当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)私たちの目指すもの
当社は、1974年に創業し、10万戸を超える供給実績のある新築マンションをはじめ、新築一戸建やリノベーションマンションを供給するほか、収益不動産の開発・再生、不動産賃貸管理、アパートメントホテルの開発・運営などへ業容の拡大を進めてまいりました。
人々の働き方やライフスタイルが変化していく中、ますます不動産の利活用に対するニーズが多様化しています。
当社はMission(存在意義)として、『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』を掲げ、これらの社会の変化とニーズの多様化にこたえる、商品・サービスを提供し、企業価値の向上に努めてまいります。
(2)中長期的な会社の経営方針、目標とする経営指標
「中期経営計画2026」で定めた重点テーマ及び当社グループが目標とする経営指標は、以下のとおりです。
<「中期経営計画2026」 重点テーマ>
●事業・財務基盤の強化
●新たな事業創造
●ESG経営の実践
<目標とする経営指標※>
●営業利益:110億円
●営業利益率:7.2%
●期末自己資本比率:30%
※2025年5月12日の公表内容に基づき、5ヵ年計画を1年前倒しして4ヵ年とし、最終年度である2026年3月期の営業利益及び営業利益率の目標を当初計画より上方修正いたしました。
(3)経営環境
①全般
当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調を維持いたしました。一方で、国際的な政治情勢の不安定さや、資源・エネルギー価格の高騰、物価上昇が続き、先行きの不透明感は依然として残る状況となりました。
今後の日本経済は、好調なインバウンド需要の継続や、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の増加により、継続的な景気回復が期待されます。一方で、国際的な政治情勢の不安定さや金利・物価の動向など、依然として先行き不透明な状況が続いており、内外経済の下振れリスクを注視する必要があります。
②レジデンシャル事業セグメント
2024年においては、首都圏・近畿圏の新築マンション市場で供給戸数が減少した一方、建築費の高騰も背景に平均価格・平米単価は上昇いたしました。また、首都圏の中古マンション市場では、成約件数・成約価格ともに上昇が見られました。
2025年以降においては、ローン金利の上昇に伴う住宅購入意欲の低下や建築費の上昇による収益性の影響には引き続き注視する必要があります。
また、長期的には、国内マンション市場は人口減少等により緩やかに縮小する見通しとなっています。その一方で、首都圏への人口集中は継続する見通しとなっていることに加え、単身・シニア世帯の増加、消費・所有に対する意識の変化、人々の働き方やライフスタイルの変化を背景とした住宅に対するニーズの多様化など、新たな商品・サービスの開発を通じたビジネスチャンスが期待できます。
③ソリューション事業セグメント
2024年においては、不動産投資市場は、金利上昇局面でも金融機関の融資姿勢に大きな変化はなく、投資意欲は引き続き高い水準を維持いたしました。首都圏賃貸市場は、住宅における空室率が低水準で推移いたしました。
2025年以降においては、金利上昇による期待利回りの上昇など、投資用不動産市況の悪化リスクや、建築費の上昇による収益性の影響には注視する必要があります。一方で、日本の不動産投資市場は底堅く、投資需要は引き続き堅調に推移すると考えられます。また、働き方やライフスタイル、消費行動の変化に伴い、不動産の利活用に対するニーズが多様化しており、新たな商品・サービスの開発や周辺事業領域への展開を通じたビジネスチャンスが期待できます。
④宿泊事業セグメント
2024年においては、観光市場は、円安も追い風となり好調なインバウンド需要が続きました。
2025年以降においては、訪日外国人旅行者数の増加を背景に宿泊需要の拡大が期待される一方、人手不足や原価の高騰、米国の高関税政策を契機とした世界経済の減速や為替レートの変動によるインバウンド需要の減退などには注視していく必要があります。
中長期的には、日本独自の豊富な観光資源と、東・東南アジア諸国における一人当たりGDPの増加を背景に、家族・グループでの渡航・中長期滞在ニーズの拡大が期待できます。
⑤工事事業セグメント
2024年においては、働き方の変化やオフィスニーズの多様化等を背景に、企業のファシリティマネジメントに対する需要は堅調に推移いたしました。
2025年以降においても、引き続き需要の高まりを背景に、オフィス移転・内装工事等の受注機会・事業拡大が期待できる一方で、資材・労務費の動向については注視していく必要があります。
(4)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略
当社は2022年度に「中期経営計画2026」を策定いたしました。重点テーマである「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」を通して、企業価値のさらなる向上に努めてまいります。「中期経営計画2026」における主要な取り組みは以下のとおりです。
①成長と安定を両立する事業ポートフォリオの構築
●安定的な経営を支える現在の事業ラインアップを継続強化するとともに、戦略的に拡大を進めてきたリノベーションマンション販売、収益不動産等販売、ホテル施設販売・運営をドライバーとして事業成長を加速させます。
●宿泊事業について、2030年の運営室数3,000室への拡大に向けて、運営受託と自社開発の両輪で事業拡大をめざします。
●不動産に対するニーズの多様化を念頭においた高付加価値戦略と、その実現に向けたバリューチェーン強化やデジタル活用により収益性の向上をめざします。
②セグメント別戦略
a.レジデンシャル事業
●新築分譲住宅及びリノベーションマンションのブランドを「INITIA」へ統合し、ブランド価値のさらなる向上を追求してまいります。
●リノベーションマンション販売をドライバーとした事業成長と、10万戸超の分譲マンション開発で培ったノウハウと製販一貫体制を活かした付加価値の高い商品企画による収益性向上をめざします。
●新築マンションにおける全住戸ZEH-M Orientedの採用や地域コミュニティ形成、中古ストック再生等によりESG経営を実践します。
b.ソリューション事業
●新築・中古を問わない多様なアセットタイプの収益不動産販売と、独自の不動産運営コンテンツとのシナジー効果により、さらなる事業拡大と収益性向上をめざします。
●中古ストック再生や、コミュニティ形成に寄与する不動産コンテンツの開発・展開等によりESG経営を実践します。
c.宿泊事業
●家族・グループでの中長期滞在ニーズにこたえる都市型アパートメントホテル「MIMARU」のブランド力のさらなる向上をめざします。
●社会経済活動の正常化が一段と進み、国内外需要の回復基調が鮮明であることから、今後も安定した事業活動が図れる環境となったと判断し、新規案件への投資を再開しております。
●2030年の運営室数3,000室への拡大に向けて、アクセスのよい都市部を中心に運営受託と自社開発の両輪で事業拡大をめざします。
