第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 京王グループ理念

当社グループでは、グループとしての存在価値を明文化した「京王グループ理念」を制定し、これをグループ内外に発信することで、グループ全体の価値観や方向性の共有化をはかっております。

 

<京王グループ理念>

私たち京王グループは、

 つながりあうすべての人に誠実であり、環境にやさしく、

「信頼のトップブランド」になることを目指します。

そして、幸せな暮らしの実現に向かって

生活に溶け込むサービスの充実に日々チャレンジします。

 

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

<京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)>

2025年度~2030年度までの6年間を事業期間とする新たな中期経営計画『HIRAKU 2030』(以下「本中期計画」といいます。)を策定しました。当社グループは2030年前後に大きな節目を迎えます。「新宿駅西南口地区開発計画」「橋本駅周辺開発」「京王多摩川開発プロジェクト」「京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業」など、大規模プロジェクトが2030年前後を目指して進行中です。人口減少下においても将来にわたって活気ある沿線エリアを実現するために、全力を挙げてこれらのまちづくり事業を完遂させなければなりません。

そして、2030年代から一層本格化するこれら大規模投資に備えた盤石な体制の構築を目指し、利益成長と資本効率の向上を推進します。

基盤である交通事業については、DXの活用により安全性と生産性の向上を両立させ、日本一安全でサービスの良い持続可能な交通を目指します。

京王沿線と当社グループにとって飛躍のタイミングとなる2030年度をターゲットとして「ありたい姿」を定め、お客様の幸せな暮らしの実現に貢献してまいります。

 

<ビジネスモデル>


 

 

<長期的に目指す沿線の姿>

現在の輸送需要のボリュームゾーンである新宿から15km圏内に加え、橋本駅を西の拠点として第二の輸送主軸を創出してまいります。

東西両端のターミナルに加え、中間地である調布エリアなど、沿線でのまちづくりを面的・同時並行的に推進することで、「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」、「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」という長期的にありたい姿の実現を目指します。

 


 

 

<基本方針>


 

 

<企業価値向上につながるKPIの設定>

本中期計画策定に際して、マテリアリティに対して実効性や進捗・寄与を管理できる新たな指標を設定したほか、複数の指標を連結全体での目標に拡大し、KPIと連動させた各施策を通じて、グループの成長と京王沿線を中心とした社会への価値提供に取り組んでまいります。

 


 

<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標>

連結営業利益、連結EBITDAを伸長させながら、還元も強化し、資産・資本効率性の向上をはかります。また、適切な財務レバレッジの追求に加え、2030年代の大規模投資の本格化に備え、財務の健全性も確保します。

 

 

 

 

(単位:億円)

 

2024年度

実績

2025年度

計画

2026年度

中期計画

2027年度

中期計画

 

2030年度

中期計画

連結営業利益

541

500

440

520

 

620

親会社株主に帰属する

当期純利益

428

410

300

368

 

450

連結EBITDA

869

850

824

939

 

1,061

ネット有利子負債

/EBITDA倍率

4.6倍

4.6倍

5.4倍

5.2倍

 

4倍台

連結経常利益ROA

4.8%

4.3%

3.6%

4.0%

 

4.5%以上

連結ROE

10.6%

9.7%

6.8%

8.0%

 

9.0%以上

 

(注)1.連結EBITDA=連結営業利益+減価償却費+のれん償却額

2.ネット有利子負債=有利子負債-現金及び現金同等物

3.連結経常利益ROA=連結経常利益÷総資産(期首・期末平均)

4.連結ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷純資産(期首・期末平均)

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、公共交通事業者としての社会的責務を果たすという使命を軸に、流通業、不動産業、レジャー・サービス業など幅広い事業を通じて、幸せな暮らしの実現や地域の発展を目指してまいりました。当社グループでは、このような幅広い事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値の向上を目指す旨を明文化した、「京王グループ サステナビリティ基本方針」を策定しています。

 

