文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』のもと、誠実な企業活動により暮らしの安心を支え、果敢な挑戦により新たな価値を創出し、多様な人々との協働により社会に貢献することを経営の基本方針に、鉄道、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャーなど幅広い事業を営んでおります。
それぞれの事業において、サステナビリティを重視して社会課題の解決に努めることにより、持続的な成長を目指すとともに、多様なステークホルダーの皆さまと「共創による豊かな社会」の実現に貢献してまいります。
(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある一方、ロシアのウクライナ侵攻の長期化や欧米各国の金融不安など懸念材料が多く、依然として厳しい事業環境が続くものと予想されます。
当社では、引き続き事業ポートフォリオの変革を進める一方、アフターコロナ社会に対応して各事業の充実・強化に取り組み、収益向上と財務内容の改善を目指してまいります。
各部門別の中長期的な重点施策は以下のとおりであります。
① 運輸
運輸業におきましては、今後もお客様に安全で快適な輸送サービスを提供していくために、鉄軌道部門で、一般車両の更新、高架橋や駅舎などの耐震補強、線路の法面対策、踏切安全対策、可動式ホーム柵の設置、駅の美装化、バリアフリー整備の加速化などの安全・サービス向上施策を一層強化してまいります。また、新技術の導入による事業運営の合理化を進めるとともに、DXの推進等の時代を先取りしたさまざまな取組みを通じて、お客様のニーズにお応えする輸送サービスを提供いたします。
このほか、2年後に迫った大阪・関西万博開催を契機として近鉄沿線への誘客を図るとともに、統合型リゾート(IR)開業を見据えて、夢洲と近鉄沿線観光地を直通で結ぶ車両の開発を継続して検討してまいります。
② 不動産
不動産業におきましては、三大都市圏及び地方中核都市におけるマンション分譲事業を推進するとともに、仲介事業強化のため、博多をはじめとして、仲介営業所の展開を進めるほか、買取再販事業の強化にも努めてまいります。近鉄沿線の再開発事業においては、大阪上本町、河内小阪、学園前、大和西大寺、近鉄四日市などの中核駅において、新しい働き方・住み方・遊び方を提案できるまちづくりの計画を進めています。これにより、近鉄沿線の定住人口と交流人口の増加を目指します。また、三重県志摩市のゴルフ場を転用し、新しいライフスタイルに対応したレジャー施設として、宿泊機能とレジャー機能を融合する「アウトドア体験型複合施設」を整備するなど、新たな取組みも推進してまいります。
③ 国際物流
国際物流業におきましては、長期ビジョン「"Global Top 10 Solution Partner"~日本発祥のグローバルブランドへ~」の実現に向けて、諸施策を推進してまいります。成長戦略として、グローバル物量の拡大を目標に、アジア・欧米間の物量を拡大するため、販売活動やマーケティングを推進します。加えて、航空会社など仕入先との戦略的な関係を深め、グローバル仕入れ機能の強化を図るほか、ロジスティクス事業を中心に、米国大手顧客のパートナーとしての地位の確立を目指します。
④ 流通
流通業におきましては、百貨店部門で、「あべのハルカス近鉄本店」の店舗改装を継続するとともに、Hoop・andなどの周辺商業施設との連携を再構築することにより、あべの・天王寺エリアの魅力最大化を目指してまいります。また、地域中核店・郊外店については、生活機能・商業機能・コミュニティ機能を融合した「タウンセンター」への変革により、地域生活に「なくてはならない存在」を目指します。フランチャイズ事業については、新たな事業領域の拡大を図るとともに、新規事業へも積極的に取り組んでまいります。ストア・飲食部門では、魅力あるテイクアウト商材の開発と販路拡大に取り組むとともに、AI(人工知能)を用いた販売予測に基づく自動発注を拡大するなどIT技術を活用することにより、生産性の向上に努めてまいります。
⑤ ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、引き続き所有・直営型と運営受託型の2軸で事業展開を図ってまいります。今後、運営受託の取組みを推進し、外部パートナーとの提携により蓄積されるノウハウを全ホテルに展開することによりオペレーション力の向上を図ります。旅行部門では、当社子会社のKNT-CTホールディングス㈱の子会社である近畿日本ツーリスト㈱において、新型コロナウイルスワクチン接種に係る業務等の過大請求があったことがこのほど判明し、皆様にご迷惑、ご心配をおかけいたしました。これにより失われた信頼を取り戻すため、再発防止策を講じ内部統制システムの強化に取り組むほか、企業文化を変革しコンプライアンスを最優先する風土を育んでまいります。また、旅行部門で培った強みを活かした旅行関連サービスでの新たな事業の確立・拡大を図るなど事業ポートフォリオの多様化を推進することにより、持続的な成長を目指します。
(3)目標とする経営指標
「近鉄グループ中期経営計画2024」における目標経営指標の見直しを行い、当社グループ連結では、令和6年度には、経営指標として営業利益860億円以上、純有利子負債1兆700億円未満、純有利子負債/EBITDA倍率7.0倍程度、自己資本比率21%以上を目指してまいります。
(注)純有利子負債=借入金+社債+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現金及び預金
EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
①ガバナンス
「
その一環で、長期的な視点での社会課題解決と企業価値向上を図ることを目的として、CSR委員会を設置しております。同委員会は、当社社長を委員長として、当社役員及び主要な近鉄グループ会社のCSR担当役員により構成し、年2回程度定期的に開催、サステナビリティを巡る諸課題について検討しております。取締役会では、サステナビリティの視点も含め、事業リスクや機会に対応する重要案件について確認しております。また、近畿日本鉄道㈱をはじめとするグループ会社の取締役会などで、気候変動にともなう激甚災害への対応、安全性の向上を目的とするインフラの強靭化投資ほか重要な事案について審議しております。
②戦略
令和3年11月、社会課題解決・企業価値向上の視点で長期的に取り組む方針として、「近鉄グループサステナビリティ方針」を取締役会に付議して策定しました。同方針において7つの「サステナビリティの重要テーマ」を定め、実践することにより、持続的な成長を目指すとともに「共創による豊かな社会」の実現に貢献してまいります。
各重要テーマにおいて実践する方向性は以下のとおりです。
なお、
③リスク管理
