文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等は異なることがあります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「信用を重んじ、浮利を追わず」という住友の事業精神を受け継ぎ、430年の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社であり、従業員、顧客、取引先、債権者、株主等のステークホルダーに対し、当社の企業姿勢を示すスローガンとして「信用と創造」を掲げております。これには、何よりも「信用」を大切にして「浮利を追わず」に、開拓精神を持って新しい企業価値を創り出す、デベロッパーとしての矜持を込めております。
このスローガンのもと、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」を基本使命とし、各事業を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。
(2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題
①収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気や昨今のアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超、「東京ナンバーワン」を標榜するビルオーナーに成長いたしました。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてまいりました。
コロナ禍を契機として働き方が多様化し、テレワークの活用も広がりましたが、同時に東京都心のオフィスの重要性も再認識されております。当社は引き続き、現在遂行中の第八次中期経営計画において目標に掲げている、延床面積80万坪超(2019年3月末時点賃貸延床152万坪の5割強)の東京都心における新規ビル開発計画を着実に推進し、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上を目指します。
②中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続
当社の主力事業である不動産賃貸事業や不動産販売事業では、用地の取得から建物完成、収益計上までに、短くて2~3年、再開発事業など大規模な開発では5年以上を要するものが多々あります。年度計画だけでは、土地の最有効活用を図り収益を最大化するという、不動産業本来の最も重要な視点が損なわれるおそれがあるため、当社は3年ごとの中期経営計画を策定し、その着実な実行を経営の最大眼目としてまいりました。
バブル崩壊の打撃を克服し過去最高業績の回復を目指した第一次中期経営計画(1997年4月~2001年3月)を皮切りに、これまでに7つの経営計画を遂行、計画毎に所期の目標を着実に達成し、企業価値を高めてまいりました。
2019年4月より「第八次中期経営計画」に取り組んでおります。計画初年度の前期は、7期連続で最高業績を達成し順調な滑り出しとなったものの、2年目の当期は、新型コロナウイルス感染症の影響により減収減益を余儀なくされました。その結果、最終年度の次期予想を加えた3ヵ年累計業績は下表の通りで、コロナ禍前に策定した当初目標の達成は難しい状況ではありますが、営業利益と経常利益は、過去最高を更新した第七次計画を1~2割上回る見通しです。
新型コロナウイルス感染症は未だ収束が見通せず、先行き不透明な情勢が続いておりますが、次期予想業績を着実に達成し、第六次計画から3計画連続の最高益更新を目指してまいります。
(億円)
※2019年5月16日公表
(参考)第八次中期経営計画の内容(2019年5月16日公表)は、以下の通りです。
※2020年3月期期首より、会計方針(住友不動産販売の収益認識基準)の変更をしております。
2019年3月期(第七次)は遡及適用後の数値を記載しております。
(ⅰ)業績目標
中計最高業績連続更新、3ヵ年累計経常利益7,000億円の達成
大幅増益を達成した七次の成長ペースを維持し、六次から3計画、9期連続の最高業績更新を目指す
<3ヵ年の累計業績目標>
売 上 高 3兆1,000億円 (七次中計比 +2,142億円、+ 7%)
営業利益 7,400億円 ( 同 +1,268億円、+21%)
経常利益 7,000億円 ( 同 +1,422億円、+25%)
(ⅱ)賃貸設備投資計画(分譲マンションなど販売用の仕入れを除く固定資産投資)
収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
① 再開発を中心とした具体化している延床80万坪超の開発計画
(七次末時点賃貸延床152万坪の5割超)
今後、6~7年で収益化に目途、総額2兆円の投資を見込む
② 八次では、開発計画の約3割、延床23万坪の賃貸ビルを順次竣工稼働させる
③ 2兆円のうち、今後3年間で6千億円の投資を見込む
必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフロー(CF)※で賄える見通し
(有利子負債の増加は見込まない)
※賃貸キャッシュフロー:不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費
(ⅲ)部門別業績目標と事業戦略
東京のオフィスビル賃貸が成長の柱として牽引
<事業戦略>
① 不動産賃貸
好調な市場環境に支えられた七次を上回る利益成長を目指す
・空室率の低下と賃料上昇により拡大した既存ビルの収益力をさらに強化する
・七次竣工ビル(延21万坪)の通期稼働と、八次竣工ビル(延23万坪)の新規稼働による
収益を確実に取り込む
② 不動産販売
