第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)広電グループの旗印(パーパス) 

当社グループはパーパスとして「広電グループの旗印」を掲げております。当社を中核とした広電グループは、運輸、流通、不動産、建設およびレジャー・サービス業により構成され、多面的な事業展開を行っておりますので、「広電グループの旗印」のもと全ての役職員がベクトルを揃えて結束してグループの力を最大化することによって、より便利で使いやすい新たな公共交通への進化や、運輸事業の業務効率化、新たな事業機会への挑戦等に取り組み、社会的課題の解決および地域社会の持続可能な発展に貢献するとともに、当社グループとしても持続的に成長することを目指しております。

 

<広電グループの旗印(パーパス)>

「広島のワクワクを創造する」

大切な人に出会う幸せや喜び、こころ豊かで快適な暮らしに貢献し、

魅力ある広島を創り出していくことが広電グループの存在意義です。

 

(2)ありたい姿(ビジョン)・経営戦略 

当社グループは、中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2025」におきまして、「ありたい姿(ビジョン)」と「経営戦略」を定め、当社グループの事業活動に大きく影響する、路面電車の広島駅乗り入れを予定している2025年度を見据え、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点によりSDGs(持続可能な開発目標)も意識しながら、「経営戦略」を着実に実行し、経営基盤の強化と企業価値の向上に繋げるとともに、社会的課題の解決及び地域社会の持続可能な発展に貢献することにより、「ありたい姿(ビジョン)」の実現を目指しております。

 

<ありたい姿(ビジョン)>

私たち広電グループは、 

・人々の快適で安全・安心な移動を担い続けます 

・新たな価値を求め生み出します 

・社会の一員としての責任を果たします 

・地域で選ばれ、社員が誇れる存在であり続けます

 

<経営戦略>

①安全・安心なサービスの提供

②交通サービスの価値向上

③新たな収益機会獲得への挑戦

④人財の育成と働く環境の整備

⑤安定した財務基盤の確保・強化

⑥SDGs、ESGの推進

 

(3)人財ビジョン 

当社は、「人財ビジョン」のもと、当社従業員一人ひとりの力を最大限発揮できる環境を整え、永続的な発展に繋げることを目指してまいります。この「人財ビジョン」は、「基礎力」と「実行力」の大きく二つで構成されており、さらにそれぞれの「力」において求められる要素を選定しております。

 

<人財ビジョン>

①「基礎力」

・責任感(Pride)

一人ひとりが「広島電鉄の顔」であり、「広島を動かす原動力」であるという「責任感」を持つ。

・感 謝(Understanding)

これからも広島の地で事業を続けていくために、全てのお客様、広島電鉄に関わる全ての関係者への「感謝」の心を忘れない。

②「実行力」

・主体性(Thinking)~向上心を持ち、自分事として課題を発見、解決する力~

自分や会社のなりたい姿、あるべき姿を思い描き、現実との差を直視することで課題を見つけ出し、解決に向けて自ら考え、行動する。

・挑 戦(Action)~既成概念に捉われず、新しい価値を創り出す力~

取り巻く環境が大きく変化する中で、前例に捉われず、新しい価値を創出することに積極的に挑戦し、諦めずに最後までやり遂げる。

・協 働(Teamwork)~お互いを尊重し、チーム一丸となって成果を生み出す力~

一人ひとりの考え方を尊重し、お互いに助け合い、協力することで、チームとしてより大きな成果を生み出す。

 

(4)目標とする経営指標

目標とする経営指標につきましては、中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2025」におきまして、2025年度の展望を見据えた連結経営数値目標として「営業収益」「営業利益」「親会社株主に帰属する当期純利益」「有利子負債/EBITDA倍率」を設定しております。

なお、「営業収益」「営業利益」「親会社株主に帰属する当期純利益」「有利子負債/EBITDA倍率」の具体的な設定数値及び分析については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております 。

今後、当社グループの使命である地方の公共交通維持を目的とした運輸業の事業構造の強化を図りながら、資本コストやPBRを意識した経営を推進していくため、次期中期経営計画を策定・公表する2026年5月に、資本コストの考え方を組み込んだKPIの設定やROEなどの資本効率に関わる指標を経営目標数値として公表する方針です。

 

