第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで(以下、当期という。))におけるわが国経済は、個人消費が雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移したほか、輸出・生産面も海外経済の回復に伴って持ち直すなど、緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、先行きについては、米国新政権の政策動向や英国のEU離脱決定など、不透明な要素も少なくありません。

こうした状況下、当社及び当社グループでは、「名鉄グループ中期経営計画~PLAN123~」における「『積極的な事業展開』と『強固な経営基盤の確立』の両輪で、新たな成長のステージに向けて前進する」という基本方針のもと、積極的な営業活動と効率的な経営に努めました。

当期の営業収益は5,995億69百万円(前期比1.7%減)、営業利益は441億80百万円(前期比1.5%減)、経常利益は461億42百万円(前期比4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は234億33百万円(前期比4.5%減)となりました。

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

①  交通事業

鉄軌道事業につきましては、当社では、都市計画事業の一環として、名古屋本線知立駅付近などで高架化工事を進めたほか、駅ホームの改良工事を行うなど、引続き安全面の強化に努めました。また、一部特別車特急車両2200系、通勤型車両3150系・3300系を導入したほか、訪日外国人旅行者の利用が多い名鉄名古屋駅・中部国際空港駅などの主要駅及びミュースカイや特急特別車の車内で利用できる無料Wi-Fiサービス「MEITETSU FREE Wi-Fi」を開始するなど、お客さまサービスの向上を図りました。営業施策面では、5700系・5300系のデビュー30周年を記念した乗車券及びミューチケットカードの販売や、瀬戸線開業111周年記念スタンプラリーを実施したほか、沿線地域と連携した観光キャンペーンを引続き実施するなど、旅客の需要喚起に努めました。

バス事業につきましては、名鉄バス㈱では、昨年11月に8往復から14往復へ増便した中部国際空港アクセスバス「セントレアリムジン」の利用が好調に推移したほか、高速バス「名古屋-宇都宮・郡山線」を延伸し、「名古屋-宇都宮・福島線」として運行を開始するなど、新規顧客の獲得に取組みました。名鉄観光バス㈱では、名古屋を起点に飛騨高山や白川郷を巡る訪日外国人旅行者向けバスツアーの催行を開始し、新たな需要喚起に努めました。また、濃飛乗合自動車㈱では、高速バス「高山-新宿線」の一部を飛騨古川まで延伸するとともに、同線と成田・羽田各空港リムジンバスの連絡きっぷを発売するなど、観光客の取込みを図りました。

タクシー事業につきましては、当社グループのタクシー会社17社では、「manaca」をはじめとする交通系電子マネーの決済端末機を、昨年4月から順次導入するなど、利便性の向上に取組みました。

交通事業の営業収益は、鉄軌道事業で輸送人員が増加したことなどにより、1,651億82百万円(前期比0.4%増)、営業利益は、燃料費の減少などもあり、227億22百万円(前期比3.3%増)となりました。

 

(業種別営業成績表)

業種別

当  期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

鉄軌道事業

92,772

1.3

バス事業

48,717

△0.4

タクシー事業

29,897

4.2

消去

△6,205

営業収益計

165,182

0.4

 

 

 

(提出会社の運輸営業成績表)

鉄軌道事業

種別

単位

当 期

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

対前期増減率(%)

営業日数

365

△0.3

営業キロ

キロ

444.2

走行キロ

客車

千キロ

195,322

△0.3

 

貨車

1

95.4

乗車人員

定期

千人

255,739

1.7

 

定期外

123,137

1.0

 

378,876

1.4

貨物トン数

千トン

4

△56.0

旅客収入

定期

百万円

38,122

1.6

 

定期外

48,121

1.3

 

86,243

1.4

手小荷物収入

52

△1.5

貨物収入

4

△38.4

運輸雑収

4,703

0.7

収入合計

91,003

1.4

1日平均収入

249

1.7

乗車効率

30.4

 

 

 

