第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「パーパス」「ビジョン」「行動理念」に基づき、経営の健全性と透明性を高め、長期かつ持続的に企業価値の向上を実現するとともに、永続的に社会に必要とされる企業となるため、コーポレート・ガバナンスの充実と強化は極めて重要な経営課題であると認識しております。

 

<パーパス(当社グループが社会に存在する意義、社会にとっての存在価値)>

「IDEAL to REAL―理想を具現化し、新しい未来を創造する。」地域社会に根差した価値を創造し、そこに暮らす人たちが、誇り、愛し、いつくしむ「街」と「住まい」を。私たちが創造する価値が、社会にとって果実となり、その結果私たち一人一人が目指す個性的な『自己実現』を。理想の未来を想い描き、あらゆるステークホルダーにとって唯一無二の存在として「新しい未来」を創造していきます。

 

<ビジョン(パーパス達成のためのあるべき姿)>

「ライフ・デベロッパー」ハードの開発だけではなく、そこで暮らす人たちの幸せを想い描き、暮らしそのものを開発すること。それこそが、私たちが目指すべきライフ・デベロッパー。部門の垣根を越えたチームにより、「常識」の先にある、まだ見ぬソリューションを提供することで、「新しい理想の豊かさ」を創造し、人と人、社会と未来をつなぎます。

 

<行動理念(ビジョン実現のために取るべき行動)>

1.新たな価値の提供:情報力、企画力、商品開発力により、不動産が持つ無限の可能性を引き出し、あらゆるお客様に心から満足いただける新たな価値を提供する。

2.サステナビリティ経営:多様な社会課題に的確に対応し、自社と社会がともに持続的に成長していくことを追求する。

3.成長と安定:単に量や規模を追わず、資本とキャッシュの効率を意識した質の高い成長を志向するとともに、あらゆる事業リスクに対応できる強固な財務基盤・事業基盤を構築する。

4.経営者意識:グループ全社員が経営者意識を持ち、意思決定の速い会社であり続けることで、常に先手を取った攻めのできる経営を目指す。

5.コンプライアンス:国内外の法令や社会規範に従い、高いコンプライアンス及びガバナンス意識を持ち、人として正しい行動を取り、ボトムアップの風通しの良い組織形成を行う。

6.感謝の心:社内社外を問わず、常に同僚(他社)を敬い、感謝し、優良な協力関係を維持、構築する。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

 当社が持続的・長期的成長を続けるための指針・戦略として、2030年度までに当社がありたい姿や目指すべき方向性を定めた「長期ビジョン2030」を策定いたしました。

 当社が目指すべき方向性は以下の各項目における「深化」「進化」と捉え、様々な取組みを進めてまいります。

 

①事業戦略上の重点テーマ(目指すべき方向性)

≪深化≫

(ア)主力事業のさらなる成長

(イ)中部電力グループとのシナジー効果発揮

(ウ)収益構造のさらなる安定

(エ)資本コストや株価を意識した経営

≪進化≫

(ア)開発事業・ジャンルの多様化

(イ)国内エリア拡大

(ウ)グローバル展開

(エ)新規事業領域への挑戦

(オ)新しいまちづくり・マネジメント

(カ)DXの推進

 

②サステナビリティ経営上の重点テーマ(マテリアリティ/目指すべき方向性)

≪深化≫

(ア)多様な人材の活用

(イ)コンプライアンスの徹底

(ウ)グループ会社を含むガバナンス・リスク管理の強化

≪進化≫

(ア)脱炭素社会の推進

(イ)ウェルビーイングな社会の実現

 

③2030年度指標

経常利益300億円、不動産アセット1兆円

 

 詳細については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。

 

(3)セグメントごとに応じた事業の安定成長

 前述の「長期ビジョン2030」で掲げた事業戦略上の重点テーマを達成するためには、各セグメントに応じた戦略立案による安定成長を目指すことが重要です。

 住宅分譲事業及び不動産開発事業(旧:不動産販売事業)については、分譲マンション、商業施設開発を中核事業に、物流施設、オフィス、ホテル開発、街を再生させる土地区画整理事業等、マーケット動向を見据えながら多様な開発領域で事業展開しております。

 不動産賃貸事業及び資産管理事業(旧:不動産賃貸事業)については、第4次中期経営計画期間中に、株式会社ピカソ、優木産業株式会社及び四条大宮ビルを子会社としております。後継者不在等の課題を抱え事業承継をお考えの会社様等との協議を通じた市場に出てこないM&A案件についても検討を行い、収益構造の安定化に引き続き注力してまいります。

 その他事業(旧:不動産企画仲介コンサル事業等)については、海外等出資事業の本格的な展開を開始しているほか、都市型納骨堂の永代使用権の販売事業を行う等、事業領域の幅と質を向上させています。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 企業を取り巻く経営環境は、為替の変動、物価・金利の上昇等、今後の経済動向を大きく左右する事象が発生しております。また、地球温暖化、少子高齢化、人口の減少、ジェンダー問題、格差問題、地政学的リスク等様々な社会課題や、あらゆる分野におけるDX、激化する産業の境界を超えた競争等に対応することが急務になっていることに加え、顧客消費行動や価値観は常に早いスピードで変化し続けており、企業の持続的成長のためには、事業活動を通じたお客様や社会へ真の価値提供が常に求められる事業環境にあります。

 当社グループが、このように急激な多様化、変革が続く環境に対応し、社会貢献を通じた持続的成長を実現するためには、これまでの前例や既成概念にとらわれることのない柔軟な新しい発想で事業展開を行い、地域活性化に寄与することに加え、強固な財務基盤のもと安定した経営を行い、お客様の満足を糧に確実に成長していくことを方針とし、なによりもそこに暮らす人たちの幸せを思い描き、理想を具現化し未来を創造する、暮らしそのものを開発する「ライフ・デベロッパー」であり続ける必要があります。

 住宅開発、商業開発、物流開発、賃貸事業、オフィス開発、ホテル開発、海外事業、企画コンサルティング、施設運営管理、資産運用、海外等出資事業、納骨堂事業といった不動産ビジネスの多面的な展開により、常に事業の最適バランスを見据えた展開を行い、いかなる経済環境にも耐えうる強固な経営基盤を確立する必要があります。

 また、持続的な成長の実現には組織力を強化していくことも重要課題であると捉え、社員又は社員が持つ知識、技能、資質等である「人的資本」のさらなる充実が重要であることを認識し、人材育成方針等の策定や教育・研修体系構築、さらには人的資本に係る情報開示等を進めております。

 「事業戦略」「サステナビリティ経営」の両輪でともに「深化」「進化」を遂げ、当社グループの持続的な成長の好循環を創出し社会への貢献を通して、財務指標だけでは測れない真の企業価値向上を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、パーパスとして「IDEAL to REAL」を掲げております。時代と共に変化するニーズに対応し、理想の暮らしを創造するライフ・デベロッパーとして、「サステナビリティ経営」の推進による社会課題への対応を通じた「持続可能な社会の実現」と「持続的成長」を目指してまいります。

 

(1)ガバナンス

①推進体制

 当社グループは、サステナビリティ活動を推進するため、各部署より選抜されたメンバーで構成される「ESG推進担当部」が「E」「S」「G」の各チームに分かれ、「環境」「社会」「ガバナンス」における年度行動計画を設定し、取り組みを推進しております。

 「ESG推進担当部」においては、サステナビリティ担当役員である専務取締役経営企画本部長(以下、「経営企画本部長」という)を責任者として、月1回の定例会議を開催し、各チームの活動内容の共有、進捗管理を行うとともに、サステナビリティに関するリスク及び機会や課題を特定し、重要性が高いものを認識しております。また、リスク及び機会に対応するための戦略立案や、当該戦略のマイルストンとなる指標および目標に対する状況確認を実施しております。定例会議での内容は、サステナビリティ推進部を通して経営企画本部長へ報告され、必要に応じて、経営企画本部長より、執行に関する役員ミーティングへ報告され、対応についての指示等が協議されます。

 取締役会は、「ESG推進担当部」の定例会議での共有および協議内容等について、定期的(原則年2回)に報告を受け、社外取締役や監査等委員による独立的・客観的な立場からの意見も踏まえつつ、サステナビリティに関する重要事項について適切な検討を行うことで、監督を行える体制となっております。

 また、監査等委員会は、取締役会をはじめとする重要会議への出席や経営企画本部長、サステナビリティ推進部長へのヒアリング、重要文書の閲覧等を通して、業務の適法性・妥当性を監査しております。

 2025年3月末現在における当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、次のとおりです。

 

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 なお、サステナビリティ推進活動に対する体制の強化、経営の関与の明確化を図るため、2025年4月25日付で「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。本委員会は取締役会の下に設置され、代表取締役社長を委員長とし、委員長が指名する委員及び常勤監査等委員などをオブザーバーとして構成されます。サステナビリティ推進委員会は環境部会、社会部会、人権部会から成り、サステナビリティ推進部が運営を行います。サステナビリティ関連の重要事項に関する取締役会への報告、上程のほか、サステナビリティを巡る各課題に関するリスク及び機会の特定ならびにその影響度についての審議などを行います。

 2025年4月25日以降における当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、次のとおりです。

 

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②サステナビリティ推進活動に関する経営の関与

 当事業年度に開催された当社取締役会で取り扱ったサステナビリティ(ESG)に関する議題は次のとおりとなります。

開催日

議案区分

ESG区分

議案内容

2024年5月28日

報告

ESG

2024年度 健康経営活動方針案

2024年7月28日

報告

社内環境把握のためのエンゲージメントサーベイ実施について

2024年9月20日

報告

エンゲージメントサーベイの実施結果について

(社内環境改善に向けた取組み「目安箱」の実施について)

2024年10月25日

報告

ESG

2024年度 上期 ESG活動状況

2024年11月26日

報告

2024年度 健康経営活動方針 上期実績

2025年1月31日

報告

SG

2024年度 人権デュー・ディリジェンスに関する取組み状況

2025年2月28日

報告

北広島市における企業版ふるさと納税について

 

 

(2)戦略

①マテリアリティの特定

 当社グループは、「当社グループの持続的な利益成長」と「持続的な社会への貢献」を両輪で追求することが真の企業価値向上に繋がると考え、「サステナビリティ経営」を行動理念(2023年11月策定)の一つとして定めております。

