第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「人々の安全で快適な『くらし』の提案を行い、豊かで健全な社会の実現を目指す」ことを企業理念としております。

 この企業理念の下、投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売を中心とした事業活動を行い、事業を通して社会の発展とサステナビリティを巡る課題解決に寄与するとともに、持続的な成長と企業価値の向上を図ることにより、ステークホルダーに貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2)経営戦略

 当社グループは、今後も東京23区をメインの開発エリアとした投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売を基軸事業として、経営基盤を拡充し、安定的な収益の向上に努めてまいります。当社グループは物件ごとに地域性を重視した外観やエントランス、機能性を重視した居住空間をデザインし、購入する方と居住する方双方の満足を追求してまいります。

 さらに、販売先の多様化を目的としたホテル開発・販売等の新規事業にも市場動向を見極めながら取り組むとともに、戸数100戸以上の大型プロジェクトの推進、他社との共同事業、及び東京都心以外での開発も視野に入れ、持続的な成長を図ってまいります。なお、ホテル事業につきましては、アフターコロナにおける需要回復までの間は、現保有・運営中のホテル客室稼働率と客室単価のバランスを見極めつつ、事業収益の最大化に努めてまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループの基軸事業である投資用ワンルームマンションの市場は、賃貸については、未婚化の進行や高齢化による単身世帯の増加、各世代における単身者の流入等により堅調に推移しており、コロナ禍においてもこの傾向に変わりはありません。都心の好立地で居住空間の充実した物件に関してはさらに人気が高まるものと考えております。

 また実需については、企業による人員確保のための社宅需要や、若年層による将来の資産形成、富裕層の相続税対策に対応できる堅実な運用商品として、購入者層の拡大を見込んでおり、さらにコロナ禍を背景とした世界的な資金余剰もあり、ファンドやリートによる購入意欲が依然として強く、東京23区においては海外からの資金流入も続くものと思われます。なお、販売面では底堅さは維持されるものの、仕入面においては、都心好立地の用地購入で競合が続くものと考えております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的な収益を確保し、持続的な成長を図り、株主への利益還元を安定的に行うことを基本方針に、売上総利益率を重視しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、安定的な収益を確保し、持続的な成長を図るため、経営環境の変化に対応しつつ、以下の課題に取り組んでまいります。

① コンプライアンスとコーポレートガバナンス・コード遵守の経営

 当社グループは、コンプライアンスとコーポレート・ガバナンスがこれからの企業経営において非常に重要であることを強く認識し、コンプライアンスを遵守した経営を推進いたします。また、不正を防止する内部統制システムの整備・充実を図るとともに、サステナビリティを巡る課題解決とコーポレート・ガバナンスの強化に努め、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に基づく、健全で効率的な経営を行うよう一層の努力をしてまいります。

 

② 利益率の維持・向上のための競争力のある事業用地の取得

 日本全体としては人口減少問題を抱えるなかで、コロナ禍においても大手不動産業者及び資金力のある開発業者等により、利便性の高い好立地の用地獲得競争は続くものと認識いたしております。

 こうした状況の下で安定的な収益を確保するためには、更なる土地の選別と開発物件の差別化が最重要課題であると認識しております。

 当社グループは、優秀な仕入要員の採用を進めるほか、用地情報収集能力・用地情報チャネルの拡充、事業用地の価値を高めるプラン設計等に注力してまいります。

 

③ 販売先及び不動産開発事業の多様化

 当社グループの基軸事業である投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売)は、土地価格の高騰や労務費を中心とする建築コストの上昇による売上総利益率の低下に直面しております。

 これに対応するため、従来からの卸先であるマンション販売会社だけではなく、国内外の投資家や相続税対策を含む様々な目的で不動産を購入する日本の富裕層、人員確保のための社宅や寮を再度必要とするようになった事業法人等、多方面への販売チャネル確保に注力してまいります。

 また、当社グループは、学生マンションの開発に参入する一方、設立以来、販売先がレジデンス関連業者に限られていたこともあり、販売先の多様化を図る目的でホテル事業に参入し、2020年10月より自社保有ホテルを運営しております。

