第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1)経営の基本方針


 

 (2)中期経営計画


 

目標とする経営指標

2023~2025年度はインバウンド需要等を取り込む、成長戦略を推進する年と位置付けております。

訪日外国人客の回復や、物価・エネルギー価格の高騰などの事業環境の変化を踏まえ、2023年5月10日に「3ヶ年間の事業計画」を公表いたしました。

 

 

2022年度(実績)

2023~2025年度(計画)3ヶ年平均

営業収益

429.24億円

507億円

営業利益

42.43億円

67億円

売上高営業利益率

9.9%

13.2%

経常利益

40.07億円

63億円

親会社株主に帰属する当期純利益

23.18億円

38億円

ROA(総資産経常利益率)

4.0%

6.5%

 

 

有利子負債(金融機関借入金+社債+リース債務等)

2022年度(実績)

2025年度末(計画)

611.91億円

487億円

 

株主還元

 継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針として、具体的には1株14円の配当に加え、業績や連結配

当性向30%を目途に総合的に勘案し、利益成長による配当額の増加を目指します。

 

(3)経営環境、対処すべき課題

①  全般

当社グループを取り巻く経営環境は、物価上昇や金利上昇による影響、海外の政治・経済情勢の動向など今後も不透明な状況が続くものと考えられます。このような状況のなか、第六次中期経営計画の2年目にあたる2024年度においては、これまで培ってきたノウハウや経験に加え、AI技術など最先端デジタルテクノロジーを活用し、大きく変化する社会構造や多様化する価値観に対応した多彩なコンテンツを提供することで、社会的価値と経済的価値の両立に取り組んでまいります。

② 運輸業

運輸業につきましては、鉄道事業において、増加する観光需要に対応するため、需要に合わせた臨時列車を運行するなど輸送力強化に取り組んでまいります。また、多言語に対応した周遊チケットのモバイル化などの利便性向上に取り組むとともに、沿線の混雑緩和策など地域社会との連携による魅力向上に努めてまいります。バス事業では、電気バス(EVバス)の更なる導入により環境負荷低減を図るとともに、自動運転EVバスの公道実証実験(社会実装推進事業)を継続してまいります。また、慢性的な運転士不足につきましては、待遇改善や採用強化のほか、効率的な路線の再編成などにより対策を進めてまいります。運転士の労働時間などの規制が強化される「2024年問題」につきましては、適切に対処してまいります。

③ 不動産業

不動産業につきましては、山中湖畔別荘地において、多様化する顧客ニーズに応える各種施策を実施するとともに、「Nature&Smart Resort」をコンセプトに、「富士山眺望エリア」「趣味充実エリア」等のエリアブランディングを推進し、別荘地の価値向上と販売強化に努めてまいります。

③ レジャー・サービス業

レジャー・サービス業につきましては、「富士急ハイランド」において、遊園地開業60周年を記念した各種イベントの開催やトーマスランド内施設の一部リニューアルなど話題の醸成を図ってまいります。また、SNSを活用した外国人観光客へのプロモーション活動を強化するとともに、園内中央広場「セントラルパーク」において、引き続き様々なイベントの開催や、地域と連携した催事、商品販売の場を提供するなど新たな需要の創出に努めてまいります。2024年3月に営業を終了しました「ド・ドドンパ」は、撤去後の園内敷地の有効活用等適切に対処してまいります。「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」では、アクティブパークとしての地位を高めるため、施設のリニューアルを行い、新規顧客層の獲得に取り組んでまいります。アウトドア事業を展開するピカでは、リブランディングにより他社との差別化を図り、競争力を高めてまいります。さらに、箱根・熱海エリアと富士五湖エリアの相互周遊観光の実現や経営資源の相互利用などによるシナジー効果の創出に引き続き努めてまいります。

④ 安全対策について

安全対策につきましては、グループ共通の安全方針に基づき、全ての事業において安全に対する共通認識を深めることで、「安全マネジメント」の更なる醸成に取り組んでまいります。また、デジタル技術の活用により、ハード・ソフトの両面でリスク発生を低減し、安全意識の高度化に取り組んでまいります。

⑤ サステナビリティについて

サステナビリティへの取り組みにつきましては、当社グループにおける重要課題(マテリアリティ)に対し、定量目標や指標を設定し、ネットポジティブに向けた具体的施策に取り組んでまいります。人材への投資につきましては、従業員エンゲージメント向上のための様々な人事施策に加え、教育プログラムをさらに充実することで、多様なキャリアパスを実現してまいります。また、社内研修や健康増進イベントの実施などにより従業員のウェルビーイング向上に取り組んでまいります。