 また、当社グループは、サステナビリティ経営を着実に進めていくため、ステークホルダー及び当社グループ経営の視点をふまえ、次の3つのステップを経てマテリアリティ(重要課題)を特定し、各マテリアリティに対応する指標及び目標を定め、課題解決に優先的に取り組んでおります。

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②気候変動

 当社グループは、『脱炭素社会の推進』をマテリアリティの一つとして掲げています。

 2022年6月には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動が事業に与えるリスク・機会に関するシナリオ分析を行うとともに、脱炭素に向けた取り組みに関する情報開示を進めています。

(ア)シナリオ分析

 気候変動が当社事業にもたらす影響について、TCFDが提言する枠組みに基づき、シナリオを用いた分析を行いました。

 本年は、当社グループの主力事業である住宅分譲事業、不動産開発事業及び不動産賃貸事業を分析対象とし、2030年時点での移行リスクと物理リスク・機会を検討しました。シナリオ分析では脱炭素化が現状以上に進まない3℃シナリオと脱炭素化が進む1.5℃シナリオの2つのシナリオを想定して行いました。

シナリオ

シナリオの概要

3℃シナリオ

・脱炭素について、各国が表明済みの現行の具体的政策が実行され、脱炭素に関わる追加的な政策がとられない場合のシナリオ。国際エネルギー機関(IEA)のシナリオの「公表政策シナリオ(STEPS)」を参照。2030年のGHG排出量は世界全体で2020年比で若干増加。2100年時点で気温は2.4~2.8℃上昇。

・建築物の環境認証基準や省エネ基準は更なる引き上げがされず、省エネ改修への要求も高まっていない。ZEH、ZEBに対応した物件を求める顧客は増加しないと想定。

1.5℃シナリオ

・2050年に世界でGHG排出ネットゼロを達成する場合のシナリオ。IEAのシナリオの「2050年までの排出量実質ゼロ化シナリオ(NZE)」を参照。2030年のGHG排出量は世界全体で2020年比で約4割減少し、炭素税が導入、強化される。建築物からのGHG排出量も2030年までに2020年から約4割減少。2100年時点で気温は1.3~1.5℃上昇。

・新築建物はネットゼロ経路に適合した建物として建設されることが一般的となる。ゼロカーボン準拠の建築物規制が導入され、この規制に適合するよう既存建物についても省エネ改修がされていくと想定。

※IEAより参照した2つのシナリオでは、2030年時点での気温の上昇はいずれも1.5℃程度で大きな差がないことから、2030年時点での物理リスクは1.5℃シナリオ、3℃シナリオともに同程度と想定されるため、2つのシナリオの間でリスクの大きさは区別していません。

 

(イ)シナリオ分析のプロセス

 シナリオ分析はTCFD提言に沿って、以下のプロセスで実施しました。

a.事業にとって重要な気候関連のリスク・機会の検討

 事業に大きな影響を与えうる気候変動リスク・機会を、TCFD提言や関連レポート等の調査によって洗い出しました。

 

b.シナリオの作成

 a.で特定した重要なリスク・機会について、IEA(国際エネルギー機関)のシナリオ等、外部機関の公表する情報を参照し、2030年に想定される状況を3℃シナリオ、1.5℃シナリオのそれぞれで整理しました。

 

c.シナリオに基づく財務影響の試算とリスク・機会の評価

 b.で検討したシナリオに基づいて、事業に与える財務影響を試算し、各リスク・機会について「発生可能性」と「影響度」の二軸でリスクの大きさを評価しました。定量的な財務影響の試算が難しいリスク・機会については定性的な分析を行っています。

 

d.対応策の検討

 事業への影響が大きい気候リスク・機会への対応策として、「脱炭素社会の推進」をマテリアリティの一つとして掲げ、グループ全体の温室効果ガス排出量を2030年度までに40%削減(2022年度対比)を目標とし、ZEHマンションの開発推進や再生可能エネルギーの積極的な活用を推進しております。

 

 

(ウ)シナリオ分析の結果:リスクと機会

 脱炭素社会への移行及び、気候変動によりもたらされる物理リスク・機会について検討し、住宅分譲事業、不動産開発事業及び不動産賃貸事業に2030年までに影響を与える重要なリスク・機会を、発生可能性と影響度の視点で評価して下表のとおり特定しました。

 

リスク

 脱炭素化に伴う移行リスクについては、1.5℃シナリオにおいて影響が大きく現れ、炭素税による鉄鋼・セメント等の炭素集約度の高い建築資材の調達価格が上昇することや、施工や保有物件からのCO2排出への課税に伴うコスト増加が想定されます。また、GHG排出規制の強化により省エネ設備への投資など低炭素化の対応コストが増加することや、顧客ニーズの変化に伴いZEH、ZEBに対応していない物件での空室率の上昇、成約率、賃料、販売価格の低下、当社不動産の脱炭素化が進んでいないことによる資金調達コストの増加の可能性があります。

 物理リスクについては、気象災害の激甚化による開発物件での工期の遅延が生じる可能性や、保有物件の破損や設備故障、機能停止が生じ、修繕費用の発生や被害による評判の低下で空室率が上昇する可能性があります。

 

機会

 当社における気候変動に関する機会は、CO2排出量の少ない物件の競争力が上昇し、環境認証取得物件の評価向上や集約型で移動距離削減にも寄与し、エネルギーの地産地消や幅広い世代が共存して質の高い生活ができるようなまちづくりの複合開発の機会が拡大する可能性や、気象災害が激甚化することに伴い災害に強い物件の販売機会が拡大する可能性があります。また、環境配慮型の融資の獲得などにより資金調達コストが低減することや自社の脱炭素への取組みが投資家に評価され、株価上昇要因になることが考えられます。

 当社は、マンションデベロッパーとして、ZEHデベロッパーへの登録を行っており、年間1棟を目標に「ZEH -M(マンション)」の導入、より環境に配慮したマンション開発に取り組んでいます。また、子会社である株式会社エスコンホーム及び株式会社エスコンクラフトにおいて、2020年度以降のZEH普及を50%とする目標を策定し、ZEHビルダーの登録が完了し、目標達成に向け、環境に配慮した住宅を提供してまいります。環境認証取得については、子会社である株式会社エスコンアセットマネジメントを資産運用業務受託者とするエスコンジャパンリート投資法人が保有する地域密着型商業施設が、DBJ Green Building認証を取得しており、今後もこうした認証取得不動産の開発に取り組んでまいります。

 

住宅分譲事業、不動産開発事業及び不動産賃貸事業に2030年までに影響を与える重要なリスク

分類

外部環境の変化

当社にとってのリスク

移行

政策・

法規制

炭素税が導入、強化される。

鉄鋼・セメント等の炭素集約度の高い建築資材の調達価格が上昇し、物件施工や保有物件によるCO2排出への課税に伴うコストが増加する。

GHG排出規制の強化や炭素排出枠の設定がされる。既存建築物の環境性能・省エネ改修への要求が高まる。

省エネ設備への投資など低炭素化の対応コストが増加する。保有物件に対する運用・改修コストが増大する。

市場

顧客ニーズが変化し、環境・省エネ性能への要求が高まる。

ZEH、ZEBに対応していない物件が顧客から選ばれなくなり、空室率の上昇、成約率、賃料、販売価格が低下する。

評判

投資家・金融機関からの不動産に対する脱炭素化への圧力が高まる。

保有不動産や販売不動産の脱炭素化が進んでいないことにより、資金調達コストが増加する。自社の脱炭素化の取組みが投資家の期待に応えられないことにより、株価に影響を与える。

物理

急性

気象災害が激甚化する。

開発中の不動産の現場作業が中断し、工期が遅延する。

災害が発生しやすい地域に立地している保有物件については、災害に伴い物件の破損、設備故障、機能停止が生じ、修繕費用の発生や被害による評判低下で空室率の上昇などが起こりうる。また、商業施設での災害による人的被害が発生した場合に企業としての責任を問われる展開にもなりうる。

 

 

 

住宅分譲事業、不動産開発事業及び不動産賃貸事業に2030年までに影響を与える重要な機会

分類

外部環境の変化

当社にとっての機会

製品・サービス

炭素税や建築物のエネルギー基準等の規制が強化される。

低炭素型建築などCO2排出量の少ない物件の競争力が上昇し、環境認証取得建築物の評価が向上する。

市場

コンパクトシティ構想などの地域・都市開発モデルの推進

集約型で移動距離削減にも寄与し、エネルギーの地産地消や幅広い世代が共存して質の高い生活ができるようなまちづくりの複合開発の機会が拡大する。

脱炭素関連の投融資が拡大し、脱炭素への取組みに対する投資家の評価が高まる。

自社の脱炭素への取組みが金融機関に評価され、環境配慮型の融資の獲得などにより資金調達コストが低減する。また、投資家からの評価向上で株価上昇要因になる。

レジリエンス

気象災害が激甚化する。

気象災害が生じやすい地域にある物件について、災害に強い物件の販売機会が拡大する。また、災害発生時の地域の復旧拠点としての役割を担うことができることで、地域住民や顧客の支持の獲得につながり、テナントの空室率の低下につながる。

 

(エ)財務影響評価

 入手可能な定量データを踏まえ、2030年に住宅分譲事業、不動産開発事業及び不動産賃貸事業に与える財務インパクトを試算しました。定量的な財務評価が難しいものについては定性的な評価を行いました。

 財務へのマイナスの影響としては、1.5℃シナリオにおいて、炭素税の導入やエネルギー基準等の規制強化に伴う低炭素化のための設備投資などの対応コストの増加、保有物件の運用・改修コストの増大、資金調達コストや株価への影響が大きくなると評価しました。一方で、プラスの影響としては、1.5℃シナリオにおいて、集約型で移動距離削減にも寄与し、エネルギーの地産地消や幅広い世代が共存して質の高い生活ができるようなまちづくりの複合開発の収益機会拡大や脱炭素への取組みが評価されることによる資金調達コストや株価への影響が大きくなると評価しました。

 1.5℃シナリオ/3℃シナリオ共通では、気象災害の激甚化による開発中物件の工期遅延による建築コスト増加、災害に伴う物件の修繕費用の発生、被災による評判低下で空室率の上昇、商業施設での災害による人的被害が発生した場合の賠償の影響が大きくなると評価しました。

