第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等は異なることがあります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、430年の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社であり、「信用を重んじ、浮利を追わず」という住友の事業精神を受け継ぎ、従業員、顧客、取引先、債権者、株主等のステークホルダーに対し、当社の企業姿勢を示すスローガンとして「信用と創造」を掲げております。これには、何よりも「信用」を大切にして「浮利を追わず」に、開拓精神を持って新しい企業価値を創り出す、デベロッパーとしての矜持を込めております。

このスローガンのもと、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」ことを基本使命とし、各事業を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。

 

(2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題

 

①収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進

当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。

当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長いたしました。

オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてまいりました。

コロナ禍を契機として働き方が多様化し、テレワークの活用も広がりましたが、同時に東京都心のオフィスの重要性も再認識されております。当社は引き続き、後述の第九次中期経営計画において目標に掲げている、延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割強)の東京都心における新規ビル開発計画を着実に推進し、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上を目指します。

 

②中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続

当社の主力事業である不動産賃貸事業や不動産販売事業では、用地の取得から建物完成、収益計上までに、短くて2~3年、再開発事業など大規模な開発では5年以上を要するものが多々あります。年度計画だけでは、土地の最有効活用を図り収益を最大化するという、不動産業本来の最も重要な視点が損なわれるおそれがありますので、当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまでの25年間で8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く22期で経常増益を達成しました。

当初10期(中計3期間)は、バブル崩壊により痛んだ資産の修復と有利子負債削減に取り組みました。後半の15期(中計5期間)は、賃貸資産を倍増させ、賃貸・販売・完工・流通の4セグメントをより強固なものとして経営基盤を強化、併せて自己資本を充実させて債務格付けをAAゾーンにまで引き上げました。

これから2030年度までの中計3期間は、更なる賃貸資産拡充投資に資金重点を置くスタンスを維持して持続的な利益成長を図りつつ、当社事業そのものの社会貢献度の高さ、投資余力と資本政策の自由度の高まりを踏まえて、強靭な経営基盤、かつサステナブルな成長を目指してまいります。経営環境は当面、コロナ禍、地政学リスク、資源調達の不安定性などの諸問題を抱えておりますが、2030年度の経常利益3千億円実現を視野に入れ、2022年5月に発表した新しい経営計画「第九次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」をその第一弾と位置付けて、引き続き企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。

※第九次中期経営計画の内容は、「(3)中期経営計画について」に記載のとおりです。

 

 

③事業を通じた社会課題の解決、SDGsへの貢献

当社は、430年続く住友の事業精神を継承したサステナビリティ経営を実践しており、「より良い社会資産を創造し、それを後世に残していく」という基本使命のもと、事業活動を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組むとともに、国連の持続可能な開発目標「SDGs」の達成にも貢献してまいります。

当社の主力事業であるオフィスや住宅などの再開発事業においては、木造家屋が密集する地域で堅牢な耐火建築物への建て替えを実施し、行政と連携して防災拠点とすることで、地域全体の防災性を大きく向上させるとともに、コミュニティ形成や活性化を促進する交流拠点を形成するなど地域の課題解決に貢献するまちづくりを推進しています。

また、「新築そっくりさん」事業においては、1996年の事業開始以降、耐震補強工事を標準仕様とし、安心安全な住宅の普及に積極的に努めています。基礎・躯体等を再利用することで、廃棄物の発生量や新たな資材投入を大きく削減することができ、2022年6月には、東京大学・武蔵野大学との共同研究において、調査した施工物件のCO2排出量が建て替えに比べて47%削減されることも確認されました。

2022年5月には、国際的社会課題である2050年カーボンニュートラルに貢献すべく、2030年度までの中間目標として、パリ協定直前の2014年度実績比でCO2排出量を50%削減する目標を掲げました。総合不動産デベロッパーとして、オフィスビル、分譲マンション、注文住宅、リフォームなど、各主力事業で、省エネや創エネの普及促進を図る消費者への訴求力を高めた商品、サービスの開発、提供を推進し、CO2排出量削減目標達成に向けて取り組んでまいります。

当社は、今後とも、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

 

 

(3)中期経営計画について

第九次中期経営計画の内容(2022年5月12日公表)は、以下の通りです。

 

1.業績目標

中計最高益連続更新

3ヵ年累計経常利益 7,500億円、当期利益 5,000億円の達成

八次までの成長ペースを維持し、六次から4計画連続の最高益更新を目指す

 

<3ヵ年の累計業績目標>

売 上 高       3兆円     (八次中計比  +1,296億円、+  5%)

営業利益       7,700億円   (  同    +  825億円、+ 12%)

経常利益       7,500億円   (  同    +  944億円、+ 14%)

