第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループでは、以下に掲げる「経営理念」および「経営姿勢」を基本方針に、京都地区では鉄軌道事業を、福井地区ではバス・タクシー事業を中心とした交通インフラをそれぞれ核に、地域と協働して沿線の魅力を高めることで企業価値の向上を図ってまいります。

 

<経営理念>

京福グループは、安全・安心をブランドの礎とし、人と社会に貢献します。

 

<経営姿勢>

・安全・安心・感動を基礎に、社会と一体となって歩みます。

・進取・挑戦の歩みを止めず、日々進化し続けます。

・人と自然を敬愛します。

 

(2) 中長期的な経営戦略

当社グループは、確実に成長を続けるとともに、これまで培ってきた地域の皆さまとの関係をベースとした事業基盤を一層強固なものとすることにより、これからも株主さま、お客さま、地域の皆さまから安定して支持していただける企業集団として永続していくことを目指し、2023年5月に「京福グループ中期経営計画2025(2023年度~2025年度)および2030年度の経営目標を定めております。

 

<基本方針>

・当社グループは、ビジネスチャンスを確実に生かすことで成長を図るとともに、適切な投資を行い、安定的に経営を持

 続してまいります。

・新たに生まれる人の流れを確実に取り込むことで、地域インフラとしての重要性向上を図ります。

・安全・安心に関する取り組みを着実に継続するとともに、これまでにない輸送の価値をお客さまに提供します。

・沿線地域の皆さまとの連携を通じて沿線の魅力を深耕・発信することにより、地域のにぎわいづくりに貢献するととも

 に、一定規模の不動産投資を行うことにより、よりよいまちとくらしを創造していきます。

・ソフト・ハード両面で環境負荷の低減を目指すとともに、自然災害等のリスクにそなえることにより、持続可能で強固

 な組織体を目指します。

 

<具体的な取り組み>

①運輸業

・運輸安全マネジメントの着実な継続

・嵐山線への新型車両、回生ブレーキ等の導入

・嵐山線ダイヤ改正

・嵐山線各駅バリアフリー化のさらなる推進

・電気バス・ユニバーサルデザインタクシーの導入

・老朽施設の建て替えなど適切な設備投資

②不動産業

・収益物件の取得

・賃貸住宅ランフォートシリーズ(京都)、Kフォートシリーズ(福井)の展開拡大

・地域密着型の宅地分譲事業の推進

・福井地区社有地の活用促進

 

③レジャー・サービス業

・施設運営体制の強化(嵐山駅ビル、帷子ノ辻駅ビル)

・嵐山線沿線の観光資源の掘り起こしと連携強化による誘客策の企画・実施

・AIのさらなる活用などによる情報機能の充実(ボートレース事業)

・自然・環境とふれあう新展示施設の開設(越前松島水族館)

④福井地区運輸業(京福バスグループ)

・交通系ICカードの導入

・北陸新幹線と福井県内に点在する観光地をつなぐ「二次交通」としての機能強化

・「ふくいMaaS」としてシームレスなモビリティサービス提供

・事業拠点のさらなる集約と営業強化

⑤管理部門

・誰もが働きやすい職場環境の整備

・KES(Kyoto Environmental Management System Standard・環境マネジメントシステム)認証に基づく活動の継続

 

<賃金配分および投資額資金配分および投資額>

 持続的な成長と企業価値の向上につなげるため、各事業において成長・戦略投資と維持・更新投資を行うとともに、株主還元については安定的な配当の継続を目指します。

 

<定量目標>

 中期経営計画の期間中(2023年度~2025年度)に各施策を進めることで営業利益を確実に積み上げ、2030年度において営業利益20億円を達成するとともに、各年度安定的に10億円以上の親会社株主に帰属する当期純利益確保を目指します。

 

(3) 経営環境

 当社グループの事業エリアである京都エリアについては、今後インバウンドを中心に観光客のさらなる増加が見込まれるほか、福井エリアでは北陸新幹線の金沢・敦賀間延伸開業後の環境変化が予想されます。加えて、2025年に大阪・関西万博の開催にあたり、新たなお客さまの流れが生じるものと想定しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「安全・安心の着実な推進」として、嵐山線では2024年度から2028年度にかけ新型車両7両を導入するほか、中間駅のバリアフリー化、踏切更新、その他老朽施設の更新投資を、バス・タクシー事業では計画的な新車導入など、適切な投資を推進します。

