第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、公共性の高い乗合バスをはじめとする運輸事業を基幹事業に、不動産事業、商品販売事業、旅行事業、旅館事業、航空代理業、その他事業として、広告代理業等の事業展開をして、「地域社会との絆」を大切に輸送の安全をはじめ、安全・安心な社会の実現を目指すとともに、お客様や株主様から高い評価と信用を得られるように企業価値を高めてゆく所存です。

 

〈企業理念(社是)〉

 和衷協力

 

〈綱領〉

一、親切と安全それが仕事

一、思考、礼節そして実行

一、信頼と協調で繁栄を

一、接客マナー日本一

 

〈令和七年度 経営方針〉

「新たな事業環境への対応・進化」

一、行動変容・需要変化をふまえた、長期的視点による事業見直し

一、安定的な黒字体質の再構築と、新たな収益への挑戦による高収益体質への転換

一、法令遵守並びに危機管理体制の徹底による「安全と信頼」の確立

 

(2)経営指標

 当社グループでは、お客様・従業員の安心安全の確保に最善を尽くした上で、事業基盤の強化を図ってまいります。

 また、当社では2023年度より3年間の中期経営計画を策定しており、コロナ後の既存事業の見直しによる安定的な黒字体質の再構築と、新たな収益への挑戦による誇りと活力のある企業風土の実現に努めてまいります。

 

(3)経営環境

 今後のわが国経済の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善が期待されるものの、米国の通商政策に対する懸念や、資源・エネルギー価格の高止まり、物価上昇の継続等、先行きには不透明感が続いております。また、当社の基幹事業である運輸事業においては、運転士不足や燃油費の高騰といった課題が続いており、依然として予断を許さない状況となっております。

 こうした事業環境の中、当社グループでは「第7次中期経営計画」の最終年となる2025年度につきましても、経営方針を引き続き「新たな事業環境への対応・進化」としました。

 今後もグループ全体で目標を達成すべく、積極的に営業活動を展開し、事業環境の変化に適応できる事業基盤の強化に努めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 基幹事業である運輸事業では、安心してお客様からご利用いただけるよう、引き続き安全運行を最優先とする取組を継続してまいります。

 一般乗合バス部門においては、運転士確保を最重要課題と位置付け、運転体験会の実施や依願退職者の再入社を促進する「バス運転士カムバック制度」のPR告知のほか、多様な広告媒体の活用等、採用活動の強化を図ることで、安定的な人材確保に努めてまいります。

 日々の運行データを活用し、お客様の利用状況と運転士の充足状況に合わせた効率的なダイヤの編成に努めながら、路線、運賃体系および利便性向上サービス等の見直しを図ることに加え、新たな需要の掘り起こしを行い、収支改善に努めてまいります。また、次世代モビリティサービスについても関係各所と連携しながら検討を重ね、お客様の行動変容に応じた交通サービスの実現に取組んでまいります。

 さらに、利用促進を図るため、地域との連携を強化し、バス利用に結び付く取組や情報発信に努めてまいります。加えて、安全輸送の取組として、車両の更新を進めるとともに、運輸安全マネジメントの展開により安全性の向上に努め、従業員への安全教育の強化を図ってまいります。

 高速バス部門は、共同運行会社との連携を図りながら、変動する需要に対応できる柔軟な運行体制の構築やニーズに応じた運賃施策や販促活動等により、収益拡大に努めてまいります。

 貸切バス部門は、運転士確保に注力しながら、車両の効率的な運用に努めることに加えて、旅行事業との連携を強化し、安定した教育旅行関連を中心に受注を図ることで、収益拡大に努めてまいります。また、「貸切バス事業者安全性評価認定制度」の三ツ星認定取得事業者をアピールし、安全・安心・快適な輸送サービスの提供に努めてまいります。

 不動産事業では、リーシングによる空床区画の整備を進めていくほか、集客を高める販売促進やイベントの企画実行に加えて、新潟市による都心エリア活性化施策「にいがた2Km」との連携による官民イベント等の各施策を実施することで、いつ訪れても楽しめる時間を提供し、お客様から選ばれるエリアとして、万代シテイの更なる価値向上と事業の安定化に努めてまいります。

 また、2026年に迎えるビルボードプレイス開業30周年に向けてお客様のニーズに沿ったテナントリーシングを進めていくことで、進化し続ける街づくりを目指し、施設の活性化に繋げてまいります。

 