七次で実現した高水準の利益規模を維持する
・量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく
・競争激化の用地取得環境が続く中、「好球必打」で着実に確保する方針は継続する
③ 完成工事
リフォーム(新築そっくりさん)は、六次までの停滞から脱した七次の成長路線を継続する
良質な住宅ストック形成を目指す国策と合致する成長市場であり、需要拡大を見込む
注文住宅は、施工、品質管理体制を一段と整備し、事業基盤を強化する
七次で3千棟規模に業容が拡大、九次以降の成長を見据え足場を固める
④ 不動産流通
グループの連携を一層強化し、九次以降の成長基盤を構築する
七次で住友不動産販売の完全子会社化を実施、効率化をさらに進める
(ⅳ)株主還元方針
配当は、これまで同様、利益成長に沿った「持続的増配」を目指す
キャッシュフローは賃貸ビル投資に優先配分する方針を継続する
③事業を通じた社会課題の解決、SDGsへの貢献
当社は、430年続く住友の事業精神を継承したサスティナビリティ経営を実践しており、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」という基本使命のもと、事業活動を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組むとともに、国連の持続可能な開発目標「SDGs」の達成にも貢献してまいります。
「環境」に関して、当社はこれまで高水準の「省エネ」を実現してまいりましたが、今後も不動産デベロッパーとして、環境性能が高い物件の新規開発や改修による環境性能向上、運用時啓蒙活動等の「省エネ」をさらに推進し、日本が掲げる2050年脱炭素目標の達成に貢献してまいります。
なお、2019年度エネルギー消費量原単位は、2009年度比30%削減を実現し、省エネ取り組みの最高ランクである「Sランク事業者」に4年連続で認定されました。
当社の主力事業であるオフィスや住宅などの再開発事業においては、木造家屋が密集する地域で堅牢な耐火建築物への建て替えを実施し、行政と連携して防災拠点とすることで、地域全体の防災性を大きく向上させています。また、「新築そっくりさん」事業においては、1996年の事業開始以降、建て替えに比べて廃棄物の発生量を大きく削減するとともに、耐震補強工事を標準仕様とし、安心安全な住宅の普及に積極的に努めてまいります。
さらに、2020年には、超高層ビル建設黎明期に竣工した「新宿住友ビル」の大規模リニューアル工事が完成し、全天候型イベント空間「三角広場」が誕生しました。ビジネス、商業、文化の中心地である新宿エリアに新たな賑わいを創出するとともに、災害時には、帰宅困難者受け入れ施設となり、防災拠点として地域に貢献してまいります。
今後とも、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指してまいります。
④当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(買収防衛策)
イ.基本方針の内容とその実現に資する取組み
(1) 中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続
当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。
バブル崩壊の打撃を克服し過去最高業績の回復を目指した第一次中期経営計画(1997年4月~2001年3月)を皮切りに、これまでに7つの経営計画を遂行、計画毎に所期の目標を着実に達成してまいりました。
2019年3月に終了した「第七次中期経営計画(2016年4月~2019年3月)」は、好況に支えられた六次計画の環境が七次は続かないという見通しに立ちつつも、六次で達成した中計最高業績をさらに更新し、「増収増益路線」を堅持することを目標に掲げてスタートしました。幸い、世界的な好景気に牽引され、国内の景況は年々上向き、東京のオフィスビル賃貸をはじめとする当社の事業環境は総じて良好に推移しました。その結果、3ヵ年の累計業績は、売上高、営業利益、経常利益の全てにおいて当初の目標を大幅に超過達成するとともに、最終年度の2019年3月期には、売上高は1兆円、経常利益は2千億円の大台をそれぞれ初めて突破し、6期連続で最高業績の更新を達成しました。第七次計画は、当初の想定を上回る利益成長を遂げ、成功裏に終了することができました。
また、2017年6月に、不動産仲介子会社の住友不動産販売㈱を完全子会社化し、親子上場による利益相反のリスクを解消、グループ経営資源の最適配分による中長期的な企業価値向上を推進できる体制を構築するなど、コーポレート・ガバナンスの一層の強化にも取り組んでまいりました。
2019年5月に発表した新しい経営計画「第八次中期経営計画(2019年4月~2022年3月)」では、前七次計画で達成した成長ペースを維持して最高業績の連続更新を第一の目標に掲げるとともに、東京都心において、具体化している開発計画に対する2兆円の賃貸設備投資計画を着実に進め、長期的な収益基盤強化を継続し、引き続き企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。
(2) 成長を支えてきた東京都心のオフィスビル賃貸事業と企業価値
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気や昨今のアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超、「東京ナンバーワン」を標榜するビルオーナーに成長、2021年3月期の賃貸キャッシュフロー(不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費)は2千億円に達しております。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてきたものと自負しております。2021年3月期の決算短信にて開示した「賃貸等不動産」の含み益は年々蓄積され、2021年3月末時点で約3兆4千億円に達しております。
