスビル賃貸事業は空室率が過去最低水準にあって増収増益の見込みであり、同2割を占める分譲マンション事業も期首時点において2021年3月期計上予定住戸の約8割が契約済であることから、これら主力2事業が業績を下支えする見通しです。
なお、資金調達においては、期首時点において現預金を厚めに確保しておりますので、事業用地取得や設備投資計画への影響は生じておりません。
当社グループでは、政府等の方針や各業界のガイドラインに則り、お客様や従業員への感染予防対策を実施しながら、売上確保を図っております。
上記前提を越えて、新型コロナウイルス感染症の流行が、国内及び海外主要各国において収束に向かわず、拡大が長期間にわたり続いた場合、ホテル事業、イベントホール事業、商業施設運営事業において、人の動きや集いが制限されることによる売上減少が継続し、その他の事業においても、経済活動の停滞・縮小により需要が減退する等により、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループが行っている不動産賃貸事業および不動産販売事業は、まず用地を取得し、かつ建物が竣工しなければ収益に計上できない投資先行型の事業であるため、事業資金を金融機関等からの借入や社債等により安定的に賄う必要があります。
これに対し、連結有利子負債の借入期間の長期化、固定金利化を進めるとともに、多様な金融機関との安定的な関係性の構築を進め、資金調達の安定化を図っております。
しかしながら、金融環境の急速かつ大幅な変化、借入先の経営状況の変化等により、借入利息の上昇、資金繰りの悪化等、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループが行う事業は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、労働基準法をはじめとして、様々な法規制の下に置かれており、その改正動向を注視しつつ、適時適切に対応するよう努めております。また、リスクマネジメント委員会の下部組織である内部統制会議において、当社グループにおけるコンプライアンス推進活動のモニタリングを行うとともに、当社内部監査室が子会社を含めた内部監査を実施、更に、社内外に複数の内部通報窓口を設置し、不正、違法行為の発見、抑止に努めております。
しかしながら、法律等の改正による事業活動への影響を通じて、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。また、当社グループやその役職員によるコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの商品需要が低下することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、各事業において、個人情報を含む多くの重要な情報を保有しており、情報流出を防ぐためのサイバーセキュリティを導入しているほか、従業員に対して情報セキュリティに関する研修を実施しております。
しかしながら、サイバー攻撃や社員の不注意により情報が流出した場合、補償の発生や、信用の喪失による当社グループの商品需要の低下などにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、災害その他不可抗力の事態に備えるため、保有資産において、免震・制振構造の採用や非常用発電機の設置による無停電対応などにより事業継続性を高めるとともに、当社事業活動において、各種事態を想定したマニュアルの策定と訓練の実施による継続性の確保に努めております。
しかしながら、想定をはるかに凌駕する規模の不可抗力の事態が発生した場合、保有資産の復旧費用負担の発生や営業活動の停滞等に伴い、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。
7期連続過去最高業績の達成
当連結会計年度の業績は下表の通りで、8期連続の増収と、10期連続の営業、経常増益を達成するとともに、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて7期連続で過去最高を更新しました。
主力のオフィスビル賃貸が過去最高更新で業績を牽引
部門別では、東京のオフィスビル中心の不動産賃貸事業が増収増益を達成、売上高、営業利益ともに5期連続で過去最高を更新し業績を牽引しました。その結果、売上高は1兆135億円(前期比+0.1%)、営業利益は2,343億円(同+6.8%)となりました。
営業外損益改善継続、経常増益に寄与
受取配当金の増加と支払利息の減少により、営業外損益は前期比23億円の改善となり、経常増益に寄与しました。その結果、経常利益は2,205億円(前期比+8.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,409億円(同+8.4%)となりました。
部門別の営業成績は下表の通りです。
<不動産賃貸事業部門>
既存ビルの賃料上昇継続、5期連続最高業績更新
当社の賃貸資産の9割以上が集中する東京のオフィスビル市場では、新規需要が引き続き旺盛で、空室率は過去最低水準で推移、新規契約賃料、継続賃料ともに上昇傾向が続きました。
