文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社を中核とする京王グループは、運輸、流通、不動産、レジャー・サービス等幅広い事業を通じて、お客様のより良い暮らしを創造していくことにより、地域の発展と幸せな暮らしの実現に貢献することを基本方針としております。グループとしての存在価値を明文化した「京王グループ理念」を制定し、この理念を具現化するため、「京王グループ経営ビジョン」に基づき、当社グループの競争力の強化に取り組むとともに、法令・倫理を遵守し、地域社会貢献活動を行うなど、企業価値・株主共同の利益および沿線価値の向上に努めております。
<京王グループ理念>
また、多くのお客様の人命を預かる鉄道事業者である当社は、「輸送の安全性」の確保という、極めて重要な公共的使命を担っております。当社はこの使命を果たし続けていくことで、お客様に「安心」を提供し、当社グループ全体の信頼性を向上させてきたと自負しており、このことは当社の企業価値の根幹をなすものと考えております。当社は、今後もその使命を果たすため、より一層「経営の安定性」を高め、鉄道事業における安全対策をはじめ、「事業の継続性」を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を積極的に行う等、「信頼のトップブランド」を確立してまいります。
当社グループでは、「京王グループ理念」の中に掲げる「信頼のトップブランド」の確立を目指して、当社グループの競争力の強化、財務健全性の確保、法令・倫理の遵守、地域社会貢献活動の実施など、企業価値・株主共同の利益の向上に資する経営に努めております。今後もグループ全体の持続的な成長のため、当社グループが長年培ってきた有形・無形の経営資源を維持・活用しながら、以下の施策に取り組んでまいります。
第一に、社会に不可欠なインフラを提供する公共輸送機関として安全確保を最重要課題とし、中長期的な視点で社会的責任を果たしてまいります。
第二に、当社沿線が将来にわたって活力を維持できるよう、拠点開発の推進や地域活性化に多角的に取り組んでまいります。
第三に、お客様の多様化するニーズや生活スタイルの変化を捉えた施策を継続的に実施することで、将来にわたり発展、成長する企業グループを目指してまいります。
第四に、法令の遵守、地球環境への配慮など、企業の社会的責任を果たす取組みを当社グループ全体で続けてまいります。
第五に、企業価値の源泉である「輸送の安全性」の実際の担い手である当社グループの従業員を中長期的な視点で育成するとともに、「安全の確保」を最重要事項と考える企業文化を堅持してまいります。
第六に、事業の継続性に留意した資本政策のもと、成長に向けた投資や事業の選択と集中など様々な取組みの実施と完遂を目指してまいります。
足元の日本経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦や相次ぐ自然災害の発生、消費税率引上げの影響などにより、先行き不透明な状況が続きました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により、景気の先行きは極めて厳しい状況となり、訪日外国人旅行客が急激に減少したほか、外出自粛により国内個人消費も低迷するなど、当社グループの事業活動にも大きな影響を受けることとなりました。
一方で将来に目を向けますと、東京都の人口が2025年にピークを迎え、当社沿線の自治体の一部では2025年を待たずに人口減少に転じると予測されるとともに、2021年度以降には、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業の完了や新宿再開発などへの大規模投資が予定されております。こうした将来の事業環境の変化を捉え、当社グループが成長を続けられるよう、再開発エリアの将来構想など長期的な課題の解決、業務効率化・生産性向上、事業の選択と集中を推進し、さらなる企業価値の向上に取り組む必要があります。
当社グループでは、2015年度からの6年間を3年ずつに区切り、2020年度を目標年度としてあるべき姿を描いたうえで、前半3カ年において、“成長に向けた土台作り”を進め、後半3カ年においては、“成長の実現”に向けた収益力強化に取り組むとともに、コーポレート・ガバナンス体制に関する検討を進めてまいりました。当社では、この検討の結果を踏まえ、経営体制の強化と意思決定の迅速化をはかるため、監査等委員会設置会社に移行するとともに、執行役員制度を導入いたしました。
この新たな体制のもと、将来の事業環境の変化を捉え、当社グループが成長を続けられるよう、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。
こうした取り組みの一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、当社グループにおいても事業活動に大きな影響を受けております。当社グループは社会インフラを担う企業グループとして、新型コロナウイルスの感染防止対策の徹底や危機管理体制の強化に取り組むほか、きめ細やかな増収策や適切なコストコントロール、グループ会社間の連携強化などの対策に取り組み、鉄道をはじめとした事業の安定的な運営を確保してまいります。
2020年度においては、以下に記載する各施策について、新型コロナウイルス感染症の影響を見極めながら柔軟に対応し、グループ一丸となってこの難局を乗り越えてまいります。