(注) 1  乗車効率の算出方法は

延人キロ

×100によります。

客車走行キロ×1車平均定員

 

2  鉄道と軌道との乗車人員は重複しておりません。

 

 

②  運送事業

トラック事業につきましては、名鉄運輸㈱では、昨年4月に信州名鉄運輸㈱を完全子会社化し、一層強固な連携体制を構築するとともに、日本通運㈱との資本業務提携による事業領域の拡充を図りました。また、関東圏での営業活動をさらに積極的に展開するため、路線ネットワークの重要拠点として、昨年4月に千葉県野田市に「野田支店」を新設しました。

海運事業につきましては、太平洋フェリー㈱では、3代目「いしかり」の就航5周年記念キャンペーンを行うなど、旅客の利用促進に努めました。

運送事業の営業収益は、海運事業で台風の影響により欠航が相次いだことや、トラック事業で採算性を重視した契約への見直しを進めたことなどにより、1,298億64百万円(前期比1.6%減)、営業利益は、人件費の増加などもあり、56億89百万円(前期比8.7%減)となりました。

 

(業種別営業成績表)

業種別

当  期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

トラック事業

149,901

△0.4

海運事業

15,210

△6.8

消去

△35,247

営業収益計

129,864

△1.6

 

 

③  不動産事業

不動産賃貸業につきましては、当社では、本年3月に「meLiV(メリヴ)」ブランド2棟目の賃貸マンションとなる「meLiV栄生」を名古屋本線栄生駅前に開業したほか、沿線の所有不動産を、デザインを重視した賃貸物件に再生する取組みの第一弾として、犬山駅西ビルのリノベーションを行うなど、資産の有効活用と沿線地域の価値向上を図りました。また、㈱名古屋商工会館では、銀座4丁目に保有するビルの収益性向上を図るため、複合ビル「G4 BRICKS BLD.(ジーフォー ブリックス ビル)」として建替え、昨年11月に開業しました。

不動産分譲業につきましては、当社では、分譲団地「名鉄陽なたの丘 蒼空(そら)の街」の販売を好評のうちに終えました。名鉄不動産㈱では、首都圏エリアの「ザ ブルームテラス」をはじめとした分譲マンションの販売を進めました。

不動産事業の営業収益は、不動産賃貸業では駐車場数が増加したことなどにより増収となりましたが、不動産分譲業でマンションの販売引渡戸数が減少したことなどにより、812億82百万円(前期比7.4%減)、営業利益は89億96百万円(前期比6.2%減)となりました。

 

(業種別営業成績表)

業種別

当  期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

不動産賃貸業

52,346

4.3

不動産分譲業

34,353

△18.1

消去

△5,417

営業収益計

81,282

△7.4

 

 

 

④  レジャー・サービス事業

ホテル業につきましては、㈱名鉄グランドホテルでは、「名鉄グランドホテル」の「カジュアルダイニング アイリス」と「スカイラウンジ203」のリニューアル1周年を記念したキャンペーンを行うなど、集客力向上に努めたほか、㈱名鉄犬山ホテルでは、「名鉄小牧ホテル」の客室リニューアルを順次行うなど、サービスの向上を図りました。また、名鉄イン㈱では、昨年3月に東京都港区に開業した「名鉄イン浜松町」などで、ビジネス・観光客の利用が堅調に推移したほか、昨年11月には「名鉄イン名古屋駅新幹線口」を開業するなど、事業拡大を図りました。

観光施設につきましては、㈱名鉄インプレスでは、「南知多ビーチランド&南知多おもちゃ王国」において、昨年4月に物販店「ホエールショップ」をオープンしたほか、昨年7月に「日本モンキーパーク」において、レジャープール「水の楽園 モンプル」の大規模リニューアルを実施するなど、施設の魅力向上に努めました。また、㈱名鉄レストランでは、昨年2月に開設された新東名高速道路岡崎サービスエリア内に出店した「お土産処 三州岡崎宿」が増収に寄与しました。

