文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等は異なることがあります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、430年の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社であり、「信用を重んじ、浮利を追わず」という住友の事業精神を受け継ぎ、従業員、顧客、取引先、債権者、株主等のステークホルダーに対し、当社の企業姿勢を示すスローガンとして「信用と創造」を掲げております。これには、何よりも「信用」を大切にして「浮利を追わず」に、開拓精神を持って新しい企業価値を創り出す、デベロッパーとしての矜持を込めております。
このスローガンのもと、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」ことを基本使命とし、各事業を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。
(2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題
①収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長いたしました。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてまいりました。
コロナ禍を契機として働き方が多様化し、テレワークの活用も広がりましたが、同時に東京都心のオフィスの重要性も再認識されております。当社は引き続き、後述の第九次中期経営計画において目標に掲げている、延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割強)の東京都心における新規ビル開発計画を着実に推進し、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上を目指します。
②「持続的成長」のための基本的な経営戦略と中長期見通し
当社は、コロナ禍やウクライナ情勢などの不確実性が未だ色濃い昨年5月に、第九次中期経営計画を策定の上、公表しました。
今般、金融環境など予断を許さないものの、コロナが漸く収束に向かい、経済活動の正常化が期待される中、更なる企業価値の向上を目指すべく、直近の社会、経済情勢の変化を考慮し、改めてここに当社の基本的経営戦略とそれに伴う中長期見通しについて取り纏め、2023年5月11日に公表いたしました。公表した内容につきましては、以下の通りであります。
イ.業績目標
・次期中計で経常利益3千億円突破を目指す
当社の主力事業である不動産賃貸事業や不動産販売事業では、用地の取得から建物完成、収益計上までに、短くて2~3年、再開発事業など大規模な開発では5年以上を要するものが多々あります。年度計画だけでは、土地の再有効活用を図り収益を最大化するという、不動産業本来のもっとも重要な視点が損なわれるおそれがありますので、当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまで8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く23期で経常増益を達成しました。
第九次中計の初年度、2023年3月期は2期連続の経常最高益と10期連続の純利益最高益を達成し、3ヵ年累計の中計目標達成に向け、順調な滑り出しとなりました。
2024年3月期も、主力のオフィスビル賃貸(不動産賃貸)をはじめ、分譲マンション(販売)、ハウジング(完工)、仲介(流通)の全事業部門で増益を見込み、最高益の更新を目指します。
昨年5月の第九次中計公表時は、コロナ禍やウクライナ情勢など経営環境の先行きが見通せない中、新規稼働ビルの収益貢献により、遅くとも2030年度までの経常利益3千億円実現を長期展望として掲げておりましたが、コロナ禍で影響を受けたホテルやイベントホール事業をはじめ、各事業において、1年前に比べて先行きの業績見通しが改善したため、「経常利益3千億円突破」は次期中計(2026-2028年)に前倒して目指せる見通しとなりました。

・部門別の成長戦略
コロナ禍でも底堅さを実証した東京のオフィスビル賃貸を確固たる基盤と位置付けることは変えず、新築そっくりさん事業など、脱炭素をはじめとする社会的意義の高い取組みを事業拡大に結びつけ、グループの総合力で「経常利益3千億円突破」を目指してまいります。
(不動産賃貸)
オフィスビルは、経済活動の正常化に伴う企業の出社率の回復や採用増などを背景に、増床の動きが顕在化しています。このテナントニーズを着実に取り込み、既存ビルの収益力の維持・向上と、順次完成する延70万坪超の新規稼働効果により、長期的な増益路線を継続してまいります。
高級賃貸マンション「ラ・トゥール」シリーズは4千戸規模に成長し、ホスピタリティ溢れるサービスで高い評価を得ております。ブランド価値向上を継続し、好調な業績をさらに伸ばしてまいります。
ホテルやイベントホール事業は、2024年3月期中にコロナ前の収益力回復に努めるとともに、本年1月に全面開業となった羽田空港直結、約1,700室の旗艦ホテル「羽田エアポートガーデン」の本格稼働による収益貢献と併せ、次期中計以降のさらなる成長を目指してまいります。
(不動産販売)
分譲マンションは、低金利環境下で底堅い需要に支えられ、次期(2024年3月期)計上予定の3千戸に対する契約はすでに9割以上確保しており、販売活動は2025年3月期以降分を含め計画通り順調に進捗しております。
上昇傾向にある建設工事費への対処は引き続き課題ですが、競争激化の用地取得環境が続く中、次期中計までに計上可能な用地は必要量確保済となりました。当社は、引き続き、戸数や売上などの量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールする方針を堅持し、これまでの中計で実現してきた高水準の利益規模を維持してまいります。
なお、九次中計以降の設計物件は全件、高い環境性能をもつ「ZEH-M Oriented」を標準仕様とし、脱炭素に貢献する開発を推進しております。
(完成工事)
日本の既存住宅は、5,000万戸超のストックのうち9割が最新の省エネ基準を満たさず、脱炭素化に向け大きな社会課題となっております。当社の「新築そっくりさん」は、高い省エネ性能を実現する「高断熱リフォーム」が好評を博し、大規模リフォームの「高断熱リフォーム」受注率は、足元で30%に達しております(九次中計目標20%)。
注文住宅でも、初期投資が不要で月額サービス料のみで享受できる太陽光発電サービス「すみふ×エネカリ」と高断熱仕様を組み合わせた最新のZEH(ゼロエネルギーハウス)仕様を標準とした「住友不動産の栖(すみか)」を発売、ZEH比率は80%まで高まっております(九次中計目標60%)。
両事業ともに、コストコントロールに注力し、資材価格変動による影響を最小限にとどめつつ、高い防災性能や環境性能を顧客に訴求し、受注拡大による最高益更新を目指してまいります。
(不動産流通)
中古住宅の売買仲介を中心に、業界トップクラスの業容を誇る住友不動産販売㈱は、すみふの仲介「ステップ」のブランド浸透に注力し、全国でマンション専門仲介店舗「マンションプラザ」の展開や、「お客様ファースト」を意識した、より公正で透明性の高い仲介システム「ステップオークション」を業界に先駆けて開始し、多くの売主様から高い評価を得ております。
投げ込みチラシの廃止に続き、登記情報で顧客に送付していたDM(ダイレクトメール)を個人情報保護という観点から1月に全廃、インターネットを活用した広告戦略に軸足を移し、ペーパーレス化とDXによる効率化を推進しております。
