(1)業 績
当連結会計年度(以下、当期という。)のわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善もあって緩やかな景気回復基調のうちに推移しましたが、期末にかけては世界経済の減速に伴い次第に先行き不透明感が高まりました。
このような情勢のもと、当社では、昨年4月1日に純粋持株会社制へ移行し、商号を「近鉄グループホールディングス株式会社」に変更いたしました。また、主要国首脳会議(サミット)が伊勢志摩で開催されることが昨年6月に発表されたのを受け、同地域で多くの事業を展開している当社グループとして、サミット開催に対して万全の準備を整えるとともに、今後の同地域への旅客誘致を図るため、サミットの会場となる志摩観光ホテルではロビーや客室、レストランなどを一新して庭園の修景整備を行い、その玄関口となる近鉄賢島駅の改良工事も実施するなど、グループ施設の改修を進めました。
当期中の当社グループの事業の経過および成果につきましては、まず阿部野橋ターミナルビル「あべのハルカス」において、近鉄百貨店「あべのハルカス近鉄本店」、「大阪マリオット都ホテル」、「あべのハルカス美術館」、「ハルカス300(展望台)」などビル内各施設へのお客様の誘致に鋭意努めました。加えて、近接する天王寺公園のエントランスエリア管理運営事業を大阪市から受託し、同エリアに新たにレストランやスポーツ施設、芝生広場などを設けて、「てんしば」の愛称で昨年10月にリニューアルオープンいたしました。また、増加している訪日旅行者の誘致のため、各事業において営業活動や受入れ体制整備に取り組みました。さらに、不動産業において、近鉄沿線の居住人口の増加を目指して環境に優しい魅力的な街づくりを進めました。このほか、レジャー事業の収益基盤の強化と、「あべのハルカス」ほかグループ施設との相乗効果を見込んで、水族館などを運営する株式会社海遊館を当社の関連会社とすることにより、同社の経営に参画しました。以上のとおり、グループ全般にわたって、事業基盤の整備、強化を図り、収益の確保と業績の向上に努力を傾けてまいりました。
その結果、連結営業収益は、前期に比較して1.3%減の1兆2,179億95百万円となり、また、営業利益は14.7%増の647億36百万円、経常利益は17.1%増の611億42百万円となりました。特別損益では近鉄養老線の事業形態変更に伴う特別損失の計上もありましたが、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比較して3.9%増の289億56百万円となりました。
なお、養老線の事業形態変更に伴う損失については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(連結損益計算書関係)」をご覧ください。
各報告セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、当期より、持株会社化に伴い、ホテル・レジャー業に含まれていた旅館・レジャー業のうち、志摩スペイン村等の観光施設業を、新区分では運輸業に変更しております。このため、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①運 輸
(A)概 要
運輸業におきましては、鉄軌道部門で、運転保安度の一層の向上を目指して、立体交差化、大阪地区総合指令構築等の諸工事を推進しました。また、主要駅や列車内での外国語案内サービス拡充や、外国人向け企画乗車券の販売促進など、外国人観光客の誘致に向けた取組みを強化しました。さらに、前期は一昨年4月に消費税率の引上げがあり、前期の期首までに定期乗車券等の先買いがあったため減収となっていたこともあり、当期は増収となりました。バス部門では、貸切運賃適正化に伴う運賃引上げ効果が浸透したことなどにより、増収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して2.7%増の2,306億8百万円、営業利益は13.2%増の305億57百万円となりました。
なお、近鉄線のうち、厳しい収支状況が恒常的に続いていた内部線および八王子線については、昨年4月1日から公有民営方式へ移行し、四日市市が鉄道施設および車両を所有して、近畿日本鉄道株式会社と同市が共同で設立した「四日市あすなろう鉄道株式会社」が事業を運営しております。同様に、伊賀線は平成29年4月からの公有民営方式への移行に向けた諸手続を進めているほか、養老線は平成29年中を目途に新たな事業形態に移行することで、沿線自治体と基本合意に至りました。
(B)営業成績
a.近畿日本鉄道㈱運輸成績表
|
区 分 |
単 位 |
当 期 |
|||
|
(平成27年4月~平成28年3月) |
前期比(%) |
||||
|
営業日数 |
日 |
366 |
0.3 |
||
|
営業キロ程 |
キロ |
501.1 |
△1.4 |
||
|
客車走行キロ |
千キロ |
289,014 |
0.3 |
||
|
旅客人員 |
定期 |
千人 |
339,250 |
1.3 |
|
|
定期外 |
千人 |
234,332 |