事業等のリスクを適切に管理するため、包括規程として「リスク管理規程」を制定するとともに、リスクを含む重要な案件については、必要に応じて取締役会及び経営会議、常務役員会、グループ戦略会議等の会議体において審議、報告を行っております。サステナビリティ関連のリスクについてはCSR委員会が所管しております。これらの会議体においてリスクを確実に把握し、リスク発生の予防及び発生した場合の損失拡大防止の観点から適切な対策を立案、実施するリスク管理を行っております。また、リスク情報の集約部署である経営戦略部、総務部は、各部門やグループ会社から想定されるリスクを集約し、重要度を全社的視点から整理いたします。
なお、サステナビリティ関連のリスクを含む事業のリスクについては、「
④指標及び目標
「サステナビリティの重要テーマ」ごとに、当社グループ全体又は主要事業会社として評価指標(KPI)を複数設定し、目標達成に取り組んでおります。
(2)気候変動
①戦略
当社グループはサステナビリティの重要テーマの一つに「脱炭素・循環型社会実現への貢献」を掲げ、気候変動を事業等における主要なリスクの一つと認識し、省エネルギー・省CO2、省資源、リサイクルなどさまざまな取組みを推進しております。
長期的な視点から気候変動のリスク・機会に対応するため、TCFDの枠組みに沿って、各事業におけるリスクと機会の洗い出しと対応の方向性、世界観の整理を行いました。さらに鉄道事業において、リスク評価「大」とした項目について、将来の気温上昇を予測するシナリオのうち「2℃シナリオ」、「4℃シナリオ」それぞれで、令和12年(2030年)と令和32年(2050年)の事業に与える影響額を試算しました。これらの結果を参考に、リスクの最小化・機会の最大化を図り、脱炭素・循環型社会の実現に貢献してまいります。
②指標及び目標
当社グループは、令和3年10月に策定した「近鉄グループ環境目標」において、令和12年度(2030年度)におけるエネルギー使用量を平成27年度に比べて20%以上、CO2排出量を平成27年度に比べて40%以上それぞれ削減し、さらに、令和32年(2050年)のCO2排出量を実質ゼロとすることを目指しております。令和3年度のCO2排出量は、平成27年度比で38.2%削減となりました。
詳細については「近鉄グループ統合報告書」をご参照ください。なお、「近鉄グループ統合報告書2022」では57~68ページに記載しております。
https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/csr/data/Kintetsu_Group_Integrated_Report_2022.pdf
(3)人的資本
当社グループ各社はそれぞれ異なる事業を行い、各社を取り巻く状況も様々であることから、各社個別に人的資本に関する戦略を立てて取り組んでおります。そのため、本項目では当社単体の戦略並びに指標及び目標を記載します。なお、主要な事業を営む会社に関する情報については当社ホームページに掲載しておりますのでご参照ください。
https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/csr/humancapital/pdf/kintetsu_HR_strategy_2022.pdf
①全体方針
当社は、グループ全体の持続的な成長を牽引する人材を輩出していくために、高い意欲、能力、人格を備えた総合職の採用・育成及び力を発揮しやすい環境整備に取り組みます。
②人材の多様性確保を含む人材育成の方針
a.方針
グループ経営理念である『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』を、当社社員がグループの幅広いフィールドで中核人材として体現していくために、異なる知識、経験、個性を持つ多様な社員を採用し、守るべきものを守ったうえで新しい世界に踏み出していける高い意欲、能力、人格を備えた人材に育成いたします。
b.具体的取組み
・将来のグループ経営幹部育成を念頭に置いた「あるべき人材像」と「職位に応じた要件」を定め、新入社員から部長クラスまで、それらに基づいた採用、階層別研修、評価、登用などを行うことでグループを牽引する人材の育成に努めております。
・育成においてグループを跨ぐジョブローテーションを重視しており、タレントマネジメントシステムを用いて社員毎に情報を一元管理することで、社員個々の特徴、強み・弱みを押さえた配置転換に活用しているほか、1on1ミーティングによる成長支援とエンゲージメント向上にも力を入れております。
・特に経営理念を体現するための取組みとして、近鉄沿線の生活基盤を支えるという使命感を強く持ち、沿線の一員としてのアイデンティティを確立するための沿線地誌研修や、新たな価値を生み出していくための感性や判断力を磨き、教養を高めるための美術鑑賞研修、寺社仏閣研修を実施しております。
・幅広い事業でグローバル化への対応が求められるため、前述の沿線・日本文化の理解を国際人材の基礎としつつ、ビジネスレベルの外国語ができる人材の採用と育成に力を入れております。
・「近鉄グループ中期経営計画2024」において重点施策の1つとして掲げる「DXによる新規事業・サービスの創出」を実現するため、情報系人材の採用と育成に力を入れております。
・現状では男性の新卒社員が社員の大部分を占めるため、女性採用とキャリア採用に積極的に取り組んでおります。
c.指標及び目標
|
No. |
指標 |
令和4年度 実績 |
目標 |
目標年度 |
備考 |
|
1 |
総合職採用者数に占める女性の割合 |
17.4% |
30%以上 |
令和7年度 |
総合職採用者数は毎年度40人程度を想定 |
|
2 |
総合職採用者数に占めるキャリア採用の割合 |
30.4% |
20%以上 |
(毎年) |
|
|
3 |
当社籍管理職に占める女性の割合 |
3.8% |
7%以上 |
令和7年度 |
令和5年3月31日現在、当社籍管理職419人中16人が女性。 当社籍社員の多くが近畿日本鉄道㈱からの転籍社員であり、平成11年まで女性の深夜業が原則禁止されていたため、女性の採用数が少なかったことが大きく影響しております。 管理職登用に相応しい経験、能力等を備えた者は性別によらず登用しております。 |
|
4 |
ビジネスレベルの外国語資格を有する総合職の人数 |
73人 |
100人 |
令和7年度 |
TOEIC700点以上の人数。 当社籍総合職は令和5年3月31日現在729人。 |
|
5 |
能力開発研修の総合職1人あたりの受講時間 |
21.9時間 |
20時間 |
(毎年) |
延受講時間÷年度末当社籍総合職人数 |
|
6 |
No.5のうちIT・DX研修の受講時間 |
1.9時間 |
3時間 |
(毎年) |
|
|
7 |
総合職情報系人材(DX人材)の採用者数 |
6人 |
5人以上 |
(毎年) |
|
③社内環境整備方針
a.方針
全ての社員が能力を存分に発揮して活躍できるよう、働きやすい環境整備と働きがいの向上を目指します。
b.具体的取組み
・当社籍社員の多くがグループ会社へ出向しているという特性に鑑み、全社員の勤務状況やキャリア志向、家庭環境等についての自己申告を当社人事部が毎年直接収集すること、人事部員が全社員と積極的・計画的に面談、懇談の機会を持つことで、社員のケアと改善施策立案に活かしております。