 商品販売事業では、主力である観光土産品卸売部門において、新潟県の特産品を活用したオリジナル商品の開発をはじめ、新たなトレンドと市場を見据えた営業展開を進めて新規顧客の獲得を図るとともに、新潟空港、新潟駅、高速サービスエリア等への積極的な営業活動による販路の拡大を図ってまいります。加えて、人気商品である「バスセンターのカレー」レトルトの希少価値を維持しつつも、増産や関連商品の展開を図ることで事業の収益拡大に取組んでまいります。

 

 旅行事業では、多様化するお客様のニーズに応じた最適な旅行提案ができるよう取扱商品の選択と集中を行い、魅力ある旅行商品の造成を図るとともに、教育旅行と募集型企画旅行である「くれよん」を収益の2本柱として取組んでまいります。

 教育旅行においては、私立高校の修学旅行の獲得や、学びを切り口とした修学旅行・職場体験研修パッケージの提案により、販売促進に取組んでまいります。

 「くれよん」においては、日帰りバスツアーや高単価商品の拡充等、市場トレンドに即した柔軟な商品造成等に取組むことで、顧客の獲得を図り、事業の収益拡大に努めてまいります。

 

 旅館事業では、品質・サービスの向上とお客様のニーズに合った各種宿泊プラン、宴会プランを提供してまいります。「万代シルバーホテル」においては、2025年6月に開館50周年を迎えるにあたり記念企画を実施するほか、組織力、万代地区の利便性の高さを生かした営業展開を進めてまいります。「国際佐渡観光ホテル八幡館」においては、2024年7月の「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録による好機を活かし、ツアー客やインバウンド客を中心とした宿泊客の獲得を図ることで、事業全体の収益拡大に取組んでまいります。

 

 その他の事業である清掃・設備・環境業、広告代理業、航空代理業につきましても、多様化するお客様のニーズに応じたサービスの提供、事業機会を捉えた営業展開および業務の効率化を図ることで収益の拡大に取組んでまいります。

 

 資源価格高騰による物価上昇の影響や労働力不足等、当社グループを取り巻く事業環境は厳しい状況が続くと予想されます。今後も当社グループの更なる成長に向けて、これまで培った取引先や地域社会との協力関係を基礎とし、環境変化を捉えたさまざまな施策を実行することにより強固な事業基盤の構築に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

〈サステナビリティ基本方針〉

私たちは、「親切と安全それが仕事」の会社綱領のもと、あらゆる活動を通じて、安心・安全なサービスを提供することで、持続可能な社会の形成に貢献します。

そのため、環境や社会問題の解決に向けた取り組みを積極的に推進します。

 

(1)サステナビリティ

サステナビリティを巡る課題について、当社はリスクの減少のみならず、収益機会の創出にもつながる重要な経営課題であると認識し、ESG経営に積極的・能動的に取り組むことで、中長期的な企業価値の向上とサステナビリティ課題の解決の両方を目指します。

 

①ガバナンス

当社では、「あらゆる活動を通じて、安心・安全なサービスを提供することで、持続可能な社会の形成に貢献する。」としたサステナビリティ基本方針のもと、重要項目を中期経営計画に盛り込んだ中で、取り組みを推進しています。

サステナビリティ関連の取り組みについては、取締役会が中期経営計画の一環として監視するとともに、管理を行っています。

特に、当社の基幹事業である運輸事業においては、「運輸安全マネジメント」を導入しており、絶えず輸送の安全確保と向上に取り組んでいます。

 

②戦略

 当社では、持続可能な社会の形成に貢献するため、運輸事業においては行政と連携する等、持続可能なバス事業の構築や環境問題に対応した取り組みを行ってまいります。具体的には、EVバス、FCバスの導入や、燃費向上や安全運転技術の向上を支援する「デジタルタコグラフ」の導入、社内における「ノーマイカーデー」の取組等を行ないます。また、「すべては安全から」とする「安全方針」に基づき、「安全の確保」がすべての業務に優先することを社長以下、全従業員が深く認識するとともに、関係法令を遵守し、旅客運送事業者としての責務を誠実に果たすことで社会に貢献してまいります。

 不動産事業においては、万代シテイ街区整備等を通じて、持続可能なまちづくりに貢献してまいります。

 

③リスク管理

サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについては、当社グループの各部、各社それぞれが検討、評価をし、具体的な取り組みを提案、実施します。提案、実施にあたっては、当社グループ内の稟議決裁を必要とします。

当社の運輸事業においては、「安全監査手順」に基づき、内部監査を実施しており、「運輸安全マネジメント」の取り組み状況の評価を行っております。

 