2.4 |
||
|
計 |
千人 |
573,582 |
1.8 |
||
|
旅客運輸収入 |
旅客収入 |
定期 |
百万円 |
47,451 |
1.1 |
|
定期外 |
百万円 |
100,613 |
1.9 |
||
|
計 |
百万円 |
148,064 |
1.6 |
||
|
荷物収入 |
百万円 |
39 |
△1.4 |
||
|
合計 |
百万円 |
148,104 |
1.6 |
||
|
線路使用料 |
百万円 |
987 |
△8.2 |
||
|
運輸雑収 |
百万円 |
6,844 |
△4.4 |
||
|
営業収益計 |
百万円 |
155,936 |
1.3 |
||
|
乗車効率 |
% |
29.1 |
- |
||
(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.グループの営業成績
|
業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(平成27年4月~平成28年3月) |
前期比(%) |
||
|
鉄軌道事業 |
百万円 |
156,415 |
1.4 |
|
バス事業 |
百万円 |
35,789 |
2.8 |
|
タクシー業 |
百万円 |
11,844 |
1.3 |
|
交通広告業 |
百万円 |
8,423 |
6.5 |
|
鉄道施設整備業 |
百万円 |
24,251 |
0.7 |
|
海運業 |
百万円 |
2,173 |
4.4 |
|
レンタカー業 |
百万円 |
3,193 |
4.2 |
|
観光施設業 |
百万円 |
9,767 |
△2.0 |
|
調整 |
百万円 |
△21,249 |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
230,608 |
2.7 |
②不動産
(A)概 要
不動産業におきましては、不動産販売部門では、関西圏、首都圏、東海圏等において、マンションや戸建住宅の販売に引き続き努めました。営業効率の向上や経費の縮減に努め、利益率の改善を図りましたが、当期はマンション供給戸数の減少により、減収となりました。一方、不動産賃貸部門では、収益拡大のための保有資産の入替えや改修を積極的に行い、首都圏における賃貸事業の拡充を目的としてオフィスビルを取得したほか、近鉄沿線における住み替えサイクルの構築を目的として、賃貸レジデンス事業第一弾となるマンション「K-TERRACE学研奈良登美ヶ丘」の営業を開始し、増収となりました。また、メガソーラー事業では、5カ所目となる三重県伊勢市の「近鉄池の浦ソーラー発電所」が発電を開始しました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.3%減の1,557億98百万円、営業利益は13.0%増の166億17百万円となり
ました。
(B)営業成績
|
業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(平成27年4月~平成28年3月) |
前期比(%) |
||
|
不動産販売業 |
百万円 |
77,315 |
△12.4 |
|
不動産賃貸業 |
百万円 |
46,100 |
44.7 |
|
不動産管理業 |
百万円 |
38,355 |
△12.0 |
|
調整 |
百万円 |
△5,972 |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
155,798 |
△0.3 |
③流 通
(A)概 要
流通業におきましては、百貨店部門で、「あべのハルカス近鉄本店」に訪日外国人向け専用サロンを設けるなどインバウンド需要の取り込みに注力しましたが、収支が悪化していた近鉄百貨店桃山店の営業を前期の途中に終了した影響などもあり、全体として減収となりました。ストア・飲食店部門では、ファミリーマート店舗の新設を進め、また、近商ストアで店舗の改装、商品政策や販売力の強化を実施したことにより、増収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して1.9%減の3,839億83百万円、営業利益は1.2%増の56億75百万円となりました。
(B)営業成績
|
業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(平成27年4月~平成28年3月) |
前期比(%) |
||
|
百貨店業 |
百万円 |
270,487 |
△3.3 |
|
ストア・飲食業 |
百万円 |
114,800 |
0.8 |
|
調整 |
百万円 |
△1,303 |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
383,983 |
△1.9 |
④ホテル・レジャー
(A)概 要