・社員のエンゲージメント向上等を目的とした1on1ミーティングを効果的に行うため、課長級社員を対象に部下マネジメント研修を実施しております。
・フレックスタイム制度や育児・介護と仕事の両立支援制度、社員向け保育所・診療所の充実等、多様な社員が働きやすい制度・設備の拡充に努めております。
c.指標及び目標
|
No. |
指標 |
令和4年度 実績 |
目標 |
目標年度 |
備考 |
|
1 |
当社籍総合職の離職率 |
2.0% |
2.0%以下 |
(毎年) |
|
|
2 |
当社籍総合職に占める人事部直接面談者の割合 |
25.7% |
40%以上 |
(毎年) |
管理職との計画的な面談は令和5年1月に開始したため、令和4年度の割合は低くなっております。 |
|
3 |
当社籍課長級社員の部下マネジメント研修受講済割合 |
74.5% |
100% |
令和5年度 |
当社籍課長級社員は令和5年3月31日現在217人。 |
|
4 |
障がい者雇用率 |
2.5% |
2.3%以上 |
(毎年) |
|
「第2 事業の状況」「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)景気、個人消費動向、国際情勢等の変動
運輸業、不動産業、流通業及びホテル・レジャー業は、いずれも主に一般消費者を顧客としており、景気、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象や天候不順等の影響により、業績が悪化するおそれがあります。また、これらの事業は、天災・悪天候や通商問題、テロ攻撃・戦争等による国際情勢の悪化により訪日外国人が減少し、業績が悪化するおそれがあります。
また、国際物流業は、国内外の経済・景気動向、顧客企業の輸送需要、政治的又は社会的要因、天災・悪天候、テロ攻撃や地域紛争、パンデミックなど様々な要因により、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、構造改革の実施による損益分岐点の引き下げを図るとともに、BtoB事業の育成・強化による事業ポートフォリオのリスク耐性強化等を通じて、事業環境の変化、顧客の動向・ニーズに迅速かつ柔軟に対処して、業績の向上に努めてまいります。
(2)感染症の拡大
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の規制、顧客の事業活動の停止、移動需要や観光需要の激減などにより、当社グループは甚大な影響を受けました。アフターコロナ社会においても、感染症がもたらした社会構造や行動様式の変化による影響は、通勤・出張需要の減少、オンラインビジネスの拡大など恒常的なものになるおそれがあります。
当社グループでは、感染予防と感染拡大の防止に引き続き取り組むとともに、社会・経済環境、行動様式の変化に応じた各事業の構造改革に努めてまいります。
(3)貨物運賃・運送原価の変動
国際物流業の航空貨物輸送においては、チャーター便を利用した輸送スペースを確保する際には、チャーター契約が固定的な仕入となることから、輸送需要が想定以上に低迷した場合は販売価格の下落により業績に影響を与える可能性があります。これに対し、従前より取り組む機材スペースの部分的な確保や市場価格での買付けの比重を高めるなど、業績への影響を最小限に抑えるべく対処してまいります。また、安定的な供給スペースとサービスの提供による物量の拡大と継続的な成長を図るために、航空会社との関係を強化するとともに集中購買も進め、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対処してまいります。なお、当連結会計年度において、現在締結しておりますチャーター契約に関し将来発生する可能性のある損失見込額について、契約損失引当金を計上しております。
他方、物流に関わる人手不足も顕在化しており、今後の情勢によっては、運送、荷役原価も大きく変動する可能性があります。仕入原価が想定以上に上昇し、一方顧客から適正料金の収受が困難となった場合は、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。これらの可能性に対し、航空会社、船会社、トラック会社などの実運送事業者との協力関係の強化や集中購買の強化を図るとともに、顧客からの環境変化に応じた適正料金収受に努める等、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対処し、業績への影響を最小限にすべく努めております。
(4)沿線人口の減少及びモータリゼーションの進展、他社との競合
少子高齢化及び都心への人口移転により、近鉄沿線での人口、特に就労人口及び通学人口が減少しており、今後も減少傾向が続くと予想されます。また、近鉄線と競合する高速道路網の整備等によりモータリゼーションが一層進展しているほか、一部路線では鉄道他社と競合関係にあります。これらの状況は、鉄軌道業収入、流通業収入や不動産業収入等の減少をもたらすおそれがあります。また、沿線の観光地は、他の観光地と競合関係にあるため、観光客が減少し、鉄道事業のほかホテル・レジャー業の収入が影響を受ける可能性があります。さらに、大阪・奈良・三重地区等で競合する他の百貨店や異業態の新店舗開業・改装により、流通業の収入が影響を受ける可能性があります。
当社グループとしては、豊富な沿線観光資源の活用やお客様・地域社会のニーズに対応した商品・サービスの拡充に努めるほか、競争力のあるエリアでの不動産業等の展開、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルや効率的な運営体制の構築などの諸施策を積極的に進め、グループ各社の連携によりグループ事業全体の基盤強化を図るとともに、近鉄沿線の定住人口の増加を目指してまいります。
(5)大規模災害又は大規模事故の発生
南海トラフ地震等とそれらに伴う津波や、主要ターミナル等における火災、テロなどが発生した場合、長大橋梁・鉄道トンネル・線路等鉄道施設の毀損、特急券オンライン発券システムのトラブルなどのほか、ホテルや百貨店、賃貸施設、レジャー施設等についても大きな被害が生じるおそれがあり、当社グループにおいて大規模な損害及び復旧費用が発生する可能性があります。また、当社グループの経営資源が大阪府、奈良県、三重県をはじめ、近鉄沿線に集中していることから、特に南海トラフ地震が発生した際は、グループ全体の業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。
また、万一大規模事故が発生した場合、その復旧と損害賠償に巨額の費用が必要となり、業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。鉄道事業においては、遮断中の踏切への進入など外的要因により事故が発生し、列車の運行に支障が出るおそれもあります。
当社グループでは、公共交通機関として多数のお客様の輸送に当たる鉄軌道事業やバス事業をはじめ、その他の各事業においてもお客様の安全の確保を第一義に考えております。このため、従業員の教育・訓練はもちろんのこと、鉄軌道事業における運転保安設備の新設、更新、増強など計画的な投資の継続をはじめ、各事業とも耐震補強など防災対策工事を推進するとともに、各種の安全対策には万全を期しております。また、大規模地震に対する事業継続計画の定期的な見直し等、大規模な災害・事故等の発生に備えた危機管理体制の整備を一層推し進めております。