●積極的な外国人採用や、公的不動産をアウトドアリゾートとして有効活用した「ETOWA」の展開等により、ESG経営を実践します。
d.工事事業
●国内・海外のデザインアワード等で多くの受賞実績がある空間設計・デザイン力のさらなる強化を進めます。
●ファシリティ領域(オフィス移転・内装工事等)、建築領域(建築・リノベーション工事・マンションギャラリー設営工事等)における事業拡大・収益性向上をめざします。
●環境配慮型商品の活用等、環境負荷の低い事業展開への取り組みによりESG経営を実践します。
③新たな事業創造
a.海外事業
豪州・シドニーエリアにおける分譲住宅開発事業に加え、国内で培ったノウハウを活用できる事業について、米国・テキサス州ダラスやベトナム・ホーチミンなど市場の成長性が高い地域への進出・展開を進めています。
b.新たな運営コンテンツの開発
アパートメントホテル、レンタルオフィス、シェアレジデンス、アウトドアリゾート等に続く新たな運営コンテンツの開発を進め、収益不動産の価値最大化と運営受託による収益基盤の拡充をめざします。
c.アセットマネジメント事業
ソリューション事業で培ってきた収益不動産の価値向上ノウハウを活用できるアセットマネジメント事業への展開を検証します。また、収益不動産販売における仕入機会や販売チャネルの拡充とともに、不動産賃貸管理・運営の受託機会の拡張もめざします。
④DXへの取り組み強化
これまで推進してきたビジネス領域・コーポレート領域でのデジタル化に加え、DXへの取り組みを加速して経営・事業の革新と多様な働き方の実現をめざします。
⑤ESG経営の実践
上記セグメント別戦略に沿った社会的価値の高い事業運営を通じてESG経営を実践し、さらなる企業価値の向上をめざします。
これまで実施してきた取り組みを継続することに加え、2024年3月期から当期純利益の2%程度をESG推進への投資予算に充当することを企図し、様々な取り組みを開始しております。
取り組みの詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社は、取締役会での協議を経て、中長期的な企業価値の向上に向けてMission『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』を定めており、中長期の成長実現にむけて2022年5月に「中期経営計画2026」を策定し、公表しています。
(1)ガバナンス
「中期経営計画2026」の基本方針を「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」と掲げ、取締役会において中期経営計画・年度計画の実行モニタリングを行うこととしております。また、経営管理本部長、建築本部長を担当役員とする部門横断のプロジェクト組織ESGプロジェクトを組成し、全社のESGへの取り組みの推進と各部署の取り組み支援を行うとともに、2024年4月よりサステナビリティ推進機能のさらなる強化に向けて経営管理本部の直下にサステナビリティ推進準備室を新設し活動を推進してまいりました。2025年4月にはESGプロジェクトとサステナビリティ推進準備室を統合し、サステナビリティ推進室を発足しています。また、執行役員及び各事業部・部門の組織長等により構成される「戦略方針確認会議」にて、事業環境の予測、マクロ市場動向の意見交換、エリア別の市場変化、各事業の戦略に加えて、各事業におけるESG取り組み具体案を確認・共有しております。
(2)戦略
私たちコスモスイニシアグループは、Missionを『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』と定め、私たちの事業や活動を通じて、都市に“住まう”、“働く”、“遊ぶ”人々が『もっと楽しく、もっと安心に』暮らすことができる環境を創造することを目指しています。
当社グループの中長期的なMissionの実現と持続的な企業成長を目指し、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を策定しました。具体的なプロセスと策定したマテリアリティは以下のとおりです。
STEP1:サステナビリティ項目の抽出
企業のビジネス活動、バリューチェーンを整理したうえで、法規制や国際標準、評価機関等が提示している項目を参考に、サステナビリティ項目の包括的なリストの作成を行い、170項目を抽出しました。
STEP2:サステナビリティ項目に関するリスク・機会の評価
STEP1で抽出した各サステナビリティ項目に対して、リスクと機会を洗い出し、財務影響と発生可能性の二軸で、重要性の評価を行いました。
STEP3:重要項目の特定
STEP2の評価をもとに、財務影響を縦軸、発生可能性を横軸とし、項目をマッピングし、25項目の中から当社における重要な17項目を特定しました。
STEP4:マテリアリティの策定
STEP3で特定した重要項目を整理・分類し、当社Missionの実現と持続的な企業成長に向けて重点的に取り組む課題(マテリアリティ)を策定し、執行役員会議での議論を経て、取締役会にて協議・決定しました。
サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)に対する取り組みは以下のとおりです。
■新たな不動産の価値創出(テクノロジー/不動産×運営コンテンツ/コミュニティ創造)
Missionに掲げる『「Next GOOD」お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』の実現に向けて新たな商品・サービスの創造に取り組んでいます。
既存事業並びにその周辺領域の新たな価値を創出すべく、社内外の取り組みを進めています。また、新規事業等の開発部門が各事業部と連携し、新たな商品・サービスのインキュベーションに取り組んでおり、推進に際しては社内外のリソース活用や学びの機会の提供を行っています。加えてスタートアップを対象としたグローバルなプログラムに参加し、オープンイノベーションを推進しています。
近年ではインバウンド向けのアパートメントホテル「MIMARU」の開発・運営を行うとともに、働くと暮らすをシームレスにつなげ、あなたらしい働き方を叶えられるシェアオフィス「MID POINT」や、“ゆるやかな隣人”との心地よい暮らしを実現するシェアレジデンス「nears」の運営を行っています。
■環境負荷の低減と資源の有効活用
新築マンション全棟ZEH-M Orientedの実現に向けた取り組みを行うとともに、リノベーションマンション販売・収益不動産販売における中古ストック再生の取り組みのさらなる強化を進めているほか、地方自治体が所有する公共施設等を活用したアウトドアリゾート事業「ETOWA」の展開を行っています。
■将来にわたって安全・安心な都市でのくらしの実現
都市における“住まう”、“働く”、“遊ぶ”を事業ドメインとする当社において、災害に強い都市づくりは重要なテーマと考え、新築分譲マンション「INITIA」(首都圏の一部の共同事業物件・関西の一部の物件を除く)においてマンション入居者と地域のみなさまをつなぎ、災害時にも助け合えるコミュニティを形成することをめざす「防災の取り組み」を実施しております。
■次世代を担う若者や子どもが健やかに成長できる都市環境づくり