新築住宅の供給が減少傾向にある中、良質なストックが増加し活性化が進む中古住宅市場は、今後の成長期待が高く、注文住宅やリフォーム、当社が過去に分譲した管理マンションなど、グループの連携強化と、顧客本位のサービスをより一層追求し、シェア拡大を図ってまいります。
・金利上昇による業績影響は軽微
昨今の世界的なインフレと、それに伴う金利上昇に対する備えは、多額の先行投資を伴う不動産会社である当社にとって重要な経営課題です。
当社の資金調達方針は、これまで期間10年の長期借入を中心に、8割以上の固定金利比率を維持し、返済期限の分散を図りながら保守的な財務運営を図ってまいりました(当期末時点の有利子負債は約3兆9千億円、長期比率は95%、固定金利比率は86%)。
また、財務の健全性を示す自己資本比率は毎年改善し、10年前の15%からほぼ倍増の28%となり、社債などの信用力を示す債務格付はJCR、R&IともにAAゾーンにまで向上、収益力とともに財務の安定性について高い評価を得ております。

今後5年間の返済(償還)予定額を全額借り換えた場合に、金利上昇による業績影響を試算した結果は下表の通りです。毎年の借り換え額は有利子負債全体の1割程度で、仮に市場金利が0.5%上昇した場合の利払い増加額は毎年20億円程度です。これは、現在の賃貸売上4千億円に対して0.5%のインパクトにすぎず、今後の既存ビルの収益改善とこれから完成する新築ビルの収益で十分に吸収できる範囲です。また、一般的に金利が上昇する時は、緩やかなインフレ基調になっていると考えられますので、その場合は景気が上向き、当社の収益環境が改善する蓋然性も高くなります。

当社は、長期借入を中心に固定金利比率を高めた保守的な資金調達方針を継続し、今後も金利上昇の影響を最小限にとどめるよう努めてまいります。
なお、次期中計での経常利益3千億円達成の前提には、0.5%上昇による影響額を織り込んでおります。
ロ.利益分配の考え方
・持続的成長の果実はまず従業員に還元する方針、当期は7%の賃上げを実施
当社は、コーポレートスローガンに掲げる「信用と創造」を実践し、持続的成長による企業価値を高める源泉は従業員であると考え、持続的成長の果実はまず従業員に還元する、従業員ファーストの経営を目指しております。
当社は、従業員の9割をキャリア採用が占めるダイバーシティに富んだ人員構成で、その多岐にわたる職種別に、能力(職責)と成果のみで評価する独自の人事制度のもと、個々の従業員の成長に応じてメリハリのある昇給を実施してきました。
当期はこれに加えて、光熱費を中心とした急速な物価上昇に配慮し、臨時の生活支援特別手当としてグループ従業員1万人を対象に一律10万円を支給しました。さらに、最高益更新に伴う期末一時金(一律10万円)を、従来の住友不動産本社のみの対象から、グループ従業員全体に拡大支給し、好業績の歓びをグループ全体で分かち合うこととしました。その結果、二度の一時金総額23億円を含めた当期の賃上げ率は7%となりました。今後も、持続的成長に沿った株主への還元とともに、その原動力となる従業員への人的資本投資を手厚くしてまいります。
・配当は「7年以内に倍増、100円配」、利益成長に沿った持続的増配を継続
当社の利益配分の基本方針は、長期的な収益基盤強化のため賃貸ビル投資に優先配分し、配当は利益成長に沿った「持続的増配」に努めていくこととしております。
この考えに基づき「第九次中計」では、当初「年5円増配」の継続を目標に掲げておりましたが、昨年11月に、業績の順調な進捗に加え、ウィズコロナを踏まえた経済活動の正常化進展により先行きの業績見通しに明るさが増してきたとの認識のもと、「利益成長に沿った持続的増配」ペースを年5円から年7円に引き上げました。
次期(2024年3月期)は一株につき年59円と「10期連続の増配」を予定しておりますが、その後も「年7円増配」を継続し、7年以内に現在の52円から倍増となる「年100円配」に引き上げます。持続的成長による企業価値向上を目指す当社を長期的にご支援いただける株主の皆様に報いてまいります。

ハ.成長投資
・再開発中心の東京都心における延70万坪超の賃貸ビル投資は順調な進捗
当社は、これまでの持続的成長を支えてきた東京都心の賃貸ビル投資を継続する方針を掲げ、「第九次中計」以降、延70万坪超の開発計画を推進中です。大型の再開発を中心に、今後中計3期間で収益化を目指しており、追加投資額はおよそ2兆円(うち、九次3年間で7千億円)を予定しています。
当期(2023年3月期)は、2棟の大型再開発「住友不動産東京三田ガーデンタワー」、「住友不動産新宿ファーストタワー」が竣工しました。今後も、池袋、八重洲、築地、六本木などで進行中の再開発プロジェクトを着実に推進し、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上に努めてまいります。また、新規物件についても「好球必打」の方針を継続し、好物件があれば積極的に取得してまいります(九次3年間で3千億円の新規投資枠)。

・インドで5千億円投資、国内経常利益の1割、300億円の利益積み増しを目指す
当社は、東京都心における賃貸事業を中心とした収益基盤の拡大に加えて、“当社単独で素地(開発用地)を取得し、開発、リーシング、管理までを自社で行い長期保有する”、「東京における当社のオフィスビル事業」の海外展開をインドで本格化させています。
2019年7月にインド最大の経済都市「ムンバイ」の新都心BKC地区にて地区最大級のオフィスビル用地を取得後、2022年11月に同規模の用地を追加取得し、2件併せて延約8万坪、約2千億円弱の投資規模となるオフィスビル開発を推進しております。現在、1物件目の地下工事に着手済みで、2物件ともに次期中計中の竣工を目指しております。
BKC地区は、金融センターとして整備が進められ、政府系企業やインド大手財閥、外資系IT企業などが進出しています。今後、高速鉄道やメトロ新線の新駅が建設予定で、オフィス街としてさらなる発展が期待されています。
当社は、これらの開発を皮切りに、長期保有オフィス以外の用途、事業手法も視野に入れつつ、国内で延70万坪の開発計画が完成後の賃貸資産5兆円超の1割、5千億円程度をまずインドで投じ、金利や為替など海外リスクプレミアムを踏まえ、東京よりも高い投資効率を目指してまいります。
当社は、次期中計で国内経常利益3千億円突破を目指しますが、その先のさらなる成長の源泉として、その1割、300億円を海外事業にて積み増してまいります。
ニ.ガバナンス
・取締役会の多様性確保 取締役の社外比率3分の1、女性取締役1名選任
当社は、全取締役の任期満了に伴い、下表の通り、取締役および監査役の異動を決定し、本年6月開催の定時株主総会で承認されました。
その結果、社外取締役は現在の2名から3名に増員され、コーポレートガバナンス・コードで推奨する社外取締役比率3分の1の基準を満たしました。また、取締役1名と監査役1名の計2名が女性となりました。
前体制下においても、取締役会では闊達な議論がなされ、当社のガバナンスは十分に機能していたと判断しておりますが、引き続き、コーポレート・ガバナンスのより一層の強化・充実を図り、企業価値の向上を目指してまいります。

・悪意のある買収提案に対する事前警告型買収防衛策の廃止を検討
当社の事前警告型の買収防衛策は、2007年の導入以来、3年毎に総会決議を経て更新され、継続しております。
現在の方針は2022年6月に株主総会で決議されましたが、その後、経済産業省に「公正な買収の在り方に関する研究会」が設置され、買収に関する指針の見直しが議論されるようになり、本年3月には、金融庁でも公開買付制度の見直しに向けて議論が開始され、買収手続きの公平性や透明性確保に向けた議論が急速に進んでおります。
これらの議論は、市場内で急速に株を買い進める悪意の買収者から不意打ちを受け、十分な検討時間や適切な判断プロセスを経ないまま買収が成立し、結果として企業価値や他の株主の利益を害するなどの損害を否定できないといった、当社が買収防衛策を必要としている「法制度上の問題点」について、解消される可能性が期待できるため、大いに歓迎しております。