レジャー・サービス事業の営業収益は、観光施設において前期に一部子会社を譲渡したことや天候不順などの影響で減収となりましたが、ホテル業での新規出店による増収が寄与し、551億12百万円(前期比0.1%増)となりました。しかしながら、営業利益は、観光施設での減収に加え、ホテル業で新規出店に伴い費用が増加したことなどにより、17億66百万円(前期比16.0%減)となりました。

 

(業種別営業成績表)

業種別

当  期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

ホテル業

17,723

3.8

観光施設の経営

23,517

△2.7

旅行業

14,521

0.5

消去

△648

営業収益計

55,112

0.1

 

 

⑤  流通事業

百貨店業につきましては、㈱名鉄百貨店では、本店において、昨年9月に低糖質食品などを集めたコーナー「めいてつローカーボ生活」をオープンしたほか、本年1月には大手家具インテリアチェーン「ニトリ」の都市型店舗を中部地区で初めて誘致するなど、新規顧客の獲得に取組みました。

その他物品販売につきましては、名鉄産業㈱では、「ファミリーマートエスタシオ」を名古屋本線名鉄名古屋駅下りホームや常滑線大同町駅構内にオープンするなど、収益力の向上に努めました。

流通事業の営業収益は、㈱名鉄アオトの輸入車販売が増収に寄与したものの、百貨店業での減収などの影響で、1,343億97百万円(前期比1.5%減)となりました。一方、営業利益は、百貨店業の収支改善などにより、9億27百万円(前期比7.5%増)となりました。

 

(業種別営業成績表)

業種別

当  期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

百貨店業

68,569

△4.3

その他物品販売

66,818

1.6

消去

△990

営業収益計

134,397

△1.5

 

 

⑥  その他の事業

その他の事業につきましては、設備工事やシステム開発案件の受注減少などにより、営業収益は735億31百万円(前期比5.6%減)となりましたが、減価償却費の減少などにより、営業利益は40億31百万円(前期比9.2%増)となりました。

 

(業種別営業成績表)

業種別

当  期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

設備の保守・整備・工事

27,906

△6.2

航空事業

20,988

△1.8

ビル管理メンテナンス業

3,700

△2.1

その他事業

22,435

△8.8

消去

△1,499

営業収益計

73,531

△5.6

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ50億22百万円増加し、219億43百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増減額が増加したことなどにより、前期に比べ68億9百万円減少し607億20百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ固定資産の取得による支出が減少したことなどにより、14億57百万円増加し△386億68百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が減少したことなどにより、92億31百万円増加し△170億26百万円となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの事業は、交通事業のほか運送事業、不動産事業、流通事業等の広範囲かつ多種多様なサービス業が主体であり、また受注生産形態をとらない事業がほとんどでありますので、セグメントごとに網羅的に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については、「1  業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、平成17年に「名鉄グループ経営ビジョン」を制定しました。この経営ビジョンでは、地域価値の向上に努め、永く社会に貢献することを使命とし、豊かな生活を実現する事業を通じて地域から愛される「信頼のトップブランド」を目指すことを経営理念としております。この経営理念のもと「お客さま満足を高める全社体制の確立」、「競争に打ち勝つ経営力強化と新しい事業への挑戦」、「一人ひとりの資質向上とチャレンジできる風土づくり」及び「社会的責任の完遂」の4つを経営方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標・中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

名鉄グループでは、平成39年のリニア中央新幹線開業のインパクトを、飛躍するための最大のチャンスと捉え、その需要の取り込みと、この地域に新たな価値を創造するため、名鉄名古屋駅地区の再開発に取組んでいます。

そして、名駅再開発が本格的に動き出していると思われる平成32年までを、財務体質や全社競争力など、強固な経営基盤の確立に向けた強化の期間とし、平成24年に「名鉄グループ2020年のあるべき姿」と、それに向かうための「長期経営戦略」を策定しています。

