(1)経営の基本方針
当社は、1970年9月に躯体工事の主要構造部分である型枠大工工事業に特化し、一貫して経営理念である「ものづくり」にこだわり、現場主義の経験則からプロとして社会に広く貢献していくことを経営の基本方針としております。また、環境の変化に対応した利益重視の経営を行っており、建築・住宅供給を通し企業発展を目指してまいりました。
当社は、2025年6月1日に株式会社シーラテクノロジーズ(以下、シーラ)との経営統合を実施いたしました。
旧クミカの不動産開発事業・建築事業・不動産販売事業は、取引先とのネットワークや地域密着型のサービスを強みとし、またシーラの不動産事業・クラウドファンディング事業は、不動産クラウドファンディングを活用した調達及びファンディングや、AI やビッグデータを活用した仕入・販売などテクノロジー面を強みとしております。
本経営統合を通じて、それぞれの事業において、相互の強みを活かしたシナジーの実現を加速化していきます。併せて、グループ全体の組織体制の最適化、人員の適正化、情報集約による事業機会の拡大、各拠点における重複業務の集約化、グループ全体での最適な財務戦略の実行などを通じて、両社の経営資源を一体化することで効率的な運営体制を構築し、グループ全体の収益力向上及び企業体質強化を目的として、環境に左右されない経営基盤作りを目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、生産性の向上と徹底的な原価管理による収益性強化と、安定的な収益を生むストック型収益を拡充による持続可能な成長基盤を確立いたします。
また、経営方針の1つとして株主の皆様への継続的かつ積極的な利益還元を掲げており、2030年5月期には総資産1,000億円、ROA4%、ROE10%、DOE4%を目指してまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
昨今の外部環境は急速に変化しており、グローバル経済の不安定化、特に急激な円安により建材や資材の価格が高騰し、開発・仕入原価が増加するなど、企業経営を取り巻くリスクは一層増しています。不動産業界においても、従来型のビジネスモデルの限界が顕在化しており、市場ニーズや構造変化に柔軟に対応できる経営体制の構築が急務となっております。
一方で、金融資産所得資産増加に向けた資産運用立国の取組推進により、資産運用市場は今後も拡大が見込まれていることは、収益用不動産や不動産クラウドファンディングを扱う当社グループにとっては追い風となりえます。中でも、不動産クラウドファンディング「利回りくん」を取り巻く不動産投資クラウドファンディング市場は、グローバルで約142億ドル(2022年)から、今後は約934億ドル(2032年)まで成長するという予測がなされております。日本においても約10億ドル(2022年)から、今後は約53億ドル(2032年)へと成長するという予測もなされております(注1)。当社においてもこのような状況の下、2025年6月1日に株式会社シーラテクノロジーズと経営統合を行い、以下の方針のもと、抜本的な改革に取り組んでまいります。
(注1) Polaris Market Research & Consulting LLP, Real Estate Crowdfunding Market Report (Forecast to 2032)より
① 経営統合による新たな成長基盤の構築
シーラグループの開発・販売ノウハウを活かし、都市部を中心とした収益性の高い不動産開発を加速、良質な案件を迅速に確保できる体制を整備し、収益力の向上を図ります。
② 経営ガバナンスとコンプライアンス体制の構築
社外取締役・監査等委員の登用による経営の監視機能を強化し、全社員を対象とした法令等遵守・倫理研修を制度化し、健全な企業文化を再構築します。また、内部通報制度の再整備や定期的なリスクレビューの導入により透明性と信頼性を高めます。
③ 財務体質の強化と黒字転換への具体策
不採算事業の整理と収益性の高い分野への集中を行い、不要資産の売却やコスト構造の見直しにより、キャッシュフローの安定化を図ります。シーラグループの顧客基盤や販売チャネルを活用し、短期的な売上拡大を目指します。
④ 企業文化と人材戦略の刷新
当社のスローガンである「世界中の不動産投資を民主化する」という価値観のもと、新たな組織文化を形成します。実務能力に加え、高い倫理観と自立性を持つ人材の教育を推進します。
当社のサスティナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社のガバナンスの基本は、「
サステナビリティ関連のリスク及び機会についても、上記の体制の下、監視及び管理を行っております。
なお、当社では、内部監査体制の充実と実効性の向上を目指して、内部監査室は代表取締役のみならず、取締役会並びに監査等委員会に対しても連携して直接報告する仕組みで、デュアルレポーティングラインの構築を図っております。
(2)リスク管理
当社は、サステナビリティに関連するリスクを含め、会社に重要な影響を与える可能性があるものをリスクとして把握し、その影響を最小限に抑えるために、リスク管理体制を整備し、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価及び分析を行っております。具体的には、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 」に記載のとおりであります。