 

 

分類

当社にとってのリスク・機会

財務影響

財務影響の評価結果

3℃

シナリオ

1.5℃

シナリオ

移行

リスク

政策・法規制

鉄鋼・セメント等の炭素集約度の高い建築資材の調達価格が上昇し、物件施工や保有物件によるCO2排出等への課税に伴うコストが増加する。

・資材調達費用の増加

・CO2排出量に関わる費用の増加

省エネ設備への投資など低炭素化の対応コストが増加する。また、保有物件に対する運用・改修コストが増大する。

・設備投資、改修等のコストの増加

市場

ZEH、ZEBに対応していない物件が顧客から選ばれなくなり、空室率の上昇、成約率、賃料、販売価格が低下する。

・賃料、販売価格の低下による売上の減少

評判

保有不動産や販売不動産の脱炭素化が進んでいないことにより、資金調達コストが増加する。自社の脱炭素化の取組みが投資家の期待に応えられないことにより、株価に影響を与える。

・資金調達コストの増加

物理

リスク

急性

開発中の不動産の現場作業が中断し、工期が遅延する。

・建築費用の増加

災害が発生しやすい地域に立地している保有物件では、災害に伴い物件の破損、設備故障、機能停止が生じ、修繕費用の発生や被害による評判の低下で空室率の上昇などが起こりうる。また、商業施設での災害による人的被害が発生した場合に企業としての責任を問われうる。

・修繕費用の発生

・空室率の上昇による売上の減少

・賠償費用の発生

機会

製品・

サービス

CO2排出量の少ない物件の競争力が上昇し、環境認証取得建築物の評価が向上する。

・物件の競争力向上に伴う売上の増加

市場

集約型で移動距離削減にも寄与し、エネルギーの地産地消や幅広い世代が共存して質の高い生活ができるようなまちづくりの複合開発の機会が拡大する。

・複合開発の機会拡大による売上の増加

自社の脱炭素への取組みが金融機関に評価され、環境配慮型の融資の獲得などにより資金調達コストが低減する。また、自社の脱炭素への取組みが投資家に評価され、株価上昇要因になる。

・資金調達コストの低下

レジリエンス

気象災害が生じやすい地域では、災害に強い物件の販売機会が拡大する。また、災害発生時の地域の復旧拠点としての役割を担うことができることで、地域住民や顧客の支持の獲得につながり、テナントの空室率の低下につながる。

・物件の販売機会拡大、テナントの空室率の低下による売上の増加

財務影響評価の程度を以下の通り区分しています。

大:売上高の10%超、中:売上高の3%~10%、小:売上高の3%未満

定量的なデータが入手困難なリスク・機会については、定性的な分析としています。

 

 

(オ)シナリオ分析を踏まえた戦略

対応策例

a.ZEHマンションの開発推進

・2026年を目途に全ての新築分譲マンションについてZEH水準の環境性能を実現していく。

 

b.再生可能エネルギーの積極的な活用

・物流施設や商業施設での積極的な太陽光発電導入

・非化石証書の安定的な確保・調達

・中部電力グループと協調した取り組みの推進

・「まちづくり×環境配慮」の取り組み可能性の模索

 

c.グループ全体で「現場レベル」での行動(社員意識の浸透・定着)

・早期退社の推奨やこまめな消灯の実施等による電力使用量の削減

・販売促進活動のWEB化等によるペーパーレスの推進

・省エネ性能の高い自動車の活用

・「ESG経営レポート」における年次での定量実績等の開示

 

③人的資本多様性

 当社グループは、『多様な人材の活用』をマテリアリティの一つとして掲げています。「成長を支える人材の確保」「人材育成の強化」「社員の安全・健康の推進」を三位一体で進め、強固な人材基盤を構築してまいります。

(ア)人材の育成に関する方針(人材の多様性の確保を含む)

a. 人材育成の強化(育成基本方針)

 当社グループは、「人材育成の強化」を図るため、2023年に人材育成に関する「基本方針<全社員に適用される人材要件>」を制定し、当該育成方針の全社的浸透を促進しています。また、当該育成方針に連動する新卒・中途入社時の研修や職位・役割に応じた階層別研修、E‐ラーニング、各部署でのOJTを通して教育を実施することで、将来の事業成長を支える人材の育成を図っています。

 

基本方針

DNA(価値観)の継承

お客様本位、社会に貢献できるモノづくり・事業を意識し、常に感謝の気持ちを持って仕事に取り組む。

高い志・使命感

仕事を通じて社会的責任を果たす使命感を持っている。

誠実性、聡明さ、気力・体力

誠実かつ聡明、日々の多岐にわたる業務を担うだけの十分な気力と体力。

卓越したリーダーシップ

情熱・想いと数字への意識を常に持ち、人を巻き込み事業・業務を推進する。

先見性・戦略性

常に研鑽し、外部環境の変化に対応する鋭敏さを持つ。

人脈・コミュニケーション力

社内外問わずコミュニケーションをとり、信用信頼され豊かな人間関係を構築する。

革新的な経験

業界の新たなビジネスモデルへの探求心、革新的な事業を実現しようとする努力・挑戦。

 

b.人材の多様性確保

 当社グループは、「成長を支える人材の確保」を目的として、育児や介護を行う社員が家庭と仕事を両立できるよう支援するとともに、女性を含む全ての人材が継続就業し、活躍できる環境を構築すべく、様々な施策を実施しております。さらに、豊富な経験を有するシニア社員が定年後も嘱託社員として継続して就労することができるよう再雇用制度を整備し、また、障がい者や中途入社者も積極的に雇用することで、多様な人材を確保できるよう取り組んでおります。

 

 

(イ)社内環境整備に関する方針

a.社員エンゲージメントの向上

 当社グループのエンゲージメントを視覚化し、組織としての当社グループの強み・弱みを客観的に「見える化(定量的な把握)」をすべく、2024年5月に全社員を対象とするエンゲージメントサーベイを実施しました。結果については経営層レベルで把握共有し、エンゲージメント向上に向けた改善施策を推進しています。

 今後も、定期的に調査・確認することで、有用な人事施策の実施に繋げてまいります。

 

b.人権尊重への取組み

 当社グループは、国際社会における企業の人権尊重の取り組みに対する要請の一層の高まりを踏まえ、当社グループの事業活動に関わる全ての方々の人権尊重に取り組んでいます。中部電力グループが定める「中部電力グループ人権基本方針(2023年7月)」においても、人権に関する国際規範の支持・尊重や、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の実践に努めることが記されており、人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や、社員への教育・研修の実施等、人権尊重に向けた取り組みを着実に推進します。

 

c.健康経営の推進

 当社グループは、社員の健康保持・増進に取り組むことは労働活力や生産性の向上につながり、事業運営においても良い効果をもたらすと考えています。当社グループは、「社員の安全・健康の推進」のため、2021年7月に健康文化醸成チームを設立し、社員の健康保持・増進に資する施策を検討することで、健康経営の実現に取り組んでいます。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関連するリスク及び機会を適切に識別・評価し、管理することが重要であると認識しております。サステナビリティに関連する中長期で顕在化しうるリスク及び機会も適切にマネジメントすることで、企業価値の持続的な向上を図ります。

 

①リスクを識別・評価・管理する過程

(ア)リスクの識別

 経営企画本部長とサステナビリティ推進部長が、毎週開催されている取締役と部門責任者による定例会議に出席し、案件やプロジェクト等を精査する過程において、関係法令の遵守や省エネ対応関連のコスト、人員面の課題などを確認することで、サステナビリティに関するリスクの識別を行っています。また、「ESG推進担当部」における月1回の定例会議においても、各チームからの報告をふまえて、サステナビリティに関するリスクを識別しています。

 

(イ)リスクの評価

 取締役と部門責任者による定例会議および「ESG推進担当部」における月1回の定例会議において、識別したリスクを評価しています。また、当社グループの組織横断的リスク状況の監視および全社的情報共有は、「リスク管理委員会」にて行っているため、サステナビリティ関連の重要と判断したリスクに関しても、サステナビリティ推進部からリスク管理委員会へ連携しています。

 リスク管理委員会においては、識別したリスクの「影響度」「発生頻度」「対策の実施状況」「リスク低減の余地」「リスク対策の方向性」を基準に審議(評価)し、「リスク管理一覧」に反映しています。また、各サステナビリティに関するリスクへの対策を策定することで、全社的なリスク管理プロセスへと統合いたします。

 

(ウ)リスクの管理

 毎週開催されている取締役と部門責任者による定例会議において、サステナビリティに関する最新の動向や社会情勢をふまえ、識別したリスクの継続的なモニタリングを実施しています。

 また、リスク管理委員会では、原則として半年に1回以上の頻度でリスク管理一覧記載のリスクの見直しを検討し、リスク状況(識別・評価)の定期的な管理を行っています。また、リスク管理委員会で審議された内容は取締役会へ報告されます。取締役会では、当社のリスク管理の取組みに関する重要事項の決定を行うとともに、サステナビリティに関するリスクを含む重要なリスク管理に関する報告を受けております。

 

 

②機会を識別・評価・管理する過程

(ア)機会の識別

 サステナビリティ推進部に所属する担当者が、親会社である中部電力が主催するグループ会社向けの会議などに参加し、脱炭素やエネルギーの戦略的な動向を確認しています。それらの動向をふまえ、毎週開催されている取締役と部門責任者による定例会議や「ESG推進担当部」における月1回の定例会議などで共有することで、サステナビリティに関する機会を識別しています。

 

(イ)機会の評価

 識別した潜在・顕在機会については、各定例会議にて不動産事業における役割やビジネスチャンスを評価しています。特に、親会社が主導するエネルギーマネジメント等のサービスが、当社の開発事業の拡大に寄与する可能性があるため、サステナビリティ推進部として連携に努めております。

 

(ウ)機会の管理

 毎週開催されている取締役と部門責任者による定例会議において、サステナビリティに関する最新の動向や社会情勢をふまえ、識別した機会の継続的なモニタリングを実施しています。今後、識別・評価した機会を具体的な行動計画に反映し、さらに適正な管理に繋げていくようにいたします。

 

(4)指標及び目標

①マテリアリティに関連する指標及び目標

 当社グループは、特定したサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)について優先的に取り組んでおり、各マテリアリティに対応する指標及び目標を定め、取組み状況のモニタリングをしています。当社グループのマテリアリティに関連する指標及び目標は次のとおりです。

