第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

京阪グループでは、21世紀にも輝き、繁栄を続ける企業グループを目指して、「京阪グループ経営理念」を掲げ、経営理念実現のための基本的な取り組み姿勢を具体的に示した「経営方針」のもと、運輸業、不動産業、流通業、レジャー・サービス業などの分野で積極的な事業展開を図っております。「京阪グループ経営理念」及び「経営方針」は以下のとおりです。

 

 

<京阪グループ経営理念>

京阪グループは、人の暮らしに夢と希望と信頼のネットワークを築いて、快適な生活環境を創造し、社会に貢献します。

 

<経営方針>

○経営姿勢

・地域社会、顧客、株主、社員を大切にします。

・法令および社会規範を遵守し、企業の社会的責任を果たします。

・自然環境にやさしい企業運営を目指し、環境の保全や資源の保護に配慮します。

・常に新しいことに取り組み、自己改革を実現します。

・顧客第一主義のもと、鉄道事業を基幹としたライフステージネットワークを展開し、快適な生活環境を創造します。

 

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループでは、激変する将来の経営環境においても、当社グループが持続的な成長を続けるために、「価値創造」と「グローバル展開」に挑戦する、2050年を見据えた経営ビジョン「美しい京阪沿線、世界とつながる京阪グループへ」を策定しております。

当社グループは、この経営ビジョンのもと、京阪沿線が、もっと多くの人から「住みたい、訪れたい美しい沿線」として選ばれるよう、まちや観光の価値を創造し世界へ発信するとともに、持続可能な社会の実現に寄与するライフスタイルを創造し世界に共感の輪を拡げ、沿線を基盤にアジア・ワイドで事業を展開することに挑戦いたします。

また、経営ビジョン実現に向け、2030年度を目標年次とした長期経営戦略を定め、将来にわたって持続的に成長する企業グループとしての基盤を築くことを目指すとともに、この長期経営戦略に基づく3ヵ年の具体的な取組みとして、中期経営計画「BIOSTYLE~深化と挑戦~」(2023~2025年度)を策定し取り組んでおります。

長期経営戦略及び中期経営計画の概略は、次のとおりであります。

 

①基本方針

持続可能な循環型社会の実現に向けて、「社会的価値と経済的価値を両輪で創造する『BIOSTYLE経営』の推進」をテーマとして、主軸戦略「沿線再耕」「体験価値共創」「地球環境保全」、各事業戦略、経営基盤強化に取り組みます。中期経営計画の3ヵ年では「BIOSTYLE~深化と挑戦~」を掲げ、BIOSTYLEを起点とする既存事業の高付加価値化及び新規事業の創出にチャレンジしてまいります。

 

②主軸戦略

a.「沿線再耕」

駅を拠点として、地域の歴史・文化・産業などの特色を活かした都市開発や地域と連携したエリアマネジメントを推進し、これらを交通ネットワークで結ぶことで、魅力あふれる美しい沿線を再生、沿線地域の価値向上及び居住・来訪者の拡大を図ります。

重点施策として、「大阪東西軸復権とえきから始まるまちづくり」を掲げ、「YODOYABASHI Station One(淀屋橋ステーションワン)」の開発や、開業した「中之島4丁目未来医療国際拠点整備事業」などにより、大阪の国際競争力と魅力の向上に資するまちづくりを実現するほか、枚方市駅では、「ステーションヒル枚方」を起点に、引き続き駅周辺の魅力・価値向上に取り組むとともに、地域の特色を活かしたまちづくりを実現いたします。

b.「体験価値共創」

京都観光ゴールデンルート(洛北~東山~伏見・宇治)を中心に価値ある資源を発掘し、磨き上げ、エリアの魅力あふれる体験コンテンツを地域と共創し、これらを活用した「観光まちづくり」「テーマツーリズムの提供・発信」により、持続可能な観光の推進と国内外からの来訪者・リピーターの増加を図ります。

重点施策として、「新たな観光拠点の開発、テーマツーリズムの造成による京都観光ゴールデンルート(洛北~東山~伏見・宇治)の確立、及び京都と大阪をつなぐ観光コンテンツの創造」を掲げ、京都駅東南部エリアにおける複合文化施設の設置・運営プロジェクトの推進や、京都及び周辺エリアにおけるストーリー性の高い観光体験の地域との共創、また、びわ湖から京都、淀川を経て大阪湾に至る「水の路」での舟運など、京都と大阪をつなぐ観光コンテンツの創造に取り組んでまいります。

 

c.「地球環境保全」

CO2排出量削減目標の達成に向け、省エネルギー対策の徹底や新技術の導入によるエネルギー使用量の削減を着実に進めるとともに、太陽光発電などによる創エネルギーの推進や再生可能エネルギーの調達を検討するほか、脱炭素社会で選ばれる商品・サービスの開発にも取り組みます。

重点施策として、当社グループの気候変動対応アクションプランである「BIOSTYLE環境アクション2030」に基づき、省エネルギー鉄道車両や電気バスの導入を推進するほか、グループ保有施設への太陽光発電設備などの設置に取り組んでまいります。

 

③各事業戦略

a.運輸業

当社グループの存立の基盤である「安全安心」への取組みをさらに強化するとともに、新たな需要創造とオペレーションの最適化を推進し、強固な事業構造を構築します。

 

b.不動産業

快適で安心なまちづくり・すまいづくりを推進するとともに、顧客ニーズに応える新たな商品・サービスの提供や、展開エリアの拡大及びアセットタイプの拡充を図り、グループの成長を牽引します。