当期利益       5,000億円   (  同    +  672億円、+ 16%)

 

 

(参考) 各経営計画の業績比較

 

(億円)

 

 

六次

七次

八次

九次

 

 

(2014年3月期

~2016年3月期)

(2017年3月期

~2019年3月期)

(2020年3月期

~2022年3月期)

(2023年3月期

~2025年3月期)

 

売 上 高

24,421

(+2,720)

28,858

(+4,437)

28,704

 (△153)

30,000 
(+1,296) 

 

営業利益

5,006

(+633)

 6,132

(+1,126)

6,875

 (+743)

 7,700 
  (+825) 

 

経常利益

4,180

(+888)

 5,578

(+1,398)

6,556

 (+978)

 7,500 
  (+944) 

 

当期利益

2,381

(+741)

 3,533

(+1,153)

4,328

 (+795)

 5,000 
  (+672) 

 

注)いずれも計画期間中の累計額

 

 

2.部門別業績目標と事業戦略

東京のオフィスビル賃貸を確固たる基盤と位置付けることは変えず、
    グループの総合力で目標達成を目指す

 

<部門別業績目標>

 

(億円)

 

 

六次

七次

八次

九次

 

賃   貸

8,862

10,731

12,189

13,000

 

販   売

7,731

9,572

8,221

7,500

 

完   工

5,893

6,347

6,120

7,000

 

流   通

1,772

2,077

2,105

2,500

売 上 高

24,421

28,858

28,704

30,000

 

賃   貸

3,137

4,155

4,873

5,200

 

販   売

1,272

1,401

1,509

1,500

 

完   工

470

504

547

750

 

流   通

406

474

441

680

営業利益

5,006

6,132

6,875

7,700

 

 

<事業戦略>

① 不動産賃貸

八次までに構築した収益基盤を維持し、4計画連続の増益を目指す

・オフィスビルは、既存ビルの収益力維持に努めるとともに、八次竣工ビル(延18万坪)の通期稼働と、九次竣工ビル(延19万坪)の新規稼働による収益を確実に取り込む

・ホテル・イベントホール・商業施設などの施設営業分野は、コロナ禍前の収益力を回復し、十次以降の成長回帰を期す

 

② 不動産販売

八次で実現した高水準の利益規模を維持する

・量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールする方針を堅持

・上昇傾向にある建設工事費への対処は課題だが、九次計上分は全件着工済につき影響は限定的

・競争激化の用地取得環境が続く中、着実に確保する方針を継続

 

③ 完成工事

リフォーム(新築そっくりさん)、注文住宅ともに、品質を高めつつ、コストコントロールに注力し、受注拡大による最高益連続更新を目指す

・高い環境性能や防災性能をはじめ、顧客のニーズを的確に捉えた商品提案により受注拡大を図る

・ウッドショックや資材高に適切に対処し、影響を最小限にとどめる

 

④ 不動産流通

収益力を一段と強化し、中計最高益の大幅更新を目指す

グループの連携強化と顧客本位のサービスをより一層追求し、シェア拡大を図る

 

3.設備投資計画(分譲マンションなど販売用の仕入れを除く固定資産投資)

収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
    九次3年間で1兆円の投資を見込む

 

① 再開発を中心とした具体化している延床70万坪超の開発計画への投資7千億円
    現時点の賃貸資産稼働見通しは下表の通り

開発ペースの推移>

 

 

 

 

 

六次

七次

八次

九次

十次以降

延床面積

11万坪

21万坪

18万坪

19万坪

52万坪

 

 

② 「好球必打」新規案件投資枠3千億円

 

4.資金調達計画

(1)仕掛中物件の追加投資7千億円は、拡大する賃貸CF※で賄える見通し

設備投資と賃貸CFの推移>

 

(億円)

 

六次

七次

八次

九次

設備投資

△4,223

△6,635

△8,053

△10,000

賃貸CF

4,098

5,346

6,445

7,000

有利子負債

31,589

33,428

35,600

38,000

 

 ※賃貸CF(キャッシュフロー):不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費

 

(2)グリーンファイナンスの導入
     長期資金総額1兆円のグリーンファイナンスを実施

 

   ① DBJ Green Building認証※で3つ星以上の評価を取得済の当社保有ビル(2022年3月末時点で27物
              件取得済)のうち、12棟を対象に1兆円をグリーンファイナンスにより調達する

 

   ② 資金調達期間中の制約

     ・CO2排出量、エネルギー使用量等の環境性能開示

     ・対象物件のDBJ Green Building認証3つ星以上維持

     ・環境改善等の社会課題に貢献するファイナンスであり、対象物件の売却禁止

 

   ③ JCR・R&I 2社からグリーンファイナンス適合評価取得

 