④指標及び目標

運輸事業における、輸送の安全に関する目標及び当該目標の達成状況は以下の通りです。

 

2024年度 目標

2024年度 実績

2025年度 目標

重大事故

0件

6件

0件

人身事故

0件

9件

0件

有責物損事故(上期)

前年件数10%削減

+8件

前年件数10%削減

有責物損事故(下期)

前年件数10%削減

+3件

前年件数10%削減

また、当社では継続して、脱炭素社会の形成に貢献すべく、社内や当社所有の大型商業施設等における既存照明を順次LED照明に変更することにより、使用電力及びCO2の削減に努めています。

加えて、当社が排出するGHG(温室効果ガス)排出量(※Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用による間接排出)の現状把握に向けた調査を行ない、今後その結果と分析を踏まえ、当社全体のGHG(温室効果ガス)排出量削減に向けた具体的な取り組み、目標を策定してまいります。

 

 

 

 

(2)人的資本

当社グループでは「第7次中期経営計画」において、「活力ある企業風土の実現」を戦略骨子4本柱の1つに掲げ、組織活性化・従業員モチベーションアップへの取組、健康増進による企業力の強化に努めています。

個人の価値観の多様化・生活環境・働き方に対する意識の変化等に伴い、企業を取り巻く労働力市場や事業環境は大きな転換期を迎えている中、当社では「人材は最も大切な財産」との認識のもと、お客様に対して良質なサービスを提供し続け、会社が持続的な成長を遂げていくために、従業員一人一人が前向きな意欲を持った職場を目指し、様々な取り組みを行っております。

また、自社だけでなく地域を支える人材の育成に貢献すべく、グループを挙げて中高生を対象とした「職場訪問プログラム」を実施しています。当社グループが展開する多様な事業を通じて、自身のキャリアやふるさと新潟について学んでもらえる場を提供し、地域を支える人材の育成に貢献していきたいと考えております。

 

①戦略

1.従業員の能力開発を促進する研修制度

当社の人材教育は「自ら学び、自ら考え、自らが源となって行動する」との発想に立ち、個性を重視した能力の開発を基本方針としています。日常業務でのスキルアップのみならず事業全体を見渡す広い視野を養っていけるよう、継続的な階層別フォローアップ研修を実施しています。

 

〇入社時研修(事務総合職)

入社後1週間かけて集合研修を実施しています。当社の総合職社員は、配属先によって必要となる知識やスキルが全く異なるため、入社時研修では業務に直接関わる内容ではなく、社会人としての心構えや基本的ビジネスマナー、当社グループに関する基礎知識などが中心です。

 

〇入社1年目・3年目研修(事務総合職)

入社1年目終了時と入社3年目終了時にフォローアップ研修を実施しています。入社1年目は自分が習得してきた業務を振り返りながら、総合職社員としてのステップアップを意識するプログラム、入社3年目は中堅社員としての役割を意識し、自律的な成長と自身の目指す方向性を明確化するプログラムが中心です。

 

〇管理職研修

価値観の多様化に伴ってマネジメント手法に変化が求められる中、リーダーシップの定義を「組織の使命を考え、目標達成に向けたプラスの言動により、周囲に良い影響を与えること」と定め、組織力向上のためのマネジメントを学ぶプログラムを中心に実施しています。

 

〇リーダー研修

2025年度より、管理職と若年層の中間に位置する係長・主任級に対する研修を実施いたします。会社が期待するマネジメント・リーダー像・職場風土を全ての階層に共通認識してもらう事を主目的とし、基本的には管理職研修の内容を踏襲し、そのために現職階で求められる役割・意識付けを中心としたプログラムを想定しています

 

〇運転士教育

「運転研修センター」を中心に、運転技能に応じた専門的な運転技術教育や接遇教育を行い、事故防止とお客様サービス向上に取り組んでおります。2024年度には新人運転手の研修用に使用する新たなバス車両を導入しました。この車両には、指導員が運転技術を確認するための9台のカメラ映像がモニターに映し出されるなど、より精度の高い安全運転教育が可能となります。また、バス安全運転競技大会を開催し、安全運転技術・接客技術の向上、交通法令等の習得、運転事故防止等、大会を通じて運転士の安全運転と接遇に関する向上意識の醸成につなげています。今後も定期的な技術訓練・危険予知訓練を行い事故防止に努めるとともに、接客についても「お客様視点」を身に着ける教育を継続してまいります。