鉄道事業では、引き続き「安全に関する基本方針」の徹底をはかります。また、「有責事故ゼロ 運転事故・輸送障害発生件数の前年比削減」を安全目標と定め、事故・トラブルの未然防止に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症に対し十分な対策を講じながら、社会的使命である「輸送の安全」のための取組みをハード・ソフトの両面から進めます。
<安全に関する基本方針>
道路と鉄道を立体交差化し、25か所の踏切を廃止する京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業については、引き続き事業主体である東京都とともに用地取得や高架化工事などを進めます。ホームの安全性向上策については、飛田給駅1番線でホームドアの使用を開始し、同駅でのホームドア設置工事を完了するほか、下北沢駅でホームドア設置のためのホーム補強工事を進めます。また、安全・防犯対策の強化をはかるため、引き続き踏切や車両などへの監視カメラの設置を進めてまいります。さらに、台風など気象災害への備えとして、お客様の安全を確保するため、計画運休など防災行動計画に基づいた事前の対策に取り組むほか、10月の台風19号上陸の際に顕在化した河川氾濫等のリスクを踏まえ、ハザードマップ(被害予測地図)を活用し、ハード・ソフトの両面から対応策を検討するなど、安全確保と施設の機能保全をはかります。加えて、新線新宿駅の改札外において旅客エレベーターを新設するとともに、京王線新宿駅のコンコース・ホームにおいてスペースの有効活用策を推進するなど、駅リフレッシュ工事に取り組みます。また、仙川駅において駅ビルに直結する改札口を新設するなど、お客様サービスの向上に努めます。
収益力の向上については、他の鉄道事業者などと連携した乗車券を企画し、販売に取り組むほか、座席指定列車「京王ライナー」について、お客様の需要に応じて臨時列車を運行します。また、広告収入の増加をはかるため、列車内への液晶ディスプレイの設置を進めるほか、京王線新宿駅において、デジタルサイネージの新設や、駅構内の壁面広告スペースのリニューアルと販売方法の見直しを行います。
沿線拠点の活性化に向けて、下北沢駅東側高架下で商業施設の建設工事を進めるほか、「ぷらりと京王府中」東側高架下の飲食店エリアのリニューアルに取り組みます。また、当社グループの重要拠点である新宿地区について、2019年12月に決定・公表された、新宿駅周辺の新たな都市計画に基づき、将来的な再開発による価値向上を目指し、引き続き関係者との協議や開発計画の検討を進めます。
「京王ほっとネットワーク」では、ニーズ拡大が見込まれる家事代行サービスの受注件数の増加に取り組むとともに、移動販売サービスについて、販売場所の見直しや新規展開を行い、沿線のお客様の利便性向上をはかります。
不動産業について、仲介事業の都心エリアへの進出の準備を進めるほか、店舗配置網の最適化など、経営資源の効率化を検討します。また、リノベーション事業において、小規模オフィスなど住宅以外にも取扱い物件を拡大するなど見直しを進め、収益の安定化をはかります。
ホテル業について、新型コロナウイルスの感染拡大による急激な需要減に対応するとともに、需要回復後の営業強化に向けた取り組みを着実に進めます。「京王プラザホテル(新宿)」では、南館10階を客室に改装するほか、「京王プレリアホテル 京都烏丸五条」および「京王プレリアホテル 札幌」について、認知度およびブランド力の向上をはかるとともに、グループホテルとの連携による販売力の強化に取り組みます。また、「高山グリーンホテル」において、新館「桜凛閣」を開業します。このほか、当社グループの事業基盤を強化するためのM&Aや業務提携を検討・推進するとともに、不動産業において新たな収益物件の取得を推進します。加えて、沿線住宅地と観光エリアのそれぞれの地域を対象として、MaaS(様々な移動手段を一元的に提供するサービス)の検討を進めます。
当社は、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる充実をはかるため、監査等委員会設置会社に移行し、取締役会の透明性・公正性の向上をはかるとともに、執行役員制度を導入し、経営体制の強化と意思決定の迅速化をはかってまいります。また、役員報酬制度を見直し、中長期的な業績向上および株主価値の最大化に貢献する意識を高めることを目的に株式報酬制度を導入します。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に取り組むとともに、長期的な課題の解決に向け、組織体制の効率化や生産性の向上をはかってまいります。
リスク管理体制強化に向けた取り組みでは、危機管理部門の組織再編を行い、激甚化する自然災害や新型コロナウイルス感染症の拡大など、企業経営に重大な影響をおよぼす危機への対応力を高めるとともに、BCP(事業継続計画)の見直しを進め、各事業の安定的な運営にグループ全体で取り組んでまいります。また、不祥事・不正行為発生リスクを抑制するため、遠隔地事業拠点なども対象とした重点的な監査に取り組みます。
働き方改革においては、業務の削減および自動化などを引き続き進め、効率性を高めるとともに、社員参加型プロジェクトなどの推進を通じ、社員のモチベーション向上と業務の付加価値向上に取り組みます。
当社グループでは、すべての事業において「京王グループ理念」および「京王グループ行動規範」に則った活動を積極的に推進しております。