 当社グループは、今後も他社との共同事業を含む不動産開発事業の多様化を図ってまいります。

 

④ 経済の大規模な変動に耐えうる企業価値の向上と財務体質の一層の強化

 当社グループは、パンデミックに陥った現在の世界情勢及び日本経済の動向を注視し、将来の大規模な経済変動に耐えうる企業であるためには、一層の企業価値の向上と、財務体質の強化が必要であると認識いたしております。

 当社グループは、リーマンショックにおいて多くの不動産関連企業が破綻する中を耐え抜いた経験により、キャッシュポジションと担保物件の重要性を認識したことから、2019年12月の増資や2020年3月の子会社による優先株式発行等により財務体質を強化いたしました。その結果、コロナ禍という未曽有の状況においても安定した経営を継続しており、今後も企業価値の向上と財務体質の強化に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事業のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態及び経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済情勢の変動に係わるリスクについて

 当社グループの主要事業である不動産開発事業は、景気動向・金利動向・不動産需要動向・住宅税制等各種税制の影響を受けやすく、景気の急速な悪化や大幅な金利上昇、需給悪化による販売価格の下落、住宅税制や建築基準法等の変更・改廃等によって、販売先の需要動向が変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、金融市場の混迷及び先行き不透明感により、ローン構築の不成立や顧客購入意欲の低下の可能性があり、販売価格や保有不動産の評価を下げる必要があるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、当該リスクの対応策として、景気動向・金利動向等のモニタリング、販売先の財務状況管理、各種法令の改廃情報の取得等を十分に行った上で開発・販売計画を策定しており、建築確認が下りた開発物件は速やかに販売先を選定し、売買契約を締結するよう努めております。

 なお、当社グループは2020年10月より東京・蒲田駅前にてホテルを運営しておりますが、景気が急速に悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)気候変動及び自然災害に係わるリスクについて

 当社グループでは、開発エリアを東京23区に特化しておりますが、従前から報告されている大地震発生のリスクに加え、ここ数年気候変動に起因すると思われる大型台風の直撃やゲリラ型豪雨が頻発する事例が発生しており、当社グループが開発途中の物件において、地盤への影響や建設中の建物の倒壊等のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、開発用地購入においてハザードマップの確認を義務づけており、建築途中の物件現場においては、作業員の安全に留意しつつ、台風や豪雨等の被害を最小限にとどめるよう必要な対策をいたしております。

 

(3)事業用地の仕入に係わるリスクについて

① 事業用地の取得について

 当社グループでは、東京23区の駅徒歩10分以内という利便性、人気とも高い事業用地を求めておりますが、他社との競合や価格の上昇等によって用地の取得が計画通りに行えない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの持続的な成長のためには、安定的な用地取得は不可欠であり、当該リスクの対応策として、既存情報取得先との関係強化及び新規情報取得先の開拓を行っております。

 

② 土壌汚染等によるリスクについて

 当社グループは用地仕入に際し、土壌汚染・地中埋設物・埋蔵文化財・産業廃棄物の地中廃棄物等によるコスト排除を明確にするため、事前調査を徹底し、売買契約においても原則としてこれらのコストを売主負担としてまいりましたが、現在は開発用地獲得を優先する環境下のため、同コストは当社グループ負担となっており、想定外の土壌汚染問題等が発生した場合、処理費用が追加発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)特定取引先との取引集中に係わるリスクについて

① アウトソーシングに係わるリスクについて

 当社グループは、アウトソーシングを最大限活用した少人数体制を経営の基本方針としており、当連結会計年度においても、株式会社合田工務店への建築工事のアウトソーシングが集中しております。

 当社グループと同社との取引関係に急激な変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、当該リスクの対応策として、建築工事の新たなアウトソーシング先を開拓しており、過度な集中とならないよう努めてまいります。

 