当社は、これら制度改正の今後の動向を踏まえ、現在具備している事前警告型の買収防衛策の廃止を、今後、取締役会等で検討してまいります。
・政策保有株式の縮減進展
当社は、テナント企業や金融機関などの取引先等との安定的・長期的な関係の構築および強化等の観点から、企業価値の安定、向上に資すると判断した場合は、当該取引先等の株式を取得し保有できるものとしています。
政策保有株式の縮減については、「第九次中計」において、保有する上場株式の簿価(取得原価)の株主資本に対する比率を毎年引き下げ、遅くとも2030年度までに10%以内とする数値目標を掲げ、保有残高に一定の規律を設けることとしました。当期は、保有の意義が低下した6銘柄につき、合計約70億円の売却をしました。その結果、上場株式の簿価は2,690億円(前期比△30億円)に減少し、株主資本に対する比率は16.6%(前期末18.4%)に2%ポイント低下しました。
当社は、引き続き、政策保有株式の保有意義を個別に検証し、保有を継続する意義が失われていると判断される株式については、縮減の対象として売却を進めてまいります。

ホ.資本効率
・資本コストを十分に上回る9.4%のROEを達成
当期(2023年3月期)のROE(自己資本利益率)は9.4%と、前年並みの高い資本効率を達成しました。一方、自己資本比率は毎年改善し、財務の安定性も向上、2月にはR&Iの格付けがAA-に格上げとなりました。
当社は、引き続き、財務の安定性と収益力の強化を両立させながら、資本コストを上回るROEを維持してまいります。

(3)中期経営計画について
第九次中期経営計画の内容(2022年5月12日公表)は、以下の通りです。
1.業績目標
中計最高益連続更新
3ヵ年累計経常利益 7,500億円、当期利益 5,000億円の達成
八次までの成長ペースを維持し、六次から4計画連続の最高益更新を目指す
<3ヵ年の累計業績目標>
売 上 高 3兆円 (八次中計比 +1,296億円、+ 5%)
営業利益 7,700億円 ( 同 + 825億円、+ 12%)
経常利益 7,500億円 ( 同 + 944億円、+ 14%)
当期利益 5,000億円 ( 同 + 672億円、+ 16%)
2.部門別業績目標と事業戦略
東京のオフィスビル賃貸を確固たる基盤と位置付けることは変えず、
グループの総合力で目標達成を目指す
<事業戦略>
① 不動産賃貸
八次までに構築した収益基盤を維持し、4計画連続の増益を目指す
・オフィスビルは、既存ビルの収益力維持に努めるとともに、八次竣工ビル(延18万坪)の通期稼働と、九次竣工ビル(延19万坪)の新規稼働による収益を確実に取り込む
・ホテル・イベントホール・商業施設などの施設営業分野は、コロナ禍前の収益力を回復し、十次以降の成長回帰を期す
② 不動産販売
八次で実現した高水準の利益規模を維持する
・量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールする方針を堅持
・上昇傾向にある建設工事費への対処は課題だが、九次計上分は全件着工済につき影響は限定的
・競争激化の用地取得環境が続く中、着実に確保する方針を継続
③ 完成工事
リフォーム(新築そっくりさん)、注文住宅ともに、品質を高めつつ、コストコントロールに注力し、受注拡大による最高益連続更新を目指す
・高い環境性能や防災性能をはじめ、顧客のニーズを的確に捉えた商品提案により受注拡大を図る
・ウッドショックや資材高に適切に対処し、影響を最小限にとどめる
④ 不動産流通
収益力を一段と強化し、中計最高益の大幅更新を目指す
グループの連携強化と顧客本位のサービスをより一層追求し、シェア拡大を図る
3.設備投資計画(分譲マンションなど販売用の仕入れを除く固定資産投資)
収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
九次3年間で1兆円の投資を見込む
① 再開発を中心とした具体化している延床70万坪超の開発計画への投資7千億円
現時点の賃貸資産稼働見通しは下表の通り
② 「好球必打」新規案件投資枠3千億円
4.資金調達計画
(1)仕掛中物件の追加投資7千億円は、拡大する賃貸CF※で賄える見通し
※賃貸CF(キャッシュフロー):不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費
(2)グリーンファイナンスの導入
長期資金総額1兆円のグリーンファイナンスを実施
① DBJ Green Building認証※で3つ星以上の評価を取得済の当社保有ビル(2023年3月末時点で54物
件取得済)のうち、12棟を対象に1兆円をグリーンファイナンスにより調達する
② 資金調達期間中の制約
・CO2排出量、エネルギー使用量等の環境性能開示
・対象物件のDBJ Green Building認証3つ星以上維持
・環境改善等の社会課題に貢献するファイナンスであり、対象物件の売却禁止(性能維持のため
保有継続)
③ JCR・R&I 2社からグリーンファイナンス適合評価取得
※DBJ Green Building認証は、日本政策投資銀行が創設した、不動産の「経済性」にとどまらない「環境・社会への配慮」に
おける性能・取組みを評価する認証制度
5.株主還元方針 ※2022年11月11日修正
先行きの見通しが改善したため、「年5円」から「年7円」に増配ペースを引き上げる
賃貸ビル投資に優先配分する方針と、利益成長に沿った「持続的増配」の方針は継続
6.政策保有株式に対する数値目標の導入
保有株式簿価の株主資本に対する比率を2030年度までに10%以下に抑制
当社は、取引先等との安定的・長期的な取引関係の構築および強化等の観点から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合は、当該取引先等の株式を取得し保有することができるものとしております。
今般、政策保有株式の保有残高につき数値目標を設定し、一定の規律を設けることといたしました。前期末時点で、保有する上場株式の簿価(取得原価)2,719億円の株主資本1兆4,792億円(純資産から有価証券評価差額金等を控除)に対する比率は18%に相当しますが、これを今後毎年引き下げ、2030年度までに10%以下に抑制してまいります。
7.CO2排出量(Scope1、2、3)削減目標の設定
パリ協定直前の2014年度対比、2030年度までに50%削減
2050年カーボンニュートラルに賛同表明済
脱炭素への取り組みを事業拡大に結び付け達成を目指す
① オフィスビルを中心とする賃貸事業・施設運営事業において省エネを推進
・新築・リニューアル時の高効率設備導入を一段と追求し、
エネルギー消費等による自社CO2排出を床面積当たり50%削減
・テナントへの省エネ啓発活動を継続
② 主力事業の上流、下流における削減対策推進
・ビルテナント専有部へのグリーン電力導入支援
・建設時のエネルギー消費抑制を支援
・高性能設計を強化(分譲マンションのZEH-M Oriented標準仕様化)
・戸建住宅の脱炭素に貢献する、太陽光発電の新サービス「すみふ×エネカリ」提供推進
・新築そっくりさんで高断熱リフォーム商品の提供推進
・自動車充電装置の普及を促進
③ 九次中計は総排出量の10%削減を目指す
・総排出量の約6割を占める分譲マンション事業における削減は、設計基準変更後の物件が竣工する十次
中計以降に寄与
・分譲マンション以外は25%削減を目指す
九次 各事業の主な数値目標
① オフィステナント専有部のグリーン電力導入率30%
② 分譲マンションのZEH-M Oriented 設計100%
③ 注文住宅でZEH住宅(標準化済)受注比率60%
④ 新築そっくりさんで高断熱リフォーム商品(投入済)受注比率20%
⑤ 「すみふ×エネカリ」の太陽光発電で創出した環境価値を取得し、