 

当社グループは、「富士を世界に拓く」という創業精神のもと、オリジナリティの高い「喜び・感動」を創造し、「夢・喜び・やすらぎ・快適・感動・健やかさ」を提供することにより、世界の人々の心の豊かさに貢献することを目指してまいります。また、創立100周年(2026年9月)に向け、新たな当社グループのブランドの確立と浸透に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般に関する当社グループの考え方及び取組

①ガバナンス

  サステナビリティ推進体制として、サステナビリティ委員会が中心となり、本社部門及びグループ会社における計画や目標の策定並びにその進捗状況の確認を行うとともに、必要に応じ、その状況を常勤役員会、取締役会に付議・報告いたします。

 

②戦略

  当社グループは、「いつも『喜び・感動』」を経営理念として掲げ、「富士を世界に拓く」という創業精神のもと、オリジナリティの高い「喜び・感動」を創造することにより、世界の人々の心の豊かさに貢献することを目指しております。
 サステナビリティ経営を進めるにあたり、社会課題を経営課題に取り込む「マテリアリティ」を従業員アンケート・役員インタビュー等を経て、様々な社会課題約400項目から絞り込み、当社のマテリアリティを次のとおり特定いたしました。
 
・富士山とともに次の100年へ
  「富士山の環境保全」「自然環境に配慮した事業の推進」「富士山への感謝」
・120%の安心・安全の実現へ
  「安心・安全の更なる追及」「法令遵守」「災害リスク対策」
・人を育て、寄り添う
  「多様な人材が活躍できる職場づくり」「モチベーションの創造」「心と身体の健康推進」
・地域とともに創り、ともに栄える
  「住みやすく、訪れやすい地域に」「地域貢献活動の推進」「喜び、感動、健やかさの実現」
・もっと便利に、もっと愉しく
  「イノベーションによる体験価値の創造」「ビジネスの革新」「変わり続ける未来へ」
 
 この5つのマテリアリティは、創業精神「富士を世界に拓く」のもと、サステナビリティ経営を推進する羅針盤であると考えており、マテリアリティへの取組を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

なお、詳細については、当社のホームページに掲載しております。

URL:https://www.fujikyu.co.jp/sustainability/materiality/

 

 

当社が掲げるSDGsビジョン(ESG・SDGsの取り組み)


 

③リスク管理

  事業に係るリスクを統括するリスクマネジメント委員会(2023年度は4回開催)では、各リスク所管部署からの報告内容を評価し、全社リスクの把握と適切な対応を審議しています。
 「気候変動」に係るリスクの管理は、事業部技術・環境・CS推進課が全社的な気候変動に係るリスクへの対応を推進するとともに、取組状況をサステナビリティ委員会(2023年度は12回開催)に報告しています。また、識別した気候変動に係るリスクについて、リスクマネジメント委員会に報告しています。サステナビリティ委員会は、対応策の取組状況や目標の進捗状況を、必要に応じ、常勤役員会、取締役会に付議・報告します。

 

④指標及び目標

  サステナビリティ全般に関する指標及び目標は現在策定中であります。

  なお、気候変動にかかる指標及び目標については、「(2)TCFDに基づく開示情報 ④指標及び目標」に記載のとおりです。

 

(2)TCFDに基づく開示情報

①ガバナンス

  「(1)サステナビリティ全般に関する当社グループの考え方及び取組 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

②戦略

  気候変動は当社グループの事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、これらに対応していくことが当社グループの長期的な存続と成長に重要であると認識しております。
 TCFD提言では、気候関連リスクを低炭素経済への「移行」に関するリスクと、気候変動による「物理的」変化に関するリスクに大別しており、当社グループは、このTCFD提言を踏まえ、運輸、不動産、レジャー・サービス、その他の各事業において想定されるリスクと機会を次のとおり抽出しました。

 

 

○リスク
 A.低炭素社会への移行に伴うリスク
  コスト増 ・電力等のエネルギーコストの増加
  市  場 ・電気自動車の普及による鉄道の環境優位性の低下
 設備投資 ・環境配慮型のバスやタクシーの導入コストの増加
      ・炭素税導入等によるコストの増加
 