 <京王グループ サステナビリティ基本方針>

当社の交通ネットワークが広がる沿線地域を事業基盤としている私たちは、

京王グループ理念に基づく誠実かつ環境に優しい事業活動を通じ、

交通サービスを中心とした暮らしにおける「安全・安心」を提供し続けます。

そして時代の変化にいち早くきめ細やかに対応しながら多様化するライフスタイルを牽引し、

地域やパートナーと共に多世代が交流・躍動する「まちづくり」に取り組むことで、

持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値を向上させてまいります。

 

 

(1)ガバナンス

当社グループではサステナビリティの視点を踏まえた経営を推進するため、当社代表取締役社長 社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。同委員会では、サステナビリティに関する全社方針や推進体制の整備、サステナビリティを巡るリスク・機会の把握、マテリアリティの設定と指標と目標策定・実績把握等について審議・決定を行い、当社取締役会に報告することとしています。 また、グループ共通課題についてはグループ会社や各部門と連携しながら対応しています。

 

<サステナビリティ推進体制>

 


 

 

<マネジメントサイクル>


 

<当連結会計年度における開催状況等>

開催時期等

主な審議内容

2024年7月

 

 

2024年9月

2025年3月

 

計3回

・非財務KPI振り返りと、次期中期経営計画に向けた非財務KPIの議論

・人権に関する取組みと今後の流れ

・サステナビリティに関するグループ共有の場の設定

・統合報告書発行と2023年度非財務KPI実績について

・次期中期経営計画に向けた非財務KPIの見直しについて

・環境に関する外部動向とCO削減量見通しについて

 

 

(2)リスク管理

当社では、「鉄道安全管理委員会」「拡大鉄道安全管理委員会」「リスク管理委員会」「内部統制委員会」を設置し、リスクの把握と対応に努めています。

「鉄道安全管理委員会」では、安全統括管理者(鉄道事業本部長)を中心に、他社で発生した事案も含めて事故・トラブルの原因を把握し、対応策の検討・検証などを行っています。また、代表取締役社長 社長執行役員が出席する「拡大鉄道安全管理委員会」を年2回開催し、鉄道事業の安全管理体制全般のマネジメントレビューを行っています。

「リスク管理委員会」では、「京王グループリスク管理方針」のもと、リスク低減と事故・トラブルの発生防止を目的として、対策重点項目の設定と対策の実施状況の確認を行っています。

「内部統制委員会」では、「京王グループ内部統制システムに関する基本方針」のもと、リスク管理に関わる事項や内部監査・財務報告に係る内部統制について、整備状況を確認・検証し、必要に応じた見直しを行っています。

サステナビリティを巡るリスクと機会については、これらの委員会で審議した事項も踏まえて、「サステナビリティ推進委員会」で認識・評価を行い、対応について経営計画に反映させ、当社取締役会に報告しております。

なお、気候変動におけるリスクと機会(鉄道事業)については下図の通りです。この他のマテリアリティに関するリスクを含む、当社グループ全体のリスクについては、第2〔事業の状況〕3〔事業等のリスク〕に記載しております。

 

 

<気候変動におけるリスク・機会一覧(鉄道事業)>

 


 

 

 

(3)戦略、指標及び目標

「京王グループ サステナビリティ基本方針」のもと長期的に取り組むべき主要課題として、SDGs等のガイドラインにおける社会課題の視点も取り入れた7つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。以下の社会課題を当社グループの事業を通じて解決していく中で、ステークホルダーに対して価値を提供し、沿線力を向上させ、長期的に「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」であり続け、そこで生活する人の「幸せな暮らし」を実現することで、当社グループの価値を創造してまいります。

 


 

 

 

<マテリアリティ別の戦略、指標及び目標>

①安全・安心

目指す姿

方針・戦略

指標及び目標

項目

2024年度

実績

目標

達成時期

・日本一安全で、快適なサービスの実現(鉄道事業)