この経営基盤強化期において着実に前進するため、平成27年度からの3ヵ年に亘る「名鉄グループ中期経営計画~PLAN123~」を策定しており、同計画に掲げる4つの重点テーマを着実に実行することで、名鉄名古屋駅地区再開発(名駅再開発)に向けた、強固な経営基盤の確立などを進めてまいります。

 

〔重点テーマ〕

① 名駅再開発の具体化に向けた事業戦略の推進

本年3月に発表した「名鉄 名古屋駅地区再開発 全体計画」に基づき、商業、ホテル、オフィス、レジデンス等の事業方式・形態の検討や、駅、バスセンター計画を中心とした地域交通拠点計画の作成など、資産価値を最大化するため、グループの総力を挙げて、名駅再開発の具体化を進めてまいります。

また、再開発の効果を沿線に波及させるための交通政策や、再開発に関連するグループ事業強化策の推進、名古屋都心部の都市開発への参画の検討など、再開発に関連するグループ事業戦略を策定し、推進してまいります。

なお、隣接地権者での事業合意に向けた協議・調整のほか、行政や地域との連携・調整も進めてまいります。

 

② 事業領域の拡大と成長分野への進出

鉄道沿線をはじめとする当社グループの事業エリアにおいて、「住まい」や「暮らし」に関連したサービスを提供することで、より豊かな生活の実現に貢献する「総合生活サービス事業」に取組みます。具体的には、高齢化の進展により成長が見込めるシニア向けビジネスや、共働き世帯をサポートし、女性の活躍を支援する事業、生活導線上にある駅・駅周辺の魅力向上につなげる事業などに取組んでまいります。

また、インバウンド誘致のためのプロモーション活動や受入環境の整備、昇龍道プロジェクトへの積極的な参画などに取組んでまいります。

 

 

③ 地域との協働による事業展開エリアの活性化

部署・会社間連携による自然災害等の異常時対応強化など、保守・運営体制強化による安全・安心のさらなる徹底に取組むとともに、既存商業施設の改修やテナントの見直しなどにより駅ナカ・駅チカ事業を強化するなど、駅の付加価値向上を図ります。

また、沿線都市観光キャンペーンの強化・新規展開などを軸に、地域と連携し交流人口の増加を図り、事業展開エリア全体の活性化に貢献してまいります。

 

④ グループ経営の強化

MEITETSU μ’s Card、μstarポイントを軸とした連携商品、サービスの創出などにより相互送客につながる事業戦略の構築を図るほか、グループ各社の経営力の底上げ、グループの連携強化による効率化や経営強化につながる人材育成・人材配置の推進に取組むなど、連結ベースでの企業価値最大化を目指します。

 

また、目標とする経営指標につきましては、収益性、効率性など経営体質の改善や市場の評価を意識し、中期経営計画最終年度にあたる平成29年度の連結経営数値目標として、ROE(純利益/自己資本)、ROA(営業利益/総資産)、純有利子負債/EBITDA(※)倍率、及び株主資本比率をそれぞれ設定しております。

※純有利子負債:有利子負債-現預金・短期有価証券、EBITDA:営業利益+減価償却費

 

当社グループは、こうした重点テーマを着実に推し進め、地域から愛される「信頼のトップブランド」の確立を目指し、より一層の業績向上に努めていく方針であります。

なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

当社グループは、公共交通機関としての鉄道事業を中心に、交通、運送、不動産、レジャー、流通等の各事業を通して、長年にわたり地域の生活基盤の一端を担ってきております。

また、これらの事業活動を通して得られたお客様との信頼関係をさらに発展させるべく、平成17年12月には当社グループの目指すべき将来像を明示した「名鉄グループ経営ビジョン」を策定しました。この中で当社グループの使命を「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」と定め、「私たち名鉄グループは、豊かな生活を実現する事業を通じて、地域から愛される『信頼のトップブランド』をめざします」とする経営理念を掲げております。