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、訪日外国人などによる各ホテルの宿泊利用が好調に推移しており、増収となりました。旅行部門では、テロ事件などの影響により海外旅行商品の販売が低調だったことから減収となりましたが、近畿日本ツーリストとクラブツーリズムがイベントを共同実施するなどの取組みをさらに進め、また、旅行商品の見直しなどにより利益率の改善を図りました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.8%減の4,755億75百万円、営業利益は20.8%増の88億15百万円となりました。
(B)営業成績
|
業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(平成27年4月~平成28年3月) |
前期比(%) |
||
|
ホテル業 |
百万円 |
61,908 |
9.9 |
|
旅行業 |
百万円 |
410,308 |
△2.3 |
|
映画業 |
百万円 |
3,357 |
2.7 |
|
調整 |
百万円 |
- |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
475,575 |
△0.8 |
⑤その他
(A)概 要
その他の事業におきましては、ケーブルテレビ部門でケーブルテレビやインターネットの加入者数が増加しました。
この結果、営業収益は前期に比較して1.4%増の153億31百万円、営業利益は2.1%増の13億43百万円となりました。
(B)営業成績
|
業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(平成27年4月~平成28年3月) |
前期比(%) |
||
|
ケーブルテレビ業 |
百万円 |
11,049 |
2.6 |
|
情報処理業 |
百万円 |
3,654 |
△1.5 |
|
保険代理業 |
百万円 |
627 |
△3.6 |
|
調整 |
百万円 |
- |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
15,331 |
1.4 |
(2)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物は556億37百万円で、前期末と比較して15億60百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は839億19百万円で、税金等調整前当期純利益が増加したほか、たな卸資産の増減額が収入に転じましたが、売上債権の増減額や支払消費税の増加でその他が支出に転じたことなどにより、前期と比較して38億24百万円収入額が減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は394億61百万円で、固定資産の取得支出の減少や固定資産の売却収入の増加により、前期と比較して67億70百万円支出額が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は459億59百万円で、借入金の純返済額が増加しましたため、前期と比較して15億23百万円支出額が増加しました。
当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。
(1)経営の基本方針
当社グループは、誠実な企業活動により暮らしの安心を支え、果敢な挑戦により新たな価値を創出し、多様な人々との協働により社会の発展、繁栄に貢献することを経営の方針として、鉄道事業、不動産事業、ホテル事業、流通事業を中核とする生活関連事業を幅広く展開しております。
純粋持株会社制のもと、グループの総合力を最大限に発揮していくためのグループ経営体制を構築するとともに、鉄道事業における安全の確保を前提とした市場の変化に対応しうる事業運営体制の確立や、流通事業等における「あべのハルカス」の収益基盤強化など、各事業の構造改革継続による収益力の長期安定化に努めてまいります。また、沿線の豊富な観光資源を活かしたインバウンド・観光へのグループを挙げた取り組みなど事業機会を最大限活用した収益増大や、不動産事業の強化など新たな収益基盤の確保にも取り組み、「近鉄ブランド」の強化を通じて持続的な成長を実現いたします。
(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
(近鉄グループ経営計画の推進)
当社グループでは、平成27年5月14日に公表した「近鉄グループ経営計画(2015年度~2018年度)」に基づき、基本方針として“「成長へのシフト」と「財務健全性の確保」の両立”を掲げ、以下の基本戦略を着実に実行いたします。
① 既存事業の構造改革継続による利益創出力の長期安定化
鉄道事業では、引き続き構造改革を進め、少子高齢化・人口減少などの市場の変化に対応しうる事業運営体制を確立するとともに、「あべのハルカス」を確固たる収益基盤とすべく、近鉄百貨店の店舗収益力強化等を実施してまいります。
② 事業機会を最大限に活用した収益増大
インバウンド旅客の飛躍的増加、リニア新幹線開業や東京オリンピック・パラリンピック開催など各種イベントによる観光需要の増加を好機ととらえ、グループ全体で収益の増大を図ります。