 B.気候変動の物理的影響に関連するリスク
 コスト増 ・自然災害の頻発による当社グループ施設への被害の発生、損害保険料の増加
 市  場 ・気温上昇や降水量の増加による屋外遊戯施設、アウトドア施設利用者の減少
  気  候 ・別荘地の気温上昇による避暑地としての機能低下
      ・台風や豪雨の頻発による鉄道、バス運休
      ・熱中症などの労働災害の増加
 
 ○機 会
 市  場 ・クリーンエネルギーである電力を動力とするバスや鉄道への利用者のシフト
      ・寒冷期の短縮による利用者の増加
      ・都市部から郊外(当社事業エリア)への人口流入
 評  判 ・低炭素、環境配慮にいち早く対応することによる投資家や顧客からの信頼向上
 コスト減 ・自家発電や省エネ化の推進によるランニングコストの減少

 

③リスク管理

  「(1)サステナビリティ全般に関する当社グループの考え方及び取組 ③リスク管理」に記載のとおりです。

 

④指標及び目標

  当社グループは、2030年までに環境目標を「負荷ネットゼロ&貢献※」とし、富士山エリアを「リゾートシティ」とする、持続可能な地域社会の実現を目指します。

 (※技術的、経済的等、当社が可能と考える範囲で取り組みます)

 

 

(3)人的資本経営の取り組み
  ①人材に関する基本方針

  世界中から訪れる全てのお客様に「安心・安全」で「快適」な質の高いサービス・商品を提供するため、社員一人ひとりが常に「チャレンジ」し、「イノベーション」を追求できる機会を整備するとともに、多様な人材が融合し「健康」で活き活きと活躍できる環境づくりを推進してまいります。
  

 (人材育成方針)
   ・グループ会社を統率する経営幹部の育成
   ・個性を活かし、自ら考え、行動する人材の育成
   ・新たな価値を創造するイノベーション人材の育成
 
②Human Resource Vision(人的資本経営に関するマテリアリティ)

(a)アップスキリングの推進
 社員の個々の能力を更に伸ばし、成長するために、アップスキリングを推進し、高い専門性を持ったDX  やイノベーション人材を育成してまいります。
   

  (2023年度の主な取り組み)
 ■DX人材の育成に向けたDX研修の実施
 ■キャリア形成プログラム「フジQアカデミー」の開講
   富士急行及び富士急グループの業務執行に求められる「重要スキル」を5分類に整理し、
   「重要スキル」を体系的に習得できる育成プログラム「フジQアカデミー」を開校
 
  (今後の取り組み方針)
 ■全社横断的なDX推進体制の構築と高度DX人材の育成
 ■「スキルマトリックス」に基づく教育プログラムのカスタマイズ化
 ■「フジQアカデミー」(専門スキル教育)の継続開講(応用編開講)
 ■コンセプチュアルスキル教育の実施
 
 (達成目標)目標達成年度 2030年度まで
 ■DX人材育成
  〈目標〉DX推進リーダー(仮)をグループ全体で約300人(全体の10%) 育成
 ■アップスキリング支援
   研修教育費(一人当たり) 〈目標〉2023年度比20%増額

 

 (b)DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進
 性別や国籍、年齢などにかかわらず、多様な人材が公平・公正に個々の能力を最大限に発揮できる取り組みを進めてまいります。
 
 (2023年度の主な取り組み)
 ■女性活躍の推進
  ・新卒、キャリア採用の男女均等化
  ・女性の健康課題に関する女性社員向け研修の実施
  ■キャリア採用の強化
  ・ジョブ型採用の強化
  ・リファラル、ジョブリターン制度の導入及び実績確保
  ■休暇取得率の向上
  ・ストック有給休暇制度の導入及び利用促進
  ■外国人比率の向上
  ・外国人技能実習生の受け入れ 12名

 

  (今後の取り組み方針)
  ■「富士急キッズガーデン」(企業主導型保育事業)の拡大
  ■女性活躍の推進
  ・女性のキャリア採用強化
   ・女性のキャリアアップに関するセミナー、オンライン講義の実施 
  ■外国人人材の採用強化
  ・総合職の採用
   ・外国人技能実習生の採用強化
  ■キャリア採用の強化(多様性を持った人材)
  ■男性労働者の育休の義務化
  ■子育てリモート勤務制度の導入
  ■介護と仕事の両立支援の促進