「沿線深耕と地域貢献への取組み」として、京都地区では「映像・映画のまち太秦」をはじめ、沿線地域の魅力の深掘りと発信により、観光の活性化にさらに取り組みます。また新たな賃貸物件の取得等により賃貸収入の増収を図るとともに、「よりよいまちとくらしの創造」につながる不動産賃貸業を推進します。福井地区では、乗合タクシーやデマンドタクシーの運行とサービス向上など、グループのバス・タクシー各社共同できめ細やかな交通サービスの提供を維持し、観光・生活両面で地域のにぎわいづくりに貢献します。

「持続可能な経営」として、嵐山線で新型車両導入に伴う車両のVVVFインバータ制御・回生ブレーキ化の推進、京都バス㈱・京福バス㈱のEVバス導入などハード面に加え、行政による観光分散化策など、地域一体での環境負荷低減に向けた取り組みへの協力・連携をさらに強化します。

またバス事業を中心とする要員の確保、頻発する自然災害に備えた訓練等の各対応は喫緊の課題であると認識しており、合わせてガバナンスの強化、多様な人材がいきいきと活躍できる企業風土・職場づくりに継続して取り組みます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①考え方

 当社グループは、活動指針である「経営姿勢」「行動憲章」を定め、公共交通事業を中心に、生活に直結する様々なサービスを、地域で暮らす皆様、働き学ぶ皆様、地域を訪れる皆様など、多くの皆様に提供してきました。これからも「経営理念」「経営姿勢」「行動憲章」に基づいた事業活動を通じてサステナビリティ課題への取組みをはじめ、社会の持続的発展に貢献してまいります。

 

②ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ課題への取組みにおけるガバナンス体制として、取締役会において、事業機会やリスクを評価し、各施策が当社グループのサステナビリティに関する考え方でもあるグループ経営理念・行動憲章に適合しているかを審議することで、適正かつ有用な意思決定を行うよう努めております。また執行部門と監査部門を分離しガバナンス体制を強化するとともに、リスク管理やサステナビリティ課題に関する取組みの実効性を確保しています。

 主な事項については次のとおり体制を構築し、重要なものは取締役会に適宜報告することとしています。

・鉄軌道事業部署においては、安全輸送の確保を最優先の命題として、安全に関する取組みの基本方針・組織体制等および運転、施設、車両に関する業務の実施体制、方法を「安全管理規程」に定め実施しております。

・業務に関連する法改正については、改正内容や趣旨を当社やグループ各社の役員・管理職で共有し、必要に応じて社規則の改正、説明会の開催等をおこなうこととしております。

・働き方改革推進関連法に準じ、当社およびグループ各社で労働時間等を管理するための仕組みを整備するとともに、適正な働き方を推進し遵守できる体制を構築しております。

・当社およびグループ各社の役職員(契約社員、パート・アルバイト等を含む)、および、あらゆる業務に係る関係者を対象に「京福グループホットライン」を開設しており、通報を受けた情報につき事実関係の調査を行い、当社およびグループ各社に必要な対策を講じることとしております。

・腐敗防止、贈収賄防止に関しては、「京福グループの独占禁止法遵守宣言」として「取引先との健全な関係を保持するためのガイドライン」を定め、職場に掲示して全職員に周知しております。

・発生したコンプライアンス違反事案については、原因や背景を検証したうえで、当社およびグループ各社に水平展開し、再発防止に取り組む体制にしております。

 

③リスク管理

 当社グループはリスク管理を極めて重要な施策と位置付けており、顧客ならびに当社グループおよび役職員等に関し発生する危機について、これを予防するとともに、発生の際の被害を最小限に停めるための指針およびその他必要な事項を「危機管理規程」に定め、各部署は、「事業継続計画(BCPマニュアル)」など必要に応じ、これに基づいた具体的対処方法を整備しております。

 リスク事案に関しては組織として継続的に監視を行い予防に努めておりますが、事案が顕在化した場合にはこれら諸規程に従い、リスク対応区分に応じ、社長を本部長とする緊急対策本部、主管部を中心とする現地対策本部を設置し、事態への迅速かつ適切な対応を行う体制を整えております。なお、当社グループに関するリスクの詳細につきましては「3 事業等のリスク」に記載の通りです。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、次のとおりであります。