当社グループの自己使用オフィスの電力を全量グリーン化
(4)当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)
①基本方針の内容とその実現に資する取組み
イ.次期中計で経常利益3千億円突破を目指す
当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまで8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く23期で経常増益を達成しました。
第九次中計の初年度、2023年3月期は2期連続の経常最高益と10期連続の純利益最高益を達成し、3ヵ年累計の中計目標達成に向け、順調な滑り出しとなりました。
2024年3月期も、主力のオフィスビル賃貸(不動産賃貸)をはじめ、分譲マンション(販売)、ハウジング(完工)、仲介(流通)の全事業部門で増益を見込み、最高益の更新を目指します。
昨年5月の第九次中計公表時は、コロナ禍やウクライナ情勢など経営環境の先行きが見通せない中、新規稼働ビルの収益貢献により、遅くとも2030年度までの経常利益3千億円実現を長期展望として掲げておりましたが、コロナ禍で影響を受けたホテルやイベントホール事業をはじめ、各事業において、1年前に比べて先行きの業績見通しが改善したため、「経常利益3千億円突破」は次期中計(2026-2028年)に前倒して目指せる見通しとなりました。
ロ.成長を支えてきた東京都心のオフィスビル賃貸事業と企業価値
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長、2023年3月期の賃貸キャッシュフロー(不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費)は2千2百億円に達しております。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてきたものと自負しております。「賃貸等不動産」の含み益は年々蓄積され、2023年3月末時点で約3兆7千億円に達しております。
ハ.買収防衛策の必要性
第九次計画では、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することを第三の目標に掲げており、再開発を中心とした具体化している延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割超)の開発計画を順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上、株主利益の増大を目指すこととしております。この大規模な開発計画は、これまで弛まず積み上げてきた多額の先行投資がいよいよ収益化するものです。当社がこれまで長期間に亘り、不動産市況や景気の波にさらされることなく、賃貸ビル開発による事業基盤拡充を継続できたのは、安定収益源である賃貸キャッシュフローが常時下支えとなっていたためであり、この先行投資を有利子負債の際限ない増加に頼らず自信を持って実行するには、2千億円を超える規模に拡大した賃貸キャッシュフローの維持拡大が必要です。また、大型の再開発が中心であるため、全件収益化に目途が立つまでには今後中計2~3期間を要すると見込まれます。
一方、大規模な金融緩和を背景に、国内の優良な収益不動産に対する投資意欲は一段と増しており、東京に多数の優良ビルを持つ当社株式について一方的に大量取得行為が強行されるおそれは否定できません。当社が半世紀にわたって継続してきた、賃貸資産を着実に積み上げることにより企業価値の持続的な拡大を目指す経営方針を否定し、将来の企業価値増大に資する開発計画が成就する前に、保有不動産を売却して含み益をはき出し、一過性の利益を求める短期志向の経営方針を採ることは、結果として、安定収益源の賃貸キャッシュフローを減少させ、開発計画を財務リスクにさらし、当社の企業価値基盤を損なうおそれがないとは申せません。中長期的な展望に基づき着実な企業価値の向上を目指す当社の経営方針は、このような短期志向とは相容れません。よって、現稼働面積の4割を超える70万坪超の開発計画の収益化に概ね目途がつき、企業価値に反映されていない開発計画が一定割合に低下するまでは、買収を意図する投資家が現れた場合に、十分な情報と時間を確保して議論を尽くし、株主の皆様に信を問う必要があると考えます。
また、我が国の金融商品取引法上、会社支配権に影響を及ぼす株取引について、透明性・公平性を担保するための手続きとして公開買付制度が措置され、株主の皆様に判断していただくための情報と時間が確保されることとなっておりますが、公開買付期間が30営業日と短く検討時間として十分とは言いきれません。また、部分公開買付けを容認するものであることから、強圧的買収などの濫用的な買収を必ずしも排除できないこと、そもそも買収者が市場内取引のみで株を買い進めた場合には、公開買付制度が適用されないことといった、法制度上の問題点も残っていると考えております。
以上のことから、今後も当社が持続的に企業価値を向上させるため、引き続き「当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)」(以下「本対応方針」といいます。)による手続きを予め具備しておくことが、株主共同の利益に合致すると判断しております。本対応方針は、2007年5月17日付取締役会決議に基づき導入され、同年6月の第74期定時株主総会決議に基づき同方針を継続後、第77期、第80期、第83期、第86期および第89期定時株主総会において、それぞれの株主の皆様のご承認を得て、継続または更新され、その有効期間は、2025年6月開催予定の第92期定時株主総会終結時までとなっております。
②当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容と取締役会の判断
当社は、当社株式の大規模な買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますが、当社株主の皆様が企業価値ひいては株主共同の利益への影響を適切に判断するためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報・意見・代替案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えます。
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為に関するルールを設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めております。大規模買付ルールは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として相当と認める措置を講ずることとしております。
なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、当該大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するか否か、および対抗措置をとるべきか否かについて取締役会が判断するにあたっては、社外取締役、社外監査役、経営経験者、弁護士、公認会計士等から選任される特別委員会に対し諮問し、その勧告を最大限尊重するものとしております。
以上のとおり、本対応方針は、当社株式の大規模な買付行為に対し株主の皆様が判断するのに必要な情報と時間を確保するためのルールを設定し、大規模買付者がこのルールを遵守しない場合や大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかな場合などに対抗措置を講ずることを定めたものでありますので、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(注) 本対応方針の詳しい内容については、当社ホームページ