 
(達成目標)目標達成年度2030年度まで

指 標

目 標

実 績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年3月まで20以上

11.4

男性労働者の育児休業取得率

2030年3月まで100

-(※)

労働者の男女の賃金差異

2030年3月まで80以上

67.7

 

(※):育児休暇対象者なし

 

(c)ウェルビーイングの推進
 社員の心身の健康が、お客様への「安心・安全」や質の高いサービスにつながることを常に意識し、社員一人ひとりとその家族に寄り添った取り組みを実施してまいります。
 
 (2023年度の主な取り組み)

 ■2024年「健康経営優良法人」の認定取得
   ・やまなし健康経営の認定取得
   ・健康ウォーキングアプリイベントの開催
   ・食生活改善のため、野菜摂取量測定「べジチェック」イベントの開催
   ・スポーツ活動、社内部活動への支援
   ・フィットネスジム利用補助の拡充
   ・非喫煙者率の向上及び受動喫煙対策の強化
   事業所内禁煙の徹底に伴う非喫煙者率の向上
  ■メンタルヘルス対策の実施
  ・登用管理職向けメンタルヘルスマネジメント講座の受講
  ・福利厚生の一環で導入した外部カウンセリングサービスの導入
  ■ワークライフバランスの推進
  ・ジョブ型雇用区分の新設(ハイブリッド型人事制度)

 

   (今後の取り組み方針)
  ■安全・健康への取り組み推進
   ・健康経営の社内への浸透を強化
   ・生活習慣、ストレスチェック、健康診断データの一元管理
  ・健康診断結果数値の改善(血圧・脂質等)
   ・健康診断有所見への二次検診費用補助制度の導入
  ■メンタルヘルス対策の実施
   ・外部EAP(従業員支援プログラム)の導入
   ・メンタルヘルス・ライン研修の定期的な実施
  ■治療(がん・脳卒中など)と仕事の両立支援制度の導入(ストック有給の利用拡大)
  ■ワークライフバランスの推進
   ・山梨本社、東京本社の2拠点勤務推進

■コミュニティ・ウェルビーイングの研究


 (達成目標)目標達成年度 2030度年度まで
  ■安全・健康への取り組み推進
   ・健康経営優良法人ホワイト500を目指す
  ■喫煙率の減少
   〈目標〉10%未満〈実績〉16.6%
  ■適正体重維持者率
   〈目標〉70%以上〈実績〉65.9%

 
(d)エンゲージメントの向上
 全ての社員がワクワク感と夢をもって「チャレンジ」できる職場環境と、当社ならではの働きやすい人事施策に取り組んでまいります。
 
 (2023年度の主な取り組み)
  ■人事制度の見直し
  ・新人事評価制度の運用開始
  ■職場環境の改善(働きやすい環境整備)
  ・本社及び東京本社のリノベーション
  ・ワークエンゲージメント調査の実施
  ■若年層離職防止
  ・教育配置のプログラムの充実と社内インターン制度での若手社員の離職防止
  ・出向手当の新設(休日数の格差是正)
  ■定年延長の実施
  ・60歳から65歳への定年延長 
 
  (今後の取り組み方針)
 ■職場環境の改善(働きやすい環境整備)
   ・本社社屋及び社員寮のリノベーション
  ■「エンゲージメントサーベイ」の強化(測定方法の見直し)
 ■プレゼンティーイズム(健康問題による出勤時の生産性低下)の調査を開始
  ■自己申告書のフォーム見直しによる心理的安全性の確保
  ■労働環境の改善(働き方改革)
   ・グループ会社の休日数及び有給取得率の増加
  ■グループ内副業の検討
  ■表彰制度の拡充
  ■福利厚生の拡充
 
 (達成目標)目標達成年度 2030年度まで
 ■職場環境の改善(働きやすい環境整備)
  ・ワークエンゲージメント指標数値の改善
  ・本社及び東京本社の改修完了

 

 

当社グループが目指す人的資本経営に関する関係図


 

 

3 【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社グループ(当社及び連結会社)は、これらのリスクを認識したうえで、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)法的規制・訴訟

当社グループが展開している事業においては、監督官庁の認可やさまざまな法令、規則、施策等による規制を受けております。これらの法令、規則、施策等が変更された場合、また、事業活動においての取引の相手方との認識の相違により訴訟が起きた場合には、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令、規則、施策等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)自然災害・事故等