   ※DBJ Green Building認証は、日本政策投資銀行が創設した、不動産の「経済性」にとどまらない「環境・社会への配慮」に

    おける性能・取組みを評価する認証制度

 

 

5.株主還元方針

利益成長に沿った「持続的増配」、「年5円増配」を継続

キャッシュフローは賃貸ビル投資に優先配分する方針を継続

なお、九次中計期間中に自己資本比率は30%を超える見通しで、資本政策の自由度は高まりつつあります。

 

配当と一株利益の推移>

 

 

 

(円)

 

七次

八次

 

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

配  当

24

27

30

35

40

45

一株利益

218

253

275

298

298

317

 

 

6.政策保有株式に対する数値目標の導入

保有株式簿価の株主資本に対する比率を2030年度までに10%以下に抑制

当社は、取引先等との安定的・長期的な取引関係の構築および強化等の観点から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合は、当該取引先等の株式を取得し保有することができるものとしております。
 今般、政策保有株式の保有残高につき数値目標を設定し、一定の規律を設けることといたしました。2022年3月期末時点で、保有する上場株式の簿価(取得原価)2,719億円の株主資本1兆4,792億円(純資産から有価証券評価差額金等を控除)に対する比率は18%に相当しますが、これを今後毎年引き下げ、2030年度までに10%以下に抑制してまいります。

<上場株式簿価と株主資本の推移>

(億円)

 

 

 

六次

七次

八次

 

2030年度

目標

 

(2016年3月末)

(2019年3月末)

(2022年3月末)

 

株式簿価

1,903

2,555

2,719

 

 

株主資本

8,210

10,993

14,792

 

 

比   率

23%

23%

18%

 

10%以下

 

 

 

 

7.CO2排出量(Scope1、2、3)削減目標の設定

パリ協定直前の2014年度対比、2030年度までに50%削減

2050年カーボンニュートラルに賛同表明済

脱炭素への取り組みを事業拡大に結び付け達成を目指す

 

① オフィスビルを中心とする賃貸事業・施設運営事業において省エネを推進

  ・新築・リニューアル時の高効率設備導入を一段と追求し、
         エネルギー消費等による自社CO2排出を床面積当たり50%削減

  ・テナントへの省エネ啓発活動を継続

 

② 主力事業の上流、下流における削減対策推進

  ・ビルテナント専有部へのグリーン電力導入支援

  ・建設時のエネルギー消費を抑制

  ・高性能設計を強化(分譲マンションのZEH-M Oriented標準仕様化)

  ・戸建住宅の脱炭素に貢献する、太陽光発電の新サービス「すみふ×エネカリ」提供推進

  ・新築そっくりさんで高断熱リフォーム商品の提供推進

   ・自動車充電装置の普及を促進

 

③ 九次中計は総排出量の10%削減を目指す

  ・総排出量の約6割を占める分譲マンション事業における削減は、設計基準変更後の物件が竣工する十次
         中計以降に寄与

  ・分譲マンション以外は25%削減を目指す

 

<九次 CO2排出量削減目標>

 

 

(参考)

 

 

2014年度
排出量

 

 九次
 削減目標

 

2019年度
排出量

(千tCO2

構成比

 

分譲マンション

3,605

61%

 

3,540

 

注文住宅・新築そっくりさん

1,591

27%

 

 

1,565

 

オフィスビル

689

12%

 

 

1,366

 

その他(本社、グループ会社)

55

1%

 

 

66

分譲マンション以外

2,336

39%

△25%

 

2,997

合計

5,940

100%

△10%

 

6,537

 

 

九次 各事業の主な数値目標

①  オフィステナント専有部のグリーン電力導入率30%
  ②  分譲マンションのZEH-M Oriented 設計100%
  ③  注文住宅でZEH住宅(標準化済)受注比率60%
  ④  新築そっくりさんで高断熱リフォーム商品(投入済)受注比率20%
  ⑤  「すみふ×エネカリ」の太陽光発電で創出した環境価値を取得し、
    当社グループの自己使用オフィスの電力を全量グリーン化

 

 

(4)当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)

①基本方針の内容とその実現に資する取組み

(イ) 中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続

当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまでの25年間で8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く22期で経常増益を達成しました。
 当初10期(中計3期間)は、バブル崩壊により痛んだ資産の修復と有利子負債削減に取り組みました。後半
の15期(中計5期間)は、賃貸資産を倍増させ、賃貸・販売・完工・流通の4セグメントをより強固なものとして経営基盤を強化、併せて自己資本を充実させて債務格付けをAAゾーンにまで引き上げました。