② 販売先に係わるリスクについて

 当社グループは、当連結会計年度における開発物件の半数近くを上位数社に販売しております。

 当社グループと販売先は安定的な取引関係にあり、今後もその取引関係に急激な変化はないと考えておりますが、当社グループの主たる販売先に不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、当該リスクの対応策として、マンション販売会社及び資産家やファンド等、多方面への販売チャンネル確保に注力してまいります。

 

(5)販売に関連するリスクについて

① 販売用不動産の売却可能性について

 当社グループの開発プロジェクトにおいて販売先との売買契約締結が長引いた場合、その間に不動産市況の急激な悪化等により売却可能性に問題が生じ、評価損の計上ひいては在庫が滞留するリスクがあります。

 また、分譲マンションにおいては、エンドユーザー向けの分譲となるため、景気の変動等により売却可能性に問題が生じ、評価損の計上ひいては在庫が滞留するリスクがあります。

 投資用ワンルームマンションに関しては不動産市況等を勘案しながら、用地購入から設計確認までの期間を短縮し、販売価格とのバランスを取りつつ販売先との売買契約を最短にするよう努力をしてまいります。

 また、分譲マンションに関しましては、景気変動の可能性のある時期においての開発を抑制しております。

 

② 営業エリアに関連するリスクについて

 当社グループでは、営業エリアを原則東京23区の駅徒歩10分以内に特化したことで、不動産需要の減少に対して相対的に影響を受けにくくなっておりますが、同地区においてテロ等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)賃貸用不動産(固定資産)の減損に関するリスクについて

 当社グループは、不動産賃貸収益の獲得及び将来的な自社開発物件の確保を目的として、賃貸用不動産の保有及び効率的活用を進めておりますが、経済情勢や不動産市況の悪化により賃料水準の低下や空室率の上昇等、賃貸用不動産の収益性が低下した場合等には固定資産の簿価切下げに伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)借入金への依存に関連するリスクについて

① 金利の上昇リスクについて

 当社グループは、事業資金を金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における総資産額に占める有利子負債の割合は、54.6%と高水準であります。

 したがいまして、金融情勢の変化により金利水準が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 調達のリスクについて

 当社グループは、用地仕入に際し、その資金を金融機関による間接金融に負っております。

 金融機関の不動産融資の姿勢に変化が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、多数の金融機関と良好な関係を構築する一方で、新たな金融機関との新規取引による間接金融の拡大、エクイティ等の直接金融での資金調達を実施し、資金調達の円滑化と多様化に努めております。

 

(8)設計・建築工事について

 当社グループは、意匠設計及びプラン設計以外を設計事務所及び建設会社等にアウトソーシングしております。設計会社及び建設会社の選定から工程の進捗に至るまで、入念にアウトソーシング先の管理をしておりますが、アウトソーシング先の倒産や工事中の事故等が発生した場合に、工事の遅延・中止・建築費用の上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、半導体等を含む建設関連資材の供給状況によっては、工事の遅延等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、当該リスクの対応策として、アウトソーシング先の財務調査を継続的に行っており、新たな工事の発注先を選定する際には反社会的組織との関連調査及び財務調査も実施して決定しております。

 

(9)物件の引渡し時期について

 当社グループの不動産開発事業において、売上計上は物件引渡しによって行われます。

 このため、天候不順や自然災害及び感染症蔓延等を原因として建設会社の人手不足等による工期遅延により、引渡時期が決算期を越えて遅延する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、販売会社との売買契約につきましても、竣工引渡後原則4ヶ月後決済(ただし戸別決済に応じる)となっておりますことから、決算期に跨る売買契約における計上戸数については当社グループでのコントロール下にはありませんので、販売会社の販売状況によっては、当社グループの当該決算期業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材確保について

 当社グループは、事業用地の仕入・設計・施工監理・自治体との調整及び近隣との調整や竣工マンションの1棟販売等、専門的な知識・経験及び資格が要求されることから、人材の獲得・育成が重要であると認識しております。しかしながら、優秀な人材の確保・育成が計画通りに進行しない場合、若しくは保有人材の流出が大規模に発生した場合は、当社グループの今後の事業運営及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)法的規制について