マテリアリティ

指標の内容

目標

達成年度

2024年度実績

コンプライアンスの徹底

中部電力と協調した

コンプライアンス

推進施策の実施

研修・教育

を実施

毎年度

中部電力と協調した研修・講演会を実施

(すべて受講率:100%)

コンプライアンス

研修受講率

100%

毎年度

100%

グループ会社を含むガバナンス・リスク管理の強化

取締役会の実効性向上

と継続的な改善

確実な

向上・改善

毎年度

提出会社

取締役会に関する

実効性確認アンケートを実施

連結子会社

提出会社の担当部署が

各子会社の取締役会に

オブザーバーとして参加

ウェルビーイングな社会の実現

環境・社会に配慮したまちづくりの推進による地域活性化・暮らしやすさ向上への寄与

毎年度

寄与

2030年度

総合施設開発

「SAKURA MIRAI SHIN ŌMURA」

(地域活性化に向けたまちづくりプロジェクト)

JR北広島駅周辺開発における

「記憶継承家具製作プロジェクト」

 

 

 

②気候変動

 当社グループは、TCFDの提言する情報開示フレームワークに基づき、マテリアリティの一つである「脱炭素社会の実現」に関連する指標としてScope3を含むGHG排出量実績を設定しており、2030年度の達成目標としてScope1及びScope2を対象とする削減目標を設定しております。なお、当社グループにおけるGHG排出量実績の算定体制を整備中のため、2025年3月現在時点の実績算定対象範囲は当社のみとなりますが、2025年4月以降、順次、当社グループの主要子会社にも対象範囲を拡大し、GHG排出量の削減目標を達成するための各種施策を検討してまいります。

 

指標

(ア)Scope1・2のGHG排出量実績

(単位:t-CO2)

項目

2022年度

(基準年)

2023年度

Scope1

3,230

1,977

Scope2

8,155

9,703

Scope1・2合計

11,386

11,680

※1 2022年度の対象期間は2022年1月~2022年12月、2023年度の対象期間は2023年4月~2024年3月

※2 2024年度のGHG排出量実績については、2025年9月に公表予定

 

(イ)Scope3のGHG排出量実績

(単位:t-CO2)

項目

2022年度

2023年度

1:購入した製品・サービス

126,470

127,853

2:資本財

1,848

351

3:Scope1,2に含まれない燃料

    及びエネルギー関連活動

2,423

2,431

4:輸送、配送(上流)

5:事業から出る廃棄物

2

3

6:出張

430

623

7:雇用者の通勤

78

93

8:リース資産(上流)

9:輸送、配送(下流)

10:販売した製品の加工

11:販売した製品の使用

659,599

523,281

12:販売した製品の廃棄

104

81

13:リース資産(下流)

15,284

16,563

14:フランチャイズ

15:投資

合計

806,238

671,278

※1 2022年度の対象期間は2022年1月~2022年12月、2023年度の対象期間は2023年4月~2024年3月

※2 2024年度のGHG排出量実績については、2025年9月に公表予定

 

目標

 当社グループの脱炭素目標は、グループ全体の温室効果ガス排出量(※)を2030年度までに40%削減(2022年度対比)となります。

※Scope1・2が対象。Scope3については今後検討。

 

 

③人的資本多様性

(ア)人材の育成に関する方針(人材の多様性の確保を含む)

 「人材の多様性確保」については、次世代育成支援対策推進法及び女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画の中で、次のとおり2つの指標及び目標を定めております。なお、一般事業主行動計画は法人単位で策定することが定められており、当社の連結子会社はいずれも常時雇用する労働者数が100人以下で、一般事業主行動計画の策定が義務付けられていないため、「人材の多様性確保」に関する指標及び目標については、当社のみを対象とした内容を記載しています。

方針の内容

マテリアリティ

指標の内容

目標

達成年度

実績

a

人材育成の強化

(育成基本方針)

2025年4月25日に設置いたしましたサステナビリティ推進委員会にて検討を進め、指標及び目標を設定予定となります。

b

人材の

多様性確保

多様な人材

の活用

採用者に占める

女性の割合

35以上

毎年度

30.8

(2024年度)

男性の育児休業取得率と

育児休暇取得率の合計

50以上

2024年度

(過去2年度実績)

75% ※

※一般事業主行動計画の計画期間(2023年1月1日~2025年3月31日)の実績となります。

 

(イ)社内環境整備に関する方針

 当社グループは、「社員エンゲージメント」に関する指標として「エンゲージメントサーベイのスコア」を定め、2030年度の評価ランクを確実に向上することを目標としています。

 また、「健康経営の推進」については、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定継続をその指標及び目標としています。当社は、経済産業省が実施している健康経営度調査に毎年度回答しており、2023年以降、3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。なお、健康経営度調査では当社のみの状況を回答しているため、当社のみを対象として指標及び目標を設定しております。

方針の内容

マテリアリティ

指標の内容

目標

達成年度

2024年度

実績

a

社員

エンゲージメント

多様な人材

の活用

エンゲージメント

サーベイのスコア

サーベイ開始(2024年度)からの確実な向上

2030年度

グループ全体

ランク:B

(注)

b

人権尊重

への取組み

人権研修受講率

100

毎年度

100

c

健康経営の推進

多様な人材

の活用

健康経営優良法人

(大規模優良法人部門)

認定

毎年度

認定継続

毎年度

認定取得

(注) リンクアンドモチベーション社が提供するエンゲージメントサーベイ

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載しております第2 事業の状況、第5 経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済情勢、金利動向、不動産市況等の変動による影響について

 住宅分譲事業及び不動産開発事業においては、優良な事業用地を厳選して取得し、その立地特性を最大限に活かした開発を行い、価格の優位性を含め魅力ある商品を提供しております。物件の販売を行う上で、物件別の事業計画において様々な面を考慮し価格帯を慎重に検討しておりますが、建築費の高騰、景気動向、経済情勢、金利、税制、地価の動向等による需給のバランスの悪化等によって、事業計画において決定した価格での販売が計画どおりに進まない場合、又は予想し得ない地中障害等の瑕疵、建築段階における施工不良等、各種要因により引渡時期の遅延や計画予定外のコスト負担が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、不動産賃貸事業についても、景気動向、経済情勢等の影響もしくは、商業施設における主要テナントの退去及び利用状況等によっては、賃料下落や保有資産の稼働率が低下することもあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制等について

 会社法や金融商品取引法の規制のほか、当社グループが属する不動産業界では、「国土利用計画法」、「宅地建物取引業法」、「建築基準法」、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」、「不動産特定共同事業法」、「資産の流動化に関する法律」、「信託業法」、「貸金業法」、「犯罪収益移転防止法」等により法的規制を受けております。

 また、当社グループは、不動産業者として、「宅地建物取引業法」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」等に基づく免許を受け又は登録を行い、不動産販売及び関連事業を行っておりますが、これらの改廃や「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」等、法的規制の新設によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

なお、当社グループが取得している許認可、免許及び登録等の状況は以下のとおりであります。

 (株式会社日本エスコン)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

国土交通省

国土交通大臣免許

(5)第6034号

2020年7月7日から

2025年7月6日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

建設業許可

(大阪府知事

-特定)建築

大阪府

大阪府知事許可

(特-6)

第123824号

2025年3月11日から

2030年3月10日まで

管理責任者不在等の要件欠如に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

一級建築士

事務所登録

(①大阪)

(②東京)

①大阪府

 

②東京都

①大阪府知事登録

(ホ)第18579号

②東京都知事登録

第48798号

①2020年7月31日から

 2025年7月30日まで

②2023年6月10日から

 2028年6月9日まで

不正な手段による登録の取得や役員の欠格条項違反に該当した場合は登録の抹消(建築士法第23条の8)

不動産特定

共同事業

金融庁

国土交通省

金融庁長官・

国土交通大臣

第47号

2006年9月20日取得

期間の定め無し

不正な手段による許可の取得や定められた資本金等の額が定められた額を満たさなくなった等の不適合となった場合は許可の取消(不動産特定共同事業法第36条)

金融商品取引業

(第二種金融商品取引業)

金融庁

関東財務局長

(金商)

第3018号

2017年10月10日取得

期間の定め無し

不正な手段による登録や資本金不足、業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消(金融商品取引法第52条)

貸金業登録

 

 

東京都

東京都知事登録

(2)第31813号

 

2023年9月1日から

2026年8月31日まで

不正な手段による登録や名義貸し行為に該当したり役員の所在を確知出来ない場合は登録の取消(貸金業法第24条)

 

 (株式会社エスコンプロパティ)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

国土交通省

国土交通大臣免許

(3)第8527号

2023年10月26日から

2028年10月25日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 (株式会社エスコンアセットマネジメント)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

東京都

東京都知事

(3)第97008号

2024年9月13日から

2029年9月12日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

取引一任

代理等認可

国土交通省

国土交通大臣認可

第105号

2016年3月30日取得

期間の定め無し

不正な手段による認可の取得や業務に関し取引の関係者に損害を与え情状が特に重い場合は認可の取消(宅地建物取引業法第67条の2)

金融商品取引業

(投資運用業)

金融庁

関東財務局長

(金商)

第2825号

2016年8月25日取得

期間の定め無し

不正な手段による登録や資本金不足、業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消(金融商品取引法第52条)

 

 

 (株式会社エスコンリビングサービス)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

国土交通省

国土交通大臣免許

(2)第9381号

2023年6月30日から

2028年6月29日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

マンション管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理業者登録

国土交通省

国土交通大臣

(2)第034245号

2021年10月5日から

2026年10月4日まで

不正な手段による登録の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第83条)

建設業許可

(大阪府知事

-特定)建築

大阪府

大阪府知事許可

(特-4)

第158526号

2022年9月2日から

2027年9月1日まで

管理責任者不在等の要件欠如に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

 

 (株式会社エスコンホーム)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

埼玉県

埼玉県知事

(2)第24114号

2024年12月25日から

2029年12月24日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 (株式会社エスコンクラフト)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

建設業許可

(埼玉県知事

-一般)建築

埼玉県

埼玉県知事許可

(般-7)