 

c.流通業

多様化するライフスタイルに合わせて沿線商業を進化・発展させるとともに、主軸戦略に寄与する商業コンテンツの供給や観光商業の確立により、収益拡大を図ります。

 

d.レジャー・サービス業

国内・インバウンド需要の取り込みに向けて、価値ある顧客体験の提供を通じたブランディングの強化、既存ホテルのリニューアルによる高付加価値化を推進し、競争力強化を図ります。

 

e.その他の事業

サステナブルな体験を提供する複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」と商品ブランド「NEMOHAMO」「RAU」「Sachi Takagi」「GOOD NATURE MARKET」の認知度向上、販路拡大を図りながら、継続した新商品開発及び店舗新規出店に取り組み、収益基盤を確立します。

 

④経営基盤強化

a.DX~デジタル・トランスフォーメーション~

当社グループの各事業においてデジタル技術を活用して、体験価値の創出並びにグループ経営管理の高度化に取り組み、急激に進展するデジタル社会においても確かな価値を提供できる企業グループへと進化を図ります。

 

b.人財戦略

持続的な企業価値向上に向けて、新たな価値を創造し続けるため、多様な人財一人ひとりが持つ能力・パフォーマンスを最大限引き出すとともに、挑戦と変革を生む風土改革を推進することで、従業員が「BIOSTYLEなマインド」で、いきいきと活躍する環境を整備します。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2026年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画及び2031年3月期を目標年次とする長期経営戦略において「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「EBITDA」、「ネット有利子負債/EBITDA倍率」及び「ROE」を重要な指標として位置付けております。

翌連結会計年度予想(2026年3月期)、中期経営計画数値目標(2026年3月期)及び長期経営戦略数値目標(2031年3月期)は、以下のとおりです。

 

経営指標

翌連結会計年度予想

(2026年3月期)

 

中期経営計画数値目標

(2026年3月期)

長期経営戦略数値目標

(2031年3月期)

営業利益

44,600百万円

 

34,000百万円

43,000百万円以上

親会社株主に帰属する当期純利益

30,000百万円

 

23,000百万円

30,000百万円以上

EBITDA ※

69,600百万円

 

58,000百万円

70,000百万円以上

ネット有利子負債/EBITDA倍率

5.70倍

 

6倍台

6倍台

ROE(自己資本利益率)

9.4%

 

7%水準

8%水準

※営業利益+減価償却費

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、特記のない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループは、当社グループの中長期的な企業価値向上を図るため、サステナビリティに関する重要な方針及び施策について審議・決定し、その進捗を管理するとともに、内部統制及びリスク管理体制の整備等を行うことを目的として、「サステナビリティ委員会」を設置しております。また、同委員会の傘下に、「内部統制委員会」「コンプライアンスおよび危機リスク専門委員会」「環境経営専門委員会」「情報セキュリティ専門委員会」を設置し、サステナビリティ項目に関する取組をグループ横断で推進しております。

「サステナビリティ委員会」は、代表取締役社長を委員長とし、運輸業、不動産業、流通業、レジャー・サービス業の各統括責任者である当社取締役等を委員とするほか、その審議内容は原則年2回、取締役会に上程(付議又は報告)いたします。

 

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②リスク管理

「サステナビリティ委員会」傘下の「コンプライアンスおよび危機リスク専門委員会」において、サステナビリティ関連のリスクを含む当社グループの事業活動に内在するリスクを洗い出し、影響度や発生可能性を評価、検証しております。

 

③戦略

当社グループは、外部環境の変化からサステナビリティ項目をはじめとする機会とリスクを分析し、これを踏まえ、当社グループにとっての重点テーマとして「社会課題の解決に寄与する事業の創出」「環境・社会に配慮したオペレーション」「成長し続ける組織・人財」「持続可能かつ強固な経営基盤」を設定しております。長期経営戦略(目標年次2030年度)・中期経営計画(2023~2025年度)「BIOSTYLE~深化と挑戦~」においては、これらの重点テーマを踏まえて、主軸戦略や各事業戦略等を策定しております。

長期経営戦略においては、持続可能な循環型社会の実現に向けて、当社グループの新たなブランドとして確立に取り組んできた「BIOSTYLE」を、京阪版 SDGsとして経営・事業活動の軸に据え、社会的価値と経済的価値を両輪で創造する「BIOSTYLE経営」を推進しております。(詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。)

※BIOSTYLE…「人々の暮らしの価値を高めると同時に、社会課題解決に資する商品・サービス・事業」を創出する当社グループの取組

 

 

(2)重要なサステナビリティ項目

当社グループにおける重要なサステナビリティ項目、それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

①気候変動

a.ガバナンス及びリスク管理

「サステナビリティ委員会」傘下の「環境経営専門委員会」において、脱炭素(削減目標設定・進捗管理、サステナビリティ開示の充実検討等)、廃棄物削減、水資源有効利用等について、グループ戦略としての目標設定と進捗管理が必要な環境課題への対応を策定・推進しております。同委員会の審議内容は「サステナビリティ委員会」における審議を踏まえ、原則年2回、取締役会に上程(付議又は報告)いたします。

 

b.戦略

当社グループでは、長期経営戦略における主軸戦略のひとつに「地球環境保全」を掲げ、「省エネの徹底・新技術導入」「創エネの推進(太陽光発電設備等の導入)」「再エネの調達(非化石証書の購入等)」を通じて、CO2排出量の削減及び脱炭素社会で選ばれる商品・サービスの展開を推進しております。