当期純利益の2%程度を投資予算枠とし、「次世代を担う若者や子どもの健やかな成長に貢献する」取り組みとして、2023年度より開始した「Next Generation Challenge」について継続して取り組みを実施しています。
「Next Generation Challenge」については、前項の「防災の取り組み」についても2025年度以降、重要項目に追加して推進予定です。
■多様な人材が自分らしく働き、躍動できる職場づくり
コスモスイニシアグループにおける人的資本に関する取り組みは、各社の経営戦略や方針に応じて各社が独自の方針で推進していますが、今後はグループ全体で取り組むことでより高い効果が期待できる施策については共通化していくことも検討していきたいと考えています。なお、当社における独自の取り組みのうち、人材育成や多様なキャリアの実現等に関わる主な取り組みには以下のようなものがあります。
・人材育成について
「適切な機会提供と自発的な学びの促進」をテーマに、研修・施策を実施しています。従業員の自律的なキャリア開発を目的に、選択型教育プログラム制度があり、従業員が自ら学びの機会を獲得できる環境整備をしています。
・多様なキャリアの実現について
多様なキャリアの実現を目指し、配置については、年に1回、キャリアの意向を直接人事部門へ伝えることができる自己申告制度や、希望者が自ら手を挙げて異動希望を希望する部署宛に表明できる制度等の運用を通じ、従業員自身によるキャリア選択を支援しています。
・ダイバーシティの取り組みについて
創業当時からの「男女平等」という価値観をベースに、働き方改革や女性活躍推進の施策を進めています。今後もさらに各種の取り組みを進めていくことが、性別や年代、キャリアなどの異なる、さまざまな「個」を尊重し合う“ダイバーシティ”文化を醸成し、Missionに掲げるNext GOODの創出に寄与するものと考えています。
<当社HP:女性活躍推進の取り組み>
https://www.cigr.co.jp/csv/project/genderless/
・健康経営について
「コスモスイニシア健康宣言」を制定し、従業員の心身の健康維持・向上をはかる健康経営を進めており、2021年から5年連続で「健康経営優良法人」に認定されました。今後も、健康管理を継続実施できる健康増進施策を展開し、従業員一人ひとりがパフォーマンス高く、成長や充実を感じながら働くことができる職場環境づくりに努めてまいります。
<当社HP:健康経営の取り組み>
https://www.cigr.co.jp/csv/project/health/
■コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上
「
(3)リスク管理
当社は代表取締役社長を委員長とし、各事業部、子会社の責任者を委員として構成する「コスモスイニシアグループリスク管理委員会(以下、「グループリスク管理委員会」という。)」を開催し、各事業部、子会社におけるリスクの抽出、評価、対応策の検討を実施しております(当事業年度においては12回開催)。事業等の中長期的なリスクや機会を踏まえて、取締役会における中期経営計画及び年度計画の策定・モニタリングを行っております。
また、サステナビリティに関する6つの重要課題(マテリアリティ)の策定に際して、サステナビリティに関する中長期的なリスク・機会を洗い出したうえで、重要性について評価を行い、執行役員会議での協議を経て取締役会にて協議・決定を行っております。今後も中期経営計画の策定などと併せて必要な見直しを実施してまいります。
(4)指標及び目標
環境負荷の低い建物・都市生活づくりの一環として、新築マンション全棟住戸ZEH-M Orientedの実現を目標として掲げております。新築マンションでは2024年度に着工した全462戸において、ZEH-M Orientedを取得(申請中取得予定を含む)しており、今後も継続的に取得してまいります。
以下において、当社グループの事業展開に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他の重要と考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で、重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避に努め、また、発生した場合には、その影響を最小限にとどめるよう対応に努めていく方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。
本項における将来に関する事項は、この有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)不動産市況について
不動産販売は、景気動向、金利動向、地価動向、新規供給動向及び不動産に係る税制等の影響を受けやすい事業となります。例えば、レジデンシャル事業では大幅な金利上昇によるお客さまの住宅購入意欲の減退、ソリューション事業では空室率の上昇や大幅な金利上昇による期待利回りの上昇などが挙げられます。それらが生じた場合には、収益性の低下、保有資産・販売用不動産の評価損が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、市場動向の観測や不動産市況の悪化時の影響度合いを想定したリスク評価を定期的に実施するほか、不動産販売以外の事業比率を高めることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。
(2)物件の引渡時期等に拠る業績の変動について
不動産販売における売上高の計上は、売買契約を締結した時点ではなく、顧客への引き渡しを行った時点で計上しております。レジデンシャル事業における不動産販売では一般的に転勤及び学期末の時期であること、ソリューション事業や宿泊事業における不動産販売では決算期末にかけて投資法人や不動産事業者による不動産取引が増加することなどを背景に、引き渡し時期が2~3月頃に集中することが多くなるため、第4四半期連結会計期間の売上高が他の四半期連結会計期間と比べ高くなる傾向があります。
当社グループといたしましては、四半期連結会計期間の業績動向を注視するとともに、不動産販売以外の事業比率を高めること等により業績の平準化を図ることで、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。
(3)金利変動について
当社グループは、不動産販売における事業用地の取得資金及び建築費の一部を、主に金融機関等からの借入金により調達しており、2025年3月現在のネット有利子負債は751億円、ネットD/Eレシオは1.5倍となっています。現行の金利水準が大幅に変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、自己資本のさらなる拡充と、資金調達手法の拡張を図ることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。
(4)契約不適合責任について
当社グループの商品において、設計・施工上の問題等に起因する不具合が生じた場合には、契約不適合責任として損害賠償等による費用の発生、又は商品・サービスに対する信用の失墜による売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、当社独自の「標準仕様書」「品質管理基準」を定め、専任スタッフが検査・確認するなど一貫した品質管理の体系的な実施と、継続的な品質管理体系の改善を図ることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。