第59652号

2025年4月4日から

2030年4月3日まで

管理責任者不在等の要件欠如に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

二級建築士

事務所登録

埼玉県

埼玉県知事登録

(1)第11584号

2021年3月30日から

2026年3月29日まで

不正な手段による登録の取得や役員の欠格条項違反に該当した場合は登録の抹消(建築士法第23条の8)

 

 (株式会社ピカソ)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

大阪府

大阪府知事

(1)第63029号

2021年10月1日から

2026年9月30日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

賃貸住宅管理業

国土交通省

国土交通大臣

(01)第005122号

2022年5月14日から

2027年5月13日まで

不正の手段により登録を受けた場合は登録取消(賃貸住宅管理業法第23条)

 

 (優木産業株式会社)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

大阪府

大阪府知事

(6)第44897号

2021年11月21日から

2026年11月20日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 

 

 (FUEL株式会社)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

東京都

東京都知事

(1)第108078号

2022年7月16日から

2027年7月15日まで

 

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

金融商品取引業

(第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)

金融庁

関東財務局長

(金商)

第2123号

(第二種金融商品取引業)

2009年1月26日取得

(投資助言・代理業)

2023年10月5日取得

期間の定め無し

不正な手段による登録や資本金不足、業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消(金融商品取引法第52条)

 

 (株式会社四条大宮ビル)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

京都府

京都府知事

(1)第14795号

2024年3月8日から

2029年3月7日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 (株式会社エスコンスポーツ&エンターテイメント)

許認可等の

名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

宅地建物

取引業免許

東京都

東京都知事

(1)第111489号

2024年10月19日から

2029年10月18日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

(3)有利子負債への依存等について

 当社グループは、不動産事業に係る用地取得費等については、主にプロジェクトファイナンス等の金融機関からの借入金によって調達しており、また、分譲マンション事業においては、用地取得から事業化又は売却までに時間を要し、有利子負債残高が総資産に対して高い割合となっております。当社グループとしては、主力行をはじめとする金融機関との良好な取引関係の構築・維持に努めるとともに、中部電力の連結子会社となったことを契機に機動的な資金調達環境を構築しておりますが、調達金利の上昇や金融環境の大幅な悪化等により、資金調達が不十分あるいは不調に至ったときには、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、最近3連結会計年度における有利子負債等の状況は次のとおりであります。

 

 

2022年12月期

2024年3月期

2025年3月期

 有利子負債残高(百万円)

(A)

169,065

293,794

336,394

 総資産額(百万円)

(B)

263,729

399,696

459,847

 有利子負債依存度(%)

(A/B)

64.1

73.5

73.2

 支払利息(百万円)

 

1,895

2,650

3,685

 

(4)人材について

 当社グループが推進する不動産に係る事業については様々なノウハウを要する業務であり、人材は極めて重要な経営資源であります。そのため、当社グループは、「成長を支える人材の確保」「人材育成の強化」「社員の安全・健康の推進」を三位一体で進め、強固な人材基盤を構築していくことを中長期の戦略として掲げております。当社グループが確実な事業推進と企業成長をしていくためには、ノウハウ・情報の共有化、従業員の継続的な能力の向上に努めるとともに、専門性の高い人材の確保やマネジメント層並びに次世代を担う若手社員の採用及び育成・教育が不可欠であります。しかしながら、当社グループが求める人材の確保や育成が十分できない場合、あるいは現時点における有能な人材が社外流出した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)個人情報等の漏洩及び情報システムに関するリスクについて

 当社グループの各社は、分譲マンション及び分譲戸建住宅をご購入もしくはご検討いただいたお客様、あるいは賃貸マンションに居住されるお客様をはじめ、納骨堂事業において永代使用権をご購入もしくはご検討いただいたお客様等、多角的に事業を展開するにあたり各事業におけるお客様・取引先等の皆様から個人情報をお預かりしており、「個人情報の保護に関する法律」に定められている個人情報取扱事業者であります。当社グループでは、個人情報の取扱いに関するルール(基本方針・規程・マニュアル)を設け、体制整備を行い、また、社内システムにおいては、個人データのファイル保管の厳重化、監視ソフトの導入、アクセス権限の制限等を行っており、個人情報以外の情報の取扱いも含めて情報管理全般にわたる体制強化を行っております。

 また、当社はマンションの販売にあたり販売業者にその販売を一部委託しておりますが、お客様の個人情報が他者に流出することのないよう、これらの販売業者には当社の管理システムを一部使用させ機密性の維持を図るとともに、お客様からご提出いただいた個人情報の目的外利用を禁じる等の監督を行っております。

 近年のサイバー攻撃の手口は極めて高度化・巧妙化しており、当社もサイバーセキュリティ上の脅威と無縁ではありませんが、システムリスクを最小化すべく、最新のセキュリティツールを導入する事でシステム面での対策強化を図るとともに、定期的に社員へのセキュリティ教育を行うことにより、総合的なセキュリティの強化を実施しております。

 しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部へ漏洩するような事態となった場合、当社グループの信用失墜による売上の減少、又は、損害賠償による費用発生の可能性も考えられ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)重要な訴訟について

 訴訟等の対象となるリスクについては、取締役及び各部署長等で構成されるリスク管理委員会においてリスク状況の監視及び全社的情報共有をしております。将来、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)気候変動に係るリスクについて

 今後気象災害等が増加する社会が想定され、気候変動による事業継続のリスクが高まり当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 2022年に、「気候変動が事業にもたらすリスクや機会を分析するとともに、その情報開示を推進する」というTCFD提言へ賛同を表明し、気候変動が当社事業にもたらす影響について、TCFDの枠組みに基づき情報開示を行っております。

 内容の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

(8)法令違反によるリスクについて

 当社グループが事業を行う上で関連する法令(会社法、宅地建物取引業法、建設業法、建築士法、金融商品取引法、投資信託及び投資法人に関する法律、個人情報保護法、貸金業法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律、下請代金支払遅延等防止法、労働基準法、職業安定法、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律等)に対し、当社グループ及び当社役職員が違反することで、関係当局から行政処分等を受ける場合があります。この場合、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償の発生等により、当社グループの財政状態、経営成績及び市場での評価等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)M&Aに関するリスクについて

 当社グループでは、戦略的なM&Aの実施により、事業領域の拡大及び収益構造の転換を図り、持続的な成長を推進していくこととしております。しかしながら、今後、当社グループの事業戦略に合致する適切な対象企業候補が見つかり、当該対象企業候補との間で、適切な条件でM&Aを実施できる保証はありません。また、実施に際しては、事前に対象企業の財務内容や事業内容について十分な検討を実施しておりますが、当初想定した事業計画が予定どおり進捗しない場合には、のれんの減損処理等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 また、当社グループは前連結会計年度に実施した決算期変更に伴い、前連結会計年度は15ヶ月の変則決算となっております。このため、前年同期との比較は行っておりません。

 

 当連結会計年度におけるわが国経済は、実質賃金の回復や先行きの賃金改善への期待等から、内需を中心に景気の緩やかな回復基調が続いております。

 一方で、物価上昇や為替の変動、金利の上昇、国外においては、米国新大統領の政策動向、中国経済の動向や中東情勢等の地政学リスクの高まり等に注視する必要があります。

 当社グループが属する不動産業界においては、土地取得価格や人件費・原材料の高騰による建築費の上昇が引き続き懸念され、マーケットに与える影響を注視すべき状況が続いております。

 なお、今回の米国の関税措置による国内の不動産マーケットへの直接的な影響は、現時点においては軽微であると認識しております。

 このような先行きが不透明な環境の中、第5次中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期までの3ヶ年を対象)の初年度である当連結会計年度の経営成績は、主に主力事業である分譲マンション販売及び不動産開発事業の物件売却が堅調に進捗し、売上高113,603百万円(当初計画比3.7%減)、営業利益21,311百万円(同18.4%増)及び経常利益17,320百万円(同15.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は11,193百万円(同11.9%増)となりました。15ヶ月決算であった前連結会計年度と同水準の売上高を維持し、各段階利益は期初計画を上回る着地となりました。

 

①第5次中期経営計画の上方修正

 2025年3月期の業績結果は、住宅分譲事業における分譲マンションの販売及び不動産開発事業の物件売却が順調に進捗し、営業利益は当初計画より上回る着地となりました。2026年3月期及び2027年3月期についても、引き続き安定的な成長が見込めることに加え、投資計画の進捗による不動産開発事業の物件売却見込みの積み上がり等により、「第5次中期経営計画」における2026年3月期の連結営業利益を、当初計画200億円から230億円へ、2027年3月期の同営業利益を220億円から250億円へ上方修正いたします。

 また、2025年3月期の投資実績が計画値を上回る実績となったことを踏まえ、2026年3月期及び2027年3月期の計画値を修正しておりますが、3ヶ年累計のグロス投資額計画値に変更はありません。

 

(ア)業績計画

(単位:億円)

 

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

 

実績

計画

増減

増減率

修正計画

当初計画

修正計画

当初計画

売上高

1,136

1,180

△43

△3.7%

1,330

1,330

1,500

1,570

営業利益

213

180

33

18.4%

230

200

250

220

 

 

 

(イ)経営目標

 

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

実績

計画

増減

計画

計画

ストック収益割合(注)1.2

26.2%

30.4%

△4.2%

28.2%

30.0%

ストック収益/一般管理費

カバー率(キャッシュベース)

(注)3

115.2%

119.0%

△3.8%

114.2%

116.8%

自己資本比率

17.2%

17.5%

△0.3%

17.6%

17.5%

ROE

14.8%

13.4%

1.4%

13.9%

14.0%

ROIC(注)4

3.5%

3.4%

0.1%

3.5%

3.6%

(注)1 ストック収益:不動産賃貸セグメント利益+資産管理セグメント利益

2 ストック収益割合:ストック収益/セグメント利益合計

3 ストック収益/一般管理費カバー率:(ストック収益+不動産賃貸セグメントの減価償却費+不動産賃貸セグメントののれん償却額)/(一般管理費-一般管理費の減価償却費-全体ののれん償却額)

4 ROIC:(連結経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)/(「有利子負債+純資産」の期首期末平均)

 

(ウ)投資計画

(単位:億円)

 

第5次中期経営計画

 

2025年

3月期

2026年

3月期

2027年

3月期

3ヶ年累計

実績

計画

増減

修正計画

当初計画

修正計画

当初計画

グロス投資額 計

720

610

110

660

770

1,120

1,120

2,500

 