 

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また、将来の気候変動が当社グループの事業へもたらす影響について、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点における外部環境の変化を予測し分析を実施しております。当社グループの営業収益の約7割を占める運輸業(鉄道事業・バス事業)及び不動産業(不動産販売業・不動産賃貸業)を分析対象とし、「1.5~2℃シナリオ(2℃以下シナリオ)」、「4℃シナリオ」を採用しております。

「1.5~2℃シナリオ」においては、リスクとして、炭素税の導入によるコスト増加や、エネルギーミックスの変化によるエネルギーコスト増加のほか、不動産業において政府目標に従ったZEB・ZEH対応による建築・修繕コスト増加の影響を受けることが見込まれます。これを受け、運輸業において省エネ効果が期待できる省エネルギー車両・電気バスの導入による影響の低減、不動産業において設備の仕様・調達方法の見直しによる影響の低減を検討いたします。一方で、運輸業における省エネルギー車両・電気バスの導入によるメンテナンスコスト低減や、公共交通の環境優位性が評価されることによる利用者増、不動産業における環境対応によるオフィス用途物件の賃料上昇や住宅用途物件の販売価格上昇といった機会を見込んでおり、各事業において環境対応を推進することで機会の極大化に向けた取組を推進いたします。「4℃シナリオ」においては、リスクとして、大型台風や気象災害による輸送停止・ダイヤ乱れ、物損の影響を受けることが見込まれ、これまで以上の危機管理体制やBCP体制の構築に努めてまいります。詳細については、当社ホームページをご覧ください。なお、当有価証券報告書は、2023年5月に更新したTCFDに基づく開示内容に沿って記載しております。

https://www.keihan.co.jp/corporate/sustainability/environment/tcfd.html

 

 

 

c.指標と目標

CO2排出量(Scope1・Scope2)の削減について、京阪グループの中長期的な環境計画「BIOSTYLE環境アクション2030」において、「2050年度のCO2排出量実質ゼロを目指して、2030年度のCO2排出量46%削減(2013年度比)」の数値目標を設定しております。また、2023年度の当社及び連結子会社のCO2排出量は以下のとおりです。2024年度の排出実績については、2025年度に公表する統合報告書及び当社ホームページにて開示いたします。

https://www.keihan.co.jp/corporate/sustainability/report/

https://www.keihan.co.jp/corporate/sustainability/environment/activity.html

 

2023年度CO2排出量

区分

2023年度実績

Scope1

60,660 t-CO2

Scope2

150,604 t-CO2

合計

211,264 t-CO2

Scope3

1,205,355 t-CO2

(注)1.Scope2は、マーケット基準にて算出しております。

2.CO2排出目標は、当社及びグループ主要8社の排出(Scope1・Scope2)を対象にしています。目標対象会社のCO2排出量は181,500t-C02 です(2013年度261,134t-C02 から30.5%削減)。

 

②人的資本

a.戦略

当社グループでは、長期経営戦略・中期経営計画「BIOSTYLE~深化と挑戦~」における「経営基盤強化」として「人財戦略」を定めております。

当社グループは、長期経営戦略等の推進、ひいては持続的な企業価値の向上には、社会的価値と経済的価値の両輪での創造など「新たな価値創造」が重要であると考えております。「新たな価値」を創造し続けるために、多様な人財一人ひとりが持つ能力・パフォーマンスを最大限引き出すとともに、挑戦と変革を生む風土改革を推進することで、従業員が「BIOSTYLEなマインド」で、いきいきと活躍する環境を整備いたします。

 

≪人財の多様性の確保を含む人財育成方針・社内環境整備方針≫

当社グループは、従業員一人ひとりの“個”の能力とパフォーマンスの最大化に向けて、ワークエンゲージメント(働きがい)の向上を図るとともに、人財多様性を推進いたします。また、挑戦と変革を生む風土改革として、挑戦を促し自律的な成長意欲を高める制度整備や「人財を活かす」マネジメントを推進いたします。

上記方針に基づき、当社においては、以下について課題であると認識するとともにこれに対する取組を推進いたします。

<自律的成長を促す人財マネジメント>

・成長・チャレンジを促す機会提供、権限付与

・一人ひとりのキャリア志向に沿ったキャリア設計支援

<多様な人財一人ひとりが安心して能力発揮できる環境整備>

・時間や場所に制限されない主体的で創造的な働き方の整備

・社内コミュニケーションの活性化

<戦略遂行に必要なスキルの確保>

・能力開発を促進・支援する育成制度の整備

・キャリア採用の推進

 

 

b.指標と目標

当社グループは、上記「a.戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。(なお、連結ベースでの目標設定等は困難であるため当社及びグループ主要4社(京阪電気鉄道㈱、京阪電鉄不動産㈱、㈱京阪百貨店、㈱ホテル京阪マネジメント)における内容を記載しております。㈱ホテル京阪マネジメントは㈱ホテル京阪の運営子会社です。)

指標

目標

実績(当連結会計年度)

採用者に占める女性割合

30以上

41.8

管理職に占める女性割合

10以上

10.8

男性育児休業等取得率

(育児目的休暇含む)

100

84.4

運動習慣の定着率(注)2

2030年度まで70以上

67.2

年次有給休暇取得率

80以上

85.0

(注)1.2025年3月に指標及び目標を更新しております。

   2.日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施している従業員の割合。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)外部経営環境に関わるリスク