(5)協力会社について
当社グループは、不動産開発事業において建設業者との間で工事請負契約を締結し、建物の建設工事を行っておりますが、国内外の経済情勢等の影響により物価高騰などの問題が発生した場合には、建設業者にて調達する資材・部材の価格高騰等、当社の建築費上昇という結果をもたらす可能性があります。加えて、2024年4月より建設業においても時間外労働の上限規制が適用され、人手不足による工期延長やコスト上昇等が事業経営等に影響を与える可能性があります。また、その他事業においても提供する商品及びサービスにおいて協力会社へ発注しており、協力会社の予期せぬ業績不振や事故等により事業継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合には、代替措置に伴う追加の費用発生やサービス提供が遅延するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、資材・労務費の動向を注視していくとともに、特定会社への依存関係を強めないこと、所定の審査を経て登録した協力会社へ発注すること、日ごろより良好な取引関係を構築すること等により、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。
(6)個人情報及び情報システムの管理について
当社グループは、各事業を展開するにあたり、個人情報をお預かりしており、「個人情報の保護に関する法律」に定められる個人情報取扱事業者であります。当社グループといたしましては、「情報セキュリティ規程」をはじめとした情報管理に関する規程等の整備、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)の制定と、それらに準拠した社員教育を含むセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセスその他不測の事態により、万が一、個人情報が外部へ漏洩した場合には、損害賠償等による費用の発生、又は信用の失墜による売上高の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、規程類並びにセキュリティ対策の継続的な強化・拡充を図ることにより、上記リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めてまいります。
(7)法的規制等について
当社グループの事業は、各種の法的規制等を受けております。
不動産関連事業においては、「宅地建物取引業法」「国土利用計画法」「建築基準法」「都市計画法」「住宅の品質確保の促進等に関する法律」「不動産特定共同事業法」「土壌汚染対策法」「犯罪による収益の移転防止に関する法律」などの法的規制等を受けております。当社は不動産業者として、「宅地建物取引業法」に基づく免許を受け、事業展開しております。
宿泊事業は、「旅館業法」などの法的規制等を受けております。当社の連結子会社である株式会社コスモスホテルマネジメントは「旅館業法」に基づく許可を受け事業展開をしております。
工事事業は、「建設業法」「建築士法」「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」「労働安全衛生法」などの法的規制等を受けております。当社及び当社の連結子会社である株式会社GOOD PLACEは、建設業者として、「建設業法」に基づく許可を受け、事業展開しております。
今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制等が設けられる場合には、当社グループの事業活動に制限が生じるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)当社の主要株主について
大和ハウス工業株式会社は当社の筆頭株主(発行済株式(自己株式を除く)総数の38.21%を保有)であり、当社は同社の持分法適用会社であります。同社による当社株式の保有方針が変更された場合は、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社共立メンテナンスは当社の主要株主(発行済株式(自己株式を除く)総数の25.02%を保有)であり、当社は同社の持分法適用会社であります。同社による当社株式の保有方針が変更された場合は、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害等について
天災、事故、大規模な感染症その他予測し得ない要因等の不測の事態により、当社グループ及び当社協力会社、資材調達先等に被害があった場合には、不動産価値の棄損や引渡時期の遅延、事業活動の中断による損失など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)海外情勢について
宿泊事業では、訪日外国人観光客による宿泊需要をメインターゲットとしております。海外におけるテロ行為や戦争の勃発、又は新たな感染症の発生や蔓延等の情勢の変化が生じ、渡航の自粛又は規制による訪日外国人観光客の減少や、訪日旅行に対する消費マインドの減退が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)為替変動について
当社グループは、豪州及び米国に連結子会社を有しており、会社の売上高、費用、資産・負債等は、当社の連結財務諸表作成のために円換算されることから、為替相場の変動によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、前項記載のとおり、宿泊事業では訪日外国人観光客による宿泊需要をメインターゲットとしており、為替変動により訪日旅行に対する消費マインドの減退が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)繰延税金資産について
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断された場合には、繰延税金資産は減額され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
なお、経営環境につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」をご参照ください。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調を維持いたしました。一方で、国際的な政治情勢の不安定さや、資源・エネルギー価格の高騰、物価上昇が続き、先行きの不透明感は依然として残る状況となりました。
2024年度の不動産業界は、首都圏・近畿圏の新築マンション市場で供給戸数が減少した一方、建築費の高騰も背景に平均価格・平米単価は上昇する等、住宅購入に対する需要は堅調に推移しました。首都圏の中古マンション市場においては、成約件数・成約価格ともに上昇しました。不動産投資市場においては、金利上昇局面でも、金融機関の融資姿勢に大きな変化はなく、投資意欲は引き続き高い水準を維持いたしました。さらに、観光市場については、好調なインバウンド需要が続きました。