分譲マンション開発

161

200

△39

200

200

250

250

611

 

収益物件開発

427

200

227

200

300

500

500

1,127

 

稼動中収益物件取得

78

150

△72

200

200

300

300

578

 

海外投資

54

50

4

60

60

60

60

174

 

その他

0

10

△10

0

10

10

10

10

回収額

220

284

△64

325

308

400

417

945

 

内、収益物件

84

121

△37

144

142

277

242

505

ネット投資額

500

326

174

335

462

720

703

1,555

(注)2025年3月期の順調な投資計画が第5次中期経営計画策定時よりも進捗したことにより、2026年3月期及び2027年3月期の投資計画を一部変更しております。

 

(エ)配当政策

 2016年11月より配当政策の方針として導入していた累進的配当政策(1株当たりの配当額を前年度の1株当たり配当額(DPS)を下限とし、原則「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」とする配当政策)について、「第5次中期経営計画」においても引き続き継続しています。

 2025年3月期の1株当たり配当は48円を予定しております。

 

②「長期ビジョン2030」の重点テーマに基づく、直近の主な取り組み

 当社グループは、2030年に向けた長期ビジョンを策定しサステナブルな成長を目指しております。2024年9月には、持続的な成長プロセスや、これまでいかにして価値を創出してきたのかについてまとめた統合報告書を、当社として初めて発行いたしました。財務指標だけでは測れない企業価値向上に向けた取り組みを様々な観点から掲載しております。

 

 

≪事業戦略≫

① 深化

ア.主力事業のさらなる成長

・当社がネーミングライツ契約を締結している、北海道日本ハムファイターズのホーム球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(北海道北広島市)」は、2023年に開業し今年3年目を迎えます。当社は球場を核とした「北海道ボールパークFビレッジ(以下、「Fビレッジ」といいます。)」のまちづくり構想に参画しており、「レ・ジェイド北海道ボールパーク(総戸数118戸)」や、メディカルモールを併設したアクティブシニア向けの賃貸レジデンス「マスターズヴェラス北海道ボールパーク」を開発しております。さらに、球場の外野スタンド側から通路を挟んだ対面地に、シンガポールに拠点を置く世界有数の独立系ホスピタリティグループ「バンヤン・グループ」のブランドホテルを誘致し、2027年開業に向けて開発を進めております。

 Fビレッジの現在の最寄り駅であるJR北広島駅周辺においても、「駅前広場」「複合交流拠点施設」「立体的広場・公園」「居住交流施設」の開発を推進しております。「複合交流拠点施設」の1階から3階に、商業施設「tonarie北広島」が2025年3月15日にグランドオープンし、4階以上には「エスコンフィールドHOKKAIDOホテル 北広島駅前」が同年3月28日に開業しました。さらに、北広島駅及び「tonarie北広島」とペデストリアンデッキで繋がる計画の「レ・ジェイド北海道北広島(北海道北広島市、総戸数197戸)」について、2024年6月から販売を開始し、2025年3月末時点で契約進捗率が88.3%と順調に販売が進捗しております。

 札幌市内においても、「さっぽろ」駅徒歩6分の立地において「レ・ジェイド札幌大通ザ・タワー(札幌市中央区、総戸数80戸)」の販売を2024年11月から開始しております。その他、2026年7月に開業予定のホテル「ランドーホテル札幌ヘリテージ(札幌市中央区)」やオフィス用地を取得しており、開発を推進しております。

・神奈川県三浦郡葉山町において2つの用地を取得しております。その一つは「森戸海岸」が眼前に広がる希少性の高い立地において、当社のハイエンドレジデンスブランド「DIAMAS(ディアマス)」の第1号物件である「DIAMAS葉山」を開発しております。同物件は、全戸100㎡を超える広々とした専有部や、海を一望できる屋上テラスを設ける等の企画が評価され早期契約完売、2025年7月に引渡し予定です。

・長崎県大村市の西九州新幹線「新大村」駅周辺において、大和ハウス工業株式会社、株式会社イズミとともに複合施設「SAKURA MIRAI SHIN OMURA(サクラミライ新大村)」の開発を行っております。当社は開発街区のうち2区画において、「レ・ジェイド新大村ステーションフロント(総戸数119戸)」及び「レ・ジェイド新大村パークサイド(同72戸)」の2棟の分譲マンション開発を進めており、2棟ともに外観は水平、垂直方向だけの床や壁で構成するのではなく、樹木が成長していく過程で屈折しながら上へと伸びる様を彷彿とさせる有機的なデザインとし、周辺の豊かな自然との調和を図る商品企画を行っております。

・愛知県刈谷市において、約3万坪の大型開発用地を2024年9月に取得いたしました。幹線道路に近接し、車の利便性に優れた当該事業用地において、複合商業施設を開発するまちづくりを行う予定です。

・中部電力株式会社(以下、「中部電力」といいます。)の子会社である中電不動産株式会社(以下、「中電不動産」といいます。)との共同事業である「SEVENS VILLA 軽井沢(総戸数7戸)」、及び当社が手掛けた賃貸レジデンス「TOPAZ江坂」が2024年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。グッドデザイン賞の受賞は7年連続となります。「SEVENS VILLA 軽井沢」は、約5,000㎡超の開発敷地に僅か7邸かつ、全戸100㎡超のゆとりある贅沢な住空間を実現しました。「TOPAZ江坂」は、住民同士が触れ合えるよう、人とのつながりを感じられるコミュニケーションの場を共用部に創るほか、屋外階段やバルコニー手摺の形状にこだわり特徴的な外観デザインに仕上げております。

イ.中部電力グループとのシナジー効果発揮

・中電不動産との共同事業として、5プロジェクト目となる「TSUNAGU GARDEN 千里藤白台(大阪府吹田市)」の開発を行っております。本プロジェクトは、約2万坪の土地に集合住宅、戸建て住宅、クリニックモール、認可保育園、商業施設及び公園を一体開発し、「多世代共生型新街区」として整備する同社と取り組む初の複合開発事業です。区画全体のうち、商業街区は2023年に街びらきをしました。住居街区では、4つの棟からなる大規模な分譲マンション「レ・ジェイドシティ千里藤白台(総戸数642戸)」を開発しております。うち2棟は概ね契約・引渡しが完了しており、残り2棟も順調に販売が進捗しております。

・中部電力との共同事業としては、2つのプロジェクトが進行中です。2022年に、名古屋競馬場跡地の開発事業において、中部電力を代表法人とし、当社も構成メンバーとして参画する事業者グループが当該事業に係る基本計画協定を締結しました。また、中部電力他1社とともに「合同会社TSUNAGU Community Farm」を設立しました。世界最大規模となる1日10トンのレタスを生産できる完全人工光型植物工場「テクノファーム袋井」を稼働させております。引き続き中部電力グループとの連携を強化し、大型まちづくりや「新しいコミュニティの形」の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

 

・中部電力より2023年3月に監査等委員である取締役に1名が就任し、2025年6月に引き続き取締役に1名が就任予定です。また、中部電力の社員が当社子会社の株式会社エスコンアセットマネジメント(以下、「EAM」といいます。)の取締役に2022年より1名、FUEL株式会社(以下、「FUEL」といいます。)の取締役に2024年より1名就任しております。その他、中部電力から合計9名の社員出向受入れや、中電不動産と当社及び当社子会社間においても人事交流を行っております。

・順調な業績拡大に中部電力の信用力が加わり、当社が取得している株式会社日本格付研究所の長期発行体格付「A+」の方向性が、2024年11月に、「安定的」から今後格上げの方向で見直される可能性が高いとされる「ポジティブ」に変更されました。

ウ.収益構造のさらなる安定

・首都圏を中心に不動産賃貸・管理事業等を行う株式会社芝リアルエステート(以下、「芝リアルエステート」といいます。)を2025年4月1日に子会社化しました。芝リアルエステートは、2025年1月17日に設立しており、三菱ケミカル株式会社及びその子会社であるダイヤリックス株式会社が運営する不動産事業の一部を吸収分割し、2025年1月に新設された会社であり、賃貸マンションやオフィスビル等の優良な不動産資産を保有しております。同社の子会社化により、当社グループのストック収益のさらなる強化に寄与する見通しです。

エ.資金調達手法の多様化

・国内外の開発プロジェクトの拡大に伴う事業資金に充当することを目的として、「第1回期限前償還条項付無担保社債(社債間限定同順位特約付)」を2024年7月に74億円発行しました。期限前償還条項には、当社が中部電力の連結子会社から外れた場合に償還請求できるCOC(チェンジオブコントロール)条項を付し、投資家様に対して親会社との強固な関係を示すことにより、当初予定額以上の発行額となりました。

・2024年7月に、資金使途を医療・福祉・教育等の社会課題の解決に資する事業に限定されたソーシャルローン契約を株式会社北洋銀行と締結しました。本件による資金調達は、Fビレッジにて開発を行ったシニア向け賃貸レジデンス「マスターズヴェラス北海道ボールパーク」における開発資金に充当しました。

 

② 進化

ア.国内エリア拡大

・沖縄支店を2024年4月に開設いたしました。那覇市において、2つの分譲マンション事業用地を既に取得しており、着実に事業を展開してまいります。

イ.開発事業・ジャンルの多様化

・エスコンジャパンリート投資法人(以下、「EJR」といいます。)より「ヨシヅヤYストア西春店」、「TSUTAYA堺南店(底地)」及び「ライフ大仙店(底地)」を2024年6月に取得しております。当該物件は、いずれも賃貸借契約の満了後に、土地の価値を最大化できるよう開発を行ってまいります。また、2025年4月1日には、奈良県大和高田市に保有している底地をEJRへ売却いたしました。第5次中期経営計画において、多様なアセットタイプの開発・バリューアップを促進し、収益比率を高めるとともに、ファンドビジネスを含めた投資循環型ビジネスを拡大することを戦略の一つとしております。投資循環型ビジネスは、当社が開発・保有する物件の一部をEJRや子会社であるFUELによる私募ファンドに売却した後に、物件の老朽化や再開発のタイミングで改めて当社が取得し、さらに付加価値を有する商品開発を行うものです。

