当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは発生しておりません。また、当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2020年9月に発表したポストコロナ社会に向けた対応方針である「変革のスピードアップ」のもと、「安全」を引き続き経営のトッププライオリティと位置づけ、「収益力向上」、「経営体質の抜本的強化」、「成長の基盤となる戦略の推進」および「ESG経営の実践」に取り組み、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速しました。
当中間連結会計期間の営業収益は、すべてのセグメントが増収となったことにより、前年同期比7.3%増の1兆3,951億円となりました。また、これに伴って営業利益は前年同期比22.8%増の2,356億円、経常利益は前年同期比23.6%増の2,045億円、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比19.4%増の1,397億円となりました。
また、当中間連結会計期間末の資産残高は、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ517億円増の9兆8,232億円、負債残高は未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ404億円減の6兆9,918億円、純資産残高は利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ921億円増の2兆8,313億円となりました。
[セグメント別の状況]
従来、セグメント別の状況の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替額を含めた金額を用いておりましたが、当中間連結会計期間より外部顧客への売上高の金額に変更しております。なお、営業利益への影響はありません。
① 運輸事業
鉄道運輸収入が増加したことなどにより、当中間連結会計期間の売上高は前年同期比5.6%増の9,525億円となり、営業利益は前年同期比25.0%増の1,423億円となりました。
② 流通・サービス事業
エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、当中間連結会計期間の売上高は前年同期比7.3%増の1,900億円となり、営業利益は前年同期比19.6%増の277億円となりました。
③ 不動産・ホテル事業
不動産販売やショッピングセンター・ホテルの売上が増加したことなどにより、当中間連結会計期間の売上高は前年同期比15.0%増の2,071億円となり、営業利益は前年同期比28.8%増の576億円となりました。
④ その他
海外鉄道事業関連の売上が増加したことなどにより、当中間連結会計期間の売上高は前年同期比12.3%増の454億円となりましたが、エネルギー事業関連の費用計上などにより、営業利益は前年同期比23.0%減の70億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としています。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
| 区分 | 単位 | 前中間会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) | 当中間会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) | |||
| 営業日数 | 日 | 183 | 183 | |||
| 営業キロ | 新幹線 | キロ | 1,194.2 | 1,194.2 | ||
| 在来線 | 〃 | 6,108.0 | 6,108.0 | |||
| 計 | 〃 | 7,302.2 | 7,302.2 | |||
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 1,687,828 | 1,732,952 | ||
| 定期外 | 〃 | 1,165,299 | 1,219,953 | |||
| 計 | 〃 | 2,853,127 | 2,952,906 | |||
| 輸 送 人 キ ロ | 新幹線 | 定期 | 千人キロ | 840,138 | 883,718 | |
| 定期外 | 〃 | 9,460,312 | 10,133,340 | |||
| 計 | 〃 | 10,300,450 | 11,017,058 | |||
| 在来線 | 関東圏 | 定期 | 〃 | 29,093,735 | 29,898,867 | |
| 定期外 | 〃 | 17,671,500 | 18,628,601 | |||
| 計 | 〃 | 46,765,235 | 48,527,468 | |||
| その他 | 定期 | 〃 | 1,431,703 | 1,438,195 | ||
| 定期外 | 〃 | 1,164,507 | 1,282,411 | |||
| 計 | 〃 | 2,596,211 | 2,720,606 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 30,525,439 | 31,337,062 | ||
| 定期外 | 〃 | 18,836,007 | 19,911,012 | |||
| 計 | 〃 | 49,361,446 | 51,248,075 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 31,365,577 | 32,220,780 | ||
| 定期外 | 〃 | 28,296,320 | 30,044,353 | |||
| 計 | 〃 | 59,661,897 | 62,265,134 | |||
(注) 「関東圏」とは、当社首都圏本部、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
② 収入実績
| 区分 | 単位 | 前中間会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) | 当中間会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) | |||
| 旅 客 運 輸 収 入 | 新幹線 | 定期 | 百万円 | 11,362 | 11,910 | |
| 定期外 | 〃 | 252,106 | 274,356 | |||
| 計 | 〃 | 263,469 | 286,266 | |||
| 在来線 | 関東圏 | 定期 | 〃 | 190,528 | 196,973 | |
| 定期外 | 〃 | 343,752 | 362,657 | |||
| 計 | 〃 | 534,281 | 559,630 | |||
| その他 | 定期 | 〃 | 8,470 | 8,548 | ||
| 定期外 | 〃 | 22,450 | 24,362 | |||
| 計 | 〃 | 30,920 | 32,911 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 198,998 | 205,521 | ||