これから2030年度までの中計3期間は、更なる賃貸資産拡充投資に資金重点を置くスタンスを維持して持続的な利益成長を図りつつ、当社事業そのものの社会貢献度の高さ、投資余力と資本政策の自由度の高まりを踏まえて、強靭な経営基盤、かつサステナブルな成長を目指してまいります。経営環境は当面、コロナ禍、地政学リスク、資源調達の不安定性などの諸問題を抱えておりますが、2030年度の経常利益3千億円実現を視野に入れ、2022年5月に発表した新しい経営計画「第九次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」をその第一弾と位置付けて、引き続き企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。

 

(ロ) 成長を支えてきた東京都心のオフィスビル賃貸事業と企業価値

当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
 当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長、2022年3月期の賃貸キャッシュフロー(不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費)は2千2百億円に達しております。
 オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてきたものと自負しております。2022年3月期の決算短信にて開示した「賃貸等不動産」の含み益は年々蓄積され、2022年3月末時点で約3兆5千億円に達しております。

 

(ハ) 買収防衛策の必要性

第九次計画では、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することを第三の目標に掲げており、再開発を中心とした具体化している延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割超)の開発計画を順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上、株主利益の増大を目指すこととしております。この大規模な開発計画は、これまで弛まず積み上げてきた多額の先行投資がいよいよ収益化するものです。当社がこれまで長期間に亘り、不動産市況や景気の波にさらされることなく、賃貸ビル開発による事業基盤拡充を継続できたのは、安定収益源である賃貸キャッシュフローが常時下支えとなっていたためであり、この先行投資を有利子負債の際限ない増加に頼らず自信を持って実行するには、2千億円を超える規模に拡大した賃貸キャッシュフローの維持拡大が必要です。また、大型の再開発が中心であるため、全件収益化に目途が立つまでには今後中計2~3期間を要すると見込まれます。

 

 

一方、大規模な金融緩和を背景に、国内の優良な収益不動産に対する投資意欲は一段と増しており、東京に多数の優良ビルを持つ当社株式について一方的に大量取得行為が強行されるおそれは否定できません。当社が半世紀にわたって継続してきた、賃貸資産を着実に積み上げることにより企業価値の持続的な拡大を目指す経営方針を否定し、将来の企業価値増大に資する開発計画が成就する前に、保有不動産を売却して含み益をはき出し、一過性の利益を求める短期志向の経営方針を採ることは、結果として、安定収益源の賃貸キャッシュフローを減少させ、開発計画を財務リスクにさらし、当社の企業価値基盤を損なうおそれがないとは申せません。中長期的な展望に基づき着実な企業価値の向上を目指す当社の経営方針は、このような短期志向とは相容れません。よって、現稼働面積の4割を超える70万坪超の開発計画の収益化に概ね目途がつき、企業価値に反映されていない開発計画が一定割合に低下するまでは、買収を意図する投資家が現れた場合に、十分な情報と時間を確保して議論を尽くし、株主の皆様に信を問う必要があると考えます。
 また、我が国の金融商品取引法上、会社支配権に影響を及ぼす株取引について、透明性・公平性を担保するための手続きとして公開買付制度が措置され、株主の皆様に判断していただくための情報と時間が確保されることとなっておりますが、公開買付期間が30営業日と短く検討時間として十分とは言いきれません。また、部分公開買付けを容認するものであることから、強圧的買収などの濫用的な買収を必ずしも排除できないこと、そもそも買収者が市場内取引のみで株を買い進めた場合には、公開買付制度が適用されないことといった、法制度上の問題点も残っていると考えております。
 以上のことから、今後も当社が持続的に企業価値を向上させるため、引き続き「当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)」(以下「本対応方針」といいます。)による手続きを予め具備しておくことが、株主共同の利益に合致すると判断しております。本対応方針は、2007年5月17日付取締役会決議に基づき導入され、同年6月の第74期定時株主総会決議に基づき同方針を継続後、第77期、第80期、第83期、第86期および第89期定時株主総会において、それぞれの株主の皆様のご承認を得て、継続または更新され、その有効期間は、2025年6月開催予定の第92期定時株主総会終結時までとなっております。

 

②当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容と取締役会の判断

当社は、当社株式の大規模な買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますが、当社株主の皆様が企業価値ひいては株主共同の利益への影響を適切に判断するためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報・意見・代替案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えます。
 本対応方針は、当社株式の大規模買付行為に関するルールを設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めております。大規模買付ルールは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として相当と認める措置を講ずることとしております。
 なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、当該大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するか否か、および対抗措置をとるべきか否かについて取締役会が判断するにあたっては、社外取締役、社外監査役、経営経験者、弁護士、公認会計士等から選任される特別委員会に対し諮問し、その勧告を最大限尊重するものとしております。

