【注記事項】
(重要な会計方針)
1 有価証券の評価基準及び評価方法

(1) 子会社株式及び関連会社株式

総平均法による原価法によっています。

(2) その他有価証券

① 市場価格のない株式等以外のもの

決算日の市場価格等による時価法によっています。

(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は総平均法により算定しています)

② 市場価格のない株式等

総平均法による原価法によっています。

③ 組合出資金等(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第2項による有価証券とみなされるもの)

組合契約に規定される決算報告日に応じて入手可能な最近の決算書を基礎とし、持分相当額を純額で取り込む方法によっています。

 

2 棚卸資産の評価基準及び評価方法

貯蔵品

移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)によっています。

 

3 固定資産の減価償却の方法

(1) 有形固定資産(リース資産を除く)

定額法によっています。

ただし、取替資産については取替法によっています。

なお、主な耐用年数は以下のとおりです。

建物

12年~50年

構築物

12年~75年

車両

13年

機械装置

5年~17年

 

(2) 無形固定資産(リース資産を除く)

定額法によっています。

なお、主な耐用年数は以下のとおりです。

施設利用権

5年~42年

ソフトウェア(自社利用)

  5年

 

(3) リース資産

所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産

リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法によっています。

 

4 繰延資産の処理方法

社債発行費

支出時に全額費用処理しています。

 

 

5 引当金の計上基準

(1) 貸倒引当金

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。

(2) 賞与引当金

従業員に支給する賞与に充てるため、支給見込額に基づき計上しています。

(3) 役員賞与引当金

役員(執行役員含む)に対して支給する賞与の支出に充てるため、支給見込額に基づき当事業年度に見合う分を計上しています。

(4) 退職給付引当金

従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しています。

① 退職給付見込額の期間帰属方法

退職給付債務の算定に当たり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっています。

② 数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法

数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(15年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌事業年度から費用処理しています。

過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(15年)による定額法により費用処理しています。

(5) 役員退職慰労引当金

役員の退職慰労金の支出に備えるため、事業年度末要支給額を計上しています。なお、役員退職慰労金制度を2023年6月27日開催の第19期定時株主総会終結の時をもって廃止し、それ以降追加の引当はありません。

(6) 環境安全対策引当金

保管するポリ塩化ビフェニル(PCB)の処理費用の支出に備えるため、今後発生すると見込まれる金額を計上しています。

(7) 撤去損失引当金

契約に基づき将来発生が見込まれる固定資産等に関する当社が負担すべき撤去費用に備えるため、当事業年度末における撤去費用見込額を計上しています。

 

6 重要な収益及び費用の計上基準

 当社は顧客との契約について、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転し履行義務を充足した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しています。

(1) 定期運輸収入

 運送約款等に基づき、定期乗車券の有効期間にわたり同一の区間及び経路について列車による運送サービスを提供することを履行義務としており、有効期間の開始日の属する月から有効期間の経過に応じて収益を認識しています。取引の対価は、履行義務の充足前の一定時点に前もって受領しています。

(2) 定期外運輸収入

 運送約款等に基づき、列車による運送サービスを提供することを履行義務としており、当該履行義務は顧客への乗車券類等の発売日とサービス提供日は概ね一致していることから、顧客に発売した時点で収益を認識しています。取引の対価は通常、履行義務の充足前の一定時点に前もって受領しています。

 

7 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

(1) 退職給付に係る会計処理

退職給付に係る未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の会計処理の方法は、連結財務諸表におけるこれらの会計処理の方法と異なっています。

 

(2) 工事負担金等の処理

地方公共団体等による工事負担金等(補助金、鉄道施設受贈財産評価額を含む)は、工事完成時に当該工事負担金等相当額を取得した固定資産の取得原価から直接減額して計上しています。

なお、損益計算書においては、工事負担金等相当額を特別利益に計上するとともに、固定資産の取得原価から直接減額した額を固定資産圧縮損として特別損失に計上しています。

 

(重要な会計上の見積り)

当社は、財務諸表の作成にあたって様々な会計上の見積りを行っています。

主な収益である旅客運輸収入についての見積りを基礎として、運輸業をはじめ、各セグメントの将来にわたる経営状況を予測するほか、2025年度以降の様々な制度や事象を考慮し、2025年度以降の旅客運輸収入をはじめとした将来収支を見積もっております。

この見積りをもとに策定した合理的な計画(※)に基づき、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性を見積っております。

なお、 現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、見積りには不確実性を伴い、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

1 固定資産の減損

  (1) 財務諸表に計上した金額

 

 

(百万円)

 

前事業年度

当事業年度

減損損失

393

1,230

有形固定資産及び無形固定資産の合計額

1,600,686

1,625,435

 

 

