当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間(以下、当期)における我が国経済は、雇用・所得環境の改善に支えられて緩やかな回復基調を維持しました。日本銀行は、政策金利を据え置く一方で、9月には保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の段階的売却を開始し、金融政策の正常化に向けた対応を進めています。世界経済では、地政学リスクの影響や中国経済の減速等が続く中で、米国では雇用環境の悪化リスクを背景に連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き下げを決定するなど、先行きの成長見通しには不透明感も漂っています。
不動産市場においては、当社グループのオフィスビル事業を展開している東京都心5区では、賃料の上昇と空室率の改善傾向が継続しています。2025年は前年と比較し、大規模オフィスビルの供給が増加する見込みですが、足元では、イノベーティブなオフィス環境の整備や優秀な人財確保を目的とした前向きな移転・拡張ニーズを背景に堅調な需要を見せています。不動産投資市場においては、日本銀行の金融政策正常化の動きがあるものの、世界的にみると依然として割安な資金調達コストや賃料上昇、空室率低下への期待感を背景に、アジアを中心とする富裕層や国内外の機関投資家などの高い投資意欲が継続しています。ホテル・観光市場においては、2025年1月から9月までの訪日外国人旅行者数が過去最速で3,000万人を突破するなどインバウンド需要の拡大が続くとともに、大阪・関西万博効果等による国内の旅行消費も堅調に推移し、ホテル客室の稼働率や単価の上昇が継続しております。
このような事業環境の中、当社グループのオフィスビル事業は、多様な運営スタイルに対応可能なオフィスビルや環境認証を取得し社会的価値にも合致した不動産の商品化に注力しております。当期の物件販売においては、物件販売数は減少したものの、規模の大きい物件の売却があったこともあり、前年同期と比較し売上高、利益ともに増加しました。物件仕入れにおいても、今後の事業成長に向け通期計画を上回るペースで進捗しております。ホテル・観光事業においては、当期及び来期以降の新規開業に向けた建設工事が順調に進捗すると同時に、ホテル運営において、「心温かい楽しいホテル」をテーマにしたホスピタリティおよびマーケティング強化による客室の稼働率および単価の向上を実現し、業績の伸長につながりました。
結果として、当期連結業績においては、売上高、利益ともに増加し、通期業績予想に対しても順調に進捗しております。
(百万円)
各セグメントの業績は次のとおりであります。
(不動産再生事業)
不動産再生事業では、①リプランニング事業、②賃貸ビル事業を行っています。
① リプランニング事業では、経年劣化等によって稼働率が低下し、修繕やデザイン性の向上等が求められるオフィスビルを「お客様視点」に拘ってリノベーションすることにより、高稼働・高付加価値のビルへバリューアップする取り組みを行っているほか、ニューヨークでの不動産再生案件の取り組みや不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品の提供、新築ビル等の開発も含めております。ニューヨークでの不動産再生案件の取り組みにおいては、日本国内で培ったノウハウを活かし、現地居住者様の豊かな生活の実現、および日本国内の投資家様に対する海外不動産の投資機会を提供しております。また、不動産特定共同事業の取り組みでは、都心を中心とした優良不動産を小口化し、幅広い投資家層に向けて、少額から始められる不動産投資商品を提供しています。当期においては、物件販売数が13件(うち、小口所有商品2件、新築ビル等2件)となり、前年同期比で物件販売数は減少(対前年同期比△1件)しましたが、規模の大きい物件や高収益の新築ビル等の販売があったこともあり、売上高、利益ともに増加しました。今期計画している物件販売の契約済み案件も着実に積み上がっており、通期予想に対して順調に進捗しております。
② 賃貸ビル事業は、ストック事業として安定した収益基盤の構築を目的に、リプランニング事業における物件の商品化期間中でも、不動産サービス事業で蓄積したノウハウを活かして、賃料収入の増加を図っております。当期においては、物件仕入れの進捗に加え、前年同期と比較し賃貸関連費用が減少したこと等から売上高、利益ともに増加しました。
<不動産再生事業の業績>
(百万円)
(不動産サービス事業)
不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業、⑤貸会議室事業、⑥滞納賃料保証事業等を行っております。
① プロパティマネジメント事業は、テナント様のニーズを的確に捉えたビル管理により、オーナー様の所有物件の収益向上と不動産価値の最大化に努め、高稼働・高収益なビル経営を支援させていただいております。当期においては、受託棟数が前期末比27棟増加の合計569棟となり、稼働率も95.07%と前期末比で上昇し、売上高、利益ともに増加しました。受託棟数は今期末600棟を目指し、中期経営計画2028で掲げた700棟に向けて事業を拡大しております。引き続き、迅速かつ高品質なサービスを提供することにより、お客様の満足度を高め、熱狂的ファンづくりに努めてまいります。