当社グループは、「120%の安全と最高のホスピタリティの提供」を経営ビジョンに掲げ、安全を最優先に事業活動を行っておりますが、事業エリアでの地震や富士山噴火等の自然災害、台風・長雨・大雪・低温等の悪天候や異常気象等外部環境に異常事態が発生した場合や、人為的なミス、設備や情報システムの故障、食品品質問題、その他の理由により、各事業や各施設で万一事故が発生した場合には、事業運営に支障をきたすとともに、当社グループの信頼性の低下、施設の復旧費用等の発生など当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)気候変動への対応

当社グループは、温室効果ガスの削減をはじめとする気候変動対策を重要な社会課題と認識し、これに取り組んでおりますが、気候変動に伴う気温上昇や自然災害の激甚化、発生頻度上昇により、各施設の運営に支障をきたすおそれがあるほか、当社グループの取り組みがステークホルダーから不十分と評価された場合には、当社グループの社会的信用が毀損し、経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(4)エネルギー供給の動向

運輸業、レジャー・サービス業は、鉄道、バス、タクシー、船舶の運行や遊戯・宿泊施設等の運営にさまざまなエネルギーを使用しております。エネルギーの供給不足が発生した場合、車両の運行や施設の稼動が制限を受けるとともに、軽油単価、電気料金等のエネルギー価格の動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)金利変動

運輸業、レジャー・サービス業は、大型の設備投資を要する装置産業であり、これらの資金は主に金融機関からの借入により調達しております。各金融機関からの借入は固定金利での調達を基本としておりますが、変動金利の借入金や借換及び新たな調達資金については、金利情勢の影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)消費者マインドの動向

不動産業、レジャー・サービス業は、景況悪化による個人消費の落ち込みや市場環境の変化に影響を受けやすい事業であり、レジャー・サービス業においてはさらに天候や休日の日並びの良否、ガソリン価格の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7)外部環境の変化(テロ・戦争の脅威など)による観光客の動向

富士山が世界文化遺産に登録され、国内外問わず、多くの観光客が当社グループの主要な事業エリアにも訪れており、当社グループの鉄道、バス、遊戯施設、宿泊施設等をご利用いただいております。このため、当社施設内又は近隣施設でテロが発生した場合の人的物的被害、国内外でテロや戦争が発生した場合の消費者マインドの冷え込み、外交関係の悪化等により観光客が大幅に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)少子高齢化を伴う人口の減少と人手不足

日本は少子高齢化を伴う人口減少傾向にあり、これが運輸業、レジャー・サービス業の利用客減少に繋がるおそれがあります。また、生産年齢人口の減少によって職員確保が困難となり、人材採用コストや人件費の増加に加え、運輸業やレジャー・サービス業でのサービスレベル低下、運輸業での車両稼働減少等、事業運営の制限に繋がるおそれがあります。さらに、他社における人手不足を背景に、当社発注の事業用施設建設等の発注価額上昇や工期の遅れが発生するなど、長期的には人口減少に起因する問題が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)感染症の発生・流行

感染症が拡大した場合には、利用客の減少や営業休止など事業運営に支障をきたし、また対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)世界経済の情勢及び地政学的リスク

当社グループは、間接的なものを含めて国内外の数多くの企業と取引を行っており、特に国外との関わりは年々重要性を増しております。世界的な経済の動向及び為替の状況のほか、世界各地での自然災害、テロや紛争の発生、外交不安等の地政学的情勢により、当社グループまたは取引先が影響を受け、原材料や資材の調達遅延、調達価格の高騰や、取引に関する制限が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11)情報セキュリティ

当社グループは、各事業においてシステムを使用しており、十分な情報セキュリティ体制の確保に努めているものの、サイバー攻撃の脅威が急速に高まっており、不正侵入、情報の改ざん・漏洩・破壊、システム利用妨害行為等により、重大な障害が発生した場合や、当社グループが保有する顧客・取引先関係者・職員等の個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信頼や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)コンプライアンス

当社グループでは、役職員の職務の執行が法令及び定款に適合し、かつ社会的責任を果たすため、富士急グループ「企業行動規範」、「職員倫理規程」をグループ全役職員に周知徹底させるとともに、「コンプライアンス管理規程」に基づき、コンプライアンス体制の強化に努めておりますが、役職員等による重大な不正・不法行為や不祥事等が発生した場合は、当社グループの信頼の低下及び社会的制裁等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13)資産の価値下落