(人的資本に関するリスク管理)
リスク管理の観点からも、多様な人材を育成し、当社のビジネスについてあらゆるパースペクティブで事案を評価できる人材を育てます。そのためには、社員の様々なキャリアプランを尊重し、その実現のための支援を行ってまいります。特に、不動産業界に身を置く当社としては、法務・税務に精通した人材育成に注力し、場合によっては、外部スペシャリストとの連携を図ることにより、最新の情報を取り入れながら業務を遂行し、様々なリスクをヘッジしてまいります。
(3)人的資本に関する戦略
当社は、自立した判断のできる複数の次世代リーダーの育成が急務であるものと考えており、①チャレンジを認める人事評価、②キャリア自立と自ら学ぶ能力開発、③ビジネスリーダーの計画的育成、を重要な経営課題として認識しております。なお、人材の育成においては、マネージャーによる社員のキャリア開発支援が重要であり、従来の「パフォーマンスマネジメント」に加え「キャリアマネジメント」を重視し、公的資格の取得支援や、研修プログラムの実施を通じた社員個々人の中長期的成長の支援を行ってまいります。
①チャレンジを認める人事評価
多様なチャレンジを認めることで社員一人ひとりの多岐にわたる成長を支援します。その際、マネージャーの役割は、社員の評価に止まらず、社員が中長期の野心的な目標を構築するための支援を行うことも含まれます。
②キャリア自立と自ら学ぶ能力開発
社員の目標設定において、誰かにやらされるのではなく、「どうなりたいか?」という目標設定者(社員)の主体的な意志が表現されることが必要です。現在、経営環境が大きく変化する中、社員自ら目指すキャリアを考え、そのために必要な能力を獲得することが求められています。当社は、「自ら学び」「お互いに学び合う」自立型教育を体系化します。
③ビジネスリーダーの計画的育成
社員一人ひとりが中長期のアンビシャスな目標設定を行い、その達成を目指すためには、前述の通りマネージャーによる強力なバックアップが必要です。そのツールとして、1on1ミーティングを制度として導入し、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるように、「強み」を引き出す支援型のマネジメントを定着させます。マネージャーによる手厚い支援の中で、所属する部署や担当する職種の枠を超えて、幅広い協働を行うことができる次世代のビジネスリーダーを発掘し、育成します。
(4)人的資本に関する指標及び目標
現在、従業員数が32名と少数であることから、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率等の目標値等は定めておりませんが、今後は具体的な目標値等の策定を進めてまいります。今後も、継続して女性の活用を含む社内の多様性の確保に関する環境整備を推進してまいります。
当社は、2024年4月1日に執行役員制度を導入しました。これは自立した判断のできる複数の次世代リーダーの育成を企図したものです。また、女性の管理職を中途採用するなど、多様性の確保にも努めております。また、管理部が主導し、全社ベースでの男性労働者の育児休業取得を励行しております。
(5) 環境・エネルギー・災害対応への取組
当社は、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現を重要な経営課題と位置づけ、グループ全体で再生可能エネルギーの活用や省エネルギー対策に取り組んでいます。具体的には、太陽光発電設備や蓄電池の導入、省エネ性能の向上、創エネルギーと省エネを組み合わせた建物設計などを通じ、脱炭素社会への移行や地域循環型エネルギー社会の構築に貢献しています。災害対応においては、停電時の非常用電力供給体制を、一部の先進的な物件で導入しています。共用部や一部住戸において、蓄電池と太陽光発電を活用した非常時電力の供給体制を整備し、入居者の安全・安心を確保する取り組みとして実施しています。これらの施策は、グループ子会社であるシーラソーラーによる再生可能エネルギー事業や、当社開発物件への省エネ・創エネ設備導入を通じて具体化されており、環境価値の向上と防災対応の両立を目指しています。今後も、グループ全体で再生可能エネルギーの普及と災害対応施策を推進し、持続可能なエネルギー基盤と安全な社会づくりに貢献してまいります。
(6) 知的財産権について
① リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは現在、 他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。 しかしながら、 当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権の侵害が発覚した場合等においては、 信用失墜や損害賠償請求等が発生し、 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、第三者が当社グループの技術などを使用し、市場において当社グループの競争力に悪影響を与える可能性があります。