①気候変動

 当社グループでは、気候変動を企業存続の重要な課題と認識し、リスク・機会両面から適切に対応することが当社グループと沿線地域の持続的な成長につながると考えており、「京福グループ行動憲章」において「4.私たちは、人権を尊重し、人と地球に優しい事業を行います」を、またこれに準拠し「京福グループのSDGs重要課題」で「2 人と地球に優しいエコでクリーンな事業の推進」をそれぞれ定めています。照明のLED化や、特定非営利活動法人KES環境機構が認証するKES・環境マネジメントシステム・スタンダード ステップ2に適合した環境マネジメントシステムを実施しているほか、中期経営計画に、嵐山線における回生ブレーキ・VVVFインバータ制御を装備した新型車両の導入、バス会社におけるEVバス導入を織り込んでおり、環境負荷低減に向けた計画的な投資を進めております。嵐山線においては、現行車両のうちVVVFインバータ制御車両2両の回生ブレーキ化改造工事と回生電力貯蔵装置の設置を2023年度までに完了しており、2024年度に1両、以後2028年度までに計7両を新型車両に置き換える計画です。今後、当社グループの課題やステークホルダーからの要求や期待、事業における環境側面の影響評価の結果などを総合して、気候変動対策と数値目標を策定、計画の中に織り込み、当社グループ全体で取組んでまいります。

 

②人的資本に関する戦略、指標及び目標

a.戦略

 当社グループは、「京福グループ中期経営計画2025(2023年度~2025年度)」において、持続可能で強固な組織体を目指すことを基本方針の1つとしており、誰もが働きやすい職場環境の整備を進めております。企業として持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上していくためには、多様な視点や価値観を取り入れた経営が必要であると考えています。

 当社では「健康経営」に取り組んでおります。健康経営の考え方に基づき従業員の健康増進を図るため、「京(きょう)から取り組む健康事業所宣言」を制定しており、「健康経営優良法人2025」(中小規模法人部門)の認定を受けています。グループ会社2社においても同認定を受けております。今後も従業員の健康維持・増進に取り組みます。人材育成について当社では資格取得支援制度による従業員の能力開発支援を行っている他、ジョブローテーションを促進しており、多様な価値観や異なる知識・経験・個性を持つ従業員がその能力を存分に発揮できるよう社内環境の整備に取り組んでいます。また、当社管理職のうち中途採用者の占める割合は現在25%を超えており、今後も継続してこれを維持することを目指すとともに、女性・外国人・中途採用者の積極的な採用と職域の拡大を進めます。

 

b.指標及び目標

 当社では全ての職員がその能力を十分に発揮できるような雇用環境の整備を行うことを目的として、2025年度末までに男性の育児休業取得者を1名以上とすることを目標としております。また、女性正社員の割合が低いという課題認識のもと、2026年度末までに女性正社員の割合を1割以上にすることを目標としております。育児休職、育児休業給付等の制度について社内再啓発を行うとともに、求職者に対して積極的な広報活動を実施することで女性を積極的に採用できるよう努めております。なお、当社グループの女性正社員の割合は、13.1%(2025年3月31日現在)であります。

 

指標

目標

実績

男性の育児休業取得者

2025年度末までに1以上

5名(2021年度~2024年度の累計)

女性正社員の割合

2026年度末までに1以上

7.1%(2025年3月31日現在)

連結ベースでの目標設定等は困難であるため当社における内容を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)少子高齢化について

 少子高齢化の進行に伴い、今後就業・就学人口の落ち込みが続いていくものと予測されています。この問題は当社グループにおきましては、運輸業である鉄軌道事業およびバス運送事業の輸送人員の減少や採用難による従業員不足から事業継続への支障等を招くこととなり業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)テロ等の社会不安について

 公共交通機関の一端を担っている当社グループは、お客様の安全輸送を確保するため、随時、関係省庁からの情報収集に努めるとともに、自主警備の強化を行っておりますが、不測の事態により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)景気の変動について

 景気の大幅な変動により個人消費や民間設備投資が激変する場合、当社グループが提供する製品需要や鉄軌道・バス・タクシー等の輸送旅客の減少や価格競争の激化が進展する可能性があります。このような環境下において、当社グループの営業収益や収益性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)材料・資材価格の高騰について

 今後の経済情勢や国際情勢の変化により材料・資材価格が高騰する可能性および材料資材が不足する可能性があります。当社グループにおきましては単価・内容・発注方法等の見直しなどによる経費軽減を実施しておりますが、価格上昇により業績に影響を及ぼす可能性があります。

  また、バス運送事業、タクシー事業においては、地政学的リスクの高まりにより原油価格の不安定な状況が続くことで燃料費の増加が予想され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)時価の下落について

 当社グループが保有する棚卸資産、有形・無形固定資産および投資有価証券等は今後時価が著しく下落した場合、減損損失または評価損を計上し業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)事故について