このような事業環境におきまして、当社は「中期経営計画2026」の重点テーマである「事業・財務基盤の強化」「新たな事業創造」「ESG経営の実践」を通して、企業価値のさらなる向上に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。
財政状態
当連結会計年度末の総資産は1,768億49百万円となり、前連結会計年度末比35億16百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は1,265億31百万円となり、前連結会計年度末比11億98百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産は503億18百万円となり、前連結会計年度末比47億15百万円増加いたしました。
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(単位:百万円) |
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度末比 |
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総資産 |
173,333 |
176,849 |
3,516 |
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総負債 |
127,730 |
126,531 |
△1,198 |
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純資産 |
45,602 |
50,318 |
4,715 |
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自己資本比率(%) |
25.75 |
27.88 |
2.14 |
経営成績
当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較して、レジデンシャル事業及び宿泊事業において増収増益、ソリューション事業において減収増益、工事事業において減収減益となりました。ホテル施設運営において訪日外国人旅行者数の増加により好調な事業環境が継続したことに加え、不動産販売においても収益性が改善したことにより、業績は堅調に進捗いたしました。その結果、売上高1,295億28百万円(前連結会計年度比4.0%増)、営業利益94億52百万円(同27.3%増)、経常利益79億43百万円(同18.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益53億23百万円(同24.4%増)を計上し、前連結会計年度比増収増益となりました。
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(単位:百万円) |
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2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
連結業績予想 |
連結業績予想比 |
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売上高 |
124,588 |
129,528 |
4,939 |
134,000 |
△4,471 |
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営業利益 |
7,422 |
9,452 |
2,029 |
9,000 |
452 |
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経常利益 |
6,681 |
7,943 |
1,261 |
7,800 |
143 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
4,278 |
5,323 |
1,044 |
5,200 |
123 |
報告セグメントの業績は以下のとおりであります。
なお、各セグメントの売上高はセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、セグメント損益は営業損益ベースの数値であります。
a.レジデンシャル事業
レジデンシャル事業におきましては、新築マンションにおいて戸当たり販売価格が上昇したことにより増収となった一方で、豪州での分譲住宅開発プロジェクトにおいて棚卸資産評価損を計上したことにより利益面に影響があったこと等から、売上高484億98百万円(前連結会計年度比11.5%増)、セグメント利益13億17百万円(同113.3%増)を計上いたしました。
<レジデンシャル事業の業績> (単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
増減率(%) |
|
|
売上高 |
43,489 |
48,498 |
5,009 |
11.5 |
|
|
|
新築マンション・一戸建販売 |
23,349 |
28,513 |
5,164 |
22.1 |
|
|
リノベーションマンション販売 |
19,360 |
19,203 |
△156 |
△0.8 |
|
|
その他(不動産仲介・海外事業等) |
779 |
781 |
2 |
0.3 |
|
セグメント利益 |
617 |
1,317 |
699 |
113.3 |
|
※新築マンション・一戸建販売には、宅地分譲を含んでおります。
※リノベーションマンション販売には、物件保有期間中の賃貸収入を含んでおります。
※その他(不動産仲介・海外事業等)には、豪州での分譲住宅開発事業を含んでおります。
<契約の状況>
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
||||
|
契約数 (戸) |
売上高 (百万円) |
契約数 (戸) |
売上高 (百万円) |
契約数 (戸) |
売上高 (百万円) |
増減率 (%) |
|
|
新築マンション |
432 |
22,925 |
457 |
26,340 |
25 |
3,415 |
14.9 |
|
リノベーションマンション |
368 |
19,384 |
301 |
19,765 |
△67 |
380 |
2.0 |
<引渡数・売上高・売上総利益率>
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
||||
|
引渡数 (戸) |
売上高 (百万円) |
売上総利益率(%) |
引渡数 (戸) |
売上高 (百万円) |
売上総利益率(%) |
|
|
新築マンション |
476 |
23,076 |
22.8 |
486 |
27,499 |
24.6 |
|
リノベーションマンション |
367 |
19,046 |
11.8 |
297 |
18,980 |
14.3 |
※共同事業物件における戸数については、事業比率に基づき計算しております。
※売上総利益率の算出に際し、棚卸資産評価損は含めておりません。