| 定期外 | 〃 | 366,203 | 387,020 | |||
| 計 | 〃 | 565,202 | 592,542 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 210,361 | 217,432 | ||
| 定期外 | 〃 | 618,310 | 661,376 | |||
| 計 | 〃 | 828,671 | 878,809 | |||
| 荷物収入 | 〃 | 1 | 0 | |||
| 合計 | 〃 | 828,673 | 878,809 | |||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 2,596 | 2,750 | |||
| 運輸雑収 | 〃 | 68,539 | 72,866 | |||
| 収入合計 | 〃 | 899,809 | 954,426 | |||
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前中間純利益が増加したことなどにより、流入額は前年同期に比べ449億円増の2,994億円となりました。
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前年同期に比べ667億円増の3,251億円となりました。
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローについては、流入額は前年同期に比べ767億円減の1,137億円となりました。
なお、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ882億円増の3,690億円となりました。
また、当中間連結会計期間末のネット有利子負債残高は4兆6,563億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の中間連結会計期間末残高を差し引いた数値であります。
(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等について、重要な変更はありません。
ポストコロナの経済が本格始動し、社会の価値観や人々のライフスタイルが大きく変容しました。また、当社グループは鉄道のシステムチェンジや社員の急速な世代交代など、様々な変革課題に直面しています。
このような状況を踏まえ、当社グループは「ヒト起点」の発想で輸送サービス、生活サービス、IT・Suicaサービスの融合と連携による新たな価値創造に取り組み、鉄道を中心としたモビリティと、お客さまと地域の皆さまとの幅広い接点を持つ生活ソリューションの二軸で経営を支えます。成長余力の大きい事業に経営資源を積極的に振り向けてビジネスポートフォリオを変革し、いかなる経営環境の変化にあっても、サステナブルに成長を続けることができる強靭な経営体質を構築してまいります。
なお、連結業績見通しについては、当中間連結会計期間の決算等を踏まえ検討した結果、2024年4月30日発表の通期の予想から変更いたしません。
<当社および当社の連結子会社における輪軸組立時の不適切な取扱いについて>
当社および当社の連結子会社である㈱総合車両製作所(以下「子会社」という。)において、輪軸組立時に、圧入力値が規定値の範囲外であったにもかかわらず、規定の範囲に収まるようにデータの書換え等、不適切な取扱いがあったことが判明しました。当社および子会社はそれぞれ国土交通省の特別保安監査を受け、その結果、2024年10月30日にそれぞれ行政指導を受けました。
当社においては、2008年から不適切な取扱いを行っていましたが、2017年の事象発覚後速やかに作業記録の書換えを行えないように業務プロセスの見直し等を行いました。今回改めて、再発防止に関わる安全管理体制の点検や、不適切な事案が生じた際の速やかな報告を行う仕組みの構築について指示を受けたものです。また、子会社においては、現在に至るまで不適切な取扱いがあったことも含め、規程類の整備や適切な教育の実施、作業記録の書換え防止等の指示を受けたものです。
お客さま、株主さま等、ステークホルダーの皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。当社として子会社への指導を徹底していくとともに、本件を、コンプライアンスはもとより当社グループがお客さまに提供するサービス全体の品質管理の問題として捉え、グループ全体に対する厳しい教訓として、今後の業務にしっかり生かしていくことで、ステークホルダーの皆さまからの信頼やご期待に応えてまいります。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費総額は、72億円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動について、重要な変更はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当中間連結会計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
① 新設
当中間連結会計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
| 件名 | 総工事費(百万円) | 完了年月 | 
| 運輸事業 | 
 | 
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| 車両新造 | 36,769 | 2024年9月 | 
② 新たな設備の計画
当中間連結会計期間において、運輸事業について、以下の件名に着手しております。
| 件名 | 総工事費(百万円) | 完了年月 | 
| 運輸事業 | 
 | 
 | 
| 東京駅南通路周辺整備 | 59,057 | 2031年度冬 | 
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは2,994億円の流入、投資活動によるキャッシュ・フローは3,251億円の流出、財務活動によるキャッシュ・フローは1,137億円の流入となり、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は3,690億円となりました。
当中間連結会計期間末のネット有利子負債残高は4兆6,563億円となりました。なお、当中間連結会計期間末の有利子負債残高は、5兆254億円であります。
当社は、当中間連結会計期間に国内において償還期限を2034年および2044年とする2本の無担保普通社債を総額240億円発行いたしました。また、海外において償還期限を2036年および2054年とする2本の無担保普通社債を総額7億ユーロ(1,127億円)および総額6億ポンド(1,146億円)発行いたしました。
短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,600億円の当座借越枠を設定しておりますが、当中間連結会計期間末における当座借越残高はありません。さらに、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を総額600億円設定しております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の締結および変更はありません。