 

2.働きやすい職場環境

〇働き方改革の推進

従業員一人ひとりがライフワークバランスを大切にしながら活き活きと働けることが、労働生産性の向上にもつながるという考えのもと、個人の価値観やライフスタイルに合わせた職場環境づくりを推進しています。働きやすい職場とは、個人の労務環境の整備における「ソフト面」と、オフィスの「ハード面」の両輪の推進が必要ですが、ソフト面の取り組みとして、育児時短勤務制度の期間延長をしたほか、事由を問わない時短勤務選択制度・自己都合休職制度・副業制度を設けているほか、「家庭と仕事の両立支援ガイド」を作成し全社員に公表するなど、多様な働き方を可能とする取り組みを推進しています。一方、各種業務システムの見直し・更新・DXソリューションの導入による利便性向上によって、ハード面からも働き方改革を支えてまいります。

 

〇健康経営の推進

社員の心身両面での健康増進を目指し、会社全体での健康管理を行うための仕組みづくりを推進しています。身体の健康については、昨年より脳ドック費用補助制度を新設したほか、健康診断の受診推奨及びアフターフォロー、睡眠時無呼吸症候群の検査費用補助等を実施しており、今後も制度充実を検討していきます。

心の健康については、ストレスチェックの実施とともに、ハラスメント防止教育・相談窓口の設置等を通じ、従業員が安心して相談できる仕組みを構築しています。

 

3.その他

〇女性活躍推進

当社においては、女性社員及び女性管理職の割合は低いのが現状です。これは、単独での宿泊勤務があるバス営業所の要員については、安全上の観点から男性社員を配属する運用方針を取っていることが要因ですが、管理職については性別に関係なく、能力がある社員を登用しており、今後もこの方針に変わりありません。

バス運転士についても、大型2種免許の保有率が女性は低いことから、女性運転士の割合は2%弱にとどまっているのが現状ですが、大型2種免許取得補助制度を拡充し、継続的に採用を促進していきたいと考えております。

 

〇専門性の高い人材の創出

当社の事務職については、管理職を目指す「マネジメントコース」とは別に「スペシャリストコース」を設け、特定分野において高い専門性を持つ人材の採用・育成に努めています。

 

②指標及び目標

当社では、中期経営計画の取り組みの中で、「女性活躍社会への貢献」を掲げており、女性活躍推進法に基づき2026年3月31日までに以下の目標の達成を目指しております。

・管理職(課長級以上)に占める女性労働者の割合を10%以上にする。

・男女とも育児休業取得率を50%以上とする。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)有利子負債の金利変動について

 当社グループは、当連結会計年度末日現在の有利子負債残高が26,679,875千円となっております。毎年年間キャッシュ・フローを確実に捻出すべく計画して財務体質強化に努める方針ですが、今後急速かつ大幅な金利変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 この対策として、有利子負債の圧縮を目指す一方で、取引銀行からの一部の借入金契約において金利デリバティブ条件を取り入れる等で可能な限り有利子負債の金利固定化を図り、安定的な資金調達に努めております。

 

(2)燃油費の影響について

 当社グループの運輸事業はバス部門が主体であり、燃料は主に軽油を使用しております。このため、地政学リスクや為替変動リスクなどによる原油価格の動向によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 この対策として、原油価格の市場価格を鑑み、必要に応じて原油デリバティブ取引の導入を検討し、運輸事業を営むグループ各社において燃料価格の安定化に努めております。

 

(3)固定資産の減損等について

 当社グループの資産または資産グループについて、時価の著しい下落等により減損損失を認識する必要があると判定されたものについては、その回収可能価額まで帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。そのため、減損の発生状況によっては、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、固定資産の安定的な維持管理を適宜行うことで資産価値の向上に努めております。

 

(4)資金調達に伴う財務制限条項について

 当社グループの一部の借入金には財務制限条項が定められております。

 これに抵触した場合には、利率の上昇や期限の利益の喪失等、当社の業績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)労働力の不足について

 当社グループは、基幹事業である運輸事業をはじめ労働集約型の事業が多いことから、労働力の不足はバス路線の維持が困難になる等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 この対策として、バス運転士については「大型2種免許取得補助制度」や依願退職者の再入社を促進する「バス運転士カムバック制度」を設ける等、採用活動の強化を行っております。また、働きやすい職場環境を推進するため、多様な働き方を可能とする制度を新設する等、労働力の確保に努めてまいります。

 