③ 事業領域・エリアの拡大による新たな収益源の育成
不動産事業等において関連する事業領域の拡大や首都圏など沿線外への事業エリア拡大にも積極的に取り組んでまいります。さらに、状況に応じてM&A等により必要機能を獲得し、新たな収益源の育成に注力してまいります。
④ 持株会社の戦略機能の発揮によるグループシナジーの最大化と財務基盤の一層の充実
純粋持株会社制のもと、各事業の競争力強化やグループ連携強化のためのグループ経営体制を確立し、グループ経営資源の有効活用とグループシナジーの最大化を図ります。また、適切な財務戦略を推進してまいります。
⑤ 各事業の運営力強化とサービスの質の向上による「ファンづくり」
お客様のご満足を頂いているかを常に問いながら、各事業の運営力を強化するとともに、より質の高いサービスを提供できる各事業に適した人材を育成してまいります。
(3)目標とする経営指標
上記の基本方針及び基本戦略に則り、「近鉄グループ経営計画(2015年度~2018年度)」の最終年度である2018年度において、①営業利益600億円、②経常利益550億円、③有利子負債/EBITDA倍率9倍程度、③自己資本利益率(ROE)8%台、⑤D/Eレシオ3倍未満の連結経営指標目標を設定しております。
(4)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針等
当社では、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を決定しております。
基本方針の内容、基本方針の実現に資する特別な取組みの内容、基本方針に照らして不適切な者によって財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容並びに取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由は、次のとおりであります。
① 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
近鉄グループ経営理念のもと、グループの中核をなす鉄道事業における安全性や公共性の確保と、株主、顧客、取引先、従業員などとの信頼関係の維持に十分に配慮し、長期的な視点に立った企業活動を行うことが企業価値向上及び株主共同の利益の確保に資すると考える。財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方については、かかる見地から株主自身が判断するものと考えている。しかしながら、当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合において、当該買付行為が株主に十分な情報提供が行われないものであるときあるいは十分な検討期間もないまま行われるものであるとき、また、買付後の経営が鉄道事業における安全性や公共性を脅かすものであるときには、当社取締役会は企業価値及び株主共同の利益を毀損する買付行為を防止する方策を採用する。
② 上記基本方針にかかる取組みの具体的内容
a.近鉄グループ経営計画に基づき、当社が創業以来培ってきた経験と近鉄沿線の豊かな文化や観光資源を活かし、グループの総力を挙げた事業展開により、沿線の利便性・魅力向上に注力する。特に、伊勢神宮式年遷宮を機に注目を集めた伊勢志摩地域の一層の活性化に向けた取組みを強化するとともに、「あべのハルカス」については、当社グループのシンボルタワーとして一層の認知度向上と集客力強化、各施設の連携による相乗効果の発揮を図る。また、少子高齢化・人口減少など市場の変化に対応すべく、グループ各事業において構造改革を着実に進めるとともに、収益基盤の確立に向けた事業創出を図り、新たな成長戦略を描く。さらに、純粋持株会社制に移行することでグループ経営機能の強化と各事業会社の自立的経営を図り、グループの総合力を最大限に発揮する。
b.当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合において、買付者等からの十分な情報提供と、株主及び当社取締役会が大規模買付行為の是非を検討するのに必要な期間を確保するとともに、企業価値及び株主共同の利益を毀損する買付行為を防止するため、平成25年6月21日の当社定時株主総会の決議により当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「本対応方針」という。)を継続した。なお、当社株主総会において本対応方針の変更または廃止の決議がなされた場合には、本対応方針は当該決議に従い、その時点で変更または廃止されるものとしている。
本対応方針の内容は、当社が発行者である株式等について保有者の株式等保有割合の合計を20%以上とすることを目的とする買付け、または当社が発行者である株式等について結果として公開買付けにかかる株式等の株式等所有割合及び特別関係者の株式等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けを「大規模買付行為」とし、また当該買付けを行いまたは行おうとする者を「買付者等」として、買付者等に対し、本対応方針に定める大規模買付ルールを遵守する旨の誓約と、当社取締役会への当該大規模買付行為に関する情報提供を求めるものである(ただし、大規模買付行為の前に当該買付けにつき当社取締役会の承認がある場合を除く。)。