 EJRの資産運用会社であるEAMは、2022年7月に金融庁より業務停止命令及び業務改善命令の行政処分を受けましたが、金融庁への対応はすべて完了し、EJRは売買取引を再開いたしました。当社は、EJR及びEAMとスポンサーサポート契約を締結しており、EJRの収益の向上と安定的な成長を支援し、相互成長を目指してまいります。

ウ.グローバル展開

・海外事業について、2023年11月にハワイ州ホノルルにおけるラグジュアリーコンドミニアム「Ālia(アリア)」プロジェクトの販売及びマーケティング事業を開始するため、東京本社内に販売ギャラリーを開設しております。さらに、第2弾として大規模コンドミニアム「Kuilei Place(クイレイ・プレイス)」においても販売及びマーケティング事業に参画いたしました。同プロジェクトのファンドとして組成されるSPC「2599 Kapiolani Owner, L.P.」に、子会社を通じて3,623万米ドル出資しております。今後も海外における事業拡大に注力してまいります。

エ.新規事業領域への挑戦

・2024年1月に、地方都市の課題を希望に変えるまちづくり会社、株式会社SHONAIの子会社である株式会社LOCAL RESORTS(以下、「LOCAL RESORTS」といいます。)及び株式会社NEWGREEN(以下、「NEWGREEN」といいます。)とともに、日本全国に『農』をコンセプトとしたホテル「(仮称)SUIDEN RESORT」を展開していくこととなりました。本プロジェクト実施に向けて、LOCAL RESORTSと業務提携契約を締結し、NEWGREENへ2億円を出資しております。

 

 

・2024年11月に、当社が投資事業有限責任組合を通じ一部の投資口を購入している「北海道リート投資法人」の運営会社である、北海道アセットマネジメント株式会社と連携協定を締結しました。当該連携協定は、「北海道リート投資法人」の事業運営に関して連携・協力することにより、北海道内のまちづくり投資の促進、資産の有効活用、地域経済の活性化に貢献することを目的としております。

オ.新しいまちづくり・マネジメント

・スポーツを含むエンターテイメントに特化した不動産開発及び国内スタジアム・アリーナを核としたまちづくりプロジェクトへの事業参画・サポート等を目的に、2023年に株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント、株式会社ディー・エヌ・エーとともに新会社「株式会社エスコンスポーツ&エンターテイメント」(以下、「ESE」といいます。)を設立し、積極的に事業に取り組んでおります。ESEは株式会社斎藤佑樹と不動産開発に係るアドバイザリー契約を締結し、さらに同社代表の斎藤佑樹氏はエグゼクティブアドバイザーに就任しております。

 

≪サステナビリティ経営≫

① 深化

多様な人材の活用

・昨今の物価高の影響や社員のエンゲージメント向上及び優秀な人財の確保を図るため、2024年5月に平均8.0%のベースアップを実施しました。昨今の情勢を鑑み、2025年5月にも平均8.5%のベースアップを実施しました。

・全社員を対象にエンゲージメントサーベイ(満足度調査)を2024年5月に実施しております。エンゲージメントサーベイの結果向上を目標に掲げており、今後も定期的に調査予定です。

・「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されております。健康経営優良法人の認定は3年連続となります。

② 進化

ウェルビーイングな社会実現

・前述のとおり、JR北広島駅前では、「複合交流拠点施設」として「tonarie北広島」及び「エスコンフィールドHOKKAIDOホテル北広島駅前」を開発しました。開発用地には、着工前まで緑豊かな公園があり、地域の方々に親しまれてきました。その歴史を長く後世に引き継ぐために、ホテル内の交流ラウンジに設置する家具を、工事によって伐採した公園の木々から製作する「記憶継承家具製作プロジェクト」を立ち上げ、家具製作を、北広島市にある北海道白樺高等養護学校の授業の一環として生徒の皆さんに手掛けていただきました。今後もESG活動に積極的に取り組み当社グループの持続的成長を目指してまいります。

・北海道北広島市のまちづくりのさらなる発展に寄与することを目的に、2021年度及び2022年度に「企業版ふるさと納税」を活用し同市へ寄附を行っております。さらに、中期的に地域の発展・エリア価値の向上に貢献していくため2024年度も同制度による寄附を実施しました。

 本寄附の一部は、北広島市、学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学及び当社の三者が、北広島市の発展に寄与することを目的に連携協定を締結して発足した産官学プロジェクトに活用されます。

 本プロジェクトは、「北海道事業構想イノベーションラボ」と題し、多様な人材を募集して2025年度中の約9ヶ月間にわたって研究会を開催し、参加者が北広島市域の課題解決・活性化に資する新たな事業構想計画の構築に取り組む予定です。本プロジェクトを通じて、北広島市のさらなる発展に寄与していくとともに、新たな事業を構想できる人材の育成を目指します。

 

 当連結会計年度の経営成績は売上高113,603百万円、営業利益21,311百万円、経常利益17,320百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,193百万円となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、当社グループは、報告セグメントを従来は「不動産販売事業」「不動産賃貸事業」「不動産企画仲介コンサル事業」としておりましたが、当連結会計年度より、事業ポートフォリオの明確化、セグメントごとの戦略立案による安定成長を目指すことを目的に、多様化した事業領域に即して「住宅分譲事業」「不動産開発事業」「不動産賃貸事業」「資産管理事業」の4つの報告セグメントと「その他」に変更しております。

 

 

 

〔住宅分譲事業〕

 住宅分譲事業においては、分譲マンションの販売が順調に進捗しております。「レ・ジェイドシティ橋本Ⅲ(相模原市緑区、総戸数80戸)」「レ・ジェイド西宮北口(兵庫県西宮市、総戸数32戸)」「レ・ジェイド北海道北広島(北海道北広島市、総戸数197戸)」「レ・ジェイド熊本日赤通り(熊本市東区、総戸数92戸)」「レ・ジェイド甲子園口(兵庫県西宮市、総戸数60戸)」「レ・ジェイド名古屋丸の内(名古屋市中区、総戸数39戸)」「レ・ジェイド札幌大通ザ・タワー(札幌市中央区、総戸数80戸)」「レ・ジェイド葛西イーストアベニュー(東京都江戸川区、総戸数78戸)」「レ・ジェイドシティ千里藤白台センターレジデンス(大阪府吹田市、総戸数313戸)」「レ・ジェイドシティ千里藤白台ウェストレジデンス(大阪府吹田市、総戸数85戸)」「レ・ジェイド西宮甲子園(兵庫県西宮市、総戸数124戸)」「レ・ジェイド帝塚山(大阪市住吉区、総戸数26戸)」の新規分譲案件の販売を開始しております。販売の進捗としては、当期の竣工物件のうち「レ・ジェイド箕面船場サウスレジデンス(大阪府箕面市、総戸数30戸)」「レ・ジェイド谷町五丁目(大阪市中央区、総戸数42戸)」「レ・ジェイド金山グランデ(名古屋市中区、総戸数87戸)」「レ・ジェイド箕面船場ノースレジデンス(大阪府箕面市、総戸数30戸)」「レ・ジェイド袋井駅前(静岡県袋井市、総戸数48戸)」の全戸引渡しが完了しております。

 2025年3月期の分譲計画戸数1,250戸に対し、1,195戸の引渡しをいたしました。

 住宅分譲事業は、分譲マンション及び戸建て販売を行った結果、売上高66,908百万円、セグメント利益12,045百万円となりました。

 

〔不動産開発事業〕

 不動産開発事業においては、当社の展開するブランドである商業施設「tonarie」、物流施設「LOGITRES」、賃貸マンション「TOPAZ」を含む各施設や、オフィス、ホテル等の収益不動産の開発・販売を行っております。

 商業施設「tonarie星田」や福岡県糸島半島において開発したホテル「seven x seven糸島」、2023年度グッドデザイン賞を受賞したオフィスビル「ESCON九段北ビル」、物流施設「LOGITRES佐野」「LOGITRES習志野芝園」、兵庫県明石市の開発事業用地等の売却を行った結果、売上高28,427百万円、セグメント利益10,212百万円となりました。

 

〔不動産賃貸事業〕

 不動産賃貸事業においては、2021年に株式会社ピカソ及び優木産業株式会社、2023年に株式会社四条大宮ビルをそれぞれ子会社化したことで、賃貸事業のさらなる強化による安定収益確保を実現しております。2025年3月15日には「tonarie北広島(北海道北広島市)」が開業、同年4月1日には不動産賃貸事業を行う株式会社芝リアルエステートを子会社化しており、今後も賃料収入の確保と資産価値の向上に努めてまいります。

 不動産賃貸事業は、保有する収益不動産の賃料収入の増加を含めた資産価値の向上を図るべく事業に注力した結果、売上高15,600百万円、セグメント利益7,021百万円となりました。

 

〔資産管理事業〕

 資産管理事業においては、グループ会社におけるアセットマネジメント事業、プロパティマネジメント事業や、マンション管理事業等を行った結果、売上高1,645百万円、セグメント利益997百万円となりました。

 

〔その他〕

 その他事業においては、納骨堂了聞の永代使用権の販売、海外における出資事業を行った結果、売上高1,020百万円、セグメント利益319百万円となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2,662百万円減少し、46,050百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により減少した資金は24,765百万円となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益17,161百万円、棚卸資産の増加額46,063百万円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により減少した資金は17,293百万円となりました。これは主として投資有価証券の取得による支出12,427百万円、固定資産の取得による支出4,805百万円及び預り保証金の受入による収入962百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により増加した資金は39,469百万円となりました。これは主として、長期・短期借入金の借入れ、返済による純収入35,199百万円、社債の発行による収入7,357百万円及び配当金の支払4,647百万円等によるものであります。

 

④契約及び販売の実績

(1)契約実績

最近2連結会計年度における住宅分譲事業の契約実績は、次のとおりであります。

区分

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

期中契約高

期末契約残高

期中契約高

期末契約残高

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

分譲マンション

1,358

73,275

885

48,855

1,067

59,755

757

44,547

その他

3,956

195

2,814

163

1,358

77,232

885

49,050

1,067

62,569

757

44,710

 

(2)主な販売実績

最近2連結会計年度の主な販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

物件名

物件

戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件名

物件

戸数

(戸)

金額

(百万円)

住宅分譲事業

分譲マンション

1,216

69,290

分譲マンション

1,195

64,063

その他

3,892

その他

2,845

小計

1,216

73,183

小計

1,195

66,908

不動産開発事業

岐阜県羽島市物流施設

8,380

明石市大久保町(A-1)