(5)経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、新型コロナウイルス禍をきっかけとした社会経済環境や事業環境の急速な変化に対応し、持続的な企業価値の向上を実現していくため、2023年5月に中期経営計画「広電グループ経営総合3年計画2025(2023~2025年度)」を策定しており、2025年度は計画の総仕上げを進め、次期中期経営計画の確かな土台を築いていきます。当社グループの旗印(パーパス)である「広島のワクワクを創造する」のもと、この中期経営計画に掲げる経営戦略を着実に実行していくことにより、安定した財務基盤の確保と強化を行い、交通サービスの価値向上や新たな収益機会の獲得に挑戦してまいります。

さらに、地域社会との協力関係の強化や地域経済への貢献を通じ、地域の持続可能な発展に向けて当社グループとしての社会的責任を果たしていくことに加え、社員一人ひとりの力を最大限発揮できるよう社内環境整備にも積極的に取り組んでまいります。

 

 各セグメントにおける対処すべき課題については、次のとおりであります。

 

①運輸業

運輸業におきましては、2024年7月に、新しい乗車券サービス「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」の提供を開始しました。スマートフォンやパソコンからいつでも定期券の購入やチャージが行えるほか、柔軟な運賃制度を設定することができるこのシステムを活用して、より使いやすく便利な公共交通サービスの実現を図ってまいります。その取り組みの一環として、2025年2月に、設定運賃内の区間なら乗り降り自由のバス金額式定期券を新たに導入しております。また、電車・バスの車内でお客様が現金チャージを行えるサービスの導入や、交通系ICカード(10カード)や流通系ICカードでの支払いに対応できるよう準備を進めており、これからもお客様の声を聞きながらアップデートしてまいります。

広島駅前大橋ルートの整備につきましては、2025年8月3日の開業を予定しております。広島駅周辺と市内中心部の所要時間が短縮され双方向の移動が便利になることで利用者が大幅に増加することが期待されており、まちの回遊性やにぎわいづくりに貢献していきます。

鉄軌道事業では、電車連接車両のワンマン運行の拡大や運行管理の集中管理システムの導入による運行の効率化に加え、技術部門のDX化推進や検査業務の一部を外注化すること等による業務の省力化を図ってまいります。

自動車事業では、2024年4月に、広島市と広島県内のバス事業者8社が設立した「バス協調・共創プラットフォームひろしま」と連携し、路線の最適化、利用促進、リソースの共有、運転士の確保等に取り組んでまいります。

海上運送業および索道業におきましては、2023年5月のG7広島サミット開催により、宮島がこれまで以上に世界から注目を集める観光拠点となった絶好の機会を活かしてまいります。海上運送業では、当社グループ内で連携して、観光客向けの便利でお得な割引商品を開発し、新たな販売ルートの開拓を行います。索道業では、効率的な運営を通じ、経費の節減と経営基盤の強化に引き続き努めてまいります。また、施設の老朽化に伴う修繕や更新を確実に行うことにより、お客様が安全・快適にご利用いただけるよう輸送の安全確保に取り組んでまいります。

航空運送代理業におきましては、安全運航の堅持に努め、人財の採用、スキル向上やマルチ資格者の養成、研修・教育を柔軟に計画することで、これからの増便および新規路線の就航に応需できる体制を整えてまいります。

 

②流通業

流通業におきましては、山陽自動車道の宮島サービスエリア店舗につきまして、仕入価格の高騰、繁忙期における要員の確保、老朽した機材の故障リスクなどの課題に向き合い、将来を見据えながら原材料の見直しや価格転嫁による原価率の安定化、効率的な人員配置、仕出し弁当の販路拡大など社員一丸となって取り組み、利益確保に努めてまいります。

また、サービスエリア運営の契約満了後の2026年度以降につきましては、これから示される道路会社の指針に沿って、しっかりと検討し対応してまいります。

 

③不動産業

不動産業におきましては、分譲マンション事業を戦略的に実行し、安定して収益を確保するとともに、専門性を持つ他事業者との協業にも積極的に取り組み、新たなビジネスチャンスの獲得を目指してまいります。広島市南区の旧ホテルニューヒロデン跡地の分譲マンション「ザ・広島フロント」は本年11月竣工、2026年2月購入者引渡しを予定しております。