 当社グループの事業は、「建築士法」・「宅地建物取引業法」・「金融商品取引法」・「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」・「旅館業法」・「公衆浴場法」・「温泉法」等により、法的規制を受けております。

 また、当社グループの事業においては、事業活動に際して、以下の免許、許認可等を受けております。当社グループは、これまでにこれら法的規制によって重大な影響を受けたことはありませんが、今後新たな規制の制定や改廃が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、今後何らかの理由により免許等の取消・更新・欠格による失効等の事象が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

会社名

許認可番号等

有効期間

規制法令

免許取消

条項等

一級建築士事務所登録

株式会社アーバネットコーポレーション

東京都知事登録 第42424号

2017年9月10日

~2022年9月9日

建築士法

第26条等

宅地建物取引業者免許

株式会社アーバネットコーポレーション

東京都知事 (5)第75706号

2017年10月18日

~2022年10月17日

宅地建物取引業法

第66条等

株式会社アーバネットリビング

東京都知事 (2)第97760号

2020年4月25日

~2025年4月24日

第二種金融商品取引業登録

株式会社アーバネットコーポレーション

関東財務局長(金商)第1178号

金融商品取引法

第52条等

マンション管理業者登録

株式会社アーバネットリビング

国土交通大臣 (2)第034154号

2020年3月19日

~2025年3月18日

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

第83条等

 なお、最低住戸面積の引き上げ等ワンルームマンションの建設を規制する条例等が制定された場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)個人情報の漏洩について

 当社グループの基軸事業である投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売は卸売業であることから、従来より、個人情報については多く保有しておりませんでしたが、子会社設立を機に、マンション管理・賃貸管理及び中古分譲マンションの買取再販による戸別販売並びにホテル事業により個人情報の保有が増加しております。何らかの事由により当社グループ保管の個人情報が漏洩した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、当該リスクの対応策としてセキュリティ対策、役職員への教育等の諸施策を実施しております。

 

(13)訴訟等の可能性について

 当社グループは、投資用ワンルームマンションの開発を事業の基幹としております。当社グループは、役職員及び近隣対策会社等への啓蒙活動や近隣住民との対話回数の増加等により、訴訟等の発生を最大限回避する企業努力を行っておりますが、開発エリアを東京23区の駅徒歩10分以内に特化していることから、近隣住民からの苦情等を完全に排除することは難しく、法令に基づいて実施しているとはいえ、開発用地にある既存建物の解体やマンション建設に関連する騒音・振動・電波障害・日照問題・景観変化等の近隣住民等からのクレーム等に起因する訴訟及びその他の請求が発生する可能性があります。

 また、当社は設立から20年以上が経過し、当社グループが過去に販売した物件における瑕疵の発生も可能性があります。

 これらの訴訟等の内容、結果、対応によっては、レピュテーションリスクが生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 現在、当社は、1プロジェクトにおいて訴訟案件を抱えており、顧問弁護士と相談をしつつ、適切に対応いたしております。

 

(14)ホテル事業について

 当社グループは販売先の多様化を目的に、2020年10月に自社保有ホテルを、東京・蒲田駅前に開業しております。

 当該ホテルにつきましては、東京五輪開催に合わせて当初2020年6月に竣工し7月にオープンする予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により開業時期を遅らせました。またその後の国や都からの各種発令により、ホテル運営は極めて厳しい状況が続きましたが、開業時の保守的な計画は概ね達成することができております。当社グループは当面のホテル事業につきまして保守的な計画を立てておりますが、今後変異株を含む感染症拡大が長期に及ぶ場合、また予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)新型コロナウイルスの感染拡大について

 当社グループでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、従業員及び取引先の安全を第一に考え、時差出勤やリモートワーク等のIT環境整備に努めるとともに、感染予防強化とワクチン接種支援を進め、感染者発生時でも安定した事業継続ができるよう体制整備に努めてまいります。