①感染症の流行等

当社グループの事業エリアにおいて、感染症の大規模流行や、それに伴う移動制限、ライフスタイルの大幅な変化等が生じた場合、当社施設を利用されるお客さまの減少や、鉄道の列車運行等の事業運営に支障をきたすことにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

②自然災害・気候変動等

当社グループは、大阪府、京都府、滋賀県を中心とする事業エリアに鉄道施設をはじめとして賃貸ビルや店舗等の営業施設を多数所有しております。当該事業エリアに大きな被害をもたらす地震等の自然災害が発生した場合や、所有する施設がテロの対象となった場合を想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策として、事業継続計画(BCP)を策定しております。しかし、全てのリスクを回避することは困難であり、回避できなかった場合には経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、脱炭素社会への動きが加速する中、低炭素化に向けた規制や政策の見直しがあった場合には、炭素税導入による税負担並びに再生可能エネルギー投資や電力需要の増大に伴う電力コストの上昇により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは気候変動への対応を重要な課題として認識し取組みを推進するとともに、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同し、気候関連のガバナンス強化や戦略策定など同提言に基づく情報開示等を行っております。詳細は、当社ホームページ(https://www.keihan.co.jp/corporate/sustainability/environment/tcfd.html)をご参照ください。

 

③原油等の資源価格・資材価格の高騰

原油等の資源価格の上昇は、当社グループの鉄道事業やバス事業、レジャー事業などに大きな影響を及ぼします。また、不動産業における建築工事費や、ホテル事業、飲食店業におけるエネルギーコストについても、資源価格・資材価格が想定以上の水準にまで高騰した場合は、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④競合

鉄道事業及びバス事業におきましては、当社グループの営業エリアに他社が参入してきた場合、また、流通業及びホテル事業におきましては、当社グループの店舗周辺に他社が新規進出することなどにより競争が激化した場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、当社事業エリアへの居住・誘客を促進するとともに、持続可能な社会の実現に寄与するライフスタイルの提案を通して、お客さまから共感され、選ばれる京阪グループを目指し、一層努力してまいります。

 

⑤少子高齢化

当社グループは、大阪府、京都府、滋賀県を事業エリアのベースとし、地域に密着した企業群でありますので、少子高齢化の進展により当該事業エリアの人口が大幅に減少した場合、鉄道旅客数の減少などにより経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するべく、当社事業エリアへの居住・誘客を促進するため、長期経営戦略に掲げる主軸戦略を推進しております。

 

⑥人材確保・育成

当社グループでは、持続的な企業価値向上に向けて、新たな価値を創造し続けるため、多様な人財一人ひとりが持つ能力・パフォーマンスを最大限引き出すとともに、挑戦と変革を生む風土改革を推進することで、従業員が「BIOSTYLEなマインド」でいきいきと活躍する環境整備に努めておりますが、採用難や離職率の増加、あるいは人件費高騰により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦不動産市況の悪化

国内外の要因により景気や金利、地価、税制が変動し、それに合わせて不動産市況が悪化する場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧海外事業展開

当社グループが海外の会社への出資等をする際には、カントリーリスク及び為替リスクを勘案したうえで投資判断を行っておりますが、当該国の政治・経済・社会情勢に起因した代金回収や事業遂行の遅延・不能等、想定を上回る事態が発生し、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)財政状態

①有利子負債

当社グループにおける当連結会計年度末時点の連結有利子負債(借入金、社債、短期社債の合計額)は371,199百万円となっており、今後市場金利の変動や当社格付の変更があった場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

②退職給付債務

当社グループ従業員の退職給付費用及び債務は、主に割引率、長期期待運用収益率等の数理計算によって算出されておりますが、経済情勢の変化等によりこれらの前提条件が変更された場合や、年金資産の運用状況の悪化などがあった場合は、数理計算上の差異としてそれ以降の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③保有資産の時価下落

当社グループが保有する棚卸資産、有形・無形固定資産及び投資有価証券等は今後時価が著しく下落した場合、減損損失又は評価損を計上し経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④企業買収等

当社グループ各社は、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。企業買収等の実施に当たっては、相手先企業の業績、財政状況、買収に伴うリスク等を考慮し進めるよう努めております。しかしながら、買収先企業の業績が買収時の想定を下回る場合、又は事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合には、企業買収等を行ったグループ各社においてのれん等の減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)コンプライアンス

当社グループでは、コンプライアンス経営を維持・推進するために、コンプライアンスに関する教育を定期的に実施する等の啓発活動に努めておりますが、これらに反する重大な不正・不法行為が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事故・不祥事等

当社グループでは鉄道、バスなど大量の旅客を輸送する公共交通事業を営んでおり、安全管理には万全の注意を払っておりますが、大規模な事故が発生した場合には経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループではクレジットカード業を営む㈱京阪カードをはじめとして多数のお客さまの個人情報を取扱っており、情報セキュリティ強化に努め、その管理には万全を期しておりますが、システムトラブルや犯罪行為により情報流出が発生した場合には京阪ブランドの信用失墜のみならず、お客さまからの損害賠償請求等により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このほか、当社グループでは、主として一般消費者を顧客としている流通業やレジャー・サービス業等において、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品表示のチェックなどを実施し、販売する商品の品質・食品の安全性の確保、適切な食品表示に努めておりますが、これらについて信用毀損が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制

当社グループの基幹事業である鉄道事業は「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めにより、経営しようとする路線及び鉄道事業の種別について国土交通大臣の許可を受けなければなりません(同法第3条)。なお、当該許可には期間の定めはありません。