環境面においては、各事業の特性に応じて、CO2排出量削減など環境負荷低減策に取り組みます。鉄道車両の省エネルギー化では、より消費電力削減効果に優れたVVVFインバータ制御装置への更新を進めます。また、当社が保有するビルについて、空調機の更新や照明のLED化など省エネルギー化に取り組みます。
社会的な側面においては、多世代が共に生き、交流する沿線づくりとして、子育て世代を対象とした事業や高齢者住宅事業などに取り組みます。また、多様な人材雇用や女性の活躍推進、ワークライフバランスの推進など、働きやすい職場作りにも取り組みます。
今後も株主の皆様をはじめとして、お客様、お取引先など、ステークホルダーの皆様と対話を重ね、これら社会的責任を果たす活動に継続して取り組み、沿線とともに成長し、地域社会への貢献に努力し続けます。
2018年度から2020年度までの中期3カ年経営計画は、「成長の実現ステージ」と位置付け、収益・利益面では、最終年度である2020年度には営業収益4,700億円、営業利益480億円、純利益300億円、営業利益率10%、ROA5%の達成を目標としておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、訪日外国人旅行客が急激に減少したほか、外出自粛により国内個人消費も低迷するなど、当社グループの事業活動においても大きな影響を受けております。通常の事業活動が見通せない現時点の状況を踏まえ、2020年度の連結業績予想および経営指標は未定としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、訪日外国人旅行客が急激に減少したほか、外出自粛により個人消費も低迷するなど、現在、当社グループの事業活動においても売上の減少等の大きな影響が生じております。当社グループでは、当社を中心に新型コロナウイルス感染症への対策としてBCP(事業継続計画)に基づき、社長を本部長とする対策総本部を立ち上げ、社会インフラを担う企業グループとして、感染拡大防止と事業活動の継続に取り組んでおります。また、必要な流動性資金を十分に確保するため、コマーシャルペーパー(CP)や社債の発行のほか、借入金の調達などで手元資金の拡充をはかっております。
当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業で、多くの施設やコンピューターシステムなどの設備を保有するとともに、多数の従業員が業務に従事しております。また、当社グループが展開する各事業では、不特定多数のお客様を対象顧客としております。地震、台風等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、営業休止やお客様の減少等により売上が減少するほか、施設等の復旧費用が発生するなど、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、特に鉄道事業において中期3カ年経営計画(2018~2020年度)の中で「自然災害への対応力と危機管理体制の強化」を掲げるなど、安全性向上に向けた取り組みを行っております。台風への対応では、防災行動計画(タイムライン)を策定しており、運用上の改善を図りながら、鉄道の計画運休をはじめとした各種対策に取り組んでおります。
当社グループは、多数のコンピューターシステム等の情報通信ネットワークを活用して事業を行っているほか、お客様の個人情報を含む機密情報を保持しております。そのため、サイバーテロ等の第三者による妨害行為や機器の故障等により重大な障害が発生した場合や、個人情報の持ち出しやシステムの設計不備等により個人情報が流出した場合、システム復旧やお客様への損害賠償等による費用が発生するほか、当社グループの信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、リスク管理委員会の中に情報セキュリティ分科会を設け、情報管理基本方針を定めているほか、HDD(ハードディスクドライブ)の廃棄方針をはじめとしたマニュアル・ガイドラインの整備やPDCAサイクルの確立等、体制整備を推進しております。また、「京王グループ個人情報保護方針」を公表するとともに、「京王グループ個人情報管理体制」を構築し、個人情報の適切な管理に努めております。
当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業において関係法令を順守し、コンプライアンス体制の整備・拡充に努めておりますが、これらに反する行為が発生した場合、当社グループの信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当社「コンプライアンス委員会」が中心となって、グループ全体のコンプライアンス体制を推進し、コンプライアンスに関する各種取組みの検証や改善策の検討等を行っています。
人為的要因を含む機器の誤作動などによるトラブルや事故、踏切などにおける第三者に起因する事故、テロ等不法行為による被害等により、当社グループにおける施設に損害が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では、皆様から信頼され、愛される鉄道であるために、「『安全』は最大の使命であり、最高のサービスである」ことを常に意識し、「全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る」ことを最大の命題として、日々の業務に取り組んでおります。変電所火災の発生を受けて、使用電力抑制等により通常運行への早期回復に取り組んだほか、再発・被害拡大防止策として作業確認ルールの制定や異常発生を知らせる通信回線の二重化などを進めております。