当社グループは、株式等の投資有価証券、退職給付信託における株式及び事業用や販売用土地建物等の不動産を保有しておりますが、市況の低迷等による投資先の自己資本の悪化や、不動産価値が低下した場合には、評価損や売却損、減損損失等の計上により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14)風評

当社グループ及び事業に対する風評が、報道やインターネット上の書き込み等により発生・拡散した場合は、それが事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用が毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は下記のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a 財政状態

当連結会計年度における総資産は、株価上昇により投資有価証券が増加した一方で、現金及び預金の減少や減損損失の計上による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ209,173千円減少し、100,537,801千円となりました。

負債は、主に借入金やリース債務の減少により、前連結会計年度末に比べ5,776,759千円減少し、68,186,184千円となりました。なお、短期長期の借入金合計額と社債を合わせた額は、前連結会計年度末に比べ6,590,121千円減少しております。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ5,567,585千円増加し、32,351,617千円となりました。

 

b 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外紛争や円安の進行、自然災害等による原材料価格高騰や物価上昇など様々な影響を受けたものの、国内外観光客の増加による消費の拡大や、社会経済活動の回復による雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。

このような状況のなか、当社グループは、運輸、不動産、レジャー・サービス、その他の各事業において、積極的な営業活動を行うとともに、計画的な設備投資を行うなど経営の効率化に努めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における営業収益は50,701,528千円(前期比18.1%増)、営業利益は8,151,692千円(前期比92.1%増)、経常利益は7,936,280千円(前期比98.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,571,594千円(前期比97.2%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 (ⅰ) 運輸業

鉄道事業につきましては、外国人をはじめとする観光需要が高まり、一年を通して多くのお客様にご利用いただきました。また、富士山の世界文化遺産登録10周年を記念したキャンペーンをJR東日本と共同開催し、富士山の魅力を改めて情報発信するなど様々なイベントを開催し、集客に努めました。さらに、JR中央線直通特急「富士回遊」を7月から1往復増発し、増加する外国人観光客の利便性向上と輸送力強化に努めました。

バス事業につきましては、国内外観光客の増加を受け、高速バス営業では富士五湖発着路線において、運行本数の見直しなどにより輸送力を拡大するとともに、乗合バス営業では、河口湖駅を起点として周辺の人気スポットを巡る「河口湖・西湖周遊バス」を増発運行し、多くの外国人観光客にご利用いただきました。SDGsの取り組みとして、電気バス(EVバス)を11台導入するとともに、少子高齢化や運転士不足など地域公共交通が抱える課題解決を目的に、富士吉田市と共同で山梨県内初となる「自動運転EVバス」の公道実証実験を行いました。また、乗務員の待遇改善や物価高騰、機材更新など運行経費の増加に対応するため、運賃改定を行いました。2024年2月には、富士急モビリティ株式会社を存続会社として、富士急湘南バス株式会社を吸収合併し、運転士、車両の柔軟な運用や事務業務の効率化による更なる経営の合理化を図りました。

船舶事業につきましては、2023年2月に譲り受けた箱根芦ノ湖遊覧船事業において、「湖に浮かぶ緑の公園」をテーマに既存船を「箱根遊船 SORAKAZE」としてリニューアルし、新たな需要の創出に努め、好評を博しました。

安全対策につきましては、「運輸安全マネジメント」の安全目標、重点施策に基づき、安全会議や集合研修の充実を図り、安全意識の更なる向上に努めました。また、鉄道・バス・船舶において、地域の警察署や消防署などと連携し、自然災害や緊急時を想定した合同訓練を行いました。

以上の結果、運輸業の営業収益は17,926,738千円(前期比30.2%増)、営業利益は3,762,753千円(前期比282.5%増)となりました。

 

鉄道営業成績表(富士山麓電気鉄道㈱)

 

種別

単位

当連結会計年度
(2023年4月1日2024年3月31日)

 

対前期増減率(%)

営業日数

366

0.3

営業粁

26.6

客車走行粁

千粁

2,129

8.3

輸送人員

定期外

千人

3,237

83.1

定期

1,072

6.3

4,310

55.2

旅客運輸収入

定期外

千円

2,303,658

97.3

定期

199,687

4.9

2,503,346

84.3

運輸雑収

372,392

54.8

運輸収入合計

2,875,738

79.9

乗車効率

23.8

58.7

 