また、広島市佐伯区の「ファミリータウン広電楽々園」につきましては、「イオンタウン楽々園」用地につづき、2024年10月にイオンタウン㈱とマックスバリュ楽々園店敷地の土地賃貸借契約を締結しており、開発に伴う賃料の発生を見込んでおります。

 

④建設業

建設業におきましては、受注競争の激化や資材・人件費の高騰により収益の確保が難しい状況が続くと見込まれます。慢性的な人手不足の中で、働きやすい職場環境の整備による人材確保、DX化などによる更なる業務効率化や生産性の向上に努めるとともに、工事が終盤に差し掛かっている広島駅前大橋ルート整備事業や、広島市安佐南区の大塚中央地区の戸建住宅販売事業など着実に進めてまいります。

 

⑤レジャー・サービス業

レジャー・サービス業におきましては、全施設とも引き続き安全・快適な施設環境の提供に努めてまいります。

広島県三原市の「グリーンバーズゴルフ倶楽部」では、会員価値向上を目指し、施設の改善やコース整備の充実などにより「来場者の満足度の向上」に努めてまいります。

広島市東区のゴルフ練習場「広電ゴルフ」では、料金体系や打ち放題プランの拡充などを十分に周知し、新規顧客の獲得に注力いたします。また、インドアゴルフ部門では、コーチとの連携を強化し、新しい利用スタイルを提案してまいります。

広島市中区のボウリング場「広電ボウル」では、新設した営業企画課において、企業等の団体への営業を強化し、家族や友人との再来場を促進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2025」におきましてサステナビリティに関する目標、戦略、事業計画及びKPI(重要業績評価指標)を設定しており、取締役会へ定期的に進捗を報告することによって、サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視・管理を行う体制を整え、リスク及び機会の識別、評価及び管理を実施しております。リスク及び機会に対処する戦略や、それらを長期的に評価・管理するための指標及び目標についても取締役会において監督することで、サステナビリティに関する取り組みの実効性を確保しております。

また、サステナビリティに関する取り組みについては代表取締役社長直轄である経営企画室を所管部署とすることで、サステナビリティに関する推進体制の明確化及び強化を図っております。

 

(2)戦略

当社グループにおける、サステナビリティ及び人的資本に関する戦略は以下のとおりであります。

 

① サステナビリティに関する戦略

ア サステナビリティ(全般)

当社グループは、経営戦略を通じてESGを意識した経営を行い、SDGsも念頭に入れた経営戦略を策定することで、社会的課題の解決を目指すとともに地域社会の持続可能な発展に貢献することを目指しております。

また、安全・安心なサービスの提供を最も重要な目標としつつ、運輸業及び不動産業という地域・街に根差した事業を行っていることを踏まえてSDGsの目標 11「住み続けられるまちづくりを」を重要度の高い取り組み目標とし、経営戦略を通じてSDGsを始めとした社会的目標の達成に向け積極的に取り組んでおります。

 

イ 気候変動/TCFD提言への取り組み

気候変動の緩和と移行リスクへの備えのため、中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2025」における経営戦略の一つとして「SDGs・ESGの推進」を掲げ、その中で環境負荷の低減を重要課題の一つと位置付け、事業活動の脱炭素化に向けた検討・推進を行っております。

環境負荷の現状を定量的に把握するため、2024年度の当社単体の二酸化炭素排出量の算定を行い、2025年度以降は、算定の対象をグループ全体に広げるとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)と同等の枠組みに基づき公表することを目指し、2026年5月に公表を予定している次期中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2028」では、削減目標や改善計画を策定し掲げる方針にしております。

 

② 人的資本に関する戦略

ア 人材育成方針

当社グループは、運輸業を中心として労働集約型の事業が多く、「持続可能な公共交通」の実現に向けた事業遂行のため、安定した労働力の確保に加えて、旗印(パーパス)に掲げる「広島のワクワクを創造する」ため、多様な能力や幅広い視点を持つ人材を活用してイノベーションを生み出すことを目指しております。

自ら希望して社内の他部署の業務を兼務する社内兼務者制度や、協業会社において業務を行う社内起業家育成プログラムを導入するなど、社員が自らの意志で積極的にチャレンジできる機会を提供することにより、社員の主体的なキャリア形成に対する支援や、現在行っている様々な業務についても今後は必要とされるスキルが変化していくため、2022年11月に「リスキリング宣言」を実施し、社員のリスキリングに対しても幅広い支援を行い、事業の実行主体である「人(社員)」としてあるべき姿、目指すべき姿を示す「人財ビジョン」のもと、グループ全体の永続的な発展に向けて、人材育成に取り組んでおります。