以上のとおり、本対応方針は、当社株式の大規模な買付行為に対し株主の皆様が判断するのに必要な情報と時間を確保するためのルールを設定し、大規模買付者がこのルールを遵守しない場合や大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかな場合などに対抗措置を講ずることを定めたものでありますので、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(注) 本対応方針の詳しい内容については、当社ホームページ

(https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/2022.05.12_release2.pdf)をご参照ください。

2 【事業等のリスク】

 

当社グループが行っている不動産賃貸事業、不動産販売事業、完成工事事業及び不動産流通事業は、景気動向や企業業績、個人所得等の動向、人口動態、地価動向、原材料価格動向、金融情勢、税制等の影響を受けやすい傾向にあり、これらが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

その中で、経営者が、当連結会計年度末現在において、連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)災害その他不可抗力の事態に関するリスク

当社グループは、災害その他不可抗力の事態に備えるため、保有資産において、免震・制振構造の採用や非常用発電機の設置による無停電対応などにより事業継続性を高めるとともに、当社事業活動において、各種事態を想定したマニュアルの策定と訓練の実施による継続性の確保に努めております。また、サステナビリティ委員会の下部組織であるBCP対策協議会において、当社グループにおけるBCP対策整備の具体的方針を定め、整備状況のモニタリングを行っております。

しかしながら、想定をはるかに凌駕する規模の不可抗力の事態が発生した場合、保有資産の復旧費用負担の発生や営業活動の停滞等に伴い、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。

 

(2)コンプライアンスに関するリスク

当社グループが行う事業は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、労働基準法をはじめとして、様々な法規制の下に置かれており、その改正動向を注視しつつ、適時適切に対応するよう努めております。また、サステナビリティ委員会の下部組織である内部統制会議において、当社グループにおけるコンプライアンス推進活動のモニタリングを行うとともに、当社内部監査室が子会社を含めた内部監査を実施、更に、社内外に複数の内部通報窓口を設置し、不正、違法行為の発見、抑止に努めております。

しかしながら、法律等の改正による事業活動への影響を通じて、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。また、当社グループやその役職員によるコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの商品需要が低下することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(3)気候変動に関するリスク

当社グループは、気候変動に伴い発生する風水害等の物理リスクだけでなく、気候変動を抑止するための諸制度や事業環境の変化等の移行リスクに対応するため、TCFDフレームワークに基づき、ガバナンス・戦略・リスク・目標の4つの観点から、気候変動がもたらす財務影響とその対応を整理・分析し、開示するとともに、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進協議会において、様々な取り組みを推進しております。社会資産を供給する事業者として、事業活動を通じた気候変動対策の推進に向け、特に環境性能が高い物件や商品の新規開発や、運用時における省エネ啓蒙、既存物件の改修による環境性能の向上等に注力し、脱炭素の取り組みを推進しております。

しかしながら、想定を超える規制や事業環境の急激な変化等により、建築コストや事業運営コストが高まり、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。

 

 

(4)サプライヤーに関するリスク

当社グループは、建設事業者をはじめとして、賃貸資産の管理に係る清掃員・係員・警備員・設備保守点検事業者など、多くのサプライヤーとともに事業を推進しており、サプライヤーに起因するリスクを低減するため、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進協議会において、新規取引開始時におけるデューデリジェンスや「サステナブル調達ガイドライン」の周知徹底、当社社員による監理、サプライヤー向け安全研修などを実施しております。

しかしながら、想定外の事態の発生等により、サプライヤーに起因して、当社グループの経営成績および財政状況が影響を受ける可能性があります。

 

 (5)情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、各事業において、個人情報を含む多くの重要な情報を保有しており、情報流出を防ぐためのサイバーセキュリティを導入しているほか、従業員に対して情報セキュリティに関する研修を実施しております。

しかしながら、サイバー攻撃や社員の不注意により情報が流出した場合、補償の発生や、信用の喪失による当社グループの商品需要の低下などにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(6)ファイナンスに関するリスク

当社グループが行っている不動産賃貸事業および不動産販売事業は、まず用地を取得し、かつ建物が竣工しなければ収益に計上できない投資先行型の事業であるため、事業資金を金融機関等からの借入や社債等により安定的に賄う必要があります。

これに対し、連結有利子負債の借入期間の長期化、固定金利化を進めるとともに、多様な金融機関との安定的な関係性の構築を進め、資金調達の安定化を図っております。

しかしながら、金融環境の急速かつ大幅な変化、借入先の経営状況の変化等により、借入利息の上昇、資金繰りの悪化等、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

<連結有利子負債他の推移>                                (百万円)

 

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

 

連結有利子負債

3,473,512

3,342,786

3,440,908

3,561,293

3,559,993

 

連結自己資本

1,114,975

1,202,103

1,294,998

1,503,021

1,634,049

 