また、収入の根幹をなす旅客運賃等の設定・変更については上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければなりません(同法第16条)。なお、当該上限の範囲内で旅客運賃等を設定・変更しようとするときには、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければなりません。

許可の取り消しに関しては、同法第30条に定められており、同法、同法に基づく命令、同法に基づく処分・許可・認可に付した条件に違反した場合、正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しない場合、同法第6条に定める事業許可の欠格事由に該当することとなった場合などに許可の取り消しとなる可能性があります。

現時点において同法に抵触する事実等は存在しませんが、抵触し、国土交通大臣より事業の停止や許可の取り消しを受けた場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このほか、鉄道事業以外の当社グループ会社が展開する各事業においても、様々な法令・規則等の規制の適用を受けており、遵守いたしますが、これら法的規制が変更された場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 (1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

 当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

増減率

 

百万円

百万円

百万円

総資産

820,224

859,860

39,635

4.8

負債

515,403

545,351

29,947

5.8

純資産

304,820

314,508

9,687

3.2

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

百万円

百万円

百万円

営業収益

302,147

313,546

11,398

3.8

営業利益

33,904

42,071

8,166

24.1

経常利益

33,111

40,905

7,794

23.5

親会社株主に帰属する

当期純利益

24,890

28,266

3,376

13.6

 

 セグメント別の営業成績は、次のとおりであります。

 

当連結会計年度のセグメント別営業成績

 

営業収益

営業利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

百万円

百万円

運輸業

89,046

91,381

2.6

9,208

12,323

33.8

不動産業

138,860

139,094

0.2

20,171

22,342

10.8

流通業

53,439

57,059

6.8

2,771

2,846

2.7

レジャー・サービス業

34,976

39,978

14.3

3,265

4,916

50.5

その他の事業

4,578

5,167

12.9

△837

68

320,900

332,681

3.7

34,579

42,497

22.9

調 整 額

△18,752

△19,135

△675

△426

連  結

302,147

313,546

3.8

33,904

42,071

24.1

 

(運輸業)

 運輸業全体の営業収益は91,381百万円(前期比2,334百万円、2.6%増)、営業利益は12,323百万円(前期比3,115百万円、33.8%増)となりました。営業利益の増益は、旅客需要の回復に伴い輸送人員が増加したことなどによるものです。

 

(不動産業)

 不動産業全体の営業収益は139,094百万円(前期比233百万円、0.2%増)、営業利益は22,342百万円(前期比2,171百万円、10.8%増)となりました。営業利益の増益は、不動産販売業における開発案件の事業用地売却などによるものです。

 

(流通業)

 流通業全体の営業収益は57,059百万円(前期比3,619百万円、6.8%増)、営業利益は2,846百万円(前期比74百万円、2.7%増)となりました。営業利益の増益は、各施設のリニューアル効果などによるものです。

 

(レジャー・サービス業)

 レジャー・サービス業全体の営業収益は39,978百万円(前期比5,002百万円、14.3%増)、営業利益は4,916百万円(前期比1,650百万円、50.5%増)となりました。営業利益の増益は、インバウンド需要の取り込みなどによるものです。

 

(その他の事業)

 その他の事業全体の営業収益は5,167百万円(前期比589百万円、12.9%増)、営業利益は68百万円(前期は837百万円の営業損失)となりました。営業損益の改善は、インバウンド需要の取り込みなどによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

 

百万円

百万円

百万円

営業活動による

キャッシュ・フロー

40,830

44,007

3,176

投資活動による

キャッシュ・フロー

△26,932

△63,198

△36,265

財務活動による

キャッシュ・フロー

△7,856

10,199

18,056

現金及び現金同等物の

増減額

6,041

△8,991

△15,033

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、交通用役を提供する運輸業から、販売商品が一様でない不動産販売業、空間を提供する不動産賃貸業やホテル業、そして日用品などを販売する流通業などまで多様な事業を営んでおります。提供品目は広範囲かつ多種多様であり、同種のサービス、製品であっても、その内容、容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 そのため生産、受注及び販売の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析」においてセグメントごとに業績と関連付けて示しております。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析

 当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移いたしましたが、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響やアメリカの政策動向による影響など、今後の景気を下押しするリスク要因もあり、依然として不確実性の高い状況が続いております。

 このような経済情勢のもとにおきまして、当社グループでは、各事業にわたり積極的な営業活動を行って、業績の向上に努めました結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりとなりました。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産につきましては、受取手形、売掛金及び契約資産が減少したものの、有形固定資産や販売土地及び建物が増加したことなどにより、859,860百万円(前期末比39,635百万円、4.8%増)となりました。

 負債につきましては、工事代金などにかかる未払金が減少したものの、有利子負債が増加したことなどにより、545,351百万円(前期末比29,947百万円、5.8%増)となりました。なお、有利子負債(借入金、社債、短期社債の合計額)は、371,199百万円(前期末比32,874百万円増)となりました。

 純資産につきましては、自己株式の取得があったものの、利益剰余金が増加したことなどにより、314,508百万円(前期末比9,687百万円、3.2%増)となりました。

 この結果、自己資本比率は35.7%(前期末比0.7ポイント低下)となりました。

 

 

②経営成績の分析

<営業収益及び営業利益>

 当連結会計年度の営業収益は313,546百万円(前期比11,398百万円、3.8%増)、営業利益は42,071百万円(前期比8,166百万円、24.1%増)となりました。これは、レジャー・サービス業や運輸業における国内需要及びインバウンド需要の取り込みや、不動産業における開発案件の事業用地売却などによるものです。

 