② リスクが顕在化する可能性の程度や時期、 当該リスクへの対応策
当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないような体制を構築しておりますが、 万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害してしまった場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。 当社グループは、これらのリスク低減を図るために、 新規事業の開始時点において、 法務室のコンプライアンスチェック (第三者の知的財産権の侵害等の確認を含む) を受けるなどのプロセスを設け、 知的財産権等を侵害することがないよう運営しております。
また、第三者が当社グループの技術などを使用する可能性は常にあるものと認識しております。 当該リスク低減を図るために、 商標登録や自社製品に関する特許を取得することで第三者による知的財産権の侵害を防いでおります。
当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経済環境の変化による影響について
当社の主力事業である開発事業は、需要動向により開発用不動産物件の取得が左右される傾向があります。需要動向は国内の景気動向、不動産市況、金利動向、不動産関連税制等の影響を受けやすく、これらの経済環境の変化は当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制等について
当社は、主に開発、不動産販売、不動産賃貸及び建設に関する事業を行っており、当社の属する不動産業界は、国土利用計画法、宅地建物取引業法、土地計画法、建築基準法等により法的規制を受けております。当社は、不動産業者として、「宅地建物取引業法」に基づく免許、建設業者として「建設業法」に基づく許可を受け、開発、不動産販売、不動産賃貸及び建設等の事業を行っております。当社としては、事前の調査を尽くすことによりプロジェクトの遂行可能性に関する確認を行っておりますが、将来においては現在では予測できない法的規制が設けられることも皆無とはいえません。
こうした規制が設けられた場合には、当社の事業活動自体が制約される可能性があるほか、これらの規制を遵守出来なかった場合には、予測困難な事業コストが生じる懸念があり、当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
また、 不動産クラウドファンディングサービス「利回りくん」については、不動産特定共同事業法に基づき運営していますが、クラウドファンディング市場の歴史がまだ浅く、今後、不動産特定共同事業法の改正等が生じる可能性があります。
かかる改正等が生じた場合は、当社として直ちに対応していく方針ですが、改正による規制強化等によって事業運営に与える影響が大きい場合には、事業活動、並びに財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 金利動向の影響について
当社の主力事業である開発事業及び不動産販売事業において、購入者は主として金融機関の住宅ローンを利用しております。また、開発事業に係るプロジェクト資金及び不動産販売事業に係る新築在庫買取物件の取得財源の一部を金融機関からの借入金によっているため、金利動向や金融情勢等の大幅な変動があった場合には、当社の業績等が著しく変動する可能性があります。
(4) 取引先の信用リスクについて
開発事業、建築事業においては、施工会社との間で工事請負契約を締結して建物の建築工事等を行うことがありますが、施工会社が信用不安に陥った場合には工期遅延等が生じ、また、取引先の信用低下により経済的損失が発生した場合には、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
(5) 引渡し時期による業績の変動について
当社グループでは、不動産の売却においては引渡基準を採用しています。当社グループでは、引渡時期による業績の変動がないように案件管理・期日管理を徹底しておりますが、案件によっては1件あたりの売上高や損益が財務数値に大きな影響を与えることもあり、そのような案件の引渡時期が計画に対して前後することにより、当社グループの四半期や年度損益に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループでは引渡し時期の都合により財政状態及び経営成績に偏りが生じる場合があります。
(6) 自然災害、震災等によるリスクについて
地震、暴風雨、洪水等の自然災害、暴動、火災等の人災、感染症の拡大が発生した場合、当社グループが保有する不動産の価値が大きく毀損する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが保有する不動産は、売却時の需要を勘案した上で、東京を中心とする首都圏所在の比率が高い状況にあり、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 在庫リスクについて