<完成在庫> (2025年3月31日現在)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
|
|
新築マンション (戸) |
完成在庫 |
255 |
228 |
△27 |
|
(うち未契約完成在庫) |
(232) |
(206) |
(△26) |
|
b.ソリューション事業
ソリューション事業におきましては、収益不動産等販売において引渡棟数の減少により減収となった一方で、売上総利益率の改善により増益となったこと等から、売上高479億12百万円(前連結会計年度比2.1%減)、セグメント利益43億37百万円(同67.0%増)を計上いたしました。
<ソリューション事業の業績> (単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
増減率(%) |
|
|
売上高 |
48,954 |
47,912 |
△1,041 |
△2.1 |
|
|
|
収益不動産等販売 |
32,997 |
31,550 |
△1,447 |
△4.4 |
|
|
不動産賃貸管理・運営 |
15,546 |
15,655 |
108 |
0.7 |
|
|
その他(不動産仲介・海外事業等) |
409 |
706 |
296 |
72.3 |
|
セグメント利益 |
2,596 |
4,337 |
1,740 |
67.0 |
|
※収益不動産等販売には、共同出資型不動産、賃料収入及び土地売却等を含んでおります。
※その他(不動産仲介・海外事業等)には、米国での中古賃貸アパートメントの再生販売事業を含んでおります。
<引渡数・売上高・売上総利益率>
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
||||
|
引渡数 (棟) |
売上高 (百万円) |
売上総利益率(%) |
引渡数 (棟) |
売上高 (百万円) |
売上総利益率(%) |
|
|
収益不動産等販売 (うち一棟物件) |
20 |
31,648 |
10.9 |
14 |
27,051 |
16.5 |
※共同事業物件における棟数については、事業比率に基づき計算しております。
※売上総利益率の算出に際し、棚卸資産評価損は含めておりません。
c.宿泊事業
宿泊事業におきましては、ホテル施設運営において訪日外国人旅行者数の増加に伴う好調な事業環境の継続により平均客室単価が上昇したこと等から、売上高236億86百万円(前連結会計年度比5.9%増)、セグメント利益67億74百万円(同8.1%増)を計上いたしました。
<宿泊事業の業績> (単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
増減率(%) |
|
|
売上高 |
22,367 |
23,686 |
1,319 |
5.9 |
|
|
|
ホテル施設販売 |
6,460 |
4,066 |
△2,393 |
△37.1 |
|
|
ホテル施設運営 |
15,906 |
19,619 |
3,713 |
23.3 |
|
セグメント利益 |
6,266 |
6,774 |
507 |
8.1 |
|
<ホテル施設(アパートメントホテル)運営状況>
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
客室稼働率(%) |
74.6 |
72.7 |
|
平均客室単価(千円) |
40 |
50 |
d.工事事業
工事事業におきましては、オフィス移転・内装工事の受注が減少したこと及び売上総利益率が低下したこと等により、売上高98億11百万円(前連結会計年度比2.2%減)、セグメント損失58百万円(前連結会計年度はセグメント利益2億49百万円)を計上いたしました。
<工事事業の業績> (単位:百万円)
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
前連結会計年度比 |
増減率(%) |
|
売上高 |
10,031 |
9,811 |
△220 |
△2.2 |
|
セグメント利益又はセグメント損失(△) |
249 |
△58 |
△307 |
― |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は277億67百万円となりました。[前連結会計年度末は343億81百万円]
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に税金等調整前当期純利益を79億77百万円計上したことや、未収入金が29億63百万円減少した一方で、棚卸資産が109億99百万円増加したことや、法人税等の支払額が28億27百万円あったことから、35億44百万円の資金の減少となりました。[前連結会計年度は93億14百万円の減少]
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に関係会社株式の売却による収入が31百万円あった一方で、無形固定資産の取得による支出が4億16百万円あったことや、投資有価証券の取得による支出が2億2百万円あったことから、10億25百万円の資金の減少となりました。[前連結会計年度は9億56百万円の減少]
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に長期借入れによる収入が355億7百万円あった一方で、短期借入金が37億44百万円減少したことや、長期借入金の返済による支出が299億14百万円あったこと、不動産特定共同事業出資返還による支出が65億50百万円あったことから、19億83百万円の資金の減少となりました。[前連結会計年度は110億33百万円の増加]
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
項目 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
24.8 |
26.0 |
25.7 |
27.9 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
10.0 |
10.6 |
18.5 |
21.3 |
|
※ |
自己資本比率 |
:自己資本÷総資産 |
|
※ |
時価ベースの自己資本比率 |
:普通株式時価総額÷総資産 |
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.普通株式時価総額は、期末株価終値及び自己株式を除く期末発行済株式数より計算しております。
※債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、当社グループにおける不動産販売事業の特性として、営業活動によるキャッシュ・フローが毎期大きく変動する可能性があるため、記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」における報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は1,768億49百万円となり、前連結会計年度末比35億16百万円増加いたしました。主な増減及びその要因は以下のとおりであります。