 セグメント別の分析内容は、次のとおりであります。

 

(運輸業)

a.当連結会計年度における主な取組み

 鉄道事業におきましては、京阪電気鉄道㈱において、一層の安全性の向上を図るべく、京阪線全車両への車内防犯カメラの設置を加速したほか、鉄道駅バリアフリー料金制度の活用により守口市駅2・3番線、萱島駅2・3番線ホームに可動式ホーム柵を設置して使用を開始いたしました。また、一層のサービス向上を図るため、QRコードを活用したデジタル乗車券のサービス「スルッとQRtto(クルット)」を導入し、現在の交通系ICカードを含めた京阪線のキャッシュレス決済比率は94%に達しております。さらに、CO₂排出量削減に向けた取組みとして、旧型車両から省エネルギー車両である13000系車両への置換を推進いたしました。なお、今後も安全で安心な旅客輸送サービスを提供するため、京阪線及び大津線旅客運賃の変更認可申請を行い、2025年3月25日、国土交通大臣より認可を受けました。これにより、同年10月1日より運賃改定を実施いたします。

 バス事業におきましては、引き続き安全で安心な輸送サービスを提供するため、京阪京都交通㈱、京都バス㈱、京阪バス㈱において、それぞれ運賃改定を実施いたしました。

※「QRコード」は㈱デンソーウェーブの登録商標です。

※「スルッとQRtto」は㈱スルッとKANSAIの登録商標です。

 

b.営業成績の分析

 

運輸業営業成績

 

営業収益

営業利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

百万円

百万円

鉄道事業

73,467

75,916

3.3

7,635

10,806

41.5

バス事業

23,385

23,786

1.7

1,534

1,482

△3.4

消  去

△7,806

△8,322

37

34

89,046

91,381

2.6

9,208

12,323

33.8

 

 鉄道事業におきましては、旅客需要の回復に伴う輸送人員の増加などにより、営業収益は75,916百万円(前期比2,448百万円、3.3%増)となりました。営業費につきましては、設備投資に伴って減価償却費が増加しましたが、人件費や修繕費が減少しました。これらの結果、営業利益は10,806百万円(前期比3,170百万円、41.5%増)となりました。

 バス事業におきましては、インバウンド等観光客の増加などにより、営業収益は23,786百万円(前期比401百万円、1.7%増)となりました。営業費につきましては、バス車両に係る修繕費が増加しました。これらの結果、営業利益は1,482百万円(前期比52百万円、3.4%減)となりました。

 

c.京阪電気鉄道㈱の運輸成績

 定期旅客収入につきましては、通勤・通学利用の回復などにより、15,997百万円(前期比385百万円、2.5%増)となりました。定期外旅客収入につきましては、「枚方モール」の開業に加え、プレミアムカーやライナー列車の利用好調などで、33,481百万円(前期比1,176百万円、3.6%増)となりました。

 

 

京阪電気鉄道㈱ 運輸成績

種 別

単位

当連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

 

対前連結会計年度

増減率

 

 

 

営業日数

365

△0.3

営業キロ

キロ

91.1

客車走行キロ

千キロ

75,472

△0.3

旅客

人員

定期

千人

135,272

1.7

定期外

131,049

3.1

266,321

2.4

旅客

収入

定期

百万円

15,997

2.5

定期外

33,481

3.6

49,478

3.3

運輸雑収

3,595

7.4

収 入 計

53,074

3.5

乗車効率

38.81

(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100によります。

 

 

京阪電気鉄道㈱ 旅客収入(対前年同月比)

0102010_003.png

 

 

(不動産業)

a.当連結会計年度における主な取組み

 当社グループがかねてより参画してまいりました「枚方市駅周辺地区第一種市街地再開発事業」について、2024年5月31日、枚方市駅直結の複合施設「ステーションヒル枚方」が竣工し、同年6月1日より賃貸タワーレジデンス「THE TOWER HIRAKATA」及びオフィスの入居を順次開始するとともに、同年6月30日にはホテルが開業いたしました。また、「淀屋橋駅東地区都市再生事業」についても、2025年5月にはランドマークビルとなる複合施設「YODOYABASHI Station One(淀屋橋ステーションワン)」が竣工を迎え、同年6月より商業ゾーンの店舗を順次オープン予定であるなど、引き続き全面開業に向けた取組みを推進してまいります。

 不動産販売業におきましては、「京阪東ローズタウン」「南草津プリムタウン」などの土地建物を販売いたしました。また、マンションでは、「ザ・ファインタワー大阪肥後橋」「ザ・ファインタワー ウエストコースト」などのほか、関西圏以外におきましても積極的な事業展開に努め、「ファインシティ大宮公園」「ザ・ファインタワー久屋大通」などを販売いたしました。

 不動産賃貸業におきましては、更なる事業の拡大・強化を目指し、2024年7月1日に賃貸ビル「京阪成田ビル(2025年2月1日付名称変更)」(千葉県成田市)を、同年10月1日に「京阪仙台一番町ビル(2025年4月1日付名称変更)」(宮城県仙台市)を、同年11月22日に「京阪藤沢ビル(2025年5月1日付名称変更)」(神奈川県藤沢市)をそれぞれ取得いたしました。

 

b.営業成績の分析

 

不動産業営業成績

 

 

営業収益

営業利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

 

百万円

百万円

百万円

百万円

不動産事業

123,222

123,330

0.1

19,238

21,247

10.4

 

不動産販売業

92,051

89,858

△2.4

7,473

9,883

32.2

 