(3) 買収防衛策の必要性
第八次計画では、延床面積80万坪超(2019年3月末時点賃貸延床152万坪の5割超)の東京都心における新規ビル開発計画を着実に推進することを第二の目標に掲げております。当社は、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上、株主利益の増大を目指します。
この大規模な開発計画は、これまで弛まず積み上げてきた多額の先行投資がいよいよ収益化するものです。当社がこれまで長期間に亘り、不動産市況や景気の波にさらされることなく、賃貸ビル開発による事業基盤拡充を継続できたのは、安定収益源である賃貸キャッシュフローが常時下支えとなっていたためであり、この先行投資を有利子負債の際限ない増加に頼らず自信を持って実行するには、2千億円規模に拡大した賃貸キャッシュフローの維持拡大が必要です。また、大型の再開発が中心であるため、全件収益化に目途が立つまでには今後6年~7年を要すると見込まれます。
一方、将来の企業価値増大に資する開発計画が成就する前に、保有不動産を売却して含み益をはき出し、一過性の利益を求める短期志向の経営方針を採ることは、結果として、安定収益源の賃貸キャッシュフローを減少させ、開発計画を財務リスクにさらし、当社の企業価値基盤を損なう恐れがないとは申せません。
中長期的な展望に基づき着実な企業価値の向上を目指す当社の経営方針は、このような短期志向とは相容れませんので、買収を意図する投資家が現れた場合は、十分な情報と時間を確保して議論を尽くし、株主の皆様に信を問う必要があると考えており、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本方針」といいます。)による手続きを予め具備しておくことが、株主共同の利益に合致すると判断しております。本方針は、2007年5月17日付当社取締役会決議に基づき導入され、同年6月28日開催の第74期定時株主総会、2010年6月29日開催の第77期定時株主総会、2013年6月27日開催の第80期定時株主総会、2016年6月29日開催の第83期定時株主総会および2019年6月27日開催の第86期定時株主総会において、それぞれの株主の皆様のご承認を得て、継続または更新され、その有効期間は、2022年6月開催予定の第89期定時株主総会終結時までとなっております。
ロ.当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容と取締役会の判断
当社は、当社株式の大規模な買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますが、当社株主の皆様が企業価値ひいては株主共同の利益への影響を適切に判断するためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報・意見・代替案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えております。
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為に関するルールを設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めております。大規模買付ルールは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として相当と認める対抗措置を講ずることとしております。
なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、当該大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するか否か、対抗措置をとるべきか否か等について取締役会が判断するにあたっては、社外の学識経験者、弁護士、公認会計士等から選任された特別委員会に対し諮問を行い、その勧告を最大限尊重するものとしております。
以上のとおり、本対応方針は、当社株式の大規模な買付行為に対し株主の皆様が判断するのに必要な情報と時間を確保するためのルールを設定し、大規模買付者がこのルールを遵守しない場合や大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかな場合などに対抗措置を講ずることを定めたものでありますので、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(注) 本方針の詳しい内容については、当社ホームページ
(http://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/2019.05.16_release_2.pdf)をご参照ください。
当社グループが行っている不動産賃貸事業、不動産販売事業、完成工事事業及び不動産流通事業は、景気動向や企業業績、個人所得等の動向、人口動態、地価動向、原材料価格動向、金融情勢、税制等の影響を受けやすい傾向にあり、これらが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その中で、経営者が、当連結会計年度末現在において、連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
昨年来、全世界的にまん延している新型コロナウイルス感染症の流行は、いまだにその収束が見通せない状況にあります。