デットエクイティレシオ※

2.9

2.6

2.5

2.2

2.1

 

長期比率

98%

99%

96%

96%

98%

 

固定金利比率

94%

96%

95%

94%

96%

 

※連結純有利子負債÷連結自己資本

 

 

 

 

 

 

(7)新型コロナウイルス感染症流行に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の流行が継続している状況のなか、当社グループでは、政府等の方針や各業界のガイドラインに則り、お客様や従業員への感染予防対策を実施しながら、売上確保を図っております。

しかしながら、国内及び海外主要各国において流行が再拡大し、人の動きや集いが大幅に制限される状況が長期間にわたり続いた場合、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野において、売上が減少することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

経常最高益へ復帰、当期純利益 9期連続最高益更新

当連結会計年度の業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。経常利益は、コロナ禍の減益を1期のみとして最高益へ復帰、親会社株主に帰属する当期純利益は9期連続の最高益更新を達成しました。

 

オフィスビル増収増益、仲介大幅増益

部門別では、主力のオフィスビル事業が増収増益となったことに加えて、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野が前年に比べ落ち込み幅が縮小、不動産賃貸事業は増収増益となりました。また、「新築そっくりさん」などの完成工事事業や中古住宅の仲介が好調な不動産流通事業が増収増益となり業績に寄与しました。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は、計上戸数が減少して減収減益となりましたが、高水準の営業利益を達成して好調に推移しました。

 

営業外損益は△87億円(前期比+5億円)、特別損益は前年に計上した中国大連市における分譲マンション開発合弁会社への出資持分譲渡益118億円がなくなり、△64億円(同△68億円)となりました。
 その結果、売上高9,394億円(前期比+2.4%)、営業利益2,338億円(同+6.7%)、経常利益2,251億円(同+7.2%)親会社株主に帰属する当期純利益1,504億円(同+6.4%)となりました。

 

 

 

 

(百万円)

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減

 

 

 

(2020.4.1~2021.3.31)

(2021.4.1~2022.3.31)

 

 

売上高

917,472

939,430

+21,958

 

 

営業利益

219,244

233,882

+14,638

 

 

経常利益

209,949

225,115

+15,165

 

 

親会社株主に帰属する
当期純利益

141,389

150,452

+9,063

 

 

 

部門別の営業成績は下表の通りです。

 

 

 

 

 

(百万円)

 

売上高

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減

 

 

 

(2020.4.1~2021.3.31)

(2021.4.1~2022.3.31)

 

 

 不動産賃貸

398,237

425,081

+26,844

 

 

 不動産販売

263,394

233,788

△29,606

 

 

 完成工事

188,707

204,361

+15,654

 

 

 不動産流通

65,792

73,484

+7,691

 

連結計

917,472

939,430

+21,958

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(百万円)

 

営業利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減

 

 

 

(2020.4.1~2021.3.31)

(2021.4.1~2022.3.31)

 

 

 不動産賃貸

155,245

162,649

+7,404

 

 

 不動産販売

53,931

50,485

△3,445

 

 

 完成工事

15,565

18,523

+2,957

 

 

 不動産流通

11,480

18,025

+6,545

 

連結計

219,244

233,882

+14,638

 

 

<不動産賃貸事業部門>

通期稼働ビルが寄与、増収増益

当連結会計年度は、前期に竣工した「住友不動産麹町ガーデンタワー」、「住友不動産御茶ノ水ビル」などの通期稼働に加え、前年に取得した大型物件の取得費用がなくなったことなどにより、主力のオフィスビル事業は増収増益を確保しました。
 一方、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野では、新型コロナウイルス感染症の影響が続くものの、「有明ガーデン」の通期稼働やオリンピック関連などの一時的な収益の寄与により前年対比で落ち込み幅は縮小しました。
 その結果、当事業部門の業績は増収増益となりました。

 

既存ビル空室率5.8%、一進一退

既存ビルの空室率は5.8%と上半期に上昇しましたが、下半期は横ばい圏で推移しました。テナントニーズは多様化しており、市況は一進一退の様相が続いております。
 また、新規ビルのテナント募集は、上半期に竣工した「住友不動産田町ビル東館」、「住友不動産神田和泉町ビル」は契約をほぼ完了、第4四半期に竣工した「住友不動産大崎ツインビル東館」や、次期竣工予定の大型ビル「東京三田再開発計画」、「西新宿五丁目北計画」などの募集に注力しております。

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度末

第3四半期末

当連結会計年度末

 

 

(2021.3月末)

(2021.12月末)

(2022.3月末)

 

 既存ビル空室率

2.8%

5.9%

5.8%

 

 