(https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/2022.05.12_release2.pdf)をご参照ください。
(1)基本方針、ガバナンス及びリスク管理
① 基本方針
当社は、住友本社を継承した住友グループの総合不動産会社として、430年もの歴史を刻む“住友の事業精神”を経営理念として継承しています。世界で最も永続している企業グループの一つである住友グループは、「信用を重んじ、浮利を追わない」、「自身を利するとともに社会を利する」といった事業精神を脈々と受け継いできました。住友不動産グループでは、これら先人の教えを踏まえ、信用を大切に、目先の利益を追わず、自己の経済価値だけでなく、先々まで世に必要とされる持続的な社会価値を一体的に創出することを経営理念に掲げ、事業展開を進めてまいりました。
この企業姿勢をコーポレートスローガン『信用と創造』として掲げ、何よりもステークホルダーとの信頼関係を大切に、高い目標を掲げ、新たな発想で新分野を開拓し、挑戦する、“新しい価値を創造”することを行動指針としております。また、『より良い社会資産を創造し、それを後世に残す』を基本使命とし、各事業を通じて環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組みつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。
不動産業は、人々が働き、住まい、交流する拠点形成や関連するサービスを創出し、人々の生活を豊かにする使命を負った社会的意義の高い事業です。当社の主要な開発手法であるオフィスや住宅を中核とする再開発事業では、木造家屋が密集するなど災害リスクの高い地域で、堅牢な耐火建築物への建替えを実施し、地域防災性を大きく向上させるとともに、地権者と共同で事業を推進することにより、コミュニティ形成や地域活性化を促進する交流拠点を形成するなど地域の課題解決に貢献するまちづくりを推進しております。
当社は、「災害に強い」、「環境にやさしい」、「地域とともに」、「人にやさしい」の4つを重要課題(マテリアリティ)とし、後世まで持続可能な社会資産を提供する、「サステナビリティ経営」を実践してまいります。
② ガバナンス及びリスク管理
当社グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進していくため、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関するリスク及び機会を識別・評価するとともに、目標の進捗状況を管理しております。また、その下部組織である「BCP対策協議会」、「内部統制会議」、「サステナビリティ推進協議会」では、議長を務める企画本部長を責任者とし、対応する分野のサステナビリティに関する課題の抽出、解決に取り組んでおります。重要課題については、サステナビリティ委員会に諮るほか、必要に応じて取締役会に報告しております。

(2)主な取組み
① 気候変動に関する取組み
イ 脱炭素への取組み方針
当社は、国際的社会課題である「2050年カーボンニュートラル」に賛同を表明するとともに、2022年5月には、2030年度までの中間目標として、パリ協定直前の2014年度対比でCO2排出量を50%削減する目標を掲げました。総合不動産デベロッパーとして、サプライヤーや事業パートナー、テナント、業界団体などの各ステークホルダーと協働し、各主力事業で省エネや創エネの普及促進を図り、消費者への訴求力を高めた商品やサービスの開発、提供を推進しております。
また、TCFDフレームワークに基づき、ガバナンス・戦略・リスク・目標の4つの観点から、気候変動がもたらす財務影響とその対応を整理・分析し、当社ホームページにて情報開示しております。
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ロ 各事業における取組み
現在推進中の「第九次中期経営計画」では、各事業の排出量削減目標を定め、以下の具体的取組みを推進しております。当期は下表の通り順調な進捗となりました。引き続き脱炭素の取組みを事業拡大に結びつけ、目標の達成を目指してまいります。
オフィスビル
オフィスビル事業では、新規物件の開発や既存物件のリニューアルに際し、高断熱の外皮仕様や高効率設備等を積極的に導入して環境性能の高い開発により省エネ化を推進しております。また、テナント専有部においては、テナント企業の多様化するグリーン電力導入ニーズに応えるべく、一般的な非化石証書を使用した電力供給のみならず、脱炭素への貢献度が高い新設した再生エネルギー発電所からの電力供給など、複数のメニューを揃え提供する体制を整えております。
分譲マンション
第九次中計以降の設計物件は全件、現行の省エネ基準からエネルギー消費を2割抑制する高い環境性能を備えた「ZEH-M Oriented」を標準仕様とし、居住時の省エネ性能向上で脱炭素に貢献する開発を推進しております。
新築そっくりさん・注文住宅
日本の既存住宅は、5,000万戸超のストックのうち9割が最新の省エネ基準を満たさず、脱炭素化に向け、大きな社会課題となっております。当社の「新築そっくりさん」事業では、2021年12月に提供開始した高度な省エネ性能を実現する「高断熱リフォーム」が好評を博し、改修による長寿命化とともに既存住宅の省エネ化を推進しております。大規模リフォームの「高断熱リフォーム」受注比率は2023年3月に31%まで上昇しております(第九次中計目標20%)。
また、初期費用負担を要因に普及が進みにくかった太陽光発電設備については、東京電力グループとの協業により、初期費用なし、居住期間中は月額サービス料のみでメンテナンス、交換も受けられる太陽光発電サービス「すみふ×エネカリ」を2021年9月に提供開始しました。注文住宅では、このサービスを組み込んだ最新のZEH(ゼロエネルギーハウス)基準を上回る高い省エネ性能を確保した「住友不動産の栖(すみか)」を2022年4月に発売、2023年3月のZEH受注比率は92%に達しました(第九次中計目標60%)。
第九次中計 各事業における数値目標と達成状況
② 人的資本に関する取組み
イ 当社の持続的成長を支える独自の人材投資戦略
当社は、コーポレートスローガンに掲げる「信用と創造」を実践し、持続的成長による企業価値を高める源泉は従業員であると考え、持続的成長の果実はまず従業員に還元する、従業員ファーストの経営を目指しております。また、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなるとの認識のもと、かねてよりダイバーシティ推進に積極的に取り組み、キャリア採用による人材確保、年功によらず専ら能力・成果に基づく評価制度、専門職種毎の給与体系を並立させる給与制度など、多様性に富む強靭な組織を実現するための独自の人事制度を構築しております。
ロ 経営再建時代、事業構造転換のために進めた人事制度改革
バブル崩壊後、再建計画として第一次中期経営計画(1997-2001)を開始した頃の当社は、収益力の大幅な低下とともに不良債権や過大な有利子負債を抱えておりました。
再建計画では、不動産証券化など資金調達の多様化に取り組み、不動産業の原材料である未稼働土地の商品化(開発)を進める一方で、先行投資を必要としない「人が収益を生み出す」受注生産型の新規事業「新築そっくりさん(リフォーム事業)」等に活路を見いだし、収益力の回復を目指しました。
この事業構造転換に際して、外部から優秀な専門人材を大量に採用する必要に迫られ、旧来の“年功序列”による人事制度を廃し、“高率歩合給”などの能力、成果主義を核とする人事制度への改革を実施し、「新築そっくりさん事業」や「注文住宅事業」の収益拡大に大いに寄与しました。