2022年3月期につきましては、不動産賃貸事業のうちホテルやイベントホールなどの施設営業分野について、新型コロナウイルス感染症による落ち込みが年度内には回復せず、前年並みの事業環境が続くことを前提として、業績予想を公表しております。
当社グループでは、政府等の方針や各業界のガイドラインに則り、お客様や従業員への感染予防対策を実施しながら、売上確保を図っております。
上記前提を超えて、新型コロナウイルス感染症の流行が、国内及び海外主要各国において拡大と収束を繰り返し、緊急事態宣言が断続的に発出され、人の動きや集いが大幅に制限される状況が長期間にわたり続いた場合、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野において、売上減少が継続することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループが行っている不動産賃貸事業および不動産販売事業は、まず用地を取得し、かつ建物が竣工しなければ収益に計上できない投資先行型の事業であるため、事業資金を金融機関等からの借入や社債等により安定的に賄う必要があります。
これに対し、連結有利子負債の借入期間の長期化、固定金利化を進めるとともに、多様な金融機関との安定的な関係性の構築を進め、資金調達の安定化を図っております。
しかしながら、金融環境の急速かつ大幅な変化、借入先の経営状況の変化等により、借入利息の上昇、資金繰りの悪化等、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループが行う事業は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、労働基準法をはじめとして、様々な法規制の下に置かれており、その改正動向を注視しつつ、適時適切に対応するよう努めております。また、リスクマネジメント委員会の下部組織である内部統制会議において、当社グループにおけるコンプライアンス推進活動のモニタリングを行うとともに、当社内部監査室が子会社を含めた内部監査を実施、更に、社内外に複数の内部通報窓口を設置し、不正、違法行為の発見、抑止に努めております。
しかしながら、法律等の改正による事業活動への影響を通じて、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。また、当社グループやその役職員によるコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの商品需要が低下することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、各事業において、個人情報を含む多くの重要な情報を保有しており、情報流出を防ぐためのサイバーセキュリティを導入しているほか、従業員に対して情報セキュリティに関する研修を実施しております。
しかしながら、サイバー攻撃や社員の不注意により情報が流出した場合、補償の発生や、信用の喪失による当社グループの商品需要の低下などにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、災害その他不可抗力の事態に備えるため、保有資産において、免震・制振構造の採用や非常用発電機の設置による無停電対応などにより事業継続性を高めるとともに、当社事業活動において、各種事態を想定したマニュアルの策定と訓練の実施による継続性の確保に努めております。
しかしながら、想定をはるかに凌駕する規模の不可抗力の事態が発生した場合、保有資産の復旧費用負担の発生や営業活動の停滞等に伴い、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、気候変動に伴い発生する風水害等の物理的リスクだけでなく、気候変動を抑止するための諸制度や事業環境の変化等の移行リスクに対応するべく、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、当社グループ各部門の事業活動を通じた環境課題への対応を統制・推進しております。特に、気候変動の緩和に向け、環境性能が高い物件の新規開発や運用時における省エネ啓蒙、既存物件の改修による環境性能の向上等による「省エネ」に注力し、脱炭素の取り組みを推進しております。
しかしながら、想定を超える規制や事業環境の急激な変化等により、建築コストや事業運営コストが高まること等により、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、建設事業者をはじめとして、賃貸資産の管理に係る清掃員・係員・警備員・設備保守点検事業者など、多くのサプライヤーとともに事業を推進しており、サプライヤーに起因するリスクを低減するため、新規取引開始時におけるデューデリジェンスや「サステナブル調達ガイドライン」の周知徹底、当社社員による監理、サプライヤー向け安全研修などを実施しております。
しかしながら、想定外の事態の発生等により、サプライヤーに起因して、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。
当期純利益 8期連続最高益更新
当連結会計年度の業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益は前年に比べ減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は10期連続の増益と、8期連続の最高益更新を達成しました。
オフィスビル増収増益、分譲マンション2桁増益