買付者等が本対応方針に定める大規模買付ルールを遵守しない場合、または当該買付けが当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうものであると認められ、かつ対抗措置の発動を相当と判断する場合には、当社取締役会の決議により、当該買付者等は行使することができないという行使条件を付した新株予約権(以下「本新株予約権」という。)の株主割当てを実施し、当該大規模買付行為による損害を防止する。なお、かかる判断にあたっては、当社取締役会から独立した第三者機関である独立委員会の勧告を最大限尊重する。
③ 上記②の取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由
近鉄グループ経営計画を着実に実行し、中長期にわたり沿線価値の向上につながる企業活動を続けていくことにより、地域の人々から信頼を得ることができ、沿線価値ひいては当社の企業価値向上が実現し、株主共同の利益が高まることが期待される。
本対応方針は、企業価値向上及び株主共同の利益の確保という観点から、買付者等からの十分な情報提供と、株主及び当社取締役会が大規模買付行為の是非を検討するのに必要な期間を確保するために定めるものであり、特定の株主または投資家を優遇あるいは拒絶するものではない。
本対応方針は、株主総会における株主の意思をもって継続されるものであるとともに、その廃止も株主総会における株主の意思によって行うことができる。当社取締役の任期は1年となっており、期差選任や解任制限等も採用していないため、株主の意思を反映しやすい仕組みとなっている。
当社取締役会が対抗措置の発動を判断するにあたっては、独立性の高い独立委員会が企業価値向上及び株主共同の利益の確保という観点から行った合理的かつ客観的な判断を踏まえて発動される仕組みとなっており、当社取締役会の恣意的判断を排除している。
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(フィナンシャルアドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタント等)の助言を得ることができるとしている。これにより、独立委員会による判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっている。
本対応方針においては、上記のとおり、大規模買付行為に対する対抗措置は合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計しており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえる。
対抗措置として割り当てる本新株予約権並びにその行使条件についても、事前に本新株予約権の割当条件及び割当内容について開示を行うなど、企業価値向上及び株主共同の利益の確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置であるといえる。
したがって、当社取締役会は、前記②の取組みは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではないとともに、役員の地位の維持を目的とするものでないと判断している。
(注)本対応方針の有効期間は、平成28年6月17日開催の定時株主総会の終結の時までとなっておりました。本対応方針の取扱いについて、国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見や買収防衛策をめぐる近時の動向などを考慮しつつ、慎重に検討を重ねてまいりました結果、当社を取り巻く経営環境の変化に加え、金融商品取引法による大規模買付行為に関する規制が浸透し、本対応方針の目的が一定程度担保されていることなどから、本対応方針の当社における必要性が相対的に低下しているものと考え、当社は、平成28年5月13日開催の取締役会において、本対応方針を継続しないことを決議しました。このため、平成28年6月17日開催の定時株主総会の終結の時をもって、本対応方針は失効し、新たな基本方針等は次のとおりとなっております。
① 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
近鉄グループ経営理念・経営計画のもと、グループの中核をなす鉄道事業における安全性や公共性の確保とさまざまなステークホルダーとの信頼関係の維持に十分に配慮して、長期的な視点に立った企業活動を行い、またコーポレートガバナンス体制のさらなる強化に努めることが企業価値向上及び株主共同の利益の確保に資すると考える。当社株式に対する大規模買付行為を行い、または行おうとする者に対しては、当該行為を受け入れるか否かについては、かかる見地から株主自身が判断するものと考えている。しかしながら、当該買付行為が株主に十分な情報提供が行われないものであるとき、十分な検討期間もないまま行われるものであるとき、買付後の経営が鉄道事業における安全性や公共性を脅かすものであるとき、実質的に経営参加の意思もなく当社グループのシナジー効果を毀損するものであるときには、当社取締役会は、判断の客観性を担保しつつ、法令に基づき適切な措置を講じ、企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考える。