当社では、「名鉄グループ経営ビジョン」に沿った諸施策を着実に実施することが、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものと考えておりますが、これを実現するためには、グループ各社が長期的視点に立って安定的な経営を維持し、かつ、一体となって相乗効果を発揮していくことが必要不可欠であります。

以上の観点から、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社グループの使命及び経営理念をふまえ、グループ全体の企業価値ひいては株主共同の利益を持続的に確保・向上していくことに十分な理解を有することが必要であると考えております。

近年、顕在化している株式の大量買付けに関しては、それが会社の企業価値の向上ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買付け提案についての判断は、最終的には個々の株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えております。

しかしながら、株式の大量買付けの中には、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するもの、株主の皆様や当社取締役会が株式の大量買付けの条件等について検討し、意見を形成するための十分な時間や情報を提供しないものの存在も想定されます。また、短期の利益を優先し、当社グループの保有資産を切り売りするなど、当社グループの経営基盤を破壊するもの、当社の公益事業者としての役割や鉄道事業の安全の確保に悪影響を及ぼすものなどの存在も否定できません。

当社では、いわゆる「買収防衛策」を当有価証券報告書提出日現在で定めてはおりませんが、株主の皆様から負託を受けた経営者の責務として、このような当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある株式の大量買付けに対しては、法令・定款に照らし適切な措置を講じてまいります。

なお、買収防衛策の導入については、重要な経営課題の一つとして認識しており、今後も継続して検討を行ってまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループ各社の事業に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりであります。当社グループは、こうしたリスクを認識した上で、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判明したものであります。また、これらのリスクは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 自然災害等のリスク

鉄軌道事業、不動産事業など多種多様な事業を展開する当社グループは、多くの設備等を保有しております。耐震補強工事の実施等により被害の軽減対策に努めるほか、大規模災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定するなど事前対策に取組んでおりますが、南海トラフにおける巨大地震の発生等により施設や設備等に大きな被害が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このほか、新型インフルエンザ等の感染症などが蔓延した場合、お客様の出控えによる業績悪化が懸念されるなど、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事故等のリスク

当社グループでは、鉄軌道・バス等の交通事業、トラック等の運送事業を営んでおり、常に輸送の安全の確保に取組んでおりますが、人為的なミスや不慮の事故等により重大な事故が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このほか、テロ等不法行為、火災などの事故によって、当社グループの施設・設備等への被害が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、流通事業及びレジャー・サービス事業において、当社グループが販売する商品の品質及び食品の安全性に関わる信用毀損が発生した場合、減収等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業環境の変化に関するリスク

①原油価格等の高騰

当社グループの主要な事業である交通事業及び運送事業では、大量の電力を消費するほか、営業用車両及び船舶の燃料として軽油等を使用しております。これらの価格が大きく上昇した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

②法律・制度・規制の改変

当社グループは、交通事業・運送事業・不動産事業等において、鉄道事業法、道路運送法、建築基準法等の関連法令等を遵守して事業運営を行っておりますが、これらの法的規制が強化された場合や新たな法的規制が追加された場合には、これらの規制を遵守するために費用が増加する可能性があるほか、一方で規制が緩和された場合には、それぞれの事業で他企業との競争が激化することにより、グループが展開する各事業に影響を及ぼす可能性があります。

③調達金利の上昇

中期経営計画において純有利子負債/EBITDA倍率の向上を目標とするなど、有利子負債の削減に取組んでおりますが、市場金利が上昇した場合や格付け機関による当社格付が引き下げられた場合、資金調達コストが上昇し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④地価及び株価の下落

当社グループは、不動産や株式などの固定資産及びたな卸資産を多く保有しております。これらの時価が著しく下落した場合、減損損失または評価損等の計上により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤経済情勢等の変化