 当社グループは安全輸送について従業員教育や業務管理等のソフト面の他、設備改良等のハード面からも万全の施策を実施しておりますが、事故が発生した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)市場金利の上昇について

 今後の経済情勢において金利上昇が予測され、当社グループにおきましては金利による負担軽減を図るべく、保有資産の効率性を高め有利子負債の圧縮を目指しておりますが、急激な経済情勢の変動あるいは金融機関等の動向により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)感染症の流行等について

 感染症の流行等によるパンデミックに対し、当社グループにおきましては「危機管理規程」に基づき社長を委員長とした対策本部組織を立ち上げ、状況に応じた対策を図ることとしております。また、事業継続計画(BCP)にて、鉄軌道事業あるいはバス運送事業等運輸業の継続運行のため、あるいは、その他事業の継続のための対応を策定しています。しかしながら、予想を上回る規模のパンデミックなど不測の事態においては、経済活動や個人消費が大きな影響を受けることにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)自然災害・気候変動について

 当社グループは、自然災害等の発生に対しては社内体制を整備し、緊急時の対応に備えておりますが、万一、大規模な地震や風水害、沿線の観光資源である自然環境に気候変動等に伴う想定外の変化等が発生した場合、当社グループの営業活動に著しい支障が生じ、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)電力供給不足への対応について

 発電所の稼働停止により、各電力会社の電力供給能力は大幅に低下し、大規模停電などのトラブルが発生することが予想されます。

 車両運行のため電力を使用する当社にとって、電力供給が不十分となった場合には、車両運行等サービスの安定的な提供が行えず、事業継続に大きな支障が生じる可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループの営業収益は14,459百万円(前期比417百万円、3.0%増)となり、構造改革の推進等によるコスト削減効果もあり、営業利益は2,302百万円(前期比388百万円、20.3%増)となりました。これに、営業外収益および営業外費用を加減した経常利益は2,325百万円(前期比379百万円、19.5%増)となり、特別利益および特別損失ならびに法人税等を加減し、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は1,736百万円(前期比352百万円、16.9%減)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

   (運輸業)

運輸業におきましては、鉄軌道事業で嵐山線・鋼索線とも、インバウンドを中心に旅客数が増加し増収となりました。嵐山線では24年ぶりに新型車両を1両導入、モボ1形「KYOTRAM(きょうとらむ)」として2025年2月28日から営業運転を開始しました。また、大河ドラマ「光る君へ」をテーマに関係行政や交通事業者、沿線各施設等と連携したデジタルスタンプラリーの開催やラッピング電車の運行などを行い、旅客誘致と利用促進に努めました。さらに、2024年10月14日に江ノ島電鉄㈱との「江ノ電・嵐電姉妹提携」が締結15周年を迎えたことから、両社それぞれの車体カラーによるラッピング電車の運行や、分散化による持続可能な観光の実現をテーマに、両社沿線の共同PRを実施するなど、広範な情報発信を行いました。

バス運送事業・タクシー事業では、京都バス㈱はインバウンドなど観光需要が好調に推移し増収となりました。福井地区の京福バス㈱・ケイカン交通㈱・福井交通㈱は、北陸新幹線敦賀延伸による観光需要や、2024年2月に導入した交通系ICカードの利用促進キャンペーン、JR福井駅エリアの新商業施設への地域客来訪などによる利用増がありました。一方、バス運転士・タクシー運転手の人手不足は引き続き深刻で、京福バス㈱は2024年6月1日と10月1日に、行政や沿線地域のご理解ご協力のもと一部路線で廃止・減便を実施しました。これにより下期以降、運転士の配置を適正化し、高速バス京都・大阪線の運行再開など、収益部門における受注や稼働の増加を図りました。

以上の結果、運輸業の営業収益は7,853百万円(前期比288百万円、3.8%増)となり、営業利益は420百万円(前期比119百万円、39.5%増)となりました。

 

 (提出会社の鉄軌道事業の運輸成績表)

 

種別

単位

当連結会計年度

 

(2024.4.1~2025.3.31)

 対前期増減率(%)

輸送人員

定期

千人

2,875

△0.2

定期外

5,489

2.0

8,364

1.3

旅客運輸収入

定期

百万円

291

2,4

定期外

1,268

3.2

1,560

3.0

 

 

 (業種別営業成績)

種別

当連結会計年度

(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益

対前期増減率

 

百万円

鉄軌道事業

1,638

2.9

バス運送事業

5,336

0.3

タクシー事業

1,010

25.5

消去

△132

7,853

3.8

 

(不動産業)