また、当社グループは、流通業などで食品の販売等を行っております。当社グループでは、食品の安全性確保に十分留意しておりますが、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題などが発生した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、風評等により売上が減少することなどにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収を行っており、また、将来行うことがあります。買収にあたっては対象会社の収益性や潜在的リスクの精査等を十分に行っておりますが、企業買収前に想定していなかった事実の発覚や企業風土の違いから、計画どおりに成果が上がらず、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
高齢化の進行により、安全対策、バリアフリー化などの設備投資の増加が見込まれるほか、少子化による将来的な人口の減少により、当社グループの鉄道、バス、タクシー等に対する旅客輸送需要を減退させ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、京王グループ理念のもと、鉄道、バスをはじめとした幅広い事業を通じて、お客様にとって利便性が高く快適と感じるような生活サービスを提供することで、沿線地域が将来にわたって発展し、「住んでもらえる、選んでもらえる」沿線づくりを進めています。
当社グループは、鉄道事業を中心に、当社沿線を主たるマーケットとして事業を展開しており、国内の経済情勢の影響を受けております。消費の低迷、販売価格の低下、賃貸不動産賃料の減額、観光市場の低迷、所有資産の価値低下、原材料価格や電気代・軽油費等のエネルギー価格の高騰などが、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
鉄道運送事業者の旅客運賃等については、鉄道事業法第16条により、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(総括原価)を超えないことを、国土交通大臣が審査して認可することとなっております。この規制により、当社の事業活動が制限され、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、鉄道事業以外でも、当社グループが展開する各事業については、様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規則・開示制度等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有利子負債残高の大半は固定金利で調達した長期借入金、社債の長期資金であるため、市場金利の変動による影響は限定的であると考えております。また、当社は日本の格付機関よりAAの格付を取得しておりますが、この格付は合理的な説明が付されていない有利子負債の増加などにより、絶えず見直される可能性を有しているため、慎重な対応が必要となっております。格付の引下げが行われた場合、資金調達コストが上昇し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、キャッシュマネジメントシステム(CMS)によりグループ内の余剰資金を最優先に活用し、そのうえで不足する資金については、経済情勢や金利動向を踏まえ適時適切な調達を行うことで、経営環境に対応した有利子負債の適正な管理に努めております。
当社グループは、株式等の投資有価証券を保有しており、企業年金資産においても多くの株式・債券等を保有しているため、株式・債券市況の低迷や投資先の自己資本の悪化等が生じた場合には、評価損や売却損の計上、年金資産評価額の下落による退職給付費用の増加、その他有価証券評価差額金の減少による自己資本比率の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、保有する有価証券および投資有価証券について、時価の変動や発行体の財務状況等について定期的な確認を行っており、また、当社の企業年金資産においては、社内規程に基づき、資産配分の状況や見直しの必要性について定期的な検証を実施しております。
当社グループは、海外事業に関する情報収集、動向調査を行っており、将来的に政治情勢や為替レートの急激な悪化等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの連結営業収益は、その他業を除く各セグメントで減収となり、4,336億6千9百万円(前期比3.1%減)、連結営業利益は、その他業を除く各セグメントで減益となったことから360億2千4百万円(前期比10.1%減)となりました。連結経常利益は346億8千4百万円(前期比11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は178億7千5百万円(前期比34.3%減)となりました。
なお、連結EBITDAは、722億9千2百万円(前期比5.8%減)となりました。
また、連結減価償却費は、358億6千2百万円(前期比1.1%減)となりました。
(注)連結EBITDAは、連結営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額により算出しております。