(6)為替レートの変動
国際物流業や旅行業は、グローバルに事業を展開しているため、各地域における通貨の変動が業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
これに対し、当社グループでは、外貨建債権・債務及び外貨建予定取引に係る為替の変動リスクを回避する目的で、為替予約取引や通貨スワップ取引等を利用しております。取引の運用にあたっては、社内管理規程等に則って執行と管理が行われており、投機目的及びレバレッジ効果の高い取引は行わない方針としております。
(7)気候変動
気候変動の物理的リスクのうち、急性リスクとして、大型台風、豪雨に伴う風水害や土砂災害により列車が運行不能になるおそれがあります。また、旅行やホテルのキャンセルや、買物・レジャーの出控えが発生します。慢性リスクとしては、猛暑等により空調などの電力使用量やエネルギーコストが増加するおそれがあります。また移行リスクとして、法律等の規制強化や、旅行や日常生活における消費者行動の変化により、大規模な設備投資や事業構造の見直しを迫られるおそれがあります。
当社グループとしては、TCFDの枠組みに沿って気候関連のリスク管理や戦略策定および統合報告書等での情報開示を進めています。激甚化する災害に備え鉄道の防災・安全対策を推進するとともに、2050年カーボンニュートラルを目指す「近鉄グループ環境目標」に基づき、省エネルギー、省資源等の取組みを進め、気候変動への対応に努めております。
(8)人手不足、賃金高騰
当社グループにおいては、鉄軌道事業をはじめとする多くの事業が労働集約型であり、人材の安定的な確保が不可欠であります。しかしながら、少子高齢化により生産年齢人口の減少が続いており、今後十分な人材が確保できない場合及び優秀な人材がグループ外に流出した場合は、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、採用競争の激化等により賃金は上昇傾向にあり、今後さらに賃金が上昇した場合、収支に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、採用区分や採用エリアの拡大により、引き続き人材の確保に努めるとともに、業務の合理化・システム化等により、効率的な運営体制の構築にも取り組んでまいります。
(9)法令による規制等
鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより旅客運賃の設定・変更は国土交通大臣の認可を受けなければならず、鉄道事業における運賃の設定・変更を制限される可能性があります。
当社グループの事業活動においては各種法令の規制を受けており、法令改正の内容によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは法令遵守を最優先に事業に取り組んでおりますが、万が一、法的規制への不適切な対応や重大な違反があった場合は、営業活動の制限や課徴金の発生等、グループの業績や信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、国内外の法令に関する情報を収集することで、当社グループの業績への影響を最小限とするよう努めております。
(10)商品の品質並びに食品の安全性及び表示に対する信用毀損
主として一般消費者を顧客としている流通業及びホテル・レジャー業において、当社グループが販売する商品の品質や食品の安全性・表示について信用毀損が生じた場合、お客様の減少による減収や損害賠償、争訟費用等のコスト発生により業績が悪化するおそれがあります。
当社グループでは、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品表示のチェック、従業員に対する定期的な研修などを実施し、商品の品質・食品の安全性の確保、適切な食品表示に努めております。
(11)地価の下落等
不動産市況の低迷や地価の下落に伴う販売用土地及びマンションの販売不振、不動産賃料収入の減少、販売土地建物及び固定資産についての評価損失の計上などにより、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、地価変動の影響を極力避けるため保有資産の入替え、競争力のあるエリアでの事業展開を進め、付加価値の高い新規物件の開発を促進するとともに、低利用地の更なる有効利用によって、不動産業の業績向上に努めております。
(12)原油等の資源価格の高騰
原油等の資源価格の上昇は、当社グループの鉄道事業、バス事業、タクシー事業、国際物流業などに大きな影響を与えます。また、不動産業におけるマンション建築工事費や飲食店業、ホテル業、百貨店業等におけるエネルギーコストの上昇は、利益減の要因となります。
当社グループとしては、各事業において原価の抑制に努めているほか、各社及びグループ共同で資源の供給会社に対する価格交渉を随時行っております。
(13)調達金利の変動
景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、今後市場金利が上昇又は乱高下した場合や、信用格付業者による格付が引き下げられた場合には、調達金利が上昇し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、令和4年度末の連結有利子負債残高は1兆2,793億23百万円、令和4年度の連結営業外費用における支払利息及び社債利息は88億37百万円であります。
当社グループでは、有利子負債残高の削減に努めており、また、金利変動による影響を軽減するため、金利の長期固定化を図っております。
(14)株式相場の変動
株式相場の変動により、時価のある投資有価証券の価格が下落し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、年金資産(退職給付信託を含む。)の一部は上場株式で運用しており、株価の下落は退職給付費用の増加や掛金拠出の増加につながるおそれがあります。
当社グループでは、定期的に投資有価証券の市場価格を把握し、リスクを抑制しております。年金資産の運用については、外部の専門家によるアドバイスを参考にしつつ、定期的に運用状況の確認と見直しを行っております。
(15)デジタル情報技術の進化による生活様式の変化
ITの進化により在宅勤務やオンライン会議の環境が整備されつつある中、新型コロナウイルス感染症の拡大によりこれらが急速に普及し、公共交通機関を利用した通勤や遠距離の出張が減少しております。今後この動きがさらに進んだ場合は、鉄道・バスなどの運輸収入やオフィスビルなどの不動産賃貸収入が減少するおそれがあります。
当社グループとしては、乗ること自体を目的とした鉄道車両の開発、伊勢志摩や奈良など沿線観光地の一層の魅力向上等により観光旅客の増加を図るとともに、競争力のあるエリアでの不動産賃貸事業の展開に加え、施設のリニューアル等により資産価値の維持・向上を図ってまいります。