 

イ 社内環境整備方針

当社グループでは、社員のニーズや価値観の変化を尊重し、本人のライフスタイルに合わせた多様な働き方の推進やワークライフバランスの実現を通して優秀な人材確保に繋げるとともに、社員一人ひとりの力を最大限発揮できる社内環境の整備に取り組んでおり、本人のライフスタイルに合わせて働くことができる短時間正社員制度やフレックスタイム制度の導入や、社員の働く時間に合わせた企業内保育園の整備に加え、高年齢人材活躍のために導入したシニア社員制度では、2024年3月から70才以降も元気に働くことができる場合、健康状態を慎重に審査したうえ社員本人の意思や能力を踏まえ、継続雇用を行う等の取り組みを実施しております。

また、健康経営推進の取り組みにおいては、カウンセリングルームの設置、長期休業者へのフォローやラインケア研修等を実施することにより社員のメンタルヘルスケアに注力する他、運輸業における健康起因事故防止の観点から、人間ドック、脳ドック、睡眠時無呼吸症候群検査や認知症検査を実施することにより乗務員の健康管理にも注力しております。

さらに、健康セミナーやウォーキングキャンペーン、健康測定イベントを通じて社員の健康意識の向上を図る等、社員一人ひとりの健康は経営の基盤であるとの考え方に基づき、社員・会社・健康保険組合が一丸となって健康増進に努め、職場環境のウェルビーイングと社員エンゲージメントの向上に向け、社員一人ひとりが仕事に対して主体的、そして意欲的に取り組める施策を推進していることも評価され、「健康経営優良法人2025」に認定されております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、上記「(1)ガバナンス」において記載した、サステナビリティに関する目標、戦略、事業計画等に関して、併せて事業リスクとその対処方針を取締役会へ定期的に報告することにより、着実な計画の実施に向けたリスクの把握と管理を進めております。

 

(4)指標及び目標

① サステナビリティに関する指標及び目標

当社グループは、中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2025」において、主な事業計画に対してKPIを設定しております。KPIを活用した進捗の管理を行うことで、目標達成に向けた議論の深化と実効性の向上を図っております。

指標

目標(KPI)

実績(当連結会計年度)

超低床車両の導入(鉄軌道)

超低床車両の導入率

39.5%(2025年度)

37.6%

新乗車券システム導入

サービス開始(2024年10月)

2024年7月

CMSのターゲットバランス機能導入

資金集中率

75%(2024年度)

90%(2025年度)

85%

 

 

② 人的資本に関する指標及び目標

人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備方針に係る指標について、当社では2020年4月1日~2025年3月31日までの期間において、以下の内容にて行動計画を策定しております。ただし、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、次の指標に関する目標及び実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

(計画期間累計)

①電車・バス乗務員の採用者に占める女性比率

10以上

7.3

7.4%

②技術部門の女性採用者

1以上

0

3名

③係長以上の職種に占める女性比率

10以上

11.1

④男性の育児休職取得率(注)

5以上

64.3

 

(注)男性労働者の育児休業取得率については、厚生労働省の公表方針に基づき以下のとおり算出しております。

   男性労働者の育児休業取得率

当事業年度に育児休職を取得した男性労働者数(A)

当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数

 

なお、当社では子が満3歳に達する日までの間で育児休職を取得可能であり、(A)には前事業年度以前に配偶者が出産した男性労働者数が含まれるため高い数値となっております。行動計画の目標設定時は(A)を「当事業年度に配偶者が出産し、かつ同事業年度に育児休職を取得した男性労働者数」として取得率を算出しており、同一手法で算出した場合の当事業年度の取得率は57.1%となります。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスク要因には様々なものがありますが、当社グループの事業等に特有かつ重要と思われるリスク要因としては以下のものが想定されます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①自然災害・感染症の拡大について

当社グループの事業展開地域は主に広島県西部地域であり、営業拠点・施設は広島市および呉市とその近郊に集中しており、大規模な自然災害などに起因する設備等の損害や、感染症が大規模に流行した場合、および国内外の治安の悪化やテロの発生等により、運輸業をはじめとした事業の継続に関して安全の確保が難しい状況に至った場合には、各事業の運営が影響を受ける可能性があります。