 なお、当社グループの開発現場において新型コロナウイルスの感染者が発生した場合には、工事の一時的な停止等により竣工時期が遅延する可能性があり、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)その他について

 当社グループは、事業展開上様々なリスクがあることを認識し、それらを最大限の努力で回避するとともに、リスクが発現した場合に備えて対策を十分に行うよう努めております。

 しかしながら、事業遂行に当たり、予期できぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高209億55百万円(前連結会計年度比4.8%減)、営業利益23億21百万円(同6.6%減)、経常利益20億80百万円(同5.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益12億81百万円(同14.9%減)となり、いずれの数値も期初の業績予想数値を上回ることができました。

 これは、当社グループの中核事業である東京都心の投資用ワンルームマンション市場において、用地仕入価格の高騰及び建築コスト上昇等により利益率が低下する傾向の中、東京23区、駅徒歩10分以内という厳しい開発立地にこだわり、投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売という当社基本ビジネスモデルが、コロナ禍の現状においても、将来不安を抱えた若年層の不動産投資意欲、相続税対策を目的とした富裕層による需要、企業による社宅需要、潤沢な資金を蓄えたファンド・リートによる収益物件への需要に応え続けていることによるものであります。

 セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。

 なお、当社グループは従来、投資用・分譲用マンションの開発・仕入及び販売を主体とする「不動産事業」の単一セグメントとしておりましたが、ホテル事業の運営を2020年10月14日より開始したことに伴い、当連結会計年度より「不動産事業」及び「ホテル事業」の2区分に変更しております。そのため、不動産事業における事業内容別の売上高を除き、前連結会計年度との比較・分析を行っておりません。

 

(不動産事業)

 不動産事業につきましては、売上高は209億30百万円、セグメント利益は34億9百万円となりました。

 このうち、不動産開発販売につきましては、投資用ワンルームマンション等15棟683戸及び用地1件の売却により、売上高は202億57百万円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。なお、期初では14棟674戸の売上計上を予定していましたが、2022年6月期竣工予定物件の一部9戸が当連結会計年度の売上計上となりました。また、不動産仕入販売につきましては、中古分譲マンションの買取再販(5戸)により、売上高は1億99百万円(同50.7%減)となりました。その他不動産事業につきましては、不動産仲介及び不動産賃貸業等により、売上高は4億73百万円(同2.7%増)となりました。

 

(ホテル事業)

 ホテル事業につきましては、「ホテルアジール東京蒲田」の宿泊料等により、売上高は24百万円、セグメント損失は1億13百万円となりました。

 当該ホテルの開業は新型コロナ感染症禍中の2020年10月で、開業当初からの厳しい経営環境を前提に保守的な計画を立てましたが、客室単価の見直しや客室稼働率向上のための様々な施策を打ち出し、概ね達成することができました。

 

 当連結会計年度末における財政状態については、総資産が、前連結会計年度末に比べ11億75百万円増加した351億75百万円、総負債が、前連結会計年度末に比べ3億91百万円増加した215億83百万円、純資産が、前連結会計年度末に比べ7億84百万円増加した135億91百万円となりました。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ10億75百万円増加し、287億55百万円となりました。これは主として現金及び預金が17億4百万円減少する一方で、用地購入を積極化した結果、たな卸資産が24億59百万円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ99百万円増加し、64億19百万円となりました。これは主として賃貸用物件の一部で減損損失1億16百万円を計上した一方で、収益物件1件を3億56百万円で購入したことによるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ31億1百万円減少し、93億78百万円となりました。これは主として工事の順調な竣工と堅調な売上により、1年内返済予定の長期借入金が25億56百万円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ34億92百万円増加し、122億5百万円となりました。これは主として、2019年12月に調達した増資資金の一部を収益物件に係る長期借入金の返済に充当する一方、厳しい仕入環境の中でも好立地の土地購入を積極的に進めた結果、長期借入金が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ7億84百万円増加し、135億91百万円となりました。これは主として利益剰余金が7億48百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動における資金の減少が、財務活動における資金の増加を上回ったため、前連結会計年度末に比べ17億4百万円減少の71億93百万円となりました。