不動産賃貸業

26,942

29,176

8.3

11,257

10,858

△3.5

 

その他

4,228

4,295

1.6

507

505

△0.4

建設事業

23,833

23,247

△2.5

1,056

1,130

7.0

消  去

△8,195

△7,483

△123

△35

138,860

139,094

0.2

20,171

22,342

10.8

 

 不動産販売業におきましては、マンション販売の減少などにより、営業収益は89,858百万円(前期比2,193百万円、2.4%減)となりましたが、開発案件の事業用地売却などにより、営業利益は9,883百万円(前期比2,409百万円、32.2%増)となりました。

 不動産賃貸業におきましては、「ステーションヒル枚方」や「Nakanoshima Qross」の開業などにより、営業収益は29,176百万円(前期比2,234百万円、8.3%増)、営業利益は10,858百万円(前期比399百万円、3.5%減)となりました。

 

(流通業)

a.当連結会計年度における主な取組み

 ショッピングモールの経営におきましては、2024年9月6日、枚方市駅と一体となった商業施設「枚方モール」を開業いたしました。同モール内には、㈱京阪百貨店が運営するセミセルフ式の化粧品セレクトショップ「ナナイロ ボーテ」を含む5店舗を展開するほか、サステナブルマーケットをコンセプトとした「THE STORE 枚方モール店」を㈱京阪ザ・ストアが出店するなど、新業態の店舗を積極的に展開し、収益力の強化を図りました。

 ストア業におきましては、オリジナル商品の開発加速、品質保持やコスト削減による安定した商品供給体制の確立を図るべく、「フレスト」及び「THE STORE」並びに「もより市」計26店舗の商品の一部を製造するプロセスセンター(東大阪市)の運用を2024年11月15日より開始いたしました。また、兵庫県初となる「SWEETS BOX 地下鉄三宮店」を出店するなど、積極的な店舗展開に努めました。

 

 

b.営業成績の分析

 

流通業営業成績

 

営業収益

営業利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

百万円

百万円

百貨店業

21,495

24,408

13.6

174

184

5.9

ストア業

15,627

16,147

3.3

710

567

△20.2

ショッピングモール

の経営

13,329

13,954

4.7

1,769

1,995

12.7

その他

4,615

4,805

4.1

100

97

△2.7

消  去

△1,629

△2,257

17

2

53,439

57,059

6.8

2,771

2,846

2.7

 

 百貨店業におきましては、インバウンド売上の好調などにより、営業収益は24,408百万円(前期比2,913百万円、13.6%増)、営業利益は184百万円(前期比10百万円、5.9%増)となりました。

 ストア業におきましては、「THE STORE 枚方モール店」の開業などにより、営業収益は16,147百万円(前期比519百万円、3.3%増)、営業利益は567百万円(前期比143百万円、20.2%減)となりました。

 ショッピングモールの経営におきましては、「枚方モール」の開業や各施設のリニューアル効果などにより、営業収益は13,954百万円(前期比624百万円、4.7%増)、営業利益は1,995百万円(前期比225百万円、12.7%増)となりました。

 

(レジャー・サービス業)

a.当連結会計年度における主な取組み

 ホテル業におきましては、旺盛なインバウンド需要及び国内旅行需要の更なる取り込みを図るべく、各種営業活動を積極的に推進いたしましたほか、「ホテル京阪ユニバーサル・タワー」において、お子さま連れのご家族やグループでご利用のお客さまにも安心してくつろいでいただける客室とすべく、前期より順次進めてきた計641室の客室リニューアルを完了いたしました。また、2024年4月23日、「琵琶湖ホテル」内のレストラン「イタリアンダイニング ベルラーゴ」について、出来立てのイタリア料理をお楽しみいただけるビュッフェレストランにリニューアルオープンするなど、一層の競争力強化と施設の魅力向上に努めました。

 

b.営業成績の分析

 

レジャー・サービス業営業成績

 

営業収益

営業利益

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

百万円

百万円

ホテル事業

31,446

36,167

15.0

3,131

4,654

48.6

レジャー事業

3,556

3,838

7.9

115

244

112.3

消  去

△26

△27

19

17

34,976

39,978

14.3

3,265

4,916

50.5

 

 ホテル事業におきましては、インバウンド需要の取り込みなどにより、営業収益は36,167百万円(前期比4,721百万円、15.0%増)、営業利益は4,654百万円(前期比1,523百万円、48.6%増)となりました。

 レジャー事業におきましては、観光船業における需要の回復などにより、営業収益は3,838百万円(前期比282百万円、7.9%増)、営業利益は244百万円(前期比129百万円、112.3%増)となりました。

 

(その他の事業)

 その他の事業におきましては、複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」のオリジナルスイーツブランド「RAU」が、2024年12月13日、ショップエリアを拡大してリニューアルオープンし、20種類以上の新商品の発売を開始いたしました。また、同施設内のヴィーガンフレンドリーレストラン「Hyssop(ヒソップ)」が、植栽などのインテリアやメニューを新たにブラッシュアップオープンするなど、積極的な営業活動と施設の魅力向上に努めました。

 これらの結果、その他の事業全体の営業収益は5,167百万円(前期比589百万円、12.9%増)、営業利益は68百万円(前期は837百万円の営業損失)となりました。

 

<営業外損益及び経常利益>

 経常利益は40,905百万円(前期比7,794百万円、23.5%増)となりました。これは、支払利息の増加などにより営業外損益が悪化したものの、営業利益の増加が大きかったことによるものです。

 