<不動産販売事業部門>

期初計画通り、高水準の営業利益達成

当連結会計年度は、前期までに竣工した大規模物件「シティタワーズ東京ベイ」、「シティタワー銀座東」などの引き渡しが順調に進捗したのに加え、「シティタワー武蔵小山」、「シティテラス金町」などが引き渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で3,604戸(前期比△560戸)を販売計上しました。
 前年に比べ計上戸数は減少し減収減益となりましたが、営業利益は504億円となり、期初計画(500億円)通り、高水準の利益を達成しました。

 

マンション契約順調、次期計上分の8割契約済

マンション契約戸数は前年と同じ3,047戸と計画通り順調に進捗、次期計上予定戸数3,000戸に対し期首時点で約80%(前年約80%)が契約済となっております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減

 

 

 

 

(2020.4.1~2021.3.31)

(2021.4.1~2022.3.31)

 

 

マンション契約戸数

3,047

3,047

 

 

計上戸数

4,164

3,604

△560

 

 

 

マンション・戸建

4,149

3,569

△580

 

 

 

宅地

15

35

+20

 

 

売上高(百万円)

263,394

233,788

△29,606

 

 

 

マンション・戸建

252,394

218,289

△34,104

 

 

 

宅地・その他

11,000

15,498

+4,498

 

 

 

 

<完成工事事業部門>

受注増、増収増益

当連結会計年度の受注棟数は、「新築そっくりさん」事業で8,362棟(前期比+828棟)、注文住宅事業で2,619棟(同+92棟)と、緊急事態宣言に伴い営業活動を自粛した前年に比べ増加しました。当期は、太陽光発電の新サービス「すみふ×エネカリ」や高断熱リフォームプランなど環境に配慮した新商品を投入、受注増に寄与しました。
 その結果、当事業部門の業績は、木材など資材価格上昇による影響もありましたが、計上棟数の増加により増収増益を達成しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減

 

 

 

 

(2020.4.1~2021.3.31)

(2021.4.1~2022.3.31)

 

 

 受注棟数

10,061

10,981

+920

 

 

 

 新築そっくりさん

7,534

8,362

+828

 

 

 

 注文住宅

2,527

2,619

+92

 

 

 計上棟数

9,940

10,582

+642

 

 

 

 新築そっくりさん

7,566

7,971

+405

 

 

 

 注文住宅

2,374

2,611

+237

 

 

 売上高(百万円)

178,522

194,178

+15,655

 

 

 

 新築そっくりさん

98,160

105,746

+7,586

 

 

 

 注文住宅

80,361

88,431

+8,069

 

 

 

<不動産流通事業部門>

仲介件数、売上高、営業利益のすべてで過去最高更新

当連結会計年度の仲介件数は、緊急事態宣言に伴い営業活動を自粛した前年に比べ増加したのに加え、9月に導入した新サービス「ステップオークション」の効果などにより、中古マンション取引を中心に38,144件(前期比+3,022件)と、2期ぶりに過去最高を更新しました。
 その結果、当事業部門の業績は、売上高と営業利益がともに過去最高(前期に実施したセグメント変更を過去実績に反映後)を更新、大幅な増収増益となりました。
 なお、直営仲介店舗は、エリアが重複する不採算店を閉鎖し、都心にマンション専業店を開設するなど入替を継続、当期末時点で全国計256店舗(前期末比△13店舗)となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減

 

 

 

(2020.4.1~2021.3.31)

(2021.4.1~2022.3.31)

 

 

 仲介件数

35,122

38,144

+3,022

 

 

 取扱高  (百万円)

1,241,023

1,453,387

+212,364

 

 

 取扱単価(百万円)

35.3

38.1

+2.7

 

 

 

<その他の事業部門>

フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高9,083百万円(前期比+812百万円)、営業利益617百万円(同+665百万円)となりました。

 

 

  <中期経営計画の達成状況>

2019年4月より取り組んできた「第八次中期経営計画」は当期(2022年3月期)をもって終了しました。計画2年目に新型コロナウイルス感染症の影響により減収減益を余儀なくされましたが、最終年度の当期は、前述の通り、増収増益とし、1年で経常最高益復帰を果たしました。3ヵ年累計業績は下表の通りで、コロナ禍前に策定した当初目標には届きませんでしたが、営業利益と経常利益は六次から3計画連続の中計最高益を達成することができました。

(億円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七次実績

 (2016.4.1

~2019.3.31)

 

前々期

前 期

当 期

八次実績

(3ヵ年累計)

 

七次比

 

 八次目標

 (2019.4.1

~2022.3.31)

 

売 上 高

2 兆 8,858

 

1 兆 135

9,175

9,394

2 兆 8,704

 

△153

 

3 兆 1,000

 

営業利益

6,132

 

2,343

2,192

2,339

6,875

 

+743

 