当連結会計年度末の流動資産は1,645億99百万円となり、同26億円増加いたしました。
これは、現金及び預金が同64億69百万円減少した一方で、販売用不動産が同126億61百万円増加したことによるものです。
また、当連結会計年度末の固定資産は122億50百万円となり、同9億16百万円増加いたしました。
これは、無形固定資産が同3億19百万円増加したことや、投資有価証券が同2億87百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は1,265億31百万円となり、前連結会計年度末比11億98百万円減少いたしました。主な増減及びその要因は以下のとおりであります。
当連結会計年度末の流動負債は669億94百万円となり、同71億13百万円減少いたしました。
これは、短期借入金が同37億44百万円減少したことや、不動産特定共同事業出資受入金が同15億50百万円減少したことによるものです。
また、当連結会計年度末の固定負債は595億36百万円となり、同59億15百万円増加いたしました。
これは、不動産特定共同事業出資受入金が同18億50百万円減少した一方で、長期借入金が同73億94百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は503億18百万円となり、前連結会計年度末比47億15百万円増加いたしました。
これは主に、配当金を支払った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益53億23百万円を計上したことによるものです。
また、当連結会計年度末の自己資本比率は、27.88%となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比49億39百万円増収の1,295億28百万円となりました。
主な要因は、ソリューション事業において収益不動産等販売の引渡棟数が減少したこと等により同10億41百万円の減収、工事事業において受注が減少したこと等により同2億20百万円の減収となった一方で、レジデンシャル事業において新築マンションの戸当たり販売価格が上昇したこと等により同50億9百万円の増収、宿泊事業においてホテル施設運営における平均客室単価が上昇したこと等により同13億19百万円の増収となったことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比20億29百万円増益の94億52百万円となりました。
主な要因は、工事事業において売上総利益率が低下したこと等により同3億7百万円の減益となった一方で、レジデンシャル事業において増収となったこと等により同6億99百万円の増益、ソリューション事業において売上総利益率が改善したこと等により同17億40百万円の増益、宿泊事業においてホテル施設運営における平均客室単価が上昇したことに伴い増収となったこと等により同5億7百万円の増益となったことによるものです。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比12億61百万円増益の79億43百万円となりました。
主な要因は、支払利息が同4億24百万円増加したことや、資金調達費用が同1億円増加した一方で、受取利息が同60百万円増加したことや、営業利益が同20億29百万円増益となったことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比10億44百万円増益の53億23百万円となりました。
主な要因は、税金費用が同6億19百万円増加した一方で、経常利益が同12億61百万円増益となったことによるものです。
c.経営上の目標の達成状況
「中期経営計画2026」の3年目にあたる2025年3月期の達成状況は以下のとおり、業績予想比では減収となったものの、営業利益は増益となりました。また、棚卸資産に対するプロジェクト借入が進捗したこと等により、前連結会計年度比でネット有利子負債は増加、ネットD/Eレシオは概ね維持となりました。総資産は35億16百万円増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益53億23百万円を計上したため、自己資本比率27.9%に改善いたしました。
|
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
||
|
実績 |
実績 |
連結業績予想 |
実績 |
連結業績予想比 |
|
|
売上高 |
1,234億円 |
1,246億円 |
1,340億円 |
1,295億円 |
△45億円 |
|
営業利益 |
49.2億円 |
74.2億円 |
90.0億円 |
94.5億円 |
4.5億円 |
|
自己資本比率 |
26.0% |
25.7% |
― |
27.9% |
― |
|
ネット有利子負債 |
574億円 |
663億円 |
― |
751億円 |
― |
|
ネットD/Eレシオ |
1.4倍 |
1.5倍 |
― |
1.5倍 |
― |
「中期経営計画2026」の4年目にあたる2026年3月期の業績につきましては、当連結会計年度比で増収増益の売上高1,520億円、営業利益110億円を見通しております。
なお、「中期経営計画2026」について、2025年5月12日の公表内容に基づき、5ヵ年計画を1年前倒しして4ヵ年とし、最終年度である2026年3月期の営業利益及び営業利益率の目標を当初計画より上方修正いたしました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「3 事業等のリスク」に記載しております。なお、当社グループは、これらのリスクを十分認識した上で、発生の回避、又は発生した場合には、その影響を最小限にとどめるように対応する方針であります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
(1) 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務体質の強化と事業成長に向けた投資を両立し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを、財務戦略の基本方針としております。
財務体質の強化に関しては、「中期経営計画2026」最終年度において自己資本比率を30%の水準へ改善させ、投資能力の拡張と、リスク耐性の強化を図ります。同時に、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減に努めるとともに、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めてまいります。
投資に関しては、前述の自己資本比率の目標水準への改善を前提に、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。
なお、「中期経営計画2026」においては、企業価値の向上に資する成長に向けて、システム・R&Dなどを含む新規投資を進めてまいります。
(2) 経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。「中期経営計画2026」期間においては、イベントリスク耐性も考慮し、当社グループの資金支出の多くを占める提出会社の月商約2か月分を、安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