このような環境下、当連結会計年度は、既存ビルの空室率低下と賃料上昇効果に加え、前期竣工の「住友不動産御成門タワー」、「住友不動産麹町ファーストビル」などの通期稼働が業績に寄与した結果、増収増益となりました。当事業部門の売上高、営業利益はともに5期連続で過去最高を更新しました。
既存ビル空室率は1%台へ低下、新規ビルのテナント募集順調
既存ビルの空室率は1.4%(前期末2.8%)と引き続き低下しました。また、「住友不動産新宿セントラルパークタワー」、「住友不動産秋葉原ファーストビル」など当期竣工ビルをはじめ、「住友不動産麹町ガーデンタワー」、「住友不動産田町ビル東館」など次期以降竣工予定ビルも順次満室となるなど、新規ビルのテナント募集も順調に進捗しました。当期竣工はほぼ満室、次期竣工は約9割のテナントが決定済です。
<不動産販売事業部門>
都心・大規模マンションが寄与、6期連続最高益更新
当事業部門の9割以上を占める分譲マンション市場では、新規物件の供給が限られ、販売価格は安定的に推移、都心、郊外にかかわらず低金利下で良好な販売環境が続きました。
このような環境下、当連結会計年度は、「シティタワー銀座東」、「シティタワー恵比寿」、「シティタワーズ東京ベイ」などが引き渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で5,431戸(前期比△539戸)を販売計上しました。計上戸数の減少により減収となりましたが、利益率の改善により営業増益を確保、6期連続で過去最高を更新しました。
マンション契約順調、次期計上分の8割契約済
マンションの契約戸数は、4,865戸(前期比△246戸)と前年に比べ減少しましたが、次期計上予定戸数4,500戸に対し期首時点で約80%(前年約80%)が契約済となり、計画通りに進捗しました。
<完成工事事業部門>
受注減少も、最高益更新
当連結会計年度は、消費税増税が実施された下半期に景況感がやや停滞し、「新築そっくりさん」事業、注文住宅事業ともに受注棟数が減少しましたが、前期までの好調な受注により積み上げた受注残が収益寄与した結果、「新築そっくりさん」の計上棟数、売上高は、ともに過去最高を更新しました。
注文住宅の計上棟数が減少し当事業部門は減収となりましたが、利益率の改善により営業増益を確保、過去最高益を更新しました。
<不動産流通事業部門>
仲介件数過去最高
中古住宅流通市場では、首都圏で中古マンションの成約件数が引き続き高水準で推移しました。
このような環境下、当事業部門の業績は、都心プレミアムマンション仲介専門店舗「マンションプラザ」を順次開設した効果もあり、主力の仲介事業で中古マンション取引が増加し、仲介件数が37,715件(前期比+72件)と5期連続で過去最高を更新しました。一方、土地取引の減少を主因として取扱高が減少した結果、当事業部門の業績は減収減益となりました。
なお、直営仲介店舗は6店舗増加し、当期末時点で全国計276店舗となりました。
<その他の事業部門>
フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高12,096百万円(前期比△647百万円)、営業利益774百万円(同△753百万円)を計上いたしました。
<中期経営計画の達成状況>
当社は、2019年4月より「第八次中期経営計画」に取り組んでおります。計画初年度の当期は、「① 財政状態及び経営成績の状況」冒頭に記載の通り、7期連続で過去最高業績を更新することができました。その結果、売上高、営業利益、経常利益のすべてにおいて、下表の通り、3ヵ年累計目標の概ね3分の1相当を達成、中計最高業績連続更新に向けて順調に滑り出しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により足元の経済活動が停滞し、先行きは極めて不透明な情勢となりました。新型コロナウイルス感染症の業績への影響につきましては、前掲「2[事業等のリスク]」をご参照下さい。
※2019年5月16日公表
<資産、負債、純資産の状況>
当連結会計年度末における総資産は5兆3,176億円(前期末比+1,875億円)となりました。分譲マンション引き渡しの進捗により販売用不動産(仕掛含む)は減少しましたが、賃貸ビル投資により有形固定資産が増加しました。
負債合計額は4兆226億円(前期末比+946億円)となりました。連結有利子負債が3兆4,409億円(同+981億円)に増加しました。
純資産合計額は1兆2,949億円(前期末比+928億円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が1,409億円となり、利益剰余金が増加しました。その結果、自己資本比率は24.4%(前期末23.4%)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 230,458百万円(前期比 △29,599百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー △290,118百万円(前期比 △80,906百万円)
財務活動によるキャッシュ・フロー 82,644百万円(前期比 +228,703百万円)
となり、現金及び現金同等物は22,740百万円増加して193,448百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当期の経常利益が2,205億円に増加したのに加え、分譲マンション引き渡しの進捗によりたな卸し資産が減少した結果、営業キャッシュ・フローは2,304億円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