当社では、「安全に関する基本方針」とそれに基づく「安全に関する社員の行動規範」を定めています。また、社長は社員に「基本方針・行動規範と安全について」を発出することで、安全に対する考え方を示しています。

重大運転事故

発生件数

(鉄道事業)

0件

0件

毎年度

継続

「お客様満足度調査」総合満足度で肯定的評価の割合(鉄道事業)

87.1%

-

モニタリング指標

 

 

②「まち」との共生・発展/③幸せな暮らし

目指す姿

方針・戦略

指標及び目標

項目

2024年度

実績

目標

達成時期

②「まち」との共生・発展

ハード・ソフト一体となったまちづくりを鉄道会社ならではの長期視点で進め、まちとの共生・発展の実現を目指し、沿線拠点のまちづくりと並行してライフスタイルに応える生活サービスを提供することにより、京王沿線の暮らしやすさを向上させるとともに、移動需要を喚起する施策を通じて新たな京王沿線の魅力を発見してもらい、豊かで幸せな暮らしを実現します。

鉄道輸送人員

5億9千3百万人

-

モニタリング指標

・お客様が足を運びたくなる沿線拠点

 

・多世代が交流・共生し、住民が増加、企業も集まる沿線

 

・暮らしやすく、愛着を持ってもらえるまちづくり

③幸せな暮らし

沿線人口

約330万人

(2023年度)

-

モニタリング指標

・付加価値の提供によって、多世代が精神的にも満たされた、「豊かさ」や「幸せ」を感じられる暮らしを実現する

 

・多様化し変化するライフスタイルに対して、適切な事業・商品・サービスを開発し提供する

 

・人流が変化する中での新しいライフスタイルを牽引する

 

 

 

④デジタル社会への対応

目指す姿

方針・戦略

指標及び目標

項目

2024年度実績

目標

達成時期

・デジタル技術を駆使した自社ビジネスを通し、お客様に新たな価値を提供し続ける

 

・イノベーションマインドを持った人財が、お客様やパートナーと共に成長し続け、業務変革を推進していく

コロナ禍やデジタル社会の浸透によるライフスタイルや行動変容に呼応し、持続的な成長を実現するために、デジタルを基軸としたお客様接点を強化いたします。そのために、「ビジネス機能」(リアル事業の展開に必要な要素)、「IT基盤機能」(効率的な運用を支える要素)、「DX機能」(デジタル変化に対応し進化するための要素)を組み合わせた、三位一体のビジネス体制を強化いたします。さらに、これにより実現するお客様体験(CX)と従業員体験(EX)を加え、新しい事業価値の創造を、リアルとデジタルを活用して加速させます。

京王アプリMAU数

(1カ月間のアクティブユーザー数)

25万人

25万人

2024年度

イノベーション・DX思考に係る研修受講率
 (当社における課長級以上)

 

0%

100%

2024年度

 

 

 

⑤活躍する人財(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

目指す姿

方針・戦略

指標及び目標(注1)

項目

2024年度

実績

目標

達成時期

・「安全・安心」を基本とし、個の強みに磨きをかけ、失敗を恐れず、変革や挑戦の気概を持ち、自律的に業務を遂行する人財を創出

 

・それら個の多様性を許容し、相互に機能し合うことにより、スピーディーに新しい価値を地域社会に提供できる集団へと変化する

当社では「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」として、「人財戦略」を掲げています。

 

人財確保:

社内外を問わず優秀な人財確保のため、採用、処遇面、働き方、制度を柔軟に見直していく

 

人財育成:

「安全・安心」はすべてに優先するという価値観を醸成・定着させる

経営戦略実現に必要な専門人財を育成するとともに、各自の自律的なキャリア形成を支援する

 

エンゲージメント:

社員と会社が深い信頼でつながり、働きがいを感じながら互いに成長していく環境を整える

 

DE&I:

性別・世代・知識・経験・価値観ほか多様な個性を積極的に評価し新たな価値を創造する組織を実現する

 

組織風土・組織構造:

挑戦を認め、失敗を許容する組織風土を形成し、スピード感をもって改革・実行を推進する組織をつくり上げる

新卒女性
採用比率
(総合職)

51.9

50

2024年度

入社以降

女性管理職
比率

10.2

30

2030年度

男女別育児
休業取得率

女性106.7%

男性114.3%

100

毎年度

継続

年次有給
休暇取得率

84.4

(参考)

2023年度

88.4%

前年度水準以上

毎年度

継続

トータルエンゲージメント(注2)

3.54

3.5以上

(5点満点)

モニタリング指標

職場の心理的
安全性
(注3)

3.51

3.5以上

(5点満点)

モニタリング指標

安全・安心に関する
教育・訓練
(正社員)

35.2時間
/人

-

モニタリング指標

経営戦略実現に
必要な専門人財の
 育成研修
(総合職)

20.0時間
/人

-

モニタリング指標

 

(注)1.当社グループでは、上記「⑤活躍する人財」において記載した、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、連結グループの中核会社である当社のものを記載しております。なお、「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」において、一部の指標について、新たに連結グループを対象範囲とする指標を設定いたしました。具体的な指標は第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(2) 経営環境及び対処すべき課題に記載しております。

2.外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスにおける評価指標で、「一人ひとりが今の仕事や職場・会社で働くことに意味や価値を感じ、自ら貢献する意思をもって働いているか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)であります。

3.(注2)と同様の評価指標で、「職場にはお互いを尊重し、協力し合う雰囲気や何でも言い合える安心感があるか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)であります。

 

⑥環境にやさしく

目指す姿

方針・戦略

指標及び目標

項目

基準

年度

基準年度

排出量

2030年度

削減目標率

2050年度

削減目標

2024年度

排出量

・都市と自然が身近にある沿線の豊かな自然環境を維持するとともに、未来社会に豊かな環境を引き継ぐために、環境に配慮した活動を行う

当社事業のうち、気候変動の影響が大きいと想定される鉄道事業を対象とし、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)および国際エネルギー機関(IEA)による4℃シナリオ(現状を上回る温暖化対策を取らないことにより、産業革命時期比で気温が約4℃上昇し、気候変動による物理的変化に関するリスクが顕在化)と2℃未満シナリオ(抜本的なシステム移行が達成されることで、産業革命時期比で気温の上昇が2℃未満に留まり、低炭素経済への「移行」に関するリスクが顕在化)に基づき、事業に影響を及ぼす可能性のある短期・中期・長期のリスクと機会の洗い出しを行いました。(注1)

連結

CO排出量

(注2)

2019

年度

323,296

t-CO

△30%

実質ゼロ

267,744

t-CO

 (2019年度比△17.2%)

鉄道事業

CO排出量

(注2)

2013

年度

155,641

t-CO

△46%

実質ゼロ

116,185

t-CO

 (2013年度比△25.4%)

 

(注)1.中・長期かつ特に影響が大きいと特定したリスク・機会と、リスクへの対応策は、第2〔事業の状況〕2〔サステナビリティに関する考え方及び取組〕(2)リスク管理<気候変動におけるリスク・機会一覧(鉄道事業)>に記載しております。

2.対象範囲はScope1、Scope2であります。

 

⑦経営基盤

目指す姿

方針・戦略

指標及び目標

項目

2024年度実績

目標

達成時期

・「信頼のトップブランド」として、すべてのステークホルダーに誠実で公正な企業であり続ける

 

鉄道事業者として、安全と事業の継続性を確保しながら、「京王グループ理念」に基づき、透明性・公正性を確保しつつ、迅速・果断な意思決定を行うことにより、株主の皆様をはじめつながりあうすべての人からの信頼を確保し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をはかるため、当社では基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスの充実・強化を推進してまいります。

コンプライアンスに

係る研修受講率

(当社)

98.9%

100%

2024年度

重大な法令違反の

発生件数

(当社グループ)

0件

0件

2024年度

独立社外

取締役比率

(当社)