これらの施策により、近鉄沿線の交流人口の増加を目指すとともに、新しい生活様式の定着を見据えたサービスの提供に努めてまいります。
(16)情報の漏洩等
当社グループは、定期乗車券の発売やカード会員の募集、ホテル、百貨店、旅行業等の営業を通じ、お客様の個人情報その他の機密情報を保有しております。万一これらの情報への不正なアクセス、情報の紛失、改ざん、漏洩、消失等が発生した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、信用失墜などにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、想定を超えるコンピュータシステム障害、通信障害、近年巧妙化しているコンピュータウイルスやサイバーテロ等により、システムが長時間にわたり機能しなくなる等の不測の事態が発生した場合にも、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報の漏洩等を防ぐため、法令、「近鉄グループ情報セキュリティ基本方針」並びに各社が制定する規程等に基づき、各社がその責任において情報セキュリティを確保し、情報を厳重に管理しているほか、不正アクセスやコンピュータウイルスに対しては、ハード・ソフトの両面からセキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
(17)企業買収等
当社グループ各社は、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。
当社グループとしては、個々の案件の規模等に応じて、取締役会及び各社における各種の会議体での審議並びに投資先に対するデューデリジェンスを十分に実施することにより、企業買収等の検討を進めるとともに、買収先の資産効率の向上及び利益の最大化に努めてまいります。
なお、買収先企業の業績が買収時の想定を下回る場合、又は事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合には、企業買収等を行ったグループ各社においてのれん等の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
平成27年5月には、持分法適用関連会社であった㈱近鉄エクスプレスがグローバルにロジスティクス事業を展開するAPL Logistics Ltdの買収を行ったほか、令和4年7月には、当社が㈱近鉄エクスプレスの発行済株式を対象とする公開買付けにより、同社を連結子会社化しております。
令和5年3月末時点において、当社の連結財務諸表で上記の買収に関連する固定資産2,815億53百万円(顧客関連資産474億96百万円、商標権382億30百万円及びのれん625億12百万円を含む。)が計上されております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下、4において「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、4において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う地政学リスクの増大、中国における新型コロナウイルス感染症の再拡大による経済活動抑制の影響や世界的なエネルギー・食料価格の高騰と各国における急速な金利上昇などがあり、先行き不透明な状況が続きました。わが国経済においては、物価高による影響等を受けましたが、コロナ禍からの経済活動の正常化が徐々に進み、持ち直しの動きが見られました。
このような情勢のもと、当社グループでは、経営環境の改善に合わせて各事業で収益向上に取り組みました。前期に一部の自治体で緊急事態宣言が発せられ、外出の自粛や店舗の休業が見られたのに対し、当期は人の流れが回復傾向にあり、運輸業、流通業およびホテル・レジャー業で増収となりました。さらに、昨年7月、持分法適用関連会社であった㈱近鉄エクスプレスを株式公開買付けにより連結子会社としたこともあり、連結営業収益は前期に比較して125.7%増の1兆5,610億2百万円、営業利益は671億44百万円(前期は38億64百万円)、経常利益は143.4%増の746億12百万円となりました。さらに特別損益において、㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上したこともあり、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は107.6%増の887億79百万円となりました。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを追加しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
a.運 輸
運輸業におきましては、収入は回復基調ではあるものの、当期も新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。そのような状況下で、近畿日本鉄道㈱では、厳しい事業環境の中でも安全・安心・快適な輸送サービスを継続し公共交通としての使命を果たしていくため、鉄軌道旅客運賃の改定に向けた認可申請を行い、国土交通大臣より認可を受けました。また、鉄軌道部門において、年々激甚化する災害に備えて安全で安定的な輸送を確保するため、防災工事や保安度向上工事を実施したほか、駅の待合室、ベンチ、トイレの改良など、お客様に快適にご利用いただくための美装化工事を推進しました。
観光への取組みとしては、昨年4月に大阪難波・近鉄奈良・京都間で観光特急「あをによし」の運行を開始したほか、12月からは奈良の風景と鹿などをデザインしたラッピング列車「ならしかトレイン」の運行を始めました。また、名古屋・伊勢志摩でスタートした、QRコードを活用したデジタルきっぷについて、利用可能エリアを大阪・京都にも拡大するなど、お出かけ需要の取込みに努めました。
これらの営業施策に加えて、沿線の自治体や事業者との協力関係も強化し、伊勢志摩を対象とした3年ぶりとなるエリアキャンペーンの実施や、まちづくりに関する連携協定の締結など、地域と一体となった取組みを進めました。
この結果、営業収益は前期に比較して20.7%増の1,917億36百万円、営業利益は130億69百万円(前期は27億21百万円の損失)となりました。
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業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
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(令和4年4月~令和5年3月) |
前期比(%) |
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鉄軌道事業 |
百万円 |
128,564 |
20.1 |