 これは主に、コロナ禍においても高騰が続く都心の不動産市場と、投資用ワンルームマンション市場を取り巻く状況、低金利下の金融市場等を総合的に判断し、好立地に絞った用地に関しては大型物件についても積極的に購入してきたため、仕掛販売用不動産が増加し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなったことによるものであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による資金の減少は、14億34百万円(前連結会計年度は11億43百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を計上する一方で、たな卸資産及び法人税等の支払額が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、3億91百万円(前連結会計年度は8億36百万円の減少)となりました。これは主に収益物件1件を3億56百万円で購入するなど有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、1億21百万円(前連結会計年度は32億96百万円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済及び配当金の支払により資金が減少する一方で、自社開発用地のための長期借入金がすべて調達できたことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは不動産事業及びホテル事業を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

セグメント名称

当連結会計年度

自 2020年7月1日

至 2021年6月30日

販売高(千円)

割合(%)

前年同期比(%)

不動産事業

不動産開発販売

20,257,459

96.7

△4.2

 

不動産仕入販売

199,853

1.0

△50.7

 

その他

473,561

2.2

2.7

 

20,930,875

99.9

ホテル事業

24,528

0.1

合計

20,955,404

100.0

△4.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社グループは、前連結会計年度まで「不動産事業」の単一セグメントとしておりましたが、当連結会計年度より「不動産事業」及び「ホテル事業」の2区分に変更したため、不動産事業における事業内容別の売上高を除き、セグメント別の前年同期比は記載しておりません。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の販売高合計に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2019年7月1日

至 2020年6月30日

当連結会計年度

自 2020年7月1日

至 2021年6月30日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

A社

4,175,000

19.9

B社

2,338,810

11.2

株式会社アセットリード

1,169,857

5.3

2,249,535

10.7

C社

9,026,255

41.0

株式会社明和

4,828,822

21.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.A社、B社及びC社と当社の間に守秘義務契約があるため、社名の公表は控えさせていただきます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

 当連結会計年度における売上高は、2020年8月6日に開示しました決算短信における業績予想を超える209億55百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。

 これは、主に、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、仕入や営業活動が制約され、社員の出社制限も続く中、これまで進めてきた販売先の多角化により、契約済みの全物件を予定どおり売却できたことに加え、木目細かい工程管理により順調に工事竣工となった2022年6月期販売予定物件の一部9戸が、旺盛な投資用ワンルームマンション需要を背景に、当連結会計年度に計上されたことによるものと認識いたしております。

 

b.営業利益

 当連結会計年度における営業利益は、23億21百万円(前連結会計年度比6.6%減)と、売上高と同じく予想数値を上回りました。

 これは、主に、長年にわたる徹底したモノづくりにこだわる当社グループの姿勢が販売先から高く評価され、適時かつ最適な販売活動の結果、数物件について当初想定以上の価格で売却できたことによるものであり、当社グループが重要指標とする売上総利益率は、前連結会計年度を0.7ポイント上回り18.1%となりました。

 しかしながら、開発用地の高騰と建築費の高止まりは数年来続いており、売上総利益率の低下傾向は今後も続くことから、一層の営業努力が必要であると認識いたしております。

 なお、販売費及び一般管理費は、不動産仲介に係る支払手数料の増加を主因として、前連結会計年度比1億29百万円増加しております。

 

c.経常利益

 当連結会計年度における経常利益は、20億80百万円(前連結会計年度比5.4%減)となりました。

 当社グループは、開発プロジェクトにおける開発用地資金を金融機関からの間接金融によって賄っているため、開発プロジェクトの増加と建築工期を中心とした開発期間の長期化により、営業外費用である支払利息が増加する傾向がありますが、取引金融機関との良好な関係構築の結果、金融関連費用は減少しております。