② ビルメンテナンス事業は、「東京を世界一美しい街に」を合言葉に、建物を維持・管理するための点検、清掃、リニューアル工事や調査等の事業を行っております。
当期においては、グループ内各部門との協働で管理棟数が増加したことにより、売上高、利益ともに増加しました。引き続き、増加傾向にある費用を吸収しながら、適切な管理報酬で業績を伸長させてまいります。
③ 売買仲介事業は、不動産コンサルティングの一環として、プロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする、各部門のお客様からの物件売買などのお困りごとをスピーディーに解決するサービスを提供しております。当期においては、取り扱い案件の大型化が進んだことから、前年同期比で売上高、利益ともに大幅に伸長しました。
④ 賃貸仲介事業は、都心主要エリアに13拠点のサービス網を構築しており、ビルオーナー様のご要望に沿ったビル経営に関するあらゆるお困りごとを解決しつつ、テナント様の出店や移転を支援するサービスを提供しております。10月には上野店を新たに出店するなど、積極的な事業拡大にも努めております。当期においては、堅調なオフィス市場を背景に、当社管理案件等における成約件数が増加し、売上高、利益ともに増加しました。
⑤ 貸会議室事業は、東京都心および横浜において展開しており、研修、セミナー、展示会、試験会場、 パーティーなどの多様なお客様ニーズに応えた空間を提供しております。当期においては、出店エリアにおける再開発の実施に伴い1拠点を閉業する一方、「ビジョンセンター品川アネックス」の開業および「ビジョンセンター東京虎ノ門」の増床によって、運営規模は18拠点9,963坪となりました。新卒社員の研修をはじめとする大型案件やリピーターのお客様からの長期利用が増加したこと、開業後1年未満の拠点において順調に新規顧客を獲得できたこと等により、前年同期比で売上高・利益ともに伸長しました。引き続き「部屋を売るのではなく、催事の成功を叶える」という方針のもと、中期経営計画2028で掲げた16,000坪規模を目指して、新規開業や既存拠点の増床を通じた事業拡大も進めると同時に中長期的な事業拡大を見据えた体制の強化にも努めてまいります。
⑥ 滞納賃料保証事業は、オフィス・店舗における入居調査・審査・滞納保証・建物の明渡訴訟・退去までを広範囲にカバーする賃貸保証サービスである「TRI-WINS(トライウインズ)」を提供し、オーナー様・テナント様双方が抱えるリスクや課題を解決し、経済成長及び社会の安定への貢献に努めております。当期においては、主力事業である信用保証の新規契約件数、再保証契約ともに増加したことにより、前年同期比で売上高、利益ともに増加しました。
<不動産サービス事業の業績>
(百万円)
(ホテル・観光事業)
ホテル・観光事業では、①ホテル開発事業、②ホテル運営事業等を行っています。
① ホテル開発事業は、街や社会の活性化につながる、豊かな魅力を備えたホテルを開発・再生する事業を行っております。
当期においては、物件売却がなかったため、売上高は減少し、利益も新規ホテルの開業に向けた費用の増加等により減少しました。なお、現時点の新規開業予定のホテルおよび建設中・計画中のホテルの合計は16棟2,534室となり、その内、来期に開業を予定している主なホテルは以下の通りです。
② ホテル運営事業は、地域の文化と歴史を大切にし、地域とともに発展するホテルを運営しつつ、「心温かい楽しいホテル」をテーマに、ナチュラルフレンドリーなサービスを提供しております。2025年10月末時点のホテル運営客室数は32棟3,649室となります。インバウンド需要の拡大や大阪・関西万博開催により国内の旅行消費が堅調に推移する中、高付加価値戦略に基づく客室稼働率と客室単価の上昇が継続し、前年同期比で売上高、利益ともに大幅に増加しました。当期は、6月に京都河原町に「STITCH HOTEL Kyoto」、9月に「たびのホテル加古川別府駅前」、10月に「たびのホテル石狩」が計画通りに開業するとともに、8月にM&Aで「長野リンデンプラザホテル」が当社グループに加わっております。2033年に運営客室数10,000室の目標を目指し、順調に事業を拡大しております。
<ホテル・観光事業の業績>
(百万円)
(その他)
その他事業では、①建設事業等 ②海外開発事業を行っております。
① 建設事業は、オフィス空間や外観・エントランスなどのリニューアル企画を中心に、オフィスや住宅などの内装工事、オフィスの通信ネットワーク工事等を行っております。当期においては、受注件数の増加に加え、大規模案件の受注もあったことから、売上高、利益ともに増加しました。
なお、2025年10月にサッシ・ガラス窓の加工・施工を行う大竹建窓グループが当社の傘下に加わりました。大竹建窓グループが当社グループに加わることで、リプランニング事業における企画から施工までの内製化体制が一層強化され、より高品質で高機能なオフィス空間などを安定的かつ迅速にご提供できるようになります。