② 上記基本方針にかかる取組みの具体的内容
a.近鉄グループ経営計画に基づき、当社が創業以来培ってきたさまざまなノウハウと近鉄沿線の豊かな文化や観光資源を活かし、グループの総力を挙げた事業展開により、沿線の利便性・魅力向上に注力する。また、インバウンド旅客の増加や「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」開催など各種イベントによる観光需要の増加を好機ととらえ、グループ全体で収益の増大を図る。特に、伊勢志摩サミットを機に注目を集めた同地域については一層の活性化に向けた取組みを推進し、また、「あべのハルカス」については、当社グループのシンボルタワーとしてさらなる認知度向上と集客力強化、各施設の連携による相乗効果の発揮を図る。また、少子高齢化・人口減少など市場の変化に対応すべく、グループ各事業において構造改革を着実に進める一方、関連する事業領域の拡大や沿線外への事業エリアの拡大等に積極的に取り組むことにより、収益基盤の確立に向けた事業創出を図り、新たな成長戦略を描く。さらに、純粋持株会社制のもと、より一層グループ経営機能の強化と各事業会社の自立的経営を図り、グループの総合力を最大限に発揮する。
b.当社取締役会は、当社株式に対する大規模買付行為を行い、または行おうとする者に対し、買付けの目的や買付後の当社グループの経営方針など株主の皆様の判断に必要となる情報の提供を求め、適時適切に情報開示を行う。また、当社取締役会は、当該買付者等から提供された情報について、企業価値向上及び株主共同の利益の確保という観点から評価・検討し、必要に応じて当該買付者等と協議・交渉を行うこととする。
なお、平成25年6月21日開催の当社定時株主総会の決議により継続した「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針」については、平成28年5月13日開催の当社取締役会において非継続(廃止)を決議し、同年6月17日開催の当社定時株主総会の終結の時をもって有効期間が満了している。
③ 上記②の取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由
上記②の近鉄グループ経営計画に基づく当社の企業活動は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に沿うものであり、当社の企業価値を向上させ、株主共同の利益の確保に資するものであると考える。
また、当社株式に対する大規模買付行為を行い、または行おうとする者に対する当社取締役会の対応方針は、企業価値向上及び株主共同の利益の確保という観点から、株主の皆様の判断に必要となる情報の提供を買付者等に求め、これを開示することを定めるものであり、特定の株主または投資家を優遇あるいは拒絶するものではない。
したがって、当社取締役会は、上記②の取組みは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではないとともに、役員の地位の維持を目的とするものでないと判断している。
「第2 事業の状況」「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 原子力発電所運転停止に伴う電力不足の影響
原子力発電所の運転停止に伴い、今後の電力供給が不十分となった場合には、列車の運行、流通店舗・ホテルの営業等、サービスの安定的な提供に支障が出るおそれがあります。また、電気料金上昇などのコスト増によって、当社グループの業績に大きな影響をおよぼすおそれがあります。
当社グループでは、省電力機器の導入等により、可能な限り節電協力を行っておりますほか、様々な営業施策の展開及びコスト削減等により収支への影響を最小化するよう努めております。
(2) 大規模災害または大規模事故の発生
南海トラフ地震等とそれらに伴う津波、主要ターミナル等における火災やテロなどの大規模災害が発生した場合、長大橋梁・鉄道トンネル・線路等鉄道施設の毀損、特急券オンライン発券システムのトラブルなどのほか、ホテルや百貨店、賃貸施設、レジャー施設等についても大きな被害が生じるおそれがあり、当社グループにおいて大規模な損害及び復旧費用が発生する可能性があります。また、当社グループの経営資源が大阪府、奈良県、三重県をはじめ、近鉄沿線に集中していることから、グループ全体の業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。