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バス事業 |
百万円 |
30,087 |
20.0 |
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タクシー業 |
百万円 |
9,264 |
18.0 |
|
鉄道施設整備業 |
百万円 |
22,508 |
31.5 |
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その他運輸関連業 |
百万円 |
19,126 |
37.5 |
|
調整 |
百万円 |
△17,813 |
- |
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営業収益計 |
百万円 |
191,736 |
20.7 |
(近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)
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区 分 |
単 位 |
当 期 |
|||
|
(令和4年4月~令和5年3月) |
前期比(%) |
||||
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営業日数 |
日 |
365 |
0.0 |
||
|
営業キロ程 |
キロ |
501.1 |
0,0 |
||
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客車走行キロ |
千キロ |
270,760 |
△0.3 |
||
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旅客人員 |
定期 |
千人 |
307,366 |
3.8 |
|
|
定期外 |
千人 |
194,027 |
21.4 |
||
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計 |
千人 |
501,393 |
10.0 |
||
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旅客運輸収入 |
旅客収入 |
定期 |
百万円 |
41,336 |
3.2 |
|
定期外 |
百万円 |
80,691 |
32.3 |
||
|
計 |
百万円 |
122,027 |
20.8 |
||
|
荷物収入 |
百万円 |
12 |
△25.7 |
||
|
合計 |
百万円 |
122,040 |
20.7 |
||
|
運輸雑収 |
百万円 |
6,524 |
10.0 |
||
|
営業収益計 |
百万円 |
128,564 |
20.1 |
||
|
乗車効率 |
% |
26.4 |
- |
||
(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.不動産
不動産業におきましては、不動産販売部門で、コロナ禍ではありましたが、関西圏、東海圏、首都圏においてマンション分譲が好調に推移し増収となりました。また、不動産賃貸部門では、鉄道高架下の有効活用策として近鉄線では初となるガレージハウスの賃貸を昨年開始したのに続き、完全無人店舗型ドッグスパを4店舗開業するなど新規事業にも注力し、収益を確保いたしました。しかしながら、前期に一部の保有資産を売却した影響により、減収減益となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して11.4%減の1,638億31百万円、営業利益は45.4%減の160億24百万円となりました。
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業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(令和4年4月~令和5年3月) |
前期比(%) |
||
|
不動産販売業 |
百万円 |
82,494 |
16.7 |
|
不動産賃貸業 |
百万円 |
43,200 |
△45.6 |
|
不動産管理業 |
百万円 |
42,038 |
6.7 |
|
調整 |
百万円 |
△3,901 |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
163,831 |
△11.4 |
c.国際物流
持分法適用関連会社であった㈱近鉄エクスプレスを株式公開買付けにより昨年7月から連結子会社としたことに伴い、国際物流セグメントを新設しました。なお、本セグメントの営業収益および営業利益は、昨年7月から本年3月までの実績になります。
国際物流業におきましては、自ら輸送手段を持たず、航空機、船舶、トラック、鉄道などを組み合わせて貨物輸送を行うフォワーダーとして、総合的な物流サービスを提供しております。前期については、コロナ禍における航空旅客便の減便や海上コンテナ物流の混乱に伴う航空・海上輸送スペースの供給不足により、運賃の上昇が継続しましたが、当期は、半導体不足に加え、中国の都市封鎖による部品調達難に伴うサプライチェーンの分断等により主に自動車関連の荷動きが鈍化し、取扱物量が減少しました。国際輸送運賃は航空・海上輸送ともに通期では従来よりも高い水準であったほか、円安進行に伴い海外子会社における営業収益が円換算で増加しました。一方、市場の需給環境の正常化による定期チャーター便の収支悪化や、㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化に伴うのれんの償却費発生がありました。
この結果、営業収益は7,108億55百万円、営業利益は233億17百万円となりました。
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区 分 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(令和4年4月~令和5年3月) |
前期比(%) |
||
|
日本 |
百万円 |
205,213 |
- |
|
米州 |
百万円 |
99,485 |
- |
|
欧州・中近東・アフリカ |
百万円 |
56,172 |
- |
|
東アジア |
百万円 |
149,338 |
- |
|
東南アジア・オセアニア |
百万円 |
110,037 |
- |
|
APLL |
百万円 |
127,217 |
- |
|
その他 |
百万円 |
4,316 |
- |
|
調整 |
百万円 |
△40,925 |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
710,855 |
- |
d.流 通