部門別では、不動産賃貸事業において、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野で新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、主力のオフィスビル事業は低水準の空室率を維持するなど増収増益となり、業績を下支えしました。また、広告費、販売費の減少と粗利益率の改善によって、分譲マンション中心の不動産販売事業が2桁増益となり、業績に寄与しました。その結果、売上高は9,174億円(前期比△9.5%)、営業利益は2,192億円(同△6.4%)となりました。
営業外損益改善継続、最終増益に寄与
受取配当金の増加と支払利息の減少等により、営業外損益は△92億円と前期に比べ45億円改善しました。また、中国大連市における分譲マンション開発合弁会社への出資持分全部を譲渡し、特別利益118億円を計上しました。その結果、経常利益は2,099億円(前期比△4.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,413億円(同+0.3%)となりました。
部門別の営業成績は下表の通りです。
なお、第1四半期期首よりセグメント変更を行い、「不動産販売」、「不動産流通」、「調整額」に計上していた住友不動産販売株式会社の業績を「不動産流通」に一括計上しております。前期のセグメント情報は変更後の数値を記載しております。
<不動産賃貸事業部門>
既存ビルの賃料上昇寄与、オフィスビル増収増益
当連結会計年度は、既存ビルの賃料上昇効果に加え、前期に竣工した「住友不動産新宿セントラルパークタワー」、「住友不動産秋葉原ファーストビル」などの通期稼働が業績に寄与した結果、オフィスビル事業は増収増益となりました。
一方、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野は、二度にわたる緊急事態宣言発出の影響もあり、大幅な売上減(前期比△134億円)となりました。また、2020年3月竣工の大規模複合施設「有明ガーデン」は順次営業を開始しましたが、「羽田エアポートガーデン」は開業を延期しております。
その結果、当事業部門は前期比増収を確保しましたが、営業減益となりました。
既存ビル空室率低水準、新規ビル満室稼働
既存ビルの空室率は2.8%(前期末1.4%)と小幅上昇したものの、依然として歴史的な低水準で推移いたしました。また、「住友不動産麹町ガーデンタワー」や「住友不動産御茶ノ水ビル」など当期竣工ビルはすべて満室稼働となったほか、「住友不動産田町ビル東館」など次期竣工予定ビルのテナント募集も順調に進捗しております。
<不動産販売事業部門>
利益率改善、営業利益過去最高
当連結会計年度は、「シティタワー大井町」、「シティテラス町田ステーションコート」などが引き渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で4,164戸(前期比△1,267戸)を販売計上しました。計上戸数の減少により減収となりましたが、広告費、販売費の減少と粗利益率改善により、営業利益は過去最高を更新しました。
マンション契約順調、次期計上分の8割契約済
マンションの契約戸数は、緊急事態宣言による営業自粛の影響もあり3,047戸(前期比△1,818戸)と前年に比べ大きく減少しましたが、次期計上予定戸数3,800戸に対し期首時点で約80%(前年約80%)が契約済となり、十分な進捗となりました。
<完成工事事業部門>
受注回復基調、前年比プラス
当連結会計年度の受注棟数は、緊急事態宣言発出にともなう大規模な集客イベントや対面営業の制限により、第1四半期に大きく落ち込みましたが、第2四半期以降は「新築そっくりさん」事業、注文住宅事業ともに3四半期連続で前年比プラスとなり回復基調で推移しました。
当事業部門の業績は、消費税増税が実施された前期に受注が減少した影響もあり、両事業ともに計上棟数が減少した結果、減収減益となりました。
<不動産流通事業部門>
仲介件数回復基調、前年比プラス
当連結会計年度の仲介件数(契約ベース)は、緊急事態宣言発出にともなう営業自粛の影響により、第1四半期(4-6月)は6,362件(前年同期比△2,771件)と大きく落ち込みましたが、第2四半期以降(7-3月)では29,568件(同+1,950件)と、中古マンション取引を中心に3四半期連続で前年比プラスとなり回復基調で推移しました。
当事業部門の業績は、仲介件数(引渡ベース)が35,122件(前期比△2,593件)と減少した結果、減収減益となりました。
なお、直営仲介店舗は、エリアが重複する不採算店を閉鎖し、都心にマンション専業店を開設するなど入替を行った結果、当期末時点で全国計269店舗(前期末比△7店舗)となりました。
<その他の事業部門>
フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高8,271百万円(前期比△3,825百万円)、営業損失48百万円(同△822百万円)となりました。
<資産、負債、純資産の状況>
当連結会計年度末における総資産は5兆6,736億円(前期末比+3,560億円)となりました。賃貸ビル投資により有形固定資産が4兆121億円(同+2,719億円)に増加しました。
負債合計額は4兆1,706億円(前期末比+1,480億円)となりました。連結有利子負債が3兆5,612億円(同+1,203億円)に増加しました。
純資産合計額は1兆5,030億円(前期末比+2,080億円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が1,413億円となり利益剰余金が増加したほか、その他有価証券評価差額金が841億円増加しました。その結果、自己資本比率は26.5%(前期末24.4%)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 225,947百万円(前期比 △4,511百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー △336,682百万円(前期比 △46,564百万円)