セグメントごとの経営成績の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、譲渡性預金の減少などにより126億5千万円減少し8,766億9千1百万円となりました。
負債は、社債の償還などにより180億8千2百万円減少し5,032億3千6百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより54億3千2百万円増加し、3,734億5千4百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少などにより、流入額は前連結会計年度に比べ104億6千3百万円減少し、501億5千7百万円となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出の増加などにより、流出額は前連結会計年度に比べ29億6千2百万円増加し、505億7千万円となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や長期借入金の返済による支出などにより、流出額は156億1千1百万円となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は419億1千2百万円となりました。
また、有利子負債の当連結会計年度末残高は、3,295億1百万円となりました。有利子負債の連結会計年度末残高については、第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)〔連結財務諸表〕⑤〔連結附属明細表〕をご参照ください。
(注) 有利子負債は、借入金+社債により算出しております。
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況においてセグメントごとの営業収益を示すこととしております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。
当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式の評価、時価が著しく下落した場合の回復可能性については、当社グループで定める「金融商品取扱規程」により合理的に判断しておりますが、価格変動リスクを負っているため、将来、損失が発生する可能性があります。
当社グループは多くの固定資産を保有しております。これらの価値は個別物件の将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が翌連結会計年度(2021年3月期)の一定期間にわたり継続するものの、収束に向けて段階的に回復することを想定し、将来キャッシュ・フロー等の見積りを行っております。
当社グループの退職給付債務および費用は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しているため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得等を合理的に見積っております。そのため、将来の課税所得の見積額等に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額または減額され、税金費用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が翌連結会計年度(2021年3月期)の一定期間にわたり継続するものの、収束に向けて段階的に回復することを想定し、繰延税金資産の回収可能性等の見積りを行っております。
当期のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦や相次ぐ自然災害の発生、消費税率引上げの影響などにより、先行き不透明な状況が続きました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により、景気の先行きは極めて厳しい状況となりました。
このような情勢のもとで、当社グループは、2018年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」に基づき、戦略投資案件の収益化および事業の選択と集中など、“成長の実現”に向けた諸施策を推進してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、訪日外国人旅行客が急激に減少したほか、外出自粛により国内個人消費も低迷するなど、当社グループの事業活動にも大きな影響を受けることとなりました。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