(6)運輸事業における重大事故について

 当社グループの運輸事業において、重大な事故が発生した場合、社会的信頼を失うことや、行政処分を受ける等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 この対策として、「運輸安全マネジメント」に基づき、「安全方針」である「すべては安全から」を全社員が認識し、輸送の安全確保に取り組んでおります。また、輸送の安全に関する計画の策定、実行、チェック、改善のPDCAを確実に実施し、輸送の安全に努めてまいります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資に持ち直しの動きがみられ企業収益の改善が進んでいるものの、エネルギー・資源価格の高止まり、国内物価上昇に加えて米国の今後の政策動向、世界情勢の緊迫化等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

こうした事業環境の中、当社グループは全社を挙げて営業活動を積極的に展開し、事業基盤の強化に努めてまいりました。

当連結会計年度の売上高は19,998,620千円(前期比3.0%増)、営業利益は2,016,265千円(前期比19.9%増)、経常利益は1,612,092千円(前期比22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,086,996千円(前期比2.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「航空代理事業」の量的な重要性が増したため、新たに報

告セグメントとして区分しております。

 

 運輸事業において、一般乗合バス部門、高速バス部門、貸切バス部門ともに前期比増収となり、運輸事業の売上高は8,560,395千円(前期比6.5%増)、営業利益529,986千円(前期比327.0%増)となりました。

 不動産事業において、賃貸収入・駐車場収入ともに前期比減収となり、不動産事業の売上高は2,643,183千円(前期比8.0%減)、営業利益897,778千円(前期比16.6%減)となりました。

 商品販売事業において、観光土産品卸売部門において観光需要の回復等により前期比増収となり、商品販売事業の売上高は2,492,722千円(前期比7.6%増)、営業利益129,063千円(前期比2.3%増)となりました。

 旅行事業において、前期比減収となり、旅行事業の売上高は2,619,284千円(前期比3.6%減)、営業利益14,330千円(前期比352.9%増)となりました。

 旅館事業において、佐渡市内の「国際佐渡観光ホテル八幡館」は前期比減収でしたが、新潟市内の「万代シルバーホテル」は前期比増収となり、旅館事業の売上高は1,678,669千円(前期比3.1%増)、営業利益74,804千円(前期比188.0%増)となりました。

 航空代理事業において、運航本数増加による受託手数料の増加により前期比増収となり、売上高785,644千円(前期比21.2%増)、営業利益213,685千円(前期比32.6%増)

 その他事業において、清掃・設備・環境業は前期比増収となり、その他事業全体の売上高は1,218,719千円(前期比1.9%増)、営業利益154,497千円(前期比5.5%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、2,585,877千円と、前連結会計年度に比べて44,626千円減少いたしました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって獲得した資金は2,569,108千円(前期比10.8%減)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益1,593,928千円や減価償却費1,370,034千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出した資金は1,185,665千円(前期比39.5%増)となりました。
これは主として、有形固定資産取得による支出1,007,978千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって支出した資金は1,428,068千円(前期比21.5%減)となりました。
これは主として、長期借入れによる収入6,093,000千円と長期借入金の返済による支出7,071,943千円等によるもの

であります。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

 当社グループは、基幹事業である運輸事業を中心に、受注生産形態をとらないものが多いことから、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の状況については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」におけるセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容に関連付けて示しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループでは全社を挙げて営業活動を行い、事業基盤の強化に努めてまいりました。また、業績面においても積極的な事業活動を行ったことにより、売上の回復が進みました。

その結果、売上高は19,998,620千円(前期比580,822千円増加)となりました。

売上原価・販売費及び一般管理費については、商品販売事業の売上連動による増加等により売上原価が13,548,894千円(前期比88,661千円増加)、人件費の増加等により販売費及び一般管理費が4,433,459千円(同158,210千円増加)となり、営業利益は2,016,265千円(前期比333,949千円増加)となりました。