5人/15人

1/3以上

2024年度

女性取締役人数

(当社)

1人

1人以上

2024年度

 

 

 

<京王グループの価値創造プロセス>(2025年3月31日現在)


 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。

なお、以下は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。

 

(1)気候変動・自然災害等

大規模地震の発生のほか、気候変動により発生頻度が高まっている大型台風や集中豪雨等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、営業休止やお客様の減少等により売上が減少するほか、施設等の復旧費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、鉄道事業において「自然災害への対応力と危機管理体制の強化」を目指し、安全性向上に向けた取組みを行っております。気象情報システムによる監視体制の構築や耐震補強工事などの施設改良の推進、災害発生を想定した各種訓練の実施など、策定しているBCP(事業継続計画)の改善もはかりながら各種対策に取り組んでおります。

 

(2)事故等の発生

人為的要因を含む機器の誤作動などによるトラブルや事故、踏切などにおける第三者に起因する事故、テロ等不法行為による被害等により、当社グループにおける施設に損害が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社では、皆様から信頼され、愛される鉄道であるために、「『安全』は最大の使命であり、最高のサービスである」ことを常に意識し、「全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る」ことを最大の命題として、日々の業務に取り組んでおります。鉄道事故やトラブルが発生した際は、原因究明と再発防止策を速やかに実行するなど、継続的改善を進めております。

 

(3)品質管理

当社グループでは多数の資産を保有しているほか、物件の施工販売、食品の販売等を行っているため、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題などが発生した場合、売上の減少や損害賠償費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、「信頼のトップブランド」になることを理念に掲げ、品質管理を引き続き徹底してまいります。

 

(4)経営環境の変化

価値観の多様化や人口減少・少子高齢化等により、当社グループが提供する商品・サービスの需要が減退する場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、ステークホルダーに対して価値を提供し、長期的に「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」を目指し、沿線の面的開発を同時並行で推進することにより沿線力を向上させ、そこで生活する人の「幸せな暮らし」を実現することで、当社グループの価値を創造してまいります。

 

(5)デジタル社会への対応

当社グループは、多数のITシステムやクラウドサービス等の情報通信ネットワークを活用して事業を行っているほか、お客様の個人情報を含む機密情報を保持しております。また、取引先や委託先等のサプライチェーンも多岐にわたっております。そのため、重大なシステム障害や個人情報流出が発生した場合、システム復旧や損害賠償費用等が発生するほか、信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ分科会が中心となり、適切な情報管理を推進するとともに、個人情報については、京王グループ個人情報管理体制のもと、適切な管理に努めております。

また、当社グループは、労働人口が減少していく中でもサービスの質を確保するとともに、お客さまのライフスタイルなどの社会の変化に呼応したサービスを提供し、競争力を強化するため、事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にかかる投資を行っております。DXに対する資金、人財、その他リソースが不足した場合、また将来の技術革新や顧客志向・社会情勢の変化に適切に対応できない場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。

 

 

(6)人財の確保

当社グループの業種は多岐にわたるため、それぞれの分野で専門的知見と経験を積んだ人財の確保・育成が、事業の発展には不可欠であると考えております。このため、雇用の流動化等により、適切な人財の確保・育成の継続が困難な場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。当社グループでは、「人財確保」「人財育成」「エンゲージメント」「 DE&I」「組織風土・組織構造」における取組みの推進により、常に新たな価値を創造し続け、競争上の優位性を確立してまいります。

 

(7)感染症の流行

感染症の流行が発生した場合、鉄道事業・バス事業等における輸送人員の減少や、ホテル・商業施設等におけるお客様数の減少・営業時間の制限など、各事業で多大な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、社会インフラを担う企業グループとして、当社を中心としたBCPに基づき、引き続き感染症の流行への対策に取り組んでまいります。

 

(8)コンプライアンス

当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業において関係法令を遵守しておりますが、これらに反する行為が発生した場合、信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、グループ全体のコンプライアンス体制を推進し、コンプライアンスに関する各種取組みの検証や改善策の検討等を行っています。