鉄道事業では、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業について、事業主体である東京都とともに用地取得を進めたほか、芦花公園駅において駅ホームを仮設化し、土留工事に着手するなど高架化のための準備工事を進めました。ラグビーワールドカップ2019™に向けた取組みでは、会場最寄り駅の飛田給駅において昨年度使用を開始した2番線に続き3番線でホームドアの使用を開始したほか、鉄道の運行状況に関する案内の多言語化を進めました。また、安全・防犯対策の強化等を目的として、踏切などに監視カメラを設置したほか、京王線の車両全編成の運転台に前方監視カメラを設置しました。さらに、試合当日は駅や踏切に係員を配置するなどの対策に取り組み、大会期間中の安全輸送を確保しました。ダイヤ改正においては、好評をいただいている座席指定列車「京王ライナー」について、5000系車両1編成を増備し、平日の朝間および夕夜間時間帯の運行を拡大しました。また、高尾線で始終発時刻の繰上げ繰下げを実施するなど利便性向上をはかりました。このほか、相模原線に設定している加算運賃について、建設事業費の回収が進捗してきていることから、引下げを実施しました。自然災害への備えについては、鉄道施設の耐震補強工事や大雨・落雷対策工事を引き続き進めました。また、9月および10月に上陸した台風への対応として、防災行動計画に基づいた計画運休を実施したほか、事前の線路等の巡回・点検結果に基づき復旧用の機材を配備し、早期の運転再開をはかりました。安全性向上策では、下北沢駅でホームドア設置のためのホーム補強工事に着手したほか、分倍河原駅など3駅でホーム転落防止固定柵を設置しました。また、新宿駅および渋谷駅において、混雑時でもお客様の動線に支障をきたさないようにするため、ホーム上の売店の移設工事を進めました。営業面では、渋谷駅および調布駅の駅構内にデジタルサイネージを増設し、増収をはかりました。環境への取組みでは、車両について、より消費電力削減効果に優れたVVVFインバータ制御装置への更新を引き続き進めたほか、駅構内などで照明のLED化に取り組みました。
バス事業では、路線バスにおいて、府中駅を発着する循環路線の一部について、JR西国分寺駅への乗り入れを開始し、利便性向上をはかりました。また、高速バスにおいては、渋谷木更津線(渋谷~袖ケ浦・木更津)を新設するなど増収施策を推進しました。
タクシー業では、京王自動車㈱において、帝都自動車交通㈱と業務提携し、無線やスマートフォンアプリによる共同配車を開始するなど、都区内でのお客様の利便性向上をはかりました。
鉄道事業では、雇用情勢の改善や沿線人口の増加に加え、座席指定料金収入の増加などがあったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などにより、旅客運輸収入が1.9%減(うち定期0.0%増、定期外3.5%減)、鉄道事業の営業収益合計が1.5%減となりました。また、バス事業においても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により路線・高速などで減収となりました。これらの結果、営業収益は1,296億5千9百万円(前期比1.9%減)、営業利益は133億4千5百万円(前期比9.3%減)となりました。
百貨店業では、「京王百貨店」新宿店において、中地階の惣菜売場の改装を完了し、出来立て惣菜の提供を強化するなど集客力強化をはかりました。
ストア業では、「京王ストア」高幡店において、惣菜売場の強化など店舗改装を実施しました。また、コンビニエンスストア「K-SHOP」飛田給店、下北沢店をそれぞれオープンいたしました。
ショッピングセンター事業では、「キラリナ京王吉祥寺」において、より幅広い年代と多様なライフスタイルを持つお客様にご利用いただけるよう改装し、2階フロアの一部を食物販エリアとしたほか、4階から6階フロアにおいてファッション・コスメ・雑貨のテナント構成を充実するなど、集客力強化をはかりました。また、「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター」では、B館2階フロアに食物販・カフェなどを導入し、一部店舗の開店時間を早めるなど、駅利用者の利便性向上をはかりました。
このほか、東府中駅改札前に、「ベーカリー&カフェ ルパ」、「K-SHOP」などからなる駅ナカ複合店舗をオープンいたしました。
百貨店業では、天候不順や消費税率引上げの影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による訪日外国人旅行客の急激な減少や外出自粛、営業時間短縮等による来店客数の減少などにより減収となりました。一方、ストア業では、前年度に開業した店舗が寄与したほか、衛生用品や食料品の売上増などがあり増収となりました。これらの結果、営業収益は1,621億8千万円(前期比2.5%減)、営業利益は44億円(前期比14.4%減)となりました。
不動産賃貸業では、企業の独身寮として使用されていた建物をシェア型賃貸住宅「シェアプレイス三鷹」としてリノベーションし、入居を開始したほか、賃貸住宅「フィシオ久我山」、「MODIER ICHIGAYA」の賃貸をそれぞれ開始しました。また、新宿区新宿三丁目の既存のビルをリノベーションし、「京王新宿追分第二ビル」として賃貸を開始したほか、中央区日本橋のオフィスビルを取得するなど、引き続き賃貸資産の拡充に努めました。
不動産販売業では、集合住宅一棟全体をリノベーションし分譲する事業において、「リアージュ砧テラス」の販売を開始しました。また、集合住宅「グリーンリーフ世田谷喜多見」を一棟販売しました。
このほか、既存の建物を宿泊者や地域の人々が交流できる場を備えたシェア型複合ホテルにリノベーションし、運営する事業では、「TSUGU 京都三条」、「KIRO 広島」をそれぞれオープンしたほか、「KAIKA 東京」が竣工し、開業に向けた準備を進めました。
不動産賃貸業では、前年度に取得した物件が寄与したことなどにより増収となりました。一方、不動産販売業では、リノベーション物件や投資用マンションの売上減などにより減収となりました。これらの結果、営業収益は453億3千3百万円(前期比9.3%減)、営業利益は91億9千9百万円(前期比2.5%減)となりました。