当社グループでは、BCP(事業継続計画)・災害対策マニュアルの策定、防災訓練などの実施や、重要な施設の高床化などの対策を順次講じておりますが、自然災害等による被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、感染症が大規模に流行した場合は、BCPに基づき、運行計画の見直し、乗務員に対する罹患防止策の実施、従業員への時差出勤・在宅勤務の奨励など、感染状況に応じた対策を実施してまいります。

 

②運輸部門における事故について

当社グループが主として展開する鉄軌道事業、自動車事業など運輸業においては、安全確保はお客様の信頼を得るうえで最も重要であると認識しており、事業用車両(電車、バス、船舶、索道)、各種事業用設備の安全性確保、安全運転に資する教育・訓練を通常より努めておりますが、車両等事業用設備などに、製造業者に起因する安全上の欠陥など人為的要因を含むさまざまな原因にもとづき大規模な事故が発生した場合、運行停止による減収や復旧・損害賠償などに係る費用の発生のほか、当社グループの信頼失墜につながり、今後の営業活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、車両や設備の細かな点検・修繕の実施はもとより、電車・バスの車両管理表を作成し、取締役会や経営会議の場での議論を踏まえて計画的な代替を進めております。また、運輸安全マネジメントの運営を教育・訓練のなかに体系的に整理し、積極的な取組を継続しております。

 

③広島県西部地域の経済情勢の変化について

当社グループの事業展開地域は主に広島県西部地域であり、営業拠点・施設は広島市および呉市とその近郊に集中しており、当該地域における消費動向や、人口の増減、地価の変動などが、当社グループの経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「広電グループの旗印(パーパス)」にもとづいた各経営戦略によって、当該地域の活性化とともに当社グループの成長が可能となるよう展開を進めてまいります。

 

④法的規制・法令改正への対応について

当社グループの事業は、鉄道事業法、軌道法、道路運送法、建築基準法等の各種法令の適用を受けており、事業運営上、これらの法令による規制を受けるほか、特に鉄軌道事業、自動車事業においては、法令に基づく許可、認可等が運賃の上限等、事業遂行の前提となっております。このため、事業運営上、必要に応じた運賃の変更などを機動的に実施できない場合や、法令の改正などの動向によっては、目標値の達成や規制に準拠するための設備投資などが必要となり、多額の資金需要や償却負担が生じた場合は、当社グループの経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、法令に関わらず、国や地方自治体の交通政策等の変更が事業計画や当社グループの経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤少子高齢化の進行について

当社グループが主として事業展開する広島県西部地域において、少子高齢化が進行した場合、就業・就学人口の減少は、通勤・通学客輸送が中心の鉄軌道事業および自動車事業の収益を減少させる要因となります。

当社グループでは「安全・安心なサービスの提供」「交通サービスの価値向上」を経営戦略に掲げ、バリアフリーな車両への代替や、誰もが利用しやすい移動環境を整備することで、高齢者などの利用客増加に努めてまいります。

 

 ⑥国際情勢や経済情勢の変化について

当社グループは、運輸業を中心として各事業において継続的に設備投資を行っておりますが、これらの必要資金は主として金融機関からの借入れによって調達しているため、今後、経済情勢等によって金利が上昇基調になった場合には、金利負担の増加を招くこととなり、当社グループの経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主要な事業である運輸業は、動力費および燃料費の営業費に占めるウエイトが高いため、国際情勢や経済情勢による原油価格の高騰に伴って、電力料金や軽油費等燃料費の価格が上昇した場合には、運輸業燃料費の増加を招き、当社グループの経営成績等の状況に影響を及ぼす可能性があります。

借入金依存や金利負担については、中期経営計画において目標とする経営指標に「有利子負債/EBITDA倍率」を設定して、中長期視点で収益力と有利子負債のバランスを保っていく方針であり、金融機関との情報交換により、金利等の市場動向の予測を入手するなどの対応を行っております。

動力費、燃料費の増加に対しては、電車車両につきましては省電力車両、バス車両につきましてはハイブリッド車両への代替を進めるとともに、石油元売先等との情報交換による石油価格の相場動向にもとづく予測を入手するなどの対応を行っております。