<特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益>

 特別損益は前連結会計年度に比べ2,106百万円悪化しました。これは、固定資産売却益の減少などによるものです。

 これらの結果、税金等調整前当期純利益は40,722百万円(前期比5,687百万円、16.2%増)となり、これから法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は28,266百万円(前期比3,376百万円、13.6%増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比較して8,991百万円減少し、当連結会計年度末には13,777百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の取得による支出が増加したものの、売上債権の減少による収入や税金等調整前当期純利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比較して3,176百万円の収入増となり、44,007百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が増加したことや固定資産の売却による収入が減少したことなどにより、前連結会計年度に比較して36,265百万円の支出増となり、63,198百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が増加したものの、有利子負債が増加したことなどにより、10,199百万円の収入(前連結会計年度は7,856百万円の支出)となりました。

 

④資本の財源及び資金の流動性

<財務戦略の基本方針>

 当社グループは、財務健全性を維持した上で、獲得した利益や有利子負債による調達資金、資産売却による回収資金を、将来の成長を実現するための事業投資に優先的に配分することを財務戦略の基本方針としており、詳細は下記(1)~(5)に記載しております。

 

(1)当社グループが考える財務健全性について

 当社グループは自己資本比率、ネット有利子負債/EBITDA倍率等を勘案して、財務健全性を維持してまいります。

 

(2)将来の成長を実現するための事業投資について

 当社グループは長期経営戦略の主軸戦略である「沿線再耕」「体験価値共創」「地球環境保全」に基づき、不確実性の高いポストコロナ社会においても、将来にわたって持続的に成長する企業グループとしての基盤を築くための成長投資を実行してまいります。

 

(3)資金需要について

 当社グループの資金需要には、営業活動に係る資金として主に運輸業における鉄道運行のための動力費、設備の修繕費、不動産業における販売用不動産の取得等があり、設備投資資金として、運輸業における鉄道設備への安全性、快適性の向上のための投資、不動産業における賃貸施設の建設資金等があります。なお、重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。

 このような資金需要に対し、自己資金又は借入、社債発行等により資金調達することとしております。また、運転資金の効率的な運用を行うため、複数の金融機関の間で当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。

 

(4)資金調達の方針について

 当社グループは、財務健全性を確保した上で、さらなる金利上昇リスクに備えるために、金利動向を注視し、支払利息や償還時期を考慮しながら長期での社債発行等、調達金利の固定化、調達期間の長期化を図ってまいります。

 

(5)株主還元の方針について

 当社は、グループの持続的な企業価値向上に向けて、安定した経営基盤の確保及び積極的な成長投資に努めるとともに、財務健全性の維持や資本効率を勘案し、業績に応じた利益配当を実施すること、及び機動的な自己株式の取得を実施することを株主還元の基本方針としております。

(配当)

 各期の配当額は業績に基づき連結配当性向30%程度とし、持続的な利益成長を通じた増配を目指します。

 ※株主総会を決定機関とする年1回の期末配当を基本といたします。

(自己株式取得)

 財務健全性及び資本効率等を踏まえた機動的な自己株式の取得を実施してまいります。

 

 なお、株主還元方針(配当)については、2026年3月期からの適用といたします。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している「重要な会計方針」については、「第5 経理の状況 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。

 なお、当社グループにおける会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりです。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、使用中の資産又は資産グループ、処分予定の資産又は資産グループの減損の兆候を定期的に確認しております。減損の兆候がある資産又は資産グループについては、割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較し、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。割引前将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的に行われたものと考えておりますが、見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより繰延税金資産の回収可能性を判断しております。将来の収益力に基づく課税所得の見積りは合理的に行われたものと考えておりますが、見積りを修正した場合には、繰延税金資産の取崩しが発生し、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(販売土地及び建物の評価)

 当社グループは、販売土地及び建物の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、販売見込額から販売経費見込額を控除した正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって連結貸借対照表価額としております。正味売却価額の見積りは合理的に行われたものと考えておりますが、見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2026年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画及び2031年3月期を目標年次とする長期経営戦略において「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「EBITDA」、「ネット有利子負債/EBITDA倍率」及び「ROE」を重要な指標として位置付けております。

 当連結会計年度の各指標は、前連結会計年度に比較して次のとおり推移いたしました。前連結会計年度からの変動は、営業利益の増加などによるものです。

 

0102010_004.png

 

5【重要な契約等】

当社は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しております。

契約に関する内容等は、以下のとおりであります。

契約締結日

契約の相手方の属性

債務の期末残高

(百万円)

弁済期限

当該債務に付された担保の内容

財務上の特約の内容

2016年9月28日

都市銀行他

(シンジケート団)

10,000

2026年9月30日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

2019年7月26日

都市銀行他

(シンジケート団)

5,000

2029年7月31日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

2021年6月28日

信託銀行他

(シンジケート団)

18,000

2025年6月30日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

2023年3月31日

都市銀行他

(シンジケート団)

20,000

2027年3月31日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

2024年2月26日

信託銀行他

(シンジケート団)

17,500

2028年2月29日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

2024年6月26日

信託銀行他

(シンジケート団)

8,000

2029年6月29日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

2024年12月5日

都市銀行他

(シンジケート団)

6,800

2029年12月10日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、2024年3月決算期末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%及び直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%のいずれか高い方の金額以上に維持すること。

2025年2月26日

都市銀行他

(シンジケート団)

28,000

2029年2月28日

なし

各連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額を、直前連結会計年度末日の連結貸借対照表における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。

 

6【研究開発活動】

特記事項はありません。