主に賃貸事業の増強を目的として合計2,703億円の有形固定資産投資を行ったほか、共同投資事業出資預託金を差引221億円返還いたしました。その結果、投資キャッシュ・フローは2,901億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
期限到来に伴う社債償還および長期借入金返済合計2,719億円(ノンリコース含む)に対応して2,490億円(ノンリコース含む)の社債発行および長期借入を実施しました。また、手元流動性確保のため、第4四半期にコマーシャル・ペーパーを1,200億円発行した結果、財務キャッシュ・フローは826億円の収入となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度は、売上高1兆135億円(前連結会計年度比+13億円)、営業利益2,343億円(同+149億円)、経常利益2,205億円(同+172億円)となりました。8期連続の増収と、10期連続の営業、経常増益を達成するとともに、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて7期連続で過去最高を更新しました。
当連結会計年度は、東京のオフィスビル中心の不動産賃貸事業が、売上高、営業利益ともに5期連続で過去最高を更新し業績を牽引しました。その結果、売上高は1,013,512百万円(前連結会計年度比+1,314百万円、同+0.1%)、営業利益は234,332百万円(同+14,942百万円、同+6.8%)となりました。
なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
営業外収益は、受取配当金の増加を主因として、12,249百万円(前連結会計年度比+1,552百万円)となりました。また、営業外費用は、26,061百万円(同△798百万円)となりました。その結果、営業外損益は△13,811百万円(同2,350百万円の改善)となりました。
当連結会計年度は、合計6,519百万円(前連結会計年度比+6,432百万円)の特別利益を計上した一方、当社グループ内の資産再編に伴う減損損失など合計21,231百万円(同+6,475百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引14,711百万円の損失(同42百万円の悪化)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益が140,997百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比125,828百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、1,294,998百万円(同+92,895百万円)、自己資本比率は24.4%となりました。
資金調達においては、当連結会計年度中に、期限到来に伴う社債償還および長期借入金返済合計2,719億円(ノンリコース含む)に対応して2,490億円(ノンリコース含む)の社債発行および長期借入を実施しました。また、手元流動性確保のため、第4四半期にコマーシャル・ペーパーを1,200億円発行した結果、連結有利子負債は、3,440,908百万円(前連結会計年度末比+98,121百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末において、連結有利子負債の長期比率は96%(前連結会計年度末99%)、固定金利比率は95%(同96%)となっております。
現在推進中の「第八次中期経営計画」では、収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローを優先配分して賄う方針です。詳しくは、前掲「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]「第八次中期経営計画」の推進 2.賃貸設備投資計画 及び 4.株主還元方針」をご参照下さい。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
(イ) 販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価
当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(追加情報)に記載しております。
当社グループは、営業未収入金等の回収事故に対処して、一般債権については貸倒実績率法により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき計上しており、これら見込額算定の前提条件には、割引率、退職率、算定時点の年金資産額ならびに直近の統計数値に基づいて算定される死亡率などが含まれております。なお、過去勤務費用は発生した連結会計年度に一括費用処理しております。また、数理計算上の差異は、翌連結会計年度に一括費用処理する方法によっております。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。