当社の保有在庫の中には、短期的な販売を目的としていない物件があり、これらは主に過去の仕入れ方針に基づいて仕入れたものの現時点までに販売が完了していない物件や、他社の不良資産処理として持ち込まれ市場価格より低価格で購入した物件等であります。これらの在庫について、市況の悪化や顧客ニーズの変化等によっては、在庫の長期滞留化、販売価格の低下に伴う在庫の評価損、資金負担が増加する可能性があり、その場合には当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 建築費について
当社のマンション建築は、自社施工か施工会社への発注のいずれかですが、建築資材の価格や工事労務費の高騰により、工事請負金額が上昇した場合には、利益率が低下する可能性があり、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 開発事業における近隣住民の反対運動について
マンションの建設にあたっては、建設地の周辺環境に十分配慮し、関係する法律、自治体の条例などを検討して開発計画を立てるとともに、事前の説明会を開催し近隣住民の理解を得ておりますが、日照問題、環境問題、建設中の問題などを理由に近隣住民の反対運動が起きる場合があります。その場合には、計画に変更が生じたり追加工事の発生等が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(10) 土地の仕入について
当社では、開発事業用地等の取得にあたり、売買契約書締結前に綿密な事前調査を行っておりますが、締結後、稀に地中障害や土壌汚染等の隠れたる瑕疵が発見されることがあります。この場合には、当社に追加費用が発生することがあり、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
(11) 個人情報の取扱いについて
当社の営業活動に伴い、個人情報を始めとする様々な情報を入手しております。個人情報等の管理におきましては、細心の注意を払っておりますが、不測の事態により個人情報が外部に流出した場合には、損害賠償や当社の信用力低下により、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
(12) 訴訟のリスクについて
当社は、2023年7月5日より、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)違反等の容疑で地方検察庁より起訴され、2024年3月19日、東京地方裁判所より、上記法律違反により罰金1,200万円に処するとの判決を受けました。
当該事案に関連して、一部の元融資先から請求や通知を受けて、協議を行い、和解に至っているものの、今後も他の元融資先から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がございます。これらの事象が発生した場合には、訴訟内容や損害賠償額及びその結果により、当社の社会的信用に影響を及ぼす可能性がございます。
なお、当社が起訴されている関連法令及び当社の元代表取締役社長が書類送検されている関連法令以外の法令に抵触する重要な事実はありません。
(13) 不動産クラウドファンディングサービス「利回りくん」案件募集時に成立下限額を調達できない場合について
「利回りくん」にて大型案件を募集する際には、案件成立にあたっての下限調達額を設定することがあります。投資家からの応募金額が下限調達額を下回る場合には案件自体が成立せず、応募金額は投資家に返還することになりますが、案件の不成立が続く場合には投資家からの応募が減少していく可能性があります。ひいては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また成立下限額を調達できない場合、募集の再開などで不動産の売買契約の条件によっては、売主へ違約金を支払う場合があり、当該違約金の支払いが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度におけるわが国経済は、コロナ禍を経て社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな持ち直しの動きがみられましたが、その一方で金融政策による為替変動、世界経済におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化および中東情勢の緊迫化、欧米経済の物価高、中国を始めとする海外景気の下振れなど、景気を下押しするリスクが存在しております。
(a)財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は16,748百万円となり、前事業年度末に比べ1,591百万円増加いたしました。このうち、流動資産は12,399百万円となり前事業年度末に比べ2,626百万円増加いたしました。主な要因は、借入金の借入に伴い現金及び預金(2,147百万円)、販売用不動産(563百万円)などが増加したことによります。また、投資その他の資産は前事業年度末に比べ1,016百万円減少いたしました。主な要因は、関係会社株式の現物配当及び評価減による減少(1,455百万円)などによります。
(負債)