不動産業におきましては、不動産賃貸事業の収益基盤強化に向け、京福電気鉄道㈱が大阪府高槻市で2024年7月25日に「ワコーレヴィータ高槻八丁畷町(はっちょうなわてちょう)」を、2025年3月27日に大阪府茨木市で「京福茨木ビル」を取得しました。また京都地区・福井地区ともに、既存の居住用賃貸物件の賃貸収入も堅調に推移しました。「ボートレース三国」では引き続きインターネット投票売上が好調で、2024年11月から12月にかけて開催されたレース「開設71周年記念 GⅠ 北陸艇王決戦」などの効果もあり、施設賃貸収入は増収となりました。

以上の結果、不動産業の営業収益は5,593百万円(前期比213百万円、4.0%増)となり、営業利益は1,636百万円(前期比202百万円、14.1%増)となりました。

 

 (業種別営業成績)

種別

当連結会計年度

(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益

対前期増減率

 

百万円

 不動産賃貸事業

6,277

△2.0

 不動産販売事業

78

△16.3

 消去

△762

5,593

4.0

 

 (主な相手先別の収益実績及び総営業収益に対する割合)

相手先

前連結会計年度

(2023.4.1~2024.3.31)

当連結会計年度

(2024.4.1~2025.3.31)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

越前三国競艇企業団

4,267

30.39

4,387

30.34

 

 

(レジャー・サービス業)

レジャー・サービス事業におきましては、ホテル京福福井駅前、越前松島水族館で、北陸新幹線敦賀延伸効果により来県者が増加、増収となりました。とりわけ越前松島水族館は、北陸新幹線敦賀延伸に合わせて2024年3月7日にオープンした「みずだこ館」が、ミズダコに特化した国内水族館初の施設として数多くのマスコミで報道されました。インバウンドでにぎわう嵐山駅はんなり・ほっこりスクエアでは、嵐山の眺望を一望に楽しめる駅ビル屋上の開放や、大河ドラマ出演者等身大パネル展、スマートフォンゲームとのコラボレーションイベントの開催などで集客を図りました。

以上の結果、レジャー・サービス業の営業収益は、2023年6月に三国観光ホテルを事業譲渡したことから1,263百万円(前期比44百万円、3.4%減)となりましたが、営業利益は245百万円(前期比67百万円、37.9%増)となりました。

 

(業種別営業成績)

種別

当連結会計年度

(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益

対前期増減率

 

百万円

 ホテル業

210

△34.3

 水族館業

640

21.1

 物販業

306

△2.7

 その他

127

△36.0

 消去

△21

1,263

△3.4

 

②キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に加え、減価償却費等の非現金支出項目による資金留保などにより3,626百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ1,169百万円の収入増となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより2,946百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ1,192百万円の支出増となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより463百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ252百万円の支出減となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は2,154百万円となり、前連結会計年度末に比べ216百万円の増加となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループのサービス・販売等は、必ずしも一様ではないため、セグメント毎に金額あるいは数量での記載は行なっておりません。

 そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。

 

 (経営成績の分析)

  当連結会計年度のわが国経済は、所得環境の改善やインバウンドの増加などにより持ち直しの傾向が見られた一方、物価上昇や世界の紛争地域の動向等の影響により、依然として先行き不透明な状況で推移しました。

  このような状況のもと、当社グループではお客様サービスの強化や積極的な営業活動により業績の向上に努めました。

 

 (財政状態の分析)

  総資産は、有形固定資産の取得などにより、前連結会計年度末に比べ2,251百万円増加し、25,253百万円となりました。

  負債は、未払法人税等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ374百万円増加し、11,597百万円となりました。

  純資産は親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,876百万円増加し、13,656百万円となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社グループは、「連結営業収益」、「連結ROE」、「連結有利子負債/EBITDA倍率」を重要な指標として位置付けております。各指標は、以下のとおりです。

経営指標

前連結会計年度

当連結会計年度

連結営業収益

14,042百万円

14,459百万円

連結ROE

21.7%

15.0%

連結有利子負債/EBITDA倍率※

2.09倍

1.68倍

※連結有利子負債/EBITDA倍率=(社債+借入金)÷(営業利益+減価償却費)

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 (キャッシュ・フローの状況の分析)

  当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 (資本の財源及び資金の流動性)

  当社グループの資金需要の主な内容は運転資金及び設備投資資金であり、これらの調達方法につきましては、営業活動により獲得した資金を充当し、不足分を借入金など有利子負債により調達することとしております。

  借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資資金については、長期借入金及び社債の調達を基本としております。

  なお、重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。