なお、当社では、関東運輸局からの指示を受け、鉄道車両の輪軸組立作業について点検した結果、2024年9月に連結子会社による作業記録の書き換えなどの不適切事案が判明し、2024年10月に国土交通省から「保安監査の結果等による改善指示について」を受けました。本事案を厳粛に受け止めるとともに、改めて安全という基本価値の重要性を認識し、規程類の見直し、教育の強化、安全管理体制の改善、また、それらの実施状況を継続的に監査するなど、再発防止に取り組んでまいります。

 

(9)大規模投資期における財務負担

当社グループでは、鉄道事業における安全対策をはじめ、事業の継続性を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を実施しているほか、今後、新宿・橋本エリアでの再開発等の大規模投資の本格化を控えております。このため、大規模投資期においては、当社グループの財務負担の増加が見込まれます。当社グループでは、金利の長期固定化により市場金利の変動リスクを低減しているほか、余剰資金の活用等により有利子負債を適正水準に管理して財務健全性を維持し、大規模投資期のキャッシュアウトに耐えうる財務基盤づくりを進めるとともに、「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、さらなる資産・資本効率性の向上に取り組んでまいります。

 

(10)経済環境

当社グループは、鉄道事業を中心に、当社沿線を主たるマーケットとして事業を展開しており、国内の経済情勢の影響を受けております。消費の低迷、所有資産の価値低下、市場金利の変動、資材・原材料費の上昇や供給不足等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在、労務費や資材・原材料等の価格高騰の長期化に伴う、建設コストの大幅な増加や、国内金利の上昇などの影響を受けておりますが、引き続き効率化や費用の削減に向けて、あらゆる施策に取り組んでまいります。

 

(11)法的規制

鉄道事業をはじめとする当社グループが展開する各事業については、様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規則・開示制度等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

ア. 経営成績

不動産販売業の業容拡大や、ホテル業における高単価販売、2023年10月の鉄道旅客運賃の改定などにより、連結営業収益はすべてのセグメントで増収となり4,529億1千6百万円(前期比10.8%増)、連結営業利益は541億4千8百万円(前期比23.5%増)となりました。連結経常利益は532億5千3百万円(前期比22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は428億5千7百万円(前期比46.6%増)となりました。

なお、連結EBITDAは869億5千8百万円(前期比16.4%増)、連結減価償却費は326億4千4百万円(前期比6.5%増)となりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 額

増 減 率

 

 

 

 

%

連結営業収益

408,694

452,916

44,222

10.8

連結営業利益

43,840

54,148

10,307

23.5

連結経常利益

43,485

53,253

9,767

22.5

親会社株主に帰属する当期純利益

29,243

42,857

13,614

46.6

連結EBITDA

74,692

86,958

12,265

16.4

連結減価償却費

30,643

32,644

2,001

6.5

 

(注)連結EBITDAは、連結営業利益+減価償却費+のれん償却額により算出しております。

 

セグメントごとの経営成績の概要は、次のとおりであります。

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。以下の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

営 業 収 益

営 業 利 益

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率

 

 

 

%

 

 

%

運輸業

124,121

132,390

6.7

13,197

15,822

19.9

流通業

102,111

107,879

5.6

4,146

4,327

4.4

不動産業

76,784

94,225

22.7

13,485

18,177

34.8

レジャー・サービス業

72,731

80,697

11.0

8,345

11,210

34.3

その他業

78,489

85,658

9.1

5,627

5,621

△0.1

 計 

454,238

500,851

10.3

44,802

55,159

23.1

連結修正

△45,544

△47,935

△961

△1,011

連結

408,694

452,916

10.8

43,840

54,148

23.5

 

 
イ. 財政状態

総資産は、販売用不動産の取得による棚卸資産の増加などにより432億円増加し、1兆1,225億8千9百万円となりました。負債は、長期借入金の増加などにより223億7千2百万円増加し、7,078億3千1百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより208億2千7百万円増加し、4,147億5千7百万円となりました。