当社グループは、中部圏を基盤に交通事業を中心とした各種サービス事業を展開しております。同地域の経済状況、消費動向及び人口動態の変化、他事業者との競合等、これらの経営環境の悪化が今後当社グループの見込みを上回るペースになった場合、グループの収益性低下の要因となるなど、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 事業遂行に関するリスク

①人材の確保・育成

当社グループは、交通事業を中心とした各種サービス事業を展開しておりますが、今後採用環境の変化等により事業運営に必要な人材の確保・育成が計画どおりに進まない場合、グループ各事業の運営に影響を及ぼす可能性があります。

②個人情報の漏洩

当社グループでは、鉄軌道事業やバス事業におけるICカード発行等、また百貨店業、ホテル業及び情報処理業などの各種事業において個人情報を保有しております。こうした個人情報は、情報セキュリティポリシーや個人情報保護規則、特定個人情報取扱規則を制定して情報管理体制を整備して厳重に管理しておりますが、万一漏洩した場合、社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償による費用の発生等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③情報システムの故障・停止等

当社グループでは、各種事業において多くの情報システムを使用しており、様々な業務分野で重要な役割を果たしております。これらの情報システムが、自然災害、人的ミス、コンピュータウィルス、サイバーテロなどにより故障・停止等した場合、事業運営に支障をきたすおそれがあるほか、システムの復旧等に係る費用の発生や営業収益の減少などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

① 固定資産の減損

   当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来
   キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んで
   いた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減
   損を実施する可能性があります。

 

② 繰延税金資産の回収可能性

   当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積
   っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は
   減額される可能性があります。

 

③ 退職給付債務及び費用の計算

   当社グループは、従業員退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の期待運用収益率等の前
   提条件に基づき行っております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付
   債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

資産の合計額は1兆938億82百万円で、前連結会計年度末に比べ292億75百万円増加しました。これは、保有株式の時価上昇などにより投資有価証券が92億72百万円、分譲マンション建設等により分譲土地建物が54億71百万円、現金及び預金が49億88百万円、設備投資などにより有形固定資産が全体で47億16百万円増加したことなどによるものであります。

(負債)

負債の合計額は7,510億69百万円で、前連結会計年度末に比べ9百万円増加しました。これは、有利子負債が全体で136億15百万円減少した一方で、前受金などの流動負債その他が46億39百万円、整理損失引当金が45億92百万円、未払法人税等が29億11百万円増加したことなどによるものであります。

(純資産)

純資産の合計額は3,428億13百万円で、前連結会計年度末に比べ292億65百万円増加しました。これは、利益剰余金が125億49百万円、保有株式の時価上昇などによりその他有価証券評価差額金が35億53百万円増加したことなどによるものであります。

 

 

(3) 経営成績の分析

当連結会計年度の営業収益は5,995億69百万円で、前連結会計年度に比べ105億84百万円減少しました。これは、主として、分譲マンション引渡戸数の減少などにより不動産事業で65億24百万円、百貨店業の減収などにより流通事業で19億88百万円減収となったことなどによります。

営業利益は、441億80百万円で、前連結会計年度に比べ6億84百万円減少しました。これは、主として、減収に加え、人件費の増加などにより不動産事業で5億98百万円、運送事業で5億43百万円それぞれ減益となったことなどによります。

経常利益は、461億42百万円で、前連結会計年度に比べ17億65百万円増加しました。これは、主として、支払利息の減少などにより、営業外損益が改善したことによります。

特別利益は、36億99百万円で、前連結会計年度に比べ39億33百万円減少しました。これは、主として、固定資産売却益などが減少したことによります。

特別損失は、129億円で、前連結会計年度に比べ2億63百万円増加しました。これは、主として、整理損失引当金繰入額などが増加したことによります。

これらにより、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ24億31百万円減少し369億41百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等調整額を含む税金費用が減少したものの、前連結会計年度に比べ10億99百万円減少し234億33百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「1  業績等の概要」の「(2)  キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。