このほか、感染症が大規模に流行した場合、鉄道利用者をはじめ各事業の顧客の出控え等のほか、従業員の勤務を確保することが困難となる事態も予想され、業績に大きな影響を与えるおそれがあります。
また、万一大規模事故が発生した場合、その復旧と損害賠償に巨額の費用が必要となり、業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。鉄道事業においては、遮断中の踏切への進入など外的要因により事故が発生し、列車の運行に支障が出るおそれもあります。
当社グループでは、公共交通機関として多数のお客様の輸送に当たる鉄軌道事業やバス事業をはじめ、その他の各事業においてもお客様の安全の確保を第一義に考えております。このため、従業員の教育・訓練はもちろんのこと、鉄軌道事業における運転保安設備の新設、増強など計画的な投資の継続をはじめ、各事業とも耐震補強など防災対策工事を推進するとともに、各種の安全対策には万全を期しております。また、大規模地震に対する事業継続計画の定期的な見直し等、大規模な災害・事故等の発生に備えた危機管理体制の整備を一層推し進めております。
(3) 沿線人口の減少及びモータリゼーションの進展、他社との競合
少子高齢化及び近鉄沿線外や都心への人口移転により、沿線での人口、特に就労人口及び通学人口が減少しており、今後この傾向が続くおそれがあります。また、近鉄線と競合する高速道路網の整備等によりモータリゼーションが一層進展しているほか、一部路線では鉄道他社と競合関係にあります。これらの状況は、鉄軌道業収入、流通業収入や不動産業収入等の減少をもたらすおそれがあります。また、近鉄沿線の観光地は、他の観光地との競合関係にあるため、入込観光客が減少し、鉄道事業のほかホテル・レジャー業の収入が影響を受ける可能性があります。さらに、大阪地区での競合する他の百貨店の新規開業・増床をはじめ、異業態の新店舗開業により、流通業の収入が影響を受ける可能性があります。
当社グループとしては、輸送サービスの向上や魅力ある鉄道商品の発売に努め、優良な住宅地及びマンションの開発、グループ挙げての総合的な生活関連サービスの展開など沿線価値向上のための諸施策を積極的に進め、グループ各社の連携によりグループ事業全体の基盤強化を図ってまいります。また、営業戦略上の重要地域である伊勢志摩地区、奈良地区をはじめ、沿線観光地への旅客誘致にも一層の努力を傾けてまいります。
(4) 景気、個人消費動向等の変動
当社グループの中核をなす運輸業、流通業及びホテル・レジャー業は、いずれも主に一般消費者を顧客としており、景気動向、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象や天候不順等の影響により、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、各種営業施策の展開とコスト削減等によってその影響を最小化するよう、努めてまいります。
(5) 「近鉄グループ経営計画(2015年度~2018年度)」の推進
「近鉄グループ経営計画(2015年度~2018年度)」に基づき、「成長へのシフト」と「財務健全性の確保」の両立を基本方針として、「あべのハルカス」の収益基盤強化、インバウンド・観光による収益増大、不動産事業の強化を重点テーマに各種施策を推進しております。これは、当社グループが将来にわたって持続的に成長し、財務基盤の一層の充実を図るために必要な施策でありますが、計画通りに進捗しない場合、事業及び財務に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、激変する経済環境や社会構造の変化に柔軟かつ迅速に対処することによって、計画の目標達成に格段の努力を払ってまいります。
(6) 鉄道事業法による規制
鉄道事業者は、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより経営しようとする路線及び鉄道事業の種類毎に国土交通大臣の許可を受けなければならず、さらに旅客運賃の設定・変更は、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされております。なお、認可される運賃は上限運賃とされ、その範囲内で運賃を設定または変更しようとするときは、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければならないとされております。このため、鉄道事業における運賃の設定・変更については制限される可能性があります。
(7) 商品の品質並びに食品の安全性及び表示に対する信用毀損
主として一般消費者を顧客としている流通業及びホテル・レジャー業において、当社グループが販売する商品の品質や食品の安全性・表示について信用毀損が生じた場合、減収等により業績が悪化するおそれがあります。
当社グループでは、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品表示のチェックなどを実施し、商品の品質・食品の安全性の確保、適切な食品表示に努めております。
(8) 地価の下落等