当事業年度末における負債は5,682百万円となり、前事業年度末に比べ1,778百万円増加いたしました。このうち、流動負債は2,404百万円となり前事業年度末に比べ1,100百万円増加いたしました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金(694百万円)、未払法人税等(195百万円)の増加によるものです。また、固定負債は3,278百万円となり前事業年度末に比べ677百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金(979百万円)の増加によるものになります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は11,066百万円となり、前事業年度末に比べ186百万円減少いたしました。主な要因は、第三者割当増資により、資本金(299百万円)、資本準備金(299百万円)が増加したこと、自己株式の消却により自己株式が減少(161百万円)したこと、および、当期純損失の計上、配当金の支払い及び自己株式消却を行ったことにより、利益剰余金が減少(949百万円)したことなどによります。
(b)経営成績
不動産業界におきましては、建築コストの高騰や金利上昇による懸念等により、今後の事業環境は先行きが不透明な状況が続いておりますが、当社におきましては、当社の主力事業である開発事業及び不動産販売事業を中心に活動いたしました。開発事業につきましては、足立区千住東の新規物件を開発中であり、不動産販売事業につきましては、鶴ヶ島市、草加市、渋谷区幡ヶ谷および江戸川区平井の土地、長野県佐久平の複数の分譲地、複数の区分マンション等を売却いたしました。一方で、千葉のプロジェクトを中止したことによる損失437百万円や、株式会社シーラテクノロジーズとの株式交換に関連する費用107百万円、当社の非連結子会社である「莉斐股份有限公司」に対する債権を放棄したことによる損失226百万円を特別損失として計上しております。
これらの結果、当事業年度における売上高は5,419百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益は200百万円(前年同期比32.0%減)、経常利益は222百万円(前年同期比26.4%減)となり、当期純損失は657百万円(前年は212百万円の当期純利益)となりました。
(c)セグメントごとの経営成績
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔開発事業部門〕
開発事業につきましては、前期から販売している「ベルドゥムール秋田千秋公園」の戸別販売を継続し、売上高が27百万円(前年同期比98.3%減)、セグメント損失57百万円(前年同期はセグメント利益31百万円)となりました。足立区千住東においてマンションを開発中であり、当事業年度に着工しております。
〔建築事業部門〕
建築事業につきましては、請負工事を主体とした株式会社シーラとの共同プロジェクトである川崎、大宮案件などの売上高が850百万円(前年同期比48.7%増)、セグメント利益が5百万円(前年同期はセグメント損失30百万円)となりました。
〔不動産販売事業部門〕
不動産販売事業につきましては、鶴ヶ島市、草加市、渋谷区幡ヶ谷及び江戸川区平井の土地、長野県佐久平の複数の分譲地、複数の区分マンション等を売却したことによる売上高が4,044百万円(前年同期比92.7%増)、セ
グメント利益が531百万円(前年同期比7.1%減)となりました。
〔その他事業部門〕
その他事業につきましては、賃貸住宅の仲介・管理及び不動産の売買仲介などを中心に売上高が495百万円(前年同期比12.6%増)、セグメント利益が168百万円(前年同期比36.1%増)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、6,697百万円となり、前事業年度末に比べ1,747百万円増加しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純損失(573百万円)、棚卸資産の減少(566百万円)や契約負債の増加(338百万円)などにより551百万円の収入となり、前年同期と比べ334百万円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入(1,395百万円)がありましたが、定期預金の預入による支出(1,795百万円)や債務保証の履行(226百万円)などにより、658百万円の支出となり、前年同期と比べ、939百万円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入(2,304百万円)および株式の発行による収入(599百万円)のほか、長期借入の返済(653百万円)、社債の償還による支出(330百万円)および、配当金の支払(130百万円)などにより、1,857百万円の収入となり、前年同期と比べ、3,297百万円の増加となりました。
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2024年6月1日~2025年5月31日)施工高
(注) 当項目に該当する当社の生産実績は、開発事業、建築事業であります。
開発事業の当期完成施工高に記載している338,343千円は、当事業年度において、当社が手掛けているマンション開発プロジェクト(千葉県習志野市)において、建設コスト増加を含め、建築関連を取り巻く環境が大きく変更されたことにより、工事施工会社との工事請負契約を解除し、開発不動産に計上した帳簿価額を減額し、当該切下額をプロジェクト撤退損に含めて特別損失に計上したものであります。