その後、分譲マンションや賃貸マンション、ホテル、イベントホールなど、「実物資本」と「人的資本」をハイブリッド活用する他の事業にも、この人事制度を拡大適用し、それぞれ事業別に必要な専門職種人事制度を複数並立させる、いわば「職種別キャリアパス制度」とも言うべき人事制度を構築し、優秀な中途採用の専門人材による各事業の付加価値向上に大きく寄与しました。
当社はこうして、東京都心の再開発事業を中心としたオフィスビル賃貸事業を収益の柱に据えて長期的な安定成長基盤を構築するとともに、賃貸マンションやホテル、イベントホールなどの賃貸関連事業、分譲マンション、新築そっくりさん、注文住宅、仲介などの各主力事業において、それぞれ特徴的な事業スタイルを築きながら、現在まで持続的な成長による企業価値向上を実現してきました。
ハ 当社独自の「職種別キャリアパス制度」
当社はこの人材戦略の有効性を踏まえ、営業職や技術職に限らず、コーポレートスタッフにも専門職種のキャリア職採用を拡大、現在は主要職種だけで約30種もの職種別の給与体系を並立させる人事制度を構築しています。各専門職種は従事する事業や業務の特性に応じて、固定給、変動給の割合、昇給テーブル等を個別に設定しておりますが、全職種で共通して年齢、性別、社歴を問わず、各人の能力(職責)と成果のみで評価する公正な給与制度としており、この制度が持続的に職員の成長を促しています。
ニ 当期は7%の賃上げを実施
当期は、この人事制度のもと、個々の従業員の成長に応じてメリハリのある昇給を実施したことに加えて、光熱費を中心とした急速な物価上昇に配慮し、臨時の生活支援特別手当としてグループ従業員1万人を対象に一律10万円を支給しました。さらに、最高益更新に伴う期末一時金(一律10万円)を、従来の住友不動産本社のみの対象から、グループ従業員全体に拡大支給し、好業績の歓びをグループ全体で分かち合うこととしました。その結果、二度の一時金総額23億円を含めた当期の賃上げ率は7%となりました。今後も、持続的成長に沿った株主への還元とともに、その原動力となる従業員への人的資本投資を手厚くしてまいります。
ホ ダイバーシティに富んだ組織を実現
20年余り前から、他社での多種多様なキャリアを持つ人材を、即戦力として積極的に採用し人材確保を推し進めた結果、すでに当社職員の9割がキャリア職となり、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点、価値観の存在する柔軟かつ強靭なダイバーシティに富んだ組織を実現し、当社成長の源泉となっております。
さらに、職員のモチベーション向上のためには管理職登用における機会均等が最も重要であるとの考えから、性別、新卒・中途の別によらず、専ら意欲と能力・成果による登用を進めております。その結果、現在、管理職の6割以上をキャリア職出身者が占め、管理職における多様性も確保されております。
また、女性活躍推進についても積極的に取り組んでおります。まず、現場の第一線を支える営業・技術職における女性採用比率の数値目標(営業職25%、技術職13%)を公表し、将来の登用に向けてまずは社員数を厚くすべく、職員における女性比率の向上に取り組んでいます。次に、2022年に、職務給中心の人事制度を全職員に適用する改革を行い、出産、育児等のライフイベントにより中長期にわたりキャリアの中断があった職員についても、復職後、不利なく責任あるポストに即座に就くことが可能な制度とするなど、女性のキャリア形成支援に取り組んでいます。その結果、当期末時点の管理職に占める女性労働者の比率は9.4%となりました。また、女性の役員選任についても積極的に取り組んでおり、本報告書提出日時点で女性の役員は2名となっております。
なお、管理職の多様性は、上記のような公正な採用方針、公正な制度、公正な登用の結果として自ずと確保されていくべきものと考えております。管理職の多様性について数値目標を定めることは、却って、管理職登用における機会均等を歪め、職員全体のモラールを下げてしまう懸念があると考えているため、かかる数値目標は定めない方針です。
へ 制度の継続活用と深化拡大
現行の人事制度は、持続的成長を目指す当社の経営戦略において、既存事業の成長に資するだけでなく、新規事業や将来の事業構造転換においても、必要なスキルを有する人材確保、育成を推進する上で引き続き有効と考えています。
当社は、当該人事制度を継続深化、拡大させるため、各専門職種の人材マーケットに則した柔軟な給与水準の見直しや、必要な人材の厚みを確保するため職種ごとに専門的なスキルアップ教育の拡充を図るほか、有能な人材に社内転職の機会を提供する「住友不動産グループ・チャレンジ制度」によるキャリア形成支援など、様々な取組みにより制度のさらなる発展を推し進めてまいります。
人的資本の関連情報については、当社ホームページをご参照ください。
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当社グループが行っている不動産賃貸事業、不動産販売事業、完成工事事業及び不動産流通事業は、景気動向や企業業績、個人所得等の動向、人口動態、地価動向、原材料価格や建築費の動向、金融情勢、税制等の影響を受けやすい傾向にあり、これらが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その中で、経営者が、当連結会計年度末現在において、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)災害その他不可抗力の事態に関するリスク
当社グループは、災害その他不可抗力の事態に備えるため、保有資産において、免震・制振構造の採用や非常用発電機の設置による無停電対応などにより事業継続性を高めるとともに、当社事業活動において、各種事態を想定したマニュアルの策定と訓練の実施による継続性の確保に努めております。また、サステナビリティ委員会の下部組織であるBCP対策協議会において、当社グループにおけるBCP対策整備の具体的方針を定め、整備状況のモニタリングを行っております。
しかしながら、想定をはるかに凌駕する規模の不可抗力の事態が発生した場合、保有資産の復旧費用負担の発生や営業活動の停滞等に伴い、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループが行う事業は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、労働基準法をはじめとして、様々な法規制の下に置かれており、その改正動向を注視しつつ、適時適切に対応するよう努めております。また、サステナビリティ委員会の下部組織である内部統制会議において、当社グループにおけるコンプライアンス推進活動のモニタリングを行うとともに、当社内部監査室が子会社を含めた内部監査を実施、更に、社内外に複数の内部通報窓口を設置し、不正、違法行為の発見、抑止に努めております。
しかしながら、法律等の改正による事業活動への影響を通じて、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。また、当社グループやその役職員によるコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの商品需要が低下することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、気候変動に伴い発生する風水害等の物理的リスクだけでなく、気候変動を抑止するための諸制度や事業環境の変化等の移行リスクに対応するため、TCFDフレームワークに基づき、ガバナンス・戦略・リスク・目標の4つの観点から、気候変動がもたらす財務影響とその対応を整理・分析し、開示するとともに、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進協議会において、様々な取り組みを推進しております。社会資産を供給する事業者として、事業活動を通じた気候変動対策の推進に向け、特に環境性能が高い物件や商品の新規開発や、運用時における省エネ啓蒙、既存物件の改修による環境性能の向上等に注力し、脱炭素の取り組みを推進しております。