不動産市況の低迷や地価の下落に伴う販売用土地及びマンションの販売不振、不動産賃料収入の減少、販売土地建物及び固定資産についての評価損失の計上などにより、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、地価変動の影響を極力避けるため保有資産の圧縮を進めるとともに、魅力ある新規物件の開発促進や、低利用地の更なる有効利用によって、不動産業の業績向上に努めています。
(9) 原油価格等の高騰
原油価格の上昇は、当社グループのバス事業、タクシー事業、物流業などに大きな影響を与えます。また、不動産業におけるマンション建築工事費やホテル業、飲食店業におけるエネルギーコストの上昇は、利益減の要因となります。各事業において原価の抑制に努めているものの、原油等の価格が想定以上の水準にまで高騰した場合には、業績が悪化するおそれがあります。
(10) テロリズム・戦争等の国際情勢不安の発生
テロや戦争の発生など国際情勢不安により、当社グループの旅行業やホテル業、物流業が影響を受け、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、正確な情報を収集し風評被害の拡大防止に向けて適切に対処するとともに、安全性の高い代替企画や商品を開発するなど損害を最小限に食い止めるよう努めております。
(11) 調達金利の変動
景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、今後市場金利が上昇または乱高下した場合や、信用格付業者による格付の変更が行われた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「近鉄グループ経営計画」に従い、有利子負債残高を平成22年度末をピークに順次削減を進め、連結有利子負債比率は平成27年度末には59.8%と前年度末から1.0ポイント改善してきており、また、金利変動による影響を軽減するため、金利の長期固定化を図っております。
(12) 情報の漏洩等
当社グループは、定期乗車券の発売やカード会員の募集、ホテル、百貨店、旅行業等の営業を通じ、お客様の個人情報その他の機密情報を大量に保有しております。万一これらの情報への不正なアクセス、情報の紛失、改ざん、漏洩、消失等が発生した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、信用失墜などにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報の漏洩等を防ぐため、法令、「近鉄グループ情報セキュリティ基本方針」並びに各社が制定する規程等に基づき、各社がその責任において情報セキュリティを確保し、情報を厳重に管理しております。
(13) 企業買収等
当社グループ各社は、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。しかしながら、買収先企業の業績が買収時の想定を下回る場合、または事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合には、企業買収等を行ったグループ各社においてのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
③ 退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、その影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、これらの前提条件や退職給付制度が変更された場合、退職給付債務及び費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
(2)財政状態の分析
資産について、流動資産は、主として販売土地及び建物の用途変更による固定資産への振り替えにより減少いたしました。固定資産は、有形固定資産が減価償却や減損損失計上による減少がありましたが、販売土地及び建物の用途変更による流動資産からの振り替えや設備投資により、また、投資その他の資産が退職年金制度の変更に伴う退職給付に係る資産の増加により、ぞれぞれ増加いたしました。以上の結果、資産合計は、前期末に比較して158億18百万円減少し、1兆9,309億6百万円となりました。
負債は、主として借入金の返済を進めたことにより、前期末に比較して300億35百万円減少し、1兆5,812億38百万円となりました。
純資産は、土地再評価差額金が、主として平成27年4月の持株会社化に伴う実効税率変更により減少しましたが、退職給付に係る調整額が、退職年金制度変更による過去勤務費用(債務の減額)の発生により増加したほか、利益剰余金が当期純利益の計上から配当を差し引き増加しましたため、純資産合計では、前期末と比較して142億16百万円増加し、3,496億68百万円となりました。
(3)経営成績の分析
「1 業績等の概要」の「(1) 業績」に記載のとおりです。
(4)キャッシュ・フローの状況に関する分析
「1 業績等の概要」の「(2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。