ホテル業では、「京王プラザホテル(新宿)」において、本館31階の客室を改装し、最大5名までの宿泊が可能な「ラグジュアリーファミリールーム」としたほか、本館25階と26階の客室を改装しました。また、「京王プラザホテル多摩」の客室の一部について、㈱サンリオとタイアップしたキャラクタールームに改装しました。「京王プレッソイン九段下」については、全館改装を実施し、「京王プレッソイン東京九段下」としてリニューアルオープンいたしました。また、宿泊特化型アッパーミドルホテル「京王プレリアホテル 札幌」を開業したほか、「高山グリーンホテル」において、客室を主体にレストラン・宴会場を備えた新館「桜凛閣」が竣工し、開業に向けた準備を進めました。
このほか、台湾茶ドリンク専門店「HAPPYLEMON」キラリナ京王吉祥寺店、京王下北沢店をオープンいたしました。
ホテル業では、前年度に開業した「京王プレリアホテル 京都烏丸五条」、2019年5月に開業した「京王プレリアホテル 札幌」が寄与したものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、宿泊および料飲・宴会の需要が急速に減退したことなどにより減収となりました。また、旅行業においても、取扱高の減少などにより減収となりました。これらの結果、営業収益は740億8千8百万円(前期比7.9%減)、営業利益は43億4千3百万円(前期比37.8%減)となりました。
子育て支援事業において、企業主導型保育所「京王キッズプラッツ多摩センター」を開業しました。
沿線住民の暮らしに役立つサービスを提供する「京王ほっとネットワーク」では、多摩ニュータウンを中心に実施している食料品等の移動販売について、販売車両を増備し、八王子市内の販売拠点数を増やしました。
ビル総合管理業では、味の素スタジアムにおいて通信設備増設工事を受注したほか、本年4月に立川市緑町で街びらきした新街区「GREEN SPRINGS」において、ホテルやコンサートホールなど建物8棟の設備管理業務を受注するなど収益拡大をはかりました。このほか、岩手県宮古市において太陽光発電事業を開始しました。
ビル総合管理業や車両整備業では、受注増などにより増収となりました。これらの結果、営業収益は670億3千5百万円(前期比2.8%増)、営業利益は57億5千9百万円(前期比9.7%増)となりました。
2018年度から2020年度までの中期3カ年経営計画においては、鉄道事業において京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業の推進など安全性向上を中心とした投資のほか、ホテル・インバウンド事業など、中長期的な成長を見据えた投資を推進してまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、当社グループの事業活動においても大きな影響を受けております。通常の事業活動が見通せない現時点の状況を踏まえ、2020年度の資本的支出の予想は未定としておりますが、社会インフラを担う企業グループとして、各事業の安定的な運営を最優先させた上で、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業や新宿駅周辺再開発事業など、将来を見据えた中長期課題への必要な投資は、着実に推進してまいります。
2018年度~2019年度 連結資本的支出
2018年度~2019年度 鉄道事業投資額
重要な資本的支出に要する資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを充てるほか、不足する資金については、経済情勢や金利動向を勘案し、社債の発行や金融機関からの借入などによる調達を予定しております。なお、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、その設備資金は長期の負債(社債、長期借入金)を中心に調達してまいります。
短期的な運転資金は、運輸業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金を十分に確保しております。また、キャッシュマネジメントシステム(CMS)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しているほか、必要に応じてコマーシャルペーパー(CP)の発行による調達も実施してまいります。
当社グループでは、当社を中心に新型コロナウイルス感染症への対策としてBCP(事業継続計画)に基づき、社長を本部長とする対策総本部を立ち上げ、社会インフラを担う企業グループとして、感染拡大防止と事業活動の継続に取り組んでおり、必要な流動性資金を十分に確保するため、コマーシャルペーパー(CP)や社債の発行のほか、借入金の調達などで手元資金の拡充をはかっております。
(参考指標)
当社グループは、2018年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」に基づき、戦略投資案件の収益化および事業の選択と集中など、“成長の実現”に向けた諸施策を推進してまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、当社グループの事業活動においても大きな影響を受けております。通常の事業活動が見通せない現時点の状況を踏まえ、2020年度の連結業績予想および経営指標は未定としております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。