なお、有利子負債(借入金+社債)は4,469億3千5百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ236億4千6百万円減少286億1千1百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の減少などにより、流出額は前連結会計年度に比べ43億7千5百万円減少381億1千万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出などにより、流出額は153億6千2百万円となりました。これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は481億7千3百万円となりました。

 
③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況においてセグメントごとの営業収益を示すこととしております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。

ア. 有価証券の評価損

当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式の評価、時価が著しく下落した場合の回復可能性については、当社グループで定める「金融商品取扱規程」により合理的に判断しておりますが、価格変動リスクを負っているため、将来、損失が発生する可能性があります。

イ. 固定資産の減損

当社グループは多くの固定資産を保有しております。これらの価値は個別物件の将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。

ウ. 退職給付債務および費用

当社グループの退職給付債務および費用は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しているため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。

エ. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得等を合理的に見積っております。そのため、将来の課税所得の見積額等に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額または減額され、税金費用に影響を及ぼす可能性があります。

オ.販売土地及び建物等の評価

販売土地及び建物等の評価は、個別法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、期末における正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、収益性低下による簿価切下げ額を売上原価として認識しております。正味売却価額の算定において特に重要な仮定は販売見込額であり、周辺の取引事例や市場の動向等を踏まえた上で決定しております。仮定には不確実性が伴い、今後の不動産市況や建築コストの動向、金利の変動の影響を受け、正味売却価額が低下する可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア. 経営成績等の状況に関する分析

2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」の最終年度である当期は、「2030年代を見据えた事業変革の完遂」に注力し、あらゆる事業における営業利益率や資産効率性の向上、新規利益創出を果たすための事業構造の変革に取り組んでまいりました。

鉄道事業では、ホームドア整備を進めたことに加え、より高度な安全・安心の実現に向けた自動運転設備を活用したワンマン運転の実証試験を開始いたしました。不動産業では、収益機会の拡大および獲得資金の沿線まちづくりへの再投資を目的として、不動産私募ファンドを組成・運用を開始したほか、新会社(京王SCクリエイション)を設立し、商業施設運営事業を集約することにより、業務効率化および将来の京王百貨店との統合を視野に、専業会社として競争力向上へ向けた体制を整備いたしました。また、新宿・橋本地区など沿線拠点のまちづくりを推進しております。このほか、「京王グループ サステナビリティ基本方針」に基づき、経営推進体制構築を図ってまいりました。

なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

〔運輸業〕

鉄道事業では、通勤需要や沿線施設への来訪者の増加などにより、輸送人員が定期・定期外ともに前期を上回ったことに加え、2023年10月の運賃改定効果などにより増収増益となりました。また、バス事業においても、路線・高速などで増収増益となりました。これらの結果、運輸業の営業収益は1,323億9千万円(前期比6.7%増)、営業利益は158億2千2百万円(前期比19.9%増)となりました。

 

(鉄道事業)

種  別

単 位

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

営業日数

366

365

△0.3

営業粁

84.7

84.7

客車走行粁

千粁

129,298

129,149

△0.1

輸送人員

定期

千人

322,689

328,046

1.7

定期外

260,996

265,100

1.6

583,685

593,146

1.6

旅客運輸収入

定期

百万円

28,546

31,325

9.7

定期外

46,570

50,173

7.7

75,116

81,499

8.5

乗車効率

37.1

37.5

 

 

(注) 乗車効率の算出は

延人粁

によります。

客車走行粁×平均定員

 

 

〔流通業〕

ストア業では、来店客数の増加や新規出店などによるスーパーマーケット事業の増収に加え、コンビニ事業やドラッグストア事業が好調に推移し増収増益となりました。これらの結果、流通業の営業収益は1,078億7千9百万円(前期比5.6%増)、営業利益は43億2千7百万円(前期比4.4%増)となりました。