 

⑦人材の育成・確保について

当社グループは、運輸業を中心として労働集約型の事業が多く、労働力として質の高い人材の確保が重要となり、人材の確保が難しい場合にはグループ各事業の運営に影響を及ぼす可能性があります。そのため、従業員の健康管理を徹底しているほか、多様な働き方へ対応できるように、短時間正社員制度の導入、企業内保育園の運営などを通じて優秀な人材を確保、育成し、働きやすい職場環境の整備に努めております。

 

⑧情報システムについて

当社グループの各事業は、コンピュータシステムや通信ネットワークといった情報システムに大きく依存しており、コンピュータウイルス等の第三者による妨害行為や自然災害等により重大な障害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、各種セキュリティシステムの導入、堅牢なデータセンターへのバックアップ等の対策を講じております。

また、ICTの進展やデジタル化等への適切な対応が進まないことにより新たな商品・サービスが提供できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。今後、ICTを複合的に活用した運行管理の高度化を着実に進める等、業務の効率化や生産性の向上を図ってまいります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 (1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、訪日旅行者数の増加によるインバウンド需要の拡大や、賃金上昇に伴う雇用・所得環境の改善等により内需の回復が進むとともに、企業収益も円安基調を背景に輸出関連企業を中心として好調が続いていること等により、景気は緩やかな回復基調を維持しております。一方、海外経済は、中東・東欧地域の不安定な国際情勢、中国経済の低迷、アメリカの新政権による政策、エネルギー資源や原材料価格の高騰等の影響から、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループにおきましては、2023年5月のG7広島サミットの開催や2024年12月に日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことにより、来広するインバウンド客や国内旅行客が増加していることに加え、まちづくりへの参画や「安全・安心」な交通サービスの維持・向上のため運行管理の高度化・効率化に取り組んだ結果、運輸業、流通業における収益は堅調に推移し、また、建設業においては、広島駅前大橋ルート整備事業の進捗や、民間から受注した建築工事の完了により、増収となりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して10.6%、3,242百万円増加し、33,709百万円となりました。営業損益につきましては、人件費や修繕費などの増加により、前連結会計年度の営業損失1,088百万円に対し、1,419百万円の営業損失となりました。経常損益は、前連結会計年度の経常損失970百万円に対し、1,243百万円の経常損失となりました。特別損益につきましては、運輸業に係る「運行補助金」が減少したものの、前連結会計年度に計上した「減損損失」や「投資有価証券評価損」が減少したほか、確定拠出年金制度移行に伴う「退職給付制度改定益」を計上しました。さらに法人税等調整額が減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して110.2%、723百万円増加して1,379百万円となりました。

 

 各セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(運輸業)

鉄軌道事業におきましては、2024年3月のダイヤ改正により、お客様の利用実態に応じて、連接車両の運行本数を増やすとともに、一部の区間で全ての連接車両のワンマン運行を行い、運行の効率化に取り組みました。自動車事業では、広島空港リムジン線で利用者が堅調に推移しているため、今年度数回にわたり増便を伴うダイヤ改正を実施しました。鉄軌道事業、自動車事業ともに、新サッカースタジアムでのJリーグ公式戦、通常日程で開催された「ひろしまフラワーフェスティバル」など、広島市内での大型のイベントが増えるなど移動需要が活発化しており、また2025年2月1日に電車・バスの運賃改定を行ったことから、増収となりました。

海上運送業および索道業におきましては、2023年のG7広島サミットでの各国首脳の宮島来訪を契機として、2024年度の宮島来島者数は過去最多となり、特にインバウンド客が円安に伴って大幅に増加し、旅客収入が増加しました。

航空運送代理業におきましては、国内線および国際線について、一部路線を除き、受託する路線はほぼ計画通り運航され、ハノイ線の新規就航や香港線の運航再開、さらには増便により、増収となりました。運輸業では全般的に増収となったものの、費用面では人件費や修繕費の増加によって減益となりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して4.9%、986百万円増加して21,008百万円となり、営業損益は前連結会計年度の営業損失2,410百万円に対し3,110百万円の営業損失となりました。なお、運行補助金を含めた損益は、前連結会計年度の328百万円の利益に対し、918百万円の損失となりました。

 

提出会社の運輸成績表

(鉄軌道事業)