流通業におきましては、百貨店部門で、旗艦店である「あべのハルカス近鉄本店」において売場の活性化を図るために改装を継続的に実施したほか、地域中核店・郊外店では、生活機能・商業機能・コミュニティ機能を融合して地域になくてはならない「タウンセンター」となるための店舗構造改革を推進しました。また、フランチャイズ事業については、新業態の店舗を開業するなど収益性の改善と新規顧客獲得に注力しました。ストア・飲食部門では、駅ナカ商業施設やスーパーマーケットのリニューアルを推進したほか、無人決済システムを導入した店舗を開業するなどIT技術を活用した新たな店舗づくりにも取り組みました。
この結果、営業収益は前期に比較して7.7%増の2,027億38百万円、営業利益は27億4百万円(前期は15億13百万円の損失)となりました。
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業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(令和4年4月~令和5年3月) |
前期比(%) |
||
|
百貨店業 |
百万円 |
108,009 |
10.7 |
|
ストア・飲食業 |
百万円 |
94,728 |
4.4 |
|
調整 |
百万円 |
- |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
202,738 |
7.7 |
e.ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、経済活動の正常化が徐々に進んだことに伴う人の流れの増加や昨年10月から実施された全国旅行支援事業の効果もあり、宿泊等の需要が増加しました。また、都ホテル 京都八条およびホテル近鉄ユニバーサル・シティでは、一層の競争力強化を図るため、外部パートナーとの協業により、大規模なリニューアル工事を推進しました。旅行部門では、全国旅行支援事業、都道府県民割等を活用した旅行商品の販売に注力するとともに、国際的な往来の制限緩和を受け、海外旅行商品の販売再開を鋭意進めました。また、事業の多角化を図るため、学校支援事業など、新たな事業分野への進出にも取り組みました。
この結果、営業収益は前期に比較して75.6%増の2,926億38百万円となり、営業利益は91億52百万円(前期は216億85百万円の損失)となりました。
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業 種 |
単 位 |
当 期 |
|
|
(令和4年4月~令和5年3月) |
前期比(%) |
||
|
ホテル業 |
百万円 |
30,348 |
50.1 |
|
旅行業 |
百万円 |
252,152 |
80.2 |
|
映画業 |
百万円 |
3,344 |
11.4 |
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水族館業 |
百万円 |
6,792 |
93.7 |
|
調整 |
百万円 |
- |
- |
|
営業収益計 |
百万円 |
292,638 |
75.6 |
f.その他
その他の事業におきましては、営業収益は前期に比較して32.2%増の355億45百万円、営業利益は102.5%増の34億60百万円となりました。
資産合計は、前期末に比較して5,289億85百万円増加し、2兆4,247億55百万円となりました。これは、㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化に伴い、のれん等の無形固定資産を計上したことに加え、現金及び預金等の諸資産を受け入れたことによるものであります。
負債合計は、前期末に比較して4,504億84百万円増加し、1兆9,244億93百万円となりました。これは、㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化に伴い諸負債を引き受けたことに加え、同社株式取得に伴う短期借入金や長期借入金が増加したことによるものであります。
純資産合計は、前期末に比較して785億1百万円増加し、5,002億62百万円となりました。これは、利益剰余金が純利益の計上から配当を差し引き増加したことによるものであります 。
② キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物の期末残高は2,081億88百万円で、前期末に比較して1,324億22百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上に加え、売上債権及び契約資産が減少したことなどにより、前年同期に比較して764億44百万円収入が増加し、1,339億92百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどにより、418億55百万円の支出(前年同期は442億64百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金による資金調達などにより、448億17百万円の収入(前年同期は1,029億18百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積りを行う上でのアフターコロナにおける事業環境の変化による影響に関する仮定については、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
a.固定資産の減損
当社グループは、運輸業、不動産業、国際物流業、流通業、ホテル・レジャー業等、多くの事業を展開する特性上、多額の固定資産を保有しており、これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき見積もっております。このうち賃貸施設、百貨店店舗、ホテルやレジャー施設等につきましては、不動産市況の著しい下落や消費環境の悪化による収益性の低下等のリスクをはらんでおります。従って、当初見込んでいた収益が得られない、あるいは正味売却価額が下落したことにより、将来キャッシュ・フローが減少するなど前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もり、タックスプランニングを行った上で、税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を認識しております。従って、今後、経営環境の変化や将来の収支予測の変更などにより将来の課税所得の見積額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
c.退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異や過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、年金資産の運用結果が長期期待運用収益率と乖離した場合のほか、割引率や長期期待運用収益率の見直しあるいは退職給付制度の変更がなされた場合には、退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(経営成績の状況に関する分析)
経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当期の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