  (2) 会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

① 金額の算出方法

当社では、減損の認識の判定及び回収可能額の算定に際し、合理的な計画に基づきそれらを見積もっています。

なお、資産のグルーピングについては、独立したキャッシュ・フローを生み出す単位を構成する物件を1つのグルーピングとしています。ただし、鉄道事業における固定資産についてはネットワーク性に鑑み、単一のグルーピングとして整理しています。

また、減損損失の測定にあたって割引率を用いる際、加重平均資本コストを採用することとしています。

② 主要な仮定

上述の計画(※)を主な仮定としています。

③ 翌事業年度の財務諸表に与える影響等

現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っていますが、将来の不確実な状況変化等によって影響を受ける可能性があり、見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、減損損失の発生に重要な影響を与える可能性があります。上述の計画を主な仮定としています。

 

2 繰延税金資産の回収可能性

(1) 財務諸表に計上した金額

 

 

(百万円)

 

前事業年度

当事業年度

繰延税金資産

40,153

29,996

 

 

(2) 会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

① 金額の算出方法

当社では、合理的な計画に基づき、将来の課税所得の発生時期や主要な一時差異等の項目にかかる解消年度のスケジューリングを行い、企業分類を判定し、回収可能と見込まれる金額について繰延税金資産を計上しています。

② 主要な仮定

上述の計画(※)を主な仮定としています。

③ 翌事業年度の財務諸表に与える影響等

現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っていますが、将来の不確実な状況変化等によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合には、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(表示方法の変更)

(貸借対照表関係)

前事業年度において、独立掲記していました「投資その他の資産」の「従業員に対する貸付金」は金額的重要性が乏しくなったため、当事業年度より「投資その他の資産」の「長期貸付金」に含めて表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表を組替を行っています。

この結果、前事業年度の貸借対照表において、「投資その他の資産」に表示していた「従業員に対する貸付金」2百万円、「長期貸付金」116百万円は、「長期貸付金」119百万円として組替えています。

 

(損益計算書関係)

前事業年度において、「特別利益」の「その他」に含めていた「固定資産売却益」は金額的重要性が増したため、当事業年度から独立掲記しています。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表を組替を行っています。

この結果、前事業年度の損益計算書において、「特別利益」に表示していた「その他」145百万円は、「固定資産売却益」23百万円、「その他」122百万円として組替えています。

 

(追加情報)

<労働基準監督署からの是正勧告>

当社は、2024年8月2日付で、足立労働基準監督署から、一部の職場について労働基準法に規定する労働時間及び割増賃金の支払に関する是正勧告を受けました。今回の是正勧告を受け、当該職場と類似の勤務態様を採用している職場も含め勤務の見直しを行うとともに、対象となる従業員に対して清算金を支払いました。

当該事項に伴い「勤務に係る支払清算金」として、64億1千3百万円を特別損失に計上しています

 

 

(貸借対照表関係)

※1 新線建設推進長期借入金及び新線建設推進資金信託

 有楽町線、南北線延伸事業等のため、鉄道・運輸機構より資金を借り入れ、分別管理を目的として信託を設定しています。

 

※2 固定資産の取得価額から控除した国庫補助金等などの圧縮記帳累計額及び内訳は、以下のとおりです。

 

前事業年度
(2024年3月31日)

当事業年度
(2025年3月31日)

地方公共団体等による工事負担金等(補助金、鉄道施設受贈財産評価額を含む)に伴う圧縮記帳累計額

468,206

百万円

470,429

百万円

収用等に伴う圧縮記帳累計額

16,694

百万円

15,985

百万円

484,901

百万円

486,415

百万円

 

 

※3 担保に供している資産及び担保付債務

    前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日

 東京地下鉄株式会社法第3条及び附則第14条第1項の規定により、当社の総財産を社債587,000百万円の一般担保に供しています。         

 

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日

 東京地下鉄株式会社法第3条及び附則第14条第1項の規定により、当社の総財産を社債577,000百万円の一般担保に供しています。         

 

(損益計算書関係)

※1 営業外収益のうち関係会社に係る取引は、次のとおりです。

 

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

受取配当金

3,238

百万円

2,148

百万円

その他

346

百万円

407

百万円

3,584

百万円

2,555

百万円

 

 

※2 固定資産売却益の内訳は、次のとおりです。

 

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

プライベートリート法人への売却

 

6,678

百万円

竹ノ塚用地等の売却

 

562

百万円

福利厚生施設の売却

23

百万円

 

23

百万円

7,240

百万円

 

 

※3 補助金の内訳は、次のとおりです。

 

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

輸送改善

百万円

560

百万円

浸水対策

101

百万円

191

百万円

バリアフリー施設整備

59

百万円

 

その他

 

11

百万円

160

百万円

763

百万円

 

 

 

※4 鉄道施設受贈財産評価額の内訳は、次のとおりです。

 

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

茅場町駅連絡通路

446

百万円

497

百万円

御茶ノ水駅出入口整備

 

162

百万円

溜池山王駅出入口整備

 