営業外損益につきましては、営業外収益が76,058千円(前期比12,263千円増加)、支払利息等により営業外費用は480,232千円(同50,006千円増加)となり、経常利益は1,612,092千円(前期比296,207千円増加)となりました。
 また、特別損益は、助成金収入の受取等により特別利益は184,289千円(前期比44,372千円増加)、固定資産除却損等により特別損失は202,453千円(同83,838千円増加)となり、税金等調整前当期純利益1,593,928千円(前期比256,740千円増加)を計上し、法人税・住民税及び事業税の計上等を加減算した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,086,996千円(前期比22,064千円増加)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、運輸事業における乗合バス部門の利用客の減少や燃料費の高騰、多額の有利子負債に係る金利の上昇等の可能性があります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 運輸事業におきまして、一般乗合バス部門では、2024年3月の新潟駅高架化に伴い駅の南北を結ぶ新路線を開設し利便性向上に努めたほか、「こどもデザインラッピングバスコンテスト」、「万代シテイバスまつり2024」等、バスへの関心を高める取り組みを実施しました。また、スマートフォンアプリ「りゅーとLink」を新たにリリースし、賞品が当たるキャンペーンの実施や、デジタル一日乗車券の販売を通じて、バス利用者の利便性向上及びサービス満足度向上に努めました。さらに、2024年11月と2025年3月に新潟市が実施した「バス無料デー」に参画し、バス利用のきっかけづくりと新規顧客層の掘り起こしを図りました。加えて、2023年9月に実施した運賃改定が通期で寄与したこともあり、一般乗合バス部門全体では、前期比増収となりました。

 高速バス部門では、都市間高速バスにおいて2024年10月に長野線の全便運行再開に加えて、一部路線を除き運賃改定を実施したこと等により、高速バス部門全体で前期比増収となりました。

 貸切バス部門では、佐渡島の金山の世界文化遺産登録を受け旅行業者からの貸切需要の増加や2023年10月からの貸切バス新運賃制度の適用効果もあり、前期比増収となりました。

 不動産事業では、週末を中心として集客を高めるイベントや当社が運営管理するビルボードプレイスにおいて各種販売促進キャンペーンを実施する等、賑わい創出に努めたことに加えて、バスセンタービルにアミューズメント施設や占いの館、ホテルビルに雑貨店などを新たに誘致し施設の魅力向上に努めました。しかし、2024年3月にオープンした近隣地域の競合商業施設への来街者の分散による影響もあり、賃料収入及び駐車場収入は前期比減収となりました。

 商品販売事業では、新潟空港や新潟駅及びインバウンド需要が回復してきている湯沢地区を中心に県内各地の販売店への土産品の卸販売が堅調に推移したことに加えて、2024年3月にオープンした直営店が売上増に寄与して前期比増収となりました。

 旅行事業では、募集型企画旅行において日帰りバスツアーや海外ツアーが堅調に推移しました。手配型企画旅行においては、企業及び行政案件の研修旅行や視察旅行などを受注しましたが、教育旅行において中学校・小学校の修学旅行受注校数が減少し、前期比減収となりました。

 旅館事業では、新潟市内の「万代シルバーホテル」において、各イベントにおける団体客や台湾を中心とした訪日外国人観光客等の宿泊客を獲得したこと等から前期比増収となりました。また、佐渡市内の「国際佐渡観光ホテル八幡館」について、2024年7月の佐渡島の金山の世界文化遺産登録の影響を受け、募集型企画旅行の宿泊客数が伸長した結果、前期比増収となりました。

 航空代理事業においては、2024年4月、9月及び2025年3月の国内線における新規路線の開設等により国内線、国際線ともに運航本数の増加を受け空港業務受託手数料が増加したこと等により、前期比増収となりました。

 広告代理業においては、佐渡島の金山の世界文化遺産登録を受けた慶祝広告の実施や年賀広告及びデジタルサイネージを主とした自社広告媒体による広告収入が堅調に推移したことにより、前期比増収となりました。

 清掃・設備・環境業においては、清掃部門での定期物件の新規獲得や環境部門におけるスポット物件の受注増等により、前期比増収となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業における人件費、燃油費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入や社債発行を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は26,679,875千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,585,877千円となっております。

 当連結会計年度末現在において計画している重要な設備の改修及び資金調達方法は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 重要な設備の改修」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載したとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

 財務制限条項が付された主な借入金契約

 当社は、金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結しており、その内容は次のとおりです。

属性

契約締結日

返済期日

期末残高

(千円)

担保

財務制限条項

地方銀行

2024年9月25日

2027年9月30日

3,883,438

根抵当権

(建物・土地)

各年度の決算期の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額が、当該決算期の直前の決算期の末日又は2024年3月に終了する決算期の末日における連結の貸借対照表における純資産の部のいずれか大きい方の80%の金額以上であること。

各年度の決算期に係る連結の損益計算書上の営業利益に関して、営業損失を計上していないこと。

都市銀行

2024年9月27日

2027年9月30日

1,491,562

抵当権

(建物・土地)

 

6【研究開発活動】

 当社グループに該当事項はありません。