a.営業収益及び営業利益
営業収益は、運輸業、流通業及びホテル・レジャー業で増収となったことに加え、昨年7月、持分法適用関連会社であった㈱近鉄エクスプレスを株式公開買付けにより連結子会社としたことにより、連結営業収益は前期に比較して125.7%増の1兆5,610億2百万円、営業利益は671億44百万円(前期は38億64百万円)となりました。
運輸業では、鉄軌道部門で前期は緊急事態宣言発出に伴う出控えがあったものの、当期は行動制限の緩和により人流が増加する等、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したため、運輸業全体の営業収益は、前期に比較して20.7%増の1,917億36百万円、営業利益は130億69百万円(前期は27億21百万円の損失)となりました。
不動産業では、不動産販売部門でマンション分譲戸数が増加したものの、不動産賃貸部門で前期に一部のオフィスビル等を証券化したことの反動減や、ホテル資産の売却により賃貸収入が減少したことにより、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して11.4%減の1,638億31百万円、営業利益は45.4%減の160億24百万円となりました。
㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化に伴い当社グループに新たに加わった国際物流業では、国際輸送運賃が航空・海上輸送ともに通期では従来よりも高い水準であったほか、円安進行に伴い海外子会社における営業収益が円換算で増加しましたが、チャーター契約の仕入れコストの負担増や、同社の連結子会社化に伴うのれんの償却がありましたため、国際物流業全体の営業収益は7,108億55百万円、営業利益は233億17百万円となりました。
流通業では、百貨店部門で前期の緊急事態宣言下における店舗休業の反動増に加え、行動制限緩和等による人流の増加や消費マインドの回復がみられたほか、ストア・飲食部門で観光需要の増加に伴い、駅ナカ店舗やレストランで利用客が増加したため、流通業全体の営業収益は前期に比較して7.7%増の2,027億38百万円、営業利益は27億4百万円(前期は15億13百万円の損失)となりました。
ホテル・レジャー業では、ホテル部門で経済活動の正常化が徐々に進み人流が増加したことや、昨年10月より実施された全国旅行支援の効果もあり宿泊等の需要が増加したため増収となりました。また、旅行部門では全国旅行支援等を活用したツアーの販売に加え、事業の多角化を図るため新たな事業分野へ進出したことにより、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して75.6%増の2,926億38百万円となり、営業利益は91億52百万円(前期は216億85百万円の損失)となりました。
b.経常利益
当期における経常利益は、㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化により持分法による投資利益は減少したものの、営業利益の増加がそれを上回るため前期に比較して143.4%増の746億12百万円となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
当期における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損益において、㈱近鉄エクスプレスの連結子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上したこと等により、前期に比較して107.6%増の887億79百万円となりました。
(経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)
当社は、令和3年度から令和6年度までの4カ年を計画期間とする「近鉄グループ中期経営計画2024」に基づき、グループ経営を推進しております。
本経営計画の基本方針は「コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革」であり、「営業利益」、「有利子負債残高」、「有利子負債/EBITDA倍率」、「自己資本比率」を重要な指標として位置付けております。当期の取り組みとしましては、事業ポートフォリオ改革の一環として、持分法適用関連会社であった㈱近鉄エクスプレスを連結子会社化し、同社の営む国際物流業を新たにグループ中核事業へ取り込みました。同社の連結子会社化による現金及び預金の増加に伴い、財務状況の実態をより反映するため、重要な経営指標として、これまでの「有利子負債残高」、「有利子負債/EBITDA倍率」に代えて、「純有利子負債残高」、「純有利子負債/EBITDA倍率」を新たに設定しております。
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当期実績 (令和5年3月期) |
経営指標目標 (令和7年3月期) |
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営業利益 |
671億円 |
860億円以上 |
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純有利子負債残高 |
1兆953億円 |
1兆700億円未満 |
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純有利子負債/EBITDA倍率 |
8.7倍 |
7.0倍程度 |
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自己資本比率 |
18.2% |
21%以上 |
③ キャッシュ・フローの状況の分析内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、令和6年度を最終年度とする「近鉄グループ中期経営計画2024」において、コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革をおこなうことを基本方針としております。事業継続のための投資、将来を見据えた成長投資を、投資効率を重視しながら厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいります。
資金需要の主なものは、各事業の運営資金、販売用不動産など棚卸資産の取得に加え、既存設備の維持更新、安全関連投資および所有不動産の建替や改装といった設備投資に関するものであります。
これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手段を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、原則として固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。