(3) 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要においては、営業活動における資金支出の中で、不動産販売に関わる事業用地・事業用不動産の取得が最も重要かつ大きな資金支出となっております。
(4) 資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金、外部資金を有効に活用しております。内部資金については、「中期経営計画2026」に定める自己資本比率も念頭に内部留保の拡充を図ってまいります。また、安定的な外部調達能力の維持向上は重要な課題と考えており、筆頭株主及びその他の関係会社である大和ハウス工業株式会社から融資保証枠の供与を受けるほか、当社独自での金融機関からの借入による資金調達を実施しております。また、資金の流動性確保のために金融機関との当座貸越契約の締結や長期運転資金借入を進めるほか、当社グループ資金の効率化のためのグループ会社とのキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)契約の締結を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積りは以下のとおりであり、当該見積りに用いた仮定については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(販売用不動産等の評価)
当社グループは、販売用不動産等(販売用不動産及び仕掛販売用不動産)の評価について、個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)によっており、収益性の低下した販売用不動産等については、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。経済状況の変化等により、不動産市場が悪化したこと等により正味売却価額が下落した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると慎重に判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、国内経済の変化及び国際情勢等の見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(1)取締役候補を指名する権利を有する旨の合意を含む資本業務提携契約
当社は、2024年1月11日付で大和ハウス工業株式会社(筆頭株主及びその他の関係会社)及び株式会社共立メンテナンス(その他の関係会社)との間で、3社間での資本業務提携契約(以下、「本契約」といいます。)を締結しており、本契約には両社が当社の取締役候補を指名する権利を有する旨の合意(以下、「当該合意」といいます。)が含まれております。
本契約に関する内容は以下のとおりであります。
①本契約の相手先
大和ハウス工業株式会社
株式会社共立メンテナンス
※両社との関係につきましては、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載しております。
②本契約の目的
株式会社共立メンテナンス(以下、「共立メンテナンス」といいます。)が大和ハウス工業株式会社(以下、「大和ハウス工業」といいます。)からその有する当社の普通株式を取得し、当社を大和ハウス工業及び共立メンテナンス双方の関連会社とすることにより、当社の自主性を尊重しつつ、当社の成長戦略の実現を図ると共に、大和ハウス工業及びその子会社・関連会社(以下「大和ハウスグループ」といいます。)、共立メンテナンス及びその子会社・関連会社(以下「共立メンテナンスグループ」といいます。)及び当社グループの事業提携によるシナジーを促進し、大和ハウスグループ、共立メンテナンスグループ及び当社グループの企業価値を向上させることを目的としております。
③当該合意の内容及び目的
大和ハウス工業及び共立メンテナンスは、当社の取締役のうち、大和ハウス工業は2名、共立メンテナンスは1名の取締役候補を指名する権利を有しております。なお、両社と当社の連携を促進し、資本業務提携を推進することを目的としております。
④取締役会における検討状況その他の当社における当該合意に係る意思決定に至る過程及び当該合意が当社の企業統治に及ぼす影響
当社は、3社間での本契約の締結により、当社が中期経営計画に掲げた当社事業の中長期的な成長及び当社の企業価値の向上が図れると判断しており、取締役候補を指名する権利についても両社の議決権所有割合から有する権利として妥当であり、また両社と当社の連携を促進し当該資本業務提携を推進するために合理的なものであると判断しております。また、本契約による当社グループの経営体制に大きな変更はなく、当該合意が当社の事業運営に与える影響及び企業統治に及ぼす影響は軽微であります。
(2)財務上の特約が付された金銭消費貸借契約
①当社
|
借入先 |
契約締結日 |
期末残高 |
返済期日 |
担保の内容 |
財務制限条項※ |
|
都市銀行 |
2019年2月13日 |
613百万円 |
2025年6月30日 |
当社所有の販売用不動産 |
要件1.3 |
|
都市銀行・地方銀行 |
2021年3月31日 |
931百万円 |
2026年3月31日 |
当社所有の販売用不動産 |
要件1.3 |
|
信託銀行・地方銀行 |
2022年12月12日 |
1,700百万円 |
2025年12月15日 |
なし |
要件2.4 |
|
地方銀行 |
2023年2月10日 |
1,100百万円 |
2026年8月31日 |
当社所有の仕掛販売用不動産 |
要件1.2.3.4 |
|
生命保険会社 |
2024年6月26日 |
2,000百万円 |
2025年6月30日 |
なし |
要件1 |
|
都市銀行・地方銀行 |
2024年12月20日 |
1,800百万円 |
2027年12月24日 |
なし |
要件2.5.6 |
|
4,400百万円 |
2029年12月25日 |
||||
|
500百万円 |
2026年6月25日 |
②連結子会社
豪州子会社(CA Naremburn Pty Ltd)
|
借入先 |
契約締結日 |
期末残高 |
返済期日 |
担保の内容 |
財務制限条項※ |
|
信託銀行 |
2024年12月20日 |
2,603百万円 |
2025年6月30日 |
連結子会社所有の仕掛販売用不動産 |
要件1.3 |
※各金銭消費貸借契約に付された財務制限条項の特約要件は以下となります。
要件1.当社の貸借対照表について、事業年度末の純資産額が直前事業年度末の純資産額の75%以上を維持すること
2.連結貸借対照表について、連結会計年度末の純資産額が直前連結会計年度末の純資産額の75%以上を維持すること
3.当社の損益計算書について、経常利益が2期連続して損失を計上しないこと
4.連結損益計算書について、経常利益が2期連続して損失を計上しないこと
5.連結損益計算書について、親会社株主に帰属する当期純利益が2期連続して損失を計上しないこと
6.大和ハウス工業株式会社の当社への出資比率が20%以上で維持されていること
該当事項はありません。