財務活動によるキャッシュ・フロー 102,086百万円(前期比 +19,442百万円)
となり、現金及び現金同等物は6,167百万円減少して187,281百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当期の経常利益を2,099億円計上したことに加え、減価償却費が増加し、たな卸資産が小幅減少した結果、営業キャッシュ・フローは2,259億円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
主に賃貸事業の増強を目的として合計3,554億円の有形固定資産投資を行った結果、投資キャッシュ・フローは3,366億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
調達資金の長期安定化を進めるため、期限到来にともなう長期借入金返済合計1,941億円(ノンリコース含む)に対して、3,166億円(ノンリコース含む)の長期借入を実施しました。その結果、財務キャッシュ・フローは1,020億円の収入となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度は、売上高9,174億円(前連結会計年度比△960億円)、営業利益2,192億円(同△150億円)、経常利益2,099億円(同△105億円)となりました。売上高、営業利益、経常利益は前年に比べ減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は10期連続の増益と、8期連続の最高益更新を達成しました。
当連結会計年度は、不動産賃貸事業において、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野で新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、主力のオフィスビル事業は低水準の空室率を維持するなど増収増益となり、業績を下支えしました。また、広告費、販売費の減少と粗利益率の改善によって、分譲マンション中心の不動産販売事業が2桁増益となり、業績に寄与しました。その結果、売上高は917,472百万円(前連結会計年度比△96,039百万円、同△9.5%)、営業利益は219,244百万円(同△15,087百万円、同△6.4%)となりました。
なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
営業外収益は、受取配当金の増加や雇用調整助成金の受領等により、13,877百万円(前連結会計年度比+1,627百万円)となりました。また、営業外費用は、支払利息の減少等により、23,172百万円(同△2,888百万円)となりました。その結果、営業外損益は△9,294百万円(同4,516百万円の改善)となりました。
当連結会計年度は、中国大連市における分譲マンション開発合弁会社への出資持分全部の譲渡を主因に、合計13,652百万円(前連結会計年度比+7,132百万円)の特別利益を計上した一方、既存ビルの改修に伴う除却損など合計13,242百万円(同△7,988百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引409百万円の利益(同15,120百万円の改善)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益が141,389百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比124,034百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、1,503,021百万円(同+208,022百万円)、自己資本比率は26.5%となりました。
資金調達においては、当連結会計年度中に、調達資金の長期安定化を進めるため、期限到来にともなう長期借入金返済合計1,941億円(ノンリコース含む)に対して、3,166億円(ノンリコース含む)の長期借入を実施しました。その結果、連結有利子負債は、3,561,293百万円(前連結会計年度末比+120,385百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末において、連結有利子負債の長期比率は96%(前連結会計年度末96%)、固定金利比率は94%(同95%)となっております。
現在推進中の「第八次中期経営計画」では、収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローを優先配分して賄う方針です。詳しくは、前掲「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (参考)第八次中期経営計画の内容 (ⅱ)賃貸設備投資計画」をご参照下さい。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
(イ) 販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価
当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。
なお、詳細は第5[経理の状況]の連結財務諸表の(重要な会計上の見積り)に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(追加情報)に記載しております。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。