しかしながら、想定を超える規制や事業環境の急激な変化等により、建築コストや事業運営コストが高まり、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、建設事業者をはじめとして、賃貸資産の管理に係る清掃員・係員・警備員・設備保守点検事業者など、多くのサプライヤーとともに事業を推進しており、サプライヤーに起因するリスクを低減するため、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進協議会において、新規取引開始時におけるデューデリジェンスや「サステナブル調達ガイドライン」の周知徹底、当社職員による監理、サプライヤー向け安全研修などを実施しております。
しかしながら、想定外の事態の発生等により、サプライヤーに起因して、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
(5)情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは、各事業において、個人情報を含む多くの重要な情報を保有しており、情報流出を防ぐためのサイバーセキュリティを導入しているほか、職員に対して情報セキュリティに関する研修を実施しております。
しかしながら、サイバー攻撃や職員の不注意により情報が流出した場合、補償の発生や、信用の喪失による当社グループの商品需要の低下などにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループが行っている不動産賃貸事業および不動産販売事業は、まず用地を取得し、かつ建物が竣工しなければ収益に計上できない投資先行型の事業であるため、事業資金を金融機関等からの借入や社債等により安定的に賄う必要があります。
これに対し、連結有利子負債の借入期間の長期化、固定金利化を進めるとともに、多様な金融機関との安定的な関係性の構築を進め、資金調達の安定化を図っております。
しかしながら、金融環境の急速かつ大幅な変化、借入先の経営状況の変化等により、借入利息の上昇、資金繰りの悪化等、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の流行は収束に向かっており、今後は経済社会活動の正常化がさらに進むことが期待されるなか、これまで蓄積した知見を踏まえ、感染症の流行状況に応じた適切な施策を選ぶことにより、お客様や職員への感染予防対策を実施しながら、売上確保を図っております。
しかしながら、国内および海外主要各国において流行が再拡大し、人の動きや集いが大幅に制限される状況が長期間にわたり続いた場合、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野において、売上が減少することにより、当社グループの経営成績および財政状態が影響を受ける可能性があります、
2期連続経常最高益、10期連続純利益最高益更新
当連結会計年度の業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。経常利益は2期連続、当期純利益は10期連続の最高益更新を達成しました。
「グループの総合力」を発揮、主要4部門すべてで営業増益達成
部門別では、主力のオフィスビル事業が堅調に推移して業績を下支えしたのに加え、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野もコロナ影響による落ち込み幅が縮小、不動産賃貸事業は増収増益となりました。また、「新築そっくりさん」などの完成工事事業や中古住宅の仲介が好調な不動産流通事業はともに最高益を更新して業績に寄与しました。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は、計上戸数の減少により減収となりましたが、利益率が改善して増益を確保しました。
受取配当金の増加と支払利息の減少により営業外損益は△46億円(前期比+41億円)に改善、特別損益は前年並みの△63億円(同+1億円)となりました。
その結果、売上高9,399億円(前期比+0.1%)、営業利益2,412億円(同+3.2%)、経常利益2,366億円(同+5.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,619億円(同+7.6%)となりました。
部門別の営業成績は下表の通りです。
<不動産賃貸事業部門>
オフィスビル堅調、増収増益
当連結会計年度は、エネルギー価格の高騰により光熱費などの管理費用が増加しましたが、前期に竣工した「住友不動産田町ビル東館」、「住友不動産神田和泉町ビル」などの通期稼働に加え、「ラ・トゥール」シリーズの高級賃貸マンションが好調に推移して業績に寄与しました。
ホテルやイベントホールなどの施設営業分野もコロナ影響による落ち込み幅が縮小した結果、当事業部門の業績は増収増益となりました。
高稼働維持、増床など前向きな需要増
既存ビルの空室率は前期末並の水準で安定的に推移、9割超の高稼働を維持しています。足元では、経済活動の正常化に伴い出社率が回復し、働きやすいオフィス環境を志向する企業の移転や、人材確保のための増床など前向きな需要が増えております。当期竣工の大型再開発ビル「住友不動産東京三田ガーデンタワー」、「住友不動産新宿ファーストタワー」、次期竣工予定の「中野二丁目計画」など、新規大型ビルのテナント募集も着実に進捗しております。
<不動産販売事業部門>
高水準の利益を維持、営業増益
当連結会計年度は、「グランドヒルズ南青山」、「シティタワー大阪本町」、「梅田ガーデンレジデンス」、「シティハウス小金井公園」などが引渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で2,961戸(前期比△643戸)を販売計上しました。前年に比べ計上戸数が減少したため減収となりましたが、都心物件を中心に好採算のマンションが多く計上された結果、利益率が改善して営業増益となりました。
マンション契約順調、次期計上分の9割確保済み
当連結会計年度のマンション契約戸数は3,702戸(前期比+655戸)と、前年に比べ2割増となり、順調に推移しました。その結果、次期計上予定戸数3,000戸に対し期首時点で約90%(前年約80%)が契約済みとなりました。
<完成工事事業部門>
受注減少も、増収増益で最高益更新
当連結会計年度の受注棟数は、「新築そっくりさん」事業で7,796棟(前期比△566棟)、注文住宅事業で2,071棟(同△548棟)と前年に比べ減少しました。木材などの資材価格上昇を背景に値上げしましたが、値上げ直前の駆け込みの反動減に加え、注文住宅において戸建用地の価格上昇を背景に、土地を新規取得する顧客からの受注が減少していることが主な要因です。
一方、両事業ともに値上げが寄与して増収となったのに加え、国産材の活用などコスト管理を徹底した結果、当事業部門の業績は増収増益となり3期ぶりの最高益更新を達成しました。
<不動産流通事業部門>
増収増益、2期連続最高益更新
当連結会計年度は、中古マンション取引を中心とした主力の仲介事業で、仲介件数が34,906件(前期比△3,238件)と前年に比べ減少しましたが、取扱単価の上昇により増収を確保しました。
その結果、当事業部門の業績は増収増益となり、売上高と営業利益はともに2期連続で過去最高を更新しました。