7,400

 

経常利益

5,578

 

2,205

2,099

2,251

6,556

 

+978

 

7,000

 

※2019年5月16日公表

 <資産、負債、純資産の状況>

 当連結会計年度における総資産は5兆8,060億円(前期末比+1,323億円)となりました。賃貸ビル投資により有形固定資産が4兆1,143億円(同+1,021億円)に増加しました。
 負債合計額は、4兆1,719億円(前期末比+13億円)となりました。連結有利子負債は、前期末並みの3兆5,599億円(同△13億円)となりました。
 純資産合計額は、1兆6,340億円(前期末比+1,310億円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が1,504億円となり利益剰余金が増加しました。その結果、自己資本比率は28.1%(前期末26.5%)となりました。
 なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は98%(前期末96%)、固定金利比率は96%(同94%)となっております。 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、
    営業活動によるキャッシュ・フロー     192,967百万円  (前期比 △ 32,980百万円)

  投資活動によるキャッシュ・フロー   △209,984百万円  (前期比 +126,697百万円)

  財務活動によるキャッシュ・フロー   △ 21,917百万円  (前期比 △124,003百万円)

となり、現金及び現金同等物は36,971百万円減少して150,309百万円となりました。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

当期の経常利益を2,251億円計上しました。棚卸資産が483億円増加した結果、営業キャッシュ・フローは1,929億円の収入となりました。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

主に賃貸事業の増強を目的として合計1,795億円の有形固定資産投資を行った結果、投資キャッシュ・フローは2,099億円の支出となりました。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

調達資金の長期安定化を進めるため、期限到来にともなう社債償還および長期借入金返済合計2,277億円(ノンリコース含む)に対して、3,045億円(ノンリコース含む)の社債発行および長期借入を実施しました。また、コマーシャル・ペーパーを800億円償還した結果、財務キャッシュ・フローは219億円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ) 概況

当連結会計年度は、売上高9,394億円(前連結会計年度比+219億円)、営業利益2,338億円(同+146億円)、経常利益2,251億円(同+151億円)となりました。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。経常利益は最高益への復帰、親会社株主に帰属する当期純利益は9期連続の最高益更新を達成しました。

 

(ロ) 売上高および営業利益

当連結会計年度は、主力のオフィスビル事業が増収増益となったことに加えて、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野が前年に比べ落ち込み幅が縮小、不動産賃貸事業は増収増益となりました。また、「新築そっくりさん」などの完成工事事業や中古住宅の仲介が好調な不動産流通事業が増収増益となり業績に寄与しました。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は、計上戸数が減少して減収減益となりましたが、高水準の営業利益を達成して好調に推移しました。その結果、売上高は939,430百万円(前連結会計年度比+21,958百万円、同+2.4%)、営業利益は233,882百万円(同+14,638百万円、同+6.7%)となりました。

なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。

 

(ハ) 営業外損益

営業外収益は、受取配当金の増加等により、14,255百万円(前連結会計年度比+378百万円)となりました。また、営業外費用は、支払利息の減少等により、23,023百万円(同△149百万円)となりました。その結果、営業外損益は△8,768百万円(同527百万円の改善)となりました。

 

(ニ) 特別損益

当連結会計年度は、前年に計上した中国大連市における分譲マンション開発合弁会社への出資持分譲渡益118億円がなくなり特別利益は2,524百万円(前連結会計年度比△11,127百万円)となった一方、固定資産除却損など8,986百万円(同△4,256百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引6,462百万円の損失(同6,872百万円の悪化)となりました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

親会社株主に帰属する当期純利益が150,452百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比130,072百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、1,634,049百万円(同+131,028百万円)、自己資本比率は28.1%となりました。
 
 資金調達においては、当連結会計年度中に、調達資金の長期安定化を進めるため、期限到来にともなう社債償還および長期借入金返済合計2,277億円(ノンリコース含む)に対して、3,045億円(ノンリコース含む)の社債発行および長期借入を実施しました。その結果、連結有利子負債は、3,559,993百万円(前連結会計年度末比△1,300百万円)となりました。
 なお、当連結会計年度末において、連結有利子負債の長期比率は98%(前連結会計年度末96%)、固定金利比率は96%(同94%)となっております。
 

2022年4月より開始した「第九次中期経営計画」では、更なる収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローを優先配分して賄う方針です。詳しくは、前掲「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)中期経営計画について 3.設備投資計画および4.資金調達計画」をご参照ください。

 

 

③ 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

 

販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価

当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年1月14日開催の取締役会において、当社の連結子会社である住友不動産ファイナンス株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結し、2022年3月1日付で吸収合併致しました。

 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表〔注記事項〕(企業結合関係)」に記載のとおりであります。

 

5 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。