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2024年6月1日~2025年5月31日)受注高
(注) 当項目に該当する当社の受注状況は、建築事業のみであります。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
開発事業物件別契約状況
(注)1 上記表の「BD」はベルドゥムールの略称でございます。
2 販売戸数内の( )内書きは、総戸数であります。
不動産販売事業の販売物件契約状況
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。当該見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき実施しております。ただし、実際の結果は、経営環境や事業特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況1 財務諸表等(1) 財務諸表注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの作成の分析(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報財政状態の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、不動産、建築資材の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
現状、運転資金及び投資資金は、営業活動によって得られた自己資金を充当し、不足する場合には金融機関からの借入により資金調達をしておりますが、必要に応じて、増資や社債発行等により柔軟に対応することとしております。
④ 経営戦略の現状と見通し
景気は緩やかな持ち直しの動きがみられましたが、その一方で金融政策による為替変動、世界経済におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化および中東情勢の緊迫化、欧米経済の物価高、中国を始めとする海外景気の下振れなど、景気を下押しするリスクが存在し、景気後退懸念等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況において、当社は、2025年6月2日付け「株式交換による株式会社シーラテクノロジーズの完全子会社化完了に関するお知らせ」にて公表しておりますとおり、2025年6月1日に株式交換の効力が発生し、当社は株式会社シーラテクノロジーズを完全子会社化しております。
本経営統合を通じて、当社が有する地域密着型の実行力と、シーラグループが有するテクノロジーを駆使した不動産事業のノウハウを融合することにより、各事業領域におけるシナジーの最大化を図ってまいります。あわせて、グループ全体としての組織体制の最適化、人員配置の効率化、情報集約による事業機会の創出、各拠点における重複業務の集約、ならびに最適な財務戦略の実行などを通じて、両社の経営資源を一体化し、より強固で持続可能な経営基盤の構築を目指してまいります。
2026年5月期の連結業績予測は、2025年7月14日に開示のとおり、売上高345億円、営業利益24億円、当期純利益8億円を見込んでおります。
(株式交換)
株式会社シーラテクノロジーズとの「株式交換契約」の締結
当社は、2024年12月2日開催の取締役会、及び2025年2月14日開催の臨時株主総会の特別決議において、当社を株式交換完全親会社とし、株式会社シーラテクノロジーズ(以下「シーラ」といいます。)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行う決議を経て両社間で株式交換契約を締結しております。
また、2025年6月2日付け「株式交換による株式会社シーラテクノロジーズの完全子会社化完了に関するお知らせ」にて公表しておりますとおり、2025年6月1日に株式交換の効力が発生し、当社は株式会社シーラテクノロジーズを完全子会社化しております。なお、本株式交換は、「企業結合に関する会計基準」における「逆取得」の会計処理を適用することとなるため、今後については、株式会社シーラテクノロジーズを取得企業とする連結決算での開示を行うこととなります。
当該契約の内容等は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)に記載しているため、記載を省略しております。
(多額の資金の借入)
当社は物件購入資金及びPJ資金に充当するため、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結いたしました。
当該契約の内容等は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)に記載しているため、記載を省略しております。
2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
当事業年度において、該当事項はありません。