 なお、長期にわたる低金利政策は当面は継続するものと認識しておりますが、金融機関の動向については、今後も常に留意してまいります。

 

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、12億81百万円(前連結会計年度比14.9%減)となりました。これは、経常利益に特別損益項目を加減し、法人税等合計及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いたものであります。

 前連結会計年度は特別損益が発生しませんでしたが、当連結会計年度においては、特別利益には新株予約権戻入益7百万円を計上、特別損失には減損損失1億16百万円等を計上いたしました。

 法人税等合計については、前連結会計年度は6億81百万円、当連結会計年度は6億46百万円でした。また、法人税等調整額は、前連結会計年度は2百万円、当連結会計年度は47百万円となり、利益を減少させております。なお、当社では基本的な配当方針として、親会社株主に帰属する当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値の40%を配当することとしております。

 非支配株主に帰属する当期純利益につきましては、2020年3月に子会社による優先株式を発行したことから発生したもので、当連結会計年度は43百万円が計上されております。

 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

a.財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、主に投資用又は分譲用のマンション開発販売事業を行うための事業計画に照らして、必要な資金を主に銀行からの長期借入により調達しております。長期借入金の返済期間は、事業計画における竣工・販売時期に対応して概ね2年~2年半であります。一時的な余資は主として安全性の高い金融資産(銀行預金)にて運用しております。

 

b.経営資源の配分に関する考え方

 資金の流動性における最大の項目である現金及び預金については、当社は過去のリーマンショックの経験から、東京23区、駅徒歩10分以内という当社開発用地における土地価格の下落率を最大35%と想定し、毎月の用地購入から売買契約締結前のたな卸不動産総額の35%を確保するとともに、2年分の固定経費を保持することを目安としております。

 

c.資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要の主なものは、不動産開発事業における開発用地の取得及び建築工事代金等のプロジェクト資金であります。資金調達につきましては、各プロジェクトや物件ごとに取引金融機関より調達しており、調達コストの低減に留意しつつ、借入金並びに現金及び預金の残高を検討材料としております。

 

d.資金調達

 当社グループは、事業活動の維持及び将来の成長のために必要な資金について、安定的かつ機動的に確保することに努めております。

 設備投資は、内部資金及び外部資金を有効に活用して実施してまいります。当社グループは販売先の多様化を目的に、2020年6月竣工のホテルを自社保有しております。

 当社グループは将来の大規模な経済変動を見据え、2019年12月の20億円強の増資及び2020年3月の子会社による15億円の優先株式の発行により、35億円強をグループとして調達しております。

 当社グループは、資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、多数の金融機関と良好な関係を構築する一方で、新たな金融機関との取引開始による間接金融の拡大、エクイティ等の直接金融での資金調達を実施し、資金調達の円滑化と多様化に努めております。また、主要な取引金融機関とは良好な取引関係を長期にわたり維持しており、必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題ないと認識しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況

 当社の経営方針・経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標は売上総利益率であります。当連結会計年度の売上総利益率は、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.営業利益」に記載のとおり、前連結会計年度を0.7ポイント上回り18.1%となりました。

 当連結会計年度の実績値は、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益のいずれについても、2020年8月6日に開示いたしました決算短信における2021年6月期の連結業績予想数値を上回ることができました。

 当連結会計年度における予想数値に対する実績の状況を示すと、次のとおりであります。

項目

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に

帰属する

当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

予想数値 (A)

20,000

2,050

1,770

1,100

35.06

実績値  (B)

20,955

2,321

2,080

1,281

40.85

差額   (B)-(A)

955

271

310

181

5.79

予想比  (%)

     (B)/(A)

104.8

113.3

117.6

116.5

116.5

 

 売上高が予想数値を上回った主因は、投資用ワンルームマンション販売について、当連結会計年度の販売予定物件が完売したこと、及び2022年6月期販売予定物件の一部9戸が当連結会計年度に計上されたことによるものであります。

 営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が予想数値を上回った主因は、適時最適な販売活動の結果、当初想定以上の価格で売却できた物件があったことによるものであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。