4,500

LOGITRES東条Ⅱ

6,600

LOGITRES習志野芝園

3,800

町田市原町田2丁目

4,059

ESCON九段北ビル

3,250

TOPAZ新御徒町

2,500

ピカソ日本一ビル

3,050

吹田市藤白台5丁目(商業)

1,680

tonarie星田

2,335

大阪市東成区深江南

1,411

台東区寿4丁目

1,930

高槻市南松原Ⅱ底地

400

seven x seven糸島

1,812

吹田市藤白台5丁目(老健用地)

308

西宮市室川町(底地)

1,800

名古屋市東区主税町

95

LOGITRES佐野

1,670

その他

988

星田駅北地区(底地)

1,600

 

 

 

WOB西宮レジデンス

720

 

 

 

足立区東和5丁目

440

 

 

 

SWISS京都堀川EAST

430

 

 

 

吹田市藤代台5丁目(保育園)

245

 

 

 

その他

845

小計

26,423

小計

28,427

不動産賃貸事業

 

 

16,532

 

 

15,600

資産管理事業

 

 

1,492

 

 

1,645

その他

 

 

1,229

 

 

1,020

 

合計

118,861

合計

113,603

 

 

(注)1.セグメント間の取引はありません。

2.当社グループは、報告セグメントを従来は「不動産販売事業」「不動産賃貸事業」「不動産企画仲介コンサル事業」としておりましたが、当連結会計年度より、事業ポートフォリオの明確化、セグメントごとの戦略立案による安定成長を目指すことを目的に、多様化した事業領域に即して「住宅分譲事業」「不動産開発事業」「不動産賃貸事業」「資産管理事業」の4つの報告セグメントと「その他」に変更しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っておりますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 イ.当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

 ロ.当連結会計年度の財政状態の分析

(資産)

 資産については、前連結会計年度末比60,150百万円増加し、459,847百万円となりました。これは主に現金及び預金が2,108百万円減少したものの、棚卸資産が39,843百万円、有形固定資産が8,621百万円それぞれ増加したことによるものであります。なお、保有目的の変更により、有形固定資産(建物及び構築物、土地)の一部1,659百万円を仕掛販売用不動産に振替えております。また、仕掛販売用不動産の一部7,294百万円を有形固定資産(建物及び構築物、土地等)に振替えております。

(負債)

 負債については、前連結会計年度末比52,172百万円増加し、381,166百万円となりました。これは主に長期・短期の借入金・社債が42,599百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

 純資産については、前連結会計年度末比7,978百万円増加し、78,681百万円となりました。これは配当金の支払4,648百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益11,193百万円を計上したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は17.2%(前連結会計年度末は18.1%)となりました。

 

 ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 ニ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(資金需要)

 当社グループの資金需要の主なものは、販売用不動産の取得資金であります。資金調達については、物件ごとに金融機関から借入れ、借入条件を勘案し決定しております。また、当社グループが成長を続けるためには、仕入物件の確保及び財政状態の健全性が重要であると認識しており、成長資源である物件の確保、自己資本比率の上昇及び有利子負債依存度の低減により、財政状態の健全性を確保いたします。

 今後も成長資金として、金融機関からの借入れ等、手許資金とのバランスを考慮し、資金調達を行ってまいります。

 

5【重要な契約等】

(1)企業・株主間のガバナンスに関する合意

 2018年8月28日開催の取締役会決議に基づき、同日付で中部電力株式会社(以下「中部電力」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結いたしましたが、更なる連携強化の促進等を目的として、2021年2月24日開催の取締役会決議に基づき、同日付で中部電力と新たに資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)を締結いたしました。

 当該資本業務提携契約に基づき、中部電力を割当先とする第三者割当増資を実施した結果、中部電力は当社株式49,599,000株を保有し、当社は中部電力の連結子会社となりました。

 契約に関する内容等は、以下のとおりとなります。

 

①契約の概要

契約締結日:2021年2月24日

相手先の名称:中部電力株式会社

相手先の住所:愛知県名古屋市東区東新町1番地

合意の内容:(1)第三者割り当てによる新株発行の実施

(2)両社による業務提携等

(3)中部電力による当社経営の独立性の尊重

(4)当社取締役会において決議すべき事項における中部電力の事前承諾事項

① 定款の変更その他株主総会の決議を要する事項

② 当社グループ以外の第三者との間における合併、株式交付、株式交換、株式移転、会社分割、事業譲渡及び譲受け、子会社の異動を伴う株式又は持分の譲渡又は譲受け

③ 中部電力の当社に対する議決権割合が完全希釈化後ベースで50%以下となる可能性のある行為

④ 事業計画の策定又は変更

⑤ 上場廃止基準に該当するもしくはそのおそれのある行為又は上場廃止の申請

 

②本資本業務提携契約の目的

 当社と中部電力の円滑かつ迅速な協力関係の下、両社がこれまで培ってきた各々のノウハウおよび強みを相乗的に活かし不動産事業の各施策を迅速に実施すること等により、両社の企業価値を最大化させることを目的としています。

 

③意思決定に至る過程

 当社は、当社の強みである不動産事業に係る企画・事業ノウハウ等を活かし、中部電力グループの強みであるエネルギー供給、中部圏での顧客基盤や電力事業で培った設備工事のノウハウ等を併せて活かすことにより相乗効果を生み出すことが可能となり、両社の企業価値の最大化が期待できると判断したことから、2018年8月28日に中部電力との間で資本業務提携契約を締結し、同社の持分法適用関連会社となりました。その後、不動産事業を順調に拡大し、特に中部圏を首都圏、関西圏と並ぶ重点事業エリアとして位置付け、2019年3月に名古屋支店を開設し、中部圏において中部電力グループとの共同事業としてマンション・商品開発事業に着手しており、資本業務提携による中部電力とのシナジー効果を着実に拡大強化してまいりました。当社の中長期的な経営戦略に基づく更なる事業の拡大及び経営の安定性の強化の実現のための最も有効な手段について様々な検討を重ねた結果、事業及び財務基盤の強化を目的とした本第三者割当増資を通じてコーポレートクレジットの高い中部電力の連結子会社となることで、当社の信用力向上による資金調達方法の多様化や資金調達コストの低減が可能となること、かつ中部電力グループとの更なる事業連携の推進を通じて大型まちづくりへの参入が可能となり、不動産情報量の増加も見込むことができること、ひいては当社の収益性の拡大並びに経営の安定性の強化等により当社の企業価値を更に高めることが可能と判断したことから、2021年4月に第三者割当増資を実行することといたしました。また、当社は更なる成長と経営安定化を目的とした収益構造転換を進めるうえで、自己資本の拡充による財務基盤の強化が必須であると考えております。当社は、資金調達の方法として、金融機関からの借入又は社債の発行についても検討いたしましたが、これらの手法では自己資本の充実がかなわないこと、また、公募増資の方法では株主構成が不安定となること、及び中部電力との更なる事業連携の推進や高いクレジットの活用を実施することができません。これらのことを総合的に勘案して、経営の安定化と収益機会の拡大の両面の実現を通じて当社の企業価値向上を図るためには、本第三者割当増資が、当社にとりまして最も有効な方法であります。

 

 

④企業統治に及ぼす影響

 中部電力は当社経営の独立性を尊重しており、協力して両社の企業価値の最大化に取り組んでおります。また、同社の当社経営への寄与によりガバナンス体制の向上が図れております。

 

(2)ローン契約と社債に付される財務上の特約等

 財務上の特約等の付されたローン契約又は社債については、以下のとおりであります。

 なお、2024年4月1日より前に締結した契約については、記載を省略しております。

会社名

契約締結先

金融機関数

契約

締結日

期末残高

(百万円)

弁済期限

担保内容

財務上の特約

抵触時の影響

㈱日本

エスコン

都市銀行

2024年

4月26日

965

2027年

6月28日

仕掛販売用

不動産

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2024年

6月27日

3,730

2027年

6月25日

なし

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

都市銀行・地方銀行・第二地方銀行

11

2024年

7月26日

15,700

2029年

7月31日

連結子会社の仕掛販売用不動産、建物及び土地

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

③COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

都市銀行・信託銀行・地方銀行・第二地方銀行

17

2024年

7月26日

14,499

2034年

7月31日

連結子会社の建物及び土地

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

③COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2024年

8月30日

2,135

2036年

8月31日

連結子会社の建物及び土地

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

③COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

都市銀行・地方銀行・共同組織金融機関

2024年

9月24日

22,700

2025年

9月29日

仕掛販売用

不動産

①連結純資産額維持条項

②COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行・その他

2024年

9月30日

3,325

2025年

6月30日

なし

①単体の純資産額維持条項

②単体の利益維持条項

③COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

信託銀行

2024年

9月30日

1,267

2029年

9月28日

連結子会社の建物及び土地

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2024年

10月11日

610

2027年

10月8日

なし

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

生命保険会社

2024年

11月29日

500

2028年

11月30日

なし

①COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2024年

12月4日

2,200

2027年

5月31日

仕掛販売用

不動産

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2024年

12月16日

350

2026年

11月30日

仕掛販売用

不動産

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2024年

12月25日

850

2027年

9月30日

仕掛販売用

不動産

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

信託銀行・地方銀行・共同組織金融機関・政府系金融機関

2025年

1月20日

12,000

2032年

7月30日

仕掛販売用

不動産

①COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行・第二地方銀行

2025年

2月26日

5,800

2035年

2月28日

仕掛販売用

不動産

①連結純資産額維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

地方銀行

2025年

3月25日

2,490

2028年

3月24日

なし

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

請求失期

㈱日本

エスコン

都市銀行

2025年

3月27日

(注)2

2027年

3月31日

連結子会社の株式

①連結純資産額維持条項

②連結利益維持条項

③COC条項

請求失期

㈱日本

エスコン

都市銀行・地方銀行・第二地方銀行・その他

2025年

3月31日

8,760

2029年

3月30日

仕掛販売用

不動産

①COC条項

請求失期

 

(注)1.COC条項:当社においては、中部電力株式会社からの出資比率を50.1%以上に維持することです。

2.2025年4月1日に17,000百万円の借入を実行しております。詳細は、連結財務諸表の重要な後発事象(多額な資金の借入)をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。