126

百万円

六本木一丁目駅出入口整備

5,027

百万円

61

百万円

副都心線渋谷駅整備

419

百万円

5

百万円

虎ノ門ヒルズ駅整備

3,652

百万円

 

神谷町駅整備

2,222

百万円

 

その他

398

百万円

60

百万円

12,165

百万円

913

百万円

 

 

※5 工事負担金等受入額の内訳は、次のとおりです。

 

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

車両改造工事

346

百万円

762

百万円

渋谷駅移設工事

154

百万円

360

百万円

その他

101

百万円

 

602

百万円

1,122

百万円

 

 

※6 固定資産圧縮損は、法人税法第42条ほかの規定に基づく国庫補助金等などによる圧縮額です。

 

(有価証券関係)

(子会社株式及び関連会社株式)

子会社株式及び関連会社株式は、市場価格のない株式等のため、子会社株式及び関連会社株式の時価を記載しておりません。

なお、市場価格のない株式等の子会社株式及び関連会社株式の貸借対照表計上の額は次のとおりです。

(単位:百万円)

区分

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

子会社株式

 

5,291

5,711

関連会社株式

 

503

1,875

 

 

 

(税効果会計関係)

1 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳は、次のとおりです。

 

前事業年度
(2024年3月31日)

当事業年度
(2025年3月31日)

(繰延税金資産)

 

 

 

 

 税務上の繰越欠損金

14,183

百万円

4,113

百万円

 退職給付引当金

20,359

百万円

21,340

百万円

 未収連絡運賃

210

百万円

184

百万円

 賞与引当金

3,130

百万円

3,458

百万円

 期渡撤去工事

1,629

百万円

1,048

百万円

 関係会社株式
 (事業再編に伴う税効果額)

882

百万円

908

百万円

 投資有価証券等評価損

2,684

百万円

2,767

百万円

 環境安全対策引当金

27

百万円

百万円

  未払社会保険料

百万円

616

百万円

 資産除去債務

748

百万円

905

百万円

 減損損失

813

百万円

1,164

百万円

 撤去損失引当金

1,026

百万円

1,070

百万円

 未払事業税等

779

百万円

598

百万円

 その他

3,249

百万円

2,838

百万円

繰延税金資産小計

49,724

百万円

41,016

百万円

 評価性引当額

△4,790

百万円

△4,989

百万円

繰延税金資産合計

44,933

百万円

36,027

百万円

 

 

 

 

 

(繰延税金負債)

 

 

 

 

 前払年金費用

4,747

百万円

5,994

百万円

 その他

33

百万円

36

百万円

繰延税金負債合計

4,780

百万円

6,031

百万円

繰延税金資産の純額

40,153

百万円

29,996

百万円

 

 

2 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳

 

 

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

法定実効税率

30.6

30.6

(調整)

 

 

 

 

税額控除

△2.3

受取配当金等永久に益金に算入されない項目

△3.3

△0.9

税率変更による期末繰延税金資産の修正

△0.8

その他

0.2

0.2

税効果会計適用後の法人税等の負担率

27.5

26.8

 

 

3 法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正

「所得税法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第13号)が、2025年3月31日に成立したことに伴い、2026年4月1日以後開始される事業年度において解消が見込まれる一時差異等については、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する法定実効税率を30.6%から31.5%に変更し、計算しています。

なお、この変更による影響は軽微です。

 

 

(収益認識関係)

 収益を理解するための基礎となる情報については、重要な会計方針に係る事項に関する注記の6重要な収益及び費用の計上基準に記載のとおりです。

(1株当たり情報)

 

前事業年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

1株当たり純資産額

1,089円16銭

1,146円45銭

1株当たり当期純利益金額

78円85銭

89円30銭

 

 

 

(重要な後発事象)

<確定拠出年金制度への移行>

当社は、2025年4月1日に確定給付企業年金制度の一部について確定拠出年金制度へ移行したことにより、「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(企業会計基準適用指針第1号2016年12月16日)及び「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第2号2007年2月7日)を適用し、確定拠出年金制度への移行部分について退職給付制度の一部終了の処理を行います。これによる影響額は、翌事業年度において、特別利益として約64億円計上する予定です。

 

<社債の発行>

当社は2025年3月24日に開催した取締役会における決議に基づき、2025年5月23日に第63回及び第64回社債の発行を決定し、2025年5月29日に発行しています。それぞれの概要は以下のとおりです。

 

(東京地下鉄株式会社第63回社債)(グリーンボンド)

発行年月日            2025年5月29日

発行総額                 100億円

発行価格         額面100円につき金100円

利率                   年1.910%

償還期限             2035年5月29日

資金使途                設備資金

担保                  一般担保

 

(東京地下鉄株式会社第64回社債)

発行年月日             2025年5月29日

発行総額                 100億円

発行価格         額面100円につき金100円

利率                   年2.905%

償還期限             2045年5月29日

資金使途             借入金返済資金

担保                  一般担保