② 海外開発事業は、成長が期待されるベトナムの中部最大都市であるダナン市へ進出し、高層分譲マンションの開発・販売から賃貸仲介、管理業務まで一貫して事業を展開しております。当期においては、前期着工済みの第2号案件「HIYORI Aqua Tower」の工事が進捗しております。本物件の業績の計上は来期以降となることから、当期の業績は、売上高、利益ともに前期並みとなりました。
<その他の業績>
(百万円)
当期におけるサステナビリティへの取り組みは次のとおりです。
当社グループでは、「私たちは、社是(Credo)である利他の心を大切に、事業活動を通して持続可能な社会の実現に貢献していきます。」という、サステナビリティビジョンのもと、事業を通した社会課題の解決に向け、「環境保護」「地域創生」「人財育成」の3つの重要課題(マテリアリティ)に基づき、具体的施策を推進しております。
当期においては、5月に事業活動を通じた資源の有効活用と環境保全のさらなる推進と、自然資本ならびに生物多様性の保全に努めるべく、経団連生物多様性宣言・行動指針への賛同を表明し、経団連生物多様性宣言イニシアチブへ参画、9月には2024年度に排出した温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1、2、3)について、国際基準「JIS Q 14064-3:2023 (ISO 14064-3:2019)」に準拠した第三者検証を実施し、その検証機関である一般社団法人環境エネルギー事業協会より検証報告書を取得、正確かつ信頼性の高いデータの開示に努めております。当社グループのサステナビリティに関する取り組みは、下記のサステナビリティサイトにてご覧ください。
(https://www.sunfrt.co.jp/sustainability/)
また、9月に当社グループとして初の統合報告書を発行し、ステークホルダーの皆様に、財務情報と非財務情報を統合し、将来の企業価値向上に向けた道筋を包括的にご説明しております。ぜひご高覧賜りますようお願い申し上げます。統合報告書は環境配慮の観点から、下記の当初ホームページIR資料内に閲覧用と印刷用のファイルを掲載しております。
(https://www.sunfrt.co.jp/ir/ir_doc/integrated_report/)
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金が3,343百万円減少、投資活動による資金が4,393百万円減少、財務活動による資金が8,717百万円増加した結果、期首残高に比べ609百万円増加し、当中間連結会計期間末残高は45,363百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フロー及びそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、3,343百万円の支出超過(前中間連結会計期間は4,917百万円の支出超過)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益13,594百万円、減価償却費の計上額1,522百万円等があったものの、棚卸資産の増加による支出13,975百万円、法人税等の支払額4,839百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、4,393百万円支出超過(前中間連結会計期間は4,089百万円の支出超過)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,010百万円、差入保証金の差入れによる支出634百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、8,717百万円の収入超過(前中間連結会計期間は2,372百万円の収入超過)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出17,299百万円、配当金の支払額1,606百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出3,309百万円等があったものの、短期借入れによる収入2,125百万円、長期借入れによる収入29,033百万円等があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産再生事業に係る棚卸資産の仕入れであります。棚卸資産の仕入れは、個別の棚卸資産を担保とした金融機関からの借入金及び営業活動で獲得した資金によって行っております。当該棚卸資産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、棚卸資産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)生産、受注及び販売の実績
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
該当事項はありません。