昨年度、業界に先駆けて開始した公正で透明性の高い仲介システム「ステップオークション」は、多くの売主様から高い評価を得ております。当期は、個人情報保護の観点から登記情報により顧客に送付していたダイレクトメールを1月より全廃し、インターネットを活用した広告戦略にシフトするなど、「お客様ファースト」をさらに深化させる取組みを継続しております。
<その他の事業部門>
フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高10,063百万円(前期比+979百万円)、営業利益1,181百万円(同+563百万円)となりました。
<中期経営計画の達成状況>
当社は、2022年4月より「第九次中期経営計画」に取り組んでおります。計画初年度の当期は、前述の通り、2期連続経常最高益、10期連続当期純利益最高益更新を達成しました。
その結果、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて、下表の通り3ヵ年累計目標の概ね3分の1を達成、中計最高業績連続更新に向けて着実な滑り出しとなりました。
<資産、負債、純資産の状況>
当連結会計年度における総資産は、6兆3,654億円(前期末比+5,593億円)となりました。主に賃貸ビル投資により有形固定資産が4兆4,644億円(前期末比+3,501億円)に増加しました。
負債合計額は、4兆5,660億円(前期末比+3,940億円)となりました。連結有利子負債が3兆9,380億円(同+3,780億円)に増加しました。
純資産合計額は1兆7,993億円(前期末比+1,653億円)となりました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益が1,619億円となり、利益剰余金が増加しました。その結果、自己資本比率は28.3%(前期末28.1%)となりました。
なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は95%(前期末98%)、固定金利比率は86%(同96%)となっております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 165,112百万円(前期比 △ 27,854百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー △489,799百万円(前期比 △279,814百万円)
財務活動によるキャッシュ・フロー 355,555百万円(前期比 377,472百万円)
となり、現金及び現金同等物は33,742百万円増加して184,052百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当期の経常利益が2,366億円となりましたが、棚卸資産が554億円増加したほか、法人税等の支払などにより、営業キャッシュ・フローは1,651億円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
主に賃貸事業の増強を目的として合計4,493億円の有形固定資産投資を行った結果、投資キャッシュ・フローは4,897億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
期限到来に伴う長期借入金2,445億円(ノンリコース含む)の返済および賃貸事業の増強に伴う有形固定資産投資に対応するため、4,826億円の社債発行および長期借入(ノンリコース含む)を実施しました。また、コマーシャル・ペーパーを差引1,400億円発行した結果、財務キャッシュ・フローは3,555億円の収入となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度は、売上高9,399億円(前連結会計年度比+4億円)、営業利益2,412億円(同+73億円)、経常利益2,366億円(同+115億円)となりました。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。経常利益は2期連続、当期純利益は10期連続の最高益更新を達成しました。
当連結会計年度は、主力のオフィスビル事業が堅調に推移して業績を下支えしたのに加え、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野もコロナ影響による落ち込み幅が縮小、不動産賃貸事業は増収増益となりました。また、「新築そっくりさん」などの完成工事事業や中古住宅の仲介が好調な不動産流通事業はともに最高益を更新して業績に寄与しました。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は、計上戸数の減少により減収となりましたが、利益率が改善して増益を確保しました。その結果、売上高は939,904百万円(前連結会計年度比+473百万円、同+0.1%)、営業利益は241,274百万円(同+7,391百万円、同+3.2%)となりました。
なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
営業外収益は、受取配当金の増加等により、16,645百万円(前連結会計年度比+2,389百万円)となりました。また、営業外費用は、支払利息の減少等により、21,268百万円(同△1,755百万円)となりました。その結果、営業外損益は△4,622百万円(同4,144百万円の改善)となりました。
当連結会計年度は、投資有価証券売却益などにより特別利益は4,727百万円(前連結会計年度比+2,202百万円)となった一方、減損損失や固定資産除却損など11,042百万円(同+2,056百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引6,315百万円の損失(同146百万円の改善)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益が161,925百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比139,649百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、1,799,372百万円(同+165,322百万円)、自己資本比率は28.3%となりました。
資金調達においては、当連結会計年度中に、期限到来に伴う長期借入金2,445億円(ノンリコース含む)の返済および賃貸事業の増強に伴う有形固定資産投資に対応するため、4,826億円の社債発行および長期借入(ノンリコース含む)を実施しました。また、コマーシャル・ペーパーを差引1,400億円発行しました。その結果、連結有利子負債は、3,938,021百万円(前連結会計年度末比+378,028百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末において、連結有利子負債の長期比率は95%(前連結会計年度末98%)、固定金利比率は86%(同96%)となっております。
2022年4月より開始した「第九次中期経営計画」では、更なる収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローを優先配分して賄う方針です。詳しくは、前掲「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)中期経営計画について 3.設備投資計画および4.資金調達計画」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価
当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。
なお、詳細は第5[経理の状況]の連結財務諸表の(重要な会計上の見積り)に記載しております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。