種別

単位

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

対前期増減率(%)

営業日数

365

△0.27

営業キロ

キロ

35.1

客車走行キロ

千キロ

7,804

△4.85

輸送人員

定期

千人

15,288

0.47

定期外

31,658

△1.60

46,947

△0.94

旅客運輸収入

定期

百万円

1,288

0.74

定期外

4,730

0.81

6,018

0.79

運輸雑収

974

28.04

運輸収入合計

6,993

3.87

1日平均収入

19

4.16

乗車効率

36.5

△3.18

 

(注) 乗車効率の算出方法

乗車効率=延人キロ/延定員走行キロ×100

 

 

(自動車事業)

種別

単位

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

対前期増減率(%)

営業日数

365

△0.27

営業キロ

キロ

1,178.9

△7.02

客車走行キロ

千キロ

22,612

△1.79

乗合旅客人員

定期

千人

8,419

7.69

定期外

26,159

1.25

34,579

2.75

乗合旅客
運送収入

定期

百万円

2,057

6.51

定期外

6,970

3.47

9,028

4.14

貸切旅客運送収入

55

△5.59

旅客運送雑収

477

23.45

運送収入合計

9,561

4.90

1日平均収入

26

5.19

乗車効率

17.9

5.29

 

(注) 乗車効率の算出方法

乗車効率=延人キロ/延定員走行キロ×100

 

業種別営業成績

業種別

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

鉄軌道事業

6,993

3.87

自動車事業

12,015

5.19

その他

3,246

5.06

消去

△1,246

21,008

4.93

 

 

(流通業)

流通業におきましては、山陽自動車道の宮島サービスエリアにおいて、秋の行楽期に実施された本線進入路舗装工事に伴う縮小営業、冬期の大雪による通行止め等の影響がありましたが、年間を通じて高速道路の交通量とともに来店者も多く、増収となったものの、原材料費の値上げや人件費の増加により、減益となりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して5.0%、56百万円増加して1,191百万円となり、営業損益は前連結会計年度と比較して、75.4%、14百万円減少し、4百万円となりました。

 

  業種別営業成績

業種別

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

物品販売業

1,191

5.02

消去

1,191

5.02

 

 

(不動産業)

不動産業におきましては、不動産賃貸業では、2024年12月にオープンした広島市佐伯区の「イオンタウン楽々園」の土地の賃貸収入を通年で計上したことなどにより、増収となりました。不動産販売業では、広島市西区の分譲マンション「アンヴェール己斐本町」の物件の引渡しなどにより、増収となりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して12.8%、604百万円増加して5,337百万円となり、営業利益は前連結会計年度と比較して、31.2%、376百万円増加し、1,584百万円となりました。
 

 

業種別営業成績

業種別

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

不動産販売業

2,306

26.63

不動産賃貸業

3,033

4.08

消去

△2

5,337

12.76

 

 

(建設業)

建設業におきましては、広島駅前大橋ルート整備事業の進捗や、民間の建築工事の受注が堅調だったことにより、増収となりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して53.2%、2,567百万円増加して7,389百万円となり、営業利益は前連結会計年度と比較して、80.2%、109百万円増加し、245百万円となりました。
 

業種別営業成績

業種別

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

土木・建築業

7,389

53.24

消去

7,389

53.24

 

 

(レジャー・サービス業)

レジャー・サービス業におきましては、ボウリング業では、来場者数は減ったものの、2024年12月にプレー料金を改定し、増収となりました。ゴルフ業では、「グリーンバーズゴルフ倶楽部」では、コース整備を継続しつつ、2024年4月にプレー料金を改定し、プレミアム法人会員に無記名式を新設するなど各種施策を実施したことにより、増収となったものの、2024年4月にオープンしたインドアゴルフ練習場の初期導入費用の影響により、減益となりました。

この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して1.3%、10百万円増加して、865百万円となり、営業損益は前連結会計年度の営業損失38百万円に対し、73百万円の営業損失となりました。

 

業種別営業成績

業種別

当連結会計年度
(2024.4.1~2025.3.31)

営業収益(百万円)

対前期増減率(%)

ゴルフ業

320

10.41

その他

545

△3.45

消去

△0

865

1.25

 

 

 