 

〔不動産業〕

2023年12月のサンウッド連結子会社化や不動産ファンドへの物件売却など、不動産販売業の牽引により増収増益となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は942億2千5百万円(前期比22.7%増)、営業利益は181億7千7百万円(前期比34.8%増)となりました。

 

〔レジャー・サービス業〕

ホテル業では、訪日外国人旅行客の増加や活況な宿泊マーケットを背景に、「京王プラザホテル(新宿)」や「京王プレッソイン」などの客室単価が大きく上昇し増収増益となりました。これらの結果、レジャー・サービス業の営業収益は806億9千7百万円(前期比11.0%増)、営業利益は112億1千万円(前期比34.3%増)となりました。

 

〔その他業〕

建築・土木業における完成工事高の増加などにより増収となりました。これらの結果、その他業では営業収益は856億5千8百万円(前期比9.1%増)、営業利益は56億2千1百万円(前期比0.1%減)となりました。

 

イ. 資本の財源及び資金の流動性
 a. 重要な資本的支出の予定

「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、6カ年累計で成長投資2,400億円、既存更新投資2,700億円を見込んでおります。

成長投資は、新宿、橋本、京王多摩川などのまちづくりについて着実に事業を推進するとともに、ホテル業は、増益を見据えた客室改装に加えて、新規出店投資も見込んでおります。既存更新投資のうち鉄道事業投資については、2030年代に設置率100%を目指すホームドア整備と、生産性向上に資する自動運転(ワンマン)に重点を置いて実施してまいります。また、老朽化の進む不動産及びホテル既存物件は、物件ROAを意識して更新・改修を実行してまいります。

 

 

2025年度

計画

2026年度

中期計画

2027年度

中期計画

2030年度

中期計画

連結資本的支出

795億円

1,060億円

914億円

566億円

うち鉄道事業

434億円

436億円

272億円

288億円

 

 

 b. 重要な資本的支出に要する資金の調達源、資金の流動性

「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、資産・資本効率性向上のため、生産性向上や不動産販売業の強化、資産売却によりキャッシュを創出し、長期の視点に立った成長投資や安全性向上等に必要な投資資金を確保しつつ、株主還元に積極的に充当してまいります。

重要な資本的支出に要する資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを充てるほか、不足する資金については、経済情勢や金利動向を勘案し、社債の発行や金融機関からの借入などによる調達を予定しております。なお、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、その設備資金は長期の負債(社債、長期借入金)を中心に調達してまいります。

短期的な運転資金は、鉄道事業やバス事業などの日々の収入金を中心に、必要な流動性資金を十分に確保しております。また、CMS(キャッシュマネジメントシステム)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しているほか、必要に応じてコマーシャル・ペーパーの発行による調達も実施してまいります。

 

ウ. 目標とする経営指標の状況

当社グループは、「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」という長期的にありたい姿の実現に向け、2030年代に大規模投資を本格化してまいります。その入り口となる2030年度を重要な節目と位置づけ、2025年度から2030年度までの6年間を将来に向けて経営基盤を強化する期間として、新たな「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」を策定いたしました。当該中期経営計画の詳細および<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標>については、第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(2)経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりです。

 

5 【重要な契約等】

(1)会社分割による連結子会社への事業承継

当社は、2024年4月1日付で、当社完全子会社の株式会社京王SCクリエイションを設立し、2024年7月1日付で簡易吸収分割の方法により、当社が営む商業施設運営事業(ショッピングセンター事業および不動産賃貸業の一部)を同社に承継させました。詳細は第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕〔注記事項〕(企業結合等関係)に記載しております。

 

(2)連結子会社の吸収合併

当社は、2024年7月1日付で、当社完全子会社の京王地下駐車場株式会社について、すべての事業を吸収分割にて株式会社京王SCクリエイションに移管したのち、当社に吸収合併いたしました。詳細は第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕〔注記事項〕(企業結合等関係)に記載しております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。