(注) 乗車効率算出方法

延人粁=駅間通過人員×駅間粁程

乗車効率=延人粁÷(客車走行粁×客車平均定員)×100

 

業種別営業成績

 

種別

当連結会計年度
(2023年4月1日2024年3月31日)

営業収益(千円)

対前期増減率(%)

鉄道事業

2,968,203

73.0

バス事業

11,735,888

20.9

索道事業

798,356

68.9

ハイヤー・タクシー事業

1,396,185

15.1

船舶運送事業

1,028,104

57.6

営業収益計

17,926,738

30.2

 

 

 

(ⅱ) 不動産業

不動産販売事業につきましては、山中湖畔別荘地において、「FUJIYAMA hill’s 山中湖」の展開を進めるとともに、新築オーダーメイドプラン「MOON HILLS」を新規提供するなど、マイカーやゴルフ、サウナなど様々な趣味や多様化するお客様のニーズに合わせたモデルプランを提案し、販売促進に努めました。

不動産賃貸事業につきましては、静岡県沼津市においてドラッグストアへ賃貸を開始したほか、既存賃貸施設の改修工事を行い、安定的な収益の確保に努めました。

以上の結果、不動産業の営業収益は3,153,888千円(前期比6.0%減)、営業利益は755,236千円(前期比18.2%減)となりました。

 

業種別営業成績

 

種別

当連結会計年度
(2023年4月1日2024年3月31日)

営業収益(千円)

対前期増減率(%)

売買・仲介斡旋事業

344,668

△32.8

賃貸事業

2,038,139

0.7

別荘地管理事業

771,080

△5.6

営業収益計

3,153,888

△6.0

 

 

(ⅲ) レジャー・サービス業

遊園地事業につきましては、「富士急ハイランド」において、12年ぶりの新大型コースター「ZOKKON(ぞっこん)」をオープンし、これまでのスピードやスリルのみならず、人気アーティスト「SEKAI NO OWARI」とコラボレーションした音楽や映像による演出効果もあり、多くの利用者から好評を博しました。また、超難関攻略型アトラクション「絶望要塞」をリニューアルオープンし、更なる魅力向上を図りました。さらに、隣接するコニファーフォレストでの野外音楽イベント「サウンドコニファー229」の開催に合わせ、各公演とのコラボレーション企画を充実し、グッズや飲食等の販売が好調に推移しました。「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」では、人気アニメ「パウ・パトロール ™ 」との日本初となるコラボレーションイベントを開催するとともに、「さがみ湖イルミリオン」では、国民的アニメ「ドラえもん」とタイアップしたスペシャルイルミネーションを開催し、ファミリー層を中心に多くのお客様にご利用いただきました。スノーパーク「Yeti」では、10月に屋外スキー場として25年連続で日本一早くオープンし、話題喚起に努めたほか、SDGsの一環として、富士急ハイランドのジェットコースターの廃レールや車両を再利用したスノーボード専用エリア「FUJIYAMA アイテムパーク」を設置するなど、新たな魅力の向上に努めました。

ホテル事業につきましては、「ハイランドリゾート ホテル&スパ」において、外国人宿泊者の増加や宴会・婚礼需要の回復により好調に推移しました。また、ホテル内の土産物店において、AI技術を活用した決済システムを導入し、24時間営業の無人店舗化することで、利便性向上と業務効率化に努めました。7月に開業60周年を迎えた「ホテルマウント富士」では、記念宿泊プランや記念商品販売などのアニバーサリーイベントを実施し、話題の喚起に努めました。

以上の結果、レジャー・サービス業の営業収益は24,909,266千円(前期比13.8%増)、営業利益は3,137,186千円(前期比44.4%増)となりました。

 

業種別営業成績

 

種別

当連結会計年度
(2023年4月1日2024年3月31日)

営業収益(千円)

対前期増減率(%)

遊園地事業

12,903,073

15.9

ホテル事業

5,805,321

17.5

ゴルフ・スキー事業

1,762,862

4.6

アウトドア事業

2,051,768

△9.6

その他レジャー・サービス業

2,386,241

28.1

営業収益計

24,909,266

13.8

 

 