② 生産、受注及び販売の実績

 当社グループが扱うサービス・商品は多種、多様にわたり、その内容が一様でないため、生産能力の画一的表示が困難であり、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
 そのため生産、受注及び販売の状況については、「(1)① 経営成績の状況」における各セグメントごとに業績に関連付けて示しております。

 

③財政状態の状況

当連結会計年度末の財政状態は、総資産は保有する上場株式の時価評価により「投資有価証券」が728百万円増加したほか、新たに導入された乗車券サービス「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」や広島駅南口広場の再整備の進捗を反映して「有形固定資産」が3,866百万円増加しました。その結果、前連結会計年度末と比較して5,683百万円の増加となりました。負債は、借入金・社債を含めた有利子負債が1,060百万円増加したほか、広島駅南口広場の設備投資代金に関連する「未払金」の増加などにより、前連結会計年度末と比較して4,527百万円の増加となりました。純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより前連結会計年度末と比較して1,156百万円増加しました。一方で、自己資本比率は、1.2ポイント減少の40.1%となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、営業損失が増加したことや、売上債権の増加などにより、前連結会計年度の5,530百万円の資金収入に対し、5,077百万円の資金収入となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、当連結会計年度は、新たに導入された乗車券サービス「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」や広島駅南口広場の再整備の進捗により「有形固定資産」への設備投資支出が増加し、前連結会計年度3,649百万円の資金支出に対し、5,568百万円の資金支出となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、有利子負債を圧縮した前連結会計年度では2,363百万円の資金支出となりましたが、大型設備投資の増加の影響などにより有利子負債が増加し、604百万円の資金収入となりました。

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末と比較して113百万円増加し4,019百万円となりました。

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
   なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

 当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載しております。

 

(経営成績の分析)

 当連結会計年度の経営状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

 

(キャッシュ・フローの分析)

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループが運輸業を中心とする公共性の高い業種であることに鑑みて、安全性の確保を最優先としながら、経営基盤の充実と収益の確保を行っていく方針を数値目標として表現するために、2025年度の展望を見据えた連結経営数値目標として「営業収益」、「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「有利子負債/EBITDA倍率」を設定しております。

 

KPI

2019年度

実績

2024年

実績

2025年度

計画

営業収益

329億円

337億円

335億円

営業利益

3

△14

10

親会社株主に帰属する当期純利益

6

13

6

有利子負債/EBITDA倍率

計画・目標

―倍

8.6倍

7.0倍

実績

4.5

7.5

 

※1 有利子負債:借入金と社債の合計額

※2 EBITDA:営業利益に減価償却費と自動車事業に係る運行補助金を加えて算出

 

2024年度の実績につきましては、2023年5月のG7広島サミット開催等に伴う国内外からの多くの観光客の来広によって収益が堅調に推移し、有利子負債/EBITDA倍率につきましては2022年5月に公表した目標値の水準で推移しております。

 

主力である運輸業においては、2025年夏の供用開始を予定する広島駅前大橋ルート整備工事や、PASPYシステムに代わる新乗車券システム「MOBIRY DAYS」の導入によって、便利で使いやすい新たな公共交通への進化に向け取り組んでまいります。また、ICTを活用した運行管理の高度化などによる生産性向上を進めることで、事業構造の強化を図ってまいります。また、不動産業をはじめとした運輸業以外への投資を強化して新たな事業機会への挑戦に取り組み、企業としての持続的な成長の実現を目指してまいります。

経営指標につきましては、2025年度には新型コロナウイルス感染拡大前の 2019 年度実績に近いレベルまで各種数値を改善することを目指し、当社グループの持続的な成長に向けた様々な取り組みを実施することによって、グループ全体の収益性を高めてまいります。また、有利子負債/EBITDA倍率の改善に向けて、2023年度にグループ内 CMS(キャッシュ・マネジメント・システム) に「ターゲットバランス」を導入し、グループの資金管理、資金効率の向上に向けた取り組みを引き続き行ってまいります。

 

②重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5章 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主要な資金需要は、運輸業を中心とする車両や各種施設に対する設備投資、改修及び安定した人材確保のための労務費、また、沿線地域の活性化を目的とした収益不動産物件への投資であります。手許の運転資金については、2015年度より当社及び連結子会社においてCMSを導入し、各社における余剰資金を当社へ集中させ、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えております。

 

5 【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。