(ⅳ) その他の事業

株式会社レゾナント・システムズでは、2022年度に販売を開始した幼児の車内置き去り防止をサポートするシステム「かくにん君」の販売が引き続き好調に推移しました。株式会社富士急百貨店では、富士吉田富士急ターミナルビル「Q-STA」において、各種催事の開催や地域文化交流の場の提供による近隣住民の利用増や、屋上展望デッキからの富士山眺望を目的とした外国人観光客が多く訪れ、来館者数が大幅に増加しました。富士ミネラルウォーター株式会社では、5月の「G7広島サミット」でも採用された紙パック製品の需要が高まり、飲食店やホテルのほか、ECサイトでの取扱いが増加しました。

以上の結果、その他の事業の営業収益は7,764,404千円(前期比4.6%増)、営業利益は664,861千円(前期比157.1%増)となりました。

 

業種別営業成績

 

種別

当連結会計年度
(2023年4月1日2024年3月31日)

営業収益(千円)

対前期増減率(%)

物品販売業

1,039,398

26.2

建設業

2,169,616

△25.2

製造販売業

3,276,415

34.5

情報処理サービス業

470,364

0.6

その他

808,608

1.1

営業収益計

7,764,404

4.6

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、1,145,566千円減少し、17,840,258千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に対し、減価償却費等を加減した結果、12,998,169千円の資金収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得等により、5,703,138千円の資金支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期及び長期借入金の返済による支出等により、8,440,597千円の資金支出となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは、運輸業、不動産業、レジャー・サービス業等、広範囲かつ多種多様な事業を営んでおり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における総資産は、株価上昇により投資有価証券が増加した一方で、現金及び預金の減少や減損損失の計上による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べて209,173千円減少し、100,537,801千円となりました。

負債は、主に借入金やリース債務の減少により、前連結会計年度末に比べて5,776,759千円減少し、68,186,184千円となりました。

純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べて5,567,585千円増加し、32,351,617千円となりました。

 

b 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外紛争や円安の進行、自然災害等による原材料価格高騰や物価上昇など様々な影響を受けたものの、国内外観光客の増加による消費の拡大や、社会経済活動の回復による雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。

このような状況において当社グループでは、国内はもとより、円安を追い風に訪日外国人客の需要が拡大するなか、積極的な営業活動を行うとともに、計画的な設備投資を行うなど経営の効率化に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は50,701,528千円(前期比18.1%増)、営業利益は8,151,692千円(前期比92.1%増)となりました。なお、セグメントごとの営業収益及び営業利益の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

経常利益は7,936,280千円(前期比98.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に減損損失1,283,117千円等を計上し、4,571,594千円(前期比97.2%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは以下を財務戦略の基本方針とし、財務基盤の健全性・安定性の向上、及び資産効率の向上による連結ROA(総資産経常利益率)の向上に努めております。

・円滑な事業活動の推進及び経営環境の変化などの事業リスクへの備えとして、長期・安定資金の調達を図り、十分な水準の手元流動性を確保する。

・営業活動によるキャッシュ・フローの水準を勘案のうえ、減価償却費の範囲内を目途とし、企業価値の向上に資する設備投資を厳選して行う。

・株主に対する利益還元は経営の最重要課題の一つとして認識し、継続的かつ安定的な剰余金の配当を行う。

a 資金調達、及び手元流動性について

資金調達については、取引金融機関から長期借入金を中心に所要資金の借入を行うほか、社債の発行、リースの活用など市場環境や調達手段のバランスを考慮したうえで、最適な方法を選択して調達を行っております。なお、当社は取引金融機関との間に総額4,000,000千円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性についても確保しております。また、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)の活用による資金の一元管理により資金効率の向上を図っております。

当連結会計年度は、取引金融機関より4,780,000千円の長期資金の借入を行うなど安定資金の確保に努めました。なお、当連結会計年度末の有利子負債残高(連結)は金融機関借入・社債・リース債務等の合計で53,501,605千円となり、前連結会計年度末に比べ7,690,078千円減少いたしました。また現金及び現金同等物は、17,840,258千円となり、1,145,566千円減少いたしました。

b 設備投資について

設備投資については、企業価値の向上に資する安全・成長投資を行っております。

当連結会計年度の設備投資額(資金支出ベース)は、営業活動によるキャッシュ・フロー12,998,169千円の資金収入に対し、6,099,150千円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ955,248千円の支出の増加となりました。

c 剰余金の配当について

2024年3月期の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

以上により、当連結会計年度末の総資産は100,537,801千円となり、前連結会計年度末に比べ209,173千円減少いたしました。また、連結ROA(総資産経常利益率)は前期より3.9ポイント改善し7.9%となりました。

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。